特許第6172207号(P6172207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6172207
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
   H01R13/64
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-89125(P2015-89125)
(22)【出願日】2015年4月24日
(65)【公開番号】特開2016-207529(P2016-207529A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年12月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雅康
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 利一
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−153553(JP,A)
【文献】 特開2013−175326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の検知端子を備えた第1ハウジングと、
前記第1ハウジングと嵌合可能な第2ハウジングと、
前記第2ハウジングに形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合過程では弾性撓みし、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合すると弾性復帰する弾性撓み部と、
前記第2ハウジングに設けられた短絡用端子金具と、
前記短絡用端子金具に一体形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合過程で前記一対の検知端子を摺接させるワイピング部と、
前記短絡用端子金具に一体形成され、前記弾性撓み部の弾性撓みに伴って前記一対の検知端子と非接触の退避位置へ弾性変位し、且つ前記弾性撓み部の弾性復帰に伴って前記一対の検知端子に接触する短絡位置へ弾性復帰して前記一対の検知端子を短絡させる弾性接触片と、
前記検知端子に設けられ、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合に至る直前で前記検知端子と前記ワイピング部との間に介在するワイピング部用絶縁層とを備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記一対の検知端子が、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合方向と平行に直線状に延びた形態であり、
前記一対の検知端子には、前記ワイピング部用絶縁層を前記検知端子の基端側へ延長させたワイピング部側延長層が設けられており、
前記第2ハウジングの正面に開口して前記一対の検知端子を進入させる進入口には、前記ワイピング部用絶縁層と前記ワイピング部側延長層を摺接させることで前記一対の検知端子を位置決めするワイピング部側位置決めリブが形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記一対の検知端子が合成樹脂製の連結部を介して一体化されており、
前記ワイピング部用絶縁層が、前記連結部に連なり、且つ前記一対の検知端子に亘って連続した形態であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記短絡用端子金具に一体形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが未嵌合の状態で、前記弾性接触片における前記検知端子との接点を覆う覆い部を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
一対の検知端子を備えた第1ハウジングと、
前記第1ハウジングと嵌合可能な第2ハウジングと、
前記第2ハウジングに形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合過程では弾性撓みし、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合すると弾性復帰する弾性撓み部と、
前記第2ハウジングに設けられた短絡用端子金具と、
前記短絡用端子金具に一体形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合過程で前記一対の検知端子を摺接させるワイピング部と、
前記短絡用端子金具に一体形成され、前記弾性撓み部の弾性撓みに伴って前記一対の検知端子と非接触の退避位置へ弾性変位し、且つ前記弾性撓み部の弾性復帰に伴って前記一対の検知端子に接触する短絡位置へ弾性復帰して前記一対の検知端子を短絡させる弾性接触片と、
前記短絡用端子金具に一体形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが未嵌合の状態で、前記弾性接触片における前記検知端子との接点を覆う覆い部と、
前記検知端子に設けられ、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合に至る直前で前記検知端子と前記覆い部との間に介在する覆い部用絶縁層とを備えていることを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが未嵌合の状態では、前記接点が前記覆い部に対し弾性的に当接するようになっていることを特徴とする請求項4又は請求項5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記一対の検知端子が、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合方向と平行に直線状に延びた形態であり、
前記一対の検知端子には、前記覆い部用絶縁層を前記検知端子の基端側へ延長させた覆い部側延長層が設けられており、
前記第2ハウジングの正面に開口して前記一対の検知端子を進入させる進入口には、前記覆い部用絶縁層と前記覆い部側延長層を摺接させることで前記一対の検知端子を位置決めする覆い部側位置決めリブが形成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6記載のコネクタ。
【請求項8】
前記一対の検知端子が合成樹脂製の連結部を介して一体化されており、
前記覆い部用絶縁層が、前記連結部に連なり、且つ前記一対の検知端子に亘って連続した形態であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1ハウジングと第2ハウジングが正しく嵌合したか否かを検知するための嵌合検知手段を備えたコネクタが開示されている。第1ハウジングには、一対の検知端子が設けられている。第2ハウジングには、初期位置から嵌合位置へ回動させることにより両ハウジングを嵌合させるレバーが取り付けられている。また、第2ハウジングには、両ハウジングが半嵌合のときに一対の検知端子の短絡を解除し、両ハウジングが正規嵌合したときに一対の検知端子を短絡させるための検知ユニットが取り付けられている。検知ユニットは、一対の弾性アーム部を有する短絡端子と、一対の検知端子に接続される一対の中継端子とから構成されている。
【0003】
レバーを初期位置から嵌合位置へ回動させる過程(つまり、両ハウジングが半嵌合の状態)では、第2ハウジングに形成されている弾性撓み部がレバーとの干渉によって弾性変形し、この弾性撓み部に押された一対の弾性アーム部が、一対の中継端子から離間する。この状態では、一対の中継端子に一対の検知端子が接続されても、一対の検知端子は短絡しないので、両ハウジングが半嵌合状態であることが検知される。
【0004】
そして、レバーが嵌合位置に到達して両ハウジングが正規嵌合状態になると、レバーとの干渉から解放された弾性撓み部が一気に弾性復帰する。この弾性撓み部の弾性復帰に伴い、一対の弾性アーム部が、一気に弾性復帰して一対の中継端子に接続するので、一対の検知端子が短絡する。これにより、両ハウジングが正規嵌合されたことが検知される。
【0005】
このコネクタでは、一対の検知端子が一対の中継端子に接続する際に、中継端子に形成されている弾性接触片に検知端子が弾性的に摺接するようになっている。この摺接構造により、両ハウジングが接続される前に検知端子に異物が付着していたとしても、検知端子が弾性接触片に摺接することによって、異物が検知端子から除去される。したがって、検知端子に異物が付着していることに起因して嵌合検知機能が損なわれる虞はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−109897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のコネクタでは、検知ユニットが短絡端子と一対の検知端子とによって構成されているため、部品点数が多いという問題がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品点数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明のコネクタは、
一対の検知端子を備えた第1ハウジングと、
前記第1ハウジングと嵌合可能な第2ハウジングと、
前記第2ハウジングに形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合過程では弾性撓みし、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合すると弾性復帰する弾性撓み部と、
前記第2ハウジングに設けられた短絡用端子金具と、
前記短絡用端子金具に一体形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合過程で前記一対の検知端子を摺接させるワイピング部と、
前記短絡用端子金具に一体形成され、前記弾性撓み部の弾性撓みに伴って前記一対の検知端子と非接触の退避位置へ弾性変位し、且つ前記弾性撓み部の弾性復帰に伴って前記一対の検知端子に接触する短絡位置へ弾性復帰して前記一対の検知端子を短絡させる弾性接触片と、
前記検知端子に設けられ、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合に至る直前で前記検知端子と前記ワイピング部との間に介在するワイピング部用絶縁層とを備えているところに特徴を有する。
第2の発明のコネクタは、
一対の検知端子を備えた第1ハウジングと、
前記第1ハウジングと嵌合可能な第2ハウジングと、
前記第2ハウジングに形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合過程では弾性撓みし、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合すると弾性復帰する弾性撓み部と、
前記第2ハウジングに設けられた短絡用端子金具と、
前記短絡用端子金具に一体形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合過程で前記一対の検知端子を摺接させるワイピング部と、
前記短絡用端子金具に一体形成され、前記弾性撓み部の弾性撓みに伴って前記一対の検知端子と非接触の退避位置へ弾性変位し、且つ前記弾性撓み部の弾性復帰に伴って前記一対の検知端子に接触する短絡位置へ弾性復帰して前記一対の検知端子を短絡させる弾性接触片と、
前記短絡用端子金具に一体形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが未嵌合の状態で、前記弾性接触片における前記検知端子との接点を覆う覆い部と、
前記検知端子に設けられ、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが正規嵌合に至る直前で前記検知端子と前記覆い部との間に介在する覆い部用絶縁層とを備えているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明及び第2の発明によれば、両ハウジングの嵌合過程では、一対の検知端子に異物が付着していたとしても、その異物はワイピング部によって除去されるので、検知端子と弾性接触片との間に異物が噛み込むことを防止できる。そして、ワイピング部と弾性接触片が短絡用端子金具に一体に形成されているので、ワイピング部と弾性接触片が別体部品である場合に比べると、部品点数を削減できる。また、第1の発明によれば、第1ハウジングと第2ハウジングが正規嵌合する直前で、検知端子とワイピング部がワイピング部用絶縁層によって非接触となるので、一対の検知端子がワイピング部を介して短絡されることがない。したがって、両ハウジングが正規嵌合したか否かを確実に検知することができる。また、第2の発明によれば、弾性接触片の接点に異物が付着することを防止することができる。同じく第2の発明によれば、第1ハウジングと第2ハウジングが正規嵌合する直前で、検知端子と覆い部が覆い部用絶縁層によって非接触となるので、一対の検知端子が覆い部を介して短絡されることがない。したがって、両ハウジングが正規嵌合したか否かを確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1の第2ハウジングの正面図
図2図1のA−A線断面図
図3図2のB−B線断面図
図4】第1ハウジングと第2ハウジングの嵌合を開始した状態をあらわす側断面図
図5】第1ハウジングと第2ハウジングの嵌合過程において、検知用端子がワイピング部に摺接している状態をあらわす側断面図
図6】第1ハウジングと第2ハウジングが正規嵌合に至る直前の状態をあらわす側断面図
図7】第1ハウジングと第2ハウジングが正規嵌合した状態をあらわす側断面図
図8】第2ハウジングの進入口の形状をあらわす部分拡大図
図9】短絡用端子金具の一部切欠斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明のコネクタは、前記一対の検知端子が、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合方向と平行に直線状に延びた形態であり、前記一対の検知端子には、前記ワイピング部用絶縁層を前記検知端子の基端側へ延長させたワイピング部側延長層が設けられており、前記第2ハウジングの正面に開口して前記一対の検知端子を進入させる進入口には、前記ワイピング部用絶縁層と前記ワイピング部側延長層を摺接させることで前記一対の検知端子を位置決めするワイピング部側位置決めリブが形成されていてもよい。
この構成によれば、検知端子を位置決めすることにより、弾性接触片と検知端子との接触状態が安定する。
【0013】
第1の発明のコネクタは、前記一対の検知端子が合成樹脂製の連結部を介して一体化されており、前記ワイピング部用絶縁層が、前記連結部に連なり、且つ前記一対の検知端子に亘って連続した形態であってもよい。
この構成によれば、一対の検知端子が連結部とワイピング部用絶縁層を介して連結されているので、一対の検知端子相互の位置関係が安定する。
【0014】
第1の発明のコネクタは、前記短絡用端子金具に一体形成され、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが未嵌合の状態で、前記弾性接触片における前記検知端子との接点を覆う覆い部を備えていてもよい。
この構成によれば、弾性接触片の接点に異物が付着することを防止することができる。
【0015】
第1及び第2の発明のコネクタは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングが未嵌合の状態では、前記接点が前記覆い部に対し弾性的に当接するようになっていてもよい。
この構成によれば、接点に対する異物の付着を、より確実に防止することができる。
【0017】
第2の発明のコネクタは、前記一対の検知端子が、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングの嵌合方向と平行に直線状に延びた形態であり、前記一対の検知端子には、前記覆い部用絶縁層を前記検知端子の基端側へ延長させた覆い部側延長層が設けられており、前記第2ハウジングの正面に開口して前記一対の検知端子を進入させる進入口には、前記覆い部用絶縁層と前記覆い部側延長層を摺接させることで前記一対の検知端子を位置決めする覆い部側位置決めリブが形成されていてもよい。
この構成によれば、検知端子を位置決めすることにより、弾性接触片と検知端子との接触状態が安定する。
【0018】
第2の発明のコネクタは、前記一対の検知端子が合成樹脂製の連結部を介して一体化されており、前記覆い部用絶縁層が、前記連結部に連なり、且つ前記一対の検知端子に亘って連続した形態であってもよい。
この構成によれば、一対の検知端子が連結部と覆い部用絶縁層を介して連結されているので、一対の検知端子相互の位置関係が安定する。
【0019】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図9を参照して説明する。本実施例1のコネクタは、第1ハウジング10と、一対の検知端子13と、第2ハウジング30と、レバー50と、短絡用端子金具60とを備えて構成されている。コネクタは、検知回路(図示省略)を構成する一対の検知端子13が短絡しているか否かに基づいて、両ハウジング10,30の嵌合状態を検知する嵌合検知機能を備えている。
【0020】
尚、以下の説明において、第1ハウジング10と第2ハウジング30の嵌合・離脱方向と略平行な方向を、前後方向という。第1ハウジング10と第2ハウジング30は、双方の前面同士を対向させるように嵌合されるものとする。したがって、第1ハウジング10における前方と第2ハウジング30における前方は、逆向きとなる。また、図1,2,4〜7にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。
【0021】
<第1ハウジング10>
第1ハウジング10は、絶縁性材料(合成樹脂材料)からなり、図4〜7に示すように、端子保持部11と、端子保持部11の外周縁から前方へ筒状に延出するフード部12とを有する。端子保持部11には、前後方向に細長く延びた形態の左右対称なタブ状をなす一対の検知端子13が、互いに絶縁した状態で取り付けられている。この一対の検知端子13は、左右方向(両ハウジング10,30の嵌合方向と交差する方向)に並ぶように配置されている。一対の検知端子13は、板厚方向を上下方向に向けている。検知端子13の長さ方向は、両ハウジング10,30の嵌合方向と平行である。
【0022】
両検知端子13の前端側領域は、端子保持部11の前面から前方へ突出し、フード部12によって包囲された状態となっている。両検知端子13のうち端子保持部11から前方へ突出した領域は、両ハウジング10,30の嵌合方向と平行に直線状に延びた突出部14となっている。一対の突出部14には、端子保持部11の前面から延出した形態の連結部15(図8を参照)、左右一対の外側面層16(図8を参照)、ワイピング部用絶縁層17(図4〜8を参照)、ワイピング部側延長層18(図4〜8を参照)、覆い部用絶縁層19(図4〜8を参照)及び覆い部側延長層20(図4〜8を参照)が、インサート成形により検知端子13に密着した形態で設けられている。
【0023】
連結部15は、突出部14の全長に亘り、一対の突出部14の間に挟まれるように配されている。連結部15は、一対の突出部14の内側の側面に密着し、両突出部14を一体化させている。一対の外側面層16は、突出部14の全長に亘って配され、一対の突出部14の外側の側面に密着している。上下方向(検知端子13の板厚方向)における連結部15と外側面層16の形成領域は、検知端子13の板厚と同じ範囲である。
【0024】
ワイピング部用絶縁層17は、突出部14の長さ方向における中央部領域に配されている。ワイピング部用絶縁層17は、連結部15の下面に連なり、連結部15から左右両側方へ延出して一対の突出部14の下面に密着している。ワイピング部用絶縁層17の左右両側縁部は、外側面層16の下面に連なっている。
【0025】
ワイピング部側延長層18は、ワイピング部用絶縁層17から後方へ延長して端子保持部11の前面に連なった形態である。ワイピング部側延長層18は、ワイピング部用絶縁層17と同様、連結部15の下面に連なり、連結部15から左右両側方へ延出して一対の突出部14の下面に密着している。ワイピング部側延長層18の左右両側縁部は、外側面層16の下面に連なっている。
【0026】
覆い部用絶縁層19は、突出部14の突出端部に配されている。覆い部用絶縁層19は、連結部15の上面に連なり、連結部15から左右両側方へ延出して一対の突出部14の上面(つまり、接触面21とは反対側の面)に密着している。また、覆い部用絶縁層19の左右両側縁部は、外側面層16の上面に連なっている。
【0027】
覆い部側延長層20は、覆い部用絶縁層19から後方へ延長して端子保持部11の前面に連なった形態である。覆い部側延長層20は、覆い部用絶縁層19と同様、連結部15の上面に連なり、連結部15から左右両側方へ延出して一対の突出部14の上面に密着している。覆い部側延長層20の左右両側縁部は、外側面層16の上面に連なっている。
【0028】
一対の突出部14のうちワイピング部用絶縁層17の前端から端子保持部11の前端面に至る領域は、連結部15、一対の外側面層16、ワイピング部用絶縁層17、ワイピング部側延長層18及び覆い部側延長層20により、全周に亘って覆い隠されている。また、一対の突出部14におけるワイピング部用絶縁層17の前端から突出端に至る領域では、上面と左右両側面が、連結部15、外側面層16、受け部用絶縁層及び覆い部側延長層20によって覆い隠されている。
【0029】
一対の突出部14(検知端子13)の下面のうちワイピング部用絶縁層17の前端から突出端に至る突出端領域は、露出した接触面21となっている。この接触面21は、後述するワイピング部68と弾性接触片62の接点65とに摺接可能となっている。接触面21は露出しているため、両ハウジング10,30が嵌合する前の状態(両ハウジング10,30が離脱した状態)では、接触面21に異物が付着し得る。
【0030】
検知回路(図示省略)は、両ハウジング10,30の嵌合過程のうち嵌合の終期から両ハウジング10,30が正規嵌合に至る間において、一対の検知端子13が短絡(導通)しているか否かに基づいて両ハウジング10,30が正規嵌合しているか否かを検出する。つまり、検知回路においては、一対の検知端子13が短絡したことを検出すると、両ハウジング10,30が正規嵌合したと判定され、一対の検知端子13が短絡していない状態では、半嵌合(嵌合途中であって正規嵌合に至っていない)状態であると判定される。
【0031】
<第2ハウジング30>
第2ハウジング30は、絶縁性材料(合成樹脂材料)からなる。図2〜7に示すように、第2ハウジング30の内部には端子収容室31が形成されている。端子収容室31内には、その後端の端子挿入口から短絡用端子金具60が挿入されている。図3に示すように、端子収容室31内には、第2ハウジング30の前面壁32から後方へ延出した形態の仕切壁33が形成されている。図1〜3に示すように、前面壁32には、端子収容室31の前端を第2ハウジング30の前端面に連通させた形態の進入口34が形成されている。進入口34は、左右方向の寸法が上下寸法よりも大きい横長の略方形に開口している。
【0032】
進入口34には、両ハウジング10,30の嵌合過程で、一対の検知端子13が一括して挿入されるようになっている。図8に示すように、進入口34の内周上面には、左右対称な一対の覆い部側位置決めリブ35が突出形成されている。進入口34の内周下面にも、幅方向中央位置から突出するワイピング部側位置決めリブ36が形成されている。
【0033】
第2ハウジング30には、図2,4〜7に示すように、第1ハウジング10との嵌合過程で弾性撓みする弾性撓み部37が形成されている。弾性撓み部37は、端子収容室31の上壁部を構成しており、端子収容室31に臨んだ状態で後方へ片持ち状に延出した形態である。弾性撓み部37の後端部には、上方へ突出した形態の突起部38が形成されている。弾性撓み部37の下面は、後述する弾性接触片62を下方へ弾性撓みさせるための押圧面となっている。
【0034】
弾性撓み部37は、常には、図2,4,7に示すように、待機位置に保たれているが、上から押圧力を受けると、図5,6に示すように、弾性撓み部37の前端部(基端部)を支点として姿勢を斜めに変化させながら下方の作動位置へ変位し得るようになっている。作動位置へ変位したとき、弾性撓み部37の後端部は、端子収容室31内に進出する。第2ハウジング30には、一枚板状をなすレバー50を収容するための収容空間39が、端子収容室31の上方に位置するように形成されている。この収容空間39には弾性撓み部37の上面(突起部38)が、直接、臨んでいる。収容空間39の天井面には、両ハウジング10,30が正規嵌合したときにレバー50のロック突起54と係止する突起状の係止部40が形成されている。
【0035】
<レバー50>
レバー50は、合成樹脂製であり、第2ハウジング30に上下方向の支持軸(図示省略)を中心として水平方向に回動し得るように取り付けられている。レバー50は、初期位置(図4を参照)と嵌合位置(図7を参照)との間で回動変位する。図4〜7に示すように、レバー50は、略水平な板状部51と、板状部51の後端部に形成した操作部52と、板状部51の前端から後方(操作部52側に向かって)片持ち状に延出するロックアーム53とを備えて構成されている。図4に示すように、レバー50が初期位置にあるとき、収容空間39内には、板状部51とロックアーム53の前端部のみが収容される。また、図7に示すように、レバー50が嵌合位置へ移動したときには、板状部51の全体とロックアーム53の全体が収容空間39内に収容される。
【0036】
ロックアーム53は、第1ハウジング10と正規嵌合したときに第1ハウジング10の係止部40と係止することで両ハウジング10,30を嵌合状態にロックするものである。ロックアーム53は、常には、図2,4,5に示すように、ロック位置に保たれているが、上から押圧力を受けると、図6に示すように、ロックアーム53の前端部(基端部)を支点として姿勢を斜めに変化させながら下方のロック解除位置へ弾性撓みし得るようになっている。ロックアーム53の上面には、ロック突起54が形成されている。
【0037】
また、板状部51の前端部の下面(弾性撓み部37の上面と対向する面)には、弾性撓み部37を介して弾性接触片62を動作させるための突起状の第1押圧部55が形成されている。ロックアーム53の下面(弾性撓み部37の上面と対向する面)には、弾性撓み部37を介して弾性接触片62を動作させるための突起状の第2押圧部56が形成されている。第2押圧部56の後端部には、上方へ退避するように凹ませた(切欠した)形態の逃がし部57が形成されている。
【0038】
<短絡用端子金具60>
コネクタの嵌合検知機能は、上記一対の検知端子13と、上記弾性撓み部37と、上記ロックアーム53と、短絡用端子金具60とを備えて構成される。以下、短絡用端子金具60の構造を説明する。短絡用端子金具60は、所定形状に打ち抜いた金属板材に曲げ加工等を施し、全体として前後方向に長い形状に成形したものであり、図9に示すように、単一部品である。短絡用端子金具60は、平板状をなす基板部61と、弾性接触片62と、左右対称な一対の覆い部67と、左右対称な一対のワイピング部68とを備えて構成されている。弾性接触片62は、基板部61の後端縁から前上方へ折り返されるように片持ち状に延出した形態である。
【0039】
弾性接触片62は、その後端部を支点として上下方向(両ハウジング10,30の嵌合方向と交差する方向)へ弾性撓みし得るようになっている。弾性接触片62には、上方へ山形に突出するように屈曲した受圧部63が形成されている。弾性接触片62の延出端部には、二股状に分岐した左右対称な一対のアーム部64が形成されている。アーム部64は山形に屈曲されており、この屈曲部分の頂上は、検知端子13及び覆い部67と接触可能な接点65となっている。
【0040】
基板部61の左右両側縁からは左右対称な一対の側壁部66が立ち上がっている。両側壁部66の立ち上がり端縁からは、左右対称な一対の覆い部67が基板部61と平行に延出している。両ハウジング10,30が未嵌合であり、弾性接触片62が外力を受けていない自由状態のときには、弾性接触片62の弾力により接点65が覆い部67の下面に対し弾性的に当接している。
【0041】
一対のワイピング部68は、基板部61の二股状に分岐した前端部から、後上方へ折り返されるように片持ち状に延出した形態である。ワイピング部68には、上方へ山形に突出するように屈曲された摺接部69が形成されている。ワイピング部68は、その前端部を支点として上下方向(端子収容室31内への検知端子13の進入方向と交差する方向)へ弾性撓みし得るようになっている。
【0042】
基板部61の左右両側縁部には、左右対称な一対の抜止め突起70が形成されている。短絡用端子金具60を端子収容室31に収容した状態では、抜止め突起70が端子収容室31の左右内側壁部66に食い込むように係止することにより、短絡用端子金具60が抜止め状態に固定されている。また、端子収容室31に短絡用端子金具60を取り付けた状態では、隔壁部が一対のワイピング部68の間に割り込むように位置する。これにより、端子収容室31内において、短絡用端子金具60が左右方向に位置決めされる。
【0043】
次に、本実施例1の作用を説明する。両ハウジング10,30を嵌合する前の状態では、レバー50が初期位置(図4を参照)に保持されている。この状態では、ロックアーム53が弾性撓み部37の後方へ退避しているため、弾性撓み部37は待機位置(自由状態)に保持され、弾性撓み部37は弾性接触片62と非接触である。したがって、弾性接触片62は、その一対の接点65を一対の覆い部67に対し弾性的に接触させた状態に保たれる。接点65は、覆い部67に、直接、弾性的に当接しているので、接点65に異物が付着する虞はない。
【0044】
離脱状態の両ハウジング10,30を浅く嵌合すると、図4に示すように、一対の検知端子13の突出部14(先端部)が進入口34から端子収容室31内に進入する。一対の検知端子13が進入口34内に進入する過程では、覆い部側延長層20の上面が覆い部側位置決めリブ35に摺接するとともに、ワイピング部側延長層18の下面がワイピング部側位置決めリブ36に摺接することにより、一対の検知端子13(突出部14)は上下方向に位置決めされる。
【0045】
そして、検知端子13が進入口34に進入するのに伴い、検知端子13の接触面21とワイピング部68の摺接部69が、ワイピング部68の弾力によって弾性的に摺接する。したがって、接触面21に異物が付着していたとしても、その異物は、摺接部69により接触面21から擦り落とされる。
【0046】
この状態からレバー50を回動させると、レバー50に形成されているカム溝(図示省略)と第1ハウジング10に形成されているカムフォロア(図示省略)との係合により、両ハウジング10,30の嵌合が進んでいく。これに伴い、レバー50の板状部51の前端部が収容空間39内に進入し、第1押圧部55が弾性撓み部37の突起部38を上から押圧するので、図5に示すように、弾性撓み部37が待機位置から下方の作動位置へ弾性変位し、弾性撓み部37の下面が、弾性接触片62の受圧部63を上から押圧する。この押圧により、弾性接触片62が下方の退避位置へ弾性変位し、接点65が覆い部67から離間する。このとき、一対の接触面21がワイピング部68に接触したままなので、一対の検知端子13は短絡状態である。
【0047】
この状態から、レバー50を更に回動させた両ハウジング10,30の嵌合を進めると、接触面21がワイピング部68を通過し、ワイピング部68には、ワイピング部用絶縁層17が接触する。つまり、検知端子13とワイピング部68との間には、ワイピング部用絶縁層17が介在する。また、検知端子13(突出部14)の突出端が覆い部67の下に潜り込むのであるが、検知端子13と覆い部67との間には覆い部用絶縁層19が介在している。
【0048】
さらに、検知端子13の接触面21が、弾性接触片62の接点65部と対応する位置に到達する。しかし、ロックアーム53の第2押圧部56が弾性撓み部37を押し下げ、この弾性撓み部37によって弾性接触片62が下方へ弾性撓みした状態に維持されるので、接点65が接触面21に接触することはない。したがって、一対の検知端子13は短絡解除状態に保たれる。
【0049】
この状態から更にレバー50を回動して両ハウジング10,30の嵌合を進め、両ハウジング10,30が正規嵌合に至る直前の状態になると、図6に示すように、ロック突起54が係止部40と干渉してロックアーム53がロック位置から下方のロック解除位置へ弾性変位する。このとき、突起部38は、第2押圧部56のうち上方へ退避した形態の逃がし部57と対応するので、弾性接触片62は、過度に撓まされることなく退避位置に保たれ、接点65が接触面21と非接触なので、一対の検知端子13は短絡解除状態に保たれる。したがって、両ハウジング10,30が正規嵌合していないと判断される。
【0050】
そして、レバー50が嵌合位置に到達して両ハウジング10,30が正規嵌合状態になると、図7に示すように、ロックアーム53がロック解除位置からロック位置へ弾性復帰して、ロック突起54が係止部40と係止し、両ハウジング10,30が正規嵌合状態にロックされる。また、ロックアーム53の弾性復帰に伴い、突起部38が、ロックアーム53の第2押圧部56による押圧から解放されるので、弾性撓み部37が、短絡解除位置から短絡位置へ弾性復帰する。これにより、弾性接触片62も退避位置から短絡位置に向かって上方へ弾性変位し、一対の接触面21に対し一対の接点65が弾性的に当接する。これにより、一対の検知端子13が短絡用端子金具60を介して短絡した状態となり、両ハウジング10,30が正規嵌合したことが検知される。
【0051】
本実施例1のコネクタは、一対の検知端子13を備えた第1ハウジング10と、第1ハウジング10と嵌合可能な第2ハウジング30とを備える。第2ハウジング30には、両ハウジング10,30の嵌合過程では弾性撓みし、両ハウジング10,30が正規嵌合すると弾性復帰する弾性撓み部37が形成されている。第2ハウジング30には短絡用端子金具60が設けられている。短絡用端子金具60には、ワイピング部68と弾性接触片62とが一体に形成されている。ワイピング部68は、両ハウジング10,30の嵌合過程で一対の検知端子13を摺接させる。弾性接触片62は、弾性撓み部37の弾性撓みに伴って一対の検知端子13と非接触の退避位置へ弾性変位し、弾性撓み部37の弾性復帰に伴って一対の検知端子13に接触する短絡位置へ弾性復帰して一対の検知端子13を短絡させる。
【0052】
かかる構成のコネクタによれば、両ハウジング10,30の嵌合過程では、一対の検知端子13のうち弾性接触片62と接触する接触面21に異物が付着していたとしても、その異物はワイピング部68に摺接することによって除去される。これにより、検知端子13と弾性接触片62との間に異物が噛み込むことを防止できる。そして、ワイピング部68と弾性接触片62が短絡用端子金具60に一体に形成されているので、ワイピング部68と弾性接触片62が別体部品である場合に比べて、部品点数の削減が実現されている。
【0053】
また、検知端子13には、両ハウジング10,30が正規嵌合に至る直前で検知端子13とワイピング部68との間に介在する合成樹脂製のワイピング部用絶縁層17が設けられている。この構成によれば、両ハウジング10,30が正規嵌合する直前で、検知端子13とワイピング部68がワイピング部用絶縁層17によって非接触となるので、一対の検知端子13がワイピング部68を介して短絡されることがない。したがって、両ハウジング10,30が正規嵌合したか否かを確実に検知することができる。
【0054】
また、一対の検知端子13は、両ハウジング10,30の嵌合方向と平行に直線状に延びた形態であり、一対の検知端子13には、ワイピング部用絶縁層17を検知端子13の基端側(端子保持部11側)へ延長させたワイピング部側延長層18が設けられている。そして、第2ハウジング30の正面に開口して一対の検知端子13を進入させる進入口34には、ワイピング部用絶縁層17とワイピング部側延長層18を摺接させることで一対の検知端子13を位置決めするワイピング部側位置決めリブ36が形成されてる。この構成によれば、検知端子13を位置決めすることにより、弾性接触片62と検知端子13との接触状態が安定する。
【0055】
また、一対の検知端子13が合成樹脂製の連結部15を介して一体化されており、ワイピング部用絶縁層17が、連結部15に連なり、且つ一対の検知端子13に亘って連続した形態となっている。この構成によれば、一対の検知端子13が連結部15とワイピング部用絶縁層17を介して連結されているので、一対の検知端子13相互の位置関係が安定する。
【0056】
また、短絡用端子金具60には、両ハウジング10,30が未嵌合の状態で、弾性接触片62における検知端子13との接点65を覆う覆い部67が一体に形成されているるこの構成によれば、弾性接触片62の接点65に異物が付着することを防止することができる。しかも、両ハウジング10,30が未嵌合の状態では、接点65が覆い部67に対し弾性的に当接するようになっているので、接点65に対する異物の付着が、より確実に防止されている。
【0057】
また、検知端子13には、両ハウジング10,30が正規嵌合に至る直前で一対の検知端子13と覆い部67との間に介在する合成樹脂製の覆い部用絶縁層19が設けられている。この構成によれば、両ハウジング10,30が正規嵌合する直前で、検知端子13と覆い部67が覆い部用絶縁層19によって非接触となるので、一対の検知端子13が覆い部67を介して短絡されることがない。したがって、両ハウジング10,30が正規嵌合したか否かを確実に検知することができる。
【0058】
また、一対の検知端子13は、両ハウジング10,30の嵌合方向と平行に直線状に延びた形態であり、一対の検知端子13には、覆い部用絶縁層19を検知端子13の基端側(端子保持部11側)へ延長させた覆い部側延長層20が設けられている。そして、第2ハウジング30の正面に開口して一対の検知端子13を進入させる進入口34には、覆い部用絶縁層19と覆い部側延長層20を摺接させることで一対の検知端子13を位置決めする覆い部側位置決めリブ35が形成されている。この構成によれば、検知端子13を位置決めすることにより、弾性接触片62と検知端子13との接触状態が安定する。
【0059】
また、一対の検知端子13は合成樹脂製の連結部15を介して一体化されており、覆い部用絶縁層19が、連結部15に連なり、且つ一対の検知端子13に亘って幅方向(左右方向)連続した形態となっている。この構成によれば、一対の検知端子13が連結部15と覆い部用絶縁層19を介して連結されているので、一対の検知端子13相互の位置関係が安定する。
【0060】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1では、弾性接触片に一対の検知端子に個別に接触する一対のアーム部を設けたが、弾性接触片は、検知用端子に接触する領域を含む全体に亘って幅広の一枚板状であってもよい。
(2)上記実施例1では、ワイピング部を一対設けたが、ワイピング部は幅広の一枚板状であってもよい。
(3)上記実施例1では、両ハウジングが未嵌合の状態で、弾性接触片の接点が覆い部に当接するようにしたが、両ハウジングが未嵌合の状態で、弾性接触片の接点が覆い部と非接触であってもよい。
(4)上記実施例1では、短絡用端子金具に、弾性接触片の接点を覆う覆い部を形成したが、このような覆い部を形成しない形態としてもよい。
(5)上記実施例1では、ワイピング部用絶縁層を一対の検知端子の両方に設けたが、ワイピング部用絶縁層は、一対の検知端子のうちいずれか一方の検知端子のみに設けてもよい。
(6)上記実施例1では、検知端子が両ハウジングの嵌合方向と平行に直線状に延びた形態であるため、一対の検知端子が覆い部を介して短絡するのを防止する手段としてワイピング部用絶縁層を設けたが、検知端子が屈曲した形状であり、両ハウジングが正規嵌合する直前で検知端子がワイピング部を介して短絡する虞がない場合は、ワイピング部用絶縁層を設けなくてもよい。
(7)上記実施例1では、覆い部用絶縁層を一対の検知端子の両方に設けたが、覆い部用絶縁層は、一対の検知端子のうちいずれか一方の検知端子のみに設けてもよい。
(8)上記実施例1では、一対の検知端子が覆い部を介して短絡するのを防止する手段として覆い部用絶縁層を設けたが、覆い部を設けない場合は、覆い部用絶縁層を設けなくてもよい。
(9)上記実施例1では、検知端子に設けたワイピング部側延長層をワイピング部側位置決めリブに摺接させるようにしたが、ワイピング部側延長層とワイピング部側位置決めリブを設けない形態としてもよい。
(10)上記実施例1では、検知端子に設けた覆い部側延長層を覆い部側位置決めリブに摺接させるようにしたが、覆い部側延長層と覆い部側位置決めリブを設けない形態としてもよい。
(11)上記実施例1では、一対の検知端子を連結部を介して一体化させたが、このような連結部を設けない形態としてもよい。
(12)上記実施形態では、両ハウジングを嵌合状態にロックするためのロックアームとは別に、嵌合検知手段としての専用の弾性撓み部を設けたが、ロックアームに、嵌合検知手段としての弾性撓み部の機能を具備させてもよい。
(13)上記実施形態では、レバーを用いて第1ハウジングと第2ハウジングを嵌合するようにしたが、本発明は、レバーを用いずに第1ハウジングと第2ハウジングを嵌合する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0061】
10…第1ハウジング
13…検知端子
15…連結部
17…ワイピング部用絶縁層
18…ワイピング部側延長層
19…覆い部用絶縁層
20…覆い部側延長層
30…第2ハウジング
34…進入口
35…覆い部側位置決めリブ
36…ワイピング部側位置決めリブ
37…弾性撓み部
60…短絡用端子金具
62…弾性接触片
65…接点
67…覆い部
68…ワイピング部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9