(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6172600
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】セグメントの継手構造
(51)【国際特許分類】
E21D 11/04 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
E21D11/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-80103(P2013-80103)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-201993(P2014-201993A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229667
【氏名又は名称】日本ヒューム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】大関 宗孝
(72)【発明者】
【氏名】煙山 史
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜明
【審査官】
神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−049996(JP,A)
【文献】
特開2009−228312(JP,A)
【文献】
特開2000−008785(JP,A)
【文献】
特表2002−502001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメント周方向で接合されて円環状のセグメントリングを構成する各セグメント間にあって、一方のセグメントの接合部端面より突出した雄側嵌合部を有する雄側継手部材と、他方のセグメントの接合部端面に開口させた凹部内に配置された雌側嵌合部を有する雌側継手部材とを備え、前記雄側嵌合部を前記凹部に挿入し、且つ前記両セグメントをセグメント軸方向に相対的にスライド移動させて前記雄側嵌合部を前記雌側嵌合部と互いに嵌合させることにより前記セグメント間が接合されるようにしたセグメントの継手構造において、
前記雄側嵌合部に表面部がセグメント厚み方向に向けられた平板状の雄側嵌合部本体と、該雄側嵌合部本体の表面にセグメント軸方向に向けて突設された係合用突条とを備え、
前記雌側嵌合部にセグメント厚み方向に互いに間隔をおいて対向した一対の反力受け板部を有する雌側嵌合部本体と、前記各反力受板部の接合面側端部にそれぞれ基端が一体又は一体的に支持され、先端側が前記反力受板部内側に折り返された形状に形成された弾性材からなる一対の弾性係合部とを備え、
前記セグメントのスライド移動に伴って前記雄側嵌合部本体部が前記両弾性係合部間に挿入されるとともに前記弾性係合部の先端部が前記係合用突条と係合し、且つ、前記両弾性係合部が弾性変形し、該各弾性係合部の先端部が前記雄側嵌合部本体表面に近接するようにするととともに、前記雄側嵌合部本体表面部の前記弾性係合部が近接した部分に該弾性係合部の先端部と互いに係合し、該弾性係合部のセグメント周方向の移動を規制する変形規制部を備えていることを特徴としてなるセグメントの継手構造。
【請求項2】
前記係合用突条は、セグメント軸方向前端部に前端側が奥側に向けて傾斜した形状の嵌合誘導部を備えた請求項1に記載のセグメントの継手構造。
【請求項3】
前記各反力受板部の外側面部に複数の棒状のアンカー部材がセグメント軸方向に間隔を置いた平行配置に固定されてなる請求項1又は2に記載のセグメントの継手構造。
【請求項4】
前記複数のアンカー部材にセグメント軸方向に向けた一又は複数の補強筋材が固定されてなる請求項3に記載のセグメントの継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの内部覆工に用いられるセグメント間を連結するセグメントの継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法よるトンネル構築においては、シールド掘削機の後方側で掘削孔の内周面に沿って円弧版状のセグメントを周方向に連結してセグメントリングを組み立て、このセグメントリングをシールド掘削機の進行に合わせて順次トンネル軸方向に連設することによりトンネル内に覆工がなされている。
【0003】
従来、各セグメントのセグメント周方向接合部間を接合するセグメント継手は、ボルトにより接合する構造が一般的であったが、その他の接合構造として例えばコーンコネクタを用いた継手構造やコッター形式の継手構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
このようなコーンコネクタを用いた継手構造やコッター形式の継手構造では、一方のセグメントのセグメント周方向接合部端面より突出させた雄側継手部材と、他方の接合部端面に開口した凹部内に配置された雌側継手部材とを備え、雄側継手部材を凹部内に挿入し、セグメントをセグメント軸方向に相対的にスライド移動させることにより、雄雌側両継手部材を互いに係合させて両セグメント間を接合させるようになっている。
【0005】
雄型継手部材は、セグメント軸方向に縮径側を向けた円錐台形状の雄側嵌合部と、一端側に雄側嵌合部を支持し、他端側がセグメントに固定された支持部とを備え、雌型継手部材は、セグメント軸方向に向けて内径が順次縮径する円錐台形状の嵌合孔を有する雌側嵌合部を備え、セグメントのスライド移動に伴って、雄側嵌合部が嵌合孔に挿入され、雄側嵌合部が雌側嵌合部に楔状に嵌合されることにより両継手部材が締結され、それにより両セグメントが接合されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−324104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、雌雄両継手部材間の締結力を互いに円錐台形状に形成された雄側嵌合部と嵌合孔との嵌合により得るため、継手部材の製作に高い精度が要求され、セグメントに対する各継手部材の設置位置も正確に決定しなければならず、その為、セグメントの製作コストが嵩むという問題があった。
【0008】
言い換えれば、従来技術では、雌雄両継手部材の締結力が大き過ぎるとセグメントの組立てが困難となり、小さ過ぎるとセグメント間の接合強度が不足する虞があった。
【0009】
また、両セグメントのセグメント周方向の接合強度は、雄側嵌合部と雌側嵌合部との嵌合強度に依存するため、両嵌合部の形状が大型化し、重量が嵩むという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、セグメントの組立てを容易にし、且つ、セグメント間で高い接合強度が得られるセグメントの継手構造の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、セグメント周方向で接合されて円環状のセグメントリングを構成する各セグメント間にあって、一方のセグメントの接合部端面より突出した雄側嵌合部を有する雄側継手部材と、他方のセグメントの接合部端面に開口させた凹部内に配置された雌側嵌合部を有する雌側継手部材とを備え、前記雄側嵌合部を前記凹部に挿入し、且つ前記両セグメントをセグメント軸方向に相対的にスライド移動させて前記雄側嵌合部を前記雌側嵌合部と互いに嵌合させることにより前記セグメント間が接合されるようにしたセグメントの継手構造において、前記雄側嵌合部に表面部がセグメント厚み方向に向けられた平板状の雄側嵌合部本体と、該雄側嵌合部本体の表面にセグメント軸方向に向けて突設された係合用突条とを備え、前記雌側嵌合部にセグメント厚み方向に互いに間隔をおいて対向した一対の反力受け板部を有する雌側嵌合部本体と、前記各反力受板部の接合面側端部にそれぞれ基端が一体又は一体的に支持され、先端側が前記反力受板部内側に折り返された形状に形成された弾性材からなる一対の弾性係合部とを備え、前記セグメントのスライド移動に伴って前記雄側嵌合部本体部が前記両弾性係合部間に挿入されるとともに前記弾性係合部の先端部が前記係合用突条と係合し、且つ、前記両弾性係合部が弾性変形し、該各弾性係合部の先端部が前記雄側嵌合部本体表面に近接するように
するととともに、前記雄側嵌合部本体表面部の前記弾性係合部が近接した部分に該弾性係合部の先端部と互いに係合し、該弾性係合部のセグメント周方向の移動を規制する変形規制部を備えているセグメントの継手構造にある。
【0012】
請求項2に記載の発明の特徴は、
請求項1の構成に加え、前記係合用突条は、セグメント軸方向前端部に前端側が奥側に向けて傾斜した形状の嵌合誘導部を備えたことにある。
【0013】
請求項3に記載の発明の特徴は、
請求項1又は2の構成に加え、前記各反力受板部の外側面部に複数の棒状のアンカー部材がセグメント軸方向に間隔を置いた平行配置に固定されてなることにある。
【0014】
請求項4に記載の発明の特徴は、
請求項3の構成に加え、前記複数のアンカー部材にセグメント軸方向に向けた一又は複数の補強筋材が固定されてなることにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るセグメントの継手構造は、上述したように、セグメント周方向で接合されて円環状のセグメントリングを構成する各セグメント間にあって、一方のセグメントの接合部端面より突出した雄側嵌合部を有する雄側継手部材と、他方のセグメントの接合部端面に開口させた凹部内に配置された雌側嵌合部を有する雌側継手部材とを備え、前記雄側嵌合部を前記凹部に挿入し、且つ前記両セグメントをセグメント軸方向に相対的にスライド移動させて前記雄側嵌合部を前記雌側嵌合部と互いに嵌合させることにより前記セグメント間が接合されるようにしたセグメントの継手構造において、前記雄側嵌合部に表面部がセグメント厚み方向に向けられた平板状の雄側嵌合部本体と、該雄側嵌合部本体の表面にセグメント軸方向に向けて突設された係合用突条とを備え、前記雌側嵌合部にセグメント厚み方向に互いに間隔をおいて対向した一対の反力受け板部を有する雌側嵌合部本体と、前記各反力受板部の接合面側端部にそれぞれ基端が一体又は一体的に支持され、先端側が前記反力受板部内側に折り返された形状に形成された弾性材からなる一対の弾性係合部とを備え、前記セグメントのスライド移動に伴って前記雄側嵌合部本体部が前記両弾性係合部間に挿入されるとともに前記弾性係合部の先端部が前記係合用突条と係合し、且つ、前記両弾性係合部が弾性変形し、該各弾性係合部の先端部が前記雄側嵌合部本体表面に近接するようにしたことにより、雄側継手部材と雌側継手部材との嵌合を容易に行え、且つ、セグメント間にセグメント周方向の引張力が生じた場合、両弾性係合部により雄側嵌合部本体を挟持することにより、当該引張力に対抗することができる。
【0016】
また、本発明において、前記雄側嵌合部本体表面部の前記弾性係合部が近接した部分に該弾性係合部の先端部と互いに係合し、該弾性係合部のセグメント周方向の移動を規制する変形規制部を備えたことにより、高い引張抵抗力を得ることができる。
【0017】
更に、本発明において、前記係合用突条は、セグメント軸方向前端部に前端側が奥側に向けて傾斜した形状の嵌合誘導部を備えたことにより、雌雄両継手部材間の嵌合を円滑に行うことができる。
【0018】
更にまた、本発明において、前記各反力受板部の外側面部に複数の棒状のアンカー部材がセグメント軸方向に間隔を置いた平行配置に固定されてなることにより、反力受板部の曲げ耐力を強化し、セグメント周方向で高い引張耐力を得ることができる。
【0019】
また、本発明において、前記複数のアンカー部材にセグメント軸方向に向けた一又は複数の補強筋材が固定されてなることにより、反力受板部の曲げ耐力を更に強化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係るセグメントの継手構造の使用状態を示す概略平面図である。
【
図2】
図1中の継手部分を示す部分拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明に係るセグメントの継手構造の実施の態様を
図1〜
図7に示す実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1はコンクリートにより円弧版状に形成されたセグメントであって、複数のセグメント1,1...をセグメント周方向で互いに対向する接合部端面2a,2bを互いに突き合わせて連結することにより円環状のセグメントリングが組み立てられるようになっている。
【0022】
尚、以下の説明においては、各セグメント1,1...のセグメントリングの周方向をセグメント周方向、セグメントリングの半径方向をセグメント厚み方向、セグメントリングの中心軸方向をセグメント軸方向とし、セグメント軸方向の雄側継手部材のスライド移動の進行方向奥側を前として説明する。
【0023】
この各セグメント1,1間を接合する継手構造は、一方のセグメント1の接合部端面2aよりセグメント周方向に向けて突出した雄側継手部材3と、他方側のセグメント1の接合部端面2bに開口した凹部4内に配置された雌側継手部材5とを備え、雄側継手部材3を凹部4内に挿入して両接合部端面2a,2bを互いに突き合わせた状態とし、その状態で両セグメント1,1をセグメント軸方向で相対的にスライド移動させて雄側継手部材3と雌側継手部材5とを互いに嵌合させ、それによりセグメント1,1...を接合するようになっている。
【0024】
雄側継手部材3は、
図4、
図5に示すように、平版状のアンカープレート部10と、アンカープレート部10の接合端面側に一体に支持された雄側嵌合部11とを備え、アンカープレート部10がセグメントの周方向端部に埋設されることにより、雄側嵌合部11がセグメント1の接合部端面2aよりセグメント周方向に向けて突設されている。
【0025】
雄側嵌合部11は、表面をセグメント厚み方向に向けて接合端面2aより突出した平板状の雄側嵌合部本体12と、雄側嵌合部本体12の両表面にセグメント軸方向に向けて突設された係合用突条13,13とを備えている。
【0026】
雄側嵌合部本体12は、アンカープレート部10と一体に形成され、矩形平板状に形成された鋳鉄鋼等からなる剛性板材の長手方向の一方の端部を雄側嵌合部本体12とし、その他の部分をアンカープレート部10としている。
【0027】
そして、この剛性板材がその長手方向をセグメント周方向に向け、且つ、その表面をセグメント厚み方向に向けて配置され、その状態にてアンカープレート部10がセグメント1の周方向端部に埋設されることにより、平板状の雄側嵌合部本体12がその表面をセグメント厚み方向に向けた状態で接合端面2aより突出している。
【0028】
係合用突条13,13は、鋳鉄鋼等の剛性を有する材料もって矩形断面がセグメント軸方向に連続した形状に形成され、雄側嵌合部本体12表面の接合部端面2aより所定の間隔L1を隔てた位置に、その長手方向をセグメント軸方向、即ち、接合される両セグメント1,1が互いにスライド移動する方向に向けて溶接により強固に固定されている。
【0029】
この係合用突条13,13は、セグメント軸方向前端部、即ち、スライド方向の前端部に前端側が奥側に向けて傾斜した形状の嵌合誘導部13aを備えている。
【0030】
尚、図中符号14はセグメント1,1...内に埋設された鉄筋であって、この鉄筋14,14にアンカープレート部10が溶接等により固定されている。
【0031】
一方、雌側継手部材5は、
図6、
図7に示すように、雄側嵌合部11と互いに嵌合する雌側嵌合部20を備え、この雌側嵌合部20がセグメント1,1...の接合端部2bに形成された凹部4内のセグメント軸方向側に片寄せた位置に固定されている。尚、凹部4は、セグメント軸方向に長い直方体状に形成されている。
【0032】
雌側嵌合部20は、鋼材等の一定の弾性を有する金属材をもって一体に形成され、セグメント厚み方向に互いに間隔をおいて対向した一対の反力受板部21,21を有する雌側嵌合部本体22と、各反力受板部21,21の接合面側端縁部にそれぞれ基端が一体に支持された一対の弾性係合部23,23とを備えている。
【0033】
また、この雌側嵌合部20は、凹部4のセグメント軸方向奥側端に配置された補強板部24を備えている。
【0034】
雌側嵌合部本体22は、平板状の背面板部25と、背面板部25の上下両端縁より鉛直方向に折り曲げた形状の一対の反力受板部21,21とを備え、背面板部25及び両反力受板部21,21をもって正面視コ字状に形成され、凹部4に背面板部25及び両反力受板部21,21の外側面が当該凹部4の各内側面と互いに対向させて嵌め込まれている。
【0035】
また、両反力受板部21,21は、そのセグメント軸方向奥側端縁部が補強板部24に溶接により強固に固定され、互いにセグメント厚み方向で間隔を置いて対向した両反力受板部21,21の互いに離反する方向への変形が規制され、高い曲げ耐力が確保されている。
【0036】
各反力受板部21,21の外側には、セグメント軸方向に間隔を置いた平行配置にセグメント1に埋設された複数のアンカー部材26,26が備えられ、その端部が溶接により反力受板部21,21の外側面に固定され、雌側嵌合部20がアンカー部材26,26を介してセグメント1,1...に固定されている。
【0037】
また、各アンカー部材26,26には、セグメント軸方向に向けた一又は複数の補強筋材27が各アンカー部材26,26間に架け渡された配置に固定され、各反力受板部21,21が補強されている。
【0038】
弾性係合部23,23は、基端を各反力受板部21,21の接合面側端縁部に一体に支持され、先端側が反力受板部21,21内側に折り返された形状に形成され、互いにセグメント厚み方向に対向して横向きハ字状を成している。
【0039】
即ち、各弾性係合部23,23は、先端側が背面板部25側に進むに従って両弾性係合部23,23間距離が狭まるように傾斜した形状に形成され、基端部を基軸にセグメント厚み方向で回動可能な片持ち板ばね状を成している。
【0040】
また、各弾性係合部23,23は、雌雄両嵌合部11,20が未嵌合の状態において、接合端面2bから先端内縁部23aまでのセグメント周方向距離L2が接合端面2aから係合用突条13の接合側面13bまでのセグメント周方向距離L1と比べて長くなるように形成されている。
【0041】
このセグメント1,1...の継手構造によりセグメント周方向で隣り合うセグメント1,1...間を接合するには、まず、凹部4内に雄側継手部材3の雄側嵌合部11を挿入し、セグメント周方向で互いに隣り合うセグメント1,1の接合部端面2a,2b同士を突合せ配置とする。
【0042】
次に、セグメント1,1をセグメント軸方向に向けて相対的にスライド移動させると、それに伴って雄側嵌合部本体12が両弾性係合部23,23間に挿入されるとともに、各弾性係合部23,23の先端部が嵌合誘導部13aによって係合用突条13,13の接合端面側に誘導され、更にスライド移動させることにより両弾性係合部23,23の先端内縁部23aが係合用突条13,13の接合側面と係合する。
【0043】
そして、接合端面2bから弾性係合部23,23の先端内縁23aまでのセグメント周方向距離L2が接合端面2aから係合用突条13,13までのセグメント周方向距離L1と比べて長いので、両弾性係合部23,23は、係合用突条13,13に押圧されて弾性変形し、基端部を基軸に雄側嵌合部本体12側へ回動し、
図2に示すように、弾性係合部23,23の先端外縁部23bが雄側嵌合部本体12表面に近接する。
【0044】
そして、この継手構造では、セグメント1,1のスライド移動に伴って雄側嵌合部本体12部が両弾性係合部23,23間に挿入されるとともに、弾性係合部23,23の先端部が係合用突条13,13と係合することにより、雄雌両継手部材3,5間のセグメント周方向の移動が規制される。
【0045】
また、弾性係合部23,23の先端部が係合用突条13,13と係合した状態にあっては、両弾性係合部23,23が弾性変形した状態にあり、従って、両弾性係合部23,23は、各反力受板部21,21に反力をとって係合用突条13,13を押圧し、雄側継手部材3を対向する接合面部2a,2bを互いに押圧する方向に付勢するようになっている。
【0046】
即ち、この両弾性係合部23,23による付勢力により、セグメント周方向で隣接する両セグメント1,1...を接合させている。
【0047】
更に、このように構成された継手構造では、雌雄両嵌合部11,22が嵌合した状態で各弾性係合部23,23の先端部が雄側嵌合部本体12表面に近接するようにしたことによって、両セグメント1,1にセグメント周方向で互いに離反する方向の力(引張力)が作用した場合、両弾性係合部23,23が係合用突条13,13に押圧されて更に弾性変形し、弾性係合部23,23の先端外縁部23bが雄側嵌合部本体12表面に押当てられる。
【0048】
それにより、両弾性係合部23,23により雄側嵌合部本体12を挟持するとともに、両弾性係合部23,23が雄側嵌合部本体12に対し先端内縁部23a及び先端外縁部23bの2点で支持されるので、当該引張力と弾性係合部23,23を介して作用する反力受板部21,21からの反力とが釣り合い、セグメント周方向で高い引張耐力が得られる。
【0049】
尚、両セグメント1,1にセグメント周方で互いに離反する方向の力が解除されると、両弾性係合部23,23の弾性により、元の状態に復帰する。
【0050】
尚、上述の実施例では、両弾性係合部23,23をそれぞれ反力受板部21,21の端縁に一体に支持させた例について説明したが、弾性係合部23,23を雌側嵌合部本体22と別個に形成し、当該弾性係合部23,23を溶接によって反力受板部21,21に一体的に支持させるようにしてもよい。
【0051】
また、上述の実施例の態様に加え、雄側嵌合部本体13表面部の弾性係合部23,23が近接した部分に弾性係合部23の先端部と互いに係合する変形規制部を備え、両セグメント1,1にセグメント周方向で互いに離反する方向の力(引張力)が作用し、弾性係合部23,23の先端外縁部23bが雄側嵌合部本体12表面に押当てられた際、弾性係合部23の先端部が変形規制部と互いに係合することで弾性係合部23,23のセグメント周方向の移動を規制し、当該引張力に対抗させるようにしてもよい。
【0052】
この変形規制部は、例えば、弾性係合部23の先端外縁部23bが嵌り込むセグメント軸方向に向けた係合溝をもって形成してもよく、雄側嵌合部本体13の表面の摩擦係数をローレット加工等により高めたものであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 セグメント
2 接合部端面
3 雄側継手部材
4 凹部
5 雌側継手部材
10 アンカープレート部
11 雄側嵌合部
12 雄側嵌合部本体
13 係合用突条
14 鉄筋
20 雌側嵌合部
21 反力受板部
22 雌側勘合部本体
23 弾性係合部
24 補強板部
25 背面板部
26 アンカー部材
27 補強筋材