【文献】
Samanta, Subhas et al.,Journal of the American Chemical Society,米国,2013年,135,9777-9784
【文献】
Atkinson, Edward R. et al.,Journal of the American Chemical Society,米国,1945年,67,1513-1515
【文献】
Blevins, A. A. et al.,Journal of Physical Chemistry,米国,2004年,108,4962-4968
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下記式(1)で表される1種以上のアミノ基含有化合物(A)と、酸素化合物(B)とを、金属成分(C)の存在下で反応させる工程を含む、アゾ化合物(D)の製造方法であって、
前記酸素化合物(B)が、過酸化水素
及び過ホウ酸のアルカリ金属
塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記金属成分(C)が、
鉄イオン、鉄粉、銅イオン及び銅粉からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記アミノ基含有化合物(A)1モルに対する前記金属成分(C)の使用量が0.1ミリモル以下である、アゾ化合物(D)の製造方法。
【化1】
[式中、Qは、ハロゲン原子、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜15のアルキルチオ基、炭素数1〜15のハロアルキル基、炭素数1〜15のハロアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、複素環基、−CN、−NO
2、−NR
1R
2、−COR
2、−CONHR
2、−CON(CH
3)R
2、−OCOR
2、−CO
2R
2又は−SO
3R
2を示す。前記炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、及び複素環基の各環は、それぞれ1個又は2個の−NR
1R
2を有していてもよい。ここで、R
1は、水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は複素環基を示し、R
2は、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、複素環基、−C
6H
4NR
3R
4、−CONR
3R
4(R
3及びR
4は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基を示す。但し、R
3とR
4とが共に水素原子である場合はない。)、又は−COR
5(R
5は炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は複素環基を示す。前記炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、及び複素環基の各環は、それぞれ1個又は2個の−NR
1R
2(R
1及びR
2は前記と同じ意味を示す)を有していてもよい。)を示す。
Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、複素環基又は−CO
2R
2(R
2は、前記と同じ意味を表す)を示す。なお、Rが炭素数1〜15のアルキル基であって、隣接する炭素原子に結合して2つ存在する場合、該2つのRは互いに結合して前記炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。
QとRとは異なる基である。
mは0〜5の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。mとnとの合計は5以下である。但し、前記アミノ基含有化合物(A)の50モル%以上はmが1〜5の整数である。]
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のアゾ化合物の製造方法について説明する。
【0018】
本発明は、下記式(1)で表される1種以上のアミノ基含有化合物(A)と、酸素化合物(B)とを、金属成分(C)の存在下で反応させる工程を含む、アゾ化合物(D)の製造方法であって、
前記酸素化合物(B)が、過酸化水素、過酸化水素のアルカリ金属塩、過酸化水素のアルカリ土類金属塩、過ホウ酸、過ホウ酸のアルカリ金属塩、過塩素酸、過塩素酸のアルカリ金属塩、過酸化炭酸塩、過硫酸、過硫酸水素塩及び過酸化尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記金属成分(C)が、遷移金属単体及びそれを含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記アミノ基含有化合物(A)1モルに対する前記金属成分(C)の使用量が0.1ミリモル以下である、アゾ化合物(D)の製造方法である。
【0020】
[式中、Qは、ハロゲン原子、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数1〜15のアルキルチオ基、炭素数1〜15のハロアルキル基、炭素数1〜15のハロアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、複素環基、−CN、−NO
2、−NR
1R
2、−COR
2、−CONHR
2、−CON(CH
3)R
2、−OCOR
2、−CO
2R
2又は−SO
3R
2を示す。前記炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、及び複素環基の各環は、それぞれ1個又は2個の−NR
1R
2を有していてもよい。ここで、R
1は、水素原子、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は複素環基を示し、R
2は、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、複素環基、−C
6H
4NR
3R
4、−CONR
3R
4(R
3及びR
4は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基を示す。但し、R
3とR
4とが共に水素原子である場合はない。)、又は−COR
5(R
5は炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は複素環基を示す。前記炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、及び複素環基の各環は、それぞれ1個又は2個の−NR
1R
2(R
1及びR
2は前記と同じ意味を示す)を有していてもよい。)を示す。
Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、複素環基又は−CO
2R
2(R
2は、前記と同じ意味を表す)を示す。なお、Rが炭素数1〜15のアルキル基であって、隣接する炭素原子に結合して2つ存在する場合、該2つのRは互いに結合して前記炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。
QとRとは異なる基である。
mは0〜5の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。mとnとの合計は5以下である。但し、前記アミノ基含有化合物(A)の50モル%以上はmが1〜5の整数である。]
【0021】
本明細書において示される各基は、次のとおりである。
【0022】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0023】
炭素数1〜15のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、イソへプチル基、シクロヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基等の炭素数1〜15の直鎖状分岐鎖状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
【0024】
炭素数1〜15のアルコキシ(アルキルオキシ)基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基等の炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルコキシ基が挙げられる。
【0025】
炭素数1〜15のアルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、シクロプロピルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n−デシルチオ基等の炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキルチオ基が挙げられる。
【0026】
炭素数1〜15のハロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロイソプロピル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、4−クロロブチル基、ノナフルオロブチル基、2,2−ジクロロシクロブチル基、6−フルオロヘキシル基、4−フルオロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、8−フルオロオクチル基、10−フルオロデシル基、12−フルオロドデシル基等の1以上のハロゲン原子、好ましくは1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。
【0027】
炭素数1〜15のハロアルコキシ基としては、例えば、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ヨードメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、クロロジフルオロメトキシ基、ブロモジフルオロメトキシ基、ジクロロフルオロメトキシ基、1−フルオロエトキシ基、2−フルオロエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1−フルオロイソプロポキシ基、3−フルオロプロポキシ基、3−クロロプロポキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、4−フルオロブトキシ基、4−クロロブトキシ基、ノナフルオロブトキシ基、2,2−ジクロロシクロブトキシ基、6−フルオロヘキシルオキシ基、4−フルオロシクロヘキシルオキシ基、4−クロロシクロヘキシルオキシ基、8−フルオロオクチルオキシ基、10−フルオロデシルオキシ基、12−フルオロドデシルオキシ基等の1以上のハロゲン原子、好ましくは1〜3個のハロゲン原子で置換された炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルコキシ基が挙げられる。
【0028】
炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基等が挙げられる。ここで、Qが炭素数6〜20のアリール基である場合、アリール環は、1個又は2個の−NR
1R
2を有していてもよい。
【0029】
炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等が挙げられる。ここで、Qが炭素数7〜20のアラルキル基である場合、該アラルキル基のアリール環は、1個又は2個の−NR
1R
2を有していてもよい。
【0030】
炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等が挙げられる。ここで、Qが炭素数6〜20のアリールオキシ基である場合、該アリールオキシ基のアリール環は、1個又は2個の−NR
1R
2を有していてもよい。
【0031】
複素環基としては、例えば、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、ジオキソラニル、ジオキサニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリニル、チアジアゾリニル、トリアゾリル、トリアゾリニル、トリアゾリジニル、テトラゾリル、テトラゾリニル、ピリジル。ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピペリジル、オキサジニル、ジヒドロオキサジニル、モルホリノ、チアジニル、ジヒドロチアジニル、チアモルホオリノ、ピリダジニル、ジヒドロピリダジニル、テトラヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、オキサジアジニル、ジヒドロオキサジアジニル、テトラヒドロオキサジアジニル、チアジアゾリル、チアジアジニル、ジヒドロチアジアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、ピリミジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリミジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ピラジニル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロピラジニル、ピペラジニル、トリアジニル、ジヒドロトリアジニル、テトラヒドロトリアジニル、ヘキサヒドロトリアジニル、テトラジニル、ジヒドロテトラジニル、インドリル、インドリニル、イソインドリル、インダゾリル、キナゾリニル、ジヒドロキナゾリル、テトラヒドロキナゾリル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソチアゾリニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリニル、キノリニル、ジヒドロキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニイル、ジヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリドインドリル、ジヒドロベンゾオキサジニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリドインドリル、ジヒドロベンゾオキサジニル、シンノリニル、ジヒドロシンノリニル、テトラヒドロシンノリル、フタラジニル、ジヒドロフタラジニル、テトラヒドロフタラジニル、キノキサニリル、ジヒドロキノキサリニル、テトラヒドロキノキサニル、プリニル、ジヒドロベンゾトリアジニル、ジヒドロベンゾテトラジニル、フェノチアジニルフラニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル等が挙げられる。ここで、Qが複素環基である場合、複素環は、1個又は2個の−NR
1R
2を有していてもよい。
【0032】
−NR
1R
2として、例えば、−NHCH
3、−NHC
2H
5、−NHC
3H
7(C
3H
7はn−プロピル基又はイソプロピル基を表す)、−NHC
4H
9(C
4H
9はn−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表す)、−NHPh、−NHCOCH
3、−NHCOC
2H
5、−NHCOPh、−NHCONp(Npは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を表す)、−N(CH
3)
2、−N(C
2H
5)
2、−NPh
2等が挙げられる。
【0033】
−COR
2として、例えば、−COCH
3、−COC
2H
5、−COC
3H
7(C
3H
7はn−プロピル基又はイソプロピル基を表す)、−COC
4H
9(C
4H
9はn−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表す)−COPh、−CONp(Npは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を表す)等が挙げられる。
【0034】
−CONHR
2として、例えば、−CONHCH
3、−CONHC
2H
5、−CONHC
3H
7(C
3H
7はn−プロピル基、イソプロピル基を表す)、−CONHC
4H
9(C
4H
9はn−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基を表す)、−CONHPh、−CONHNp(Npは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を表す)等が挙げられる。
【0035】
−CON(CH
3)R
2として、例えば、−CON(CH
3)
2、−CON(CH
3)C
2H
5、−CON(CH
3)C
3H
7(C
3H
7はn−プロピル基、イソプロピル基を表す)、−CON(CH
3)C
4H
9(C
4H
9はn−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基を表す)、−CON(CH
3)Ph、−CON(CH
3)Np(Npは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を表す)等が挙げられる。
【0036】
−OCOR
2として、例えば、−OCOCH
3、−OCOC
2H
5、−OCOC
3H
7(C
3H
7はn−プロピル基、イソプロピル基を表す)、−OCOC
4H
9(C
4H
9はn−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基を表す)−OCOPh、−OCONp(Npは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を表す) 等が挙げられる。
【0037】
−CO
2R
2として、−CO
2CH
3、−CO
2C
2H
5、−CO
2C
3H
7(C
3H
7は前記と同様の意味を表す)、−CO
2C
4H
9(C
4H
9は前記と同様の意味を表す)−CO
2Ph、−CO
2Np(Npは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を表す) 等が挙げられる。
【0038】
−SO
3R
2として、−SO
3CH
3、−SO
3C
2H
5、−SO
3C
3H
7(C
3H
7は前記と同様の意味を表す)、−SO
3C
4H
9(C
4H
9は前記と同様の意味を表す)−SO
3Ph、−SO
3Np(Npは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を表す) 等が挙げられる。
【0039】
−C
6H
4NR
3R
4として、−C
6H
4N(CH
3)
2、−C
6H
4N(C
2H
5)
2等が挙げられる。
【0040】
−CONR
3R
4として、例えば、−CONHCH
3、−CONHC
2H
5、−CONHC
3H
7(C
3H
7はn−プロピル基、イソプロピル基を表す)、−CONHC
4H
9(C
4H
9はn−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基を表す)、−CON(CH
3)
2、−CON(CH
3)C
2H
5、−CON(CH
3)C
3H
7(C
3H
7は前記と同様の意味を表す)、−CON(CH
3)C
4H
9(C
4H
9は前記と同様の意味を表す)、−CON(C
2H
5)
2等が挙げられる。
【0041】
−COR
5のR
5は、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又は複素環基を示す。R
5の炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、及び複素環基の各環は、それぞれ1個又は2個の−NR
1R
2(R
1及びR
2は前記と同じ意味を示す)を有していてもよい。−COR
5として、例えば、−COCH
3、−COC
2H
5、−COC
3H
7(C
3H
7はn−プロピル基又はイソプロピル基を表す)、−COC
4H
9(C
4H
9はn−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表す)−COPh、−CONp(Npは1−ナフチル基又は2−ナフチル基を表す)等が挙げられる。
【0042】
なお、Rが炭素数1〜15のアルキル基であって、隣接する炭素原子に結合して2つ存在する場合には、該2つのRは互いに結合して前記炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。形成可能な環構造の炭素数は、例えば3〜8である。
【0043】
mは0〜5の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。mとnの合計は5以下である。但し、前記アミノ基含有化合物(A)の50モル%以上はmが1〜5の整数である。これは、前記アミノ基含有化合物(A)における、アミノ基以外に置換基Qが1個以上存在する化合物の含有量が50モル%以上であり、置換基Q及びRが存在しない(m=0、且つn=0)アニリンの含有量が50モル%以未満であることを意味する。すなわち、前記アミノ基含有化合物(A)の主成分は、アミノ基以外に置換基Qが1個以上存在する化合物である。
【0044】
mが2〜5又はnが2〜4の場合、複数存在するQ及びRは、同一でも異なっていてもよい。mは1であることが好ましく、nは0であることが好ましい。
【0045】
mが1である場合、前記アミノ基含有化合物(A)は、好ましくは、下記式(1−2):
【0047】
[式中、Q及びRは、前記と同じ意味を表す。QとRは異なる基である。nは0〜4の整数を表す。]
で表される化合物である。より好ましくは下記式(1−3):
【0049】
[式中、Zは、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を表す。]
で表される化合物である。
【0050】
Zとして、炭素数1〜15のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。前記アミノ基含有化合物(A)として、4’−アミノアセトアニリドが特に好ましい。
【0051】
前記酸素化合物(B)としては、例えば、過酸化水素、過酸化水素のアルカリ金属塩、過酸化水素のアルカリ土類金属塩、過ホウ酸、過ホウ酸のアルカリ金属塩、過塩素酸、過塩素酸のアルカリ金属塩、過酸化炭酸塩、過硫酸、過硫酸水素塩及び過酸化尿素(尿素・過酸化水素)等が挙げられる。
【0052】
過酸化水素のアルカリ金属塩として、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム等が挙げられる。過酸化水素のアルカリ土類金属塩として、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム等が挙げられる。過ホウ酸のアルカリ金属塩として、過ホウ酸ナトリウム(ペルオキソホウ酸ナトリウム)、過ホウ酸カリウム(ぺルオキソホウ酸カリウム)等が挙げられる。過塩素酸のアルカリ金属塩として、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等が挙げられる。過酸化炭酸塩として、過炭酸ナトリウム等が挙げられる。過硫酸水素塩として、ペルオキシ一硫酸ナトリウム(一過硫酸ナトリウム)、ペルオキシ一硫酸カリウム(一過硫酸カリウム)等が挙げられる。
【0053】
前記酸素化合物(B)として、過酸化水素及び過ホウ酸のアルカリ金属塩が好ましい。特に、過酸化水素を用いた場合には、副生物が水のみとなるので、環境への負荷が小さい。
【0054】
前記酸素化合物(B)は、前記アミノ基含有化合物(A)1モルに対して、通常1〜10モル程度、好ましくは1.5〜5モル程度となるような量で使用される。
【0055】
前記酸素化合物(B)は、例えば、15〜50重量%濃度の水溶液で用いられる。これは、反応に用いられる前記酸素化合物(B)の濃度である。
【0056】
前記金属成分(C)としては、例えば、遷移金属単体及びそれを含む化合物が挙げられる。
【0057】
遷移金属は、周期表(長周期表)の第3族から第11族の元素をいう。具体的には、バナジウム、銅、チタン、マンガン、鉄、セリウム、コバルト、ルテニウム等が挙げられる。
【0058】
前記金属成分(C)は、鉄粉、銅粉等の金属粉として使用することができる。
【0059】
前記金属成分(C)は、バナジウム(II)イオン、バナジウム(III) イオン、銅(I) イオン、銅(II)イオン、チタン(III)イオン、チタン(IV)イオン、マンガン(II)イオン、マンガン(III)イオン、鉄(II)イオン、鉄(III)イオン、セリウム(III)イオン、コバルト(II)イオン、ルテニウム(III)イオン等の状態で使用することもできる。
【0060】
また、前記金属成分(C)は、遷移金属を含む化合物の状態で使用することができる。遷移金属を含む化合物として、具体的には、遷移金属の塩、遷移金属の酸化物等が挙げられる。
【0061】
前記遷移金属塩は、対イオンと上記金属との塩と定義することができる。対イオンとして、例えば、塩素イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、ピバラート(トリメチルアセタート)イオン、アセチルアセトナート(acac)イオン、クエン酸イオン、シュウ酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、四フッ化ホウ酸イオン、六フッ化リン酸イオン、シアニドイオン、オキシドイオン、ヒドリドイオン等が挙げられる。
【0062】
遷移金属塩又は酸化物として、例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、鉄(III)アセチルアセトナート、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、酢酸鉄 (II)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化鉄(II,III)、クエン酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、過塩素酸鉄(II)、過塩素酸鉄(III)、トリフルオロ酢酸鉄(II)、四フッ化ホウ酸鉄(II)、硫酸鉄(II)エチレンジアンモニウム、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、六フッ化リン酸フェロセニウム、四フッ化ホウ酸フェロセニウム、塩化銅、塩化銅(II)、酸化銅(I)、酸化銅(II)、硫酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、トリフルオロ酢酸銅(II)等が挙げられる。
【0063】
前記金属成分(C)として、鉄イオン、鉄粉、銅イオン及び銅粉が好ましい。特に、これらは入手が容易であるため、産業上の利用という観点からも好ましい。
【0064】
前記金属成分(C)は、前記アミノ基含有化合物(A)1モルに対して、通常0.1ミリモル以下、好ましくは0.0001ミリモル以上0.08ミリモル以下、より好ましくは0.001ミリモル以上0.05ミリモル以下となるような量で使用される。前記金属成分(C)を上記範囲で使用することにより、前記酸素化合物(B)の分解速度を遅くして、酸化的カップリング反応の進行度をコントロールすることができる。これにより、濾過性に悪影響を及ぼすと考えられる不純物の生成が抑制され、生成物の濾過性が改善される。また、生成物の収率も良好である。さらに、従来の製造方法に比べて遷移金属の使用量を少なくすることができるので、本発明の方法は、環境に優しい方法といえる。
【0065】
反応完了後の反応系内に残存する金属成分(C)は、必要に応じて公知の方法で除去することができる。例えば、金属成分(C)が水溶性である場合、濾過により容易に除去することができ、又は吸着剤に吸着させて除去することも可能である。吸着剤を用いて除去する場合、吸着剤としては、例えば、活性炭、セライト、シリカゲル、アルミナ粉、イオン交換樹脂等が挙げられる。
【0066】
前記アミノ基含有化合物(A)と、前記酸素化合物(B)との反応は、必要に応じて、不活性溶媒中で行うことができる。
【0067】
前記不活性溶媒として、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族若しくは脂環式炭化水素系溶媒;ベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄含有溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、エタンジオール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール系溶媒;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸系溶媒;及び水が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
これらの溶媒は、前記アミノ基含有化合物(A)1重量部に対して、通常1〜500重量部程度、好ましくは5〜100重量部程度使用される。
【0069】
反応温度としては、40〜100℃程度が好ましく、60〜80℃程度がより好ましい。
【0070】
本発明の反応の反応時間は、反応温度、基質の使用量等により異なり一概には言えないが、通常1〜20時間程度で前記反応は完結する。
【0071】
本発明の反応は、空気の存在下、又は窒素若しくはアルゴン等の不活性雰囲気中で行うことができる。
【0072】
本発明の方法において、前記酸素化合物(B)の水性溶液は、反応に望ましい温度にした、前記アミノ基含有化合物(A)と、前記金属成分(C)、及び用いられるなら溶媒の混合物に穏やかに添加することが好ましい。前記酸素化合物(B)の添加速度を制御することによって、さらに加熱浴若しくは冷却浴を用いることによって、適切な温度を維持することができる。前記酸素化合物(B)が添加された後、前記アミノ基含有化合物(A)が存在しなくなるまで、又は生成物に変換されなくなるまで、反応混合物の撹拌を続ける。
【0073】
次に、本発明の製造方法で得られるアゾ化合物(D)について説明する。例えば、下記式(1)で表されるアミノ基含有化合物(A)を反応させた場合、得られるアゾ化合物(D)は式(2)で表されるもの等を挙げることができるが、アゾ化合物(D)は式(2)の化合物に限定されるものではない。
【0074】
但し、アミノ基含有化合物(A)の数は1種以上であり、式(2)で表されるアゾ化合物(D)の置換基Q又はRの種類及び数(m、n)は、各ベンゼン環同士で同一でも異なっていてもよい。
【0076】
[式(1)及び式(2)中、Q、R、m、及びnは前記と同様である。]
【0077】
下記式(1−2)で表される好ましいアミノ基含有化合物(A)を反応させた場合、得られるアゾ化合物(D)は式(2−2)で表されるもの等を挙げることができる。
【0079】
[式(1−2)及び式(2−2)中、Q、R、及びnは前記と同様である。]
【0080】
本発明の製造方法により得られるアゾ化合物(D)には、アミノ基含有化合物(A)と、酸素化合物(B)とを、金属成分(C)の存在下で反応させる工程により得られるアゾ化合物のほかに、そのアゾ化合物の有する末端官能基をさらに反応させて別の官能基に変換したものも含まれる。
【0081】
目的とするアゾ化合物(D)の末端基が−NH
2の場合、アセチル基等で保護して本発明の方法でアゾ結合を形成させた後、脱保護することで合成することができる。また、本発明の方法で得られたアゾ化合物(D)の末端基がアルコキシ基等の場合、脱アルキル化等を実施することにより他の官能基へ変換し、別のアゾ化合物(D)とすることが可能である。また、アゾ化合物(D)の末端がアミノ基の場合は、そのアミノ基を本発明の方法で反応させ、さらにアゾ基を増やして、別のアゾ化合物(D)とすることが可能である。
【0082】
前記アゾ化合物(D)の具体例としては、下記式の化合物を例示することができる。
【0084】
本発明により得られるアゾ化合物(D)としては、上記の化合物のほかに、特開2016−041683号公報、特開2014−205659号公報、特開2013−209367号公報、特開平05−086008号公報等に記載のアゾ化合物が挙げられる。
【0085】
本発明の方法を用いることにより、反応終了後に得られるスラリー状の生成物の濾過性が、従来の方法に比べて優れる。そのため、アゾ化合物の生産効率を向上させることができる。また、使用する遷移金属の量が微量(ppmオーダー)であるため、環境に与える負荷を小さくすることができる。
【実施例】
【0086】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の範囲が限定されるものではない。
【0087】
[分析条件]
(1)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
測定装置:D−2000 Elite(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)
カラム:YMC Pack ODS−A(5μm、6.0mmφ×15cm;株式会社ワイエムシィ製)
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル/蒸留水=3/7
流量:1.0mL/分
検出波長:254nm
【0088】
(2)固形分
固形分測定装置
赤外線水分計FD−720(株式会社ケット科学研究所製)
測定条件:130℃
【0089】
(3)濾過比抵抗α
α(単位:m/kg)は以下の式で表される。
α=(P×A
2)/(μ×W×k)
[式中、Pは濾過圧力(単位:Pa)、Aは濾過面積(単位:m
2)、μは濾液の粘度(単位:Pa・s)、Wはケーキの乾燥重量(単位:kg)、kは濾過時間及び濾液量(m
3)から求められる定数(単位:m
3・s
−1)を表す]
【0090】
濾過比抵抗αは以下の操作により算出した。
・有限会社桐山製作所製の桐山ロート(A=0.071m
2)及び濾紙No.5Aを使用した。
・反応終了後のスラリーを吸引濾過し、湿潤ケーキを形成させた後、濾液600mLを取り、桐山ロートに注ぎ、濾過圧力をP=1.0kgf・cm
−2=9.8×10
4Paに調整した後、濾過を実施した。
・濾液が通過する時間を100mL毎に100〜500mLまで計測し、濾過経過時間及び濾液量をプロットし、最小二乗法によりkを求めた。
・上記結果を用いてαを算出した。濾液の粘度は、μ=1.0cP=10
−3Pa・sとした。
【0091】
[実施例1]
窒素気流下、攪拌機を備えたジャケット付きの1リットルセパラブルフラスコに4’−アミノアセトアニリド(A−1)90.00g(0.60モル)(東京化成工業株式会社製)、酢酸540.0g(関東化学株式会社製)及び1000gのイオン交換水に、無水塩化鉄(III)(C−1)0.26g(キシダ化学株式会社製)を溶解させて調製した遷移金属化合物水溶液1mLを入れ、250rpmにて攪拌しながら、内温を68℃に昇温した。
続いて17.5重量%過酸化水素水(B−1)221.35g(1.14モル)[30重量%過酸化水素水(シグマ−アルドリッチ社製)をイオン交換水にて希釈]を滴下ロートにて1.5時間かけて滴下した。
滴下した後、内温68℃にて7.5時間反応を行った。
反応終了後、ジャケットに冷却水を循環し、30分かけて内温を25℃にまで下げた。
内温が25℃に到達した後、同温にて30分間攪拌熟成を行い、得られた褐色のスラリーを吸引濾過した。
続いて、桐山ロート上に形成された湿潤ケーキに対して濾液を戻し、濾過比抵抗を測定した。
さらに湿潤ケーキを酢酸180.00g及びイオン交換水180.00gにて洗浄し、褐色の湿潤ケーキ123.75gを得た。湿潤ケーキの固形分は47.6重量%で、HPLC分析からN,N’−ジアセチル−4,4’−ジアミノアゾベンゼン(D−1)は90面積%であった。
ケーキの乾燥重量(W)は0.059kgであり、上記濾過比抵抗の測定方法に従ってαを算出した。結果を表1に示す。
【0092】
[実施例2]
実施例1の無水塩化鉄(III)(C−1)の使用量を0.53gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
得られた湿潤ケーキは、122.00gで、固形分は46.5重量%、HPLC分析からN,N’−ジアセチル−4,4’−ジアミノアゾベンゼン(D−1)は93面積%であった。
ケーキの乾燥重量(W)は0.057kgであり、上記濾過比抵抗の測定方法に従ってαを算出した。結果を表1に示す。
【0093】
[実施例3]
実施例1の無水塩化鉄(III)(C−1)の使用量を1.04gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
得られた湿潤ケーキは、134.63gで、固形分は39.0重量%、HPLC分析からN,N’−ジアセチル−4,4’−ジアミノアゾベンゼン(D−1)は95面積%であった。
ケーキの乾燥重量(W)は0.053kgであり、上記濾過比抵抗の測定方法に従ってαを算出した。結果を表1に示す。
【0094】
[実施例4]
実施例1で使用した遷移金属化合物水溶液1mLを鉄粉末(C−2)1.4mg(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
得られた湿潤ケーキは、100.98gで、固形分は49.5重量%、HPLC分析からN,N’−ジアセチル−4,4’−ジアミノアゾベンゼン(D−1)は97面積%であった。
ケーキの乾燥重量(W)は0.050kgであり、上記濾過比抵抗の測定方法に従ってαを算出した。結果を表1に示す。
【0095】
[実施例5]
実施例1で使用した遷移金属化合物水溶液1mLを、1000ppm銅(II)標準液(C−3)0.36 g(関東化学株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の操作で実施した。
得られた湿潤ケーキは、131.02gで、固形分は45.5重量%、HPLC分析からN,N’−ジアセチル−4,4’−ジアミノアゾベンゼン(D−1)は90面積%であった。
ケーキの乾燥重量(W)は0.060kgであり、上記濾過比抵抗の測定方法に従ってαを算出した。結果を表1に示す。
【0096】
[比較例1]
実施例1で使用した遷移金属化合物水溶液を用いなかった以外は、実施例1と同様の操作で実施した。
得られた湿潤ケーキは、127.37gで、固形分は52.5重量%、HPLC分析からN,N’−ジアセチル−4,4’−ジアミノアゾベンゼン(D−1)は80面積%であった。
ケーキの乾燥重量(W)は0.067kgであり、上記濾過比抵抗の測定方法に従ってαを算出した。結果を表1に示す。
【0097】
[比較例2]
実施例1で使用した無水塩化鉄(III)を塩化スズ(II)・2水和物(C’−1)0.69g(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様の操作で実施した。
得られた湿潤ケーキは、133.47gで、固形分は49.9重量%、HPLC分析からN,N’−ジアセチル−4,4’−ジアミノアゾベンゼン(D−1)は80面積%であった。
ケーキの乾燥重量(W)は0.067kgであり、上記濾過比抵抗の測定方法に従ってαを算出した。結果を表1に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
表1において、添加量は、1モルの4’−アミノアセトアニリドに対しての量である。収率は、下式により求めた。
(湿潤ケーキの重量(g)×固形分重量%×HPLC面積%)/8878
濾過性は、以下の基準に基づいて評価した。
○(良好)=1.5×10
11以下
×(不良)=3.0×10
11以上
【0100】
上記結果から、実施例1〜5の濾過比抵抗は、比較例1〜2の濾過比抵抗よりも小さいことがわかる。例えば、実施例4の濾過比抵抗と比較例1の濾過比抵抗とを比較すると、実施例4の濾過比抵抗(4.2×10
10)は比較例1の濾過比抵抗(5.0×10
11)の約10分の1であり、これは、比較例1では生成物の濾過に30時間かかるとすれば、実施例4では2〜3時間で終了することを意味している。よって、実施例1〜5の製造方法における濾過性は、比較例1〜2の製造方法に比べて優れていることがわかる。また、本発明の製造方法を用いれば、従来の方法(比較例1及び2)と同等の収率で生成物を得ることができる。
【解決手段】下記式(1)で表される1種以上のアミノ基含有化合物(A)と、酸素化合物(B)とを、金属成分(C)の存在下で反応させる工程を含む、アゾ化合物(D)の製造方法であって、前記酸素化合物(B)が、過酸化水素、過酸化水素のアルカリ金属塩、過酸化水素のアルカリ土類金属塩、過ホウ酸、過ホウ酸のアルカリ金属塩、過塩素酸、過塩素酸のアルカリ金属塩、過酸化炭酸塩、過硫酸、過硫酸水素塩及び過酸化尿素からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記金属成分(C)が、遷移金属単体及びそれを含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記アミノ基含有化合物(A)1モルに対する前記金属成分(C)の使用量が0.1ミリモル以下である、アゾ化合物(D)の製造方法。
[式中、Qはハロゲン原子、炭素数1〜15のアルキル基等であり、Rはハロゲン原子、炭素数1〜15のアルキル基等である。QとRとは異なる基である。mは0〜5の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。mとnとの合計は5以下である。]