(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記未縫製部分が、前記襟部の内側縁全体から前記襟部の下頂部さらに前記襟部の外側縁の一部にまで及ぶ範囲であり、前記開口の大きさが前記襟部の内側縁全体よりも幅広に確保されたことを特徴とする請求項1に記載の乳幼児用スタイ。
前記装飾体が擬似ネクタイ部材、疑似蝶ネクタイ部材、疑似チーフ部材、擬似リボン部材、疑似スカーフ部材、疑似レース部材、疑似ネックレス部材のいずれかまたはそれらの組み合わせである請求項1から3のいずれか1項に記載の乳幼児用スタイ。
【実施例1】
【0016】
図1および
図2は、本発明の実施例1にかかる乳幼児用スタイ100の構成例を簡単に示した図である。なお、この例は、一例として男の子用の乳幼児用スタイ100であるが、デザインを女の子向けにした女の子用の乳幼児用スタイ100も可能であることは言うまでもない。
図1は正面からみた乳幼児用スタイ100を簡単に示した図である。
図2は、縁の縫製、連結部材、襟部130やポケット部150内部に隠れた構成部分などを透過して示した図である。なお、裏面側の縫製など一部については図示を省略している。
【0017】
実施例1にかかる乳幼児用スタイ100は、
図1および
図2に示すように、スタイ本体部110、首掛け部120、襟部130、疑似ネクタイ(装飾体)140、ポケット部(装飾体)150、疑似チーフ(装飾体)160を備えたものとなっている。
各部材について本発明を理解する上で必要な範囲で示しており、機械的な部分などは簡単に図示しているかまたは図示自体を省略している部分もある。
この構成例では、乳幼児用スタイ100は乳幼児の首から吊り下げるようにして着用されるものとなっている。
【0018】
各構成要素を簡単に説明する。
スタイ本体部110は、着用後に乳幼児の胸や腹を覆う布である。素材は特に限定されないが、乳幼児に触れても問題のないタオル生地や綿生地などで良い。抗菌処理を施しておくことも好ましい。
模様や図柄などをデザインに応じて設けることは好ましい。この図では特段、模様や図柄などの表示を省略しているが、ストライプ柄、ボーダー柄、チェック柄などの柄ものも可能であり、ブルー、ピンクなど色柄でもよい。他でも着用していて可愛いデザイン、ファッション性に富んだデザインが利用可能であることは言うまでもない。ここでは、仮にブルーの色柄であるとする。
【0019】
スタイ本体部110は、後述するように、首掛け部120および襟部130と一体であり、一枚の生地より一体的に型抜きして製作することができる。ここでは、スタイ本体部110、首掛け部120および襟部130を一枚の生地より一体的に型抜きして縁を縫製することにより製作した例として説明する。
【0020】
首掛け部120は、スタイ本体部110から延設された2片の生地であり、乳幼児の首に掛けて吊り下げるための部材である。スナップボタンや面ファスナー等の周知の連結手段を利用して互いに着脱可能である(
図5参照)。この例では首掛け部120の両者の接続箇所付近にプラスチック製のスナップボタン121、122が取り付けられている例となっている(
図2および
図5を参照)。首掛け部120の素材自体はスタイ本体部110と同様で良く、タオル生地や綿生地などで良い。
【0021】
襟部130は、スタイ本体部110の乳幼児の首付近に位置する箇所を折り返して設けた2片の部材であり、襟を構成する部分である。襟部130の素材自体もスタイ本体部110と同様で良く、タオル生地や織物生地などで良い。
襟部130は生地としては、スタイ本体部110の裏面側の生地が表面側に折り返されて表面に見える。生地の柄はスタイ本体部110の表面側の柄と同様としても良いが、襟部130をスタイ本体部110の表面側と異なった柄で構成すれば、コントラストで襟部130が映えて立体的に見えるため、ここでは異なった柄とする。ここでは、上記したように、スタイ本体部110の表面をブルーとしたので、襟部130はホワイトのタオル地とする。
ここでは、襟部130の縫製において特徴があるが、それは後述する。
【0022】
各部材の説明を続ける。
疑似ネクタイ(装飾体)140は、装飾体の一つであり、ネクタイを疑似的にかたどったものである。本物のネクタイは長い一片の帯状体であり、それを首の周りに巻き付けて締め、いわゆる大剣を前に垂下しつつ、裏面の小剣通しに小剣を入れて装着するものであるが、本発明品は赤ちゃんが使用するものであるため、危なくない構造とすることを考慮し、この疑似ネクタイは首の周りに回して締めるものとはせずに、結び目を模した結び目部144といわゆる大剣を模した大剣部145から構成され、さらに、スタイ本体部110に連結するための連結片143、連結片143の裏に設けた連結部材であるスナップボタン141を備えた構成となっている。
【0023】
なお、疑似ネクタイ140において、さらに立体感を増すために、いわゆる大剣部145の裏側に小剣部(図示せず)を設け、結び目部144はそれら大剣部145と小剣部を周回するように構成することが好ましい。
疑似ネクタイ140に立体感が増せば、乳幼児用スタイ100全体の立体感も増すこととなる。
【0024】
疑似ネクタイ140の色柄や模様は限定されず、可愛いデザイン、ファッション性に富んだデザインが利用可能であることは言うまでもない。ここでは、仮にチェック柄であるとする。
なお、疑似ネクタイ140の素材であるが、特に限定されず、スタイ本体部110の素材と同様でも良いが、ここでは、疑似ネクタイ140を立体的に目立たせるため、スタイ本体部110とは色相、質感を変える工夫もある。
【0025】
後述するように、スタイ本体部110の襟部130の裏に位置する付近に、連結部材としての疑似ネクタイ140のスナップボタン141と、連結部材留め具として連結可能なスナップボタン留め具142が設けられている(
図3参照)。この疑似ネクタイ140側のスナップボタン141とスタイ本体部110側のスナップボタン留め具142が連結することで疑似ネクタイ140が装着される。
なお、この例では装飾体が疑似ネクタイ140の例であるが、装飾体は上記例に限らず、疑似蝶ネクタイ等であっても良い。
【0026】
ポケット部(装飾体)150は、疑似チーフ160を挿入して取り付ける装飾体の一つである。通常のポケットと同様、周囲の縁は縫製されて上面に開口が設けられて袋状体となっており、上面開口から内部へ疑似チーフ160を挿入できるものとなっている。このように、上面開口を持つポケット部150は立体感がある上、本当に疑似チーフ160を装着するため、膨らみが出てさらに立体感が増す。
【0027】
ポケット部150の柄や模様は特に限定されないが、ポケット部150をスタイ本体部110の表面側と異なった柄で構成すれば、コントラストでポケット部150が映えて立体的に見えるため、ここでは異なった柄とする。例えば、スタイ本体部110がストライプ柄(縦ライン)であれば、ポケット部をボーダー柄(横ライン)とするなどの工夫がある。
【0028】
ポケット部150の素材は、特に限定されないが、一般に男性用シャツなどでは胸ポケットは本体のシャツと同じ素材であることが多いので、ここではスタイ本体部110と同様のタオル地とする。
ポケット部150の裏面側には、疑似チーフ160を取り付けるための連結部材留め具であるスナップボタン留め具162が設けられている。
【0029】
疑似チーフ(装飾体)160は、チーフを模したものであり、下方部分をポケット部150に挿入して装着し、上方部分をポケット部150の上面開口から出し、あたかもポケット部150にチーフを入れているような視覚効果を出すものである。
疑似チーフ160の表面には連結部材となるスナップボタン161が設けられている。この構成例ではスナップボタン161は疑似チーフ160の中央付近に設けられている(
図5参照)。
【0030】
この疑似チーフ160の表面のスナップボタン161とポケット部150の裏面にあるスナップボタン留め具162が連結することにより、疑似チーフ160の下方部分がポケット部150内部に入り込み、上方部分が突出した状態で装着することができる。
以上が実施例1の乳幼児用スタイ100の各構成要素の簡単な説明である。
【0031】
次に、襟部130の縫製の工夫について述べる。
図3は、乳幼児用スタイ100の製作途中の状態を簡単に示した図である。
図3に示すように、スタイ本体部110、首掛け部120、襟部130は一枚の生地より一体的に型抜きして製作することができる。
図3に示した外形に沿って一枚の生地から型抜きしたものを表裏2枚併せ、下縁を除いてその縁を縫製して袋状にした後、袋の内面側を外面に来るようにひっくり返し、その後下縁を縫製して
図3の状態を得る。なお、スナップボタン121、スナップボタン留め具122、左右のスナップボタン留め具142は取り付けておく。
図3の状態ではまだ襟部130は立った状態である。ここで、襟部130を下方に折り曲げて姿勢を整える。
【0032】
図4は、襟部130付近の縫製を示す図である。
図4に示すように、襟部130において、折り返し箇所から襟部130の外側縁の一部131のみをスタイ本体部110に対して縫製し、襟部130の外側縁の残りの部分と内側縁にかけた領域132は縫製しないものとする。ここでは、襟部130の外側縁の一部131のみをスタイ本体部110に対して縫製することを“折り返し一部縫製”と呼ぶ。このように、襟部130の折り返した外側縁の一部のみを縫製する折り返し一部縫製131を施すことで、未縫製部分132を開口部とする袋状体となる。
【0033】
なお、未縫製部分132の範囲であるが、襟部130の内側縁全体から襟部130の下頂部、さらに襟部130の外側縁の一部にまで及ぶ範囲とすることができる。襟部130の外側縁の一部まで未縫製部分としておけば、襟部130の姿勢は安定するとともに、開口部の大きさが襟部の内側縁全体よりも幅広に確保することができる。
【0034】
図4(b)は、襟部130が袋状体であり、未縫製部分の開口が広く確保されている様子を模式的に示す図である。
図4(b)は1つの襟部130のみを強調して取り出して図示したものとなっているが、襟部130はコーン状の袋状体となっており、図中右側は下端まで縫製されていないので簡単に捲り上げることができ、開口を拡げられることを示している。襟部130の内部にはスナップボタン留め具142があり、アクセス容易となっていることが理解されよう。
【0035】
このように、折り返し一部縫製技術を用いれば、襟部130が袋状体となって襟部分の立体感が全体として増すとともに、一部が縫製されているので乳幼児が乳幼児用スタイ100を使用中に襟部130全体が捲れ上がってしまうなどの不具合が発生しにくいという効果も得られる。
【0036】
図4の状態に引き続き、ポケット部150を縫製して取り付ければ、装飾体を除く部分の製作が完了する。
【0037】
図5は、装飾体である疑似ネクタイ140、疑似チーフ160を取り付ける様子を簡単に説明する図である。
図5に示すように、装飾体である疑似ネクタイ140は下方から連結片143を襟部130の内部に挿入し、スナップボタン141を襟部130内側のスナップボタン留め具142と連結させることにより装着できる。この際、
図4等で示したように、襟部130は袋状体であるものの下方の開口は広く確保されているので、スナップボタン留め具142へのアクセスは容易であり、装着が簡単である。
また、疑似チーフ160も、ポケット部150の上面開口から比較的容易に装着することができる。
【0038】
必要な装飾体を取り付ければ乳幼児用スタイ100の製作が完成する。
なお、乳幼児用スタイ100を乳幼児に装着することも簡単である。
図5に示すように、2片の首掛け部120を乳幼児の首に回し、首の後ろにおいて2片の首掛け部120をクロスさせて、スナップボタン121とスナップボタン留め具122を連結させて取り付ければ良い。これで
図1の状態(乳幼児は図示せず)が得られる。
【0039】
以上説明した実施例は、男の子向けのデザインであったが、女の子向けのデザインも可能であり、装飾体として、例えば疑似ネクタイの変わりに擬似リボン、疑似スカーフ、疑似レース、疑似ネックレスなどを用いることができる。
また、以上説明した実施例では、連結部材および連結部材留め具の例として、スナップボタンとスナップボタン留め具を挙げたが、連結部材として相互に接合可能な面ファスナー(いわゆるマジックテープ)とすることも可能である。
【0040】
以上、本発明の乳幼児用スタイの構成例における好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。