特許第6173054号(P6173054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6173054コラーゲンペプチドの調製方法および良吸収性コラーゲンペプチド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173054
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】コラーゲンペプチドの調製方法および良吸収性コラーゲンペプチド
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/78 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
   C07K14/78
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-120857(P2013-120857)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-237612(P2014-237612A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】永峰 里花
(72)【発明者】
【氏名】鍔田 仁人
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】 松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−115046(JP,A)
【文献】 特開2013−034478(JP,A)
【文献】 特表2009−520799(JP,A)
【文献】 J.Agric.Food.Chem.,2000年,Vol.48,p.6332-6336
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/78
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドの配合比率を、豚由来のコラーゲンペプチド:魚由来のコラーゲンペプチド=(0.5:1)〜(15:1)とするコラーゲンペプチドの調製方法であって、前記コラーゲンペプチドによって生体への吸収性を向上させることを特徴とする生体への吸収性のよいコラーゲンペプチドの調製方法。
【請求項2】
前記配合比率、豚由来のコラーゲンペプチド:魚由来のコラーゲンペプチド=(1:1)〜(9:1)とすることを特徴とする請求項1に記載のコラーゲンペプチドの調製方法。
【請求項3】
前記豚由来のコラーゲンペプチドおよび前記魚由来のコラーゲンペプチドの平均分子量共に5000以下とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のコラーゲンペプチドの調製方法。
【請求項4】
豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドの配合比率が、豚由来のコラーゲンペプチド:魚由来のコラーゲンペプチド=(0.5:1)〜(15:1)であるコラーゲンペプチドであって、前記コラーゲンペプチドによって生体への吸収性を向上させることを特徴とする生体への良吸収性コラーゲンペプチド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体へ吸収性のよいコラーゲンペプチドの調製方法および良吸収性コラーゲンペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは動物の皮膚、骨、軟骨等に多く含まれるタンパク質であり、ヒトの体内のタンパク質の約30%を占め、皮膚の真皮層ではコラーゲンが約70%を占めているといわれている。ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸等のムコ多糖類といった細胞外成分とともにマトリックス構造を形成して、細胞及び皮膚組織の支持、細胞間隙における保水、皮膚の潤滑性と柔軟性の保持、紫外線、乾燥環境、機械的刺激や損傷、微生物感染等の外的因子から皮膚組織を保護する等の役割を果たしている。又、骨においても、コラーゲンは骨組織中の有機成分の大部分を占め、骨強度の維持に重要な成分であるといわれている。
【0003】
骨組織におけるコラーゲン含量の低下は、骨粗鬆症をはじめとする骨減弱を起こしたり、関節においては、変形性関節症等の関節炎のリスクを高めたりする可能性が知られている。したがって、健康な肌、骨、関節等の機能を保つためには、不足するコラーゲンを体内に補給したり、体内のコラーゲン産生機能を調節したりして体内組織のコラーゲン量を維持あるいは増加させることが望ましい。
【0004】
コラーゲンやその加水分解物等を含むコラーゲン類が有する生理作用を生体内で発現させるためには、食事等からコラーゲン類を多量に摂取する必要があるが、食事等からの摂取だけでは十分に満足できる生理効果が得られていなかった。
【0005】
このような実情から、摂取したコラーゲン類がこれまでより効率的に体内に吸収されるコラーゲン吸収促進物やコラーゲンの吸収促進方法が求められており、これまでに種々の提案がなされている。
【0006】
特許文献1では、黒酢とコラーゲン類を含有するコラーゲン類吸収促進剤が提案されており、ラットにおける血中ヒドロキシプロリン(Hypと表記する場合がある)の吸収量が向上する旨の報告がなされ、ヒトの肌において皮膚の弾力性の向上やシワの改善に期待できるとされている。
【0007】
特許文献2では、大麦若葉とコラーゲンを含有するコラーゲン吸収促進用組成物が提案されており、ラットにおける血中ヒドロキシプロリンの吸収量が向上するとされている。
【0008】
特許文献3では、大麦若葉末とコラーゲンを含有させることにより、コラーゲンの風味を改善する方法が提案されており、風味改善方法に用いられるコラーゲンが豚由来コラーゲンと魚由来コラーゲンを所定の割合で配合させたことが記載されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1や特許文献2では、コラーゲン類に黒酢や大麦若葉末を含有させることで、コラーゲンの吸収を促進させているが、コラーゲン以外の素材を含有させると風味等の点から使用に制限が生じてしまう。例えば、黒酢は酸味を大麦若葉は苦味を感じる場合がある。
【0010】
また、特許文献1では黒酢を主成分とした試料と比較するために、果実酢や酢酸を主成分とする試料を用いているが、これらの結果に大きな違いが見出せず、コラーゲンと合わせて用いる素材を選択することに困難が生じている。
【0011】
特許文献3では、豚由来コラーゲンと魚由来コラーゲンを混合させているが、コラーゲンの風味改善についてのみ記載されており、コラーゲンの吸収については記載されていない。また、特許文献3は大麦若葉末を含有することが必須の要件であるため、特許文献2のような問題が生じてしまう。
【0012】
従って、コラーゲン以外の素材を用いる必要がなく、コラーゲン自体でより吸収性のよい組成物や吸収促進方法が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2012−82185号公報
【特許文献2】特開2011−115046号公報
【特許文献3】特開2009−291128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたもので、生体への吸収性のよいコラーゲンペプチドを提供すると共にこのコラーゲンペプチドの調製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、豚由来のコラーゲンペプチドと魚由来のコラーゲンペプチドを所定の配合比率で併用した経口摂取用のコラーゲンペプチドを調製することにより、上記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
【0016】
すなわち本発明は、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドを、豚由来のコラーゲンペプチド:魚由来のコラーゲンペプチド=(0.5:1)〜(15:1)の配合比率で併用した経口摂取用のコラーゲンペプチドを調製することを特徴とする生体へ吸収性のよいコラーゲンペプチドの調製方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、生体への吸収性のよいコラーゲンペプチドを提供すると共にこのコラーゲンペプチドの調製方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1および比較例1、2における血清中ヒドロキシプロリンの変化値を示す図である。
図2】実施例1、4および比較例3における血清中ヒドロキシプロリンの変化値を示す図である。
図3】実施例1〜3および比較例1、2における血清中ヒドロキシプロリンの量を示す図である。
図4】実施例1〜4および比較例3における血清中ヒドロキシプロリンの量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドを、豚由来のコラーゲンペプチド:魚由来のコラーゲンペプチド=(0.5:1)〜(15:1)の配合比率で併用した経口摂取用のコラーゲンペプチドを調製することを特徴とする生体へ吸収性のよいコラーゲンペプチドの調製方法に関するものである。以下に詳細を説明する。
【0020】
コラーゲンとは、動物の皮膚、骨、軟骨等に多く含まれるタンパク質であり、ヒトの体内のタンパク質の約30%を占め、その分子量は約30万である。また、コラーゲンを加水分解して、低分子化したタンパク質はゼラチンとなり、その分子量は数万〜数十万程度という報告がある。
【0021】
また、ゼラチンをさらに低分子化することによりコラーゲンペプチドが得られ、その分子量は数千程度であり、コラーゲンペプチドは、コラーゲンやゼラチンに比べ、食品として摂取した場合、体内で吸収しやすくなっている。
【0022】
そこで、本発明のコラーゲンの吸収促進方法には、コラーゲンペプチドが好ましく用いられる。本発明に用いられるコラーゲンペプチドは、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドであれば特に制限はない。
【0023】
本発明によれば、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドを組み合わせて摂取することで、豚由来のコラーゲンペプチドまたは魚由来のコラーゲンペプチドをそれぞれ単独で摂取するよりもコラーゲンの吸収性が良くなる。すなわち、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドを併用したコラーゲンペプチドとすることで、生体へのコラーゲンの吸収性が良くなる。
【0024】
豚由来のコラーゲンペプチドとしては、特に制限はなく、天然のものでも、市販品でもよく、一種または二種以上を用いてもよい。また、豚の種類や部位についても制限はなく、豚の皮、骨、軟骨または腱等の部位から、公知の方法により得られた豚由来のコラーゲンペプチドを用いることができる。
【0025】
魚由来のコラーゲンペプチドとしては、特に制限はなく、天然のものでも、市販品でもよく、一種または二種以上を用いてもよい。また、魚の種類や部位についても制限はなく、例えば、イトヨリダイ、サケ、サメ、タラ、コイ、メバル、マグロ、ナマズ、ウナギ等の皮、骨、軟骨または鱗等を公知の方法により得られた魚由来のコラーゲンペプチドを用いることができる。
【0026】
市販品については、豚由来のコラーゲンペプチドの場合、例えば、ペプタンP2000HD(ルスロ社製)、コラーゲンPA(ルスロ社製)、コラーゲンペプチドSCPシリーズ(新田ゼラチン社製)等が挙げられる。
また、魚由来のコラーゲンペプチドの場合、例えば、ペプタンF2000HD(ルスロ社製)、フィッシュコラーゲンPFA(ルスロ社製)、イクオスHDLシリーズ(新田ゼラチン社製)、フィッシュコラーゲンリッチRCP−01P(ラビジェ社製)等が挙げられる。
【0027】
また、コラーゲンペプチドとしては、液体状、ゲル状、顆粒状、粉末状、固体状等、状態を問わないが、粉末状であることが好ましく、水などの溶媒に溶解させることで生体への摂取が容易となる。
【0028】
本発明において、豚由来のコラーゲンペプチドと魚由来のコラーゲンペプチドの配合比率は、重量比で0.5:1〜15:1が好ましく、さらに好ましくは1:1〜9:1である。前記配合比率の範囲から外れる場合、効率的にコラーゲンの吸収ができない場合がある。
【0029】
本発明に用いられるコラーゲンペプチドの平均分子量としては、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドが共に5000以下が好ましく、より好ましくは3000以下であり、さらに好ましくは2000以下である。このような分子量のコラーゲンペプチドを用いることにより、コラーゲンが効率的に吸収される。
【0030】
なお、豚由来のコラーゲンペプチドと魚由来のコラーゲンペプチドのどちらか一方の平均分子量が5000以下である場合もコラーゲンの吸収を促進させる効果が期待できるが、コラーゲンの吸収性を向上させる上では、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドが共に5000以下が好ましい。
【0031】
本発明のコラーゲンの吸収促進方法によるコラーゲンの摂取方法としては、特に制限はないが、ヒトが摂取することを考慮し、経口摂取であることが好ましい。また、飲食品、医薬品等に添加し摂取することもできる。
【0032】
また、本発明のコラーゲンの吸収促進方法は、種々の用途に用いることができ、様々な組成物、例えば、飲食品、家畜用飼料、ペットフード、医薬品等が挙げられる。また、対象となる生体は、特に制限はなく、ヒト、家畜、ペット、魚類その他の生体に用いることができる。
【0033】
本発明においては、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドを所定の配合比率で組み合わせて摂取すればよく、他の成分を用いることなくコラーゲンの吸収性を向上させることができる点で有利である。
【0034】
しかしながら、本発明においては、必要に応じてその他の成分を同時に摂取することでもコラーゲンの吸収を促進させることができる。その他の成分としては、例えば、デキストリン、ブドウ糖、乳糖、澱粉又はその加工物、セルロース粉末、ビタミン類、ミネラル類、動植物や魚介類の油脂、蛋白質、糖質、色素、香料、果汁、酸化防止剤、各種栄養機能成分又はこれを含む粉末やエキス類等の飲食用原料等を同時に摂取してもよい。また、コラーゲン吸収を促進させることが期待されている公知の物質、例えば、大麦若葉末や黒酢等を同時に摂取してもよい。
【0035】
本発明においては、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドからなり、コラーゲンの吸収を促進させることができる生体への良吸収性コラーゲンペプチドも提供することができる。前記良吸収性コラーゲンペプチドは、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドの配合比率が、0.5:1〜15:1であることが好ましく、さらに好ましくは1:1〜9:1である。
【0036】
前記良吸収性コラーゲンペプチドは、液体状、ゲル状、顆粒状、粉末状、固体状等、状態を問わず用いることができ、また摂取方法としても、特に制限はないが、ヒトが摂取することを考慮し、経口投与であることが好ましい。さらに、生体についても制限はなく、ヒト、家畜、ペット、魚類その他の生体に用いることができる。
【0037】
また、前記良吸収性コラーゲンペプチドは、必要に応じてその他の成分を含有させることができる。その場合、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドの量は、用途や形態によって変えることができ、また生体の種類によっても変えることができ、一律に規定することは難しいが、目安として組成物中にコラーゲンペプチドの総量として2g以上含まれていることが好ましく、2g〜4gがより好ましい。一定量を下回るとコラーゲン吸収を促進させる効果が得られないことがある。
【実施例】
【0038】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。
【0039】
被験物質溶液として、以下の実施例に示す方法にて試料1〜4、および比較試料1〜3を作製した。
【0040】
(実施例1)
豚由来コラーゲンペプチドとして平均分子量2000であるものと、魚由来コラーゲンペプチドとして平均分子量2000であるものを配合比率が1:1の割合で混合したのち、目開き710μm相当の篩を通過させたものを蒸留水に溶解させ、被験物質溶液中のコラーゲン含有量が250mg/mLとなるように(試料1)を作製した。
【0041】
(実施例2)
実施例1において、豚由来のコラーゲンペプチドと魚由来のコラーゲンペプチドの配合比率を7:3の割合に代えた以外は実施例1と同様にして(試料2)を作製した。
【0042】
(実施例3)
実施例1において、豚由来のコラーゲンペプチドと魚由来のコラーゲンペプチドの配合比率を9:1の割合に代えた以外は実施例1と同様にして(試料3)を作製した。
【0043】
(実施例4)
実施例1において、豚由来コラーゲンペプチドとして平均分子量2000であるものの代わりに平均分子量5000であるものを用いた。また、魚由来コラーゲンペプチドとして平均分子量2000であるものの代わりに平均分子量5000であるものを用いた。これら以外は実施例1と同様にして(試料4)を作製した。
【0044】
(比較例1)
実施例1において、コラーゲンペプチドを豚由来のコラーゲンペプチドのみに代えた以外は実施例1と同様にして(比較試料1)を作製した。
【0045】
(比較例2)
実施例1において、コラーゲンペプチドを魚由来のコラーゲンペプチドのみに代えた以外は実施例1と同様にして(比較試料2)を作製した。
【0046】
(比較例3)
実施例1において、豚由来のコラーゲンペプチドとして平均分子量2000であるものの代わりに、豚由来のゼラチン(平均分子量数万以上)を用いた。また、魚由来のコラーゲンペプチドとして平均分子量2000であるものの代わりに、魚由来のゼラチン(平均分子量数万以上)を用いた。これら以外は実施例1と同様にして(比較試料3)を作製した。
上記実施例、比較例で作製した試料の処方を下記表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
(試験方法)
次に、以下に示す方法によりコラーゲンの吸収促進について試験を行った。
【0049】
試験前日より一晩絶食させた雄性Sprague−Dawley系ラット(九動株式会社より購入)に、各群に対応する被験物質溶液を、ラットの体重に対して20mL/kg体重となるように強制経口投与した。コラーゲン投与前(0時間)、投与後2、3および6時間後に経時的に採血し、血液を採取した。採取した血液サンプルより血清を採取した。得られた血清は、血清中ヒドロキシプロリン測定を行うまで−30℃下にて冷凍保存した。
【0050】
得られた血清について、市販のキット(Hydroxyproline Assay Kit、Bio Vision社製)を用いて血清中のヒドロキシプロリン(以下、Hypと表記する場合もある)量を測定した。なお、ヒドロキシプロリンは、アミノ酸の一種でコラーゲンの主要な成分であり、コラーゲン以外ではあまり見られないため、コラーゲンやゼラチンの量を測定する指標となり得るものである。
【0051】
上記の方法により、試料1〜4を投与した実施例1〜4と、比較試料1〜3を投与した比較例1〜3について試験を行った。各試験において平均値を算出した(試験数n=3)。得られた結果を図1図4に示す。
【0052】
図1に、実施例1および比較例1、2における試料投与後の時間経過による血清中ヒドロキシプロリンの変化値を示す。図1より、投与後2時間後において特に、実施例1の血清中ヒドロキシプロリン変化値の方が、比較例1および比較例2に比べて大きいことがわかる。
【0053】
従って、豚由来のコラーゲンペプチド、魚由来のコラーゲンペプチドを単独で投与するよりも、両者を合わせて投与した方がコラーゲンの吸収性が高まる。すなわち、コラーゲンの吸収性は、豚由来のコラーゲンペプチドおよび魚由来のコラーゲンペプチドを含む組成物により促進される。
【0054】
図2に、実施例1、4および比較例3における試料投与後の時間経過による血清中ヒドロキシプロリンの変化値を示す。図2より、平均分子量が低い実施例1、4の血清中ヒドロキシプロリンの変化値の方が、平均分子量が高い比較例3に比べて大きいことがわかる。
【0055】
従って、平均分子量数万以上のゼラチンを投与するよりも、平均分子量5000以下の分子量の小さいコラーゲンペプチドを投与した方がコラーゲンの吸収性が高まる。
【0056】
図3に、実施例1〜3および比較例1、2における血清中ヒドロキシプロリンの量を示す。また、図4に、実施例1〜4および比較例3における血清中ヒドロキシプロリンの量を示す。ヒドロキシプロリンの量は、曲線下面積(以下、AUCと表記する場合もある)を示し、血清中ヒドロキシプロリン量の変化値の曲線より下部の総面積であり、コラーゲン吸収性の指標となる。
【0057】
図3、4より、実施例1〜3において豚由来のコラーゲンペプチドと魚由来のコラーゲンペプチドの比率を変化させても、豚由来のコラーゲンペプチド、魚由来のコラーゲンペプチドを単独で投与するもしくは平均分子量の大きいゼラチンを投与するよりも吸収性が高まることがわかる。
図1
図2
図3
図4