(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173100
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】医用レポート作成システム及び医用ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/24 20120101AFI20170724BHJP
G06Q 50/22 20120101ALI20170724BHJP
【FI】
G06Q50/24
G06Q50/22
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-159213(P2013-159213)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-32006(P2015-32006A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】鶴園 陽介
(72)【発明者】
【氏名】松永 豪直
【審査官】
塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−086355(JP,A)
【文献】
特開昭64−041070(JP,A)
【文献】
特開2007−020799(JP,A)
【文献】
特開平02−111341(JP,A)
【文献】
特開2003−067489(JP,A)
【文献】
特開2007−094810(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0150174(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子カルテシステムにより閲覧される生理検査の医用レポートを作成する医用レポート作成システムであって、
生理検査を行って生理検査結果データを計測するとともに、前記生理検査結果データに基づいて検査結果レポートを作成する複数の生理検査装置と、
前記複数の生理検査装置及び前記電子カルテシステムに接続されており、前記複数の生理検査装置により得られた前記生理検査結果データに含まれる複数種類のヒストグラム又は複数種類の検査波形と、前記検査結果レポートとを格納し、前記医用レポートを前記電子カルテシステムに提供するサーバーと、
を有し、
前記サーバーは、前記複数の生理検査装置によって作成された前記検査結果レポートに、前記複数種類のヒストグラム又は前記複数種類の検査波形のうち予め設定された種類のヒストグラム又は検査波形を貼り付けることで、当該ヒストグラム又は検査波形を含む医用レポートを作成する、
医用レポート作成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の医用レポート作成システムと、
前記医用レポート作成システムに接続され、前記医用レポート作成システムの前記サーバーによって作成された前記医用レポートを格納するサーバーを有する、電子カルテシステムと、
を有する医用ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に生理検査部門の医用レポートを作成する医用レポート作成システム及び医用ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野では、業務の効率化を図るため、医用画像やカルテなどの電子化が進められている。さらに、電子化された医用画像と電子カルテとを結合することで医用レポートを作成することも提案されている。例えば、特許文献1では、医用画像とその所見を含む医用レポートを作成する医用レポート作成システムに関する技術が開示されている。
【0003】
一般に、医用ネットワークシステムは、電子カルテシステムと、生理検査部門や検体検査部門、細胞検査部門などの各部門システムとが、ネットワーク接続されて構成されている。各部門システムには、膨大な数値データや画像データが蓄積されており、電子カルテシステムには、これら膨大な数値データや画像データのうちの一部のみが送られるようになっている。具体的には、電子カルテシステムには、ある検査をした結果として、1〜3枚程度の医用レポートが出力される。つまり、電子カルテとは、検査結果からフォーマットを絞って集約した医用レポートであると言うことができる。
【0004】
ここで、生理検査部門で行われる検査は、心電図検査、ホルタ心電図検査、負荷心電図検査、血圧脈波検査、肺機能検査、脳波検査などであり、生理検査部門システムには、これらの検査によって得られた膨大な数値データや描画データが蓄積される。この描画データとは、例えば心電図検査においては、心電図波形や、心拍数のヒストグラムである。
【0005】
また、生理検査部門システムにおける医用レポート作成(つまり電子カルテの作成)は、心電計などの検査装置が所定の計算式に基づいて、検査結果の代表値や、最も悪い値などを求め、これらの値を所定のフォーマットで出力することで行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−69977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、医用レポートに、数値情報に加えて、心電図波形やヒストグラムなどの描画データを貼り付ければ、生理検査結果をより多面的に表した医用レポートを得ることができ、診断に好都合であると考えられる。
【0008】
しかしながら、生理検査部門システムに蓄積されている膨大な描画データの中から、ユーザが医用レポートに適した描画データを探して手作業(例えばコンピュータを使ってコピー&ペーストする)でレポートに貼り付けることは、非常に煩雑な作業となる。特に、病院業務は、医用レポートの作成作業以外にも非常に多いので、医用レポートに適した画像データをいちいち探して貼り付けることは、甚だ煩わしい作業である。
【0009】
また、各検査装置に、描画データの貼り付け処理を行う機能を追加することも考えられる。しかし、心電計、ホルタ心電図解析装置、運動負荷装置、肺機能検査装置、血圧脈波検査装置、脳波検査装置などの、生理検査部門システムを構成している全ての検査装置に、描画データの貼り付け処理を行う機能を追加することは、システム構成を大きく変更することになるので現実的ではない。
【0010】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、システム全体としての構成を大きく変更することなく、生理検査結果をより多面的に表した医用レポートを得ることができる医用レポート作成システム及び医用ネットワークシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の医用レポート作成システムの一つの態様は、
電子カルテシステムにより閲覧される生理検査の医用レポートを作成する医用レポート作成システムであって、
生理検査を行って生理検査結果データを計測するとともに、前記生理検査結果データに基づいて検査結果レポートを作成する複数の生理検査装置と、
前記複数の生理検査装置及び前記電子カルテシステムに接続されており、前記複数の生理検査装置により得られた前記生理検査結果データ
に含まれる複数種類のヒストグラム又は複数種類の検査波形と、前記検査結果レポート
とを格納し、前記医用レポートを前記電子カルテシステムに提供するサーバーと、
を有し、
前記サーバーは、前記複数の生理検査装置によって作成された前記検査結果レポートに、
前記複数種類のヒストグラム又は前記複数種類の検査波形のうち
予め設定された種類のヒストグラム又は検査波形を
貼り付けることで、当該
ヒストグラム又は検査波形を含む医用レポートを作成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、システム全体としての構成を大きく変更することなく、生理検査結果をより多面的に表した医用レポートを得ることができる医用レポート作成システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態の院内システムの構成を示す概略図
【
図2】ホルタ心電図解析装置によって得られた検査結果レポートの例を示す図
【
図3】ホルタ心電図解析装置によって得られたヒストグラムを示す図
【
図4】ヒストグラムを貼り付けて作成された医用レポートの例を示す図
【
図5】運動負荷装置によって得られた検査結果レポートの例を示す図
【
図6】運動負荷装置によって得られた生理検査結果データのうちの検査波形を含むデータ示す図
【
図7】代表波形を貼り付けて作成された医用レポートの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態のシステムの概要を示す接続図である。
図1の医用ネットワークシステム100は、電子カルテシステム110と、生理検査部門システム120とがサーバー130を介してネットワーク接続されている。
【0016】
電子カルテシステム110は、電子カルテサーバー111に、複数の院内電子カルテ端末112−1、112−2、……、112−nが接続されている。電子カルテサーバー111に格納された情報は、院内電子カルテ端末112−1、112−2、……、112−nから閲覧できるようになっている。また、電子カルテサーバー111の情報は、権限のある院内電子カルテ端末112−1、112−2、……、112−nによって書き換えることもできるようになっている。
【0017】
生理検査部門システム120は、心電計121、ホルタ心電図解析装置122、運動負荷装置123、肺機能検査装置124、血圧脈波検査装置125、プリンタ126、スキャナ127及びクライアント端末128がネット接続されて構成されている。これらの装置は、生理検査室に設置されている。なお、生理検査部門システム120は、脳波検査装置などの他の生理検査を行う検査装置が接続されてもよい。
【0018】
生理検査部門システム120の各検査装置121〜125により得られた検査結果データは、サーバー130に格納される。つまり、サーバー130は、生理検査部門の生理検査結果データを収集し格納する部門データ格納部としての機能を有する。また、サーバー130は、各検査装置121〜125により形成された検査結果レポートを格納する。各検査装置121〜125は、所定の計算式に基づいて、検査結果の代表値や、最も悪い値などを求め、これらの値を所定のフォーマットとすることで検査結果レポートを形成し、このレポートを他の詳細な検査結果データと共にサーバー130に出力する。サーバー130に格納された検査結果データ及び検査結果レポートは、ユーザがクライアント端末128を用いて閲覧することができる。サーバー130に格納された検査結果レポートは、後述するようにサーバー130によって新たに医用レポートとされて電子カルテサーバー111に送られる。
【0019】
さらに、医用ネットワークシステム100においては、図に示したように、生理検査室外の病棟や救急室、救急車に設置された心電計141により得られた検査結果データ及び検査結果レポートを、CF(Compact Flash)カード142等を介してオフラインでクライアント端末128に入力させ、この検査結果データをクライアント端末128を介してサーバー130に格納することもできる。また、図に示したように、サーバー130は、生理検査室以外の例えば健診センターに配置された心電計151及び端末152と接続することもでき、これにより生理検査室以外の心電計151により得られた検査結果もサーバー130に格納することもできる。なお、当然、心電計141、151に代えて、ホルタ心電図解析装置や、運動負荷装置等の他の生理検査装置を用いても同様に、サーバー130にこれらの装置により得られた生理検査結果データ及び検査結果レポートを格納できる。
【0020】
次に、本実施の形態によって作成される医用レポートについて説明する。以下では、ホルタ心電図解析装置122によって得られた生理検査結果データに基づいて作成される医用レポートの例と、運動負荷装置123によって得られた生理検査結果データに基づいて作成された医用レポートの例について説明する。
【0021】
先ず、ホルタ心電図解析装置122の医用レポートの例について、
図2−
図4を用いて説明する。
図2は、ホルタ心電図解析装置122によって作成された検査結果レポートの例を示すものである。
図3は、ホルタ心電図解析装置122によって得られたヒストグラムを示すものである。
図4は、サーバー130によって、
図2の検査結果レポートのデータと、
図3のヒストグラムと、を用いて得られた医用レポートの例を示すものである。
【0022】
ここで、ホルタ心電図解析装置122によって作成された検査結果レポート(
図2)と、その検査結果レポートに関連するヒストグラム(
図3)は、データ上で紐付けられているので、サーバー130は、紐付けられた検査結果レポートとヒストグラムとを結合する。ただし、
図3から分かるように検査結果レポートに関連するヒストグラムは複数個存在するので、サーバー130は、その中から予め設定により決められているヒストグラムを選択して検査結果レポートに結合する。
図3及び
図4に示す例では、「心室性期外収縮」、「上室性期外収縮」、「心拍数」、「心房細動」、「雑音」のヒストグラムの中から「心拍数」のヒストグラムが選択され、これが検査結果レポートに結合されることで、医用レポート(
図4)が作成される。このとき、
図2及び
図4からも分かるように、サーバー130は、
図2の検査結果レポートにヒストグラムを貼り付けることができるだけのスペースを作って、そのスペースにヒストグラムを貼り付けることにより、医用レポート(
図4)が1頁に収まるようにする。因みに、貼り付けるヒストグラムは1つに限らず、2つ以上を貼り付けるようにしてもよい。貼り付けるヒストグラムの個数は、医用レポートのレイアウトなどを考慮して、予め設定される。なお、
図2及び
図4の所見の欄には、医師によって、例えば「狭心症、心筋梗塞の疑いあり。抗不整脈薬を投与する必要あり」と記載される。
【0023】
次に、運動負荷装置123の医用レポートの例について、
図5−
図7を用いて説明する。
図5は、運動負荷装置123によって作成された検査結果レポートの例を示すものである。
図6は、運動負荷装置123によって得られた生理検査結果データのうちの検査波形を含むデータを示すものである。
図7は、サーバー130によって、
図5の検査結果レポートのデータと、
図6の検査波形と、を用いて得られた医用レポートの例を示すものである。
【0024】
ここで、運動負荷装置123によって作成された検査結果レポート(
図5)と、その検査結果レポートに関連する検査波形(
図6)は、データ上で紐付けられているので、サーバー130は、紐付けられた検査結果レポートと検査波形とを結合する。ただし、
図6から分かるように検査結果レポートに関連する検査波形は複数個存在するので、サーバー130は、その中から予め設定により決められている検査波形を選択して検査結果レポートに結合する。
図5及び
図6に示す例では、V1波形、V2波形、…の中からV1波形、V2波形が選択され、これが検査結果レポートに結合されることで、医用レポート(
図7)が作成される。このとき、
図5及び
図7からも分かるように、サーバー130は、
図5の検査結果レポートの空いている箇所に検査波形(V1波形、V2波形)を貼り付けることにより、医用レポート(
図7)が1頁に収まるようにする。因みに、貼り付ける検査波形の個数は、医用レポートのレイアウトなどを考慮して、予め設定される。なお、
図5及び
図7の診断コメントの欄には、医師によって、例えば「TMTにてVPCあり」と記載される。また、検査コメントの欄には、例えば「被検者が胸痛を訴えたため、停止した」と記載される。
【0025】
因みに、サーバー130は、検査結果レポートにヒストグラム及び検査波形などの描画データを貼り付けるにあたって、医用レポートの中の描画データを貼り付けるスペースに、描画データができるだけ大きく表示されるように描画データのサイズ合わせを行って貼り付けることもできる。この際、描画データが心電図の代表波形などの場合は、波形の形が崩れないように、縦横の比率は変えずにサイズ合わせを行う。
【0026】
なお、上述の実施の形態では、ホルタ心電図解析装置122の医用レポート、及び、運動負荷装置123の医用レポートを例に挙げて説明した。サーバー130は、生理検査部門の他の検査装置の医用レポートも同様の結合処理を行って作成し、作成した医用レポートを電子カルテシステム110に提供する。サーバー130によって検査結果レポートに貼り付けられる描画データは、ホルタ心電図解析装置122の場合にはヒストグラム、運動負荷装置123の場合には検査波形であり、いずれの場合も、経時的生理変化を描画したものである。サーバー130によって検査結果レポートに貼り付けられる描画データは、生理検査部門の他の検査装置の検査結果レポートについても同様に、経時的生理変化を描画したものとなる。
【0027】
このように、本実施の形態においては、検査結果レポートに、経時的生理変化を描画した描画データを貼り付けることが一つの特徴となっている。つまり、本実施の形態では、撮像された検査画像のような画像を貼り付けるのではなく、検査装置によって検査結果レポートに関連付けて作成された経時的生理変化を描画した描画データを、貼り付けるのである。このため、本実施の形態ではサーバー130によって、所定のプログラムに従って、検査結果レポートと、それに関連する描画データとを人手に依らず結合できる。これに対して、撮像された検査画像などを医用レポートに貼り付ける場合には、複数の検査画像の中から医用レポートに適した検査画像を貼り付けるためには、適した検査画像を人手によって選択しなければならず手間がかかる。また、医用レポートに適した検査画像を画像処理によって選択しようとすると、構成が複雑になる。本実施の形態では、人手をかけることなく、かつ構成を複雑化することなく、描画データが貼り付けられた医用レポートを作成できるといった利点がある。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態によれば、サーバー130が、複数の生理検査装置121〜125によって作成された検査結果レポートに、格納している生理検査結果データのうち、検査結果レポートに関連する、経時的生理変化を描画した描画データを結合することで、当該描画データを含む医用レポートを作成する。これにより、サーバー130が適切な描画データが貼り付けられた医用レポートを一括して作成するので、生理検査部門システム120に蓄積されている膨大な描画データの中から、ユーザが医用レポートに適した描画データを選んで手作業で医用レポートに貼り付けるといった作業を行ったり、生理検査部門システム120のシステム全体としての構成を大きく変更することなく、生理検査結果をより多面的に表した医用レポートを得ることができるようになる。
【0029】
また、医用ネットワークシステム100は、サーバー130によって作成された、描画データを含む医用レポートを、電子カルテシステム110で閲覧及び利用できるようになっている。これにより、電子カルテシステム110では、より多面的な情報を有する生理検査部門の医用レポートを見ることができるようになる。
【0030】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、生理検査部門の医用レポートを作成する医用レポート作成システム及び医用ネットワークシステムに適用し得る。
【符号の説明】
【0032】
100 医用ネットワークシステム
110 電子カルテシステム
111 電子カルテサーバー
112 院内電子カルテ端末
120 生理検査部門システム
121、141、151 心電計
122 ホルタ心電図解析装置
123 運動負荷装置
124 肺機能検査装置
125 血圧脈波検査装置
126 プリンタ
127 スキャナ
128 クライアント端末
130 サーバー