(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ピストンにより圧側油室及び伸側油室に区画された油室間を連通する油室間流路に、圧縮時の減衰力を発生させる圧側減衰力発生部及び伸長時の減衰力を発生させる伸側減衰力発生部を直列に設け、圧側減衰力発生部及び伸側減衰力発生部を迂回して圧側油室と伸側油室とに作動油を流通可能に設けられたバイパス流路内に、ニードル軸を収納し、このニードル軸の先端側にニードルバルブ機構を設け、後部側外周に流量調整体を有する流量調整手段を備えた油圧緩衝器において、
ニードル軸の後部側外周と流量調整体の内周との間の隙間を封止する封止部材を設けたことを特徴とする油圧緩衝器。
前記バイパス流路は、少なくとも前記流量調整体を収納する大径中空部と、当該大径中空部と同一軸に延出する小径中空部と、この小径中空部の先端から同一軸に延長するニードル孔よりなり、
前記流量調整体が大径中空部に位置し、前記ニードル軸が流量調整体側から小径中空部に挿通されてニードル孔の開口部まで延長し、ニードル軸のニードル弁とニードル孔の開口部とでニードルバルブ機構を構成し、流量調整体と小径中空部の開口部とで流量を調整する機能を有する請求項1に記載の油圧緩衝器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明に係る油圧緩衝器を備えたフロントフォークの一実施形態を示す断面図である。同図に示すように、フロントフォーク10は、車体側にアウターチューブ11、車軸側にインナーチューブ12が配置される倒立型フロントフォークであって、アウターチューブ11の内周において軸線方向に離間して嵌合された軸受12A,12Bにより、インナーチューブ12の外周が摺動自在に設けられる。フロントフォーク10の内部上方には、アウターチューブ11とインナーチューブ12とを離間する方向に付勢する懸架スプリング14が介装される。
【0012】
アウターチューブ11の上端には、フロントフォーク10を封止するキャップ13が螺着される。
キャップ13は、外周がアウターチューブ11の内周と気密状態で螺着されるベースナット24よりなり、このベースナット24の中央側に設けられた孔24Aに気密状態でアジャストボルト21が介装される。アジャストボルト21は、ベースナット24に対して昇降しないように図外の保持手段により回転自在にベースナット24に取り付けられる。このアジャストボルト21の下部には、インナーチューブ12に向けて延長する中空部21Bを有する小径軸部21Aが設けられる。
小径軸部21Aの先端外周には、アジャストボルト21の回転によりアジャストボルト21の軸線に沿って昇降する筒状の昇降ナット23の内周が螺合する。昇降ナット23は、外周にフランジ状に形成された上ばね受部25を備え、この上ばね受部25に車体を支持する上述の懸架スプリング14が着座する。
【0013】
昇降ナット23は、アジャストボルト21の回転操作により上,下動して上ばね受部25を軸線方向に昇降する。この上ばね受部25と後述の区画部材60との距離を変化させることで、懸架スプリング14の初期ばね長が調整され、結果として懸架スプリング14のばね力が調整される。なお、アジャストボルト21の小径軸部21Aは、中空部21Bとアウターチューブ11の内部空間とに連通する空気抜き孔21Cが設けられている。この中空部21Bの上端側には、アウターチューブ11と外部との連通を遮断する封止ねじ22が着脱自在に取り付けられる。封止ねじ22は、アジャストボルト21から取り外すことで、アウターチューブ11の内圧を大気圧に設定することが可能となる。
【0014】
昇降ナット23には、仕切部23Aで仕切られ、かつ、ねじ切りされた筒状の下側内周に、アウターチューブ11と同軸となるようにピストンロッド15の上端側外周が螺合して固定される。ピストンロッド15は、インナーチューブ12に向けて延長し、インナーチューブ12に立設された後述するシリンダチューブ51の内部空間に到達する長さを有する。このピストンロッド15の下端には、シリンダチューブ51内を摺動するピストン40が取り付けられる。
【0015】
ピストン40は、仕切部40Eにより内周側が上下に仕切られた筒体よりなり、上部内周には、ピストンロッド15の下端側外周が螺着する上側ロッド取付部40Aを、下部内周にはピストンロッド15を延長するための、延長ロッド16の上端側外周が螺着する下側ロッド取付部40Bを備える。延長ロッド16は、インナーチューブ12内に設けられたガイドチューブ52の内部に挿入される。このピストン40の下部外周には、シリンダチューブ51の内周との液密状態を維持するピストンリング40Cを備える。
本実施形態では、ピストン40は、従来のように、シリンダチューブ51内での摺動に伴ない作動油を上下方向に流通させる流路孔を備えていないものとして説明する。
なお、上述のピストンロッド15及び延長ロッド16は、一本のピストンロッドで構成しても良い。この場合、ピストンロッドが貫通可能にピストンを構成し、CリングやEリング等の図外の固定手段によりピストンをピストンロッドの外周に取り付ければ良い。
【0016】
以下、インナーチューブ12について説明する。
インナーチューブ12は、上端から下端にかけて一定の外径で形成された所定長さの筒体であって、当該インナーチューブ12の底部を形成する車軸ホルダ50と、ピストン40の外周が摺動する円筒状のシリンダチューブ51と、ピストン40から延長された延長ロッド16をガイドするガイドチューブ52と、フロントフォーク10における減衰力を発生させる減衰力発生装置140とを備える。
【0017】
車軸ホルダ50は、下側が矩形状に成形され、上側が円筒状に成形された軸体であって、下側に車軸を支持する車軸支持部50Aと、インナーチューブ12と組み付けられる組付部50Bとを備える。
車軸支持部50Aは、車軸ホルダ50の軸線に対して直交方向に貫通する車軸貫通孔50aが形成される。車軸貫通孔50aには、内周から車軸ホルダ50の下端面に向けて切割部50bが延長する。切割部50bには、一方にねじ孔50cが形成され、他方に貫通孔50mが形成され、貫通孔50m側よりねじ孔50cに図外のボルトを螺入させて、締め付けることで図示しない車軸が挟持固定される。
【0018】
組付部50Bは、ほぼ円筒状に形成され、外周に上述のインナーチューブ12の下端側内周と螺着するためのねじ部53aと、このねじ部53aの下側に車軸ホルダ50とインナーチューブ12とを組み付けたときの液密状態を維持するためのOリングなどのシール部材53bと、車軸ホルダ50にインナーチューブ12を螺着するときに、インナーチューブ12の先端を突き当てる環状の突当部53cを備える。
したがって、インナーチューブ12は、下端が車軸ホルダ50の突当部53cに突き当たるまでねじ部53aに螺合させることで、インナーチューブ12の内周と車軸ホルダ50の外周とが上述のシール部材53bによりシールされて液密状態で車軸ホルダ50に固定される。
【0019】
組付部50Bの下側内周には、シリンダチューブ51の下端側及びガイドチューブ52の下端側を固定するシリンダチューブ固定部54a及びガイドチューブ固定部54bが同心円状に設けられる。
シリンダチューブ固定部54aには、組付部50Bの内周面53dとシリンダチューブ51の外周51aとの間に環状隙間e1を形成するようにシリンダチューブ51が立設される。シリンダチューブ51の下端は、シリンダチューブ固定部54aとガイドチューブ固定部54bとの間に環状に形成された環状突当部54cに突き当てて固定される。この環状突当部54cは、上述した車軸ホルダ50の突当部53cよりも下側に位置するように形成される。
【0020】
ガイドチューブ固定部54bには、シリンダチューブ51の内周面とガイドチューブ52の外周との間に環状隙間e2を形成するように、ガイドチューブ52がシリンダチューブ51と同軸上に立設される。ガイドチューブ52の下端は、車軸ホルダ50の最下底部54dに突き当てて固定される。この最下底部54dは、上述した環状突当部54cよりも下側に位置するように形成される。
【0021】
ガイドチューブ52の上端側には、延長ロッド16の貫通を許容する筒状のガイドカラー52Aが取り付けられる。ガイドカラー52Aの内周には、延長ロッド16の外周との液密状態を維持しつつ摺動可能にするシール部材52aを備える。シール部材52aは、ゴム製のOリング、Xリング等よりなる。ガイドカラー52Aの外周は、断面視において花弁状に形成され、外周側における作動油Kの流通を可能にしつつ、シリンダチューブ51の内周に支持される。なお、上述の延長ロッド16は、シリンダチューブ51よりも短く、フロントフォーク10の最伸長時においてもガイドチューブ52から抜け出ない長さに設定される。
ガイドチューブ52は、車軸ホルダ50に立設された状態において、内周側が大気開放されるように、車軸ホルダ50に設けた貫通孔55と連通する。
【0022】
シリンダチューブ51の上端には、インナーチューブ12の内部を上側の空気室Sと下側の作動油室Aに区画する区画部材60が取り付けられる。区画部材60は、ベース部60Dと筒部60Cとよりなり、ベース部60Dの中央孔の内周に上述のピストンロッド15が貫通するガイド部60A、インナーチューブ12の内周面に沿って密着し、液密状態でに封止する封止部60Bをベース部60Dの外周に備える。ガイド部60Aには、ピストンロッド15の外周と液密状態で摺動を許容するシール部材60aが設けられ、封止部60Bには、インナーチューブ12の内周との液密を維持するシール部材60bが設けられる。筒部60Cの上部側には、区画部材60のベース部60D及びシリンダチューブ51で囲まれた空間からインナーチューブ12の内周、及びシリンダチューブ51の外周で囲まれた空間に連通して作動油Kの相互の流通を許容する流通孔61が設けられる。なお、流通孔61は、ピストン40のストローク範囲よりも上側であれば、シリンダチューブ51に設けても良い。
上述のインナーチューブ12の区画部材60よりも上側には、空気室S内に貯留される潤滑用油がアウターチューブ11とインナーチューブ12との間の環状隙間に流入出可能にする潤滑油孔12aが設けられる。
【0023】
区画部材60の筒部60Cの内周をシリンダチューブ51の上端側外周に螺着させることで区画部材60がシリンダチューブ51に固定される。この筒部60Cのベース部60Dの下面と、上述したピストン40との間には、フロントフォーク10の伸長時の荷重を受圧するリバウンドスプリング64が設けられる。
【0024】
したがって、シリンダチューブ51に区画部材60を取付け、シリンダチューブ51の内部空間を閉塞したことにより、作動油室Aが、シリンダチューブ51内部のピストン40よりも下側部分を圧側油室127Aに、インナーチューブ12の内周とシリンダチューブ51の外周で仕切られた部分、及びシリンダチューブ51内部のピストン40よりも上側部分からなる伸側油室127Bに区画される。
車軸ホルダ50の横には、上述の圧側油室127Aからの作動油Kを流通させる圧側油室流路57Aと、伸側油室127Bからの作動油Kを流通させる伸側油室流路57Bとが開口する。
なお、本実施形態のフロントフォーク10では、作動油室A及び圧側油室流路57A、伸側油室流路57B間において作動油Kが封入されている。
【0025】
減衰力発生装置140は、
図2に示すように、圧側油室流路57Aに対応して車軸ホルダ50の側部から突出するように車軸ホルダ50と一体に形成された筒体Maと、伸側油室流路57Bに対応して車軸ホルダ50と一体に形成された連通路Mbと、減衰力発生ユニット140Aとよりなる。筒体Maには、一端開口の筒状のバルブ収容孔114Aが形成される。バルブ収容孔114Aは、底部114bにおいて圧側油室流路57Aと連通し、底部114bと反対側の開口端側の側部上側に、伸側油室流路57Bを有する連通路Mbと接続される。
【0026】
減衰力発生ユニット140Aは、フロントフォーク10の圧縮時に減衰力を発生させる圧側減衰力発生部250と、伸長時に減衰力を発生させる伸側減衰力発生部260と、圧縮時及び伸長時の減衰力の調整を可能にする減衰力調整部270とを備える。
【0027】
減衰力発生ユニット140Aは、円筒状のバルブピース141を基体として、圧側減衰力発生部250及び伸側減衰力発生部260と、減衰力調整部270とが小組みされて構成される。
バルブピース141は、大径の筒体よりなる大径部142と、この大径部142の一端から同軸に突出する小径の筒体よりなる小径部143とを有する。なお、以下の説明において、バルブピース141の軸方向に大径部側を一端側、小径部143の先端側を他端側として説明する。
バルブピース141は、小径部143の先端から大径部142に至り、油室間流路Fにおいて圧側減衰力発生部250及び伸側減衰力発生部260を迂回するバイパス流路141Aとなる貫通孔を備える。また、バルブピース141の大径部142には、円筒壁部の肉厚方向に貫通し、壁部を通した作動油Kの内外への流通を許容する複数の流路孔142Aが設けられ、小径部143には、軸方向の中途部に内外に貫通する複数の流路孔143Aと、内周側に後述の減衰力調整部270を構成するニードル孔143Bと、先端側外周にねじ部143Cとが設けられる。
【0028】
伸側減衰力発生部260は、圧側行程や伸側行程での流量を規制する伸側流路160Aと圧側流路160Bとを有する円板状の伸側流量規制体160と、伸側行程において伸側流路160Aから流出する流量を制御する伸側減衰バルブ161と、伸側行程において圧側流路160Bを塞ぎ、圧側工程において圧側流路160Bの流れを許容する圧側チェック弁152とを備える。
伸側流量規制体160、伸側減衰バルブ161、圧側チェック弁152は、バルブピース141の大径部142側から順に、圧側チェック弁152、伸側流量規制体160、伸側減衰バルブ161が小径部143の外周に装着される。
【0029】
伸側流量規制体160とバルブピース141の他端側の段差面141Cとの間には、カラー163と、スプリング164と、スプリングシート165とが設けられる。
カラー163は、円筒状の筒体からなり小径部143の外周に介挿され、圧側チェック弁152を貫通して、一端側が段差面141Cに当接し、他端側が伸側流量規制体160に当接することで、伸側流量規制体160の小径部143における位置を位置決めする。スプリング164は、一端側が圧側チェック弁152に着座し、他端がカラー163の外周に設けられたスプリングシート165を介して段差面141Cに着座して、圧側チェック弁152を伸側流量規制体160に向けて付勢する。
【0030】
伸側減衰バルブ161のバルブピース141の他端側に隣接してシム166が設けられる。シム166は、伸側減衰力発生部260に隣接して設けられるセンタープレート145が、伸側減衰バルブ161の動作を妨げないように撓みしろを確保する。シム166のバルブピース141の他端側には、センタープレート145が隣接して介挿される。
【0031】
センタープレート145は、小径部143の外周に介挿される環状部材であって、内周の厚さ方向中央部分に、外径方向に窪む環状凹部145Aと、環状凹部145Aから外周に連通する複数の流路孔145Bとを備える。このセンタープレート145は、内周側の環状凹部145Aが小径部143の複数の流路孔143Aを囲むように組み付けられる。この組み付け位置は、例えばシム166によって調整される。
【0032】
センタープレート145のバルブピース141の他端側には、センタープレート145に隣接してシム167が小径部143に介挿される。シム167は、圧側減衰力発生部250の圧側減衰バルブ151に対して、センタープレート145が圧側減衰バルブ151の動作を妨げないように圧側減衰バルブ151の撓みしろを確保する。このシム167のバルブピース141の他端側に隣接して圧側減衰力発生部250が設けられる。
【0033】
圧側減衰力発生部250は、圧側行程や伸側行程での流量を規制する圧側流路150Aと伸側流路150Bとを有する円板状の圧側流量規制体150と、圧側行程において圧側流路150Aから流出する流量を制御する圧側減衰バルブ151と、圧側行程において伸側流路150Bの流れを許容し、伸側行程において伸側流路150Bを塞ぐ伸側チェック弁162とを備える。
圧側減衰力発生部250は、センタープレート145の側から順に、シム167、圧側減衰バルブ151、圧側流量規制体150、伸側チェック弁162が装着される。
【0034】
さらに、小径部143には、円筒状のカラー153が介挿され、その外周を覆うとともに伸側チェック弁162に当接して伸側チェック弁162の開放を付勢するスプリング154と、スプリング154の他端側が着座するスプリングシート155とが設けられる。そして、ねじ部143Cにナット200を螺合させ、ナット200がカラー153に当接するまで締め付けることで、スプリング154により伸側チェック弁162が圧側流量規制体150に付勢されるとともに、圧側減衰力発生部250と伸側減衰力発生部260とがバルブピース141の外周側に一体に組み付けられる。
【0035】
上述のように小組みされた減衰力発生ユニット140Aは、ナット200をバルブ収容孔114Aの軸方向の底部114bに向けて収容される。バルブ収容孔114Aに減衰力発生ユニット140Aが収容されると、伸側流量規制体160の外周、及び圧側流量規制体150の外周に設けられたシール部材160C;150Cが、バルブ収容孔114Aの内周に密着し、油室間流路Fを閉塞する。したがって、油室間流路Fを流通する作動油Kのすべてが、伸側流量規制体160の伸側流路160A若しくは圧側流路160B、圧側流量規制体150の伸側流路150B若しくは圧側流路150A、及び後述のバイパス流路141Aを流通する。
【0036】
本実施形態では、バルブ収容孔114Aにおける圧側流量規制体150と、圧側油室流路57A側との空間を、圧側油室127Aに連通する伸圧共用流路146Aとし、バルブ収容孔114Aにおける伸側流量規制体160と伸側油室流路57B側との空間を圧側油室127Aに連通する伸圧共用流路146Bとし、圧側流量規制体150と伸側流量規制体160とで区画されたセンタープレート145の周囲の環状空間を中間室149とする。また、中間室149は、油溜室流路114Bにより油溜室132(リザーバ室)と連通する。油溜室132は、フリーピストン133により区画される加圧室132Aを反対側に備え、加圧室132A内に封入されたガスにより加圧される。加圧室132Aには、図示しないバルブを介してガスが所定圧で封入される。これにより、作動油Kの温度変化に伴なう体積変化が、フリーピストン133の変位によって吸収されるため、外気温度や、フロントフォーク10の動作による作動油Kの温度上昇などの影響を受けることなく安定した減衰力が得られる。また、油溜室132が加圧室132Aに加圧されることで、中間室149の圧力が油溜室132と同圧となるため、常に正圧が維持され、中間室149及び作動油室Aにおけるキャビテーションの発生が抑制される。なお、フリーピストン133に変えて、ゴム製のブラダーを油溜室132を区画するように設け、このブラダー内に所定圧のガスを封入し、ブラダーにより油溜室132の作動油Kを加圧するようにしても良い。
【0037】
上記油室間流路Fは、伸圧共用流路146A;146B、中間室149と、圧側流量規制体150に設けた圧側流路150A及び伸側流路150Bと、伸側流量規制体160に設けた圧側流路160B及び伸側流路160Aで構成される。
【0038】
図3(a),(b)は、減衰力調整部の拡大図及び伸側減衰力調整部の部分拡大図を示す。同図に示すように、減衰力調整部270は、筒体よりなるバルブピース141の内周側に設けられる。バルブピース141は、大径部142の中空部(大径中空部)142aにおける小径部143側の段部143Dと、小径部143の中空部(小径中空部)143aにおける段部143Dの中央側に位置する開口部144Bとを有するように形成される。このバルブピース141の大径中空部142a及び小径中空部143aが、圧側減衰力発生部250及び伸側減衰力発生部260を迂回して、圧側油室127Aと伸側油室127Bとに作動油Kを流通可能にするバイパス流路141Aとなる。
大径中空部142a及び小径中空部143aからなるバイパス流路141Aには、小径部143の先端側からバイパス流路141A内に流入する作動油Kの流量を規制するニードルバルブ機構が設けられる。
【0039】
減衰力調整部270は、小径部143の小径中空部143a内においてニードルバルブ機構を構成するニードル孔143Bと、大径部142側からバイパス流路141A内に挿入され、ニードル孔143Bの開口部144Aに対して先端側が進退自在に設けられたニードル軸272と、ニードル軸272の外周を包囲するように設けられ、バイパス流路141Aの開口部144Bとニードル軸272との間の隙間を調整して、ニードル軸272の後端側からバイパス流路141Aに流入する作動油Kの流入量を調整する流量調整体279を有する流量調整手段273とで構成される。
このバルブピース141により構成されるバイパス流路141Aは、流量調整体279を収納する大径中空部142aと、当該大径中空部142a側と同一軸に延出する小径中空部143aと、この小径中空部143aの先端から同一軸に延長するニードル孔143Bよりなる。
【0040】
ニードル孔143Bは、小径中空部143a内の中途部分から先端にかけて内径が階段状に縮径するように形成される。この小径部143内におけるニードル孔143Bの開口部144Aに対して進退自在にニードル軸272が流量調整体279側から小径中空部143a内に挿入される。ニードル軸272は、先端にニードル孔143Bとともにニードルバルブ機構を構成するニードル弁272A、後端側にニードル孔143Bに対してニードル弁272Aを進退自在に支持する支持部272Bを有する軸体からなる。ニードル弁272Aは、ニードル孔143Bの直径よりも径大なテーパー状に形成され、ニードル弁272Aをニードル孔143Bの開口部144Aに対して進退させることで、ニードル弁272Aと開口部144Aとの隙間を調整し、小径部143の先端側からバイパス流路141Aに流入する作動油Kの流入量が調整される。
【0041】
ニードル軸272の後部には支持部272Bを有し、この支持部272Bは、後端側の外周に沿って形成されたフランジ部274と、フランジ部274から所定距離離間した位置に外周に沿って窪む係合溝275とを備える。支持部272Bには、ニードル軸272の進退を可能にするニードル軸支持体277が取り付けられる。
ニードル軸支持体277は、大径中空部142aに収容可能な大きさの円板体であって、中心側にニードル軸272が貫通するニードル軸貫通孔277A、このニードル軸貫通孔277Aを挟んで一方にねじ孔277B、他方にガイド孔277Cを備える。
ニードル軸支持体277は、ニードル軸貫通孔277Aにニードル軸272のフランジ部274が接触するまで挿通し、ニードル軸支持体277を貫通した係合溝275にEリングやCリング等の係合部材276を嵌め込んでニードル軸272に一体にされる。なお、ねじ孔277B及びガイド孔277Cについては後述する。
【0042】
ニードル軸支持体277が一体となったニードル軸272には、流量調整手段273が介挿される。
流量調整手段273は、大径中空部142aに収容可能な大きさの円板状に形成された基部278と、基部278の一側面側からテーパー状に突き出る流量調整体279とを有する。
基部278は、中心側にニードル軸272が貫通するとともに、ニードル軸272に形成されたフランジ部274を収容可能な逃げ穴278Aと、ねじ孔278Bと、ガイド孔278Cとを備える。
流量調整体279は、基部278の逃げ穴278Aと同軸に形成され、ニードル軸272を貫通させて、ニードル軸272の後部側外周を摺動可能な隙間zを有するように所定寸法で形成されたニードル軸摺動孔279Aと、外周が先端方向に細径となるテーパーよりなるテーパー面279Bとを備える。
【0043】
ニードル軸摺動孔279Aの内周面には、ニードル軸272との液密状態を維持する封止部材280を収容するための、収容溝279Cがニードル軸摺動孔279Aの内周に沿って環状に窪む凹部として形成される。
この収容溝279Cに収容される封止部材280は、例えばOリングやXリング等のゴム等からなる可撓性を有する環状部材が設けられる。封止部材280は、内径がニードル軸272の外径よりも小径、外径が収容溝279Cの溝底径よりも大径のものが適用される。
テーパー面279Bは、基部278側が、開口部144Bの内径よりも径大に形成され、先端に向かい漸次縮径するように形成される。
すなわち、上記流量調整体279が大径中空部142aに位置し、ニードル軸272が流量調整体279側から小径中空部143aに挿通してニードル孔143Bの開口部144Aまで延長し、ニードル軸272のニードル弁272Aとニードル孔143Bの開口部144Aとでニードルバルブ機構を構成し、流量調整体279と小径中空部143aの開口部144Bとで流量を調整する機能を有する。
【0044】
上述のニードル軸272に一体にされたニードル軸支持体277のねじ孔277B及びガイド孔277Cとを、流量調整手段273の基部278のねじ孔278B及びガイド孔278Cに一致させた状態で、圧側の減衰力の調整を可能にする圧側減衰力調整ボルト170及び伸側の減衰力の調整を可能にする伸側減衰力調整ボルト180が装着される。
【0045】
圧側減衰力調整ボルト170は、先端側にガイド軸171、ヘッド部170A側にガイド軸171よりも径大に形成されたねじ軸172を備える。圧側減衰力調整ボルト170のヘッド部170Aの外周には、後述のバルブキャップ205により当該圧側減衰力調整ボルト170を保持するための円形凹部174と、バルブキャップ205との液密を維持するシール部173とを備える。
伸側減衰力調整ボルト180は、先端側にねじ軸181、ヘッド部180A側にねじ軸181よりも径大に形成されたガイド軸182を備える。伸側減衰力調整ボルト180のヘッド部180Aの外周には、後述のバルブキャップ205により当該伸側減衰力調整ボルト180を保持するための円形凹部184と、バルブキャップ205との液密を維持するシール部183とを備える。
【0046】
流量調整手段273をニードル軸272に貫通させた状態において、基部278のガイド孔278Cとニードル軸支持体277のねじ孔278Bとを同軸となるように配置して、圧側減衰力調整ボルト170のガイド軸171を基部278のガイド孔278Cに挿入し、ねじ軸172をニードル軸支持体277のねじ孔277Bに螺入する。また、基部278のねじ孔278Bとニードル軸支持体277のガイド孔277Cとを同軸となるように配置して、ねじ軸181を基部278のねじ孔278Bに螺入し、ガイド軸182をニードル軸支持体277のガイド孔277Cに挿入する。これにより、圧側減衰力調整ボルト170及び伸側減衰力調整ボルト180が、ニードル軸272及び流量調整体279と一体にされ、圧側減衰力調整ボルト170を回転させることでニードル軸272が軸方向に進退可能となり、伸側減衰力調整ボルト180を回転させることで、流量調整体279がニードル軸272に沿って進退可能に構成される。
【0047】
圧側減衰力調整ボルト170及び伸側減衰力調整ボルト180は、バルブキャップ205により保持される。バルブキャップ205は、内側キャップ210及び外側キャップ220からなる。内側キャップ210は、圧側減衰力調整ボルト170のヘッド部170A及び伸側減衰力調整ボルト180のヘッド部180Aを個別に収容する収容孔211A;211Bとを備える。内側キャップ210の収容孔211A;211Bは、中心軸を含む断面視において同一平面上に設けられている。この収容孔211A;211Bには、中心軸方向に対して直交方向に貫通する貫通孔212A乃至212Cが形成される。貫通孔212A乃至212Cは、同軸状に形成され、貫通孔212Aが内側キャップ210の外周と収容孔211Aとに貫通し、貫通孔212Bが収容孔211Aと収容孔211Bとに貫通し、貫通孔212Cが収容孔211Bと内側キャップ210の外周とに貫通する。この貫通孔212A乃至212Cには、それぞれスプリング213と、チェックボール214とが収容される。
【0048】
具体的には、ヘッド部170A及びヘッド部180Aに形成された複数の円形凹部174;184にチェックボール214が嵌るようにスプリング213で付勢するように構成される。貫通孔212A及び212Cには、収容孔211A;211B側にチェックボール214、内側キャップ210の外周側にスプリング213がそれぞれ設けられる。
内側キャップ210の外周には、円筒状の外側キャップ220がボルト170;180の挿入側から螺合される。外側キャップ220の内周側には、円環状に突出するフランジ部221が形成されており、内側キャップ210の端部に突き当たるまで螺合させることで、貫通孔212A及び212Cにそれぞれ設けたスプリング213;213の一端側が外側キャップ220に支持される。これにより、スプリング213により付勢されたチェックボール214が、圧側減衰力調整ボルト170及び伸側減衰力調整ボルト180の円形凹部174;184に嵌まる。
【0049】
また、貫通孔212Bには、スプリング213を挟むように収容孔211A;211B側それぞれにチェックボール214;214が設けられ、収容孔211A;211Bに収容された圧側減衰力調整ボルト170の円形凹部174、伸側減衰力調整ボルト180の円形凹部184にスプリング213により付勢されたチェックボール214がそれぞれ嵌まる。すなわち、圧側減衰力調整ボルト170及び伸側減衰力調整ボルト180は、貫通孔212A乃至212Cに設けたスプリング213によって付勢されたチェックボール214がヘッド部170Aの円形凹部174及びヘッド部180Aの円形凹部184に嵌まることでバルブキャップ205に支持される。
【0050】
上述のように減衰力調整部270は、バルブキャップ205に一体にされた状態で、ニードル軸272をバルブピース141のバイパス流路141Aに挿入しつつ、内側キャップ210を外側キャップの220のフランジ部221がバルブピース141の大径部142の外周に設けられたフランジ部142Bに突き当たるまで、大径部142の外周に螺合させることで、1つの減衰力発生ユニット140Aとなる。このとき、ニードル軸272のニードル弁272Aがニードル孔143Bの開口部144Aに対し、流量調整体279のテーパー面279Bがバイパス流路141Aの開口部144Bに対して所定の隙間n1;n2が生じるように調整される。
この減衰力発生ユニット140Aは、上述したようにバルブ収容孔114Aに収容される。
【0051】
図4(a),(b)は、フロントフォーク10の圧側行程及び伸側行程における減衰力発生装置140内の作動油Kの流れを示す図である。以下、同図を用いて、フロントフォーク10の圧側行程及び伸側行程における減衰力調整部270の動作について説明する。
[圧側行程]
フロントフォーク10が収縮する圧側行程では、ピストン40の圧側動作により加圧された圧側油室127Aの作動油Kが、圧側油室流路57Aを介して減衰力発生装置140内の伸圧共用流路146Aに押し出され、
図4(a)の実線矢印f1及び破線矢印f4で示すように、圧側減衰力発生部250とバイパス流路141Aに向けて流れる。
伸圧共用流路146Aから圧側減衰力発生部250に流れた作動油Kは、圧側流量規制体150の圧側流路150A側に、圧側流量規制体150と伸側チェック弁162との間にあらかじめ設けた隙間から圧側流路150Aに流れ込み、圧側減衰バルブ151を押し開いて圧側減衰力を発生させる。この圧側減衰バルブ151から中間室149に流出した作動油Kは、センタープレート145の外周を回り込み、中間室149において図中実線矢印f2,f3で示すように2つに分流される。実線矢印f2で示す一方が、伸側流量規制体160の圧側流路160Bの圧側チェック弁152から伸圧共用流路146B、伸側油室流路57Bを経て伸側油室127Bに流出し、実線矢印f3で示す他方が、中間室149から油溜室流路114Bを経て油溜室132に流出する。
【0052】
また、バルブピース141の先端からバイパス流路141Aに流入した作動油Kは、ニードル孔143B及びニードル弁272Aで形成された隙間n1を経てニードル軸272に沿って流れ、主としてバルブピース141の小径部143の中途に設けられた流路孔143Aからセンタープレート145の流路孔145Bを経て破線矢印f5で示すように中間室149に流出する。この中間室149に流出した作動油Kは、上述した圧側流路150Aを経由した作動油Kと合流し、実線矢印f2で示すような伸圧共用流路146Bに向かう流れと、実線矢印f3で示すように中間室149から油溜室流路114Bを経て油溜室132へ向かう流れとに分流される。油溜室132へ向かう流れは、加圧室132Aからの圧力によって所定圧力に規制されるため、実質的には、中間室149から伸側油室127Bへ向かう流れが主流となる。
フロントフォーク10の圧縮工程時にシリンダ内でピストン40により加圧された圧側油室127Aの作動油Kが伸側油室127Bに向かう流量は、ニードル弁272Aのニードル孔143Bの開口部144Aに対する進退量を圧側減衰力調整ボルト170で調整することにより、ニードル弁272Aとニードル孔143Bとの隙間n1の面積を変化させて調整される。
【0053】
[伸側行程]
フロントフォーク10が伸長する伸側行程では、ピストン40の伸側動作により加圧された伸側油室127Bの作動油Kが、伸側油室流路57Bを介して減衰力発生装置140の伸圧共用流路146Bに押し出され、
図4(b)の実線矢印g1及び破線矢印g4で示すように、伸側減衰力発生部260とバイパス流路141Aに向けて流れる。
伸圧共用流路146Bから伸側減衰力発生部260に流れた作動油Kは、伸側流量規制体160の伸側流路160Aと圧側チェック弁152との間にあらかじめ設けた隙間から伸側流路160Aに流れ込み、伸側減衰バルブ161を押し開いて伸側減衰力を発生させる。この伸側減衰バルブ161から中間室149に流出した作動油Kは、センタープレート145の周りを回り込み、中間室149において図中実線矢印g2,g3で示すように2つに分流される。実線矢印g2で示す一方が、圧側流量規制体150の伸側流路150Bの伸側チェック弁162を押し開き、伸圧共用流路146Aを経て圧側油室流路57Aを通って圧側油室127Aに流出し、実線矢印g3で示す他方が中間室149から油溜室流路114Bを経て油溜室132に流出する。
【0054】
また、伸圧共用流路146Bから大径部142の流路孔142Aを経ての大径部142側からバイパス流路141Aに流入した作動油Kは、
図4(b)の拡大図破線矢印g6に示すように、流量調整体279のテーパー面279Bと、小径部143の内周側の開口部144Bとの隙間n2を経てニードル軸272に沿って流れる。このとき破線矢印g7で示すように流量調整体279のニードル軸摺動孔279Aの隙間Zに進入した作動油Kは封止部材280によりせき止められ、また、破線矢印g8で示すように隙間Zの一端側から進入した作動油Kも封止部材280によりせき止められるので、伸圧共用流路146Bから大径部142の流路孔142Aを経ての大径部142内に流入した作動油Kは、すべて隙間n2を流れることになる。この隙間n2を経てニードル軸272に沿って流れた作動油Kは、主としてバルブピース141の中途に設けられた流路孔143Aからセンタープレート145の流路孔145Bを経て破線矢印g5で示すように中間室149に流出する。この中間室149に流出した作動油Kは、上述した伸側減衰力発生部260の伸側流路160Aを経由した作動油Kと合流し、実線矢印g2で示すような伸圧共用流路146Aに向かう流れと、実線矢印g3で示すように中間室149から油溜室132へ向かう流れとに分流される。油溜室132へ向かう流れは、加圧室132Aからの圧力によって所定圧力に規制されるため、実質的には、中間室149から圧側油室127Aへ向かう流れが主流となる。
したがって、フロントフォーク10の伸長工程時にシリンダ内でピストン40により加圧された伸側油室127Bから圧側油室127Aに向かう流量は、ニードル軸272に介挿された流量調整体279のテーパー面279Bの開口部144Bに対する進退量を伸側減衰力調整ボルト180で調整することにより、テーパー面279Bと開口部144Bとの隙間n2を変化させて調整される。すなわち、流量調整体279のテーパー面279Bが小径部143の開口部144Bに近接することで両者の隙間が小さくなってバイパス流路141Aを流通する流量が少なくなり大きな減衰力が得られる。また、その逆に、流量調整体279のテーパー面279Bが小径部143の開口部144Bから離間することで両者の隙間が大きくなってバイパス流路141Aを流通する流量が多くなり、小さな減衰力が得られることになる。
【0055】
以上説明したように、減衰力発生装置140の減衰力調整部270の伸側の減衰力を調整可能にする流量調整体279と、ニードル軸272との間に形成される隙間zが封止部材280によって封止されているため、ニードル軸272の挿入側からバイパス流路141Aからニードル軸272に沿って流入する作動油Kは、流量調整体279のテーパー面279Bと、バイパス流路141Aの開口部144Bとの隙間のみを流通することになるので、フロントフォーク10の動作時や、地理的な使用環境の気温の影響等による温度上昇にともなって作動油Kの粘度が低下しても安定した減衰力を得ることができる。加えて、このように封止部材280を設けたことで、ニードル軸272や流量調整体279の製造時において、ニードル軸272の外径寸法と、ニードル軸272が貫通する流量調整体279のニードル軸摺動孔279Aの内径寸法とに、許容できる寸法公差を大きくできるので、ニードル軸272や流量調整体279の製造不良の発生が抑制されるため、生産効率を向上させることができる。
また、減衰力発生装置140を一つの油室間流路F上に直列に並設したことで、減衰力発生装置140内を流通する流量が増加するとともに、減衰力の調整を可能とするバイパス流路141Aの流量が増加するため、その調整範囲を従来よりも大きくすることができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、以下に示すように構成しても良い。
【0057】
流量調整体279に設ける封止部材280は、上記において例示したOリングやXリングに限定されず、オイルシール等により流量調整体279とニードル軸272との隙間を封止しても良い。
また、バイパス流路141A内に流入する流量の調整機構は、上記実施形態に限定されず、例えば、流量調整手段273の流量調整体279をテーパー状ではなく、円筒状であっても良い。例えば、流量調整体279は、外周が、ニードル孔143Bに進入可能な小径軸部と、この小径軸部の同軸上に連続するように小径軸部よりも大径でニードル孔143Bの開口部144Bを閉塞可能な大きさの大径軸部とを有するように形成したものや、小径中空部143aの口径よりも大きな外径を有する円筒状の大径体とし、大径体の先端面を小径部143の開口部144Bに向けて進退させて、大径体の端面により開口部144Bにフタをするように、バイパス流路141A内に流入する流量を調整するように構成したものであっても良い。
また、上記実施形態では、減衰力発生ユニット140Aにおいてバルブピース141の大径部142側に伸側減衰力発生部260、バルブピース141の先端側に圧側減衰力発生部250を設けるものとして説明したが、例えば、圧側油室127Aからの作動油Kを流通させる圧側油室流路57Aと、伸側油室127Bからの作動油Kを流通させる伸側油室流路57Bとがバルブ収容孔114Aに開口する位置関係が逆の場合には、バルブピース141の大径部142側に圧側減衰力発生部250、バルブピース141の先端側に伸側減衰力発生部260を設ければ良い。この場合、減衰力調整部270のニードル孔側の隙間n1によって伸側の減衰力が調整され、流量調整体279側の隙間n2によって圧側の減衰力が調整されることになる。
【0058】
また、本実施形態では、フロントフォークにおける油圧緩衝器に本発明を適用した例を示したが、フロントフォークに限定されず、リアクッションなどの油圧緩衝器においても好適である。