特許第6173140号(P6173140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6173140-部品実装ライン及び部品実装方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173140
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】部品実装ライン及び部品実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20170724BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   H05K13/00 Z
   H05K13/08 D
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-189537(P2013-189537)
(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公開番号】特開2015-56539(P2015-56539A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【弁理士】
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】永田 吉識
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−243940(JP,A)
【文献】 特開平06−112699(JP,A)
【文献】 特開2006−237522(JP,A)
【文献】 特開2006−310335(JP,A)
【文献】 特開平04−111499(JP,A)
【文献】 特開平10−150295(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/147766(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の実装面に部品が実装された回路基板を上下反転して他方の実装面を上向きにした状態で該回路基板を少なくとも1台の部品実装機に搬入して前記他方の実装面に部品を実装する部品実装ラインにおいて、
最上流の部品実装機より上流側又は前記最上流の部品実装機の内部に、検査位置に搬入した前記回路基板の下側の実装面の検査対象を検査する検査装置が配置され、
前記検査装置は、前記検査位置に搬入した前記回路基板の下側の実装面の検査対象に通電する電源用プローブと、前記検査位置に搬入した前記回路基板の下側の実装面の検査対象を検査する検査用プローブとを備え、前記電源用プローブと前記検査用プローブは、前記回路基板の上側の実装面に部品を実装する前に該回路基板の所定位置に電気的に接触して該回路基板の下側の実装面の検査対象に通電して該検査対象を検査するように構成されていることを特徴とする部品実装ライン。
【請求項2】
前記検査位置に搬入した前記回路基板の下側の実装面に実装された部品のうちのソフトウエアで動作する集積回路部品にソフトウエアを書き込むソフト書込み用プローブを備え、
前記ソフト書込み用プローブは、前記検査位置に搬入した前記回路基板の上側の実装面に部品を実装する前に前記集積回路部品のソフト書込み用端子に電気的に接触して該集積回路部品にソフトウエアを書き込むように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の部品実装ライン。
【請求項3】
前記検査用プローブによって検査対象となる部品の特性及び/又は回路ブロックの特性を検査し、該部品の特性及び/又は回路ブロックの特性を調整する特性調整用の部品を、部品実装ラインの各部品実装機にセットした複数のフィーダにより供給可能な複数種の部品の中から選択して前記回路基板の上側の実装面に実装することを特徴とする請求項1又は2に記載の部品実装ライン。
【請求項4】
前記検査用プローブによって検査した部品の特性及び/又は回路ブロックの特性が要求特性の範囲内に収まっているか確認し、要求特性の範囲から外れていることを検出したときにそれを表示及び/又は音声で警告することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の部品実装ライン。
【請求項5】
前記検査用プローブによって検査対象を動作させて動作確認を行い、動作不良を検出したときにそれを表示及び/又は音声で警告することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の部品実装ライン。
【請求項6】
前記検査用プローブによる検査で不合格となった回路基板を排出する排出コンベアが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の部品実装ライン。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の部品実装ラインを使用して、一方の実装面に部品が実装された回路基板を上下反転して他方の実装面を上向きにした状態で該回路基板を少なくとも1台の部品実装機に搬入して前記他方の実装面に部品を実装する部品実装方法において、
実装後の検査が必要な部品を、回路基板の先に実装する一方の実装面に他方の実装面よりも多く存在させるか又は前記一方の実装面のみに存在させるように前記回路基板の一方の実装面に部品を実装してリフロー工程を実行した後、該回路基板を上下反転して他方の実装面を上向きにした状態で該回路基板を前記部品実装ラインに搬入して該回路基板の先に実装した一方の実装面の検査対象を前記検査用プローブにより検査し、その検査に合格した回路基板の他方の実装面に部品を実装することを特徴とする部品実装方法。
【請求項8】
請求項2に記載の部品実装ラインを使用して、ソフトウエアで動作する集積回路部品を回路基板に実装する部品実装方法において、
ソフトウエアで動作する集積回路部品を含む部品を、回路基板の先に実装する一方の実装面に実装してリフロー工程を実行した後、該回路基板を上下反転して他方の実装面を上向きにした状態で該回路基板を前記部品実装ラインに搬入して該回路基板の先に実装した一方の実装面の集積回路部品のソフト書込み用端子に前記ソフト書込み用プローブを電気的に接触させて該集積回路部品にソフトウエアを書き込むと共に、前記一方の実装面の検査対象を前記検査用プローブにより検査し、その検査に合格した回路基板の他方の実装面に部品を実装することを特徴とする部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の実装面に部品が実装された回路基板を上下反転して他方の実装面を上向きにした状態で該回路基板を搬入して前記他方の実装面に部品を実装する部品実装ラインに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
部品を実装した部品実装基板を生産する部品実装ラインにおいては、半田印刷機、接着剤塗布装置、部品実装機、リフロー装置等を基板の搬送ラインに沿って配置し、その搬送ラインの上流側から回路基板を搬送して、上記各装置を順番に通過することで、基板面への半田の印刷や部品の実装等の各工程を経て部品実装基板を生産するようにしている。このような部品実装ラインでは、特許文献1(特開2011−119429号公報)や特許文献2(特開2011−243884号公報)に記載されているように、部品実装ラインの途中に、外観検査装置を設けて、基板面の半田印刷状態や部品の実装状態をカメラで撮像して外観検査して、印刷不良や実装不良を検出したときに、当該不良基板を部品実装ラインから回収するようにしたものがある。
【0003】
しかし、部品実装ラインの途中に設けた外観検査装置による外観検査では、外観に現れる不良を検出できるだけで、外観に現れない不良は検出できないため、外観検査を通って部品実装ラインで生産した全ての部品実装基板を最終的に製品検査装置(特許文献3参照)で機能検査、通電検査、X線検査等を行い、不良基板を発見して廃棄するようにしている。
【0004】
また、基板両面に部品を実装した両面実装基板を生産する場合は、回路基板を部品実装ラインに搬入して該回路基板の一方の実装面に部品を実装した後、該回路基板を上下反転して他方の実装面を上向きにした状態で該回路基板を部品実装ラインに搬入して前記他方の実装面に部品を実装するようにしている。
【0005】
この両面実装基板の検査方法に関しては、特許文献4(特開2004−356131号公報)、特許文献5(特開2008−186879号公報)に記載されているように、X線透過撮影装置を使用して、両面実装基板をX線撮影して両面実装基板のX線透過画像を取得し、このX線透過画像を用いて、基板両面の部品の実装状態やバンプの欠陥等を検査するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−119429号公報
【特許文献2】特開2011−243884号公報
【特許文献3】特開2006−237522号公報
【特許文献4】特開2004−356131号公報
【特許文献5】特開2008−186879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の両面実装基板の検査方法では、基板両面に全ての部品を実装した後に検査するようになっているため、基板両面に実装する多数の部品の中に不良部品が1つでもあれば、検査で不合格となり、他の部品が無駄になってしまい、生産コストの増加につながる欠点がある。
【0008】
また、部品実装ラインの途中に設けた外観検査装置によって、基板面の半田印刷状態や部品の実装状態をカメラで撮像して外観検査しても、外観に現れない不良は検出できないため、上記と同様の欠点がある。
【0009】
また、ソフトウエアで動作する集積回路部品を実装する場合、基板両面に集積回路部品を含む全ての部品を実装した後に集積回路部品にソフトウエアを書き込むようにしているため、ソフトウエア書き込み装置が別途必要となる。
【0010】
また、回路基板に実装した部品の特性や回路ブロックの特性を特性調整用の部品で調整する場合、生産ジョブ(生産プログラム)によって特性調整用の部品を指定して回路基板に実装するようにしているが、回路基板に実装した部品の特性や回路ブロックの特性は、回路基板毎にばらついているため、生産ジョブで指定した特性調整用の部品の特性が先に実装した部品の特性や回路ブロックの特性に適したものになるとは限らない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記した複数の課題のうちの少なくとも1つの課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、一方の実装面に部品が実装された回路基板を上下反転して他方の実装面を上向きにした状態で該回路基板を少なくとも1台の部品実装機に搬入して前記他方の実装面に部品を実装する部品実装ラインにおいて、最上流の部品実装機より上流側又は前記最上流の部品実装機の内部に、検査位置に搬入した前記回路基板の下側の実装面の検査対象を検査する検査装置が配置され、前記検査装置は、前記検査位置に搬入した前記回路基板の下側の実装面の検査対象に通電する電源用プローブと、前記検査位置に搬入した前記回路基板の下側の実装面の検査対象を検査する検査用プローブとを備え、前記電源用プローブと前記検査用プローブは、前記回路基板の上側の実装面に部品を実装する前に該回路基板の所定位置に電気的に接触して該回路基板の下側の実装面の検査対象に通電して該検査対象を検査するように構成されている。
【0013】
この構成では、回路基板の上側の実装面に部品を実装する前に、回路基板の下側の実装面の検査対象に通電して該検査対象を検査するため、回路基板の上側の実装面に部品を実装する前に、外観に現れない不良も検出することができ、対処することができる。
【0014】
更に、本発明は、請求項2のように、前記検査位置に搬入した前記回路基板の下側の実装面に実装された部品のうちのソフトウエアで動作する集積回路部品にソフトウエアを書き込むソフト書込み用プローブを備え、前記ソフト書込み用プローブは、前記検査位置に搬入した前記回路基板の上側の実装面に部品を実装する前に前記集積回路部品のソフト書込み用端子に電気的に接触して該集積回路部品にソフトウエアを書き込むように構成しても良い。このようにすれば、回路基板の上側の実装面に部品を実装する前に、回路基板の下側の実装面に実装された集積回路部品にソフトウエアを書き込むことができ、該集積回路部品の動作確認も可能となる。
【0015】
また、請求項3のように、前記検査用プローブによって検査対象となる部品の特性及び/又は回路ブロックの特性を検査し、該部品の特性及び/又は回路ブロックの特性を調整する特性調整用の部品を、部品実装ラインの各部品実装機にセットした複数のフィーダにより供給可能な複数種の部品の中から選択して前記回路基板の上側の実装面に実装するようにしても良い。このようにすれば、回路基板に実装した部品の特性や回路ブロックの特性が回路基板毎にばらついていても、その特性を実測して該部品の特性や回路ブロックの特性に適した特性の特性調整用の部品を選択して回路基板の上側の実装面に実装することができ、該部品の特性や回路ブロックの特性のファインチューニングが実装工程で可能となる。
【0016】
また、請求項4のように、前記検査用プローブによって検査した部品の特性及び/又は回路ブロックの特性が要求特性の範囲内に収まっているか確認し、要求特性の範囲から外れていることを検出したときにそれを表示及び/又は音声で警告するようにしても良い。
【0017】
或は、請求項5のように、前記検査用プローブによって検査対象を動作させて動作確認を行い、動作不良を検出したときにそれを表示及び/又は音声で警告するようにしても良い。
【0018】
更に、請求項6のように、前記検査用プローブによる検査で不合格となった回路基板を排出する排出コンベアを設けるようにすると良い。このようにすれば、検査で不合格となった回路基板を排出コンベアにより自動的に排出することができる。
【0019】
また、請求項7のように、実装後の検査が必要な部品を、回路基板の先に実装する一方の実装面に他方の実装面よりも多く存在させるか又は前記一方の実装面のみに存在させるように前記回路基板の一方の実装面に部品を実装してリフロー工程を実行した後、該回路基板を上下反転して他方の実装面を上向きにした状態で該回路基板を前記部品実装ラインに搬入して該回路基板の先に実装した一方の実装面の検査対象を前記検査用プローブにより検査し、その検査に合格した回路基板の他方の実装面に部品を実装するようにすると良い。このように、実装後の検査が必要な部品を、回路基板の先に実装する一方の実装面に他方の実装面よりも多く存在させるか又は前記一方の実装面のみに存在させるように前記回路基板の一方の実装面に部品を実装すれば、回路基板の他方の実装面に部品を実装する前に、多くの検査を済ませることができ、不良を早期に検出して、その後の無駄な部品の実装を防ぐことができる。
【0020】
また、請求項8のように、ソフトウエアで動作する集積回路部品を回路基板に実装する場合は、その集積回路部品を含む部品を、回路基板の先に実装する一方の実装面に実装してリフロー工程を実行した後、該回路基板を上下反転して他方の実装面を上向きにした状態で該回路基板を前記部品実装ラインに搬入して該回路基板の先に実装した一方の実装面の集積回路部品のソフト書込み用端子に前記ソフト書込み用プローブを電気的に接触させて該集積回路部品にソフトウエアを書き込むと共に、前記一方の実装面の検査対象を前記検査用プローブにより検査し、その検査に合格した回路基板の他方の実装面に部品を実装するようにすると良い。このようにすれば、回路基板の他方の実装面に部品を実装する前に、集積回路部品の動作確認を行うことができ、集積回路部品の動作不良を早期に検出して、その後の無駄な部品の実装を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明の実施例1の部品実装ラインの構成を示すブロック図である。
図2図2は検査装置の基板アンクランプ時(基板搬送時)の状態を示す縦断面図である。
図3図3は検査装置の基板クランプ時(検査時)の状態を示す縦断面図である。
図4図4は本発明の実施例1の両面実装基板生産管理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は本発明の実施例2の部品実装ラインの構成を示すブロック図である。
図6図6は本発明の実施例2の両面実装基板生産管理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した2つの実施例1,2を説明する。
【実施例1】
【0023】
本発明の実施例1を図1乃至図4に基づいて説明する。
まず、図1に基づいて部品実装ラインの構成を説明する。
回路基板11を搬送する搬送ライン12には、回路基板11に部品を実装する複数台(少なくとも1台)の部品実装機13と、部品実装に関連する作業を行う実装関連機(部品実装機以外の装置)が配列されている。ここで、実装関連機は、例えば、半田印刷機14、リフロー装置15、接着剤塗布装置、外観検査装置等である。本実施例1では、部品実装ラインの最上流(先頭)に半田印刷機14が配置され、部品実装ラインの最下流(最後尾)にリフロー装置15が配置されている。
【0024】
各部品実装機13には、それぞれ部品を供給する複数のフィーダ16が交換可能にセットされている。図示はしないが、各部品実装機13の実装ヘッドには、フィーダ16から供給される部品を吸着して回路基板11に実装する1本又は複数本の吸着ノズルが保持されている。
【0025】
部品実装ラインの複数台の部品実装機13のうちの最上流の部品実装機13よりも上流側には、検査位置に搬入した回路基板11の下側の実装面の検査対象を検査する検査装置20が配置されている。本実施例1では、部品実装ラインの最上流に配置した半田印刷機14の下流側に検査装置20が配置されているが、半田印刷機14の上流側(部品実装ラインの最上流)に検査装置20を配置しても良い。
【0026】
次に、図2及び図3を用いて検査装置20の構成を説明する。
検査装置20は、回路基板11を搬送するコンベア21と、コンベア21で搬入した回路基板11を検査位置でクランプする基板クランプ装置22とを備えている。コンベア21は、回路基板11の左右両側縁部を載せて搬送するように2本のコンベアベルト21aで構成され、片方のコンベアベルト21aを保持するサイドプレート23を回路基板11の幅に応じてその幅方向(Y方向)に移動させることで、回路基板11の幅に応じてコンベア21の幅(2本のコンベアベルト21aの間隔)を調整できるようになっている。各サイドプレート23の上端部内側には、回路基板11の搬送方向をガイドするガイド部24と、回路基板11の左右両側縁部を上方から押さえるフランジ状のクランプ部25とが形成されている。
【0027】
検査装置20には、後述する検査用プローブ25を載せるバックアッププレート26が水平に設けられている。このバックアッププレート26は、鉄等の磁性材料で形成され、検査用プローブ25をその下部に設けた磁石(図示せず)によりバックアッププレート26上の任意の位置に吸着保持できるようになっている。検査用プローブ25は、図3に示すように、基板クランプ時(バックアッププレート26の上昇時)に回路基板25の下面の検査パッド(図示せず)に電気的に接触するように配置されている。バックアッププレート26は、昇降機構28によって昇降するように構成され、下降動作時の下限位置が図2に示す基板アンクランプ位置となり、上昇動作時の上限位置が図3に示す基板クランプ位置となる。
【0028】
バックアッププレート26の両側部には、それぞれ支持部材29を介してプレート状のリフト部材30がコンベア21の幅方向両側(各コンベアベルト21aの内側)に位置するように取り付けられている。各リフト部材30の内側には、回路基板25の下面の検査対象に通電する電源用プローブ31が基板クランプ時に回路基板11の下面の電源端子部(図示せず)に電気的に接触するように設けられている。尚、電源用プローブ31をバックアッププレート26上に配置しても良いし、検査用プローブ25をリフト部材30の内側に設けるようにしても良い。
【0029】
図2に示すように、バックアッププレート26が基板アンクランプ位置に下降した状態では、バックアッププレート26上の検査用プローブ25と電源用プローブ31の上端が回路基板11の下面の先付け部品27の下端よりも低い位置にあり、回路基板11の搬送時に検査用プローブ25や電源用プローブ31が回路基板11の下面の先付け部品27と干渉しないようになっている。
【0030】
一方、図3に示すように、バックアッププレート26が基板クランプ位置に上昇した状態では、バックアッププレート26上の検査用プローブ25と電源用プローブ31の上端がコンベア21の搬送面(コンベアベルト21aの上面)と同一高さまで上昇して、電源用プローブ31の上端が回路基板11の下面の検査パッド(図示せず)に電気的に接触する。また、バックアッププレート26が基板クランプ位置に上昇する際に、リフト部材30がバックアッププレート26と一体的に上昇して、リフト部材30の内側の電源用プローブ31の上端が回路基板25の下面の電源端子部(図示せず)に電気的に接触すると共に、サイドプレート23の上端のクランプ部22とリフト部材30との間に回路基板11の左右両側縁部を挟み込んでクランプする。
【0031】
検査装置20の内部(又は外部)には、検査用プローブ25と電源用プローブ31が接続された検査ユニット32(図1参照)が設けられ、検査ユニット32から電源用プローブ31を通して回路基板11の下面の検査対象に通電しながら、検査用プローブ25を通して検査対象の電気的な特性(例えばL,C,R,LEDの順電圧降下Vf 等)を検査ユニット32により計測する。また、検査装置20には、検査で不合格となった回路基板11を排出する排出コンベア(図示せず)が設けられている。
【0032】
図1に示すように、部品実装ラインの生産を管理する生産管理コンピュータ41には、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置42と、LCD、EL、CRT等の表示装置43と、図4の両面実装基板生産管理プログラム等の各種プログラムやデータ等を記憶した記憶装置44等が接続されている。生産管理コンピュータ41は、図4の両面実装基板生産管理プログラムを実行することで、部品実装ラインの各装置の動作を制御して両面実装基板を次のようにして生産する。
【0033】
生産の準備段階で、予め、検査装置20で検査を行う内容を決めておき、その検査対象となる部品や回路ブロックを、回路基板11の先に実装する一方の実装面(本実施例1ではボトム面)のみに実装するように回路基板11の両面のパターン設計を行っておく。要は、実装後の検査が必要な部品を、回路基板11の先に実装する一方の実装面に他方の実装面(本実施例1ではトップ面)よりも多く存在させるか又は前記一方の実装面のみに存在させるように回路基板11の両面のパターン設計を行っておく。更に、回路基板11の先に実装する一方の実装面の検査対象となる部品の特性や回路ブロックの特性を調整する特性調整用の部品を、他方の実装面に実装するように回路基板11の両面のパターン設計を行っておく。
【0034】
その後、両面実装基板を生産する場合は、まず、回路基板11のボトム面を上向きにした状態で該回路基板11を部品実装ラインに投入し、半田印刷機14で回路基板11のボトム面のランドにペースト状の半田を印刷する(ステップ101)。この後、回路基板11を検査装置20を素通りさせて各部品実装機13へ搬送し、該回路基板11のボトム面に部品27を実装する(ステップ102)。
【0035】
この後、回路基板11をリフロー装置15へ搬送して該回路基板11のボトム面の半田をリフローして部品27をボトム面に半田付けする(ステップ103)。この後、回路基板11を上下反転して他方の実装面であるトップ面を上向きにした状態で該回路基板11を部品実装ラインに再投入する(ステップ104)。この作業は、作業者が手作業で行っても良いし、回路基板11を上下反転して部品実装ラインの最上流に搬送する装置を設けて、リフロー工程後の回路基板11の上下反転と搬送を自動化するようにしても良い。
【0036】
この後、半田印刷機14で回路基板11のトップ面のランドにペースト状の半田を印刷する(ステップ105)。この後、回路基板11を検査装置20へ搬送し、回路基板11のボトム面の検査対象の電気的な特性(例えばL,C,R,LEDの順電圧降下Vf 等)を次のようにして検査する(ステップ106)。
【0037】
まず、検査装置20内の検査位置で回路基板11の搬送を停止させて、図3に示すように、バックアッププレート26とリフト部材30を基板クランプ位置まで上昇させて、サイドプレート23の上端のクランプ部22とリフト部材30との間に回路基板11の左右両側縁部を挟み込んでクランプする。このクランプ動作により、リフト部材30の内側の電源用プローブ31の上端を回路基板25のボトム面の電源端子部に電気的に接触させて検査対象となる部品27や回路ブロックに通電すると共に、バックアッププレート26上の検査用プローブ25の上端を回路基板25のボトム面の検査パッドに電気的に接触させて、検査対象となる部品27や回路ブロックの電気的な特性を計測する。特性計測後は、図2に示すように、バックアッププレート26とリフト部材30を基板アンクランプ位置まで下降させて、回路基板11のクランプを解除して回路基板11の左右両側縁部をコンベア21に載せる。
【0038】
特性計測後に、検査対象となる部品27や回路ブロックの特性が要求特性の範囲内に収まっているか否かを判定することで検査合格/不合格を判定し(ステップ107)、計測した特性が要求特性の範囲から外れていれば、検査不合格と判定して、それを表示装置43等の表示や音声で作業者に警告し(ステップ108)、不合格と判定した回路基板11を排出コンベアで検査装置20から排出する(ステップ109)。排出された回路基板11は、そのまま廃棄するか、或は、不合格と判定された検査対象の部品27を付け替え又は付け直した上で、部品実装ラインに再投入して検査装置20で再検査する。
【0039】
一方、検査合格と判定されれば、検査対象となる部品27の特性や回路ブロックの特性を調整する特性調整用の部品を、部品実装ラインの各部品実装機13にセットした複数のフィーダ16により供給可能な複数種の部品の中から選択して、その部品実装機13に指示する(ステップ110)。
【0040】
検査合格した回路基板11は、検査装置20から各部品実装機13へ搬送し、該回路基板11のトップ面に部品を実装する(ステップ111)。この後、回路基板11をリフロー装置15へ搬送して該回路基板11のトップ面の半田をリフローして部品をトップ面に半田付けして両面実装基板を生産する(ステップ112)。この後、両面実装基板を部品実装ラインの外部の検査装置(図示せず)で検査して、不合格と判定されれば、検査対象の部品を付け替え又は付け直した上で再検査する(ステップ113)。検査合格と判定されれば、両面実装基板の生産工程が完了する。
【0041】
以上説明した本実施例1によれば、部品実装ラインの複数台の部品実装機13のうちの最上流の部品実装機13よりも上流側に、検査用プローブ25と電源用プローブ31を備えた検査装置20を配置し、ボトム面に部品27を実装した回路基板11を上下反転してトップ面を上向きにした状態で該回路基板11を部品実装ラインに投入して検査装置20へ搬送し、電源用プローブ31を通して回路基板11のボトム面の検査対象に通電しながら、検査用プローブ25を通して検査対象の電気的な特性を計測するようにしたので、回路基板11のトップ面に部品を実装する前に、回路基板11のボトム面の検査対象に通電して該検査対象を検査することができる。これにより、回路基板11のトップ面に部品を実装する前に、外観に現れない不良も検出することができ、その後の無駄な部品の実装を防ぐことができる。
【0042】
しかも、本実施例1では、検査用プローブ25によって検査対象となる部品27の特性や回路ブロックの特性を計測し、該部品27の特性や回路ブロックの特性を調整する特性調整用の部品を、部品実装ラインの各部品実装機13にセットした複数のフィーダ16により供給可能な複数種の部品の中から選択して回路基板11のトップ面に実装するようにしたので、回路基板11のボトム面に実装した部品27の特性や回路ブロックの特性が回路基板毎にばらついていても、その特性を実測して該部品27の特性や回路ブロックの特性に適した特性の特性調整用の部品を選択して回路基板11のトップ面に実装することができ、該部品27の特性や回路ブロックの特性のファインチューニングが実装工程で可能となる。
【0043】
更に、本実施例1では、検査装置20に、検査で不合格となった回路基板11を排出する排出コンベアを設けたので、検査で不合格となった回路基板11を排出コンベアにより自動的に排出することができる。但し、本発明は、検査で不合格となった回路基板11を作業者が検査装置20から手作業で取り出すようにしても良い。
【0044】
尚、本実施例1では、同じ部品実装ラインで回路基板11の両面に部品を実装するようにしたが、別の部品実装ラインで回路基板11のボトム面に部品を実装してリフローした後、該回路基板11を上下反転してトップ面を上向きにした状態で該回路基板11を本実施例1の部品実装ラインに投入して、検査、実装、リフロー等の各工程を実行するようにしても良い。
【0045】
また、本実施例1では、回路基板11のボトム面に部品を実装した後にトップ面に部品を実装するようにしたが、これとは逆に、回路基板11のトップ面に部品を実装した後にボトム面に部品を実装するようにしても良いこと言うまでもない。
【実施例2】
【0046】
次に、図5及び図6を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同じ部分については同じ符号を付して説明を簡略化又は省略し、主として異なる部分について説明する。
【0047】
本実施例2では、図5に示すように、部品実装ラインの最上流(先頭)に検査装置20を配置し、その下流側に半田印刷機14と複数台(少なくとも1台)の部品実装機13を配置している。
【0048】
また、本実施例2では、回路基板11の先に実装する一方の実装面であるボトム面にソフトウエアで動作する集積回路部品(図示せず)を実装するように回路基板11の両面のパターン設計を行うと共に、検査装置20のバックアッププレート26上又はリフト部材30の内側に、検査用プローブ25や電源用プローブ31の他に、基板クランプ時に前記集積回路部品のソフト書込み用端子に電気的に接触して該集積回路部品にソフトウエアを書き込むソフト書込み用プローブ(図示せず)を設ける。
【0049】
本実施例2では、生産管理コンピュータ41は、図6の両面実装基板生産管理プログラムを実行することで、部品実装ラインの各装置の動作を制御して両面実装基板を次のようにして生産する。生産の準備段階で、予め、検査装置20で検査を行う内容を決めておき、その検査対象となる部品や回路ブロックを、回路基板11の先に実装する一方の実装面であるボトム面のみに実装するように回路基板11の両面のパターン設計を行っておくと共に、回路基板11のボトム面に、ソフトウエアで動作する集積回路部品を実装するように回路基板11の両面のパターン設計を行っておく。
【0050】
その後、両面実装基板を生産する場合は、まず、回路基板11のボトム面を上向きにした状態で回路基板11を部品実装ラインに搬入し、回路基板11を検査装置20を素通りさせて半田印刷機14へ搬送し、回路基板11のボトム面に半田を印刷する(ステップ201)。この後、ソフトウエアで動作する集積回路部品を含む部品27を各部品実装機13で回路基板11のボトム面に実装した後(ステップ202)、リフロー装置15で回路基板11のボトム面の半田をリフローして部品27をボトム面に半田付けする(ステップ203)。
【0051】
この後、回路基板11を上下反転して他方の実装面であるトップ面を上向きにした状態で該回路基板11を部品実装ラインに再投入して検査装置20へ搬送し(ステップ204)、次のようにして集積回路部品へのソフトウエアの書き込みと検査を行う。検査装置20内の検査位置で回路基板11の搬送を停止させてクランプ動作を行わせることで、サイドプレート23の上端のクランプ部22とリフト部材30との間に回路基板11の左右両側縁部を挟み込んでクランプすると共に、ソフト書込み用プローブを集積回路部品のソフト書込み用端子に電気的に接触させて該集積回路部品にソフトウエアを書き込む(ステップ205)。更に、前記実施例1と同様に、クランプ動作により電源用プローブ31の上端を回路基板25のボトム面の電源端子部に電気的に接触させて検査対象となる集積回路部品等の部品27や回路ブロックに通電すると共に、バックアッププレート26上の検査用プローブ25の上端を回路基板25のボトム面の検査パッドに電気的に接触させて集積回路部品を動作させて、その動作状態を検査すると共に、検査対象となる部品27や回路ブロックの電気的な特性を計測する(ステップ206)。
【0052】
この後、集積回路部品等の検査が合格したか否かを判定し(ステップ207)、検査不合格と判定されれば、それを表示装置43等の表示や音声で作業者に警告し(ステップ208)、不合格と判定した回路基板11を排出コンベアで検査装置20から排出する(ステップ209)。排出された回路基板11は、そのまま廃棄するか、或は、不合格と判定された検査対象の集積回路部品等の部品27を付け替え又は付け直した上で、部品実装ラインに再投入して検査装置20で集積回路部品へのソフトウエアの書き込みや検査を行う。
【0053】
一方、検査合格と判定されれば、検査対象となる部品27等の特性を調整する特性調整用の部品を、部品実装ラインの各部品実装機13にセットした複数のフィーダ16により供給可能な複数種の部品の中から選択して、その部品実装機13に指示する(ステップ210)。検査合格した回路基板11は、検査装置20から半田印刷機14へ搬送し、回路基板11のトップ面に半田を印刷する(ステップ211)。
【0054】
半田印刷後、回路基板11を各部品実装機13へ搬送し、該回路基板11のトップ面に部品を実装する(ステップ212)。この後、回路基板11をリフロー装置15へ搬送して該回路基板11のトップ面の半田をリフローして部品をトップ面に半田付けして両面実装基板を生産する(ステップ213)。この後、両面実装基板を部品実装ラインの外部の検査装置(図示せず)で検査して、不合格と判定されれば、検査対象の部品を付け替え又は付け直した上で再検査する(ステップ214)。検査合格と判定されれば、両面実装基板の生産工程が完了する。
【0055】
以上説明した本実施例2によれば、ソフトウエアで動作する集積回路部品を含む部品を、回路基板11のボトム面に実装してリフロー工程を実行した後、該回路基板11を上下反転してトップ面を上向きにした状態で該回路基板11を部品実装ラインに投入して検査装置20へ搬送し、該回路基板11のボトム面の集積回路部品のソフト書込み用端子にソフト書込み用プローブを電気的に接触させて該集積回路部品にソフトウエアを書き込むと共に、ボトム面の検査対象を検査用プローブ25により検査し、その検査に合格した回路基板11のトップ面に部品を実装するようにしたので、回路基板11のトップ面に部品を実装する前に、集積回路部品の動作確認を行うことができ、集積回路部品の動作不良を早期に検出して、その後の無駄な部品の実装を防ぐことができる。その他、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0056】
尚、本実施例2では、同じ部品実装ラインで回路基板11の両面に部品を実装するようにしたが、別の部品実装ラインで回路基板11のボトム面に集積回路部品等の部品を実装してリフローした後、該回路基板11を上下反転してトップ面を上向きにした状態で該回路基板11を本実施例2の部品実装ラインに投入して、集積回路部品へのソフトウエアを書き込み、検査、実装、リフロー等の各工程を実行するようにしても良い。
【0057】
また、本実施例2では、回路基板11のボトム面に集積回路部品等の部品を実装した後にトップ面に部品を実装するようにしたが、これとは逆に、回路基板11のトップ面に集積回路部品等の部品を実装した後にボトム面に部品を実装するようにしても良いこと言うまでもない。
【0058】
また、上記実施例1,2では、検査装置20を部品実装機13とは別個に設けたが、最上流(先頭)の部品実装機13内に検査装置20を設けても良く、この場合は、部品実装機13内のコンベアと基板クランプ装置を利用して検査装置20を構成すれば良い。
【0059】
また、電源用プローブ及び検査用プローブの配置は、特に限定されるものではなく、適宜変更しても良いことは言うまでもない。また、当該検査装置が電源用プローブのみを用いた態様、更には、電源用プローブ及び検査用プローブの機能を併せ持ったプローブを用いた態様を採用しても良い。
【0060】
その他、本発明を適用可能な部品実装ラインは、図1図5の構成に限定されず、例えば、部品実装機13の台数や実装関連機(部品実装機以外の装置)の種類、各装置の配列等を適宜変更しても良い等、本発明は、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0061】
11…回路基板、12…搬送ライン、13…部品実装機、14…半田印刷機、15…リフロー装置、16…フィーダ、20…検査装置、21…コンベア、22…基板クランプ装置、25…検査用プローブ、26…バックアッププレート、28…昇降機構、30…リフト部材、31…電源用プローブ、32…検査ユニット、41…生産管理コンピュータ、43…表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6