(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明による吸水処理材の一実施形態を示す模式図である。吸水処理材1は、液体を吸収する粒状の吸水処理材である。吸水処理材1は、例えば、猫や犬等の愛玩動物用の排泄物処理材である。
【0011】
吸水処理材1は、内部(主に粒状芯部10の内部)に多数の空隙30を有する。ここで、吸水処理材1全体に占める空隙30の容積割合として定義される空隙率は、20%以上50%以下である。この空隙率は、30%以上50%以下であることが好ましく、40%以上50%以下であることがより好ましい。空隙率は、吸水処理材1の真密度をDt、見かけ密度をDaとしたとき、1−(Da/Dt)で表される。
【0012】
吸水処理材1は、例えば、塩ビ壁紙分級物を主材料とする。ここで、主材料とは、吸水処理材1を構成する材料全体の中で占める重量割合が最も大きい材料をいう。吸水処理材1は、吸水性ポリマー(高吸水性ポリマーを含む。以下同様。)を含有していてもよい。その場合、吸水処理材1における吸水性ポリマーの含有率は、10重量%以下であることが好ましい。
【0013】
本実施形態において吸水処理材1は、粒状芯部10及び被覆層部20を備えている。粒状芯部10は、尿等の液体を吸水及び保水する機能を有する。粒状芯部10は、小塊の形状に形成されていればよく、完全な球形である必要はない。粒状芯部10の形状としては、例えば、柱状体(細長形)、扁平形が考えられる。また、粒状芯部10を構成する材料(芯部材料)としては、保水性能を有している保水性材料であればよく、例えば、紙類、繊維類、木材類、植物類、プラスチック類、ゴム類、有機性汚泥材質を用いることができる。これらを2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】
紙類は、パルプを原材料としているものであれば種類は問わない。バージンパルプはもちろん、各種の廃材を用いることができる。例えば、薄葉紙廃材、衛生用紙廃材、トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー廃材、化粧紙廃材、ちり紙廃材、紙綿廃材、紙タオル廃材、便座シート廃材、新聞紙屑、雑誌屑、バフ粉(主として印刷会社において、製本の切断時や削り時に発生する微細な紙粉)、機械パルプ廃材、化学パルプ廃材、チタン紙廃材、セミケミカルパルプ廃材、綿状パルプ廃材、木材パルプ廃材、古紙パルプの粉砕物、フラッフパルプ、吸水性繊維廃材、不織布廃材、不織布製造時に発生する紙粉、製紙工程において発生する紙粉、衛生材料製造時に発生する紙粉、ラミネート紙廃材、ラミネート紙の印刷屑、ラミネート紙の端屑、ダンボール屑、損紙(衛生材メーカーで発生するトリムロス、製紙メーカーで発生する紙屑等)、包装紙、板紙、使用済み切符、パンチ屑を用いることができる。
【0015】
また、紙類としては、塩ビ壁紙分級物を用いてもよい。塩ビ壁紙分級物とは、塩ビ壁紙を分級することにより得られる、紙類を含む粉粒体をいう。すなわち、分級により塩ビ壁紙から紙類以外の材料を除去したものが、塩ビ壁紙分級物である。ただし、分級により紙類以外の材料を完全に除去することは困難であるため、塩ビ壁紙分級物には、紙類以外の材料がある程度残存していることが通常である。
【0016】
繊維類は、布等の原材料となる糸状の物質であり、種類は問わない。天然繊維であってもよいし化学繊維であってもよい。例えば、繊維工場から廃棄される繊維くず(木綿くず、羊毛くず、麻くず、糸くず、布くず、綿くず、くずまゆ、レーヨンくず、ナイロンくず、ポリエステルくず、ロープくず)を用いることができる。
【0017】
木材類としては、各種廃木材(構造物の廃木材、木製品の製造で発生する廃木材、木製家具、木製パレット、鉋くず、おがくず、バーク類、梱包材くず、板きれ、廃チップ、伐採・伐根で生じた廃木材、剪定枝、木粉等)を用いることができる。
【0018】
植物類は、種類は問わず、例えば、ササ、竹、落葉、刈草はもちろん、植物性残渣であってもよい。ここで、植物性残渣とは、食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業又は飲食店等において原料として使用した植物の固形状の不要物をいう。例えば、ソースかす、しょうゆかす、こうじかす、酒かす、ビールかす、あめかす、海苔かす、でんぷんかす、豆腐かす、オカラ、あんかす、茶殻、焙煎コーヒー豆の抽出残渣、米・麦粉、大豆かす、果実の皮・種子、野菜くず、薬草かす、油かすが挙げられる。
【0019】
プラスチック類は、合成高分子化合物の固形状物質(ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリ塩化ビフェニール、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニリデン、アクリル樹脂、ポリウレタン(ウレタンフォーム)、生分解性プラスチック等)であれば種類は問わない。プラスチック類として、各種廃材を用いてもよい。例えば、廃プラスチック類、廃ポリウレタン、廃スチロール(発泡スチロールを含む)、廃農業用フィルム、各種合成樹脂系包装材料のくず、廃写真フィルム、廃ポリ容器類、電線の被覆くず、ライニングくず、廃ポリマー、塗料かす、接着剤かす、廃ベークランド(プリント基盤等)を用いることができる。
【0020】
また、排泄物処理材の廃材のプラスチックに富む分離産物、紙おむつ廃材(衛生材メーカーで発生する規格外品の紙おむつの外装体など)のプラスチックに富む分離産物、生理用ナプキン廃材のプラスチックに富む分離産物、乳パッド廃材のプラスチックに富む分離産物、汗パッド廃材のプラスチックに富む分離産物、失禁パッド廃材のプラスチックに富む分離産物、動物用シーツ廃材のプラスチックに富む分離産物、寝具用シーツ廃材のプラスチックに富む分級等による分離産物、マスク廃材のプラスチックに富む分離産物、アイマスク廃材のプラスチックに富む分離産物、座席用ヘッドカバー廃材のプラスチックに富む分離産物、塩化ビニル壁紙廃材、枕カバー廃材のプラスチックに富む分離産物、合成樹脂繊維廃材を用いることもできる。
【0021】
また、排泄物処理材の廃材、紙おむつ廃材、生理用ナプキン廃材、乳パッド廃材、汗パッド廃材、失禁パッド廃材、動物用シーツ廃材、寝具用シーツ廃材、マスク廃材、アイマスク廃材、座席用ヘッドカバー廃材、枕カバー廃材を用いることもできる。
【0022】
プラスチック類は灰分が少ないため、それを用いた場合、焼却処分後の減量化が可能となるとともに、焼却時における発熱量を高くすることができる。
【0023】
ゴム類は、伸縮性に優れた高分子材料であれば種類は問わない。天然ゴムであってもよいし合成ゴムであってもよい。ゴム類として、各種廃材を用いてもよい。例えば、廃タイヤ、合成ゴムくずを用いることができる。
【0024】
有機性汚泥としては、例えば、工場廃水等の処理後に残る泥状物質、各種製造業の製造工程において生ずる泥状物質を用いることができる。例えば、製紙スラッジ、パルプスラッジ、下水汚泥、消化汚泥(余剰汚泥)、糊かすを用いることができる。
【0025】
芯部材料として、性状が異なる2種類以上の保水性材料を適宜組み合わせた場合、それらの材料の相乗効果により、保水性能を効果的に向上させることができる。
【0026】
例えば、フラッフパルプ(紙類)と植物性残渣(オカラ等)との組み合わせ、フラッフパルプ(紙類)と植物性残渣(オカラ等)と木材類(木粉)との組み合わせ、フラッフパルプ(紙類)と植物性残渣(オカラ等)と有機性汚泥(パルプスラッジ)との組み合わせ、植物性残渣(オカラ等)と有機性汚泥(パルプスラッジ)との組み合わせ、プラスチック類(塩化ビニル壁紙)と有機性汚泥(パルプスラッジ)との組み合わせが考えられる。
【0027】
また、保水性能が低い保水性材料を用いた場合であっても、他の保水性材料と組み合わせることにより、高い保水性能を実現することが可能である。それゆえ、保水性能が低い材料であっても保水性材料として好適に用いることができるので、保水性材料の選択の幅が広がる。
【0028】
被覆層部20は、粒状芯部10を覆っている。被覆層部20は、粒状芯部10の表面の全体を覆っていてもよいし、粒状芯部10の表面の一部のみを覆っていてもよい。この被覆層部20は、使用時に尿等の液体を吸収した吸水処理材1どうしを付着させて塊状にする機能(塊状化機能)を有する。吸水処理材1に占める被覆層部20の重量割合は、3%以上20%以下であることが好ましい。被覆層部20を構成する材料(被覆材料)としては、例えば、有機質材料及び接着性材料の混合物を用いることができる。
【0029】
有機質材料としては、紙粉、木粉又はオカラを用いることが好適である。紙粉としては、例えば、薄葉紙、薄葉紙廃材、衛生用紙、衛生用紙廃材、トイレットペーパー用紙、トイレットペーパー廃材、ティッシュペーパー用紙、ティッシュペーパー廃材、化粧紙用紙、化粧紙廃材、ちり紙用紙、ちり紙廃材、紙綿、紙綿廃材、紙タオル、紙タオル廃材、便座シート廃材、機械パルプ、機械パルプ廃材、化学パルプ、化学パルプ廃材、セミケミカルパルプ、セミケミカルパルプ廃材、綿状パルプ、綿状パルプ廃材、木材パルプ、木材パルプ廃材、古紙パルプの粉砕物、フラッフパルプ、吸水性繊維廃材、吸水性樹脂を含む紙粉、製本時に発生する紙粉、不織布製造時に発生する紙粉、製紙工程において発生する紙粉、衛生材料製造時に発生する紙粉を用いることができる。これらを2種類以上組み合わせて用いてもよい。何れも、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.3mm以下の粒度の粒状物に粉砕されて使用される。
【0030】
接着性材料としては、公知の各種の物質を用いることができ、例えば、糊料、フェノール樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤、吸水性ポリマーが挙げられる。具体的には、例えば、澱粉(馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、コーンスターチ)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、デキストリン、アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ビニルエステル、ベントナイト、プルラン、カゼイン、ゼラチンが挙げられる。中でも、澱粉、CMC、PVA、又は吸水性ポリマーを用いることが好ましい。これらを2種類以上組み合わせて用いてもよい。なお、澱粉は、α澱粉又はβ澱粉の何れであってもよい。また、吸水性ポリマーは、粒度50μm未満の高吸水性ポリマーであることが好ましい。
【0031】
吸水処理材1の効果を説明する。吸水処理材1においては、空隙率が20%以上である。このように空隙率を大きくすることにより、吸水処理材1の水解性を向上させることができる。したがって、吸水処理材1は、水洗トイレに流して処分するのに適している。ただし、空隙率を大きくし過ぎると、吸水処理材1の製造が困難となる。具体的には、材料を粒状に成形することが困難となる。かかる観点から、空隙率は、50%以下であることが好ましい。
【0032】
さらに、本発明者らは、吸水処理材の空隙率と吸水速度との間にも一定の関係があることを見出した。すなわち、空隙率を20%以上と大きくすることにより、吸水処理材1の水解性だけでなく、吸水速度をも向上させることができる。
【0033】
空隙率が30%以上である場合、吸水処理材1の水解性及び吸水速度を一層向上させることができる。さらに、空隙率が40%以上である場合、吸水処理材1の水解性及び吸水速度をより一層向上させることができる。
【0034】
吸水処理材1の主材料が塩ビ壁紙分級物である場合、塩ビ壁紙分級物は比重の小さい材料であるため、全体として比重の小さい吸水処理材1が得られる。このように吸水処理材1が小さな比重を有する場合、少ない材料で体積を稼ぐことができるため、吸水処理材1の製造コストの低減を図ることができる。
【0035】
さらに、塩ビ壁紙分級物は、塩ビ壁紙そのものに比べて、塩ビの含有量が少ない。このため、吸水処理材1の製造時(特に後述する造粒時)に加熱された場合であっても、塩化水素等のガスの発生を抑制することができる。また、吸水処理材1を焼却した場合のダイオキシンの発生を抑制することができる。それゆえ、吸水処理材1は、水洗トイレに流して処分するのに適しているだけでなく、焼却処分するのにも適している。
【0036】
吸水処理材1が10重量%以下の吸水性ポリマーを含有する場合、吸水処理材1の水解性を阻害することなく、塊状化機能を高めることができる。
【0037】
吸水処理材1は、粒状芯部10と、粒状芯部10を覆う被覆層部20とを備えている。これにより、例えば、吸水・保水機能は主に粒状芯部10に担わせ、塊状化機能は主に被覆層部20に担わせるというように、機能を分担させることができる。そして、粒状芯部10及び被覆層部20の材料として、それぞれの機能に適したものを選択することにより、複数の機能を共に高めることができる。
【0038】
吸水処理材1に占める被覆層部20の重量割合が3%以上20%以下である場合、被覆層部20に塊状化機能をもたせることにより、吸水処理材1の水解性を阻害することなく、塊状化機能を高めることができる。
【0039】
被覆層部20が有機質材料としてオカラを含有する場合、オカラは水解性の高い材料であるため、空隙率の増大による水解性の向上と相俟って、吸水処理材1の水解性が一層向上する。
【0040】
被覆層部20が接着性材料として粒度50μm未満の高吸水性ポリマーを含有する場合、高吸水性ポリマーは微細に粉砕されることにより接着力を増すため、被覆層部20の塊状化機能を高めることができる。
【0041】
続いて、吸水処理材1の製造方法を説明する。この製造方法は、造粒工程、被覆工程、分粒工程、及び乾燥工程を含んでいる。
【0042】
造粒工程においては、芯部材料を破砕機で所定の大きさに粉砕し、当該粉砕された芯部材料を所定の割合でミキサーに投入して混ぜ合わせる。そして、加水した後、当該芯部材料を造粒機によって押出造粒する。このとき、加水量、造粒機におけるダイスの孔径、ダイスとローラーとの間隔等を変えることにより、製造後の吸水処理材1における空隙率を調整することができる。ここで、加水量とは、加水前の芯部材料に対する、加えられた水分量の重量割合をいう。これにより、粒状芯部10が得られる。
【0043】
被覆工程においては、コーティング装置等を用いて、粒状芯部10の周囲に被覆材料を付着させる。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。これにより、被覆層部20が得られる。
【0044】
分粒工程においては、所定の寸法の篩目を有する篩に、前工程で製造された吸水処理材を通過させる。これにより、所定の規格を満たす吸水処理材のみが抽出される。
【0045】
乾燥工程においては、前工程で抽出された吸水処理材を乾燥機で乾燥させる。このとき、乾燥時間や温度等を変えることにより、製造後の吸水処理材1における空隙率を調整することができる。また、乾燥により、粒状芯部10の含水率を適宜調整することにより、粒状芯部10の水分が被覆層部20に遷移して吸水能力が低下してしまうのを防ぐとともに、吸水処理材1の保存時にカビ等が発生するのを防ぐことができる。
【0046】
なお、乾燥工程の後に、香料添加工程を実行してもよい。この工程においては、吸水処理材1の袋詰めに用いられる包装袋内に、香料が入れられる。香料は、例えば、空気と共に包装袋内に噴射される。かかる空気の噴射は、包装袋を拡開するために行われるものである。この工程は、吸水処理材1を包装袋に詰める工程(袋詰め工程)よりも先に行われることが好ましい。
【0047】
上記香料は包装袋内で吸水処理材1に付着するため、芳香性を有する吸水処理材1が得られる。このように包装袋内に香料を入れることにより、それよりも前の工程において製造装置に香料が付着するのを防ぐことができる。したがって、製造後の装置の清掃が容易になる。
【0048】
香料が空気と共に包装袋内に噴射される場合、包装袋内に空気を噴射するための装置と別に、包装袋内に香料を入れるための装置を設ける必要がない。そのため、製造設備の複雑化を回避しつつ、芳香性を有する吸水処理材1を得ることができる。
【0049】
香料添加工程が袋詰め工程よりも先に行われる場合、包装袋内の全体に香料が行き渡った状態で吸水処理材1を詰めることができる。そのため、包装袋内の複数の吸水処理材1に万遍なく香料を付着させ易くなる。
【0050】
また、香料を包装袋内に噴射しているため、香料を包装袋の外で噴射する場合(例えば、包装袋に詰められる前の吸水処理材1に噴射する場合)に比べて、無駄になる香料の量を少なくすることができる。
【0051】
本発明による吸水処理材は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、粒状芯部10及び被覆層部20からなる複層構造の吸水処理材1を示した。しかし、吸水処理材1は、単層構造であってもよい。すなわち、被覆層部20を設けることは必須でない。
【実施例】
【0052】
表1に示すように、造粒時の加水量を変えて、4種類の吸水処理材(サンプル1〜4)を製造した。すなわち、造粒工程における加水量を15%、20%、25%及び30%としたものを、それぞれ、サンプル1、2、3及び4とした。何れのサンプルについても、被覆層部のない単層構造とし、90重量%の塩ビ壁紙分級物及び10重量%の吸水性ポリマーを材料とした。造粒機としては、ダルトン社製のディスクペレッター(F−20型)を用いた。インバータ設定値は40、ダイスの厚みは20mm、ダイスの孔径は3mm、ダイスとローラーとの間隔は8mmとした。
【0053】
【表1】
【0054】
本実施例における空隙率は、断面空隙率で代用した。断面空隙率は、各サンプルの断面積(空隙部分を含んだ断面積)に対する空隙部分の面積の割合として定義される。断面としては、各サンプルの長軸に垂直で、かつ当該長軸の略中心部を通る断面が選択される。
【0055】
断面空隙率は、次のようにして計測した。まず、各サンプルを樹脂片に埋め込んで固定した状態で、その断面を研磨した後、当該断面の画像を撮影した。続いて、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング社製「A像くん」)により、上記断面における空隙部分の面積割合、すなわち断面空隙率を計測した。その結果、サンプル1、2、3及び4の空隙率は、それぞれ、15%、19%、37%及び50%であった。
【0056】
表1中の「水解性」は、次のようにして計測した。500ccのビーカーにサンプル10g及び水400ccを入れた状態で、マグネットスターラーで撹拌した。マグネットスターラーの回転数は250rpmとした。そして、撹拌を開始してから、サンプルが解離するまでの時間を計測した。なお、撹拌は、サンプルを投入した直後に開始した。また、個々の粒状体を区別できなくなる程度にサンプルが分離・分散した時点をもって、サンプルが解離した時点、すなわち時間計測の終点とした。
【0057】
その結果、サンプル1、2、3及び4の水解性は、それぞれ、170秒、140秒、100秒及び70秒であった。したがって、少なくとも空隙率が15%以上50%以下の範囲においては、空隙率が大きくなるほど、水解性が向上することが確認された。特にサンプル2〜4について優れた水解性が得られたことから、空隙率は20%以上50%以下であることが好ましいといえる。
【0058】
なお、撹拌を開始してから、サンプルが水の流れに従って回転し始めるまでの時間は、サンプル1が117秒、サンプル2が80秒、サンプル3が65秒、サンプル4が40秒であった。サンプルが水の流れに従って回転し始めるのは、水を吸収してある程度の重みをもつようになってからであるから、この時間は、各サンプルの吸水速度を反映したものと考えられる。
【0059】
表1中の「吸水速度」は、次のようにして計測した。容器にサンプル10gを入れた状態で、水30ccを加えた。容器としては、スチロール樹脂製の升状(直方体形状)のものを用いた。容器のサイズ(内寸)は、幅7.5cm、奥行3.0cm、深さ6.5cmである。そして、水を加えてから、サンプルが水を吸収し終わるまでの時間を計測した。容器内にフリーの水(サンプルに吸収されていない水)が存在しなくなった時点をもって、サンプルが水を吸収し終わった時点、すなわち時間計測の終点とした。
【0060】
その結果、サンプル1、2、3及び4の吸水速度は、それぞれ、64秒、48秒、35秒及び21秒であった。したがって、少なくとも空隙率が15%以上50%以下の範囲においては、空隙率が大きくなるほど、吸水速度が向上することが確認された。特にサンプル2〜4について優れた吸水速度が得られたことから、空隙率は20%以上50%以下であることが好ましいといえる。
【0061】
なお、各サンプル1gあたりが水1ccを吸収するのに必要な時間を計算すると、サンプル1が21秒、サンプル2が16秒、サンプル3が12秒、サンプル4が7秒となる。