(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、ベルトを用いて各種の被搬送物の搬送を行う搬送装置が知られている。このような搬送装置において、部品の共通化やメンテナンス性、その他の各種理由から、1つの搬送路を途中で分割し、複数のベルトを搬送方向に並べて配置して用いる場合がある。そのような場合には、並べられたベルト同士が対向している部分に、ベルトの存在しない切れ目が生じる。被搬送物が紙等のように薄かったり、小さかったりする場合、この切れ目に被搬送物が引っ掛かったり、挟み込まれたりして、搬送不良が生じる可能性があった。
【0003】
このような場合、従来は、固定のガイド部材を切れ目部分に突出させて、被搬送物の搬送をガイドすることが行われていた。
図9は、従来の搬送装置100の例を示す図である。
図9に示す従来の搬送装置100は、搬送方向の上流側に設けられた第1の搬送ベルト111と、下流側に設けられた第2の搬送ベルト121とを有している。第1の搬送ベルト111及び第2の搬送ベルト121は、6本が搬送方向と直交する方向に並べて配置されており、幅の広い被搬送物を搬送可能としている。そして、第1の搬送ベルト111と第2の搬送ベルト121とが対向している部分の切れ目には、ガイド部材119及びガイド部材129が突出して形成されている。
【0004】
ガイド部材119は、上流側(
図9中の右側)から下流側(
図9中の左側)に向けて切れ目部分に突出している。一方、ガイド部材129は、下流側から上流側に向けて切れ目部分に突出しており、かつ、ガイド部材119よりも低い位置に突出している。この構成により、上流側から第1の搬送ベルト111により搬送されてくる被搬送物は、その下流側の先端部の下に第1の搬送ベルト111がない位置に搬送されても、下側をガイド部材119により支えられて、切れ目に落ち込むことを防止される。そして、さらに搬送が進み、被搬送物の下流側の先端部の下にガイド部材119がない位置に搬送されると、ガイド部材129が被搬送物の下方を支えることが可能である。また、ガイド部材129は、ガイド部材119よりも低い位置に突出しているので、仮に、被搬送物の先端が下方に垂れ下がる等しても、これを正しい位置に修正して、搬送不良が生じることを防止できる。
【0005】
ところで、近年、多面付けされたICタグに対して1対1で通信を行い、ICタグの発行及び停止を繰り返す発行装置が用いられている。このような発行装置では、被搬送物であるICタグを本来の搬送方向(正方向、又は、フィード方向)に搬送する動作(フィード動作)だけでなく、本来の搬送方向とは逆の方向(逆方向、又は、バックフィード方向)に搬送する動作(バックフィード動作)を行う場合が多い。
【0006】
しかし、上述した従来の搬送装置100のような形態では、一方向の搬送の場合にしか、切れ目におけるガイド部材119,129が有効に機能しない。そして、逆方向の搬送時には、これらガイド部材119,129は、搬送不良を起こす原因となりやすいという問題があった。
【0007】
ベルトを用いるものではないが、フィード動作とバックフィード動作とを行う場合に被搬送物をガイドする機構の従来技術としては、特許文献1及び特許文献2の技術が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0018】
(実施形態)
図1は、本発明による搬送装置1の実施形態を示す図である。
図2は、第1の搬送ユニット10と第2の搬送ユニット20とが対向する付近を示す斜視図である。なお、
図2は、後述するフィード動作時の状態を示している。
なお、
図1及び
図2を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
【0019】
搬送装置1は、第1の搬送ユニット10と、第2の搬送ユニット20と、ベース30と、逆転ローラ40と、逆転ベルト50とを有しており、被搬送物2を搬送する。被搬送物2としては、例えば、多面付けされたICタグ紙等が想定されるが、これに限るものではない。被搬送物2がICタグ紙である場合には、本実施形態の搬送装置1は、例えば、ICタグの発行装置の一部として組み込まれて利用される。
第1の搬送ユニット10と、第2の搬送ユニット20とは、搬送方向に沿って並べて配置されている。
【0020】
第1の搬送ユニット10は、第1の搬送ベルト11と、第1のシャフト12と、第1のガイド部材14と、搬送ベルトローラ15,16とを備えている。
【0021】
第1の搬送ベルト11は、搬送ベルトローラ15と搬送ベルトローラ16とに架け渡された無端ベルトであり、被搬送物2を搬送する。第1の搬送ベルト11は、上面に載せられた被搬送物2を搬送し、搬送ベルトローラ15又は搬送ベルトローラ16において転向されて下面側を移動する。また、第1の搬送ベルト11は、6本が搬送方向に直交する方向に並べて配置されている。これにより、第1の搬送ベルト11は、幅の狭い汎用性の高いものを用いながら、幅の広い被搬送物2を搬送可能となっている。
【0022】
図3は、逆転ローラ40に逆転ベルト50が取り付けられている状態を示す斜視図である。
図4は、第1のガイド部材14を示す斜視図である。
図5は、第1の逆転ローラ13の近傍を拡大した斜視図である。
図6は、フィード動作時の第1のガイド部材14及び第2のガイド部材24の状態を示す図である。
【0023】
第1のシャフト12は、搬送ベルトローラ15と同軸に設けられており、搬送ベルトローラ15及び第1の搬送ベルト11と同一方向に回転する。また、第1のシャフト12は、ベルト駆動機構や歯車駆動機構等の不図示の駆動機構に接続されており、左右両方向に回転駆動される。なお、駆動機構は、搬送ベルトローラ16側に接続されていてもよい。また、第1のシャフト12の一端には、逆転ローラ当接部12aが設けられている。逆転ローラ当接部12aは、第1のシャフト12の他の部分よりも外径が大きく形成されており、後述する逆転ローラ40が当接している。
【0024】
第1のガイド部材14は、第1のシャフト12と同軸で回転可能に配置されている。第1のガイド部材14は、逆転ベルト掛け部14aと、ガイド片14bと、中間片14cとを有している。
逆転ベルト掛け部14aは、円筒形状に形成されており、その外径部分に、逆転ベルト50が巻き掛けられている。
中間片14cは、搬送方向に直交する方向に並べて配置されている6本の第1の搬送ベルト11の間に設けられている。中間片14cは、円筒形状の一部と平面とを組み合わせた形状をしている。
ガイド片14bは、中間片14cよりも外周側へ突出して形成されており、被搬送物2が切れ目に落ち込むことを防止する。ガイド片14bは、逆転ベルト掛け部14a及び中間片14cの全てを繋げる形で、6本の第1の搬送ベルト11に渡って第1のシャフト12の軸線方向に沿って延在している。
【0025】
第1のガイド部材14は、第1の逆転ローラ13から駆動力を得て、ガイド片14bが被搬送物2をガイド可能な位置に突出するガイド位置と、ガイド片14bが退避する退避位置との間で回転移動する。
図6では、第1のガイド部材14が退避位置にある状態を示している。第1のガイド部材14は、ガイド位置と退避位置との間でのみ回転可能なように、不図示のストッパにより回転可能な範囲が規制されている。
【0026】
搬送ベルトローラ15,16は、第1の搬送ベルト11が架け渡されており、第1の搬送ベルト11と共に回転する。
搬送ベルトローラ15は、第1のシャフト12と共に回転することにより、第1の搬送ベルト11を回転駆動する。
搬送ベルトローラ16は、第1の搬送ベルト11に追従して回転する。
【0027】
第2の搬送ユニット20は、第2の搬送ベルト21と、第2のシャフト22と、第2のガイド部材24と、搬送ベルトローラ25,26とを備えている。
第2の搬送ユニット20を構成するこれらの要素は、上述した第1の搬送ユニット10の場合と略同様な構成をしている。具体的には、第2の搬送ベルト21は、第1の搬送ベルト11と同様である。第2のシャフト22は、第1のシャフト12と同様であり、逆転ローラ当接部22aを有している。第2のガイド部材24は、第1のガイド部材14と同様であり、逆転ベルト掛け部24aを有している。搬送ベルトローラ25,26は、搬送ベルトローラ15,16と同様である。よって、第2の搬送ユニット20の各要素についての詳細な説明は省略する。
【0028】
第2の搬送ユニット20は、第1の搬送ユニット10の第1のガイド部材14が設けられている側に、第2のガイド部材24が対向する向きに配置されている。
【0029】
ベース30は、第1の搬送ユニット10及び第2の搬送ユニット20の各部部材及び逆転ローラ40が固定されるユニットである。
【0030】
逆転ローラ40は、第1の搬送ベルト11及び第2の搬送ベルト21と同期して、かつ、第1の搬送ベルト11及び第2の搬送ベルト21とは逆方向に回転させられる。逆転ローラ40は、ベルト巻き掛け部40aと、シャフト当接部40bと、トルクリミッタ40cとを有しており、ベース30に回転可能に取付けられている。
【0031】
ベルト巻き掛け部40aは、逆転ベルト50が巻き掛けられる部分であり、トルクリミッタ40cを介してシャフト当接部40bに接続されている。
【0032】
シャフト当接部40bは、逆転ローラ当接部12a及び逆転ローラ当接部22aと当接している。逆転ローラ40は、シャフト当接部40bが第1のシャフト12及び第2のシャフト22から駆動力を得て回転し、逆転ベルト50を回転駆動する。なお、本実施形態では、シャフト当接部40bは、逆転ローラ当接部12a及び逆転ローラ当接部22aと当接しているが、逆転ローラ当接部12a又は逆転ローラ当接部22aのいずれか一方のみに当接するようにしてもよい。
【0033】
トルクリミッタ40cは、ベルト巻き掛け部40aとシャフト当接部40bとの間に設けられており、所定以上のトルクがかかると滑り、シャフト当接部40bからベルト巻き掛け部40aに伝わるトルクを制限する。
【0034】
逆転ベルト50は、逆転ローラ40と第1のガイド部材の逆転ベルト掛け部14aと第2のガイド部材24の逆転ベルト掛け部24aとに巻き架けられており、逆転ローラ40と同一方向に回転する。すなわち、逆転ベルト50は、第1の搬送ベルト11及び第2の搬送ベルト21とは逆方向に回転する。
【0035】
次に、本実施形態の搬送装置1の動作について説明する。
第1の搬送ユニット10及び第2の搬送ユニット20は、
図1中の左右両方向に被搬送物2を搬送可能である。ここで、便宜上、
図1中の左から右へ被搬送物2が搬送される動作をフィード動作と呼び、
図1中の右から左へ被搬送物2が搬送される動作をバックフィード動作と呼ぶこととする。
なお、以下の説明において、左回転、右回転等の回転方向は、本実施形態に示した図中における回転方向を示しており、図中には矢印により回転方向を示している。
【0036】
フィード動作時には、第1のシャフト12及び第2のシャフト22が右回転する。すると、第1のシャフト12及び第2のシャフト22の円筒外周面(逆転ローラ当接部12a及び逆転ローラ当接部22a)と当接している逆転ローラ40が左回転し、逆転ベルト50も左回転する。逆転ベルト50が左回転すると、第1のガイド部材14及び第2のガイド部材24も左回転させられる。
【0037】
第1のガイド部材14は、左回転させられると、
図6に示す退避位置に移動し、不図示のストッパに当接して、退避位置を越えて回転することはない。このとき、逆転ローラ40のトルクリミッタ40cが作動して(滑って)、第1のシャフト12及び第2のシャフト22の回転を妨げることがない。第1のガイド部材14が退避位置にあることにより、ガイド片14bは、搬送路から退避する。
【0038】
一方、第2のガイド部材24は、左回転させられると、
図6に示すガイド位置に移動し、不図示のストッパに当接して、ガイド位置を越えて回転することはない。第2のガイド部材24がガイド位置にあることにより、ガイド片24bは、搬送路側へ突出した状態となる。
【0039】
このように、フィード動作時には、自動的に、ガイド片14bが搬送路から退避し、ガイド片24bが搬送路側へ突出した状態となる。これにより、被搬送物2は、フィードされるときに繋ぎ目に落ち込みにくくなり、フィード動作時の搬送不良が防止される。
【0040】
図7は、バックフィード動作時の第1のガイド部材14及び第2のガイド部材24の状態を示す図である。
図8は、バックフィード動作時の第1の搬送ユニット10と第2の搬送ユニット20とが対向する付近を示す斜視図である。
バックフィード動作時には、第1のシャフト12及び第2のシャフト22が左回転する。すると、第1のシャフト12及び第2のシャフト22の円筒外周面(逆転ローラ当接部12a及び逆転ローラ当接部22a)と当接している逆転ローラ40が右回転し、逆転ベルト50も右回転する。逆転ベルト50が右回転すると、第1のガイド部材14及び第2のガイド部材24も右回転させられる。
【0041】
第1のガイド部材14は、右回転させられると、
図6に示すガイド位置に移動し、不図示のストッパに当接して、ガイド位置を越えて回転することはない。このとき、逆転ローラ40のトルクリミッタ40cが作動して(滑って)、第1のシャフト12及び第2のシャフト22の回転を妨げることがない。第1のガイド部材14がガイド位置にあることにより、ガイド片14bは、搬送路側へ突出した状態となる。
【0042】
一方、第2のガイド部材24は、右回転させられると、
図6に示す退避位置に移動し、不図示のストッパに当接して、退避位置を越えて回転することはない。第2のガイド部材24が退避位置にあることにより、ガイド片24bは、搬送路から退避する。
【0043】
このように、バックフィード動作時には、自動的に、ガイド片14bが搬送路側へ突出し、ガイド片24bが搬送路から退避した状態となる。これにより、被搬送物2は、バックフィードされるときに繋ぎ目に落ち込みにくくなり、バックフィード動作時の搬送不良が防止される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、フィード動作時及びバックフィード動作時のいずれにおいても、第1のガイド部材14及び第2のガイド部材24が自動的に退避位置とガイド位置との間を回転移動する。よって、いずれの搬送方向であっても、搬送ユニットの繋ぎ目(搬送ベルトの切れ目)において、被搬送物2を適切にガイドでき、搬送不良を防止できる。
【0045】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0046】
実施形態において、逆転ローラ40は、第1のシャフト12及び第2のシャフト22から駆動力を得て回転する例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、逆転ローラ40は、第1のシャフト12及び第2のシャフト22を駆動する駆動機構から分岐された駆動系に接続されて、駆動力を得るようにしてもよい。
【0047】
実施形態において、第1の搬送ベルト11及び第2の搬送ベルト21は、それぞれ6本設けられている例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、第1の搬送ベルト及び第2の搬送ベルトは、いずれも1本のみとしてもよいし、より多くの本数設けられていてもよい。
【0048】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。