(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術は、研削力の制御を行うことにより、加工精度が低下してしまうというデメリットがある。
本発明の目的は、加工精度を保ちつつ、砥石の摩耗を抑えることができる研削盤、研削盤の制御装置、研削盤の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、研削対象と砥石とを回転させて研削対象を研削する研削工程を複数回実行する研削盤の制御装置であって、前記研削対象と前記砥石の当たり位置と、所定の目標当たり位置との差
が大きいほど、値が大きくなるように、前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを決定するトルク決定部と、
前記トルク決定部が決定したトルクを、前記研削工程の段階を進めるたびに増加する上限値以下に制限するリミッタと、前記リミッタによって制限されたトルクに
従って前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを制御する制御部を備え
ることを特徴とする研削盤の制御装置である。
また、第2の態様は、研削対象と砥石とを回転させて研削対象を研削する研削工程を複数回実行する研削盤の制御装置であって、前記研削対象と前記砥石の当たり位置と、所定の目標当たり位置との差に、前記研削工程の段階を進めるたびに増加するゲインを乗算することで、前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを決定するトルク決定部と、前記トルク決定部が決定したトルクに基づいて前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを制御する制御部を備えることを特徴とする研削盤の制御装置である。
【0011】
また、第5の態様は、第4の態様において、前記研削工程を実行した後に、前記研削工程を次の段階に進めるか否かを判定する段階判定部を備え、前記制御部は、前記段階判定部が前記研削工程を次の段階に進めると判定した場合に、次の段階の前記研削工程を実行し、前記段階判定部が前記研削工程を次の段階に進めないと判定した場合に、同じ段階の前記研削工程を実行する研削盤の制御装置である。
【0012】
また、第6の態様は、第5の態様において、前記段階判定部は、前記研削工程における前記当たり位置と前記目標当たり位置との差の最大値が規定値以下である場合に、前記研削工程を次の段階に進めると判定する研削盤の制御装置である。
【0013】
また、第7の態様は、第5の態様において、前記トルク決定部が決定したトルクを、前記研削工程の実行回数に応じて決定される上限値以下に制限するリミッタを備え、前記制御部は、前記リミッタによって制限されたトルクに従って前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを制御し、前記段階判定部は、前記研削工程において前記リミッタがトルクを前記上限値以下に制限していない場合に、前記研削工程を次の段階に進めると判定する研削盤の制御装置である。
【0015】
また、第9の態様は、第1から第8の何れかの態様において、砥石と、研削対象と前記砥石とを回転させる駆動源と、制御装置とを備える研削盤である。
【0016】
また、第10の態様は、回転駆動により研削対象と砥石とを回転させて研削対象を研削する研削工程を複数回実行する研削盤の制御方法であって、前記研削対象と前記砥石の当たり位置と、所定の目標当たり位置との差
が大きいほど、値が大きくなるように、前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを決定するステップと、
前記決定したトルクを、前記研削工程の段階を進めるたびに増加する上限値以下に制限するステップと、前記制限されたトルクに
従って前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを制御するステップとを有
することを特徴とする研削盤の制御方法である。
また、第11の態様は、回転駆動により研削対象と砥石とを回転させて研削対象を研削する研削工程を複数回実行する研削盤の制御方法であって、前記研削対象と前記砥石の当たり位置と、所定の目標当たり位置との差に、前記研削工程の段階を進めるたびに増加するゲインを乗算することで、前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを決定するステップと、前記決定したトルクに基づいて前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを制御するステップとを有することを特徴とする研削盤の制御方法である。
【0017】
また、第
12の態様は、回転駆動により研削対象と砥石とを回転させて研削対象を研削する研削工程を複数回実行する研削盤の制御装置のコンピュータを、前記研削対象と前記砥石の当たり位置と、所定の目標当たり位置との差
が大きいほど、値が大きくなるように、前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを決定するトルク決定部、
前記トルク決定部が決定したトルクを、前記研削工程の段階を進めるたびに増加する上限値以下に制限するリミッタ、前記リミッタによって制限されたトルクに
従って前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを制御する制御部、として機能させ
るためのプログラムである。
また、第13の態様は、回転駆動により研削対象と砥石とを回転させて研削対象を研削する研削工程を複数回実行する研削盤の制御装置のコンピュータを、前記研削対象と前記砥石の当たり位置と、所定の目標当たり位置との差に、前記研削工程の段階を進めるたびに増加するゲインを乗算することで、前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを決定するトルク決定部、前記トルク決定部が決定したトルクに基づいて前記研削対象または前記砥石の少なくとも一方の回転駆動のトルクを制御する制御部、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、制御盤の制御装置は、研削工程ごとに、砥石と研削対象との当たり位置と、所定の目標当たり位置との差が所定値より大きいときに、研削対象または砥石の少なくとも一方にかかる回転駆動のトルクを異ならせる。これにより、トルクの値が小さい研削工程では、砥石の早期劣化を防止することができ、トルクの値が大きい研削工程では、ワークの加工精度を保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
《第1の実施形態》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、少なくとも1つの実施形態に係る研削盤1の構成を示す概略図である。
研削盤1は、砥石11の表面の研削歯を研削対象であるワークWに噛み合わせることにより、歯車研削を行う研削装置である。
図1に示すように、本実施形態の研削盤1は、砥石11と、砥石11を支持する砥石回転軸12と、ワークWを支持するワーク回転軸13と、砥石回転軸12の角速度を検出する角速度センサ14と、砥石回転軸12の回転角を検出する回転角センサ15と、砥石回転軸12及びワーク回転軸13を軸回りに回転させるモータを制御する制御装置16とを備える。なお、モータは回転駆動及び駆動源の一例である。
【0021】
砥石11とワークWは、それぞれ螺子歯車と斜歯歯車の形状(ウォームギア)をしており、それぞれが砥石回転軸12及びワーク回転軸13に取り付けられることで、砥石11の研削歯とワークWの歯とが嵌合する。なお、砥石11とワークWの形状は、歯が嵌合する形状であれば、螺子歯車と斜歯歯車の形状に限られず、他の形状の組み合わせであっても良い。例えば、砥石11とワークWの何れか一方が内歯車の形状であっても良い。
【0022】
制御装置16は、砥石回転軸12のモータとワーク回転軸13のモータの両方を同期して回転させることで、砥石11とワークWとを回転させる。制御装置16は、角速度センサ14及び回転角センサ15の出力に基づいて、砥石11とワークWの歯当たり位置が所定の目標位置になるようワーク回転軸13のモータのトルクを制御することで、ワークWを研削する。また、制御装置16は、砥石11とワークWを回転させる研削工程を複数回実行することで、ワークWの寸法精度を段階的に向上させる。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る制御装置16の構成を示す概略ブロック図である。
制御装置16は、研削工程管理部101、角速度取得部102、回転角取得部103、位置差特定部104、トルク決定部105、リミッタ部106、電流制御部107を備える。
【0024】
研削工程管理部101は、現在の研削工程がどの段階(パス)にあるかを管理する。
角速度取得部102は、角速度センサ14から砥石回転軸12の角速度を取得する。
回転角取得部103は、回転角センサ15から砥石回転軸12の回転角を取得する。
【0025】
位置差特定部104は、砥石回転軸12の回転角と目標の回転角との位置差を特定する。なお、目標の回転角は、砥石11とワークWの当たり位置が砥石11によりワークWを所定の研削量だけ研削するための目標当たり位置になるように決定される回転角である。つまり、砥石回転軸12の回転角と目標の回転角との位置差は、砥石11とワークWの当たり位置と目標当たり位置との差に相当する。
【0026】
トルク決定部105は、位置差特定部104が特定した位置差に基づいて、砥石回転軸12のモータにかけるトルクを決定する。また、トルク決定部105は、角速度取得部102が取得した角速度に基づいてPID制御を行うことで、トルクの制御精度を向上させる。
【0027】
リミッタ部106は、トルク決定部105が決定したトルクを、研削工程の段階ごとに決定される上限値以下に制限する。
図3は、研削工程の段階とトルクの上限値との関係を示す図である。
図3に示すように、研削工程の段階が初期段階であるほどトルクの上限値は低く、研削工程の段階が後期段階にあるほどトルクの上限値は高くなる。つまり、本実施形態では、研削工程の段階ごとに、砥石11とワークWの当たり位置と目標当たり位置との差が所定値(トルクの上限値に対応する位置差)より大きいときに、砥石11にかかるモータのトルクが異なる。なお、研削工程の最終段階(第N段階)においては、トルクの上限値は設けられない。
【0028】
電流制御部107は、リミッタ部106が出力するトルクに基づいて、砥石回転軸13のモータが当該トルクを発揮できる電流を特定し、当該電流で砥石回転軸13のモータを制御する。
【0029】
次に、本実施形態に係る制御装置16の動作について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る制御装置16の動作を示すフローチャートである。
まず、研削工程管理部101は、現在の研削工程を第1段階として、内部メモリに記録する(ステップS1)。なお、研削工程の段階は、1段階目からスタートし、N段階目まで設けられる。次に、リミッタ部106は、研削工程管理部101が内部メモリに記憶する現在の研削工程の段階に基づいて、トルクの上限値を決定する(ステップS2)。
【0030】
次に、回転角取得部103は、回転角センサ15から砥石回転軸12の回転角を取得する(ステップS3)。また、角速度取得部102は、角速度センサ14から砥石回転軸12の角速度を取得する(ステップS4)。次に、位置差特定部104は、回転角取得部103が取得した回転角と目標の回転角との位置差を特定する(ステップS5)。次に、トルク決定部105は、角速度取得部102が取得した角速度と位置差特定部104が特定した位置差とに基づいて、砥石回転軸12のモータにかけるべきトルクを決定する(ステップS6)。
【0031】
次に、リミッタ部106は、トルク決定部105が決定したトルクがステップS1で決定した上限値以上であるか否かを判定する(ステップS7)。リミッタ部106は、トルク決定部105が決定したトルクが上限値以上であると判定した場合(ステップS7:YES)、当該トルクを当該上限値に制限する(ステップS8)。
【0032】
リミッタ部106が、トルクが上限値未満であると判定した場合(ステップS7:NO)、またはトルクを上限値に制限した場合、電流制御部107は、リミッタ部106が出力したトルクに基づいてモータに供給する電流の値を決定し、当該電流の値に基づいてモータを制御する(ステップS9)。
【0033】
次に、研削工程管理部101は、砥石回転軸12の回転数が、現在の段階における研削工程に要する回転数に達したか否かを判定する(ステップS10)。つまり、研削工程管理部101は、研削工程における現在の段階が終了したか否かを判定する。研削工程管理部101が、砥石回転軸12の回転数が研削工程に要する回転数に達していないと判定した場合(ステップS10:NO)、ステップS3に戻り、砥石回転軸12のモータの制御を継続する。
【0034】
他方、研削工程管理部101は、砥石回転軸12の回転数が研削工程に要する回転数に達したと判定した場合(ステップS10:YES)、研削工程の段階が最終段階に達したか否かを判定する(ステップS11)。研削工程管理部101は、研削工程の段階が最終段階に達していないと判定した場合(ステップS11:NO)、内部メモリに記憶する研削工程の段階を1段階進め(ステップS12)、ステップS2に戻る。
他方、研削工程管理部101が、研削工程の段階が最終段階に達したと判定した場合(ステップS11:YES)、研削処理を終了する。
【0035】
このように、本実施形態によれば、制御装置16は、研削工程の段階に応じてトルクの上限値を変更する。これにより、トルクの上限値が小さい段階では、砥石11の早期劣化を防止することができ、トルクの上限値が大きい段階では、ワークWの加工精度を保つことができる。
特に、本実施形態の制御装置16は、研削工程の段階がワークWの荒削りを行う初期段階にあるときに、トルクの上限値を小さくする。これにより、砥石11の早期劣化を防止することができる。また、本実施形態の制御装置16は、研削工程の段階がワークWの仕上げを行う後期段階にあるときに、トルクの上限値を大きくする。これにより、ワークWの加工精度を保つことができる。
【0036】
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る研削盤1は、第1の実施形態と制御装置16の構成が異なる。
図5は、第2の実施形態に係る制御盤の制御装置16の構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態に係る研削盤1の制御装置16は、リミッタ部106に代えてゲイン決定部108を備え、トルク決定部105の動作が第1の実施形態と異なる。
【0037】
ゲイン決定部108は、研削工程の段階に基づいて、位置差からトルクを決定する際に用いられるゲインを決定する。
図6は、研削工程の段階と位置差からトルクを決定する際に用いられるゲインとの関係を示す図である。
図6に示すように、研削工程の段階が初期段階であるほどゲインの値は低く、研削工程の段階が後期段階にあるほどゲインの値は高くなる。つまり、本実施形態では、研削工程の段階ごとに、砥石11にかかるモータのトルクが異なる。
トルク決定部105は、位置差特定部104が特定した位置差に、ゲイン決定部108が決定したゲインを乗算することで、砥石回転軸12のモータのトルクを決定する。
【0038】
このように、本実施形態によれば、制御装置16は、研削工程の段階に応じてゲインの値を変更する。これにより、ゲインの値が小さい段階では、砥石11の早期劣化を防止することができ、ゲインの値が大きい段階では、ワークWの加工精度を保つことができる。
特に、本実施形態の制御装置16は、研削工程の段階がワークWの荒削りを行う初期段階にあるときに、ゲインの値を小さくする。これにより、砥石11の早期劣化を防止することができる。また、本実施形態の制御装置16は、研削工程の段階がワークWの仕上げを行う後期段階にあるときに、ゲインの値を大きくする。これにより、ワークWの加工精度を保つことができる。
【0039】
《第3の実施形態》
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る研削盤1は、第1の実施形態と制御装置16の構成が異なる。
図7は、第3の実施形態に係る制御盤の制御装置16の構成を示す概略ブロック図である。
第3の実施形態に係る研削盤1の制御装置16は、研削工程管理部101に代えて研削量管理部109を備え、リミッタ部106の動作が第1の実施形態と異なる。
【0040】
研削量管理部109は、研削工程の段階ごとに、前回の研削工程におけるワークWの研削量を管理する。例えば、研削量管理部109は、予め定められた段階ごとの目標研削量に基づいて、現在の段階から目標研削量を特定することができる。また例えば、研削量管理部109は、作業者から研削量の入力を受け付けることで研削量を管理することができる。また例えば、研削量管理部109は、研削工程の前後においてワークWの重さを量り、その差に基づいて研削量を管理することができる。
リミッタ部106は、トルク決定部105が決定したトルクを、前回の研削工程における研削量に基づいてに決定される上限値以下に制限する。リミッタ部106は、研削工程の第1段階においては、前回の研削工程における研削量がないため、所定のトルク上限値を設定する。
図8は、ワークWの研削量とトルクの上限値の関係を示す図である。
図8に示すように、前回の研削工程におけるワークWの研削量が多いほどトルクの上限値は低く、ワークWの研削量が少ないほどトルクの上限値は高くなる。なお、トルクの上限値は、研削量が多くなるほど、第1段階におけるトルク上限値に漸近する。研削工程が初期段階は、ワークWを荒削りする工程であるため、ワークWの研削量は大きくなる。他方、研削工程の後期段階は、ワークWの仕上げの工程であるため、ワークWの研削量は小さくなる。つまり、本実施形態に係る研削盤1を用いて一般的なワークWの研削を行うと、研削工程が進むたびに、トルクの上限値が高くなる。
【0041】
このように、本実施形態によれば、制御装置16は、ワークWの研削量に応じてトルクの上限値を変更する。これにより、トルクの上限値が小さい段階では、砥石11の早期劣化を防止することができ、トルクの上限値が大きい段階では、ワークWの加工精度を保つことができる。
特に、本実施形態の制御装置16は、研削工程の段階がワークWの荒削りを行う初期段階にあるときに、ゲインの値を小さくする。これにより、砥石11の早期劣化を防止することができる。また、本実施形態の制御装置16は、研削工程の段階がワークWの仕上げを行う後期段階にあるときに、ゲインの値を大きくする。これにより、ワークWの加工精度を保つことができる。
【0042】
なお、本実施形態では、研削量管理部109が各段階における研削量を管理し、リミッタ部106が当該研削量に基づいてトルクの上限値を決定する場合について説明したが、これに限られない。例えば、研削量管理部109は、前回研削時の目標研削量と、前回研削時の実際の研削量との誤差とを管理し、リミッタ部106が目標研削量と誤差との和に基づいて、トルクの上限値を決定しても良い。研削量の誤差が生じる理由としては、ワークWの熱処理工程におけるワークWの変形にばらつきが生じることが挙げられる。なお、研削量の誤差は、ワークWと砥石11の相対位置に基づいて検出されても良いし、ワーク回転軸13のモータエンコーダが検出する回転角と砥石回転軸12のモータエンコーダが検出する回転角とに基づいて算出されても良い。
【0043】
また、本実施形態では、リミッタ部106が研削量に基づいてトルクの上限値を決定する場合について説明したが、これに限られない。例えば、他の実施形態では、第2の実施形態のように、リミッタ部106に代えてゲイン決定部108を備え、ゲイン決定部108が研削量に基づいてゲインの値を決定しても良い。この場合、研削量とゲインの値とは、単調減少の関係となる。
【0044】
《第4の実施形態》
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態に係る研削盤1は、第1の実施形態と制御装置16の研削工程管理部101の動作が異なる。
第4の実施形態に係る研削工程管理部101は、位置差特定部104が特定した砥石11とワークWの位置差の最大値と目標の位置差との誤差が、規定値以下であるか否かに基づいて、研削工程を次の段階に進めるか否かを判定する。なお、当該判定は、砥石11とワークWの位置差の最大値が所定値以下であるか否かに基づいて研削工程を次の段階に進めるか否かを判定することと等価である。第4の実施形態に係る研削工程管理部101は、段階判定部の一例である。
【0045】
図9は、第4の実施形態に係る制御装置16の動作を示すフローチャートである。
まず、研削工程管理部101は、現在の研削工程を第1段階として、内部メモリに記録する(ステップS1)。次に、リミッタ部106は、研削工程管理部101が内部メモリに記憶する現在の研削工程の段階に基づいて、トルクの上限値を決定する(ステップS2)。
【0046】
次に、回転角取得部103は、回転角センサ15から砥石回転軸12の回転角を取得する(ステップS3)。また、角速度取得部102は、角速度センサ14から砥石回転軸12の角速度を取得する(ステップS4)。次に、位置差特定部104は、回転角取得部103が取得した回転角と目標の回転角との位置差を特定する(ステップS5)。次に、トルク決定部105は、角速度取得部102が取得した角速度と位置差特定部104が特定した位置差とに基づいて、砥石回転軸12のモータにかけるべきトルクを決定する(ステップS6)。
【0047】
次に、リミッタ部106は、トルク決定部105が決定したトルクがステップS1で決定した上限値以上であるか否かを判定する(ステップS7)。リミッタ部106は、トルク決定部105が決定したトルクが上限値以上であると判定した場合(ステップS7:YES)、当該トルクを当該上限値に制限する(ステップS8)。
【0048】
リミッタ部106が、トルクが上限値未満であると判定した場合(ステップS7:NO)、またはトルクを上限値に制限した場合、電流制御部107は、リミッタ部106が出力したトルクに基づいてモータに供給する電流の値を決定し、当該電流の値に基づいてモータを制御する(ステップS9)。
【0049】
次に、研削工程管理部101は、砥石回転軸12の回転数が、現在の段階における研削工程に要する回転数に達したか否かを判定する(ステップS10)。研削工程管理部101が、砥石回転軸12の回転数が研削工程に要する回転数に達していないと判定した場合(ステップS10:NO)、ステップS3に戻り、砥石回転軸12のモータの制御を継続する。
【0050】
他方、研削工程管理部101は、砥石回転軸12の回転数が研削工程に要する回転数に達したと判定した場合(ステップS10:YES)、当該研削工程において位置差特定部104が特定した砥石11とワークWの位置差の最大値と目標の位置差との誤差が、規定値以下であるか否かを判定する(ステップS20)。研削工程管理部101は、誤差が規定値より大きいと判定した場合(ステップS20:NO)、研削工程の段階を進めずに、誤差の値をリセットしてステップS2に戻る。
他方、研削工程管理部101は、誤差が規定値以下であると判定した場合(ステップS20:YES)、研削工程の段階が最終段階に達したか否かを判定する(ステップS11)。研削工程管理部101は、研削工程の段階が最終段階に達していないと判定した場合(ステップS11:NO)、内部メモリに記憶する研削工程の段階を1段階進め(ステップS12)、ステップS2に戻る。
他方、研削工程管理部101が、研削工程の段階が最終段階に達したと判定した場合(ステップS11:YES)、研削処理を終了する。
【0051】
このように、本実施形態によれば、ワークWの変形などにより研削量が多くなる場合にも、研削工程の回数を増加させることで、各研削工程におけるトルクを小さくすることができる。これにより、砥石11の早期劣化を防止することができる。
【0052】
《第5の実施形態》
次に、第5の実施形態について説明する。第5の実施形態に係る研削盤1は、第4の実施形態と研削工程を次の段階に進めるか否かの判定基準が異なる。
第5の実施形態に係る研削工程管理部101は、現在の研削工程において、トルク決定部105が決定したトルクがリミッタ部106によって上限値に制限されたか否かに基づいて、研削工程を次の段階に進めるか否かを判定する。つまり、研削工程管理部101は、研削工程においてリミッタ部106がトルクを上限値以下に制限していない場合に、研削工程を次の段階に進めると判定する。
【0053】
このように、本実施形態によれば、ワークWの変形などにより研削量が多くなる場合にも、研削工程の回数を増加させることで、各研削工程におけるトルクを小さくすることができる。これにより、砥石11の早期劣化を防止することができる。
【0054】
以上、図面を参照していくつかの実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、砥石回転軸12のモータのトルクを制御する場合について説明したが、これに限られない。例えば、他の実施形態では、ワーク回転軸13のモータのトルクを上述した実施形態と同様に制御することで、ワークWの加工精度を保ちつつ砥石11の早期劣化を防ぐよう構成されても良い。
【0055】
図10は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータ900の構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述の研削盤1の制御装置16は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0056】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0057】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。