(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
図1、
図2に示されるように、画像形成装置1は、いわゆるタンデム方式のカラー画像形成装置であり、画像読取部2(
図2参照)と、画像形成部3〜6と、中間転写ユニット7と、二次転写装置8と、定着装置9と、制御部10と、給紙部11と、排紙部12とを備えている。給紙部11から二次転写装置8及び定着装置9を経て排紙部12に至るシートの搬送方向を順方向といい、この順方向へのシートの搬送を順方向搬送という。
【0011】
画像読取部2は、原稿から画像データを読み取る画像読取処理を実行する。画像読取部2は、コンタクトガラス、LED光源、複数のミラー、光学レンズ及びCCD(Charge Coupled Device)などを備えている。前記LED光源及びミラーが前後方向701へ移動されることで、前記LED光源から画像読取部2の上面に設けられたコンタクトガラスへ向けて照射される光が前後方向701へ走査される。LED光源から光が照射されると、原稿の裏面で反射した反射光が前記ミラーによってさらに反射され前記光学レンズに導かれる。光学レンズは、入射した光を集光して前記CCDに入射させる。前記CCDは、受光した光をその光量(輝度の強度)に応じた電気信号(電圧)に変換して制御部10へ出力する光電変換素子である。制御部10では、CCDからの電気信号を画像処理することにより原稿の画像データを生成する。
【0012】
画像形成部3〜6は、前後方向701に沿って並設されている。画像形成部3〜6は、互いに色の異なるトナー像を形成する。画像形成部3はブラック用の画像形成部、画像形成部4はイエロー用の画像形成部、画像形成部5はシアン用の画像形成部、画像形成部6はマゼンタ用の画像形成部である。
【0013】
画像形成部3〜6のそれぞれは、トナー像を担持する感光体ドラム13〜16、その感光体ドラム13〜16の表面を帯電させる帯電装置18〜21、帯電された感光体ドラム13〜16の表面を露光して光を走査することにより静電潜像を書き込む露光装置22を備えている。また、画像形成部3〜6のそれぞれは、感光体ドラム13〜16上の静電潜像をトナーにより現像する現像装置26〜29、回転する感光体ドラム13〜16上のトナー像を移動する中間転写ベルト7Aに転写する一次転写装置30〜33、感光体ドラム13〜16上の残存トナーを除去するクリーニングユニット34〜37を備えている。
【0014】
中間転写ユニット7は、中間転写ベルト7Aと、駆動ローラー7Bと、従動ローラー7C、7Dとを有する。中間転写ベルト7Aは、例えばゴム又はウレタン等の素材からなる無端環状のベルトである。中間転写ベルト7Aは、駆動ローラー7B及び従動ローラー7C、7Dによって回転駆動可能に支持されている。駆動ローラー7Bは定着装置9に近い位置(
図1において右側)に配置されており、従動ローラー7Cは定着装置9から離れた位置(
図1において左側)に配置されている。駆動ローラー7Bの表面は中間転写ベルト7Aとの摩擦力を高めるために例えばゴム又はウレタン等の素材で形成されている。
【0015】
図1に示される例では、画像形成装置1の前後方向701後方側から順に、ブラック用の画像形成部3、イエロー用の画像形成部4、シアン用の画像形成部5及びマゼンタ用の画像形成部6が一列に配置されている。中間転写ベルト7Aは、駆動ローラー7B及び従動ローラー7C、7Dによって支持されることにより、その表面が各感光体ドラム13〜16の表面に接しながら移動(走行)可能となる。そして、中間転写ベルト7Aは、その表面が感光体ドラム13〜16と一次転写装置30〜33との間を通過する際に、感光体ドラム13〜16からトナー像が順に重ね合わせて転写される。
【0016】
レジストローラ対51は、給紙部11から搬送されてきたシートを一時的に待機させ、中間転写ベルト7Aに転写されたトナー像が駆動ローラー7Bと二次転写装置8の後述する転写ローラー81とのニップ位置へ移動するタイミングに同期させて前記シートを前記ニップ位置へ搬送する。
【0017】
二次転写装置8は、筐体80と、転写ローラー81と、押圧解除レバー82と、シートセンサー83とを有する。二次転写装置8は、転写ローラー81、押圧解除レバー82及びシートセンサー83が筐体80に取り付けられてユニット化されたものである。
【0018】
二次転写装置8は、筐体80の下側に位置する点Pを揺動支点として
図1の時計回りに揺動可能である。具体的に説明すると、二次転写装置8における筐体80の一部は、シートを搬送する部位として機能する。すなわち、筐体80における駆動ローラー7B側の略中央部において、転写ローラー81が筐体80から露出する。また、筐体80の駆動ローラー7B側の部位のうち転写ローラー81の順方向上流側及び順方向下流側の部位は、搬送されるシートをガイドする平面状の搬送ガイド面84、85とされている。二次転写装置8と定着装置9との間には、本体フレームによって搬送ガイド面100が形成されている。この搬送ガイド面100は、順方向へ搬送されるシートの搬送を順方向下流側のガイド面85に続いてガイドする順方向下流側のガイド面である。ここで、二次転写装置8は、通常、駆動ローラー7Bと転写ローラー81とが当接してシートを搬送する姿勢とされる。この二次転写装置8の姿勢を搬送姿勢という。このとき、順方向下流側のガイド面85は、搬送ガイド面100より前記シート搬送路の内側に位置し、搬送ガイド面100と搬送ガイド面85との間に段差部D1が生じる。この段差部D1には、筐体80の一部が立ち壁89として定着装置9側から見て搬送ガイド面100から起立する。本実施形態では、二次転写装置8は、搬送ガイド面100と搬送ガイド面85との段差部D1が無くなる位置まで揺動可能である。この二次転写装置8の姿勢を退避姿勢という。二次転写装置8は、アクチュエータ8C(
図2参照)を有し、二次転写装置8の筐体80は、このアクチュエータ8Cにより前記搬送姿勢と前記退避姿勢との間で揺動される。アクチュエータ8Cは、画像形成装置1の本体フレーム(不図示)に取り付けられている。アクチュエータ8Cは、油圧シリンダー、ソレノイド或いはモーターなどを利用した種々の駆動機構が採用され得る。
【0019】
転写ローラー81は、
図1において反時計回りに回転する駆動ローラー7Bと当接しながら時計周りに回転することで、シートを挟持しつつ前記シートを順方向下流側へ搬送する。転写ローラー81と駆動ローラー7Bとの当接位置で、中間転写ベルト7Aに転写されたトナー像がシートに転写される。
【0020】
押圧解除レバー82は、支点82Aを揺動支点として
図1の反時計回りに揺動可能である。押圧解除レバー82が前記反時計周りに揺動されると、二次転写装置8は、前記点Pを揺動支点として前記退避姿勢に向けて
図1の時計回りに揺動する。このとき、転写ローラー81と駆動ローラー7Bとが離間する。これにより、ユーザーは、転写ローラー81と駆動ローラー7Bとの間にあるシートの除去が可能となる。
【0021】
シートセンサー83は、転写ローラー81の順方向下流側の位置に設けられており、一対の投受光器(不図示)を備える。本実施形態では、シートセンサー83は反射型センサーとされており、発光器として発光ダイオードが、受光器としてフォトトランジスタがそれぞれ用いられている。シートセンサー83の検知領域をシートが通過すると、発光ダイオードから出力された光がそのシートにより反射され、その反射光がフォトトランジスタにより受光される。このとき、フォトトランジスタから反射光を受光した旨の受光信号が出力され、制御部10によりその受光信号がシートの検出信号として受信される。シートセンサー83の検知領域内にシートが存在していない場合、発光ダイオードから出力された光がシートにより反射されることは無いので、フォトトランジスタにより光が受光されることはない。このとき、フォトトランジスタから反射光を受光していない旨の非受光信号が出力され、制御部10によりその非受光信号がシートの非検出信号として受信される。
【0022】
トナー像が転写されたシートは、不図示の搬送手段によって定着装置9に搬送される。定着装置9は、約160℃以上に加熱された加熱ローラー9Bと、この加熱ローラー9Bに対向配置された加圧ローラー9Aとを有する。定着装置9に搬送されたシートは、加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとによって挟持されつつ搬送されることによって、トナー像がシートに溶着される。その後、シートは排紙部12に排出される。
【0023】
加圧ローラー9Aは、油圧シリンダーなどのアクチュエータ9Cにより加熱ローラー9Bに所定の力で押し付けられている。アクチュエータ9Cは、加圧ローラー9Aを加熱ローラー9Bに対して接離方向に移動させることが可能である。このアクチュエータ9Cによる動作は、制御部10により制御される。アクチュエータ9Cとして、油圧シリンダーによるものでなく、ソレノイドやモーターなどを利用した種々の駆動機構が採用され得る。アクチュエータ9Cは、定着装置9のフレーム(不図示)に取り付けられている。
【0024】
加圧ローラー9Aの表層部は、加熱ローラー9Bの表層部より柔らかい材質で構成されている。加熱ローラー9Bの表層部の材質は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金である。加圧ローラー9Aの表層部の材質は、例えばシリコーンゴム、フッ素ゴムである。したがって、アクチュエータ9Cにより加圧ローラー9Aが加熱ローラー9Bに圧接されると、加圧ローラー9Aの表層部は潰れ、加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとは面接触する。加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとは、この面接触する部分でシートをニップする。加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとの接触面の接触面積は、加圧ローラー9Aを加熱ローラー9Bとの軸間距離、換言すると加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとの圧接力に応じて異なる。すなわち、前記軸間距離が小さいほど、前記圧接力が大きくなり、前記接触面積が大きくなる。この接触面の円周方向における長さを挟持幅という。
【0025】
加圧ローラー9A及び加熱ローラー9Bの順方向下流側の位置に、シートセンサー83と同様のシートセンサー91が設けられている。シートセンサー91は、本発明の検知手段の一例である。加圧ローラー9A及び加熱ローラー9Bは、搬送部材及び一対の回転体の一例である。
【0026】
ファン41は、定着装置9の順方向上流側の位置であって定着装置9の近傍位置に設けられている。本実施形態では、ファン41は、定着装置9により水分を含んだ画像形成後のシートに対して定着動作が行われることにより、その水分が蒸発した蒸気を画像形成装置1の外部に排出するために設けられている。ただし、ファン41は、蒸気排出用として設けられているものでなくてもよい。ファン41が作動すると、定着装置9の順方向上流側の位置周辺の領域に空気の流れが発生する。このとき、加圧ローラー9A及び加熱ローラー9Bによりシートがニップされている場合、前記シートの後端の向きが前記空気の流れによって搬送ガイド面100から離間する。
【0027】
画像読取部2で読み取られた画像情報、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から後述する通信I/F部23を通じて印刷ジョブが入力されると、帯電装置18〜21により感光体ドラム13〜16が所定の電位に一様に帯電される。次に、露光装置22により感光体ドラム13〜16の表面に印刷ジョブに含まれる画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム13〜16の表面に静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム13〜16の表面に形成された静電潜像は現像装置26〜29によりトナー像として現像(可視像化)される。
【0028】
そして、感光体ドラム13〜16の表面に形成されたトナー像が走行中の中間転写ベルト7A上に重ねて転写されることにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト7Aの表面に形成される。さらに、そのカラーのトナー像は、二次転写装置8によって中間転写ベルト7Aからシートへ転写されることにより、シート上にカラー画像が形成される。なお、中間転写ベルト7Aを搬送ベルトとして用い、その搬送ベルト上に搬送されるシートにトナー像が直接に重ね合わせて転写される構成も他の実施例として考えられる。また、中間転写ベルト7Aに代えてローラー状の中間転写部材を用いることも他の実施例として考えられる。
【0029】
クリーニングユニット34〜37は、トナー像がシートに転写された後に、感光体ドラム13〜16の表面に残ったトナー(廃トナー)を除去するものである。
【0030】
給紙部11は、画像形成部3〜6等によって画像が形成される対象のシートを収容する給紙カセットを有する。給紙カセットは、複数枚のシートを積層状態で収容可能である。
【0031】
このように、画像形成装置1は、給紙部11によりシートを搬送し、画像形成部3〜6及び中間転写ユニット7により中間転写ベルト7Aにトナー像を形成する。また、画像形成装置1は、そのトナー像を二次転写装置8によって給紙部11から搬送されたシートに転写し、定着装置9によってそのトナー像をシートに定着させた後、そのシートを排紙部12に排出する。画像形成装置1は、以上のような一連の印刷プロセスを経て印刷物を生成する。
【0032】
図2に示されるように、通信I/F部23は、画像形成装置1にインターネット又はLANのような通信ネットワークを介して接続された外部装置との間でデータ通信を実行するインターフェイスである。記憶部38は、ハードディスクドライブ(不図示)等の不揮発性メモリーで構成される。
【0033】
操作表示部24は、表示部39と操作部40とを有する。表示部39は、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成され、操作表示部24を操作するユーザーに対して各種の情報を表示する。操作部40は、表示部39に隣接配置された各種の押しボタンキーや表示部39の表示画面上に配置されるタッチパネルセンサーなどで構成され、画像形成装置1のユーザーにより各種の指示が入力される。なお、ユーザーが画像読取動作や画像形成動作を実行させるために操作表示部24に対して操作が行われると、その操作信号が操作表示部24から制御部10に出力される。
【0034】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備えて構成される。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶部である。制御部10は、前記CPUが前記ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、画像形成装置1の動作を制御する。
【0035】
ところで、画像形成装置1においては、種々の要因によってシートの搬送途中でジャムが生じ得る。シートジャムが生じた場合に、シートを搬送する例えば一対のローラーを逆回転するなどして前記シートを一定量順方向上流側へ逆送させる逆送制御が行われることがある。
【0036】
しかしながら、搬送ガイド面に存在する段差部D1がその逆送を遮る段差部となり得る。そして、逆送時におけるシートの前端がその段差部D1に引っ掛かる(干渉する)と、所望の位置までシートが順方向上流側に戻らない場合がある。ここで、ユーザーが視認できない位置やどのセンサーによっても検知することができない位置でシートが停止すると、ジャムに対する処置が不完全なままで画像形成装置が復帰したときに新たなジャムが発生することがある。
【0037】
そこで、本実施形態では、以下の処理が行われることで、シートと段差部D1との干渉を回避すべくシートを逆送させた場合に、そのシートを適切に順方向上流側に戻すことができるようしている。
【0038】
図2に示されるように、制御部10は、CPUがプログラムを実行することにより、ジャム判定部101と、搬送制御部102と、ファン制御部103とを実現する。
【0039】
ジャム判定部101は、シートセンサー83の出力信号に基づいて、定着装置9におけるジャムの発生の有無を判定する。すなわち、シートセンサー91からシートの検出信号が出力されるべきであるのに一定時間経過しても前記検出信号が出力されない場合、ジャム判定部101は、定着装置9においてジャムが発生したものと判定する。このジャムの1つとして、シートが加圧ローラー9Aに巻き付く状態がある。
【0040】
搬送制御部102は、加圧ローラー9A及び加熱ローラー9Bによる搬送動作を制御する。具体的には、搬送制御部102は、通常の画像形成動作が行われる期間においては、
図3に示されるように、シートが順方向下流側へ搬送されるようへ、加圧ローラー9A及び加熱ローラー9Bを正方向へ回転させる。
【0041】
また、搬送制御部102は、ジャム判定部101からジャムが発生したと判定された場合、
図4に示されるように、加圧ローラー9A及び加熱ローラー9Bを逆方向へ回転させる。この回転は、シートセンサー83からシート検出信号が出力されたとジャム判定部101により判定されるまで行われる。これにより、シートセンサー83からシート検出信号が出力されたとジャム判定部101により判定されるまで、シートが順方向上流側へ逆送される。
【0042】
ここで、立ち壁89(段差部D1)は、前記シートの順方向搬送時には、
図3に示されるように、その搬送の障害とはならないが、前記シートの逆送時には、シートの逆送の障害となり得る。逆送時におけるシートの前端が段差部D1に引っかかると、
図4に示されるように、ジャムが生じる場合がある。
【0043】
そこで、本実施形態では、ファン制御部103は、ジャム判定部101からジャムが発生したと判定された場合、
図5に示されるように、ファン41を作動させる。これにより、定着装置9の順方向上流側の位置周辺の領域に空気の流れWが発生し、加圧ローラー9A及び加熱ローラー9Bによりニップされているシートの後端(逆送時の前端)の向きが前記空気の流れWによって搬送ガイド面100から離間する。その結果、逆送されるシートの前端が、段差部D1に当接することによりジャムが生じるのを可及的に回避することができる。なお、ファン41を作動させるタイミングは、逆送されるシートの前端が段差部D1に当接する前であればいつでもよいが、搬送制御部102によりシートの逆送制御が開始される前から作動させるのが好ましい。
【0044】
次に、
図6を用いて、制御部10によるジャム防止処理の流れについて説明する。なお、
図6のフローチャートにおいてステップS1、S2、・・・は処理手順(ステップ)番号を表している。
【0045】
図6に示されるように、制御部10は、シートセンサー83から検出信号を受信すると(ステップS1でYES)、一定時間内にシートセンサー91から検出信号を受信したか否かを判定する(ステップS2)。制御部10は、一定時間内にシートセンサー91から検出信号を受信したと判定した場合(ステップS2でNO)、ジャム防止処理を終了する。
【0046】
制御部10は、一定時間内にシートセンサー91から検出信号を受信しなかったと判定した場合(ステップS2でNO)、ジャム判定部101は、定着装置9においてジャムが発生したと判定する(ステップS3)。ファン制御部103は、この判定を受けて、ファン41を作動させる(ステップS4)。また、搬送制御部102は、加圧ローラー9A及び加熱ローラー9Bを逆方向へ回転させて、シートを順方向上流側へ逆送させる(ステップS5)。
【0047】
その後、制御部10は、シートセンサー83から検出信号を受信したか否かを判定し(ステップS6)、受信していない場合は(ステップS6でNO)、その検出信号を所定時間未受信の状態であるか否かを判定する(ステップS7)。制御部10は、検出信号を所定時間未受信であると判定すると(ステップS7でYES)、ステップS8に進み、検出信号を所定時間未受信の状態ではないと判定すると(ステップS7でYES)、ステップS6に戻る。ステップS6において、制御部10は、シートセンサー83から検出信号を受信すると(ステップS6でYES)、ファン制御部103がファン41の作動を停止するとともに、搬送制御部102がシートの逆送を停止させる(ステップS8)。そして、制御部10は、表示部39によるメッセージ表示や音によって、ジャムが発生した旨をユーザーに報知する(ステップS9)。報知を受けたユーザーが、押圧解除レバー82を
図1の反時計回りに揺動させて、二次転写装置8を前記退避姿勢にすると、転写ローラー81と駆動ローラー7Bとが離間する。これにより、ユーザーは、転写ローラー81と駆動ローラー7Bとの間にあるシートの除去が可能となる。
【0048】
このように、本実施形態では、発生したシートジャムを解消すべくシートを逆送させた場合に、ファン41を作動させてシートの後端(逆送時の前端)の向きを空気の流れWによって搬送ガイド面100から離間させる。そして、逆送されるシートの前端が、矢印Aに示す搬送ガイド面85の段差部D1に当接するのが回避される。これにより、逆送されるシートが段差部D1に当接することによってさらに別のジャムが生じるのを回避し、そのシートを適切に順方向上流側へ戻すことができる。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、ジャム判定部101からジャムが発生したと判定された場合に、ジャムの発生を回避するための方法(制御内容)が第1の実施形態と異なり、それ以外の点については、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態との相違点について主に説明する。
【0050】
図7に示されるように、本実施形態における制御部10は、CPUがプログラムを実行することにより、ジャム判定部101と、搬送制御部102と、角度制御部104とを実現する。なお、ジャム判定部101及び搬送制御部102は、第1の実施形態におけるジャム判定部101、搬送制御部102と同様であるから、その説明は省略する。
【0051】
角度制御部104は、ジャム判定部101によりジャムが発生したと判定された場合、アクチュエータ8Cを制御して、
図8に示されるように、二次転写装置8を前記退避姿勢となるまで点Pを揺動支点として
図1の時計回りに揺動させる。角度制御部104は、位置制御手段に相当する。
【0052】
これにより、二次転写装置8の筐体80に形成された搬送ガイド面85と搬送ガイド面100との段差部D1が無くなり、逆送されるシートの前端が搬送ガイド面85に当接する。その結果、逆送されるシートの前端が段差部D1に当接することによってジャムが生じるのを回避することができる。なお、二次転写装置8を揺動させるタイミングは、逆送されるシートの前端が段差部D1に当接する前であればいつでもよいが、搬送制御部102によりシートの逆送制御が開始される前から揺動させるのが好ましい。
【0053】
次に、
図9を用いて、制御部10によるジャム防止処理の流れについて説明する。なお、
図9のフローチャートにおいてステップS11、S12、・・・は処理手順(ステップ)番号を表している。
【0054】
図9に示されるように、制御部10は、第1の実施形態(
図6)におけるステップS1〜S3の処理と同様の処理を行い(ステップS11〜S13)、ジャム判定部101が定着装置9においてジャムが発生したと判定すると、角度制御部104は、点Pを揺動支点として二次転写装置8を前記退避姿勢となるまで
図1の時計回りに揺動させる(ステップS14)。また、搬送制御部102は、加圧ローラー9A及び加熱ローラー9Bを逆方向へ回転させて、シートを順方向上流側へ逆送させる(ステップS15)。
【0055】
その後、制御部10は、シートセンサー83から検出信号を受信したか否かを判定し(ステップS16)、受信していない場合は(ステップS16でNO)、その検出信号を所定時間未受信の状態であるか否かを判定する(ステップS17)。制御部10は、検出信号を所定時間未受信であると判定すると(ステップS17でYES)、ステップS18に進み、検出信号を所定時間未受信の状態ではないと判定すると(ステップS17でYES)、ステップS16に戻る。ステップS16において、制御部10は、シートセンサー83から検出信号を受信すると(ステップS16でYES)、搬送制御部102がシートの逆送を停止させる(ステップS18)。そして、制御部10は、第1の実施形態(
図6)におけるステップS9の処理と同様の処理を行う(ステップS19)。
【0056】
本実施形態によっても、逆送されるシートが段差部D1に当接することによってさらに別のジャムが生じるのを回避し、そのシートを適切に順方向上流側へ戻すことができる。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態は、ジャム判定部101からジャムが発生したと判定された場合、ジャムの発生を回避するための方法(制御内容)が第1の実施形態と異なり、それ以外の点については、第1の実施形態と同様である。したがって、第1の実施形態との相違点について主に説明する。
【0058】
図10に示されるように、本実施形態における制御部10は、CPUがプログラムを実行することにより、ジャム判定部101と、搬送制御部102と、ニップ制御部105とを備える。なお、ジャム判定部101及び搬送制御部102は、第1の実施形態におけるジャム判定部101及び搬送制御部102と同様であるから、その説明は省略する。
【0059】
ニップ制御部105は、アクチュエータ9Cを制御することにより、加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとによる前記シートの挟持幅を制御するものである。
【0060】
ここで、2つのローラーによってニップされるシートは、通常、相手のローラーを押し潰す側のローラー、本実施形態では
図11の二点鎖線で示すように、加熱ローラー9B側に後端部がロールする。そして、加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとによる前記シートの挟持幅が大きいほどそのロールの程度が大きくなる。
【0061】
ニップ制御部105は、ジャム判定部101によりジャムが発生したと判定された場合、アクチュエータ9Cを作動させる。これにより、
図11に示されるように、ニップ制御部105は、加圧ローラー9Aを加熱ローラー9Bとの軸間距離が大きくなる方向へ移動させて、加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとの圧接力を弱めることにより加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとによる前記シートの挟持幅を小さくする。この結果、
図11の実線で示すように、加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとによる前記シートのロールの程度が小さくなる、もしくは平面状になって、逆送されるシートの前端が搬送ガイド面100から離間する。これにより、シートの逆送によりそのシートの前端が段差部D1に当接してジャムが生じるのを回避することができる。なお、前記挟持幅を小さくするタイミングは、逆送されるシートの前端が段差部D1に当接する前であればいつでもよいが、搬送制御部102によりシートの逆送制御が開始される前から作動させるのが好ましい。
【0062】
次に、
図12を用いて、制御部10によるジャム防止処理の流れについて説明する。なお、
図12のフローチャートにおいてステップS21、S22、・・・は処理手順(ステップ)番号を表している。
【0063】
図12に示されるように、制御部10は、第1の実施形態(
図6)におけるステップS1〜S3の処理と同様の処理を行い(ステップS21〜S23)、ジャム判定部101が定着装置9においてジャムが発生したと判定すると、ニップ制御部105は、加圧ローラー9Aを加熱ローラー9Bとの軸間距離が大きくなる方向へ移動させて、加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとの圧接力を弱めることにより加圧ローラー9Aと加熱ローラー9Bとによる前記シートの挟持幅を小さくする(ステップS24)。また、搬送制御部102は、加圧ローラー9A及び加熱ローラー9Bを逆方向へ回転させて、シートを順方向上流側へ逆送させる(ステップS25)。
【0064】
その後、制御部10は、シートセンサー83から検出信号を受信したか否かを判定し(ステップS26)、受信していない場合は(ステップS26でNO)、その検出信号を所定時間未受信の状態であるか否かを判定する(ステップS27)。制御部10は、検出信号を所定時間未受信であると判定すると(ステップS27でYES)、ステップS28に進み、検出信号を所定時間未受信の状態ではないと判定すると(ステップS27でYES)、ステップS26に戻る。ステップS26において、制御部10は、シートセンサー83から前記検出信号を受信すると(ステップS26でYES)、搬送制御部102がシートの逆送を停止させる(ステップS27)。そして、制御部10は、第1の実施形態(
図6)におけるステップS8の処理と同様の処理を行う(ステップS28)。
【0065】
本実施形態によっても、逆送されるシートが段差部D1に当接することによってさらに別のジャムが生じるのを回避し、そのシートを適切に順方向上流側へ戻すことができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前述した内容のものに限られず、種々の変形例が適用可能である。
【0067】
前記第1〜第3の実施形態におけるジャム防止のための前記各制御を適宜組み合わせることができる。また、組み合わせる各制御の開始タイミングは、同時でもよいし、タイムラグを有していてもよい。
【0068】
前記第1〜第3の実施形態では、定着装置9においてジャムが発生した場合にシートを逆送させるときの段差部D1による新たなジャムの発生が防止される。しかし、この新たなジャムの発生を防止する対象は、定着装置9に限定されず、他の箇所にも適用可能である。
【0069】
要は、
図13(A)に示されるように、シートジャムが生じたことにより、シートを搬送する一対のローラーR1、R2を逆回転して前記シートを順方向上流側へ逆送させる逆送制御が行われる場合に、そのローラーR1、R2の順方向上流側の位置に空気の流れを生成できるファンFが設置されているときには、
図13(B)に示されるように、ファンFが空気の流れを生成して、逆送時のシートの前端が段差Dに当接しないように前記シートの向きを変えるとよい。
【0070】
或いは、定着装置9の順方向上流側に、段差部D2を形成する搬送路C1、C2が存在し、搬送路C1の傾きを制御可能であるときには、
図13(C)に示されるように、角度制御部は、段差部D2が無くなるように搬送路C1の傾きを変えて、逆送時のシートの前端が段差部D2ではなく搬送路C1に当接させて前記シートの向きを変えるとよい。
【0071】
或いは、一対のローラーR1、R2を互いに接近離反する方向へ移動させるアクチュエータA1が備えられているときには、
図13(D)に示されるように、ニップ制御部は、アクチュエータA1を作動させることにより、ローラーR1をローラーR2との軸間距離が大きくなる方向に移動させて、ローラーR1をローラーR2との圧接力を弱めることによりローラーR1をローラーR2とによる前記シートの挟持幅を小さくして前記シートの向きを変えるとよい。なお、アクチュエータA1としては、アクチュエータ9Cと同様のものが採用され得る。
【0072】
また、前記第1〜第3の実施形態では、定着装置9の近傍に設置されたシートセンサー91の出力信号に基づいてジャムの発生が検出された場合に逆送制御が行われる。しかし、画像形成装置1内に設置される各シートセンサー83のうちいずれかのシートセンサー83の出力信号に基づいてジャムの発生が検出された場合に、画像形成装置1内に搬送部材として各所に設けられる一対のローラーR1、R2によって逆送制御が行われるように構成することが可能である。
【0073】
本発明の適用対象は、タンデム方式のカラー画像形成装置に限定されず、モノクロの画像形成装置も含む。