(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[画像形成装置42]
図1に示されるように、印刷処理システム40は、画像形成装置42と、複数の端末装置43とを備えて構成されている。画像形成装置42は、本発明の画像形成装置の一例である。これらの各装置は、標準規格IEEE802.3に準拠したLANやWANなどの通信ネットワーク41によって相互にデータ通信可能に接続されている。以下、画像形成装置42及び端末装置43の構成について詳細に説明する。
【0013】
図2に示されるように、画像形成装置42は、印刷用紙に画像を形成可能なプリンターである。画像形成装置42は、端末装置43から入力された印刷データをトナーなどの印刷材料を用いて印刷用紙に印刷する。なお、画像形成装置42はプリンターに限られず、少なくとも印刷機能を備えた複合機であってもよい。
【0014】
画像形成装置42は、画像読取部10、原稿カバー20、ADF(自動原稿送り装置)21、給紙部25、画像形成部22、定着装置39、操作表示部24などを備えている。
【0015】
画像読取部10は、ADF21を備えている。画像読取部10は、ADF21或いはコンタクトガラス11にセットされた原稿の画像を読み取って画像データを取得する。画像読取部10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)などの撮像素子、光学レンズ、光源等を備えている。画像読取部10では、前記光源から原稿に照射されて反射した光が前記光学レンズを通って前記撮像素子に入力されることにより、原稿の画像データが読み取られる。なお、画像読取部10の詳細な説明は省略する。
【0016】
給紙部25は、画像形成部22において画像が形成される印刷用紙を給送する。給紙部25には複数枚の印刷用紙が積載状に収容されている。給紙部25は、これらの印刷用紙から最上位の印刷用紙を一枚ずつ取り出して画像形成部22に給送する。
【0017】
画像形成部22は、通信ネットワーク41に接続されたパーソナルコンピューター等の端末装置43から入力された印刷データに基づいて、印刷用紙に画像を形成する電子写真方式の画像形成手段である。具体的には、画像形成部22は、感光体ドラム31、帯電装置32、現像装置33、トナーコンテナ34、転写ローラー35、除電装置36、レーザスキャナユニット(LSU)30などを備えている。なお、本実施形態では、電子写真方式の画像形成部22を例にして説明するが、画像形成部22は電子写真方式のものに限られず、他の画像形成方式のものであってもよい。
【0018】
画像形成部22では、給紙部25から供給される印刷用紙に対する画像形成(印刷)が以下の手順で行われる。まず、画像形成装置42に対して印刷指示が入力されると、帯電装置32によって感光体ドラム31が所定の電位に一様に帯電される。次に、レーザスキャナユニット30により感光体ドラム31の表面に印刷データに含まれる画像データに基づく光が照射される。これにより、感光体ドラム31の表面に静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム31上の静電潜像は現像装置33によってトナー像として現像(可視像化)される。なお、現像装置33には、トナーコンテナ34からトナー(現像剤)が補給される。続いて、感光体ドラム31に形成されたトナー像は転写ローラー35によって印刷用紙に転写される。その後、印刷用紙に転写されたトナー像は、その印刷用紙が定着装置39を通過する際に加熱されて印刷用紙に溶融定着される。なお、感光体ドラム31の電位は除電装置36で除電される。
【0019】
定着装置39は、フレーム(不図示)に回転可能に支持された加熱ローラー37と、加熱ローラー37に圧接されて従動回転する加圧ローラー38とを備えている。加熱ローラー37の内部に加熱装置37Aが設けられている。加熱装置37Aは、本発明の加熱手段の一例である。加熱装置37Aは、ハロゲンヒーターなどで構成されており、内部から加熱ローラー37に熱を供給して、加熱ローラー37を加熱する。本実施形態では、加熱ローラー37内に設けられた加熱装置37Aを例示するが、加熱ローラー37の外側に配置された誘導加熱方式の加熱装置などを適用することも可能である。
【0020】
定着装置39では、トナーを溶融するために加熱ローラー37が加熱装置37Aによって加熱される。本実施形態では、加熱装置37Aによる加熱が制御部80(
図3参照)によって制御されることにより、加熱ローラー37の表面温度が予め設定された設定温度(例えば175℃)になるように加熱される。より詳細には、加熱ローラー37と加圧ローラー38とのニップ部の温度が前記設定温度になるように加熱装置37Aによって加熱ローラー37が加熱される。前記ニップ部が前記設定温度に維持されることにより、前記ニップ部を通過する印刷用紙が前記設定温度と同等の温度に加熱される。
【0021】
操作表示部24は、本発明の操作入力手段の一例である。操作表示部24は、各種操作キーや液晶ディスプレイなどを備えて構成されている。操作キーとして、例えば、画像形成装置42の印刷データ記憶部26(
図3参照)に記憶された印刷データに対する印刷指示を入力するためのスタートボタン、印刷を中断させるためのストップボタン、テンキー、十字キーなどが配列されている。前記スタートボタンが押されることにより、操作表示部24は、印刷指示の操作入力を受け付ける。画像形成装置42では、操作表示部24が操作されることによって操作表示部24を介して入力された印刷指示にしたがって、予め印刷データ記憶部26に記憶された印刷データに基づいて印刷を実行する。なお、ユーザーが画像形成部22における画像形成(印刷)を実行させるために前記操作キーが操作されると、前記操作キーの接点信号が操作入力信号として操作表示部24から制御部80(
図3参照)に出力される。
【0022】
また、
図3に示されるように、画像形成装置42は、制御部80と、印刷データ記憶部26と、通信接続部29とを備えている。
【0023】
制御部80は、画像形成装置42を統括制御する。具体的には、制御部80は、画像形成部22における画像形成(印刷)を制御する。また、本実施形態では、制御部80は、
図6のフローチャートにしたがって、後述のプルプリント方式の印刷出力処理(プルプリント出力処理)を実行する。また、制御部80は、
図7のフローチャートにしたがって、後述の設定時間更新処理を実行する。
【0024】
制御部80は、CPU、ROM、RAM、EEPROMなどを備えており、これらが内部バスによって接続されている。CPUは、画像形成装置42を制御するための各種の制御プログラムを実行したり、データの処理における演算を行う。ROMには、前記制御プログラムが格納されている。この制御プログラムがCPUによって実行されることにより、画像形成装置42における前記プルプリント出力処理(
図6参照)や前記設定時間更新処理(
図7参照)が実行される。RAMは、印刷データ記憶部26から読み出された印刷データや、通信接続部29から入力されたデータを一時的に記憶するものである。RAMに記憶されたデータは、CPUによって処理されて、必要に応じて画像形成部22などに転送される。
【0025】
EEPROMは、画像形成装置42における各種設定情報を記憶するものであり、例えば、給紙部25に収納された記録用紙の種類やサイズなどの用紙情報が記憶されている。この用紙情報は、ユーザーによって操作表示部24から入力された情報や、用紙サイズを検知する用紙サイズセンサーの検出結果などに基づいて設定される。
【0026】
EEPROMには、通信ネットワーク41に接続されている全ての端末装置43の情報がデーターベース化されたデバイス管理データが格納されている。例えば、通信ネットワーク41に接続された端末装置43の端末管理ID、端末装置43の使用者として登録されているユーザーID、端末装置43の設置場所などの各種情報が前記デバイス管理データに登録されて管理されている。このように前記デバイス管理データが格納されているため、制御部80は、通信接続部29に入力された印刷データに含まれる端末管理IDから、端末装置43やその使用者、設置場所などの情報を把握できる。なお、前記端末管理ID及び前記ユーザーIDは、本発明の識別情報の一例である。
【0027】
また、前記デバイス管理データには、端末装置43から画像形成装置42に対してプルプリント方式の印刷出力(プルプリント出力)が行われたときに、画像形成装置42の省電力モードを復帰させるまでの設定時間T1が端末管理IDごとに登録されている。前記設定時間T1は、本発明の第1設定時間の一例である。具体的には、前記設定時間T1は、過去に実行されたプルプリント出力によって印刷データ記憶部
26に記憶された印刷データに対する複数の印刷指示が行われた場合に、複数の印刷指示に対応する印刷待機時間(印刷データが通信接続部29に入力されてから印刷指示が入力されるまでに要した時間)の平均時間から、画像形成装置42が画像形成可能な通常動作状態に復帰するまでに要する復帰時間Twを減算して得られた時間である。前記設定時間T1は、後述のプルプリント出力処理(
図6参照)に用いられる。また、前記設定時間T1は、後述の設定時間更新処理(
図7参照)における更新対象である。
【0028】
なお、制御部80は集積回路(ASIC、DSP)などの電子回路で構成されたものであってもよい。
【0029】
本実施形態では、制御部80は、画像形成装置4
2の動作モードを通常動作モード又は省電力モード(スリープモード)のいずれかに切り替える制御を行う。ここで、前記通常動作モードとは、印刷指示が入力された場合に直ぐに画像形成装置4
2における印刷を実行可能な状態にしておく動作モードである。具体的には、制御部80は、加熱ローラー37がトナーを定着させることが可能な所定の定着温度となるように、定着装置39の加熱装置37Aを加熱制御する。また、前記省電力モードとは、一定の時間内に印刷指示が入力されなかった場合に、定着装置39の加熱装置37Aによる熱の発生量を抑制する動作モードである。具体的には、前記省電力モードは、加熱ローラー37の温度を前記定着温度よりも低い温度となるように加熱装置37Aを加熱制御したり、或いは定着装置39の加熱装置37Aによる加熱を停止させたりする動作モードである。なお、画像形成装置4
2における動作モードの切り替え、及び各動作モードについては周知であるため、本実施形態では詳細な説明を省略する。
【0030】
また、本実施形態では、制御部80は、ROM内の制御プログラムがCPUによって実行されることにより、カウント部81、復帰部82、更新部83、省電力部84として機能する。
【0031】
カウント部81は、本発明のカウント手段の一例である。カウント部81は、プログラムで構成される所謂ソフトカウンターである。カウント部81は、通信接続部29から印刷データを受信した受信時からの経過時間Tをカウントする。もちろん、カウント部81に代えて、電子回路或いは装置として構成されたカウンターを適用してもよい。
【0032】
復帰部82は、本発明の復帰手段の一例である。復帰部82は、印刷データの受信時から操作表示部24を介して印刷指示が入力されるまでの印刷待機時間に基づいて設定された前記設定時間T1と、カウント部81によるカウント値とを比較する。そして、前記カウント値が前記設定時間T1なったときに、画像形成装置42の省電力モードを解除して通常動作モードに復帰させる。
【0033】
また、復帰部82は、前記カウント値が前記設定時間T1に達する前に、操作表示部24を介して印刷データに対する印刷指示が入力されたときに、前記省電力モードを解除して、画像形成装置42を前記通常動作モードに復帰させる。
【0034】
更新部83は、本発明の更新手段の一例である。更新部83は、新たに受信したプルプリント出力の対象である前記印刷データに対する印刷指示に対応する前記印刷待機時間に基づいて前記設定時間T1を更新する。つまり、新たにプルプリント出力が行われて、その際に前記印刷待機時間が求められると、その印刷待機時間を含む過去の印刷待機時間を用いて前記設定時間T1を更新する。具体的には、新たに求められた印刷待機時間を含む過去の印刷待機時間の平均値
から復帰時間Twを減算した時間に前記設定時間T1
を変更する。
【0035】
省電力部84は、本発明の省電力手段の一例である。省電力部84は、前記カウント部81によるカウント値が前記設定時間T1よりも大きい設定時間T2になったときに、画像形成装置42の通常動作モードを前記省電力モードに移行する。前記設定時間T2は、本発明の第2設定時間の一例である。具体的には、前記設定時間T2は、前記設定時間
T1に予め定められた係数を乗じてえら得られた数値である。前記係数は、可変情報として制御部80のEEPROMに記憶されている。ユーザーが操作表示部24を操作してEEPROMから前記係数を読み出し、その数値をキー操作によって変更することによって、前記係数の設定値を任意に変更できる。
【0036】
印刷データ記憶部26は、本発明の記憶手段の一例である。印刷データ記憶部26は、通信接続部29から入力されたプルプリント出力処理に用いられる印刷データを一時的に格納する。つまり、制御部80は、プルプリント出力処理に用いられる印刷データが通信接続部29に入力されると、それを直ちに印刷処理するのではなく、印刷データ記憶部26に格納する。印刷データ記憶部26は、例えばHDDである。
【0037】
通信接続部29は、通信ネットワーク41を介して接続されている端末装置43との間で行われるデータの送受信を実現する通信インターフェースである。通信接続部29は、例えば、NIC(Network Interface Card)である。
【0038】
[端末装置43]
端末装置43は、通信ネットワーク41に接続されている画像形成装置4
2に対して印刷処理を実行させるパーソナルコンピューターなどの情報処理装置である。具体的には、端末装置43は、通信ネットワーク41に接続された画像形成装置4
2に対してプルプリント方式に基づく印刷出力を行う。
図4に示されるように、端末装置43は、制御部90と、操作部95と、表示部96と、データ記憶部97とにより構成されている。
【0039】
操作部95は、各種設定や指示を行うためのボタンやスイッチ等であり、例えばキーボードである。表示部96は、液晶パネルなどのモニターであり、各種アプリケーションで用いられる画面や入力された情報などを表示する。データ記憶部97は、例えばHDDである。データ記憶部97には、オペレーティングシステムや各種アプリケーションが記憶されている。通信接続部
29Dは、通信ネットワーク41を介して接続されている画像形成装置42との間で行われるデータの送受信を実現する通信インターフェースであり、例えば、NICである。
【0040】
制御部90は、端末装置43を統括制御する。制御部90は、CPU、ROM、RAM、EEPROMなどを備えている。CPUは、端末装置43に実現させる各種アプリケーションや、アプリケーションで作成された文書などを印刷出力するためのプリンタードライバーなどを実行する。前記アプリケーション及び前記プリンタードライバーは、データ記憶部97に格納されている。なお、前記アプリケーションによって作成された文書は、プリンタードライバーによって、PCLなどのページ記述言語(PDL:Page Description Language)の印刷データに変換され、通信接続部
29Dを介して画像形成装置4
2に送信される。
【0041】
[画像形成装置42と端末装置43の位置関係]
次に、画像形成装置42と端末装置43の位置関係について説明する。印刷処理システム40は、一般に、オフィスにおいて利用される。例えば、
図5のレイアウト図に示されるように、ワークルーム45に一台の画像形成装置42が設置されている場合に、その画像形成装置42を使用可能な3台の端末装置43(43A〜43C)のうち、端末装置43Aは画像形成装置42に最も近いデスク45Aに配置されている。また、端末装置43Bは画像形成装置42に2番目に近いデスク45Bに配置されている。そして、端末装置43Cは画像形成装置42から最も遠いデスク45Cに配置されている。このような位置関係においては、端末装置43Aのユーザーがプルプリント出力をした場合と、端末装置43Cのユーザーがプルプリント出力をした場合とでは、前記印刷待機時間が異なる。このような位置関係に各装置が配置されている場合であっても、後述するプルプリント出力処理(
図6参照)が行われることによって、ユーザーが印刷指示を入力するタイミングで画像形成装置42を通常動作状態に復帰させることができる。
【0042】
[プルプリント出力処理]
以下、
図6のフローチャートを参照して、画像形成装置42において制御部80によって実行されるプルプリント出力処理の手順の一例について説明する。
図6中のS11、S12、…は処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、以下の説明では、説明の便宜上、プルプリント出力処理の出力対象となる印刷データが端末装置43から画像形成装置42に出力されているものとする。また、画像形成装置42が省電力モードで動作しているものとする。
【0043】
端末装置43からプルプリント出力の対象である印刷データが画像形成装置42で受信されると(S11)、制御部80は、印刷データ記憶部26に印刷データを一時的に格納する。そして、ステップS12において、制御部80は、印刷データを受信したときからの経過時間Tのカウントを開始する。なお、ステップS12のカウントを行う制御部80は、本発明のカウント手段の一例である。
【0044】
次に、制御部80は、印刷データに含まれる端末装置43の識別情報である端末管理IDを読み取り、その端末管理IDが前記デバイス管理データに登録されているかどうかを判定する。そして、端末管理IDが登録されている場合は、その端末管理IDに対応する設定時間T1が登録されているかどうかを判定する(S13)。ここで、設定時間T1が登録されている場合は、処理はステップS14に進み、当該設定時間T1を前記デバイス管理データが記憶されているEEPROMから読み出す(S14)。一方、前記設定時間T1が登録されていない場合は、制御部80は、処理をステップS16に進め、ステップS16において、操作表示部24を介して直接にユーザーによって印刷指示が操作入力されるまで待機する。
【0045】
前記設定時間T1が読み出されると、制御部80は、ステップS15において、経過時間Tが
前記設定時間T1以上であるかどうかを判定する
。経過時間Tが
前記設定時間T1以上である場合は、処理はステップS
20に進む。一方、経過時間Tが
前記設定時間T1未満である場合は、処理はステップS
16に進む。
【0046】
ステップS16では、制御部80は、操作表示部24を介して直接にユーザーによって印刷指示が操作入力されたかどうかを判定する。ステップS16において、前記印刷指示が入力されると、経過時間Tを前記印刷待機時間として制御部80のRAMに一時的に記憶する(S17)。その後、制御部80は、画像形成装置42の省電力モードを解除して、通常動作モードに移行させる。これにより、省電力モードによって低温に制御されていた加熱ローラー37のウォームアップが開始される(S18)。つまり、制御部80によって加熱装置37Aが前記定着温度まで加熱される。その後、前記定着温度まで加熱されると、制御部80は、印刷データ記憶部26に格納されていた印刷データに基づいて画像形成(印刷)を実行する(S19)。
【0047】
一方、ステップS15において、経過時間Tが
前記設定時間T1以上であると判定されると、次のステップS20では、印刷指示の入力を待たずに、ステップS18と同様に、加熱ローラー37のウォームアップを開始する。なお、ステップS15及びステップS20の処理を実行する制御部80は、本発明の復帰手段の一例である。その後、ステップS21において、前記印刷指示が入力されると、制御部80は、経過時間Tを前記印刷待機時間として制御部80のRAMに一時的に記憶する(S22)。その後、加熱ローラー37が前記定着温度まで加熱されると、制御部80は、印刷データ記憶部26に格納されていた印刷データに基づいて画像形成(印刷)を実行する(S19)。
【0048】
ステップS21において、印刷指示が入力されなかった場合、制御部80は、経過時間Tが前記設定時間T2以上であるかどうかを判定する(S23)。そして、制御部80は、経過時間Tが前記設定時間T2以上になったことを条件に、画像形成装置42を通常動作モードから再び省電力モードで動作させる(S24)。その後、制御部80は、処理をステップS16に進めて、ステップ16において、操作表示部24を介して直接にユーザーによって印刷指示が操作入力されるまで待機する。なお、ステップS23及びステップS24の処理を行う制御部80が、本発明の省電力手段の一例である。
【0049】
このように、制御部80によってプルプリント出力処理が実行されることにより、印刷指示入力がされる前に、省電力モードが解除されて、加熱ローラー37のウォームアップが開始される(S15,S20)。このため、設定時間T1が経過するタイミングで加熱ローラー37のウォームアップが開始
し、その
後の完了のタイミングでユーザーは画像形成装置42に到達して、直ぐに印刷指示を入力してプルプリント出力を実行することができる。その結果、無駄に早いタイミングで加熱ローラー37のウォームアップをすることなく、無駄な電力消費を抑制することができる。また、ユーザーは、画像形成装置42の側で無駄に待機する必要がなくなり、時間的に効率よく印刷物を得ることができる。
【0050】
なお、上述の実施形態では、ステップS13及びステップS14において、前記端末管理IDに対応する設定時間T1を読み出すようにしたが、もちろん、端末装置43の使用者を示すユーザーIDが印刷データに含まれている場合は、制御部80は、そのユーザーIDに対応する設定時間T1が登録されているかどうかを判定し、登録さている場合に、ユーザーIDに対応する設定時間T1をEEPROMから読み出すようにしてもよい。
【0051】
[設定時間更新処理]
以下、
図7のフローチャートを参照して、画像形成装置42において制御部80によって実行される設定時間更新処理の手順の一例について説明する。この設定時間更新処理は、前記設定時間T1を更新する処理である。
図7中のS31、S32、…は処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、以下の説明では、説明の便宜上、前記プルプリント出力処理が終了して、制御部80のRAMに前記印刷待機時間が記憶されているものとする。
【0052】
まず、ステップS31において、制御部80は、前記プルプリント出力における印刷データに含まれる端末管理ID又はユーザーIDなどの識別情報(ユーザー情報)が前記デバイス管理データに登録されているかどうかを判定する。ここで、前記識別情報が登録されている場合は、次のステップS32において、制御部80は、RAMに記憶された前記印刷待機時間が前記設定時間T2未満であるかどうかを判定する。そして、前記印刷待機時間が前記設定時間T2未満である場合は、制御部80は、前記印刷待機時間を用いて前記設定時間T1を更新する(S33)。具体的には、制御部80は、前述のプルプリント処理で得られた新たな印刷待機時間と、設定時間T1の算出に使用されていた過去の印刷待機時間とを用いて、新たに印刷待機時間の平均値を算出し、
前記平均値から前記復帰時間Twを減算した時間に前記設定時間T1
を変更する。なお、ステップS33の処理を実行する制御部80は、本発明の更新手段の一例である。
【0053】
一方、ステップS32において、前記印刷待機時間が前記設定時間T2以上である場合は、制御部80はRAMの前記印刷待機時間の記憶を消去して(S38)、設定時間T1を更新することなく、処理を終了する。
【0054】
また、ステップS31において、端末管理ID又はユーザーIDなどの識別情報(ユーザー情報)が前記デバイス管理データに登録されていない場合は、次のステップS34において、制御部80は、前記印刷待機時間が前記デバイス管理データに登録されている全て識別情報に対応する全ての設定時間T2未満であるかどうかを判定する。ここで、前記印刷待機時間が前記設定時間T2未満であると判定されると、前記印刷待機時間と前記端末管理IDは、前記デバイス管理データに登録すべき対象であると判定され、端末管理ID又はユーザーIDとともに前記印刷待機時間が前記デバイス管理データに新たに登録される(S37)。一方、前記印刷待機時間が前記設定時間T2以上である場合は、ユーザーによる登録可否を選択可能な画面を操作表示部24に表示させる(S35)。そして、操作表示部24からユーザーによって登録指示が入力された場合に限り、端末管理ID又はユーザーIDとともに前記印刷待機時間を前記デバイス管理データに新たに登録し(S37)、登録しない旨の指示が入力された場合は、制御部80はRAMの前記印刷待機時間の記憶を消去して(S38)、設定時間T1を更新することなく、処理を終了する。
【0055】
このように、ステップS33において設定時間T1が更新されるため、前記印刷待機時間が変動しても、その変動に対応した設定時間T1に更新される。その結果、無駄な電力消費や無駄な待ち時間が減少する。また、前記印刷待機時間が設定時間T2以上の場合は、設定時間T1が更新されない。これにより、長時間の印刷待機時間を用いて設定時間T1が更新されることによる設定時間T1の大幅な変更を防止することができる。
【0056】
本発明の範囲は、請求項の記載に先行する詳細な説明ではなく、添付の請求項の記載により定義されるので、本明細書に記載の実施形態は、例示に過ぎず、かつ非限定的であると理解されたい。従って、特許請求の境界・限界から逸脱しない変更の全て、または境界・限界の均等物は、特許請求の範囲に含まれるものとする。