(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機器の運転中に、あらかじめ定められたトリガイベントが発生したか否かを検知するトリガイベント検知手段と、所定のサンプリング周期毎の各時刻で前記機器の運転情報を取得する運転情報サンプリング手段と、前記トリガイベント検知手段により前記トリガイベントの発生が検知されたとき、前記運転情報サンプリング手段により該トリガイベントの発生前及び発生後の少なくとも一方の所定期間において取得された前記機器の運転情報の時系列を運転情報記憶手段に記憶保持させる記憶制御手段とを備える運転情報記憶制御装置であって、
前記トリガイベント検知手段による検知対象のトリガイベントとして、複数種類のトリガイベントのなかからあらかじめ選定されたトリガイベントの種類を規定する第A設定データと、該第A設定データにより規定されるトリガイベントに対応する前記サンプリング周期の値を規定する第B設定データと、該第A設定データにより規定されるトリガイベントに対応して前記運転情報記憶手段に記憶保持させるべき前記運転情報の種類を規定する第C設定データとを含む運転情報取得用の設定情報を書き換え可能にあらかじめ記憶保持する設定情報記憶手段を備えており、
前記トリガイベント検知手段は、前記設定情報記憶手段に記憶保持された設定情報のうちの第A設定データにより規定されるトリガイベントが発生したか否かを検知するように構成され、
前記運転情報サンプリング手段は、前記設定情報記憶手段に記憶保持された設定情報のうちの第B設定データにより規定されるサンプリング周期で、前記第C設定データにより規定される種類の前記運転情報を取得するように構成されており、
前記運転情報記憶手段に記憶保持させる前記運転情報の時系列は、前記トリガイベントの発生前の所定期間と該トリガイベントの発生後の所定期間との両方における運転情報の時系列であり、
前記設定情報記憶手段に記憶保持する前記設定情報のうちの前記第B設定データは、前記トリガイベントの発生前の所定期間における前記サンプリング周期を規定する第B1設定データと、前記トリガイベントの発生後の所定期間における前記サンプリング周期を規定する第B2設定データとから構成され、
前記第C設定データは、前記トリガイベントの発生前の所定期間における運転情報として前記運転情報記憶手段に記憶保持させる運転情報の種類を規定する第C1設定データと、前記トリガイベントの発生後の前記所定期間における運転情報として前記運転情報記憶手段に記憶保持させる運転情報の種類を規定する第C2設定データとから構成され、
前記設定情報記憶手段は、前記第C2設定データにより規定される運転情報が、前記第C1設定データにより規定される運転情報のうちの1つ以上の種類の運転情報を含まないものとなるように設定された前記第C1設定データ及び第C2設定データの組を書き込み可能に構成されていることを特徴とする機器の運転情報記憶制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、機器で発生し得る異常もしくは不適切な動作等の現象は、一般に多数の種類があり、また、その原因も多岐にわたる。
【0008】
そして、ある1つの種類の異常の発生については、比較的短い時間幅の期間における機器の運転情報が当該異常の発生に密接に関連したものとなる一方、別の種類の異常の発生については、比較的長い時間幅の期間における機器の運転情報が当該異常の発生に密接に関連したものとなるということが多々ある。
【0009】
また、機器で発生し得る異常の種類毎に、その異常の発生に関連する機器の運転情報のの種類が相違する場合が多い。
【0010】
しかるに、特許文献1に見られる如き従来の技術では、同文献1の
図3の記載等に見られるように、複数の異常に対して、一律の所定周期(サンプリング周期)で一定の運転情報を取得するようにしている。
【0011】
このため、比較的短い時間幅の期間における機器の運転情報が密接に関連する異常に対応するために、上記所定周期を短めに設定しておくと、限られた記憶容量内で比較的長い時間幅の期間における機器の運転情報を取得することができない。ひいては、比較的長い時間幅の期間における機器の運転情報が密接に関連する異常の発生に対して、有効な運転情報を取得することができないものとなる。
【0012】
また、逆に、比較的長い時間幅の期間における機器の運転情報が密接に関連する異常に対応するために、上記所定周期の設定値を長めに設定しておくと、瞬時的な運転情報の変化を示すデータが取得されにくい。このため、比較的短い時間幅の期間における機器の運転情報が密接に関連する異常の発生に対して、有効な運転情報を取得することができないものとなりやすい。あるいは、当該異常の発生に対して、関連性の乏しい期間の多くの運転情報を不必要に取得することとなりやすい。
【0013】
さらに、特許文献1に見られる如き技術では、複数の異常に対して取得する運転情報が一定であるので、いずれの異常に対しても有用な運転情報を得るためには、異常の発生時に取得する運転情報の種類を多めにしておく必要がある。このため、個々の異常の発生に対して取得した運転情報が、必要性の乏しい運転情報を含むものとなりやすい。
【0014】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、機器の異常等の発生原因の特定等のために有用性の高い運転情報を限られた記憶容量内で取得することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の機器の運転情報記憶制御装
置は、上記目的を達成するために、機器の運転中に、あらかじめ定められたトリガイベントが発生したか否かを検知するトリガイベント検知手段と、所定のサンプリング周期毎の各時刻で前記機器の運転情報を取得する運転情報サンプリング手段と、前記トリガイベント検知手段により前記トリガイベントの発生が検知されたとき、前記運転情報サンプリング手段により該トリガイベントの発生前及び発生後の少なくとも一方の所定期間において取得された前記機器の運転情報の時系列を運転情報記憶手段に記憶保持させる記憶制御手段とを備える運転情報記憶制御装置であって、前記トリガイベント検知手段による検知対象のトリガイベントとして、複数種類のトリガイベントのなかからあらかじめ選定されたトリガイベントの種類を規定する第A設定データと、該第A設定データにより規定されるトリガイベントに対応する前記サンプリング周期の値を規定する第B設定データと
、該第A設定データにより規定されるトリガイベントに対応して前記運転情報記憶手段に記憶保持させるべき前記運転情報の種類を規定する第C設定データとを含む運転情報取得用の設定情報を書き換え可能にあらかじめ記憶保持する設定情報記憶手段を備えており、前記トリガイベント検知手段は、前記設定情報記憶手段に記憶保持された設定情報のうちの第A設定データにより規定されるトリガイベントが発生したか否かを検知するように構成され、前記運転情報サンプリング手段は、前記設定情報記憶手段に記憶保持された設定情報のうちの第B設定データにより規定されるサンプリング周期で
、前記第C設定データにより規定される種類の前記運転情報を取得するように構成されて
おり、前記運転情報記憶手段に記憶保持させる前記運転情報の時系列は、前記トリガイベントの発生前の所定期間と該トリガイベントの発生後の所定期間との両方における運転情報の時系列であり、前記設定情報記憶手段に記憶保持する前記設定情報のうちの前記第B設定データは、前記トリガイベントの発生前の所定期間における前記サンプリング周期を規定する第B1設定データと、前記トリガイベントの発生後の所定期間における前記サンプリング周期を規定する第B2設定データとから構成され、前記第C設定データは、前記トリガイベントの発生前の所定期間における運転情報として前記運転情報記憶手段に記憶保持させる運転情報の種類を規定する第C1設定データと、前記トリガイベントの発生後の前記所定期間における運転情報として前記運転情報記憶手段に記憶保持させる運転情報の種類を規定する第C2設定データとから構成され、前記設定情報記憶手段は、前記第C2設定データにより規定される運転情報が、前記第C1設定データにより規定される運転情報のうちの1つ以上の種類の運転情報を含まないものとなるように設定された前記第C1設定データ及び第C2設定データの組を書き込み可能に構成されていることを特徴とする(第1発明)。
【0016】
かかる第1発明によれば、前記トリガイベント検知手段は、前記設定情報記憶手段に記憶保持された設定情報のうちの第A設定データにより規定されるトリガイベントが発生したか否かを検知する。
【0017】
また、前記運転情報サンプリング手段は、前記設定情報記憶手段に記憶保持された設定情報のうちの第B設定データにより規定されるサンプリング周期で
、前記第C設定データにより規定される種類の前記運転情報を取得する。
【0018】
この場合、第1発明によれば、前記設定情報記憶手段に記憶保持させる前記第A設定データと第B設定データとは、書き換え可能である。
【0019】
このため、第A設定データによって随時、トリガイベント検知手段の検知対象のトリガイベントの種類を、機器の運転情報の収集の上で優先度もしくは重要度の高いトリガイベントに限定させることができる。
【0020】
そして、そのトリガイベント毎に、該トリガイベントに好適なサンプリング周期を第B設定データにより設定しておくことができる。
【0021】
例えば、トリガイベントに対応して取得することが好ましい運転情報が、比較的短い時間間隔内のものであること予想させる場合には、サンプリング周期を短めの時間に設定しておくことができる。
【0022】
また、トリガイベントに対応して取得することが好ましい運転情報が、比較的長い時間間隔内のものであること予想させる場合には、サンプリング周期を長めの時間に設定しておくことができる。
【0023】
このため、第1発明によれば、トリガイベントの発生前又は発生後における運転情報を、該トリガイベントに好適なサンプリング周期で取得し、さらにそれを運転情報記憶手段に記憶保持させることができる。
【0024】
また、トリガイベント検知手段の検知対象のトリガイベントの種類を、1種類もしくは少ない種類数に限定することができるので、サンプリングした運転情報を記憶保持する運転情報記憶手段の容量が比較的少ないもので済む。
【0025】
よって、第1発明によれば、機器の異常等の発生原因の特定等のために有用性の高い運転情報を限られた記憶容量内で取得することができる。
【0026】
かかる第1発明では、
さらに、前記運転情報記憶手段に記憶保持させる前記運転情報の時系列は、前記トリガイベントの発生前の所定期間と該トリガイベントの発生後の所定期間との両方における運転情報の時系列であり、前記設定情報記憶手段に記憶保持する前記設定情報のうちの前記第B設定データは、前記トリガイベントの発生前の所定期間における前記サンプリング周期を規定する第B1設定データと、前記トリガイベントの発生後の所定期間における前記サンプリング周期を規定する第B2設定データとから構成され
る。
【0027】
これによれば、トリガイベントの発生前と発生後とで、運転情報のサンプリング周期を異ならせることができる。ここで、トリガイベントの発生前と発生後とでは、ある運転情報のサンプリング値(例えば温度の検出値等)が異なる経時変化を呈する場合(例えば、トリガイベントの発生前には、温度が急激に変化し、トリガイベントの発生後には、温度が緩やかに変化する等)が多々ある。
【0028】
このため、トリガイベントの発生前と発生後とで、運転情報の変化の形態に適したサンプリング周期を各々設定できる。
【0029】
ひいては、機器の異常等の発生原因の特定等のためにより有用性の高い運転情報を取得することができる。
【0030】
また、前記第1発
明では、前記設定情報記憶手段に書き換え可能に記憶保持する前記設定情報は、該設定情報のうちの第A設定データにより規定されるトリガイベントに対応して前記運転情報記憶手段に記憶保持させるべき前記運転情報の種類を規定する第C設定データをさらに含
む。
【0031】
そして、前記第C設定データは、前記トリガイベントの発生前の所定期間における運転情報として前記運転情報記憶手段に記憶保持させる運転情報の種類を規定する第C1設定データと、前記トリガイベントの発生後の前記所定期間における運転情報として前記運転情報記憶手段に記憶保持させる運転情報の種類を規定する第C2設定データとから構成され
、前記設定情報記憶手段は、前記第C2設定データにより規定される運転情報が、前記第C1設定データにより規定される運転情報のうちの1つ以上の種類の運転情報を含まないものとなるように設定された前記第C1設定データ及び第C2設定データの組を書き込み可能に構成されている。
【0032】
これによれば、前記第A設定データにより規定されるトリガイベント毎に各別に、前記第Cデータによって、前記運転情報記憶手段に記憶保持させるべき前記運転情報の種類を設定できる。
【0033】
さらに
、前記第A設定データにより規定されるトリガイベント毎に各別に、前記運転情報記憶手段に記憶保持させるべき前記運転情報の種類を設定できることに加えて、該トリガイベントの発生前と発生後とで各別に、前記第C1データ及び第C2データによって、前記運転情報記憶手段に記憶保持させるべき前記運転情報の種類を設定できる
。この場合、第C1設定データにより規定される運転情報のうちの1つ以上の種類の運転情報が、第C2設定データにより規定される運転情報に含まれないようにすることができる。
【0034】
このため
、取得対象の運転情報を、トリガイベントの種類、あるいは、トリガイベントの発生前及び発生後に好適な種類の運転情報に限定することができる。換言すれば、トリガイベントの種類に対して、あるいは、トリガイベントの発生前及び発生後において、必要性の乏しい運転情報を取得しないようにすることができる。
【0035】
ひいては、機器の異常等の発生原因の特定等のためにより有用性の高い運転情報を取得することを、少ない必要最小限の容量の運転情報記憶手段を用いて実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の一実施形態を
図1〜
図8を参照して以下に説明する。
【0038】
まず、
図1を参照して本実施形態における機器の概要を説明する。
【0039】
本実施形態における機器は、例えば給湯機能と、浴槽5の湯はり等の風呂運転機能とを有する風呂給湯システム1である。
【0040】
この風呂給湯システム1は、給水管2から供給される水を加熱する熱源機3と、該熱源機3で加熱された水(湯)を、台所等に配置される給湯口4と浴槽5とにそれぞれ供給する給湯管6及び湯はり管7とを備える。給湯口4には、カラン4a等が装着される。
【0041】
熱源機3は、そのハウジング3a内に、燃料供給管8から燃料が供給されるガスバーナ等のバーナ9と、該バーナ9の燃焼熱により加熱される熱交換器10とを備える。燃料供給管8には、バーナ9への燃料の供給量を調整するための比例弁等の流量調整弁11と、燃料供給管8を開閉する電磁弁12とが介装されている。
【0042】
熱交換器10の通水管10aの上流側に給水管2が連接され、通水管10aの下流側に給湯管6が連接されている。
【0043】
熱交換器10の上流側における給水管2の途中部と、熱交換器10の下流側における給湯管6の途中部とは、給水管2を熱交換器10に向かって流れる水の一部を熱交換器10を経由させずに給湯管6に流すためのバイパス管13を介して接続されている。そして、バイパス管13には、熱交換器10を経由させる水の流量とバイパス管13を経由させる水の流量との比率(バイパス比)を調整するためのバイパス比調整弁14が介装されている。
【0044】
また、給水管2には、バイパス管13との接続箇所の上流側で、給水管2を流れる水の流量(給水流量)を検出する水量センサ15と、該給水流量を調整するための流量調整弁16とが介装されている。
【0045】
また、給湯管6には、給湯口4に向かって流れる湯の温度(給湯温度)を検出する温度センサ17が装着されている。
【0046】
湯はり管7は、給湯管6とバイパス管13との接続箇所の下流側で、給湯管6から分岐され、浴槽5に接続されている。そして、湯はり管7には、そこを流れる湯量(流量)を調整するための流量調整弁18と、該湯量を検出する流量センサ19と、浴槽5内の湯の温度(風呂温度)を検出する温度センサ20とが介装されている。
【0047】
なお、浴槽5内の湯の追い炊きを行うための構成がさらに備えられていてもよい。
【0048】
熱源機3には、さらに、マイクロコンピュータ、もしくはCPU、RAM、ROM、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成された制御装置30が搭載されている。この制御装置30により、風呂給湯システム1の運転制御が行わる。
【0049】
より具体的には、給湯口4のカラン4aの開栓等により給水管2の通水が開始されると、制御装置30は、その通水開始を水量センサ15の検出信号により認識する。そして、制御装置30は、燃料供給管8の電磁弁12及び流量調整弁11を制御することでバーナ9への燃料の供給を行いつつ、図示しない点火器によりバーナ9に点火して、バーナ9の燃焼運転を開始させる。
【0050】
その後、制御装置30は、温度センサ17で検出される給湯温度を、図示しないリモコン等で設定された目標給湯温度に一致させるように、バーナ9の燃焼量、給水流量、及びバイパス比を制御する。この場合、バーナ9の燃焼量は、燃料供給管8の流量調整弁11を介して制御される。また、給水流量は、給水管2の流量調整弁16を介して制御され、バイパス比は、バイパス管13のバイパス比調整弁14を介して制御される。
【0051】
また、制御装置30は、リモコン等により浴槽5の湯はりが指示された場合には、湯はり管7の流量調整弁18を開弁すると共に、バーナ9の燃焼運転を行わせ、給湯管6から湯はり管7を介して浴槽5に湯を供給させる。
【0052】
この場合、湯はり管7の温度センサ20で検出される風呂温度が、リモコン等で設定された目標風呂湯温になるようにバーナ9の燃焼量が制御される。また、浴槽5の湯の供給は、湯はり管7の流量センサ19で検出される流量の積算値が、リモコン等で設定された目標湯はり量に達するまで行われる。
【0053】
以上が、本実施形態における機器の一例としての風呂給湯システム1の概要である。
【0054】
本実施形態では、熱源機3に搭載された制御装置30が、本発明における運転情報記憶制御装置としての機能を併せ持つものである。以降、その機能に関して説明する。
【0055】
図2に示すように、制御装置30は、複数のバッファ32を含む揮発性メモリ31と、データの書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリ33と、揮発性メモリ31のバッファ32あるいは不揮発性メモリ33へのデータの書き込み等に関する制御処理を行う制御部34とを備える。
【0056】
揮発性メモリ31は、RAM等により構成され、不揮発性メモリ33は、EEPROM等により構成される。また、制御部34は、マイクロコンピュータ、あるいは、CPU等により構成される。なお、揮発性メモリ31は、制御部34に含まれているものでもよい。
【0057】
不揮発性メモリ33は、風呂給湯システム1(以降、単に機器1ということがある)の運転情報を取得(収集)するための制御処理の実行条件を規定する設定情報をあらあじめ記憶保持する設定情報記憶部41と、機器1の運転中に所定のトリガイベントが発生したときに、機器1の運転情報を記憶保持させる運転情報記憶部45とを含む。
【0058】
設定情報記憶部41は、本実施形態では、2種類の設定情報(以降、これらを設定情報1、設定情報2ということがある)のそれぞれを各別に記憶保持する2つの記憶エリア442,42を有する。各記憶エリア42に記憶保持される(書き込まれる)設定情報1又は2は、
図3に示すように、運転情報記憶部45に記憶保持させる運転情報を取得(収集)する制御処理を前記制御部34に実行させるトリガとなるイベントであるトリガイベントの種類を規定する設定データD1と、該トリガイベントの発生前における機器1の運転情報のサンプリング周期を規定する設定データD2aと、該トリガイベントの発生前における取得対象の運転情報が何の情報であるか示す項目(以下、運転情報項目という)を各々規定する所定数N以下の設定データD3a(i)(i=1,2,…)と、トリガイベントの発生後における機器1の運転情報のサンプリング周期を規定する設定データD2bと、トリガイベントの発生後における取得対象の運転情報項目を各々規定する所定数N以下の設定データD3b(i)(i=1,2,…)と、トリガイベントの発生前及び発生後のそれぞれにおける運転情報の必要サンプリング数を規定する設定データD4とから構成される。
【0059】
この場合、上記所定数Nは、トリガイベントの発生前又は発生後において、取得対象とする運転情報項目の種類の最大個数(例えば5個)である。そして、トリガイベントの発生前又は発生後において取得対象とする運転情報項目の種類数、すなわち、前記設定データD3a(i)又はD3b(i)の個数は、最大個数N以下であればよく、例えば1個でもよい。
【0060】
また、上記設定情報のうち、トリガイベントの発生前に関する設定データD2a,D3a(i)(i=1,2,…)の組は、該トリガイベントの発生前の運転情報を必要としない場合には省略される。同様に、トリガイベントの発生後に関する設定データD2b,D3b(i)(i=1,2,…)の組は、該トリガイベントの発生後の運転情報を必要としない場合には省略される。なお、これらの場合には、設定データD4は、トリガイベントの発生前及び発生後のいずれか一方における運転情報の必要サンプリング数を規定するものとなる。
【0061】
前記設定データD1により規定されるトリガベントの種類としては、例えば、バーナ9の失火、なんらかの異常発生によるバーナ9の強制消火、給湯温度の過剰昇温(所定温度以上への昇温)等、機器1の特定の動作異常、あるいは、機器1の特定の動作(給水流量の増加等)、あるいは、機器1の特定の操作(リモコンの所定の操作等)である。
【0062】
また、設定データD3a(i),D3b(i)(i=1,2,…)により規定される運転情報項目は、例えば、浴槽5の湯はり等の風呂運転が正常に行われているか否かの情報、給湯運転が正常に行われているか否かの情報、バーナ9の燃焼運転状態を示す情報(燃焼量、燃焼の有無等)、給湯温度の検出値、風呂温度の検出値、給水流量の検出値、燃料供給管8の流量調整弁11の動作状態を示す情報(流量調整弁11の応答信号等)、図示しない炎検知センサの検知状態、バーナ9に燃焼用空気を供給するファン(図示省略)の回転数の目標値もしくは検出値、熱交換器10の温度の検出値等である。
【0063】
そして、設定情報記憶部41への上記設定データD1,D2a,D3a(i),D2b,D3b(i),D4の記憶保持(書き込み)は、機器1の製品出荷時、あるいは、出荷後の保守、点検、もしくは修理を行う時等に、メーカ等の作業者によって、専用の治具を使用して行われる。
【0064】
運転情報記憶部45は、本実施形態では、設定情報1,2にそれぞれ対応する運転情報を記憶保持する1つの記憶エリア46,46を含む。
【0065】
各記憶エリア46は、
図4に示す如く、前記設定情報のうちの設定データD3a(1),D3a(2),…,D3a(N),D3b(1),D3b(2),…,D3b(N)によりそれぞれ規定される運転情報項目の複数のサンプリング値を各々記憶する個別記憶エリアAa(1),Aa(2),…,Aa(N),Ab(1),Ab(2),…,Ab(N)を有する。
【0066】
各個別記憶エリアAa(1),Aa(2),…,Aa(N),Ab(1),Ab(2),…,Ab(N)は、それぞれに対応する運転情報項目の複数のサンプリング値(設定データD2a又はD2bにより規定されるサンプリング周期でのサンプリング値)を時系列的に記憶保持するように構成されている。
【0067】
例えば、設定データD3a(1)により規定される運転情報項目が給湯温度の検出値であり、また、設定データD2aにより規定されるサンプリング周期が5秒であるとした場合、設定データD1により規定されるトリガイベントの発生前において、5秒のサンプリング周期で取得された複数の給湯温度の検出値が、Aa(1)の記憶エリアに時系列的に記憶保持される。
【0068】
なお、運転情報記憶部45の各記憶エリアの容量は、前記設定データD4により規定される必要サンプリング数以上のサンプリング値を記憶し得る容量とされている。
【0069】
揮発性メモリ31には、設定情報記憶部41に記憶保持される設定情報1に対応する運転情報項目のサンプリング値の記憶用のバッファ32と、設定情報2に対応する運転情報項目のサンプリング値の記憶用のバッファ32とが含まれる。
【0070】
各バッファ32は、複数個(n個)の記憶エリアB(j)(j=1,2,…,n)を有する。そして、各バッファ32のそれぞれの記憶エリアB(j)には、不揮発性メモリ33の設定情報記憶部41の各記憶エリア42の設定データD2a(i)又はD2b(i)(i=1,2,…)により規定される運転情報項目のサンプリング値が、制御部34の制御処理によって逐次更新されつつ記憶保持される。
【0071】
この場合、各バッファ32の記憶エリアB(j)のうち、B(1)が最新のサンプリング値を記憶保持するための記憶エリア、B(n)が最も古いサンプリング値を記憶保持するための記憶エリアとして利用される。そして、各バッファ32は、新たなサンプリング値が入力されると、B(n)に今まで記憶保持していたサンプリング値を消去すると共に、B(1),B(2),…,B(n-1)に今まで記憶保持していたサンプリング値をそれぞれB(2),B(3),…,B(n)に転送し、B(1)に新たなサンプリング値を記憶保持する。
【0072】
補足すると、設定情報1,2のそれぞれに対応するバッファ32の記憶エリアB(j)は、設定情報記憶部41の各記憶エリア42に記憶保持されている設定データD3a(i)又はD3b(i)(i=1,2,…)により規定される全ての種類(最大個数N個以下の種類)の運転情報項目のサンプリング値を記憶し得るもの、あるいは、1種類の運転情報項目のサンプリング値を記憶し得るもののいずれであってもよい。
【0073】
前者の場合には、設定情報1,2にそれぞれ対応するバッファ32は1つでよいが、後者の場合には、設定情報1,2にそれぞれ対応するバッファ32は、取得対象の運転情報項目の種類数の最大個数N個のバッファ32が必要となる。
【0074】
以降の説明では、設定情報1,2のそれぞれについて、設定データD3a(i)(i=1,2,…)によりそれぞれ規定される運転情報項目のサンプリング値の組をトリガイベント発生前運転情報サンプリングデータということがある。同様に、設定データD3b(i)(i=1,2,…)によりそれぞれ規定される運転情報項目のサンプリング値の組をトリガイベント発生後運転情報サンプリングデータということがある。また、設定データD2a,D2bによりそれぞれ規定されるサンプリング周期を、それぞれ、トリガイベント発生前サンプリング周期、トリガイベント発生後サンプリング周期ということがある。
【0075】
制御部34は、その機能としてトリガイベント検知部51と、サンプリング制御部52と、記憶制御部53とを有する。
【0076】
トリガイベント検知部51は、機器1の運転中(詳しくは、機器1の制御装置30等の電源が投入されている状態)に、設定情報1,2のそれぞれの設定データD1により規定されるトリガイベントが発生したか否かを検知する処理を実行する機能部である。
【0077】
サンプリング制御部52は、トリガイベント検知部51によるトリガイベントの検知前又は検知後において、該トリガイベントに対応する設定データD2a又はD2bにより規定されるサンプリング周期でサンプリングデータ(トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータ又はトリガイベント発生後運転情報サンプリングデータ)を取得し、該サンプリングデータをバッファ32に書き込む処理を実行する機能部である。
【0078】
記憶制御部53は、バッファ32に最終的に書き込まれたサンプリングデータ(トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータ及びトリガイベント発生後運転情報サンプリングデータの一方又は両方)を運転情報記憶部45の記憶エリア46に記憶保持させる処理を実行する機能部である。
【0079】
ここで、本発明と本実施形態との対応関係を説明しておく。
【0080】
本実施形態では、上記トリガイベント検知部51、記憶制御部53、設定情報記憶部41、運転情報記憶部45がそれぞれ、本発明におけるトリガイベント検知手段、記憶制御手段、設定情報記憶手段、運転情報記憶手段に相当する。
【0081】
また、サンプリング制御部52とバッファ32とより本発明における運転情報サンプリング手段が構成される。
【0082】
また、設定データD1が本発明における第A設定データに相当する。
【0083】
また、設定データD2a,D2bが本発明における第B設定データに相当する。この場合、さらに、設定データD2aが本発明における第B1設定データ、D2bが本発明における第B2設定データに相当する。
【0084】
また、設定データD3a(i),D3b(i)(i=1,2,…)が本発明における第C設定データに相当する。この場合、さらに、設定データD3a(i)が本発明における第C1設定データ、D3b(i)が本発明における第C2設定データに相当する。
【0085】
次に、制御部34の各機能部の処理の詳細を含めて、運転情報の記憶制御に関する処理をより具体的に説明する。
【0086】
まず、不揮発性メモリ33の設定情報記憶部41への設定情報1,2に記憶保持(書き込み)に関して説明する。
【0087】
本実施形態では、設定情報記憶部41への上記設定データD1,D2a,D3a(i),D2b,D3b(i),D4の記憶保持(書き込み)は、例えば機器1の製品出荷時、あるいは、出荷後の保守、点検、もしくは修理を行う時(以下、単に保守・管理作業時という)に、メーカ等の作業者によって、専用の治具を使用して行われる。
【0088】
この場合、作業者は、重点的に情報収集を行うべき1つ又は2つのトリガイベントの種類をあらかじめ定められた複数の種類の中から選定しておく。さらに、その選定した各トリガイベントの種類に対応して、該トリガイベントの発生前及び発生後の一方又は両方における取得対象の運転情報項目、トリガイベント発生前サンプリング周期及びトリガイベント発生後サンプリング周期の一方又は両方、並びに、必要サンプリング数をあらかじめ決定しておく。
【0089】
そして、作業者は、上記の決定事項に則して、不揮発性メモリ33の設定情報記憶部41に設定情報1,2の一方又は両方を専用の治具により書き込む。
【0090】
この書き込み作業は、設定情報1,2のそれぞれについて、
図5のフローチャートに示す如く実行される。
【0091】
具体的には、STEP1において、選定したトリガイベントを規定する設定データD1を記憶エリア42に書き込む。
【0092】
次いで、STEP2において、サンプリング周期を規定する設定データD2a,D2bの一方又は両方を記憶エリア42に書き込む。
【0093】
この場合、トリガイベントの発生前及び発生後の一方だけで、運転情報項目の取得を行う場合には、当該一方のサンプリング周期に対応する設定データD2a又はD2bだけが書き込まれる。また、トリガイベントの発生前及び発生後の両方で、運転情報項目の取得を行う場合には、設定データD2a,D2bの両方が書き込まれる。
【0094】
次いで、STEP3において、取得対象の運転情報項目を規定する設定データD3a(i),D3b(i)(i=1,2,…)の一方又は両方を記憶エリア42に書き込む。
【0095】
この場合、トリガイベントの発生前及び発生後の一方だけで、運転情報項目の取得を行う場合には、当該一方に対応する設定データD3a(i)又はD3b(i)だけが書き込まれる。また、トリガイベントの発生前及び発生後の両方で、運転情報項目の取得を行う場合には、設定データD3a(i)又はD3b(i)の両方が書き込まれる。
【0096】
また、トリガイベントの発生前及び発生後のそれぞれにおいて、取得対象の運転情報項目が複数(≦最大個数N)ある場合には、その各種類の設定データD3a(1),D3a(2),…、又はD3b(1),D3b(2),…が書き込まれる。
【0097】
例えば、トリガイベントが、バーナ9の失火が図示しないフレームロッド等の炎センサにより検知されるというイベントである場合、トリガイベントの発生前における燃料供給管8の流量調整弁11の動作状態、炎センサの応答信号、バーナ9に燃料を供給する燃焼ファン(図示省略)の実際の回転数の検出値及び目標値がそれぞれ取得対象の運転情報項目とされる。
【0098】
また、例えば、トリガイベントが、給湯温度(検出値)が所定温度以上の過剰な高温になるというイベントである場合、トリガイベントの発生前における、給湯温度の検出値、給水温度の検出値もしくは推定値、熱交換器10の温度の検出値、燃焼ファン回転数の検出値及び目標値がそれぞれ取得対象の運転情報項目とされる。
【0099】
なお、トリガイベントの発生前及び発生後のそれぞれにおける運転情報項目は1種類であってもよい。さらに、トリガイベントの発生前及び発生後のそれぞれにおける運転情報項目の種類あるいはその種類数が、当該発生前と発生後とで同一でもよく、あるいは、互いに異なっていてもよい。
【0100】
次いで、STEP4において、トリガイベントの発生前及び発生後の一方又は両方におけるサンプリングデータの必要サンプリング数を規定する設定データD4を記憶エリア42に書き込む。
【0101】
この場合、トリガイベントの発生前及び発生後の一方だけで、運転情報項目の取得を行う場合には、当該一方に対応するサンプリングデータの必要サンプリング数を規定する設定データD4が書き込まれる。また、トリガイベントの発生前及び発生後の両方で、運転情報項目の取得を行う場合には、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータの必要サンプリング数と、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータの必要サンプリグ数との両方を規定する設定データD4が書き込まれる。
【0102】
なお、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータの必要サンプリング数と、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータの必要サンプリング数とのいずれか一方に応じて他方が規定される場合には、設定データD4は、当該いずれか一方の必要サンプリング数を規定するものであってもよい。
【0103】
また、本実施形態では、設定データD4により規定されるトリガイベント発生前運転情報サンプリングデータの必要サンプリング数と、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータの必要サンプリング数とは、それらの総和がバッファ32の記憶エリアB(j)(j=1,2,…,n)の個数n以下となる範囲で設定される。
【0104】
補足すると、設定データD4により規定される必要サンプリング数は、設定データD2a,D2bにより規定されるサンプリング周期と併せて、トリガイベントの発生前又は発生後において、取得対象の運転情報項目を取得する期間を規定するものとなる。例えば、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータの必要サンプリング数をトリガイベント発生前サンプリング周期に乗じてなる時間幅の期間が、トリガイベントの発生前に、取得対象の運転情報項目を取得する期間に相当するものとなる。
【0105】
設定情報記憶部41への設定情報1,2の書き込み(記憶保持)は、上記の如く実行される。
【0106】
なお、各設定情報に対応する設定データの書き込みは、
図5のフローチャートに示す順序で行うことは必須ではなく、当該順序と異なる順序で行うようにしてもよい。
【0107】
次に、制御部34の制御処理の詳細を説明する。
【0108】
制御装置30が起動されると(機器1の運転が開始されると)、制御部34は、設定情報1,2のそれぞれに関して、
図6のフローチャートに示す制御処理を実行する。なお、この制御処理は、設定情報1,2のいずれについても同じであるので、当該制御処理の説明は、設定情報1に関する制御処理を代表例として行う。
【0109】
制御部34は、STEP11において、不揮発性メモリ33の設定情報記憶部41に記憶保持された設定情報1を読み込む。
【0110】
次いで、STEP12において、制御部34は、設定情報1に、トリガイベントの発生前に関する設定情報(設定データD2a,D3a(i))が含まれているか否かを判断する。
【0111】
この判断結果が否定的である場合には、制御部34は、STEP13において、設定情報1の設定データD1により規定されるトリガイベントが発生したか否かを前記トリガイベント検知部51により判断する。そして、該トリガイベントの発生が検知されるまで(STEP13の判断結果が肯定的になるまで)、STEP12の判断処理を繰り返しつつ、待機する。
【0112】
一方、STEP12の判断結果が肯定的である場合には、制御部34は、次に、STEP14において現在時刻が、設定データD2aにより規定されるトリガイベント発生前サンプリング周期の時刻であるか否かを判断する。この判断結果が否定的である場合には、制御部34は、STEP14の判断結果が肯定的になるまで待機する。
【0113】
そして、STEP14の判断結果が肯定的になった場合(現在時刻が、トリガイベント発生前サンプリング周期の時刻である場合)には、制御部34は、次に、STEP15において、サンプリング制御部52の処理を実行する。
【0114】
この処理では、サンプリング制御部52は、設定データD3a(i)(i=1,2,…)により規定されるトリガイベント発生前運転情報サンプリングデータを取得し、該サンプリングデータをバッファ32に時系列的に書き込む。
【0115】
この場合、バッファ32に書き込まれたサンプリング、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータの個数が、バッファ32の記憶エリアB(j)(j=1,2,…,n)の総数nに達すると、以後は、新たなトリガイベント発生前運転情報サンプリングデータを取得する毎に、前記した如く、B(n)に今まで記憶保持されていたサンプリングデータが消去されると共に、B(1),B(2),…,B(n-1)に今まで記憶保持されていたサンプリングデータがそれぞれB(2),B(3),…,B(n)に転送される。そして、B(1)に新たなサンプリングデータが書き込まれる。
【0116】
これにより、トリガイベント発生前サンプリング周期の各時刻において、所定時間前(当該サンプリング周期のn倍の時間前)までの所定期間におけるトリガイベント発生前運転情報サンプリングデータが時系列的にバッファ32に記憶保持される。
【0117】
次いで、制御部34は、STEP16において、前記STEP13と同様に、設定データD1により規定されるトリガイベントが発生したか否かをトリガイベント検知部51により判断する。
【0118】
そして、STEP16の判断結果が否定的である場合には、制御部34は、STEP14からの処理を繰り返す。
【0119】
STEP13又は16の判断結果が肯定的になると(トリガイベントの発生がトリガイベント検知部51に検知されると)、制御部34は、次にSTEP17において、設定情報1に、トリガイベントの発生後に関する設定情報(設定データD2b,D3b(i))が含まれているか否かを判断する。
【0120】
この判断結果が否定的である場合には、制御部34は、後述するSTEP21の処理を実行する。
【0121】
一方、STEP17の判断結果が肯定的である場合には、制御部34は、次に、STEP18において現在時刻が、設定データD3bにより規定されるトリガイベント発生後サンプリング周期の時刻であるか否かを判断する。この判断結果が否定的である場合には、制御部34は、STEP18の判断結果が肯定的になるまで待機する。
【0122】
そして、STEP18の判断結果が肯定的になった場合(現在時刻が、トリガイベント発生後サンプリング周期の時刻である場合)には、制御部34は、次に、STEP19において、サンプリング制御部52の処理を実行する。
【0123】
この処理では、サンプリング制御部52は、設定データD3b(i)(i=1,2,…)により規定されるトリガイベント発生後運転情報サンプリングデータを取得し、該サンプリングデータをバッファ32に時系列的に書き込む。
【0124】
この場合、本実施形態では、トリガイベントの発生前に、STEP15の処理により、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータをバッファ32に書き込むことが行われていた場合(STEP12の判断結果が肯定的であった場合)には、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータは、既にトリガイベント発生前運転情報サンプリングデータが書き込まれているバッファ32に、続けて書き込まれる。従って、新たなトリガイベント発生後運転情報サンプリングデータがバッファ32の記憶エリアB(1)に新たに書き込まれる毎に、B(n)に記憶保持されている最も古いトリガイベント発生前運転情報サンプリングデータが消去される。
【0125】
また、トリガイベントの発生前に、STEP15の処理により、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータをバッファ32に書き込むことが行われていない場合(STEP12の判断結果が否定的であった場合)には、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータだけが、バッファ32に書き込まれていく。
【0126】
なお、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータと、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータとは、各別のバッファに書き込むようにしてもよい。
【0127】
次いでSTEP20において、制御部34は、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータが、設定データD4により規定される必要サンプリング数に達したか否かを判断する。
【0128】
この判断結果が否定的である場合には、制御部34は、STEP18からの処理を繰り返す。
【0129】
これにより、トリガイベント発生後サンプリング周期の各時刻において、トリガイベントの発生後、所定時間が経過するまで(当該サンプリング周期に、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータの必要サンプリング数を乗じてなる時間が経過するまで)の所定期間におけるトリガイベント発生後運転情報サンプリングデータが時系列的にバッファ32に記憶保持される。
【0130】
STEP17の判断結果が否定的であった場合、あるいは、STEP20の判断結果が肯定的になると、次に、制御部34は、STEP21において、記憶制御部53の処理を実行する。
【0131】
この処理では、記憶制御部53は、バッファ32に記憶保持されているトリガイベント発生前運転情報サンプリングデータのうち、設定データD4により規定される必要サンプリング数のサンプリングデータ(最も新しい側のサンプリングデータ)と、バッファ32に記憶保持されているトリガイベント発生後運転情報サンプリングデータ(必要サンプリング数のサンプリングデータ)との一方又は両方を、不揮発性メモリ33の運転情報記憶部45(設定情報1に対応する記憶エリア46)に転送して、該運転情報記憶部45に書き込む。
【0132】
この場合、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータ及びトリガイベント発生後運転情報サンプリングデータのいずれか一方だけをバッファ32に記憶保持した場合(STEP12,17のいずれか一方の判断結果が否定的であった場合)には、当該一方のサンプリングデータだけが運転情報記憶部45に記憶保持される。
【0133】
また、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータ及びトリガイベント発生後運転情報サンプリングデータの両方をバッファ32に記憶保持した場合(STEP12,17の判断結果が両方とも肯定的であった場合)には、当該両方のサンプリングデータが運転情報記憶部45に記憶保持される。
【0134】
以上説明した
図6のフローチャートの制御処理により、設定情報1の設定データD1により規定されるトリガイベントが発生した場合に、該トリガイベントの発生前及び発生後の一方又は両方における、所定期間分のサンプリングデータ(サンプリング周期と必要サンプリング数とにより規定される所定期間分のサンプリングデータ)が不揮発性メモリ33の運転情報記憶部45に記憶保持される。
【0135】
以上の制御処理は、設定情報2についても同様に行われる。
【0136】
以上の如く運転情報記憶部45に記憶保持されるサンプリングデータは、メーカ等の作業者によって、専用的な治具を使用して、読み出される。これにより、設定情報1,2のトリガイベントに関連する運転情報のサンプリングデータが収集される。
【0137】
そして、メーカ等の作業者は、これらのサンプリングデータを分析することで、機器1で発生する異常、あるいは、ユーザにとって好ましくない機器1の動作の発生原因を特定したり、あるいは機器1の改良すべき点を見出すこと等が行われる。
【0138】
ここで、かかる分析処理に関する例を
図7及び
図8を参照して説明する。
【0139】
図7は、機器1における風呂運転と給湯運転とが行われている状況で、5種類の運転情報項目の値(0.2秒間隔での値)がトリガイベントの発生時刻までに、図示の如く変化している状況を想定したものである。
【0140】
この場合、設定データD1により規定されるトリガイベントは、風呂運転と給湯運転とが制御装置30により強制的に異常停止されると共に、バーナ9が強制的に消火されるというイベント(異常発生)である。
【0141】
また、設定データD3a(i)(i=1,2,…)により規定されるトリガイベント発生前の取得対象の運転情報項目は、風呂運転が正常に行われているか否かの情報、給湯運転が正常に行われているか否かの情報、バーナ9の燃焼状態の情報、給湯温度の検出値の情報及び風呂温度の検出値の情報の5種類の運転情報項目である。
【0142】
また、設定データD2aにより規定されるトリガイベント発生前サンプリング周期は、例えば1秒であり、設定データD4により規定されるトリガイベント発生前運転情報サンプリングデータの必要サンプリング数は、トリガイベントの発生時刻のものを含めて5個である。
【0143】
かかる
図7に示す例では、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータのうちの給湯温度の検出値の情報から、トリガイベントの発生時刻の2秒前の時刻の前後で、給湯温度の検出値が、急激な低下(図示例では、45.58℃から−10.27℃への低下)が生じていることが判る。
【0144】
このことから、給湯温度を検出する温度センサ17の故障により上記の異常が発生したことを推測できる。
【0145】
なお、トリガイベント発生前サンプリング周期を、仮に0.2秒に設定しておくと、設定データD4により規定されるトリガイベント発生前運転情報サンプリングデータの必要サンプリング数が5個であると、トリガイベントの発生時刻の0.8秒前までのサンプリングデータが取得されることとなる。この場合には、
図7に示す例では、異常が発生した原因を推測し得るサンプリングデータを得ることができない。
【0146】
従って、トリガイベント発生前サンプリング周期の適切な設定により、上記の如く、異常が発生の原因を推測する上で、有用なサンプリングデータを得ることができること判る。
【0147】
次に、
図8は、機器1における風呂運転と給湯運転とが行われている状況で、
図7の場合と同じトリガイベント(風呂運転と給湯運転とが制御装置30により強制的に異常停止されると共に、バーナ9が強制的に消火されるというイベント)が発生した後、当該異常が自動的に解消した状況を想定したものである。
【0148】
この場合、設定データD3a(i)(i=1,2,…)により規定されるトリガイベント発生前の取得対象の運転情報項目は、
図7の場合と同様に、風呂運転が正常に行われているか否かの情報、給湯運転が正常に行われているか否かの情報、バーナ9の燃焼状態の情報、給湯温度の検出値の情報及び風呂温度の検出値の情報の5種類の運転情報項目である。
【0149】
また、設定データD2aにより規定されるトリガイベント発生前サンプリング周期は、例えば0.2秒、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータの必要サンプリング数は例えば5個(トリガイベントの発生時刻でのサンプリングデータを含む)である。
【0150】
そして、
図8(a)が、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータの値を例示している。
【0151】
また、この場合、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータの取得のための設定情報D2b,D3b(i)(i=1,2,…)も設定情報記憶部41に記憶保持されている。
【0152】
この場合、設定データD3b(i)(i=1,2,…)により規定されるトリガイベント発生前の取得対象の運転情報項目は、制御装置30が認識するエラーの有無、給湯運転を正常に行い得る状態であるか否かの情報、バーナ9の燃焼を正常に行い得る状態であるか否かの情報、給湯温度の検出値の情報及び給水流量の検出値の情報の5種類の運転情報項目である。
【0153】
また、設定データD2bにより規定されるトリガイベント発生後サンプリング周期は、例えば1秒、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータの必要サンプリング数は例えば5個である。
【0154】
そして、
図8(b)が、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータの値を例示している。
【0155】
かかる
図8(a),(b)に示す例では、トリガイベント発生後運転情報サンプリングデータのうちの給水流量の検出値の情報から、トリガイベントの発生後、2秒が経過するまでは、給水流量の検出値が異常な値(図示例では、ゼロ)になっていたが、その後、給水流量の検出値が、通常的な値(図示例では、20[リットル/分])に復帰することで、エラー状態が解除されたことが判る。
【0156】
このことから、水量センサ15の一時的な動作不良によって、当該トリガイベントの異常が発生したことが推測できる。
【0157】
以上説明した実施形態によれば、設定情報記憶部41に記憶保持する設定情報1,2を、必要に応じて随時、書き換えることができる。このため、トリガイベント検知部51による検知対象のトリガイベントの種類を、優先度あるいは重要度の高いものに限定できる。
【0158】
そして、該トリガイベント毎に、トリガイベント発生前サンプリグ周期及びトリガイベント発生後サンプリング周期の一方又は両方、トリガイベント発生前運転情報サンプリングデータ及びトリガイベント発生後運転情報サンプリングデータの一方又は両方、並びに該サンプリングデータの必要サンプリング数を、当該トリガイベントに適したものに設定できる。
【0159】
そのため、種々様々なトリガイベントの発生の原因等を特定するために有用な運転情報のサンプリングデータを、必要最小限の容量のバッファ32あるいは運転情報記憶部45を使用して取得することができる。
【0160】
次に、以上説明した実施形態に関する変形態様をいくつか説明する。
【0161】
前記実施形態では、本発明に機器の一例として風呂給湯システム1を例示したが、本発明における機器は、給湯システム、暖房システム、ガスコンロ等、他の機器であってもよい。
【0162】
また、前記実施形態では、トリガイベントの発生前及び発生後の両方の運転情報を取得し得るものを示したが、本発明の運転情報記憶制御装置は、トリガイベントの発生前及び発生後のいずれか一方だけの運転情報を取得するように構成されていてもよい。
【0163】
そして、トリガイベントの発生後の運転情報は、トリガイベント発生後サンプリング周期毎に、バッファ32を介さずに、運転情報記憶部45に直接的に書き込んでいくようにしてもよい。
【0164】
また、前記実施形態では、設定情報記憶部41及び運転情報記憶部45を不揮発性メモリ33により構成したが、バックアップ電源(電池)から長期間、電源が供給される揮発性メモリにより構成することも可能である。