(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロータリ作業装置に、機体左右方向中央に設けられた駆動ケースと、前記駆動ケースの機体左右方向外側に設けられた左右一対の前記耕耘爪と、が備えられると共に、左右の前記カバー本体は、前記駆動ケースに対して機体前後向きの軸芯回りに揺動可能に構成され、
左側の前記走行輪側カバーの右側端部と右側の前記走行輪側カバーの左側端部とは、前記カバー本体の水平姿勢時に前記駆動ケースの前記走行輪側において互いに重複可能なように、機体前後方向に位置ずれした状態で前記駆動ケース側に延出されている請求項1または2に記載の歩行型作業機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の技術では、ロータリ作業装置において、例えば、耕耘爪の回転方向を変更する都度、カバー本体に対して走行輪側カバーの着脱を行う必要があるという不都合があった。このため、走行輪側カバーの着脱が不要なロータリ作業装置が望まれていたが、そのようなロータリ作業装置を実現しようとすると、構造の複雑化を招きがちであった。
【0006】
上記実情に鑑み、走行輪側カバーの着脱が不要なロータリ作業装置を、簡素な構造で実現できる歩行型作業機の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、機体に載置支持されたエンジンと、前記機体の下方に配置され、前記機体を走行自在に支持する走行輪と、機体前後方向において前記走行輪の後方位置に配置され、前記機体に支持されたロータリ作業装置と、が備えられ、前記ロータリ作業装置に、耕耘爪の上側周囲を覆うカバー本体と、前記カバー本体に支持され、前記耕耘爪の周囲のうち前記走行輪側の箇所を覆う走行輪側カバーと、前記カバー本体に対する前記走行輪側カバーの位置を変更可能にする位置調整機構と、が備えられ、前記位置調整機構に、前記カバー本体及び前記走行輪側カバーの一方側に形成され、前記耕耘爪の回転方向に沿って延びる長孔と、前記カバー本体及び前記走行輪側カバーの他方側に位置決めされると共に前記長孔に挿通されて、前記カバー本体と前記走行輪側カバーとを締付固定可能な締結具と、前記カバー本体と前記走行輪側カバーとに設けられ、互いに係合して前記走行輪側カバーの移動を摺動案内するガイド部と、が備えられ
、
前記ガイド部に、前記回転方向に沿って延びる状態で前記カバー本体または前記走行輪側カバーの一方側に設けられた段差部と、前記カバー本体または前記走行輪側カバーの他方側に設けられ、前記段差部に係合する係合部と、が備えられ、
前記ロータリ作業装置に、前記カバー本体の下方に上下に重なり合う状態で配置されると共に、前記カバー本体に対して機体左右方向に位置変更可能に支持され、前記耕耘爪の周囲のうち機体左右方向外側箇所を覆うサイドカバーが備えられ、
前記段差部は、前記カバー本体のうちの機体左右方向における外側端部と、前記サイドカバーの上面とによって構成されているものである。
【0008】
本発明によると、カバー本体に対して走行輪側カバーを支持した状態で、カバー本体に対する走行輪側カバーの位置を、位置調整機構により、耕耘爪の回転方向に沿った方向に自在に変更できる。
これにより、例えば、耕耘爪を、前進時の走行輪の回転方向と反対方向に回転する逆回転で使用をする場合(いわゆる「アップカット時」)には、カバー本体に対して走行輪側カバーが相対的に下がった位置となる下げ状態で固定しておくことで、走行輪側カバーにより耕耘爪の走行輪側の箇所が広くカバーされ、耕耘爪によって跳ね飛ばされた土が、エンジン等に飛散することを抑制できる。また、例えば、耕耘爪を、前進時の走行輪の回転方向と同じ方向に回転する正回転で使用をする場合(いわゆる「ダウンカット時」、耕耘深さが深くなりがちとなる)には、カバー本体に対して走行輪側カバーが相対的に上がった位置となる上げ状態で固定しておくことで、走行輪側カバーが地面から遠ざかり、走行輪側カバーが圃場面に突っ込むことを防止できる。よって、カバー本体に対する走行輪側カバーの着脱を不要にしながら、作業形態に応じて好適に耕耘爪をカバーできる。
さらに、この位置調整機構には、ガイド部が備えられているので、締結具が1つのみの簡素な構造にできると共に、ガイド部によって耕耘爪の回転方向に沿った走行輪側カバーの位置変更を安定してスムーズに行うことができる。
このように、本発明によると、走行輪側カバーの着脱が不要なロータリ作業装置を、簡素な構造で実現できる。
【0009】
【0010】
また、上記構成によれば、カバー本体または走行輪側カバーの他方側に係合部を設け、カバー本体または走行輪側カバーの一方側に設けられた段差部を活用して、その段差部と係合部とが係合するガイド部としているので、構造の簡素化を図ることができる。
【0011】
【0012】
また、上記構成によれば、カバー本体のうちの機体左右方向における外側端部と、カバー本体の下方に位置するサイドカバーの上面とによって形成される段差部が、ガイド部の一部として活用される。よって、ガイド部としてのみ用いる段差部を別途形成する場合に比べて、構造の簡素化を図ることができる。
【0013】
本発明において、前記係合部は、前記段差部の段差形状に沿うと共に前記回転方向に沿って延びる段差形状に形成されていると好適である。
【0014】
上記構成によれば、係合部が、段差部の段差形状に沿うと共に、耕耘爪の回転方向に沿って延びる段差形状となっているので、段差部に対する係合部の摺動案内をスムーズに行うことができる。
【0015】
本発明において、前記ロータリ作業装置に、機体左右方向中央に設けられた駆動ケースと、前記駆動ケースの機体左右方向外側に設けられた左右一対の前記耕耘爪と、が備えられると共に、左右の前記カバー本体は、前記駆動ケースに対して機体前後向きの軸芯回りに揺動可能に構成され、左側の前記走行輪側カバーの右側端部と右側の前記走行輪側カバーの左側端部とは、前記カバー本体の水平姿勢時に前記駆動ケースの前記走行輪側において互いに重複可能なように、機体前後方向に位置ずれした状態で前記駆動ケース側に延出されていると好適である。
【0016】
上記構成によれば、カバー本体の水平姿勢時に、左右の走行輪側カバーにより耕耘爪の走行輪側の箇所が広くカバーされ、耕耘爪によって跳ね飛ばされた土がエンジン等に飛散しにくいものにできる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例である実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1、
図2に示されるように、歩行型管理機(「歩行型作業機」に相当)の機体本体10(「機体」に相当)には、エンジン11と、ミッションケース12と、走行輪13と、ロータリ作業装置14と、操縦ハンドル15と、が備えられている。
【0019】
図1、
図2に示されるように、エンジン11は、機体本体10の前部側に位置する機体フレーム16に載置支持されている。エンジン11の上部には、タンクカバー17に覆われた燃料タンク18が支持されている。エンジン11の横外側には、外気を除塵して清浄な空気をエンジン11に供給するエアクリーナ19が備えられている。ミッションケース12は、エンジン11の後方側に配置され、機体フレーム16に支持されている。
【0020】
図1に示されるように、走行輪13は、機体本体10の機体フレーム16の下方に配置されている。走行輪13は、伝動ケース22を介して、ミッションケース12に支持されている。伝動ケース22は、機体後方側から機体前方側へ向かうにつれて下方に位置するように傾斜姿勢でミッションケース12に連結されている。走行輪13は、伝動ケース22の下部に回転駆動自在に支持されている。すなわち、走行輪13は、機体本体10の機体フレーム16を走行自在に支持している。
【0021】
図1、
図2に示されるように、操縦ハンドル15には、機体前後方向のうち機体後方に延びる左右一対のハンドル杆24と、各ハンドル杆24の後端部に設けられる把持部25と、が備えられている。
【0022】
〔ロータリ作業装置について〕
図1、
図2に示されるように、ロータリ作業装置14は、機体前後方向において走行輪13の後方位置に配置されている。ロータリ作業装置14は、ミッションケース12に支持されている。つまり、ロータリ作業装置14は、機体本体10に支持されている。ロータリ作業装置14には、駆動ケース27と、左右一対の耕耘爪28と、左右一対のロータリカバー29と、が備えられている。
【0023】
図1〜
図4に示されるように、左側のロータリカバー29と、右側のロータリカバー29とは、略左右対称の形状となっている。左右のロータリカバー29には、それぞれ、カバー本体31と、カバー本体31の前側に支持される走行輪側カバー32と、カバー本体31の横外側に支持されるサイドカバー33と、カバー本体31の後側に支持される後カバー34と、が備えられている。また、左右のロータリカバー29には、それぞれ、カバー本体31の揺動角度を調節可能にする揺動調節機構36と、カバー本体31に対するサイドカバー33の位置を変更可能にするスライド調整機構37と、カバー本体31に対する走行輪側カバー32の位置を変更可能にする位置調整機構38と、が備えられている。
【0024】
〔駆動ケースについて〕
図1に示されるように、駆動ケース27は、機体本体10の後部側における機体左右方向中央に設けられている。駆動ケース27は、ミッションケース12に支持されている。
駆動ケース27には、ロータリケース40と、ロータリフレーム41と、が備えられている。ロータリケース40は、伝動ケース22の機体後方側においてミッションケース12に支持されている。ロータリケース40は、機体前方側から機体後方側へ向かうにつれて下方に位置する傾斜姿勢でミッションケース12に連結されている。つまり、ロータリケース40と伝動ケース22とは、上方から下方に向かうにつれて離間するように配置されている。ロータリフレーム41は、ロータリケース40の後部に固着され、ロータリケース40から機体後方に延びるようにされている。
図1〜
図4に示されるように、ロータリフレーム41の後端部には、耕耘爪28による耕深を設定する抵抗棒43が支持されている。
【0025】
〔耕耘爪について〕
図1、
図3、
図4、
図7に示されるように、耕耘爪28は、駆動ケース27におけるロータリケース40の下部の機体左右方向両横外側に、左右一対で設けられている。耕耘爪28には、爪軸芯Xの周方向に均等配置され、ナタ状の形状を呈した複数の爪体30が備えられている。耕耘爪28は、機体横向きの爪軸芯X周りに回転駆動されるように構成されている。耕耘爪28は、前進時の走行輪13の回転方向と同じ方向に回転する正回転R1で使用をする場合(いわゆる「ダウンカット」、耕耘深さが深くなりがちとなる)と、前進時の走行輪13の回転方向と反対方向に回転する逆回転R2で使用をする場合(いわゆる「アップカット」)と、に切り換え可能となっている。
【0026】
〔カバー本体について〕
図1〜
図4、
図7に示されるように、カバー本体31は、側面視で、上方に凸となる形状を呈しており、下方に位置する耕耘爪28の上側周囲の空間を覆っている。
図2〜
図4に示されるように、カバー本体31は、左右一対で備えられ、ロータリフレーム41の機体左右両外側にそれぞれ配置されている。左側のカバー本体31と、右側のカバー本体31とは、ロータリフレーム41を中心として左右対称の構造となっている。
【0027】
図3、
図4に示されるように、カバー本体31には、上部46と、上部46の前端部から機体前方側へ延出される前部47と、上部46の後端部から機体後方側へ延出される後部48と、が備えられている。
図1、
図3、
図4から理解されるように、カバー本体31の前部47は、耕耘爪28の回転軌跡に沿って、円弧状に湾曲した形状となっている。カバー本体31の後部48は、上部46の後端部から直線的に斜め下方へ延出された形状となっている。左側のカバー本体31における上部46と前部47とに亘る部位と、右側のカバー本体31における上部46と前部47とに亘る部位との間に、ロータリフレーム41が入り込んでいる。カバー本体31の上部46の下側に、耕耘爪28の爪軸芯Xが位置している。
【0028】
図3、
図4に示されるように、カバー本体31の上部46は、ヒンジ50により、駆動ケース27のロータリフレーム41の横外側面に連結支持されている。これにより、
図3、
図4、
図7から理解されるように、カバー本体31が、駆動ケース27のロータリフレーム41に対して、機体前後向きの軸芯Y周りに回動可能となっている。すなわち、左右のカバー本体31は、駆動ケース27に対して機体前後向きの軸芯Y回りに揺動可能に構成されている。また、
図3、
図4、
図6に示されるように、カバー本体31の前部47には、カバー本体31の機体左右方向の外端側部分が、耕耘爪28に近づく側へ面落ちされて、段差部51が形成されている。段差部51は、耕耘爪28の回転方向に沿う状態で設けられている。
【0029】
〔サイドカバーについて〕
図1〜
図4、
図7に示されるように、サイドカバー33は、カバー本体31に支持されている。サイドカバー33は、カバー本体31の下方に、カバー本体31と上下に重なり合う状態で配置されている。サイドカバー33は、左右一対で備えられている。左側のサイドカバー33と、右側のサイドカバー33とは、左右対称の構造となっている。サイドカバー33には、カバー本体31に沿った形状とされる横スライド部52と、横スライド部52の機体横外端部に揺動自在に支持され、ゴムなどの弾性部材からなる機体前後方向に沿った側板53と、が備えられている。
【0030】
〔後カバーについて〕
図1、
図2、
図7に示されるように、後カバー34は、カバー本体31の後部48に支持されている。後カバー34は、耕耘爪28の周囲のうち耕耘爪28の後方側の箇所を覆うようになっている。後カバー34は、左右一対で備えられている。左側の後カバー34と、右側の後カバー34とは、左右対称の構造となっている。左側の後カバー34と、右側の後カバー34との間に抵抗棒43が位置している。
【0031】
〔走行輪側カバーについて〕
図1〜
図4、
図7に示されるように、走行輪側カバー32は、耕耘爪28の周囲のうち走行輪13側の箇所、つまり、走行輪13の後方位置を覆うようになっている。走行輪側カバー32には、カバー本体31の前部47に取り付けられ、金属等の剛性部材からなる取付具44と、取付具44にボルト等によって固定されるゴム等の弾性部材からなる前板45と、が備えられている。走行輪側カバー32は、左側の走行輪側カバー32Lと、右側の走行輪側カバー32Rとにより、左右一対で備えられている。
図3、
図4に示されるように、左側の走行輪側カバー32Lは、左側のカバー本体31の前部47に支持されている。右側の走行輪側カバー32Rは、右側のカバー本体31の前部47に支持されている。
【0032】
図3、
図4に示されるように、左側の走行輪側カバー32Lには、左側の取付具44Lと、取付具44Lに取り付けられる左側の前板45Lと、が備えられている。左側の走行輪側カバー32Lのうち取付具44Lの右側端部44Laは、ロータリケース40よりも右側に位置するまで延出されている。左側の走行輪側カバー32Lのうち前板45Lの右側端部45Laは、ロータリケース40よりも右側に位置するまで延出され、取付具44Lよりもさらに右側へ延出されている。取付具44L及び前板45Lの右上端部は、ロータリフレーム41との干渉を避けるべく引退されている。
【0033】
図3、
図4に示されるように、右側の走行輪側カバー32Rには、右側の取付具44Rと、取付具44Rに取り付けられる右側の前板45Rと、が備えられている。右側の走行輪側カバー32Rのうち取付具44Rの左側端部44Raは、ロータリフレーム41よりも左側に位置するまで延出されている。右側の走行輪側カバー32Rのうち前板45Rの左側端部45Raは、ロータリフレーム41よりも左側に位置するまで延出され、取付具44Rよりもさらに機体左側へ延出されている。取付具44R及び前板45Rの左上端部は、ロータリフレーム41との干渉を避けるべく引退されている。
【0034】
図3、
図4に示されるように、左側の走行輪側カバー32の前板45Lの右側端部45Laと、右側の走行輪側カバー32の前板45Rの左側端部45Raとは、左右のカバー本体31の水平姿勢時に、駆動ケース27の走行輪13側において互いに重複可能なように、機体前後方向に位置ずれした状態で駆動ケース27のロータリケース40側に延出されている。
【0035】
具体的には、
図3、
図4に示されるように、左側の走行輪側カバー32Lの取付具44Lの機体前後方向の長さと、右側の走行輪側カバー32Rの取付具44Rの機体前後方向の長さと異なる長さとなっている。これにより、左側の走行輪側カバー32Lと、右側の走行輪側カバー32Rと、が機体前後方向に位置ずれした状態となり、互いに干渉しないようになっている。
【0036】
〔揺動調節機構について〕
図3、
図4に示されるように、揺動調節機構36には、左側の調節板57と、右側の調節板57と、ロータリフレーム41の上部とミッションケース12の後部とを連結する連結部材58と、第一ノブボルト59と、が備えられている。左右の調節板57は、それぞれ左右のカバー本体31に揺動自在に連結されている。左右の調節板57には、それぞれ、複数の係合孔部57Aが備えられている。左側の調節板57における所望の係合孔部57Aを選択すると共に、右側の調節板57における所望の係合孔部57Aを選択し、それら所望の係合孔部57Aに第一ノブボルト59を挿通した状態で、第一ノブボルト59を連結部材58に締結することにより、左右のカバー本体31が固定される。これにより、左右のカバー本体31を複数段の揺動角度で自在に固定できる。
【0037】
〔スライド調整機構について〕
図3〜
図5に示されるように、スライド調整機構37は、左右のロータリカバー29に、それぞれ備えられている。スライド調整機構37には、カバー本体31に形成される機体横方向に長い第一長孔60と、第二ノブボルト61と、サイドカバー33の横スライド部52に形成される第一挿通孔62と、サイドカバー33の下面に溶接固定される溶接ナット63と、が備えられている。第一長孔60、第二ノブボルト61、第一挿通孔62、溶接ナット63の組み合わせは、機体前後方向に並ぶように2組備えられている。第二ノブボルト61には、雄ねじ軸61Aと、頭部61Bと、が備えられている。
【0038】
第二ノブボルト61を、第一長孔60の所望の箇所に位置させて、第二ノブボルト61の雄ねじ軸61Aを溶接ナット63に締結することにより、第二ノブボルト61の頭部61Bと溶接ナット63で、カバー本体31とサイドカバー33とを挟み込み、カバー本体31に対してサイドカバー33を固定できる。これにより、カバー本体31に対するサイドカバー33の位置を自在に調節して固定できる。
【0039】
〔位置調整機構について〕
図3、
図4、
図6に示されるように、位置調整機構38は、左右のロータリカバー29に、それぞれ備えられている。位置調整機構38は、カバー本体31に対する走行輪側カバー32の耕耘爪28の回転方向に沿った位置を変更可能にするように構成されている。
位置調整機構38には、機体前後方向に沿った第二長孔65(「長孔」に相当)と、カバー本体31に形成される第二挿通孔66と、第三ノブボルト67(「締結具」の一例)と、ガイド部68と、が備えられている。
【0040】
第二長孔65は、カバー本体31及び走行輪側カバー32の一方側に形成されている。
本実施形態では、第二長孔65は、走行輪側カバー32の側に備えられている。第二長孔65は、耕耘爪28の回転方向に沿って延びている。第三ノブボルト67は、カバー本体31及び走行輪側カバー32の他方側に位置決めされると共に第二長孔65に挿通されて、カバー本体31と走行輪側カバー32とを締付固定可能とされている。本実施形態では、第三ノブボルト67は、カバー本体31の側に位置決めされる。
図6に示されるように、第三ノブボルト67には、雄ねじ軸67Aと、頭部67Bと、が備えられている。取付具44には、雌ねじ部材64が溶接等により固着されている。
【0041】
カバー本体31に対して走行輪側カバー32の固定を行う手順について説明する。まず、スライド調整機構37の第二ノブボルト61を締結することにより、カバー本体31にサイドカバー33を固定する(
図5参照)。そして、雌ねじ部材64の雌ねじ部に対して第三ノブボルト67の雄ねじ軸67Aを締め込み、雄ねじ軸67Aの先端をサイドカバー33の上面33Aに押し付ける(
図6参照)。これにより、雄ねじ軸67Aとサイドカバー33の上面33Aとの間に作用する摩擦力によって、取付具44とサイドカバー33とが固定され、その結果、カバー本体31の前部47に対して走行輪側カバー32の取付具44を固定できる。
【0042】
図3、
図4、
図6に示されるように、ガイド部68は、カバー本体31と走行輪側カバー32とに設けられ、互いに係合して走行輪側カバー32の移動を摺動案内するように構成されている。ガイド部68には、段差部69(「段差部」の一例)と、係合部71と、が備えられている。段差部69は、耕耘爪28の回転方向に沿って延びる状態でカバー本体31または走行輪側カバー32の一方側に設けられている。本実施形態では、段差部69は、カバー本体31の側に設けられている。具体的には、段差部69は、カバー本体31のうちの機体左右方向における外側端部31Aと、サイドカバー33の上面33Aとによって構成されている。外側端部31Aは、第二長孔65と平行になっている。係合部71は、カバー本体31または走行輪側カバー32の他方側に設けられ、段差部69に係合するものとなっている。本実施形態では、段差部69は、カバー本体31の側に設けられている。係合部71は、段差部69の段差形状に沿うと共に回転方向に沿って延びる段差形状に形成されている。係合部71は、取付具44の機体横外端部を下方に屈曲した屈曲片で構成されている。
【0043】
このように構成された位置調整機構38であるので、
図1、
図3、
図4から理解されるように、第二長孔65に挿通される第三ノブボルト67とガイド部68とにより、カバー本体31に対して、走行輪側カバー32を安定姿勢に維持した状態で、走行輪側カバー32を、カバー本体31の前部47に対して円弧状にスムーズにガイド可能で、走行輪側カバー32の上下位置を変更自在となっている。そして、第三ノブボルト67を第二長孔65の上端部において締め付けることにより、走行輪側カバー32を上げ状態S1で固定できる。また、第三ノブボルト67を第二長孔65の下端部において締め付けることにより、走行輪側カバー32を下げ状態S2で固定できる。
【0044】
耕耘爪28を、耕耘深さが深くなりがちとなる正回転R1で回転駆動する際には、左右の走行輪側カバー32を上げ状態S1とする(
図1、
図3参照)。これにより、走行輪側カバー32が圃場面に突っ込むことを防止できる。そして、耕耘爪28を逆回転R2で回転駆動する際には、左右の走行輪側カバー32を下げ状態S2とする(
図1、
図4参照)。これにより、耕耘爪28によって跳ね飛ばされる土が、左右の走行輪側カバー32により、エンジン11やエアクリーナ19等に飛散することを抑制できる。
【0045】
図7に示されるように、左右のロータリカバー29を、揺動調節機構36により、水平姿勢から上方へ揺動して固定しているときにおいても、左側の走行輪側カバー32Lの前板45Lの右側端部45Laと、右側の走行輪側カバー32Rの前板45Rの左側端部45Raとは、機体前後方向に重複するようになっている。このため、左右のロータリカバー29の揺動時に、耕耘爪28を逆回転R2で回転駆動したとしても、耕耘爪28により跳ね飛ばされる土が、左右の走行輪側カバー32により、エンジン11やエアクリーナ19等に飛散することを抑制できる。
【0046】
[別実施形態]
以下、上記実施形態を変更した別実施形態について説明する。以下の各別実施形態で説明している事項以外は、上記実施形態で説明している事項と同様である。上記実施形態及び以下の各別実施形態は、矛盾が生じない範囲で、適宜組み合わせてもよい。なお、本発明の範囲は、上記実施形態及び以下の各別実施形態に限定されるものではない。
【0047】
(1)上記実施形態では、第三ノブボルト67を第二長孔65に挿通し、カバー本体31に対して走行輪側カバー32を固定するものが一例に示されているが、これに限られない。例えば、カバー本体31にスタッドボルトを立設し、そのスタッドボルトを第二長孔65に挿通し、スタッドボルトに、「締結具」としてナットを締結することにより、カバー本体31に対して走行輪側カバー32を固定するような構造であってもよい。
【0048】
(2)上記実施形態では、走行輪側カバー32に第二長孔65が備えられているものが示されているが、これに限られない。例えば、カバー本体31に第二長孔65が備えられていてもよい。
【0049】
(3)上記実施形態では、カバー本体31の前部47が、耕耘爪28の回転方向に沿って、円弧状に湾曲した形状となっており、走行輪側カバー32が、カバー本体31の前部47に対して円弧状にガイドされるものが一例に示されているが、これに限られない。例えば、カバー本体の前部が、耕耘爪28の回転方向に沿った平面的な形状とされており、走行輪側カバー32が、そのようなカバー本体の前部に対して平面的にガイドされるようなものであってもよい。
【0050】
(4)上記実施形態では、段差部69が、カバー本体31のうちの機体左右方向における外側端部31Aと、サイドカバー33の上面33Aとによって構成されているものが一例に示されているがこれに限られない。「段差部」が、カバー本体31の段差部51であってもよい。
【0051】
(5)上記実施形態では、カバー本体31の側に段差部69が設けられ、走行輪側カバー32の側に係合部71が設けられたものが一例に示されているが、これに限られない。
走行輪側カバー32の側に段差部69が設けられ、カバー本体31の側に係合部71が設けられたものでもよい。
【0052】
(6)上記実施形態では、カバー本体31及び走行輪側カバー32の一方側が、走行輪側カバー32の側であり、カバー本体31及び走行輪側カバー32の他方側が、カバー本体31の側であるものが一例に示されているが、これに限られない。カバー本体31及び走行輪側カバー32の一方側が、カバー本体31の側であり、カバー本体31及び走行輪側カバー32の他方側が、走行輪側カバー32の側であってもよい。
【0053】
(7)上記実施形態では、左側の走行輪側カバー32Lの右側端部と右側の走行輪側カバー32Rの左側端部とが、カバー本体31の水平姿勢時に駆動ケース27の走行輪13側において互いに重複するものが一例に示されているが、これに限られない。例えば、左側の走行輪側カバー32Lの右側端部と右側の走行輪側カバー32Rの左側端部とが、カバー本体31の水平姿勢時に駆動ケース27の走行輪13側において互いに重複しないものでもよい。
【0054】
(8)上記実施形態では、左右の表現が用いられているが、左と右とが反対になっている構造であってもよい。