(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173273
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】公共輸送機関上の人の存在を連続検出するための方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20170724BHJP
【FI】
G06Q10/02
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-160846(P2014-160846)
(22)【出願日】2014年8月6日
(65)【公開番号】特開2015-32318(P2015-32318A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年2月15日
(31)【優先権主張番号】13179391.1
(32)【優先日】2013年8月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500246533
【氏名又は名称】スキーデータ・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SKIDATA AG
(73)【特許権者】
【識別番号】514200187
【氏名又は名称】イーエム マイクロエレクトロニック―マリン ソシエテアノニム
【氏名又は名称原語表記】EM Microelectronic−Marin SA
(74)【代理人】
【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト・スルカウ
(72)【発明者】
【氏名】シャルル・エグリ
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ・フェール
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ピレ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン―クロード・フルニエ
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・モーパ
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ・プレヴォー
【審査官】
宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−528364(JP,A)
【文献】
特開2001−216545(JP,A)
【文献】
特表2005−514713(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0034546(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共輸送機関の乗り物内の人の存在を連続決定するための方法であって、RFトランシーバを包含するカスタマ媒体が前記人に割り当てられ、データ通信の目的のためにオンボード・ユニットとして働くコンピュータに接続された少なくとも1つの読み取りデバイスが前記乗り物内の前記カスタマ媒体とのデータ通信のために乗客室または車両毎に提供され、いくつかの読み取りデバイスが提供される場合にはそれら相互の接続もなされ、いくつかの乗客室または車両が存在する場合にはある乗客室または車両にメイン・オンボード・ユニットとして働くオンボード・ユニットが割り当てられ、そのほかの乗客室または車両にはデータ通信の目的のために前記メイン・オンボード・ユニットに接続される二次的なオンボード・ユニットが割り当てられ、前記カスタマ媒体は、前記乗り物に入るとき、エネルギ消費を可能な限り低く維持するために『スリープ』モードであり、
(a)規則的間隔で前記乗客室の前記オンボード・ユニットを介して『ウェイクアップ』信号を送信するステップであって、前記信号は、前記オンボード・ユニットに接続されているすべての読み取りデバイスによって連続的に送出されるステップと、
(b)前記『ウェイクアップ信号』をカスタマ媒体により受信し、『ウェイクアップ』信号が有効であると認識されるときには前記カスタマ媒体を起動し、その後前記カスタマ媒体が前記スリープ・モードを出てアクティブ・モードに入るステップと、
(c)前記カスタマ媒体からセッションIDの計算のためのデータを送信すると共に、このセッションIDの計算のためのデータが少なくとも1つの読み取りデバイスから、この少なくとも1つの読み取りデバイスと前記オンボード・ユニットを接続するバス・システムを介して前記乗客室のオンボード・ユニットに送信され、少なくとも1つの読み取りデバイスによって前記カスタマ媒体にタイムスタンプが送信されるステップと、
(d)セッションIDが存在する場合には、媒体情報を前記カスタマ媒体から送信するステップと、
(e)少なくとも1つの読み取りデバイスを介して前記媒体情報を受信し、前記読み取りデバイスのIDを用いて前記受信した情報を完成し、この情報を前記オンボード・ユニットに転送するステップと、
(f)前記オンボード・ユニット内において前記媒体情報を処理し、新しいタイムスタンプを含む受領応答を送信するステップと、
(g)前記カスタマ媒体により前記受領応答を受信し、カスタマ媒体がアイドル・モードに移行するステップと、
(h)少なくとも1つの読み取りデバイスを介して前記オンボード・ユニットに前記媒体情報を送信する次の接触までの所定の時間間隔の後、前記カスタマ媒体がアクティブ・モードに移行するステップと、
(i)媒体情報がいずれかの読み取りデバイスによって受信されなくなり、それによって前記カスタマ媒体に割り当てられた人が前記輸送機関から離れたことが検出されるまで前記ステップ(e)から(g)までを反復し、かつそれによって前記カスタマ媒体が前記スリープ・モードに入り、前記カスタマ媒体が前記スリープ・モードに入った後は、更新されたウェイクアップ信号を用いてのみ、前記カスタマ媒体を再び検出及び登録可能にするステップと、
(j)少なくとも前記カスタマ媒体のもっとも早いタイムスタンプと、前記カスタマ媒体のIDと、前記カスタマ媒体からの信号の受信において経由した前記読み取りデバイスのID番号とを含む一連のデータセットであって、前記媒体情報の最初の受信で始まり前記媒体情報の最後の受信で終わり、そのため新しい検出および登録の後も継続され、かつ、それに基づいて、時間の関数として作成される特定の読み取りデバイスの近傍に位置していることを示す前記カスタマ媒体の位置のログが作成される一連のデータセットを作成するステップと、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記カスタマ媒体が、所定の時間期間内に前記オンボード・ユニットの受領応答を受信しなかった場合には、前記媒体情報が再送され、それぞれの間に所定の時間期間を伴う所定の回数の試行を行なっても前記オンボード・ユニットから媒体情報の送信に対する受領応答を受信しなかった場合には前記カスタマ媒体が『スリープ』モードに入ることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カスタマ媒体が『スリープ』モードに入ると、前記カスタマ媒体が新しいウェイクアップ信号を用いてのみ検出可能であり、ウェイクアップ信号が『スリープ』モードにおいてのみ処理され得ることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記期間の時間間隔は、次の接触まで動的に適合されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
次の接触までの持続する時間間隔の間はカスタマ媒体が静止していると見なされることを前提とし、各時間間隔について、カスタマ媒体のもっともありがちな位置がそれぞれの時間間隔内にそのカスタマ媒体から信号を受信した読み取りデバイスに関して決定され、その結果、乗り物内のカスタマ媒体のもっともありがちな動きの軌跡が、一連の時間間隔にわたって決定され、前記カスタマ媒体のもっともありがちな位置がいくつかの時間間隔の平均位置情報によって決定され、その結果、前記もっともありがちが位置の考察から前記カスタマ媒体が前記乗り物のより内側であるか、または外側であるかが決定されることを特徴とする、請求項1、2、3、または4に記載の方法。
【請求項6】
前記乗り物がいくつかの乗客室または車両を包含し、各オンボード・ユニットが独自のデータセットを生成し、前記オンボード・ユニットの個別の、カスタマ媒体およびオンボード・ユニット毎のデータセットが前記メイン・オンボード・ユニットに送信され、そこでそれらがカスタマ媒体毎の単一のデータセットに併合されることを特徴とする、請求項1、2、3、4、または5に記載の方法。
【請求項7】
カスタマ媒体に関係する局所的位置情報が乗り物のグローバル位置情報とともに時間の関数として接続され、その結果、カスタマ媒体についての全体的な経路が決定され、それにより前記経路に沿った多数の位置が、前記カスタマ媒体が前記乗り物内にとどまっている高い蓋然性を示していれば、この乗り物内において標準の乗客の乗り方が生じていると見なし得ることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の方法。
【請求項8】
カスタマ媒体に関係する局所的な位置情報が、等しい持続時間の時間間隔にわたる乗り物のグローバル位置情報とリンクされることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記乗り物の前記位置情報が時間の関数として獲得され、かつ経路に沿った輸送機関のグローバル位置データを検出するための時間間隔が割り当てられ、それにおいて時間間隔の長さが移動のタイプ、乗り物のタイプおよび/または交通シナリオによって決定されることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記乗り物の各移動について、距離に沿って区分された時間間隔が割り当てられる位置情報が保存され、乗り物のドア閉めを、移動のための開始信号とし、移動のためのグローバル位置情報の収集を、前記乗り物が停止するときの前記乗り物の少なくとも1つのドアの開によって認識される駅への到着によって終了することを特徴とする、請求項7、8、または9に記載の方法。
【請求項11】
前記位置情報はGPSを介して獲得され、GPS信号が利用可能でない場合には鉄道の駅または発着場または停車場の無線ステーションからの情報が使用され、かつ2つのGPS信号の間により長い時間が経過している場合にはそれぞれのGPS位置の間において移動の補間が行なわれることを特徴とする、請求項7、8、9または10に記載の方法。
【請求項12】
位置情報が、代替としてGSMネットワークまたは慣性ナビゲーション・システムに基づいて、または無線情報に加えて決定されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記カスタマ媒体が独自の電源を備えることを特徴とする、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記カスタマ媒体が、HFパルスを介してエネルギが充填され、その後、所定の時間にわたって自律的に動作可能となる方法で設計されることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記『ウェイクアップ信号』が前記HFパルス内に含められることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
規則的な所定の時間間隔にわたってRF信号が少なくとも1つの読み取りデバイスから、到達範囲内のカスタマ媒体にエネルギを与えるために送出されることを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの読み取りデバイスによって受信され、少なくとも1つの読み取りデバイスと前記オンボード・ユニットを接続するバス・システムを介して前記乗客室のオンボード・ユニットに送信されるセッションIDを計算するデータの前記カスタマ媒体による送信後、次のステップにおいて、前記オンボード・ユニットと前記カスタマ媒体の間における相互認証が実行され、その結果、このカスタマ媒体は既知であり、認証済みであるとして前記オンボード・ユニット内に署名され、前記実行された認証は、アクティブ・モードからアイドル・モードへの移行がある場合に削除されず、スリープ・モードへの移行がある場合には前記認証が削除され、前記カスタマ媒体は、それが前記スリープ・モードに入った場合には、更新されたウェイクアップ信号を用いてのみ検出され、かつその後に続いて更新された認証を用いて登録されることが可能になることを特徴とする、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項18】
前記相互認証の完了後、前記オンボード・ユニットと前記カスタマ媒体の間の通信が、暗号化され、かつオプションで署名されて生じ、それにおいて前記暗号化および署名は、カスタマ媒体毎に異なり、前記再登録の特徴は、再認証後の新しい異なる暗号化および可能性としてのマーキングを有することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの読み取りデバイスを介して前記媒体情報の受信後、読み取りデバイスによって信号が受信されたときの信号強度に加えて高いGHzレンジの通信の場合には、信号の持続期間が追加された後に、オンボード・ユニットに転送されて、そこでこの情報が生成済みのデータセットに含まれることを特徴とする、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【請求項20】
前記オンボード・ユニット内における前記媒体情報の処理の後に、新しいタイムスタンプを含む受領応答が、それに加えて前記カスタマ媒体による次の接触までの持続時間を含むことを特徴とする、先行するいずれかの請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲の請求項1の前文に従った公共輸送機関上の人の存在を連続検出するための方法に関する。特に、本発明は、『ビー・イン・ビー・アウト』集札システムを実現するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
『ビー・イン・ビー・アウト』集札システムは、公共輸送機関の乗客に最大限の快適性を提供することから、ますますポピュラーになりつつある。その種のシステムの一部として、公共輸送機関の乗り物内に乗客が存在する持続時間が決定され、この時間内に移動する経路と関連付けされる必要がある。これに対して『チェック・イン・チェック・アウト』システムは、乗り降りのときに乗客の切符が収集される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、公共輸送機関上の乗客の存在を連続検出のための方法を提供するタスク、特に『ビー・イン・ビー・アウト』集札システムを実現するためのプロセスに取り組み、それの実装を通じて公共輸送機関の乗り物内における乗客の存在の検出が、高いデータ・セキュリティおよび蓋然性伴う設計において最小可能努力を伴って可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このタスクは、特許請求の範囲の請求項1の特徴によって解決される。本発明のそのほかの実施態様および利点は、従属項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
カスタマ媒体とオンボード・ユニットとの間の信号のやり取りを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
したがって、公共輸送機関上の人の存在を連続検出するための方法が提案され、その一部として対象となる人にカスタマ媒体が割り当てられ、それがRFトランシーバを含み、それによって少なくとも1つの、好ましくはいくつかの、相互接続され、かつ好ましくはCANバスを介してオンボード・ユニットとして働くコンピュータと接続される当該カスタマ媒体とのデータ通信のための読み取りデバイスが、輸送用乗り物内、各乗客室内、または車両内に備えられる。
【0007】
カスタマ媒体は、好ましくはそれ独自の電源を有する。さらなる実施態様の一部として、カスタマ媒体は、少なくとも1つの読み取りデバイスから放出されるHFパルスを介してエネルギが充填され、したがって必要なエネルギを読み取りデバイスの影響範囲から獲得可能であり、その後、所定の時間にわたって自律的に動作することが可能になる態様で設計される。この目的のために、カスタマ媒体は、エネルギを蓄積するためのキャパシタおよび対応するスイッチング回路を特徴として備える。パルスは、好ましくはUHFレンジのパルスであり、たとえば433MHz、860乃至960MHz、2.4GHzの周波数を伴うパルスとする。また、輸送機関の入口のゲート通過時に13MHzの磁界の形式で充分なエネルギを提供することも可能である。
【0008】
複数の乗客室または車両が存在する場合には、ある乗客室または車両にメイン・オンボード・ユニットとして働くオンボード・ユニットが割り当てられ、それによってそのほかの乗客室または車両には、二次オンボード・ユニットとして働くオンボード・ユニットが割り当てられ、二次オンボード・ユニットは、データ通信の目的のためにメイン・オンボード・ユニットと接続される。本発明に関する読み取りデバイスは、カスタマ媒体を記述することまたは情報および命令をカスタマ媒体に送信することも可能である。
【0009】
乗り物に乗るときはカスタマ媒体が『スリープ』モードにあり、スリープ・モードにおいては電気的活動が実質的にゼロであることから、カスタマ媒体への自前の給電を行なう場合において、カスタマ媒体にエネルギを供給するバッテリの負担が殆どない。乗客室のオンボード・ユニットは、ウェイクアップ段階の一部として規則的な間隔で『ウェイクアップ』信号を送信する。この信号は、オンボード・ユニットに接続されているすべての読み取りデバイスによって連続的に送出されるステップと、カスタマ媒体がこの『ウェイクアップ』信号を受信し、その信号が有効であると認識すると、これがカスタマ媒体の起動を導き、したがってその媒体がスリープ・モードを出る。
【0010】
カスタマ媒体が独自の電源を備えていない場合には、『ウェイクアップ』信号をHFパルス内に含めることが可能である。さらに、カスタマ媒体が独自の電源を備えていない場合は、少なくとも1つの読み取りデバイスから、それのレンジ内にあるカスタマ媒体を起動するために、HF信号が規則的な所定の時間間隔で送信される。
【0011】
その後に続いて、少なくとも1つの読み取りデバイスによって受信されるセッションIDの計算のためのデータがカスタマ媒体から、少なくとも1つの読み取りデバイスとオンボード・ユニットの接続を介するバス・システムを介して乗客室内のオンボード・ユニットに向けて送信される。セッションIDの計算は、好ましくは周知の『チャレンジ−レスポンス』方法に基づく。したがって、オンボード・ユニットは、最初のデータセットをカスタマ・データ・レコード媒体から受信した後に別のデータセットを用いて応答する。
いずれの場合においても、両方のデータセットが、カスタマ媒体内およびオンボード・ユニット内にのみ存在し、セッションIDの決定に使用されるさらなる情報(アルゴリズム・キー)を用いてオフセットされる。カスタマ媒体内およびオンボード・ユニット内にのみ存在する情報は、それを漏れ聞くサードパーティでは調和せず、その結果、最終的にカスタマ媒体およびオンボード・ユニットに既知のデータセットのみがセッションIDを伴って存在する。これは、さらに認証等の安全機能のために使用される。セッションIDの計算後は、カスタマ媒体から媒体情報を送信することが可能であり、それによってカスタマ媒体が一意的に識別されること、およびそれをたとえば特定の移動のための認証の有無の決定に使用することが可能である。
【0012】
好ましくは、オンボード・ユニットとカスタマ媒体の間における通信が暗号化され、かつオプションで署名され、それによって各カスタマ媒体のための暗号化が異なるものとなる。
【0013】
これにおいて、本発明のさらなる発展の一部として、オンボード・ユニットとカスタマ媒体の間の実際の通信に先行して相互認証を行なうことが可能であり、その結果、オンボード・ユニット内においてこのカスタマ媒体が既知として署名されて認証され、それによりカスタマ媒体とオンボード・ユニットの間における認証の一部として安全な接続が設定され、その結果、必要とされるカスタマ媒体の情報を安全かつ疑う余地のない態様で転送可能になる。カスタマ媒体は、セッションIDを介して一意的であるとして認識されるが、セッションIDは、有効な認証の持続期間にわたって有効であり、ほかの転送される情報とは独立している。マーキングにタイムスタンプが追加使用されることに議論の余地はない。このタイムスタンプは、追加的に署名される各メッセージが一意的で安全なデータセットを構成するように通信毎にインクリメントされる。好ましくは、カスタマ媒体が、PCB基板上に実装される第1、第2、および第3のアンテナを含む。カスタマ媒体のアンテナは、ダイポール、折り返しダイポール、『逆F字』アンテナ、四極子アンテナ、相似パッチ・アンテナ、またはアンテナ・ループおよびコイルとして実装可能である。これにおいて、第1のアンテナは、好ましくは13MHz‐8GHzのレンジにおいて設計され、カスタマ媒体が『スリープ』モードにあるときにウェイクアップ信号を受信するためのウェイクアップ・アンテナとして使用される。ウェイクアップ信号は、好ましくは振幅変調された信号として送信され、かつ所定の信号シーケンスを含み、ウェイクアップ・アンテナからの信号は、検出モジュールとして働くオペアンプによって増幅および復調され、『スリープ・モード』において部分的に起動されているマイクロプロセッサによって評価され、ウェイクアップ信号が有効であるとして検出されると、すなわち信号が正しいシーケンスを伴うとき、マイクロプロセッサが完全に起動され、カスタマ媒体のトランシーバがオンになり、それによってカスタマ媒体がアクティブ・モードに入る。オペアンプは、カスタマ媒体の中で『スリープ』モードにおいて完全にアクティブな唯一の構成要素であり、最小電力消費を有する形で構成される。それに加えて、マイクロプロセッサも一部だけが『スリープ・モード』において起動されている。さらにまた、カスタマ媒体はアイドル・モードも有し、それにおいては『スリープ』モードまたはアクティブ・モードへの遷移を所定のルーチンに従ってコントロールするためにマイクロプロセッサのみがアクティブになる。したがって、カスタマ媒体のマイクロプロセッサは、異なる動作モードを有する。
【0014】
第2のアンテナは、好ましくは2.4GHz‐8GHzのレンジで送受信を行ない、RFトランシーバに接続されており、それによってトランシーバは、カスタマ媒体がアクティブ・モードのときにのみ起動可能になる。トランシーバのビット・レートは、好ましくは1または2Mbit・秒とする。対応する読み取りデバイスとのデータ通信は、外部サービスとの干渉を回避し、迅速な接触を可能にするために、トランシーバを介し、わずかに異なる周波数を伴う複数のチャンネルにわたるか、または広帯域信号を用いて遂行できる。
【0015】
データ送信の間の途絶のリスクを低減するために、トランシーバによってデータ・チャンネルの連続変更が可能となる(周波数ホッピング)。たとえば3つの『アドバタイジングチャンネル』を、2.4GHz帯の第2のアンテナを介したデータ送信のために使用して読み取りデバイスとの接触を行なうことが可能であり、5つの『通信チャンネル』を読み取りデバイスとのデータ通信のために使用することが可能である。
【0016】
第1および第2のアンテナは、カスタマ媒体に保存されたアクセス認証を検出するため、またはカスタマ媒体の媒体情報を獲得するため、カスタマ媒体に保存されたデータを読み取るため、および/またはカスタマ媒体を記述するために、システムの少なくとも1つの読み取りデバイスとの遠距離データ通信に使用される。本発明に関しては、遠距離データ通信は1メートルを超えるレンジ内のデータ通信を指す。
【0017】
第3のアンテナは、好ましくは約13.56MHzレンジ用のアンテナであり、カスタマ媒体の集積回路内のNFCモジュールに接続されている。NFCモジュールは、好ましくはISO 18092標準およびそこで使用される安全メカニズムに従って実装され、カスタマ媒体のアクティブ・モードにおいてカスタマ媒体とモバイルコントロールデバイスとの数センチメートルのレンジの近距離データ通信のために、たとえばカスタマ媒体に保存されているアクセス認証の有効性をチェックするため、またはパーソナル・データを調べるために使用される。
【0018】
したがって、カスタマ媒体は、『スリープ』モード、アイドル・モード、およびアクティブ・モードを特徴として有し、『スリープ』モードにおいてはオペアンプおよびマイクロプロセッサの一部が起動されている。カスタマ媒体のマイクロプロセッサは、『スリープ』モードにおいて概ねオフになり、アイドル・モードおよびアクティブ・モードにおいて完全にオンになり、トランシーバは『スリープ』モードおよびアイドル・モードにおいてオフであり、アクティブ・モードにおいてのみオンになる。このようにしてカスタマ媒体のエネルギ消費が可能な限り低く維持される。
【0019】
カスタマ媒体は、マイクロプロセッサに接続される集積回路を特徴として有し、それが少なくとも1つの暗号エンジンを、好ましくは3つの暗号エンジンを、たとえばGRAIN128、GRAIN128A、3‐DES、またはAES‐128のために包含する。マイクロプロセッサまたはNFCモジュールを集積回路内に集積することも可能である。
【0020】
以下においては本発明の方法を、認証が行なわれ、暗号化された通信がオンボード・ユニットとカスタマ媒体の間で生じる場合について詳しく述べる。しかしながら、この方法のすべてのステップは、認証なしで、また暗号化
/復号化なしで実行できる。さらにまた、本発明のさらなる実施態様の一部として、暗号化または認証が提供されずに、セッションIDを、アクティブ・モードへの遷移後に直ちにコンピュータへ送信される一対一の数等のカスタマ媒体の媒体情報とすることが可能である。
【0021】
本発明の好ましい実施態様によれば、カスタマ媒体が、認証後に暗号化された媒体情報を送信し、それが、少なくとも1つの読み取りデバイスを介し、かつその読み取りデバイスのIDが追加されて、かつオプションとして、その読み取りデバイスによって受信されたときの信号強度を伴ってオンボード・ユニットに転送されることが提供される。オンボード・ユニット内においては、媒体情報
が復号化され、処理され、タイムスタンプおよび、次に暗号化され署名された媒体情報を読み取りデバイス経由でオンボード・ユニットへ送信するための次の接触までの期間を含む受領応答が送信される。媒体情報に基づいて、カスタマ媒体に一対一で割り当てられた者が乗り物に乗るための認証を獲得しているか否かを決定できる。
【0022】
好適には、この方法において、たとえばバスまたはバス停の密度の場合やトラムまたは列車の場合の交通状況に適応するために、次の接触までの所定の期間を動的に調整することが可能である。これにおいて、乗客室のすべての読み取りデバイスを介し、わずかなタイムラグを伴って受領応答が送信され、それによって高い蓋然性をともなうカスタマ媒体による受領応答の受信を保証することを提供できる。受領応答は、カスタマ媒体毎に個別に暗号化され、それによってIDを送信したカスタマ媒体だけが受領応答を受信することを確実にする。この方法においては、この1つのカスタマ媒体だけがアイドル・モードに入れられる。
【0023】
そのカスタマ媒体が受領応答を受信してアイドル・モードに入るが、このモードでは電力消費が非常に低いが、それによってアイドル・モードへの変化がすでに発生済みの認証を削除することはない。次の接触までの所定の時間の後にカスタマ媒体がアクティブ・モードに入り、それの媒体情報を暗号化し、オプションで署名付きで、少なくとも1つの読み取りデバイス経由でオンボード・ユニットへ送信する。
【0024】
カスタマ媒体の対応する信号が少なくとも1つの読み取りデバイスによって検出され、オンボード・ユニットへ転送され、それによってカスタマ媒体のIDの受領が、受領応答の再送信とともに返信されるが、その生成はオンボード・ユニットにより、送信は読み取りデバイスによる。受領応答の受信後にカスタマ媒体はアイドル・モードに入るが、そのモードから指定時間間隔の後に、再び読み取りデバイス経由でのオンボード・ユニットへの、暗号化され、オプションの署名付きIDのレポートのために復帰する。読み取りデバイスの応答毎にインクリメントされるタイムスタンプが、署名計算のソーティング・タスクに加えて、前述したとおり、それによって署名の一意性が確保されることから使用される。
【0025】
説明した手順は、カスタマ媒体がスリープ・モードになるまで反復されるが、カスタマ媒体は、所定の数にわたって試みても暗号化された媒体情報の送信に対する受領応答をオンボード・ユニットから獲得できないときにスリープ・モードに入る。
【0026】
カスタマ媒体が輸送機関内にある場合には、これがカスタマ媒体と読み取りデバイスの間におけるチャンネル選択が整合しないこと、ほかのカスタマ媒体のためにオンボード・ユニットがウェイクアップ段階にあり、ほかのチャンネルに接続されていること、または別の送信機との干渉が発生していることから生じ得る。加えて、これは、カスタマ媒体がすでに乗り物内にないという事実によって生じ得る。
【0027】
所定の時間期間内にカスタマ媒体がオンボード・ユニットから受領応答を受信しなかった場合には、暗号化済み媒体情報を再び送信するが、それぞれの間に所定の時間期間を伴う所定の回数の試行を行なってもオンボード・ユニットから暗号化済み媒体情報の送信に対する受領応答を受領しないとカスタマ媒体が『スリープ』モードに入る。手順の部分として言えば、この状況は、カスタマ媒体が割り当てられている人が輸送機関を離れる事象に対応する。
【0028】
媒体情報の再送は、同一間隔、すなわち以前にオンボード・ユニットによって決定された間隔で行なわれるか、またはそのほかの、通常はより頻繁な間隔で行なわれる。これは、意図せずして通信インターフェースとカスタマ媒体がスリープ・モードに入れられることなく、カスタマ媒体の有効な再検出が迅速に生じる確率を高める。
【0029】
カスタマ媒体がスリープ・モードに入ってしまった場合には、前述したとおり、更新されたウェイクアップ信号およびその後に続く更新された相互認証を用いてのみそれの検出および登録が可能であり、更新後の登録は、新しい、異なる暗号化およびオプションの署名を特徴として有する。その結果、特定の暗号化およびマーキングは、1つのカスタマ媒体および1つの登録に対してのみ有効になる。登録は、カスタマ媒体がスリープ・モードに入らない限り持続する。ウェイクアップ信号は、スリープ・モードにおいてのみ処理され得る。
【0030】
添付図面内に示されている例においては、スリープ・モードにあるカスタマ媒体が、そのカスタマ媒体を伴った人が乗り物に乗り込むときに、オンボード・ユニットにより指定読み取りデバイスを介して送信されたウェイクアップ信号を受信し、有効なウェイクアップが認識されるとアクティブ・モードに入り、カスタマ媒体からオンボード・ユニットに向けてセッションIDを計算するデータが送信される(ステップ1)。オンボード・ユニットは、このデータを受信すると、最終認証のための暗号化済みデータセットを送信し(ステップ2)、それによってその後暗号化済み媒体情報がカスタマ媒体から送信され、少なくとも1つの読み取りデバイスを経由してオンボード・ユニットによってそれが受信される(ステップ3)。オンボード・ユニットは、媒体情報を受信すると受領応答を送信し、カスタマ媒体の携帯者が乗り物内にいれば、それがそのカスタマ媒体によって受信される(ステップ4)。受領応答は、カスタマ媒体からの次の接触までの待機時間を含む。カスタマ媒体の携帯者が乗り物内に残っていれば、ステップ3および4が、その者が乗り物を離れるまで反復され、それにおいてカスタマ媒体が、媒体情報の反復送信(ステップ5、6)の後までオンボード・ユニットから受領応答を受信できない場合には、スリープ・モードに入る(ステップ7)。認証後にカスタマ媒体の携帯者が乗り物を離れた場合においては、場合によっては媒体情報の送信後に、カスタマ媒体がオンボード・ユニットからの受領応答を受信できず、その場合にもスリープ・モードに入る(ステップ7)。
【0031】
データ転送については、いくつかの『アドバタイジングチャンネル』が接触に使用され、いくつかの、好ましくは2.4GHzのISM帯の『通信チャンネル』が、カスタマ媒体と読み取りデバイスの間のデータ通信のために使用される。
【0032】
ウェイクアップ信号は、たとえば2.4GHzレンジの信号であり、可能ないくつかの、好ましくは3つの『アドバタイジングチャンネル』のうちの1つに送信される。
【0033】
カスタマ媒体が有効なウェイクアップ信号を認識し、アクティブ・モードに遷移した後、セッションIDの計算に使用されるデータが同様に『アドバタイジングチャンネル』のうちの1つに送信され、それによってカスタマ媒体は、通信チャンネルの提案を行なう。
【0034】
基礎をなすアルゴリズムは、通信チャンネルに関係する干渉が確率論的に防止可能となる方法で設計される。
【0035】
その後、所定の時間にわたってカスタマ媒体は受信モードで応答を待機する。この所定の時間は、オンボード・ユニットに対してセッションIDを受信するためのカスタマ媒体の送信間隔と一部が重なる充分な時間が与えられるように、好ましくは送信時間の10倍とされる。
【0036】
カスタマ媒体が、この時間の後まで応答を受信しなかった場合には、次の『アドバタイジングチャンネル』に変更してセッションIDの計算のためのデータを再送し、このことが、応答信号が読み取りデバイスによって受信されて認証が開始されるまで反復される。
【0037】
可能なすべての『アドバタイジングチャンネル』を用いたオンボード・ユニットとの接触の試みが効果をもたらさなかった場合には、所定の時間の後に再びセッションIDを計算するデータを送信するために、カスタマ媒体がスリープ・モードに入る。
【0038】
ウェイクアップ信号の送信後は、その信号を送信した読み取りデバイスによって『アドバタイジングチャンネル』が監視され、読み取りデバイスは、所定の待機時間後に1つのチャンネルから次のチャンネルへ変更する。これにおいて、読み取りデバイスがチャンネルのリスニングを行なうための時間窓の持続時間は、充分な数の読み取りデバイスを用いて、アドバタイジングチャンネル当たり少なくとも1つの読み取りデバイスがリスニング・モードとなり、カスタマ媒体の迅速な検出および認証が可能となるような形で適合される。
【0039】
カスタマ媒体が検出されると、すなわちセッションIDを計算するデータが受信されると、認証が開始し、それによりカスタマ媒体と読み取りデバイスが関連付けられた『通信チャンネル』に切り替わる。その後に続くカスタマ媒体と読み取りデバイスの間の通信は、『通信チャンネル』のうちの1つにおいて生じるが、好ましくは5つの『通信チャンネル』が提供されている。
【0040】
本発明のさらなる発展の一部として、カスタマ媒体の検出をカスタマ媒体に知らせる情報を返送し、たとえばそれをカスタマ媒体のディスプレイ上に表示できる。
【0041】
ここで説明したコンセプトにより、カスタマ媒体が特定時間期間内において空間的に検出され、それによって一連のデータセットがカスタマ媒体毎に生成され、それには少なくとも最初の検出の時刻、カスタマ媒体のID(たとえば、好ましくは暗号化済みカスタマ媒体ID番号)、カスタマ媒体の信号を受信した読み取りデバイスのID番号、読み取りデバイスから信号を受信したときの信号強度、オプションとして特に高いGHz帯(たとえば、3〜8GHz)における通信の場合の信号のランタイムが含まれる。
【0042】
ランタイムの決定のために、オンボード・ユニットとカスタマ媒体の間の応答またはその逆における遅延が評価される。
【0043】
一連のデータセットは、認証で開始し、認証の削除で終了するが、暗号化およびマーキングにおける変化とは無関係に再認証後に継続する。このため、異なる認証ダウンストリームを用いて個別のデータセットを併合することが可能である。
【0044】
データセットに基づいて、特定の読み取りデバイスの周りのカスタマ媒体の位置のログが時間の関数として作成される。
【0045】
一連のデータセットは、読み取りデバイスのIDにおいてのみ異なり、データセットは、好ましくは検出の時間に従って、場合によってはカスタマ媒体からの信号を読み取った読み取りデバイスのIDに従ってソートされることが理解できる。この方法においては、一連の局所的エリアの生データがカスタマ媒体およびオンボード・ユニット毎に、すなわちカスタマ媒体および乗客室または車両毎に生成され、好ましくはメイン・オンボード・ユニット内に保存される。
【0046】
乗り物がいくつかの乗客室または車両を含む場合には、図示されているカスタマ媒体の検出が乗客室毎に前述のとおりに実行され、本発明によれば、それによってその空間が、読み取りデバイスが接続されたオンボード・ユニットに割り当てられる乗客室として定義される。オンボード・ユニットは、データ通信の目的のために好ましくは無線で相互接続される。たとえば、この接続を、GSMネットワークを介するか、またはWLAN接続またはそのほかの無線標準を介するデータ通信のために使用できる。
【0047】
本発明によれば、任意のオンボード・ユニットが、すでに説明したとおり独自のデータセットを生成し、それにおいてオンボード・ユニットの個別の、カスタマ媒体およびオンボード・ユニット毎のデータセットがメイン・オンボード・ユニットに送信される。そして、セッションIDによって、またはオプションとして復号化された媒体情報(たとえばカスタマ媒体ID)によって、特定されるカスタマ媒体毎の単一のデータセットに併合される。
【0048】
好ましくは、オンボード・サブユニットがデータセットの一時的な保存のために大きなメモリ空間を必要としないようにこのデータ送信が連続的に、または所定の間隔で実行される。これは、データセットが速やかにかつ可能な限り完全にメイン・オンボード・ユニット内に存在し、それらが一意的なIDに基づいて併合可能であれば、そこでそれらが完全に分析されるかまたは転送されることが可能になるという利点をもたらす。それを満たさない場合には、データセットの分析を、メイン・オンボード・ユニットからデータが送信されるデータ・センタ内の実際のカスタマ媒体IDのさらなる復号化に従って実行できる。
【0049】
局所的エリアの生データのデータセットを評価するとき、時間間隔内のカスタマ媒体の局所的な動きが小さく、したがってカスタマ媒体が時間間隔内において静止していると考えられることを前提とすれば、カスタマ媒体の複数の検出が時間間隔当たりの異なる読み取りデバイスから理想的に生じる。前述したとおり、読み取りデバイスがカスタマ媒体から受信した信号の強度またはランタイムに関するオプションの情報を提供することから、カスタマ媒体からこのカスタマ媒体の信号を受信した各読み取りデバイスまでの距離を、これらの信号に基づいて見積もることが可能であり、それによって精密な局在化を達成できる。
【0050】
433MHzレンジにおいては、送信機と複数の受信機の間の障害物のない見通し線上において1mまでの空間的な正確度が達成可能であり、それにおいてカスタマ媒体のRFトランシーバから送出された信号の強度および方向は、公共輸送機関内においてしばしば生じる信号の反射に起因して影響を受け、その結果、カスタマ媒体の距離の見積は、より高い不確実性を伴って各読み取りデバイスに関連付けされる。これに代えてより高い周波数、または最初に提案した2.45GHzの周波数を使用すれば、非常に短いパルスに基づいて測定される持続時間がより正確になり、複数の反射が生じるときにも信号強度を基礎とした位置計算にもっとも関連性のある信号を決定できる。この理由から、カスタマ媒体からこのカスタマ媒体の信号を受信した各読み取りデバイスまでの距離を見積もるために、特に3GHzを超える周波数レンジの通信の場合に、より正確にカスタマ媒体の信号の持続時間を読み取りデバイスが検出することが提案される。読み取りデバイスまでの距離の測定の正確度は、したがって、0.5mまで向上し、理想的な条件下においては0.2mまたはそれより良好になり得る。
【0051】
したがって、各時間間隔についてもっともありがちなカスタマ媒体の位置が、それぞれの時間間隔内にそのカスタマ媒体から信号を受信した読み取りデバイスに関して決定され、その結果、乗り物内のカスタマ媒体のもっともありがちな動きのトレースが、一連の時間間隔にわたって検出可能になる。
【0052】
いくつかの時間間隔の平均位置情報によってより高い正確度でカスタマ媒体のもっともありがちな位置を指定することが可能であり、もっともありがちな位置の考察から、カスタマ媒体が位置しているところは乗り物の内側であるか、または外側であるかを決定することができる。
【0053】
したがって、時間間隔当たりの異なる読み取りデバイスからの複数の受信信号を評価し、それによって第1のイン/アウト情報を生成することによって乗り物内のカスタマ媒体の限定的な局在化を行なうことが可能である。いくつかの時間期間を一緒に考察することにより、乗り物内のカスタマ媒体のもっともありがちな位置を精密に指定可能であり、その結果、イン/アウト情報の信頼性が増加する。したがって、時間間隔に沿った登録パターンおよび/または乗り物の位置情報が現われる同一の時間間隔にわたる乗り物自体の外部位置情報とリンクさせることによって、カスタマ媒体の全体的な移動時間情報を作成することが可能であり、それがより一層正確な評価を可能にする。
【0054】
カスタマ媒体に関係する局所的位置情報が、時間の関数として乗り物のグローバル位置情報にリンクされ、その結果、カスタマ媒体についての全体的な移動距離がもたらされる。好ましくは、局所的な位置情報が、等しい持続時間の時間間隔にわたる乗り物のグローバル位置情報とリンクされる。経路に沿った非常に多くの位置について乗り物内側にカスタマ媒体がいる高い蓋然性が存在する場合には、この乗り物内の標準の乗客の乗り方が仮定されるが、高い蓋然性を伴ってカスタマ媒体が乗り物の外側に位置していることが明らかになったと決定される場合には乗り方がむしろありがちでないと見なされることになる。
【0055】
乗り物のグローバル位置データを検出するために、乗り物の位置座標を経路に沿って時間の関数として考慮する、また時間間隔に割り当てることが可能であり、それにおいて時間間隔の長さは、移動のタイプおよび乗り物のタイプおよび/または交通シナリオによって決定され、たとえば列車より市内バスの方が短い。時間間隔の長さは、好ましくはメイン・オンボード・ユニットによって適切なアルゴリズムを使用して決定され、かつたとえば交通シナリオおよび乗り物の用途に応じて動的に変更可能である。これらの時間間隔は、カスタマ媒体の局所的な位置データの検出にも使用可能である。
【0056】
乗り物の各移動について位置情報が保存され、それが時間間隔に割り当てられて移動がセグメントに分割される。乗り物のドア閉めは移動の開始信号であり、それにより乗り物が完全停止して生じる少なくとも1つのドアの開によって認識される駅への到着時の移動のためのグローバル位置情報の収集が終了する。
【0057】
位置情報は、たとえばGPSを介して獲得可能であるが、GPS信号が利用できない場合には、駅、発着場、または停車場においてWLANステーションからの情報が使用される。2つのGPS信号の間の経過時間が長い場合には、それぞれのGPS位置の間における移動を補間できる。
【0058】
WLAN情報に代えて、またはそれに加えて、GSMネットワークに基づいて位置情報を決定することも可能である。さらにまた、慣性ナビゲーションからのデータも使用できる。これにおいて、開始点、および時間の関数としての速度および加速度の知識から対応する位置情報を決定することも可能である。これらのシステムは、半導体製品を基礎として、現在はより安価かつ信頼性をもって製造可能である。