(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タイヤ幅中央位置におけるトレッドゲージをT1とし、タイヤ幅中央位置から、前記トレッド展開幅TDWの25%に相当する長さだけ前記トレッドプロファイルに沿って移動した位置におけるトレッドゲージをT2とし、前記第二の基準点の位置におけるトレッドゲージをT3とし、平均トレッドゲージTaveを、
Tave = (T1+T2+T3)/3
としたときに、
0.10 ≦ Tave/(TDW/2) ≦ 0.16
の関係を満たして形成されていることを特徴とする、
請求項1に記載の空気入りタイヤ。
タイヤ幅中央位置におけるトレッドゲージをT1とし、タイヤ幅中央位置から、前記トレッド展開幅TDWの25%に相当する長さだけ前記トレッドプロファイルに沿って移動した位置におけるトレッドゲージをT2とし、前記第二の基準点の位置におけるトレッドゲージをT3とし、
タイヤ幅中央位置を中心として、前記トレッド展開幅TDWの50%に相当する幅を有する前記トレッド部の領域をセンター領域Acとし、前記センター領域Acにおける平均トレッドゲージを、
Tc = (T1+T2)/2
とし、
前記第二の基準点からタイヤ幅方向内側に向かう方向に、前記トレッド展開幅TDWの25%に相当する幅をそれぞれ有する前記トレッド部の領域をショルダー領域Ashとし、前記ショルダー領域Ashにおける平均トレッドゲージを、
Tsh = (T2+T3)/2
とし、
前記センター領域Acで最も深い溝における溝下トレッドゲージをGucとし、前記ショルダー領域Ashで最も深い溝における溝下トレッドゲージをGushとしたときに、
0.15 ≦ Guc/Tc ≦ 0.25
0.2 ≦ Gush/Tsh ≦ 0.3
の関係を満たすように形成されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
前記空気入りタイヤはさらに、タイヤ子午線方向の断面視にて、前記ビード部同士の間において、前記サイドウォール部及び前記トレッド部を介して架け渡されているカーカス層と前記トレッド部において前記カーカス層よりもタイヤ径方向外側に位置するベルト層とを備え、
前記補強層が、タイヤ径方向の最も内側に位置する前記ベルト層と前記カーカス層との間に配置され、かつタイヤ赤道面を中心として有効ベルト幅の50%の幅を有する範囲内に配置されることを特徴とする、
請求項4に記載の空気入りタイヤ。
前記第二の基準点から、前記トレッドプロファイルに沿ってタイヤ幅方向内側に向かって、前記トレッド展開幅TDWの10%の幅をそれぞれ有するトレッド部の領域をショルダー端領域Asheとしたときに、
前記ショルダー端領域Asheの少なくとも一方に、タイヤ周方向に延びる周方向細溝を設けることを特徴とする、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一の実施形態)
これより、本発明の第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1全体の子午断面図である。ここで、空気入りタイヤの子午断面形状とは、タイヤ赤道面CLと垂直な平面上に現れる空気入りタイヤの断面形状をいう。
【0012】
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤ1の回転軸AXと直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸AXに向かう方向の側をいい、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸AXから離れる方向の側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸AXを中心として回転する方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸AXと平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLに向かう方向の側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面CLから離れる方向の側をいう。タイヤ赤道面CLとは、空気入りタイヤ1の回転軸AXに直交するとともに、空気入りタイヤ1のタイヤ幅の中心を通る平面である。
【0013】
第一の実施形態の空気入りタイヤ1は、タイヤ子午断面視で、一対のビード部2と、ビード部に連なるサイドウォール部3と、サイドウォール部同士を連結するトレッド部10とを備える。さらに、
図1を参照すると、第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1は、従来の空気入りタイヤと同様に、ビード部2同士の間においてサイドウォール部3及びトレッド部10を介して架け渡されているカーカス層20と、トレッド部10においてカーカス層20よりもタイヤ径方向外側に位置するベルト層30を備える。
【0014】
第一の実施形態の空気入りタイヤ1は、その総幅SWと外径ODとの比、及びその内径RDと外径ODとの比が、
SW/OD ≦ 0.3 ・・・<1>
RD/OD ≧ 0.7 ・・・<2>
の関係を満たすように形成されている。
【0015】
なお、本発明では、総幅SWは、空気入りタイヤ1をリム組みし、空気入りタイヤ1の寸法を規定するために230[kPa](任意に設定した内圧)で内圧を充填したときの無負荷状態における、サイドウォール上のデザインを含んだサイドウォール同士の間の間隔であり、外径ODはこのときのタイヤの外径であり、かつ内径RDはこのときのタイヤの内径である。なお、上述のように230[kPa]という内圧は、総幅SWなどの空気入りタイヤの寸法を規定するために選択されたものであり、本明細書に記載されているタイヤ寸法に係るパラメータは全て、内圧230[kPa]かつ無負荷状態において規定されているものとする。しかしながら、本発明に係る空気入りタイヤ1は、通常に使用される範囲の内圧が充填されているものであれば、本発明の効果を発揮するものであり、230[kPa]の内圧が充填されていることが本発明を実施する上で必須ではないことに留意されたい。
【0016】
ここで、本発明において使用されるリムは、空気入りタイヤ1の内径に適合したリム径を有し、かつISO4000−1:2001に準拠して、タイヤ断面幅の呼びSnと、リム組みされるタイヤの偏平比により表1の対応表によって定められる係数K1との積で求めた値(Rm=K1×Sn)に最も近い、表2に示されている規定リム幅Rm[mm]に対応するリム幅の呼びを有するリムである。
【0019】
図2は、
図1の空気入りタイヤのトレッド部の部分拡大図である。なお、第一の実施形態に係る空気入りタイヤは、タイヤ赤道面CL対称に構成されているので、特に記載のない限り、図面上においてタイヤ赤道面CLよりも右側に位置する部分についてのみ説明することとする。
【0020】
図2には、この空気入りタイヤ1のトレッド部10の外表面によって形成されている、子午断面視において輪郭線として現れるトレッドプロファイル12が示されている。第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1では、このトレッドプロファイル12は、タイヤ幅方向の中央部に位置する中央部円弧12cと、トレッド部10におけるタイヤ幅方向の最も外側に位置するサイド部円弧12siと、サイド部円弧12siと連続する、前記サイド部円弧siの次にタイヤ幅方向の外側に位置するショルダー側円弧12shとを、繋げることによって形成されている。しかしながら、中央部円弧12cとショルダー側円弧12shとの間に、これらを繋げるように配置される1又は複数のさらなる円弧をさらに加えて、トレッドプロファイル12を形成してもよい。
【0021】
図2には、トレッド部10においてタイヤ周方向に延びる周方向溝14の断面が示されている。第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1にはさらに、トレッド部10においてタイヤ周方向を横断する方向に延びる幅方向溝(図示しない)が設けられている。なお、本明細書では、周方向溝14及び幅方向溝を総称して溝と呼ぶ。
【0022】
図3は、
図2の内、ショルダー側円弧12sh及びサイド部円弧12siの境界付近の拡大図である。
図3(a)は一方側(
図2の右側をいう)についての拡大図であり、
図3(b)は他方側(
図2の左側をいう)の拡大図である。
図3では、トレッド部10のタイヤ幅方向中央部が省略されている。ここで、中央部円弧12c、ショルダー側円弧12sh及びサイド部円弧12siの曲率半径はそれぞれ、Rc、Rsh及びRsiと定義される。
【0023】
図3(a)を参照すると、一方側において、ショルダー側円弧12sh及びサイド部円弧12siが、例えば別の円弧である湾曲した線分12jを介して滑らかに接続している。このとき、当該境界付近において、これらショルダー側円弧12sh及びサイド部円弧12siを延ばしたそれぞれの延長線12shex、12siex(図では点線で示されている)は、図に示されているように交わる。本発明では、この交点を一方の第一の基準点P1と呼ぶこととし、さらに、一方の第一の基準点P1を通るトレッドプロファイル12に垂直な直線PL(
図2及び
図3において2点鎖線で示されている)と、トレッドプロファイル12との交点を一方の第二の基準点Q1と呼ぶこととする。
【0024】
次いで、
図3(b)を参照すると、他方側において、ショルダー側円弧12sh及びサイド部円弧12siが、例えば別の円弧である湾曲した線分12jを介して滑らかに接続している。このとき、当該境界付近において、これらショルダー側円弧12sh及びサイド部円弧12siを延ばしたそれぞれの延長線12shex、12siex(図では点線で示されている)は、図に示されているように交わる。本発明では、この交点を他方の第一の基準点P2と呼ぶこととし、さらに、他方の第一の基準点P2を通るトレッドプロファイル12に垂直な直線PL(
図2及び
図3において2点鎖線で示されている)と、トレッドプロファイル12との交点を他方の第二の基準点Q2と呼ぶこととする。
【0025】
なお、別の実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ショルダー側円弧12sh及びサイド部円弧12siが上述の線分12jを介して滑らかに接続しておらず、これらの端部同士が直接に接続されている。この場合においては、ショルダー側円弧12sh及びサイド部円弧12siの交点を第二の基準点Q1、Q2とする。言い換えれば、この場合では、第一の基準点P1、P2と第二の基準点Q1、Q2とが重なるものであり、このような構成も本発明に含まれる。
【0026】
そして、一方の第二の基準点Q1から他方の第二の基準点Q2までの前記トレッドプロファイル12に沿った長さをトレッド展開幅TDWとする。
【0027】
このとき、第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1は、総幅SWとトレッド展開幅TDWとの比が、
0.5 ≦ TDW/SW ≦ 0.7 ・・・<3>
の関係を満たすように形成されている。第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1は、上記の式<3>の関係を満たすように、その内部構造、トレッドプロファイル12の形状、空気入りタイヤ1の各部材の材料などを、従来のやり方によって、例えば試作試験やシミュレーションなどによって決定することができる。
【0028】
第一の実施形態に係る空気タイヤ1によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
【0029】
(1) 第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1は、その総幅SWと外径ODとの比が、上述の式<1>の関係を満たすように形成されている。それにより、一般的なサイズ(例えば205/55R16(SW/OD=0.32))の空気入りタイヤと比較すると、外径ODに対して総幅SWが小さくなる。その結果、空気入りタイヤ1の前面投影面積が小さく、タイヤ周辺の空気抵抗が低減され、ひいては空気入りタイヤ1の転がり抵抗を低減することができる。その一方で、単に総幅SWを狭くすると空気入りタイヤ1の負荷能力が低下するが、式<1>を満たすことにより外径ODが総幅SWに対して相対的に大きいので、負荷能力の低下を抑制することができる。
【0030】
(2) 第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1は、その内径RDと外径ODとの比が、上述の式<2>の関係を満たすように形成されている。それにより、空気入りタイヤ1が低偏平化となり、すなわちタイヤ子午線方向の断面視における、ビード部2とトレッド部10との間のサイドウォール部3の長さがより短くなる。それにより、ステアリングホイールからの入力をトレッド部10に素早く伝達させることができるので、操縦安定性の悪化を抑制することができる。
【0031】
(3) 第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1はさらに、総幅SWとトレッド展開幅TDWとの比が、式<3>の関係を満たすように形成されている。第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1では、式<3>の関係を満たすことにより、総幅SWに対してトレッド展開幅TDWが、一般的な空気入りタイヤよりも狭くなるように設定されている。これにより、トレッド部10におけるゴムボリュームを小さくすることができるので、転がり抵抗が低減される。さらに、接地幅が狭くなることにより、接地端よりもタイヤ幅方向外側に位置するトレッド部10の部分が増加し、当該部分がサイドウォール部3と共に変形することができるので、乗心地性能が向上する。「TDW/SW」が0.5よりも小さいと、接地幅が狭くなりすぎることにより、コーナリングフォース(CF)を充分に発生させることが困難となり、ひいては操縦安定性の悪化を制御することが困難となるおそれがある。「TDW/SW」が0.7よりも大きいと、転がり抵抗の低減効果が小さくなってしまう。また、本発明の目的は、転がり抵抗を低減しつつ、操縦安定性を維持又は改善することであるところ、総幅SWとトレッド展開幅TDWとの比が、
0.55 ≦ TDW/SW < 0.65
の関係を満たすと、転がり抵抗及び操縦安定性をより高次元で両立することができるのでさらに好ましい。つまり、「TDW/SW」が0.55以上であることにより、一般的なサイズの空気入りタイヤ(例えば205/55R16(TDW/SW=0.72))と比較しても、接地幅を十分に確保することができるので、操縦安定性を維持又は改善することができる。その一方で、「TDW/SW」が0.65よりも小さいことにより、一般的なサイズの空気入りタイヤと比較しても、トレッド部10におけるゴムボリュームを十分に小さくすることができるので、転がり抵抗を十分に低減することができる。
(4)(1)において説明したように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、一般的なサイズの空気入りタイヤと比較すると、相対的に外径ODが大きく総幅SWが狭い。したがって、自動車の省スペース化、意匠性の向上などを見込むことができる。
【0032】
ここで、各タイヤ幅方向位置におけるタイヤトレッドゲージT1、T2、T3を定義する。なお、トレッドゲージとは、トレッドプロファイル12(トレッド部10の外表面)から、最もタイヤ径方向外側に位置するコードを含む層における、コードのタイヤ径方向外側面までの、トレッドプロファイル12に対して垂直方向の距離をいう。ここで、「コードのタイヤ径方向外側面」とは、当該コードを含む層に含まれるコードのタイヤ径方向外側部分をつなげた面をいうものとする。つまり、トレッドゲージとは、トレッド部10の表面部分におけるゴムの厚さを示すものである。最もタイヤ径方向外側に位置するコードを含む層は、第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1では、ベルト層30よりもタイヤ径方向外側に位置するキャッププライ35である。しかしながら、上述の最もタイヤ径方向外側に位置するコードを含む層は、これに限定されるものではなく、例えば、キャッププライ35を備えていない空気入りタイヤの場合では、ベルト層30がコードを含む層に相当する。なお、ここでいう「コードを含む層」のコードは、繊維コードであっても、金属コードであってもよい。本発明では、タイヤ赤道面CL上に位置するタイヤ幅中央位置ccにおけるトレッドゲージをT1とし、タイヤ幅中央位置ccから、トレッド展開幅TDWの25%に相当する長さだけトレッドプロファイル12に沿って移動した位置におけるトレッドゲージをT2とし、第二の基準点Q1、Q2の位置におけるトレッドゲージをT3と定義する。そして、平均トレッドゲージTaveを、
Tave = (T1+T2+T3)/3
と定義する。
【0033】
このとき、平均トレッドゲージTave及びトレッド展開幅TDWが、
0.10 ≦ Tave/(TDW/2) ≦ 0.16 ・・・<4>
の関係を満たすと好ましい。それにより、通常の寸法を有する空気入りタイヤと比較すると、タイヤ展開幅TDWに対して、平均トレッドゲージTaveが小さい。したがって、トレッド部10の表面部分のゴムの厚さが薄くなり、それにより操縦安定性を向上させることができる。なお、「Tave/(TDW/2)」が0.10よりも小さいと、溝の深さを充分に取ることができず排水性を維持することが困難となり、「Tave/(TDW/2)」が0.16よりも大きいと、平均トレッドゲージが大きすぎて、トレッド部10の表面部分のゴムの厚さが厚くなってしまい、操縦安定性の向上効果が小さくなってしまうおそれがある。また、同様の趣旨から、平均トレッドゲージTave及びトレッド展開幅TDWが、
0.12 ≦ Tave/(TDW/2) ≦ 0.14
の関係を満たすとさらに好ましい。
【0034】
またここで、タイヤ幅中央位置ccを中心として、トレッド展開幅TDWの50%に相当する幅を有するトレッド部10の領域をセンター領域Acとし、センター領域Acにおける平均トレッドゲージを、
Tc = (T1+T2)/2
とし、第二の基準点Q1、Q2からタイヤ幅方向内側に向かう方向に、トレッド展開幅TDWの25%に相当する幅をそれぞれ有するトレッド部10の領域をショルダー領域Ashとし、ショルダー領域Ashにおける平均トレッドゲージを、
Tsh = (T2+T3)/2
とする。
【0035】
さらにここで、溝下トレッドゲージGuc、Gushを定義する。なお、溝下トレッドゲージとは、トレッド部10に設けられている溝、例えば周方向溝14の溝底14bから、最もタイヤ径方向外側に位置するコードを含む層における、コードのタイヤ径方向外側面までの、トレッドプロファイル12に対して垂直方向の距離をいう。つまり、溝下トレッドゲージとは、トレッド部10の表面部分に位置するゴムの、溝が設けられていない土台部分のゴムの厚さを示すものである。そして、センター領域Acで最も深い溝における溝下トレッドゲージをGucとし、前記ショルダー領域Ashで最も深い溝における溝下トレッドゲージをGushとする。なお、溝は、周方向溝14でも幅方向溝(図示しない)でもよく、空気入りタイヤ1の全周のうちの各領域Ac、Ashにおいて最も深い溝の溝底において、溝下トレッドゲージGuc、Gushが計測される。
【0036】
このときに、平均トレッドゲージTc、Tsh及び溝下トレッドゲージGuc、Gushが、
0.15 ≦ Guc/Tc ≦ 0.25 ・・・<5>
0.2 ≦ Gush/Tsh ≦ 0.3 ・・・<6>
の関係を満たすと好ましい。例えば、溝下トレッドゲージGuc、Gushを比較的小さくすることによって、ステアリングホイールからの入力による溝下のゴムのたわみ量を抑えることによって、排水性能や摩耗性能などの他の性能を悪化させることなく、操縦安定性を向上させることができるからである。
【0037】
上述のように、第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1は、トレッド部10に、周方向溝14及び幅方向溝(図示しない)が設けられている。このとき、この空気入りタイヤ1を接地させたときのトレッド部10の接地領域(図示しない)において、接地面積に対する溝面積比率GRが25[%]以下であると好ましい。溝面積比率GRが25[%]以下であると、通常の空気入りタイヤと比較して、トレッド部10が実際に接地する面積が大きくなり、操縦安定性が向上するからである。しかしながら、本発明に係る空気入りタイヤのトレッド部10には、周方向溝や幅方向溝などの溝が設けられていなくてもよい(GR=0[%]に相当する。)。
【0038】
本発明では、接地領域とは、空気入りタイヤ1を上述したリムにリム組みし、230[kPa]で内圧を充填し、負荷能力の80%に相当する荷重をかけて平面に接地させたときの接地面の領域である。接地幅とは、接地領域内のタイヤ幅方向の最大幅である。接地長とは、接地領域内のタイヤ周方向の最大長さである。また、本発明では、負荷能力は、ISO4000−1:1994に基づいて負荷能力が決定される。しかしながら、当該ISO規格において負荷能力指数が設定されていないサイズについては、個別で算出して諸外国の規格との整合を考慮して決定するとの記載があり、この場合では、負荷能力については各国の規格に基づいて算出される。したがって、本発明では実際には、JIS規格で採用している負荷能力算出式を利用したJIS D4202−1994解説の「負荷能力の算定」に記載されている、下記の算定式(c)から各タイヤサイズの負荷能力が算出されている。
X=K×2.735×10−5×P
0.585×Sd
1.39×(D
R−12.7+Sd)
但し、X=負荷能力[kg]
K=1.36
P=230(=空気圧[kPa])
Sd=0.93×S
1−0.637d
S
1=S×((180°−Sin
−1((Rm/S))/131.4°)
S=設計断面幅[mm]
R
m=設計断面幅に対応したリム幅[mm]
d=(0.9−偏平比[−])×S
1−6.35
D
R=リム径の基準値[mm]
【0039】
そして、溝面積比率GRとは、接地領域内の陸部面積と溝面積との総和(=接地面積)に対する溝面積の比率である。
【0040】
また、接地領域における溝面積比率GRが25[%]以下になると排水性が悪化することになるが、それに加えてさらに、トレッド部10のセンター領域Acにおける溝面積比率が20%以上であると、排水性の悪化を抑制することができるのでさらに好ましい。なお、トレッド部10のセンター領域Acにおける溝面積比とは、接地領域内のセンター領域Acにおける陸部面積と溝面積との総和(=接地面積)に対する溝面積の比率である。
【0041】
ここで、ショルダー端領域Asheを定義する。ショルダー端領域Asheとは、上述の第二の基準点Q1、Q2から、トレッドプロファイル12に沿ってタイヤ幅方向内側に向かって、トレッド展開幅TDWの10%の幅をそれぞれ有するトレッド部の領域をいう。
図2を参照すると、ショルダー領域Asheの少なくとも一方に、タイヤ周方向に延びる周方向細溝16が設けられていると好ましい。接地端に近い領域に集中する傾向のある内部応力が、周方向細溝16が設けられていることで分散されることによって、空気入りタイヤ1の転動によるヒステリシスロスを減少させ、ひいては転がり抵抗を低減できるからである。なお、本発明においては、周方向細溝とは、タイヤ周方向に延びる溝であって、溝幅が3mm以下の溝をいう。
【0042】
第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1では、ショルダー領域Asheの両方に周方向細溝16が設けられている。しかしながら、ショルダー領域Asheの少なくとも一方に周方向細溝16が設けられていればよいし、ショルダー領域Asheの両方に、周方向細溝16が設けられていなくてもよい。
【0043】
(第二の実施形態)
これより、
図4を参照しつつ、本発明の第二の実施形態に係る空気入りタイヤ1について説明する。
図4は、
図2に類似する、本発明の第二の実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド部の子午断面視部分拡大図である。第二の実施形態に係る空気入りタイヤは、後述する補強層40を備える点で、第一の実施形態と異なる。
【0044】
図2を参照すると、第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1は、トレッド部10において、タイヤ径方向内側に位置する第一のカーカス層20Aとタイヤ径方向外側に位置する第二のカーカス層20Bを含むカーカス層20と、カーカス層20よりもタイヤ径方向外側に位置すると共に、タイヤ径方向内側に位置する第一のベルト層30Aとタイヤ径方向外側に位置する第二のベルト層30Bとを含むベルト層30とを備える。
図4を参照すると、第二の実施形態に係る空気入りタイヤ1にはさらに、カーカス層20とベルト層30との間に補強層40が設けられている。そして、この補強層40は、タイヤ幅方向位置に関しては、上述のセンター領域Acにその全体が含まれている。
【0045】
補強層40は、タイヤ周方向に対して略90°に延びるコード(図示しない)にゴムを層(シート)状になるように被覆させることによって形成されている。補強層40のコードは、第二の実施形態では、スチールコードによって形成されている。なお、補強層40のコードには、単線のコード又は複数の単線を撚ったコードを用いることが好ましい。
【0046】
第二の実施形態に係る空気入りタイヤ1は、この補強層40が設けられていることにより、第一の実施形態に係る空気入りタイヤ1と比較して、ベルト剛性が補強され、ひいてはトレッド剛性を増大させることによって、操縦安定性を向上させることができる。
【0047】
また、上述のように第二の実施形態では、補強層40のコードの材料はスチールである。スチールは圧縮剛性に優れており、空気入りタイヤ1が接地するときに、トレッド部10がタイヤ幅方向に収縮することを抑制することによって、接地面積を確保することができ、ひいては操縦安定性を向上させることができるので好ましい。しかしながら、補強層40のコードの材料は、ベルト剛性を補強することができるのであればスチール以外の金属又は合金などから形成されたコードであってもよい。
【0048】
補強層40は、タイヤ径方向位置に関して、第二の実施形態に係る空気入りタイヤ1のように、カーカス層20とベルト層30との間に設けられることが好ましいが、どの位置に設けられていてもよい。
【0049】
さらに、補強層40は、タイヤ幅方向位置に関して、第二の実施形態に係る空気入りタイヤでは、上述のセンター領域Acにその全体が含まれるように配置されている。しかしながら、補強層40は、その一部が当該センター領域Acに少なくとも含まれるように配置されていればよい。ベルト剛性の向上に貢献できるからである。補強層40は、タイヤ幅方向の幅に関して、その幅のうちの50%以上がセンター領域Acに含まれているとさらに好ましい。ベルト剛性を効率的に補強することができ、ひいては操縦安定性を効率的に向上させることができるからである。
【0050】
また、空気入りタイヤ1の質量が増加することを避けるために、幅の狭い補強層40を設けることが好適である。具体的には、補強層40は、有効ベルト幅WBの25%〜50%の幅を有することが好ましい。なお、有効ベルト幅WBとは、第二の実施形態では第二のベルト層30Bである、ベルト層30のうちの最もタイヤ径方向外側に位置するベルト層30Bのタイヤ幅方向の幅である。
【0051】
さらに、補強層40が、タイヤ径方向の最も内側に位置するベルト層30Aとカーカス層20との間に配置され、かつタイヤ赤道面CLを中心として有効ベルト幅WBの50%の幅を有する範囲内に配置されると好ましい。タイヤ幅方向の中央部においてベルト剛性を補強することができるので、排水性能や摩耗性能などの他の性能を悪化させずに、操縦安定性をより効率的に改善できるからである。
【実施例】
【0052】
本実施例では、様々な条件を有する空気入りタイヤについて、燃費指数、操縦安定性及び耐ハイドロプレーニング性能に関するタイヤ性能試験が行われた。
【0053】
これらの性能試験では、各テストタイヤに適合する上述したサイズのリムを組付け、各々に230[kPa]の内圧を充填して行われた。
【0054】
これより、テストタイヤについて行われた性能試験の試験方法について説明する。
【0055】
(燃費性能)
テストタイヤを排気量1800ccの前輪駆動車に装着し、全長2kmのテストコースを時速100km/hにて50周走行し、従来例の燃料消費率を100としたときの燃費改善率を測定した。指数が大きいほど燃費が良いことを表している。
【0056】
(操縦安定性)
テストタイヤを標準リムにリム組みして乗用車(排気量1800cc)に装着し、1周2kmのテストコースをレーンチェンジしながら3周走行したときのフィーリングを3人の専門ドライバーにより評価した。評価結果は、後述する比較例1のフィーリング評価点の平均値を100としたときの、各テストタイヤの評価点の平均値を指数で表示した。この指数値が大きいほど操縦安定性が優れていることを示す。
【0057】
(耐ハイドロプレーニング性能)
直線ハイドロプレーニング試験を行い、ハイドロプレーニングが発生した速度を計測して評価した。この直線ハイドロプレーニング試験は、水深10mmのプールを、速度を上げながら進入し、そのときの空気入りタイヤのスリップ率を測定する。このときのスリップ率が10%となったときをハイドロプレーニング発生速度とする。この試験では比較例1における計測結果を100として他の例の計測結果を指数化した。本実施例では、指数の値が大きいほど耐ハイドロプレーニング性能が優れていることを示す。
【0058】
これより、各テストタイヤ及びその性能試験結果について説明する。
【0059】
(従来例)
従来例に係る空気入りタイヤは、タイヤサイズが205/55R16であり、その「SW/OD」の値が0.32であり、かつ「RD/OD」の値が0.64であり、すなわち式<1>及び式<2>を満たさない。
【0060】
(実施例1〜11)
実施例1〜11に係る空気入りタイヤは、タイヤサイズがそれぞれ異なり、「SW/OD」が0.30〜0.21の範囲の値を取り、すなわち式<1>を満たし、かつ「RD/OD」が0.71〜0.74の範囲の値を取り、すなわち式<2>を満たすテストタイヤである。
【0061】
従来例及び実施例1〜11に係る空気入りタイヤについて、燃費指数及び操縦安定性に関する性能試験が行われた。表3には、各テストタイヤの寸法に関する数値と、性能試験結果とが示されている。
【0062】
【表3】
【0063】
表3の性能試験結果によれば、式<1>及び式<2>を満たす実施例1〜11に係るテストタイヤは、従来例よりも燃費指数において優れており、かつ操縦安定性において同等以上である。この性能試験結果により、試験されたタイヤサイズのうちでは、タイヤサイズ165/55R20(実施例9)が、燃費指数及び操縦安定性の両立の観点から特に優れていることが確認された。したがって、以後のトレッドパターンに関する試験については、このタイヤサイズが使用される。
【0064】
(実施例12、13、比較例1、2)
実施例12、13及び比較例1、2に係る空気入りタイヤは、タイヤサイズが165/55R20であり、「TDW/SW」の値が0.40〜0.80の範囲で振り分けられたテストタイヤである。ここで、実施例12、13に係る空気入りタイヤは式<1>〜<3>の関係を全て満たしているが、比較例1、2に係る空気入りタイヤは、式<3>の関係を満たしていない。
【0065】
従来例、実施例12、13及び比較例1、2に係る空気入りタイヤについて、燃費指数及び操縦安定性に関する性能試験が行われた。表4には、各テストタイヤの寸法に関する数値と、性能試験結果が示されている。
【0066】
【表4】
【0067】
表4の性能試験結果によれば、式<1>〜式<3>の全ての関係を満たす実施例12、13に係るテストタイヤは、燃費指数において従来例を上回り、さらに操縦安定性において従来例と同じ又は従来例を上回っている。つまり、これらテストタイヤは、転がり抵抗を低減しつつ、操縦安定性を維持又は改善することができる。
【0068】
(実施例14〜18)
実施例14〜18に係る空気入りタイヤは、タイヤサイズが165/55R20であり、「Tave/(TDW/2)」の値が0.08〜0.17の範囲で振り分けられたテストタイヤである。ここで、実施例15〜17に係る空気入りタイヤは式<4>の関係を全て満たしているが、実施例14、18に係る空気入りタイヤは、式<4>の関係を満たしていない。
【0069】
従来例、実施例14〜18に係る空気入りタイヤについて、燃費指数、操縦安定性及び耐ハイドロプレーニング性能(表5では、「耐ハイドロ性能」と示される。)に関する性能試験が行われた。表5には、各テストタイヤの寸法に関する数値と、性能試験結果が示されている。なお、ここでは、比較例1に係る空気入りタイヤが、上述のように耐ハイドロプレーニング性能の基準タイヤとなっている。本発明では、タイヤサイズが転がり抵抗のために幅狭大径になるように変更されており、トレッドゲージとトレッド展開幅との比率(Tave/(TDW/2))を略一定とすると、それに伴ってトレッドゲージが、ひいては溝深さが小さい範囲に制限されるので、耐ハイドロプレーニング性能が低下する。したがって、本実施例では、このように耐ハイドロプレーニング性能が低下した状態を基準とし、実施例に係る空気入りタイヤが、比較例1からどの程度改善したかについて評価するものとする。
【0070】
【表5】
【0071】
表5の性能試験結果によれば、式<4>の関係を満たす実施例15〜17に係る空気入りタイヤは、式<4>の関係を満たさない実施例14、18と比較して、操縦安定性及び耐ハイドロプレーニング性能が両立されている。
【0072】
(実施例19〜23)
実施例19〜23に係る空気入りタイヤは、タイヤサイズが165/55R20であり、第二の実施形態において示された補強層を含むテストタイヤである。各実施例に係る空気入りタイヤに含まれる補強層が配置される位置は、
図5A〜5Eに示されている。
図5A〜5Eはそれぞれ、実施例19〜23に係る空気入りタイヤのトレッド部に位置するカーカス層、ベルト層及び補強層をタイヤ幅方向に展開した、補強層の位置を示すための模式図である。
図5Aを参照すると、実施例19に係る空気入りタイヤの補強層は、第一のベルト層と第二のベルト層との間に設けられており、上述のセンター領域Acに全く含まれていない。
図5Bを参照すると、実施例20に係る空気入りタイヤの補強層は、第一のベルト層と第二のベルト層との間に設けられており、その一部がセンター領域Acに含まれている。
図5Cを参照すると、実施例21に係る空気入りタイヤの補強層は、ベルト層とカーカス層との間に設けられており、その全体がセンター領域Acに含まれており、つまりそのタイヤ幅方向の幅のうちの50%以上がセンター領域Acに含まれている。
図5Dを参照すると、実施例22に係る空気入りタイヤの補強層は、ベルト層とカーカス層との間に設けられており、そのタイヤ幅方向の幅の80%が、つまり50%以上がセンター領域Acに含まれ、さらにそのタイヤ幅方向の幅は有効ベルト幅の40%であり、つまり25%〜50%に入っている。そして、
図5Eを参照すると、実施例23に係る空気入りタイヤの補強層は、ベルト層とカーカス層との間に設けられており、そのタイヤ幅方向の幅は有効ベルト幅の40%であって、タイヤ赤道面を中心として有効ベルト幅の50%の幅を有する範囲内に設けられている。なお、これら実施例に係る空気入りタイヤに含まれる補強層のコードは、直径0.28mmの単線を3本撚り合わせることによって形成されたスチールコードである。
【0073】
従来例、実施例19〜23に係る空気入りタイヤについて、燃費指数及び操縦安定性に関する性能試験が行われた。表6には、各テストタイヤの寸法に関する数値と、性能試験結果が示されている。
【0074】
【表6】
【0075】
表6の性能試験結果によれば、補強層が少なくともセンター領域Acに含まれている、実施例20〜22に係る空気入りタイヤは、従来例と、補強層がセンター領域Acに全く含まれていない実施例19と係る空気入りタイヤよりも操縦安定性において優れている。さらに、補強層がベルト層と前記カーカス層との間に配置されかつタイヤ赤道面を中心として有効ベルト幅の50%の幅を有する範囲内に配置されている、実施例23に係る空気入りタイヤは、その他のテストタイヤよりも操縦安定性において優れている。
【0076】
本発明は、以下のように規定される。
【0077】
(1) 一対のビード部と、前記ビード部に連なるサイドウォール部と、前記サイドウォール部を連結するトレッド部とを備える空気入りタイヤであって、
前記空気入りタイヤの総幅SWと外径ODとの比が、
SW/OD ≦ 0.3
の関係を満たし、
前記空気入りタイヤの内径RDと前記外径ODとの比が、
RD/OD ≧ 0.7
の関係を満たし、かつ、
タイヤ子午線方向の断面視における前記トレッド部の表面の輪郭線であるトレッドプロファイルは、タイヤ幅方向の中央に位置する中央部円弧と、前記トレッド部におけるタイヤ幅方向の最も外側に位置するサイド部円弧と、前記サイド部円弧と連続する、前記サイド部円弧の次にタイヤ幅方向の外側に位置するショルダー側円弧とを少なくとも含む、互いに異なる曲率半径を有する複数の円弧を繋げることによって形成されており、
タイヤ子午線方向の断面視にて、一方の前記ショルダー側円弧の延長線と前記サイド部円弧の延長線との交点を一方の第一の基準点とし、前記一方の第一の基準点を通る前記トレッドプロファイルに垂直な直線と、前記トレッドプロファイルとの交点を一方の第二の基準点とし、他方の前記ショルダー側円弧の延長線と前記サイド部円弧の延長線との交点を他方の第一の基準点とし、前記他方の第一の基準点を通る前記トレッドプロファイルに垂直な直線と、前記トレッドプロファイルとの交点を他方の第二の基準点とし、前記一方の第二の基準点から前記他方の第二の基準点までの前記トレッドプロファイルに沿った長さをトレッド展開幅TDWとしたときに、
0.5 ≦ TDW/SW ≦ 0.7
の関係を満たして形成されていることを特徴とする、
空気入りタイヤ。
【0078】
(2) タイヤ幅中央位置におけるトレッドゲージをT1とし、タイヤ幅中央位置から、前記トレッド展開幅TDWの25%に相当する長さだけ前記トレッドプロファイルに沿って移動した位置におけるトレッドゲージをT2とし、前記第二の基準点の位置におけるトレッドゲージをT3とし、平均トレッドゲージTaveを、
Tave = (T1+T2+T3)/3
としたときに、
0.10 ≦ Tave/(TDW/2) ≦ 0.16
の関係を満たして形成されていることを特徴とする、
(1)に記載の空気入りタイヤ。
【0079】
(3) タイヤ幅中央位置におけるトレッドゲージをT1とし、タイヤ幅中央位置から、前記トレッド展開幅TDWの25%に相当する長さだけ前記トレッドプロファイルに沿って移動した位置におけるトレッドゲージをT2とし、前記第二の基準点の位置におけるトレッドゲージをT3とし、
タイヤ幅中央位置を中心として、前記トレッド展開幅TDWの50%に相当する幅を有する前記トレッド部の領域をセンター領域Acとし、前記センター領域Acにおける平均トレッドゲージを、
Tc = (T1+T2)/2
とし、
前記第二の基準点からタイヤ幅方向内側に向かう方向に、前記トレッド展開幅TDWの25%に相当する幅をそれぞれ有する前記トレッド部の領域をショルダー領域Ashとし、前記ショルダー領域Ashにおける平均トレッドゲージを、
Tsh = (T2+T3)/2
とし、
前記センター領域Acで最も深い溝における溝下トレッドゲージをGucとし、前記ショルダー領域Ashで最も深い溝における溝下トレッドゲージをGushとしたときに、
0.15 ≦ Guc/Tc ≦ 0.25
0.2 ≦ Gush/Tsh ≦ 0.3
の関係を満たすように形成されていることを特徴とする、
(1)又は(2)に記載の空気入りタイヤ。
【0080】
(4) タイヤ幅中央位置を中心として、前記トレッド展開幅TDWの50%に相当する幅を有する前記トレッド部の領域をセンター領域Acとしたときに、
タイヤ周方向に対して略90度の方向に延びるコードを含む補強層の少なくとも一部が、前記センター領域Acに含まれることを特徴とする、
(1)〜(3)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。
【0081】
(5) 前記空気入りタイヤはさらに、タイヤ子午線方向の断面視にて、前記ビード部同士の間において、前記サイドウォール部及び前記トレッド部を介して架け渡されているカーカス層と前記トレッド部において前記カーカス層よりもタイヤ径方向外側に位置するベルト層とを備え、
前記補強層が、タイヤ径方向の最も内側に位置する前記ベルト層と前記カーカス層との間に配置され、かつタイヤ赤道面を中心として有効ベルト幅の50%の幅を有する範囲内に配置されることを特徴とする、
(4)に記載の空気入りタイヤ。
【0082】
(6) 前記補強層のコードの材料がスチールであることを特徴とする、
(4)又は(5)に記載の空気入りタイヤ。
【0083】
(7) 前記トレッド部における接地領域での溝面積比率GRが25%以下であることを特徴とする、
(1)〜(6)のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【0084】
(8) 前記第二の基準点から、前記トレッドプロファイルに沿ってタイヤ幅方向内側に向かって、前記トレッド展開幅TDWの10%の幅をそれぞれ有するトレッド部の領域をショルダー端領域Asheとしたときに、
前記ショルダー端領域Asheの少なくとも一方に、タイヤ周方向に延びる周方向細溝を設けることを特徴とする、
(1)〜(7)のいずれか1つに記載の空気入りタイヤ。