(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記内筒は伸縮可能にガイドされる被ガイド部を有し、前記介在部材は、被ガイド部をガイドするガイド部を有し、前記ガイド部は軸方向に亘って設けられた開口であり、前記開口から拡開して前記介在部材の外面が外筒内面と当接するようにされた、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の伸縮駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る開閉体開閉装置1の構成を示す外観図である。
【0017】
開閉体開閉装置1は、バックドア2、第1ステー4、第2ステー5、伸縮駆動装置6を備えている。
【0018】
バックドア2(開閉体の一例に相当)は、車室後部に設けられた開口部を開閉するドアである。バックドア2は、車室後部の開口部に配置される。バックドア2は、車両に設けられたヒンジ3に回動自在に接続され、ヒンジ3を中心に回動して開口部を開閉する。バックドア2は、車両後部に第1ステー4、第2ステー5、および、伸縮駆動装置6を介して接続される。
【0019】
第1ステー4および第2ステー5は、バックドア2が閉まるときにバックドア2の動きに伴って収縮し、バックドア2が開くときにバックドア2の動きに伴って伸長し、バックドア2の開閉駆動を補助する部材である。
【0020】
伸縮駆動装置6は、伸縮駆動することによって、バックドア2を開閉する。伸縮駆動装置6は、伸縮方向に長さを有し、棒状の部品である。伸縮駆動装置6が収縮駆動することでバックドア2を閉じ、伸長駆動してバックドア2を開く。伸縮駆動装置6は、一端が車両後部に接続され、他端がバックドア2に接続される。伸縮駆動装置6の一端または他端は、接続部品を介して車両後部またはバックドア2に接続されてもよい。続いて、
図2および
図3を用いて、伸縮駆動装置6について説明する。
【0021】
図2は、
図1の伸縮駆動装置6を軸方向に切断した縦断面であり、
図2(a)は伸縮駆動装置6の全体の縦断面図、
図2(b)は一部を拡大した縦断面図である。
図3は、
図1の伸縮駆動装置6の各部品を示す分解図である。本実施の形態では、伸縮駆動装置6の伸縮方向を軸方向と呼ぶ。
【0022】
伸縮駆動装置6は、
図3に示すように、モータ11、スクリュー部材12、ナット部材14、バネ17、バネ座18、内筒20、内筒キャップ23、スリーブ24、および、外筒27を備えている。
図2(a)および
図2(b)に示すように、外筒27の内周側にはスリーブ24が配置され、スリーブ24の内周側には内筒20が配置される。内筒20の内周側にはバネ17が配置され、バネ17の内周側にはナット部材14が配置される。ナット部材14の内周側にはスクリュー部材12が配置される。
【0023】
外筒27は、中空で、両端が開口した、軸方向に長い筒状(例えば円筒状)の部材である。外筒27の中空部分には、モータ11、スクリュー部材12、ナット部材14、バネ17、内筒20、スリーブ24等が配置される。外筒27の軸方向の長さは、モータ11を含む駆動部の軸方向の長さと、内筒20の軸方向の長さとを、加算した長さにほぼ近似する。外筒27の軸方向の一端側にはモータ11が収容され、他端側には、スクリュー部材12、ナット部材14、バネ17、内筒20、スリーブ24が収容される。
【0024】
外筒27の軸方向の一端側にはモータ止着部28が設けられている。モータ止着部28は、具体的には、外筒27の内側の端部に設けられた雌ネジである。外筒27の軸方向の他端には、外筒キャップ29が嵌合される。
【0025】
内筒20は、中空で、両端が開口した、軸方向に長さを有し、筒状(例えば円筒状)の部材である。内筒20は外筒27の中空部分に挿入され、外筒27に対して軸方向に相対移動することで、伸縮駆動装置6が伸縮する。外筒27と内筒20との内側空間にはスクリュー部材12、ナット部材14、バネ17が収容される。
【0026】
内筒20には、第2止着部21と、被ガイド部22が設けられている。第2止着部21は、内筒キャップ23が止着される部位で、軸方向の一端部(外筒27から外に出る側の端部)に設けられている。第2止着部21は、具体的には、内筒20の内周面に設けられた雌ネジである。被ガイド部22は、軸方向の他端部(外筒27の中空部分に残される側の端部)に設けられている。被ガイド部22は、内筒20の径方向の外方に突出する突起であり、内筒20の周方向の一部の範囲に設けられている。なお、被ガイド部22は、後述のスリーブ24のガイド部25に対応して設けられ、ガイド部25に案内されることが可能であれば、位置や長さなどの具体的構成は適宜設定することができる。
【0027】
スリーブ24(介在部材の一例に相当)は、内筒20と外筒27とを滑らかに相対移動可能にするために、内筒20と外筒27の間に介在する部材である。スリーブ24は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはフッ素樹脂などの合成樹脂によって成形され、接触する相手部材に対して摺動性を有する。スリーブ24は、外筒27の内周面に沿って固定的に配置される。また、スリーブ24の内周側には内筒20がスリーブ24に対して摺動可能に配置される。スリーブ24は、内筒20と外筒27との直接接触を抑制する。また、スリーブ24は、内筒20の大部分が外筒27の外まで移動したときに、外筒27とバネ17との間に介在し、両者が直接に当たることを抑制する。
【0028】
より詳細な構造については後述するが、スリーブ24は、伸縮駆動装置6に組み込まれた状態で、筒体の所定の範囲に切り欠き、および、間隙等を有する形状をしている。
図3は、スリーブ24が、伸縮駆動装置6に組み込まれたときの状態を示している。スリーブ24は、周方向の一部範囲に軸方向に一端から他端まで延びる間隙を有する。この軸方向に延びる間隙が、内筒20の被ガイド部22をガイドするガイド部25を構成する。内筒20の被ガイド部22が、スリーブ24のガイド部25に沿った状態で、内筒20が軸方向に移動することで、スリーブ24に対して内筒20の周方向の回転が抑制される。
【0029】
モータ11(駆動部の一例に相当)は、電力の供給を受けて、駆動力を出力する。モータ11は、回転駆動する出力軸を有する。モータ11は、出力軸を正回転と逆回転とに駆動可能な構成である。モータ11は、外筒27のモータ止着部28に止着されることで、外筒27の一端部に固定される。モータ11は、外筒27に対して、軸方向に移動しないように、且つ、周方向に回転しないように固定される。具体的には、モータ止着部28の雌ネジと、モータ11の外周に設けられた雄ネジとが螺合して、モータ11が止着される。モータ11は、出力軸の先端が、内筒20が配置される側を向いて配置される。なお、モータ11は、外筒端部を蓋する蓋部材と外筒内側に加締め固定された係止部材とで挟持されていることにより、外筒27に止着されてもよい。
【0030】
スクリュー部材12(回転駆動部材の一例に相当)と、ナット部材14(駆動力伝達部材)とは、互いに組み合わさって、モータ11から受けた回転方向の駆動力を軸方向の駆動量に変換する動力変換機構である。
【0031】
スクリュー部材12は、直線状の軸部材であり、同一径の雄ネジが軸方向に螺旋状に連続して形成されたスクリュー部13を有する。スクリュー部13の軸方向の長さは、伸縮駆動装置6の変位量以上とされる。スクリュー部材12は、モータ11の出力軸と一直線上に配置され、一端がモータ11の出力軸と接続されている。モータ11の出力軸からスクリュー部材12に回転力が与えられることで、スクリュー部材12は中心軸を中心に回転する。スクリュー部13は、ナット部材14のネジ部15aと螺合する。
【0032】
ナット部材14は、中空軸状の部材であり、内周側に、ネジ部15aと中空部15bとを有する。ネジ部15aは、スクリュー部13と螺合する雌ネジであり、ナット部材14の内周側に設けられている。中空部15bは、ネジ部15aより軸方向の一方側の範囲(スクリュー部材12に取付けた際のモータ11と反対側の範囲)にわたって設けられ、ナット部材14の中心軸に直交する断面を見たときに中央部が空洞になるように形成されている。中空部15bは、スクリュー部13の外径よりも大きな径又は幅を有し、スクリュー部13と接触せずに、スクリュー部13上を移動することができる。
【0033】
ナット部材14は、さらに、軸方向の他端部に第1止着部16を有する。第1止着部16は、内筒キャップ23を止着するための雄ネジであり、ナット部材14の外周側であって、ネジ部15aに対して駆動部とは反対側の端部に設けられる。第1止着部16は、内筒キャップ23に固定され、螺合によって当該固定をすることができる。
【0034】
ナット部材14は、モータ11に対して周方向に回転しないように規制され、モータ11の駆動によって、スクリュー部材12が軸心を中心に回転することで、ナット部材14が軸方向に駆動される。ナット部材14の周方向への回転を抑制する構造は、後に説明する。
【0035】
バネ17(弾性部材の一例に相当)は、コイル状のバネであり、内筒20に軸方向の付勢力を与え、内筒20が外筒27から突出する方向に移動する際に、この移動方向のアシストを行う。バネ17は、内筒20の軸方向に沿って伸縮し、常に、伸びる方向に付勢力を及ぼす。バネ17は、後述する内筒キャップ23に一端が当接され、後述するバネ座18に他端が当接される。
【0036】
バネ座18は、バネ17の一端が当接する座面を有し、バネ17の一端を受ける部材である。バネ座18は、一方側がモータ11となるように外筒27に配置され、他方からバネ17により圧力がかけられる。この圧力により、バネ座18が駆動部に対して押圧されるので、バネ座18と駆動部との間に摩擦力が生じることによりバネ座18の回転が抑制される。バネ座18は、中央に貫通穴を有するリング状であり、貫通穴にスクリュー部材12が通される。バネ座18には、後述するスリーブ24の凹部26に嵌合する凸部19が設けられ、スリーブ24の回転を抑制する機能を有する。凸部19は、リング状のバネ座18において、リング状の周方向の一部の範囲に、伸縮駆動装置6の軸方向に突出するように設けられる。凸部19は、スリーブ24が配置される側を向いて突出している。なお、バネ座18とスリーブ24との嵌合は、スリーブ24の回転が抑制されるものであれば、いずれの部材に凸部が設けられてもよい。
【0037】
内筒キャップ23は、内筒20の一端の開口を塞ぐキャップであり、上述したナット部材14の第1止着部16と、上述した内筒20の第2止着部21とに止着される。内筒キャップ23が内筒20の一端の開口を塞ぐ構造が、内筒20の先端の閉構造の一例に相当する。なお、閉構造とは、完全に密閉する構造を意味するものではなく、内筒20の開口の一部又は全部を閉じる構造を意味する。閉構造には、内筒20の一端を塞ぐ部分に、内筒20の内径よりも小さい幅を有する穴又は間隙を有する構造も含まれる。
【0038】
内筒キャップ23の止着部分は、筒状に形成され、筒状の部分の外周に雄ネジが設けられ、筒状の部分の内周に雌ネジが設けられている。外周の雄ネジが内筒20の第2止着部21に螺合し、内周の雌ネジがナット部材14の第1止着部16に螺合する。内筒キャップ23は、第1止着部16が止着する部分と第2止着部21が止着する部分との間に、ナット部材14と内筒20との間のバネ17が通る間隔が設けられ、またナット部材14と内筒20との相対移動を抑制する。上述したように、内筒20はスリーブ24のガイド部25により周方向に回転しないように規制されているので、内筒キャップ23の固定によりナット部材14もスリーブ24に対して周方向に回転しないように規制される。
【0039】
内筒キャップ23は、バネ17の一端を受ける機能も有する。内筒キャップ23において、内筒20とナット部材14との間に配置される部分には、バネ17の一端が当接し、これによりバネ17から内筒20へ付勢力が付加される。
【0040】
内筒キャップ23は、伸縮駆動装置6の伸縮方向の端部として露出する部材である。内筒キャップ23の先端は、伸縮駆動装置6の一端と他の部品とを接続するための接続構造を有していてもよい。
【0041】
外筒キャップ29は、外筒27の一端部(内筒20が出し入れされる側の端部)に接続され、外筒27と内筒20との間を封止する。外筒キャップ29は、中央に貫通穴を有する筒状であり、この貫通穴に内筒20が通されて、内筒20が摺動可能に外筒27の端部を覆うことになる。外筒キャップ29は、外筒27からスリーブ24が飛び出すことと、スリーブ24が回転するのを抑制する機能とを有する。具体的には、外筒キャップ29の内周側には内側に突起するストッパー30が設けられ、このストッパー30が外筒27の内周面よりも内側に突出し、スリーブ24の凹部26に係止することで、スリーブ24の飛び出しおよび回転を抑止する。
【0042】
ここで、ナット部材14の回転が抑止される構造について説明する。上述したように、モータ11と外筒キャップ29とは、外筒27に対して回転しないように固定される。バネ座18は、バネ17の付勢力によりモータ11に対して回転しないように規制される。スリーブ24はバネ座18と外筒キャップ29に係止されて、外筒27に対して回転しないように規制される。また、スリーブ24のガイド部25が内筒20の被ガイド部22をガイドすることで、スリーブ24に対して内筒20の回転が抑制される。内筒20とナット部材14とは内筒キャップ23を介して互いに固定されることで、内筒20に対してナット部材14の回転が抑制される。これらの構造により、外筒27に対するモータ11およびナット部材14の周方向への回転は抑制され、モータ11の駆動によってスクリュー部材12が回転してもモータ11に対してナット部材14の回転が抑制される。これにより、スクリュー部材12が回転することでナット部材14が軸方向に移動する。
【0043】
次に、スリーブ24のより詳細な構造について、
図2および
図3に加え、
図4〜
図7を参照して説明する。
図4は、
図3のスリーブ24が拡開した状態を示す斜視図である。
図5は、
図3のスリーブ24が拡開した状態を示す平面図である。
図6は、
図5のA−A線断面図である。
図7は、
図6の部分Bの拡大図である。
【0044】
スリーブ24(介在部材)は、ガイド部25、凹部26、スリーブ片31a、31bおよびヒンジ部32を有する。スリーブ24は、外力が働かない場合には、
図4〜
図6に示すように、ヒンジ部32を中心にスリーブ片31a、31bが開いた状態となる。また、外筒27に組み込まれる際には、外力によって、
図3に示すように外筒27の内周面に沿った形状にされる。ガイド部25は、スリーブ片31a、31bの側縁とが離間して形成された間隙として構成されている。
【0045】
スリーブ片31a、31b(構成部の一例に相当)は、円筒の壁体の周方向の一部範囲を軸方向に延びる分割線で分割した形状をしている。複数のスリーブ片31a、31bの各幅は、複数のスリーブ片31a、31bを伸縮駆動装置6の所定の位置に配置した状態で、複数のスリーブ片31a、31bの間にガイド部25となる間隙が形成される幅長に設計されている。スリーブ片31a、31bは、外筒27の長さ方向に長さを有する。具体的には、スリーブ片31a、31bは、内筒20の軸方向の長さにほぼ相当する長さを有している。隣接する一対のスリーブ片31a、31bは、複数のヒンジ部32によって接続される。一つのスリーブ片31aは、スリーブ24が拡開するように、隣接するスリーブ片31bに対して相対移動可能である。
【0046】
ガイド部25は、上述したように、内筒20の被ガイド部22を軸方向(伸縮駆動装置6の伸縮方向)にガイドする。ガイド部25は、スリーブ24が外筒27に組み込まれた状態で、2つのスリーブ片31a、31bの間に設けられた所定間隔の間隙である。
【0047】
凹部26は、スリーブ24の回転を抑制するための構成であり、スリーブ24の軸方向(伸縮駆動装置6の伸縮方向)の一端と他端とに設けられている。凹部26は、スリーブ24の軸方向の端部の一部を、軸方向の中央に向って凹んだ形状を有する。凹部26は、個々のスリーブ片31a、31bに設けてもよいし、
図4および
図5に示すように、2つのスリーブ片31a,31bにまたがるように設けてもよい。上述したように、一端側の凹部26は、バネ座18の凸部19が嵌合し、他端の凹部26は外筒キャップ29のストッパー30が係止する。スリーブ片31a、31bとバネ座18とが係合することにより、外筒27に対してスリーブ24の回転が抑制される。
【0048】
ヒンジ部32は、スリーブ片31aとスリーブ片31bとを接続し、スリーブ片31a、31bが開く方向に付勢力を与える。ヒンジ部32は、複数のスリーブ片31a、31bと一体成形される。ヒンジ部32は、外力が働いていないスリーブ24が拡開した状態において、
図7に示すように、アンダーカット部が生じない形状、すなわち、型成形可能な形状になっている。複数のスリーブ片31a、31bも、拡開した状態でアンダーカット部が生じない形状になっている。ヒンジ部32は、スリーブ片31a、31bの軸方向に延びる辺の複数箇所に設けられる。
【0049】
上記のように、ヒンジ部32およびスリーブ片31a、31bが、型成形可能な形状であることにより、型成形を用いて、スリーブ24を高い寸法精度で容易に成形することができる。高い寸法精度でスリーブ24を軸方向に均一な形状にできることから、内筒20の摺動性が向上し、スリーブ24の形状が不均一となることで内筒20の摺動時に異音が発生するという課題も抑制される。また、スリーブ24を軸方向に均一な形状にできることから、伸縮駆動装置6の組立工程において、スリーブ24と他の部品との干渉を抑制することができる。
【0050】
また、2つのスリーブ片31a、31bがヒンジ部32によって開く方向に付勢されながら、スリーブ24が外筒27に組み込まれる。スリーブ24は、外筒27の内側でスリット状のガイド部25の幅が拡大するように、スリーブ片31a、31bがそれぞれ変位して、スリーブ片31a、31bの外面が外筒27内面の内壁に接した状態となる。そのため、スリーブ24を、内筒20と干渉しないような位置に維持することが可能となる。よって、内筒20の摺動性が向上し、スリーブ24の形状が不均一となることで内筒20の摺動時に異音が発生するという課題も抑制される。また、スリーブ24が伸縮駆動装置6の作動軸側に寄って、内筒20の伸縮動作をする際に内筒20とスリーブ24とが干渉することを抑制することができる。なお、スリーブ24は、スリット状のガイド部25の幅が拡大して外筒27の内面を押圧している。しかし、ガイド部が凸部等の開口以外の形状であり被ガイド部がスリットである場合には、軸方向に亘って形成された、ヒンジ部によって拡開可能な開口部(例えば、ガイド部25と同様のスリット)をスリーブに設けて、当該開口部が拡開して、スリーブの外面と外筒内面とが接するようにしてもよい。
【0051】
なお、ヒンジ部32は、スリーブ24を伸縮駆動装置6に組み込んだ後に折れてもよい。この場合でも、スリーブ24は内筒20と外筒27との間に挟まれて、外筒27に対して内筒20をスムーズに移動させることができる。
【0052】
次に、上述した伸縮駆動装置6の動作について説明する。先ず、伸縮駆動装置6が収縮した状態であるとする。モータ11に電力が供給され、モータ11の出力軸が回転すると、スクリュー部材12は、モータ11の回転力を受けて、回転軸を中心に回転する。ナット部材14は回転が抑制されているので、スクリュー部材12の回転により軸方向に並進する。ナット部材14は、内筒キャップ23を介して内筒20と接続されているため、ナット部材14が移動することにより内筒20が移動する。この結果、内筒20は外筒27から移動して伸縮駆動装置6が伸長する。伸縮駆動装置6がバックドア2に接続されている場合には、伸縮駆動装置6が伸長することでバックドア2が開く。
【0053】
伸縮駆動装置6が伸長した状態で、モータ11の出力軸が逆方向に回転することで、ナット部材14および内筒20が逆方向に並進し、伸縮駆動装置6が収縮する。伸縮駆動装置6がバックドア2に接続されている場合には、伸縮駆動装置6が収縮することでバックドア2が閉じる。
【0054】
以上のように、本実施の形態の伸縮駆動装置6によれば、スリーブ24が、複数のスリーブ片31a、31bと、複数のスリーブ片31a、31bが開く方向に付勢力を与えるヒンジ部32とを有する。これにより、スリーブ24の形状が歪んでいる場合に生じる課題、例えば異音の発生または他の部品との干渉などの課題を抑制することができる。
【0055】
また、スリーブ片31a、31bおよびヒンジ部32が型成形可能な形状をしているため、スリーブ片31a、31bおよびヒンジ部32を、型成形により一体成形することで、より高い寸法精度でスリーブ24を製造することができる。
【0056】
さらに、本実施の形態の開閉体開閉装置1によれば、伸縮駆動装置6のスリーブ24の形状が歪んでいる場合に生じる課題が抑制されることで、開閉時における伸縮駆動装置6の異音等が低減される。また、安定的に滑らかな伸縮駆動装置6の伸縮動作が得られることにより、バックドア2の安定的で滑らかな開閉が実現される。
【0057】
なお、本実施の形態では、スリーブが外筒に組み込まれたときに、横断面形状で複数のスリーブ片の間にガイド部となる間隙を有する形状として説明したが、ガイド部を他の部材に設けることで、この間隙が生じない形状としてもよい。また、本実施の形態では、スリーブ片を2つとしたが、3つ以上としてもよい。
【0058】
また、本実施の形態では、複数のスリーブ片とヒンジ部とが一体成形された構成として説明したが、各部を別部品として成形し、互いに接続した構成としてもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、開閉体として車両のバックドアを例に説明したが、開閉体は車両の開閉体に限られず、例えば、建物または任意の装置に設けられる開閉体であってもよい。また、開閉体は、車両の後部に設けられた開閉体に限るものではなく、車両の前部、側部または上部に設けられた開閉体でもよい。さらに、開閉体はドアに限るものではなく、窓または蓋でもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、幾つかの止着部において雄ネジと雌ネジとの螺合によって部材が止着される構造を例に挙げたが、ネジによる止着に限られず、ラッチ式の接続、接着、固い嵌合など、様々な止着構造を用いてもよい。
【0061】
その他、本発明は、実施の形態で具体的に示した細部構造、細部形状および材料に限られるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。