特許第6173296号(P6173296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6173296低化学量論的酸化を伴って作動するシャフトガス化器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173296
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】低化学量論的酸化を伴って作動するシャフトガス化器
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/26 20060101AFI20170724BHJP
   C10J 3/02 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   C10J3/26
   C10J3/02 H
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-500390(P2014-500390)
(86)(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公表番号】特表2014-511905(P2014-511905A)
(43)【公表日】2014年5月19日
(86)【国際出願番号】EP2012055082
(87)【国際公開番号】WO2012126986
(87)【国際公開日】20120927
【審査請求日】2014年10月10日
【審判番号】不服2016-5476(P2016-5476/J1)
【審判請求日】2016年4月13日
(31)【優先権主張番号】202011004328.2
(32)【優先日】2011年3月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512178732
【氏名又は名称】ビッグ・ダッチマン・インターナショナル・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BIG DUTCHMAN INTERNATIONAL GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】アルミン・シュヴァルツ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルフリート・リヒター
【合議体】
【審判長】 川端 修
【審判官】 國島 明弘
【審判官】 日比野 隆治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−280411(JP,A)
【文献】 特表平6−500134(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1865046(EP,A1)
【文献】 国際公開第01/51591(WO,A1)
【文献】 特表2013−519761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体炭素質材料から燃料ガスを製造するシャフトガス化器であって、前記シャフトガス化器が:
− シャフトガス化器内側を囲むシャフト壁(12)と、
− シャフトガス化器内に配置されている熱分解ゾーン(23)であって、前記熱分解ゾーンが、
固体炭素質材料をシャフトガス化器に供給する固体材料供給口(21a)と、
部分的にガス化された固体炭素質材料を放出する固体材料放出口(22a)と、
熱分解ガスのためのガス放出口(24)を有する、熱分解ゾーンと、
− シャフトガス化器内に配置されており熱分解ゾーンと熱的に接触している酸化ゾーン(43)であって、前記酸化ゾーンが、
熱分解ゾーンから出た熱分解ガスを放出する熱分解ゾーンのガス放出口と関連しているガス供給口(41a−d)と、
ガス放出口(44)を有する、酸化ゾーン
を有しており、
酸化ゾーン(43)が、熱分解ゾーン(23)とシャフト壁との間に配置されていることを特徴とし、
固体のための入口開口部および固体のための出口開口部は、ガス化ユニット内の固体材料の供給および輸送が重力により頂から底へと起こるように配置され、更に、
固体材料が酸化ゾーンを通過せずに熱分解ゾーンから還元ゾーンに移動するようにシャフトガス化器内側に配置されている還元ゾーン(53)であって、前記還元ゾーンが、
部分的にガス化された固体炭素質材料を還元ゾーンに供給するために熱分解ゾーンの固体材料放出口に接続されている固体材料供給口と、
シャフトガス化器から出た部分的にガス化された固体炭素質材料を放出する固体材料放出口(14a)と、
部分的に酸化された熱分解ガスを酸化ゾーンから還元ゾーンに供給するために酸化ゾーンのガス放出口に接続されているガス供給口(44)と、
シャフトガス化器から燃料ガスを取り出すガス放出口(56)
を有する、還元ゾーンによって特徴付けられる、シャフトガス化器。
【請求項2】
固体材料を、熱分解ゾーンから還元ゾーンに重力下で供給できるように、還元ゾーン(53)が、重力の方向において熱分解ゾーン(23)の下に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のシャフトガス化器。
【請求項3】
2以上の熱分解ゾーン(123a−d)が、シャフトガス化器内側で互いに距離を置いて配置されており、1以上の酸化ゾーン(143a−e)が、2以上の熱分解ゾーンの間におよび熱分解ゾーンとシャフト壁との間に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシャフトガス化器。
【請求項4】
− 熱分解ゾーンで生じた熱分解ガスを熱分解ゾーンの外に案内するように、
− 熱分解ゾーンから距離を置いて上方に向くように、および
− 重力の方向に酸化ゾーンの上側部分に通ずるように、
適合されている熱分解ガス導管によって特徴付けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシャフトガス化器。
【請求項5】
熱分解ゾーンの固体材料放出口(22a)を、シャフトガス化器内で垂直に移動可能に案内でき、シャフトガス化器の内側において異なる高さで少なくとも2つの位置に配置できることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシャフトガス化器。
【請求項6】
熱分解ゾーンの固体材料供給口(21a)を、シャフトガス化器内で垂直に移動可能に案内でき、シャフトガス化器の内側において異なる高さで少なくとも2つの位置に配置できることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシャフトガス化器。
【請求項7】
熱分解ゾーンの固体材料供給口が、熱分解配管(22)の内側に配置されている固体材料供給配管(21)の軸口(21a)を含み、熱分解ゾーンの固体材料放出口が、熱分解配管(22)の軸口(22a)を含むことを特徴とする、請求項5または6に記載のシャフトガス化器。
【請求項8】
− 酸化ゾーンの温度を検出する温度センサ(45a、b)と、
− 酸化ゾーンに供給される酸素含有ガス量を増加および/または減少する空気供給器具(41a−d、42a−d)と、
− 温度センサおよび空気供給器具と信号連絡する調節器具であって、調節器具の電子記憶器に格納される割当に基づく温度センサからの信号に従って空気供給器具(42a−d)を作動させることによって、酸化ゾーン(43)における低化学量論的燃焼を調節するように適合されている調節器具、
によって特徴付けられている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシャフトガス化器。
【請求項9】
− 調節器具が、格納された割当に基づいて空気供給器具を作動するように適合され、その結果、
信号が所定の設定値温度より低い温度を示す場合に空気供給を増加し、および
信号が所定の設定値温度より高い温度を示す場合に空気供給を減少する、
ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシャフトガス化器。
【請求項10】
− 規則的な間隔を置いて設定値温度を所定の量で変え、
− 変えた設定値温度に到達するための制御応答に基づいて、低化学量論的燃焼と過化学量論的燃焼のどちらが酸化ゾーンで生じるかを確認し、および
− 次いで、その結果に応じて、改めて空気供給を設定して、低化学量論的燃焼の調整を行う、
ように調節器具が構成されていることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載のシャフトガス化器。
【請求項11】
低化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、設定値温度を、変化前における設定値温度に所定の量で戻すことによって、または
過化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、変更された設定値に到達するまで空気供給を減少することによって、低化学量論的燃焼の調整を行う、請求項10に記載のシャフトガス化器。
【請求項12】
− 調節器具が、規則的な間隔を置いて設定値温度を所定の量で変え、
空気供給を増加するときに実際の温度が上昇すると、酸化ゾーンにおける低化学量論的燃焼を確認するように、または
空気供給を増加するときに実際の温度が低下すると、酸化ゾーンにおける過化学量論的燃焼を確認するように、適合されており、
− 次いで、調節器具が、このような確認の結果に応じて、改めて空気供給を設定し、
低化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、所定の量で設定値温度を再び上昇することによって、または
過化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、変更された設定値温度に到達するまで空気供給を減少することによって、低化学量論的燃焼の調整を行うように更に適合されていることを特徴とする、請求項10または11に記載のシャフトガス化器。
【請求項13】
固体炭素質材料からの燃料ガスの製造方法であって、当該方法が、
− 固体炭素質材料を、シャフトガス化器内側に配置されている熱分解ゾーンに供給する工程、および
− 熱分解ガスを、シャフトガス化器内側に設置されている酸化ゾーンに、熱分解ゾーンから供給する工程を含んでおり、
熱分解ガスが、熱分解ゾーンから半径方向に外側に出て酸化ゾーンに案内されることを特徴とし、
ガス化装置内の固体材料の供給および輸送が重力により頂から底へと起こり、更に、
− 部分的にガス化した固体炭素質材料を、固体材料が酸化ゾーンを通過せずに熱分解ゾーンから還元ゾーンに移動するようにシャフトガス化器内側に配置されている還元ゾーンに、熱分解ゾーンから供給する工程、
− 部分的に酸化した熱分解ガスを、酸化ゾーンから還元ゾーンに供給する工程、および
− 還元ゾーンから燃料ガスを取り出す工程
によって特徴付けられる、燃料ガスの製造方法。
【請求項14】
− 1以上の温度センサを用いることによって、酸化ゾーンの温度を検出する工程、
− 空気供給器具を用いることによって、酸素含有ガスの酸化ゾーンへの供給を増加および/または減少する工程、および
− 温度センサおよび空気供給器具と信号連絡している調節器具を用いて、調節器具の電子記憶器に格納される割当に基づいて温度センサからの信号に従って空気供給量を制御することによって、酸化ゾーンにおける低化学量論的燃焼を調整する工程
によって特徴付けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
− 規則的な間隔を置いて設定値温度を所定の量で変える工程、
− 変えた設定値温度に到達するための制御応答に基づいて、低化学量論的燃焼と過化学量論的燃焼のどちらが酸化ゾーンで生じるかを確認する工程、および
− その結果に応じて、改めて空気供給を設定して、低化学量論的燃焼の調整を行う工程
によって特徴付けられる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
低化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、設定値温度を、変化前における設定値温度に所定の量で戻すことによって、または
過化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、変更された設定値温度に到達するまで空気供給を減少することによって、低化学量論的燃焼の調整を行う、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体炭素質材料から燃料ガスを製造するシャフトガス化器に関し、前記シャフトガス化器が、シャフトガス化器内側を囲むシャフト壁と、シャフトガス化器内に配置されている熱分解ゾーンであって、前記熱分解ゾーンが、固体炭素質材料をシャフトガス化器に供給する固体材料供給口と、部分的にガス化された固体炭素質材料を放出する固体材料放出口と、熱分解ガスのためのガス放出口を有する、熱分解ゾーンと、シャフトガス化器内に配置されており熱分解ゾーンと熱的に接触している酸化ゾーンであって、前記酸化ゾーンが、熱分解ゾーンから出た熱分解ガスを放出する熱分解ゾーンのガス放出口と接続しているガス供給口と、ガス放出口を有する酸化ゾーンを有する。本発明の別の態様は、固体炭素質材料から燃料ガスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した種類のシャフトガス化器は、例えば、未処理若しくは機械的処理又はペレット化形態の生物学的廃棄物又は工場切削物などの固体炭素質材料から可燃性ガスを製造するように用いられる。固体材料が、熱の影響で熱分解反応に付され、その結果として、ガス化され、前記ガスを燃料ガスとして取り出すように、この種類のシャフトガス化器は基本的に設計されている。
【0003】
このようなシャフトガス化器およびガス化方法は、欧州特許第1865046A1号から既知であり、熱分解ガスを酸化ゾーンで部分的に燃焼するように、熱分解ガスを酸化ゾーンに供給する。酸化ゾーンは、シャフトガス化器内で中央に配置されている。この配置および方法は、温度が酸化ゾーン内で熱分解ガスから生じ、熱分解処理を行うように、この温度が、熱伝導によって熱分解ゾーンに効率的に伝わり得るという利点を有する。従って、この構造的な設計を有するシャフトガス化器は、外側から温度を供給する必要なしに、効率的にガス化して燃料ガスを製造することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体生物学的材料のガス化は、再生可能エネルギー源からの電力の発生に関して一層重要になっている。この一層増す重要性の1つの結果として、大量の固体材料を効率的および短時間でガス化できるシャフトガス化器への要求がある。例えば、欧州特許第1865046A号から既知であるガス化原理のような従来から既知の原理、およびシャフトガス化器のそれに関連付けられる構造的な設計は、単位時間当たりの処理量およびガス製造量を増加するように基本的に拡大できる。しかしながら、この拡大は限定される。なぜなら、特定寸法を越えると、固体の効率的なガス化がもはや確実でないからであり、又は例えば、熱分解及び酸化などのガス化に必要な副処理を、固体材料の総量およびガスの容量に対して理想値に又は値の理想的な範囲に、もはや調整できないからである。従って、任意に拡大した帰結として、理想的な操作(動作)値に対する調整の欠如に起因して、シャフトガス化器の効率及びそこで生じるガス化処理の効率が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、ガス化処理において効率を損失せずに、または少なくとも従来のシャフトガス化器およびガス化方法における場合よりも少ない効率損失で、固体材料の改善された処理を達成できるシャフトガス化器およびガス化方法を提供することである。
【0006】
この目的は、本発明に従って、酸化ゾーンが熱分解ゾーンとシャフト壁の間に配置されている、冒頭に特定した種類のシャフトガス化器により達成される。
【0007】
本発明に係るシャフトガス化器を用いることにより、シャフトガス化器の中央に配置されている酸化チャンバーと、シャフトガス化器内側の酸化チャンバーのまわりに配置されている環状熱分解ゾーンとを有する従来の配置が逆になり、熱分解ゾーンが、シャフトガス化器に中央に配置され、酸化ゾーンが、前記熱分解ゾーンのまわりに配置されている。この逆の配置は、一見したところ、効率の理由から欠点があるようにみえる。なぜなら、酸化ゾーンから熱分解ゾーンにいく熱の所望の回収が、熱分解ゾーンによってあらゆる面で囲まれており中央に配置されている酸化ゾーンによってのみ確実にされるからであり、一方で、熱分解ゾーンのまわりに配置されている環状酸化ゾーンが、熱分解ゾーンを加熱するように用いられない大きい熱放射外表面を有するからである。しかしながら、熱分解ゾーンとシャフト壁の間に酸化ゾーンを配置することにより、熱分解ゾーンの寸法を拡大することだけでなくシャフトガス化器複数の熱分解ゾーンを設けることによっても固体材料の処理量を増加できるように、シャフトガス化器を設計することが可能となることを、本発明者らは見出した。熱分解ゾーンの数を増加することによって、熱分解ゾーンの寸法を拡大することによってのみではなく、本発明の構成を拡大できる。これは、固体材料の処理量の実質的な増加にもかかわらず、シャフトガス化器の理想的な操作点(動作点)に対する効率的な調整を維持し、従って、効率的なプロセス管理によって、増加した量の固体材料をガス化するのを可能にする。例えば、配管の形態をした2以上の熱分解ゾーンを、シャフトガス化器内で縦方向に互いに間隔をおいて配置し、固体材料を上からその中に満たして、そこから熱分解ガスを回収し、次いで、熱分解ガスが配管内の半径方向口を通過し、配管とシャフトガス化器壁の間におけるシャフトガス化器断面の残部によって形成されている酸化ゾーンに入ることが可能である。
【0008】
基本原理として、本発明に係るシャフトガス化器が、固体材料を供給および放出しガスを供給および放出する個々の口を有して構成され得るが、複数のこのような口を有することが、シャフトガス化器の内側において理想的な様式で材料を案内することを確実にすることが基本的な利点であるということを理解すべきである。基本原理として、処理ゾーン、すなわち、熱分解ゾーンおよび酸化ゾーンなどは、シャフトガス化器内側の壁によって互いに分離されてよいが、しかし、壁によって分割されない共通の空間に、例えば、固体材料を案内する路によりおよび重力の力によりまたは放出の様式によりガス空間と固体材料空間の間に作られる境界によって、形成されてよく、結果として、機能的に異なるゾーンが形成されるということ理解すべきである。
【0009】
固体材料が、シャフトガス化器内側において重力の力で頂から底まで滑り、従って、ガス化に付されることによって、シャフトガス化器内側の固体材料の誘導および輸送が、能動的に操作される搬送手段なしに達成できるという基本的利点を、シャフトガス化器は有する。シャフトガス化器は、新鮮な空気を酸化ゾーン内に供給する適切な口を有することによって、周辺空気から酸素を伴って作動することができる。新鮮な空気の供給は、燃料ガスをシャフトガス化器から能動的に取り出すことによっておよびシャフトガス化器内側で生じる加圧によって強制され得る。
【0010】
第1の好適な実施形態に従って、本発明に係るシャフトガス化器は、シャフトガス化器内側に配置されており固体材料供給口(該供給口は、部分的にガス化された固体炭素質材料を還元ゾーンに供給するように、熱分解ゾーンの固体材料放出口に接続されている)を有している還元ゾーン、ガス化された固体炭素質材料をシャフトガス化器から外に放出する固体材料放出口、部分的に酸化された熱分解ガスを酸化ゾーンから還元ゾーンに供給するために酸化ゾーンのガス放出口に接続されているガス供給口、および燃料ガスをシャフトガス化器から取り出すガス放出口によって実現する。
【0011】
この実施形態では、シャフトガス化器は、効率及び燃料ガスの品質に関して、まだ更に向上する。これは、部分的にガス化した固体を供給する還元ゾーンを有することによって行われ、好ましくは、固体物質が、酸化ゾーンを通過せずに重力の力のみによって熱分解ゾーンから還元ゾーンに移動するように、前記還元ゾーンが配置されている。部分的にガス化した固体材料を、流れ抵抗を生じさせるように還元ゾーンで格子上に支持することができる。還元ゾーンが、酸化ゾーンと直接的に流れ接続するように、還元ゾーンが配置されており、酸化ゾーンで部分的に酸化される燃料ガスが、直接的におよび熱分解ゾーンを迂回して還元ゾーンに到達できる。この部分的に酸化された熱分解ガスは、部分的にガス化された固体材料又は還元コークスとの化学反応によって還元ゾーンで還元される。このように、部分的に酸化された熱分解ガスは、その発熱量について向上し、また、清浄され、および次いで、不純物が大部分除去された高品質の燃料ガスとして、還元ゾーンから取り出すことができる。
【0012】
還元ゾーンは、シャフトガス化器におけるガス化処理の制御に重要な役割を果たしており、還元ゾーンにおける固体材料のコークスの高さ(還元ゾーンにおいて固体部分を通過する部分的に酸化された熱分解ガスの流路を決定する)、およびこの目的のために利用可能な流れ断面は、とりわけ2つの因子である。これに関して、構造の実施形態を参照しながら以下にさらに詳細に記載されるように、還元ゾーンにおける固体材料の高さが、例えば、投入(または充填)高さを変えることによって進行中のプロセスの間に制御できる場合に、または例えば、還元ゾーンの底末端において振動する格子を作動させることによって、振動する格子を作動させることによって、およびこの作動の強さを周期的に変えることによって完全にガス化された固体材料の放出量を制御できる場合に、有利である
【0013】
還元ゾーンを有するシャフトガス化器において、重力下で熱分解ゾーンから還元ゾーンに固体材料を供給できるように、還元ゾーンを、重力方向において熱分解ゾーンの下に配置することが更に好ましい。
【0014】
この実施形態は、本発明に係るシャフトガス化器の堅牢であるが経済的な作動を可能にする。重力の影響下で又は重力の力のみによって材料を供給すること、若しくは物質輸送の類似した形態は、この明細書および特許請求の範囲の意味の範囲において、材料が、重力の影響下でまたは重力の力のみを受けて、1つのゾーンから他のゾーンに滑る、および材料がまた、重力の影響下で個々のゾーンの内側に移動するということを意味すると一般的に理解されるべきである。この搬送原理は、搬送器具の必要性を回避する。しかし、それは、重力の影響下で材料の流れが壁に付着するのを防止し、その材料の流れを保持し且つ/又は支持するように、壁部分または固定具が個々のゾーンに移動するまたはその間に移動する、例えば、回転または振とうする可能性を排除しない。重力の影響下で搬送の邪魔になる搬送される材料のクランプの影響、妨害または押込みを解放するように、搬送される材料を均質化するまたは混合するのに用いられる固定具は、同様に、この種類の材料流れから排除されない。
【0015】
別の好ましい実施形態によれば、2以上の熱分解ゾーンがシャフトガス化器内側で互いに距離を置いて配置されており、1以上の酸化ゾーンが、2以上の熱分解ゾーンの間におよび熱分解ゾーンとシャフト壁との間に配置されている。
【0016】
この実施形態に伴い、有利な選択肢の1つとして既に記載されているシャフトガス化器の特に有利な設計が提案されている。複数の熱分解ゾーンは、シャフトガス化器内側で互いに距離を置いて配置されており、別々の供給器具又は1つの共有供給器具から、固体材料別々に供給される。これらの熱分解ゾーンの周りにおいて、別個の熱分解ゾーンの間におよび熱分解ゾーンとシャフトガス化器壁との間に延在している酸化ゾーンが形成されている。この酸化ゾーンはまた、複数の酸化ゾーンに再分割することができ、この再分割は、適切な隔壁によって実際に構造的に行われてよく、または再分割は、任意の実際の構造上の隔壁を用いることなく制御工学系を用いて行われてよく、例えば、異なる酸化サブゾーンの温度を検出する複数の温度センサを酸化ゾーンに配置および分配することによって、および1以上の特定の熱分解ゾーンおよび/または1以上の酸化ゾーンの温度に影響を与えるパラメータを制御するように(しかし、全ての酸化サブゾーンおよび/または熱分解ゾーンで設定されるパラメータを制御するためではないが)これらのセンサからの信号を用いることによって、行われてよい。
【0017】
本発明に係るシャフトガス化器が、熱分解ガス導管によってさらに実現することができ、該導管が、熱分解ゾーンで生成した熱分解ガスを熱分解ゾーンの外側に、熱分解ゾーンから距離を置いて上方向に案内するように適合されており、重力方向に酸化ゾーンの上側に通じるように適合されている。
【0018】
本発明のこの開発に伴い、熱分解ガスが、熱分解ゾーンからの距離に起因して、酸化ゾーンと熱分解ゾーンの間の熱的接触に対して不都合な影響を与えないように、熱分解ガスが案内され、その結果、シャフトガス化器では、熱が、酸化ゾーンから熱分解ゾーンにかなり効率的に伝えられる。熱分解ガス導管が、適切な様式で延在している1以上の配管または通路等によって実現されてもよい。本明細書において、基本原理として、熱分解ガスが、重力の方向において熱分解ゾーンの下に位置した領域内において熱分解ゾーンから取り出され、その後、重力の方向において頂から底に酸化ゾーンを通過するように、シャフトガス化器の内側で重力の方向に逆らって上向きに案内される必要があるということを考えるべきである。代替的には、しかしながら、基本原理として、酸化ゾーン重力の方向に逆らって通過するように熱分解ガス導管が経由していてもよく、それは、酸化ゾーンを出ていくガスが、頂から底に下向きに案内され、存在する場合に還元ゾーンに放出されるということを意味する。この場合、熱分解ガスが、長い導管を必要とせずに熱分解ゾーンから取り出され、同じ高さで酸化ゾーンに放出されることが可能である。
【0019】
別の好ましい実施形態によれば、熱分解ゾーンの固体材料放出口を、シャフトガス化器内側において垂直方向に移動可能に案内でき、シャフトガス化器内側において異なる高さで少なくとも2つの位置に配置できる。
【0020】
この構造上の設計は、部分的にガス化した固体材料が熱分解ゾーンから離れ、その下に設けられてよい還元ゾーンに入る高さを変えるのを可能にする。このようにして、還元ゾーンにおける固体材料バルクの高さを制御でき、この高さは、還元ゾーンを通過する関連ガスルートおよび付随の流れ抵抗に起因して、本発明に係るシャフトガス化器の全体的なプロセス管理に影響を与える。例えば、この固体材料放出口が、配管またはシャフトの下側末端に形成され、この配管またはシャフトが、シャフトガス化器内側において垂直に移動可能に配置されるように、固体材料放出口の垂直移動性が実現され得る。
【0021】
シャフトガス化器内側で熱分解ゾーンの固体材料供給口が、移動可能に垂直に案内でき、シャフトガス化器内側において異なる高さで少なくとも2つの位置に配置できることがまだ更に好ましい。
【0022】
本発明のこの実現は、固体材料を異なる高さで熱分解ゾーンに供給できるようにし、従って、熱分解ゾーンにおける固体材料量および固体材料高さを制御できるようにする。次いで、これは、熱分解ゾーンにおける部分的なガス化処理、従ってシャフトガス化器の全体の効率を最適な方法で制御するように、シャフトガス化器内側における処理のための重要なパラメータに影響を与えることを可能にする。
【0023】
この原理の一つの構造上の実施において、固体材料が、その底末端における固体材料を熱分解ゾーンに供給する配管又は通路を経由して熱分解ゾーンに送られ、前記配管又は通路が、シャフトガス化器に垂直に移動可能に配置されている。
【0024】
また、上述した2つの好適な実施形態の組み合わせに伴い、熱分解ゾーンの固体材料供給口が、熱分解配管内側に配置されている固体材料供給配管の軸口を有する場合特に好ましく、および熱分解ゾーンの固体材料放出口が、熱分解配管の軸口を有することが特に好ましい。この構成では、配管または通路の設計は、固体材料供給および熱分解ゾーンのために選択され、底に軸口を有する固体材料供給配管が、熱分解配管内側で案内され、前記熱分解配管が、下側軸口を有しており、前記下側軸口が、重力の方向において、固体材料供給配管内の口の下に位置する。このようにして、熱分解ゾーンが、固体材料供給配管の下側末端と熱分解配管の下側末端の間の熱分解配管に形成されている。固体材料供給配管を垂直に移動させることにより、前記熱分解ゾーンの高さを変えることができ、従って、固体材料供給配管を持ち上げることによって、熱分解ゾーンの高さを増加させることが可能である。熱分解配管と固体材料供給配管を一体に垂直方向に移動させることによって、熱分解ゾーンの高さを一定に保ちながら、部分的にガス化した固体材料が熱分解ゾーンから放出される高さを変え、従って、熱分解ゾーンの下に配置された還元ゾーンにおける固体材料バルクの高さを変えることができる。また、静止した固体材料供給配管の状態で、熱分解ゾーン及び還元ゾーンの高さを互いに逆に変えることも可能であり、その結果として、ガス化処理を、熱分解ゾーンから還元ゾーンに適切な比率でシフトでき、およびその逆も同様であり、異なる固体の特定のガス化挙動にこのようにして応じることができる。
【0025】
本発明によって取り組まれる課題を解決するように、本発明に係るシャフトガス化器または冒頭に特定された種類のシャフトガス化器が、酸化ゾーン内の温度を検出する温度センサ、酸化ゾーンに供給される酸素含有ガス量を増加および/または減少させる空気供給器具、および温度センサおよび空気供給器具と信号連絡する調節器具であって、調節器具の電子記憶器に格納される割当に基づいて温度センサからの信号に従って空気供給器具を作動させることによって、酸化ゾーン内で低化学量論的燃焼を調節するように適合されている調節器具を有することによって更に開発することができる。
【0026】
温度センサおよび制御可能な空気供給器具と共にこのような調節器具を用いることによって、本発明に係るシャフトガス化器は、熱分解ゾーン、酸化ゾーン、および存在する任意の還元ゾーンの大きな寸法を伴って理想的な操作(動作)点で操作でき、従って、その寸法がかなり大きい場合でさえシャフトガス化器の効率を維持する。空気供給量を管理することにより、直接的な影響が、酸化ゾーンにおける熱分解ガスの燃焼に与えられる。ここで低化学量論的燃焼が生じる場合、より多いまたはより少ない酸素の提供が、より強い燃焼またはここで生じる抑制(またはチョーク)された燃焼をもたらすので、空気の供給をそれぞれ増加または減少させることによって温度を上昇または低下させることができる。酸化ゾーンへの空気供給通路を開く又は閉じる1以上の制御弁を設けることによって、最も簡単な場合には、堅牢な実施および信頼性の高い機能を可能にする適切なスライド弁またはフラップ弁を設けることによって、空気供給器具を用いることができる。基本原理として、1以上の温度センサを提供することがまた、シャフトガス化器におけるプロセスをより正確に監視できるようにするということを理解すべきである。温度センサは、酸化ゾーン内の温度を検出するように、主に酸化ゾーン自体に配置することができる。他の実施形態では、内部の温度を測定して酸化ゾーンの温度についての結論を推測するのを可能にするように、1以上の温度センサが、シャフトガス化器の他の領域に、例えば、熱分解ゾーン又は還元ゾーンに、交互にまたは累積的に設けられてよい。このような実施形態はまた、酸化ゾーン内の温度を検出する温度センサとして、本発明の意味の範囲内において理解されるべきである。
【0027】
これに関して、信号が所定の設定値温度を下回る温度を示す場合に空気供給を増加させるようにおよび信号が所定の設定温度を上回る温度を示す場合に空気供給を減少するように、格納された割当に基づいて、空気供給器具を作動させるように、調節器具が適合されることが、更に好ましい。
【0028】
調節器具がこの制御応答を表示する場合に、酸化ゾーンでの燃焼が、温度に基づいて、所定の低化学量論的燃焼比に調整することができる。より多くの空気が供給される場合に温度の上昇が低化学量論的燃焼条件下で達成できるという原理を、調節器具とそれに格納された割当は利用する。なぜなら、その場合の燃焼が化学量論的に理想的な比率に近づくからであり、および逆に、温度は、空気供給を抑制するときに低下でき、その結果、燃料ガスの残りに起因して、少ない燃焼が発生する。
【0029】
本発明に係る調節器具を備えた別の好ましい実施形態では、調節器具が、規則的な間隔を置いて設定値温度を所定の量で変え、変えた設定値温度に到達するための制御応答に基づいて、低化学量論的燃焼と過化学量論的燃焼のどちらが酸化ゾーンで生じるかを確認し、および改めて空気供給を設定し、とりわけ、低化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、設定値温度を、変化前における設定値温度に所定の量で戻すことによって、または過化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、変更された設定値に到達するまで空気供給を減少することによって、低化学量論的燃焼の調整を行うように構成されている。
【0030】
特定の課題、すなわち、酸化ゾーンでの燃焼が、低化学量論的燃焼である場合だけでなく、過化学量論的燃焼である場合にも特定の温度が生じ得るという課題を、この構成は解決する。両方の場合において、温度は、化学量論的燃焼の場合に達成される燃焼温度より低い。しかしながら、一方の場合において温度は、曲線の最大値の左側に位置し、他方の場合において温度は、右側に位置し、温度は、燃焼比を用いて設定され、最大値は、化学量論的燃焼により達成される。本発明に従って設定値温度を変えることによって、調節器具は、特定の周期的な調節を行うことを強制される。設定値温度の変更は、例えば、低化学量論的燃焼の範囲内で予想される制御応答に基づく制御処理をもたらす。例えば、設定値温度を下げ、高すぎる温度が測定された場合に、温度を設定値温度に調整するために空気供給が減少される。次いで、調節器具は、調節プロセスに対する温度応答に基づいて酸化ゾーンで低化学量論的燃焼か過化学量論的燃焼のどちらが発生するか確認できる。空気供給を抑制するのに応じて温度が低下した場合、燃焼が低化学量論的である。対照的に、空気供給を抑制するのに応じて温度が上昇した場合、燃焼が過化学量論的であり、燃焼条件が化学量論的燃焼に近づく。
【0031】
個々の調査に応じて、この調節器具は、低化学量論的燃焼を維持または調整する補正措置を開始することができる。前者の場合に必要な全てのことは、目的としている理想的な低化学量論的燃焼条件を達成するように、変更前に適用している元の設定値まで温度をリセットすることである。後者の場合には、温度最大値が交差して(または、横切って)設定値温度に到達するまで空気供給を連続的に減少する場合に、「左への」調節が必要である。設定値温度に達するまでは、空気供給の増加および抑制を伴う標準的な制御応答を再び設定することができず、その後に、設定値温度が、変化前に適用されている元の値にリセットされる。
【0032】
この前述の調節器具の別の好ましい実施形態では、調節器具が、規則的な間隔を置いて設定値温度を所定の量で低下させ、空気供給を増加するときに実際の温度が上昇すると、酸化ゾーンにおける低化学量論的燃焼を確認するように、または空気供給を増加するときに実際の温度が低下すると、酸化ゾーンにおける過化学量論的燃焼を確認するように、適合されており、次いで、調節器具が、このような確認の結果に応じて、改めて空気供給を設定し、低化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、所定の設定値温度を再び上昇させることによって、または過化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、変更された設定値温度に到達するまで空気供給を減少することによって、低化学量論的燃焼の調整を行うように更に適合されている。
【0033】
本発明の実現に伴い、特定の低化学量論的条件が設定され、検査が規則的な間隔で行われ、設定値温度を所望の理想的な値に下げることによって、低化学量論的燃焼条件が維持されるかどうか決定する。必要に応じて、さらなる修正は、上記で説明した様式でなされる。
【0034】
本発明の別の態様は、固体炭素質材料から燃料ガスの製造方法に関し、前記方法が、固体炭素質材料を、シャフトガス化器内側に配置されている熱分解ゾーンに供給する工程、および熱分解ガスを、熱分解ゾーンから、シャフトガス化器内側に設置されている酸化ゾーンに、熱分解ゾーンから供給する工程を含んでおり、熱分解ガスが、熱分解ゾーンから半径方向に外側に出て酸化ゾーンに案内される。
【0035】
本発明に係る方法は、シャフトガス化器の内側でガスを導く好都合な方法により特徴付けられており、それにより、本願方法を多くの処理量に容易に規模拡大できる。当該方法は、好ましくは、上記の種類のシャフトガス化器を用いて行うことができる。
【0036】
当該方法は、部分的にガス化した固体炭素質材料を、熱分解ゾーンから、シャフトガス化器内側に配置されている還元ゾーンに、とりわけ酸化ゾーンを迂回して供給する工程、部分的に酸化した熱分解ガスを、酸化ゾーンから還元ゾーンに供給する工程、および還元ゾーンから燃料ガスを取り出す工程により開発できる。
【0037】
この好ましい実施形態は、燃料ガスの質的向上を達成すると同時に、固体材料を、部分的にガス化された固体材料に変えることにより発熱量を増加し、熱分解ガスが、そこから酸化ゾーンにおいて部分的に酸化される。
【0038】
本願方法の別の変形例は、温度センサを用いて酸化ゾーンの温度を検出する工程、空気供給器具を用いることによって、酸素含有ガスの酸化ゾーンへの供給を増加および/または減少する工程、および温度センサおよび空気供給器具と信号連絡している調節器具を用いて、調節器具の電子記憶器に格納される割当に基づいて温度センサからの信号に従って空気供給量を制御することによって、酸化ゾーンにおける低化学量論的燃焼を調整する工程を含む。
【0039】
本発明のこの開発に伴い、大きな処理であっても、シャフトガス化器内側の理想的な操作点を設定および維持できる特に効率的な調節方法が提案されている。
【0040】
この点において、以下の工程が本発明に従って追加的に行われる場合にとりわけ好ましい:規則的な間隔を置いて設定値温度を所定の量で変える工程、変えた設定値温度に到達するための制御応答に基づいて、低化学量論的燃焼と過化学量論的燃焼のどちらが酸化ゾーンで生じるかを確認する工程、および空気供給を設定して、とりわけ、低化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、設定値温度を、変化前における設定値温度に所定の量で戻すことによって、または過化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、変更された設定値に到達するまで空気供給を減少することによって、低化学量論的燃焼の調整を行う工程。
【0041】
本発明のこの開発に伴い、特定の温度が、酸化ゾーンの燃焼が低化学量論的である場合に生じるだけでなく、酸化ゾーンでの過化学量論的燃焼である場合にも生じることを考慮に入れた方法が提案されており、その理由のために、低化学量論的燃焼条件が存在するかどうか決定するように、特に、設定値温度を下げることによって、設定値温度を変更することによって、規則的な間隔で検査する調節機構が提案されており、上述の方法は、必要に応じて、上記に記載された様式で補正処置を取る。
【0042】
本発明の好ましい実施形態について、添付の図面において、参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るシャフトガス化器の概略的な縦断側面図を示す。
図2図2は、図1のA-A線に沿った断面を示す。
図3図3は、本発明に係るシャフトガス化器の第二実施形態により図2のような断面を示す。
【本発明を実施するための形態】
【0044】
図1及び図2に記載のシャフトガス化器が、断熱シャフト壁11、12により横方向においておよび頂において囲まれており、及び断面が円形である。二重配管配置20が、シャフト壁11の上側末端面を通って延在している。前記二重配管配置20は、その上側末端において、シャフトガス化器の長手方向軸に対して横方向に延びているスクリューコンベア器具30に接続されている内側固体材料供給配管21を有する。固体材料は、スクリューコンベア器具30を介して上方から固体材料供給配管21内に案内でき、固体材料供給配管の内側で下方に落下できる。
【0045】
固体材料供給配管21は、熱分解配管22内側に配置されている。熱分解配管は、固体材料供給配管21よりもシャフトガス化器内側でさらに延在していて、その結果、固体材料供給配管の底末端面口21aが熱分解配管の内側に位置するようになる。この底口21aから出る固体材料は、固体材料供給配管21の放出口21aと、熱分解配管22の下側末端に形成された熱分解配管口22aの間にある熱分解ゾーン23を満たす。
【0046】
熱分解配管の上側領域において(しかしシャフトガス化器の内側ではあるが)、半径方向口24が、熱分解配管に配置されている。熱分解ガスが熱分解ゾーン23から出て酸化ゾーン43に通じることができるように、これらの口が設けられている。酸化ゾーン43が熱分解配管の周囲に環状に配置されており、シャフトガス化器壁12によって外側に規定される。酸化ゾーンは、シャフトガス化器の内側に位置している熱分解配管22の全長にわたって延在している。
【0047】
4つの空気供給ライン41a−dが、周囲から酸化ゾーンに延在して、酸化ゾーン内に、酸素含有空気を供給する。4つの新鮮な空気供給ライン41a−dのそれぞれは、制御可能な抑制(チョーク)弁42a−dを有する外側末端に設けられており、それを用いることにより、それぞれの空気供給配管を通じて供給される空気の量が減少または増加できる。
【0048】
部分的にガス化した固体材料は、熱分解配管口22aから出て下方に放出され、還元コークス柱53を形成する。前記還元コークス柱53は、シャフトガス化器の内側で配置されているシート金属ホッパー13によって横方向に閉じ込められており、シート金属ホッパー13の下で再び広がっており、最後に、底放出ホッパー14に通じており、スクリューコンベア器具60に通じている放出口14aに通じている。灰は、スクリューコンベア器具60を用いてシャフト気化器から除去され得る。除去された灰の量は、スクリューコンベア器具が回転する速度を制御することによって調整できる。
【0049】
環状キャビティ55が、外側壁12と還元ゾーンホッパー13の間の領域に配置されている。還元ゾーンからの燃料ガスは、シャフトガス化器壁12を通過する取出口56を用いて、前記キャビティ55から外側に取り出すことができる。
【0050】
取出口56を通過する燃料ガスの吸引は、シャフトガス化器において能動的に行われる唯一のガス輸送動作である。還元ゾーン53で結果として生じる加圧に起因して、部分的に酸化される熱分解ガスが、酸化ゾーン43から出て還元ゾーンに吸引され、さらに、酸化ゾーン43で次に生じる加圧に起因して、熱分解ガスが、熱分解ゾーン23から出て、固体材料供給配管と熱分解配管の間の環状キャビティを通過して熱分解配管の半径方向口24に吸引され、そこから、酸化ゾーンに引き込まれる。燃焼ガスの取り出しによって酸化ゾーンで生じる加圧の結果、新鮮な空気が、同様に、新鮮な空気供給ライン41a−dを通じて酸化ゾーンに吸引され、新鮮な空気の前記供給が空気流れ制御器具42a−dによって制御できる。
【0051】
温度センサ45a、bが、酸化ゾーンにおいて熱分解配管の側に配置されており、酸化ゾーンの温度を検出する。温度センサ45a、 bは、抑制バルブ42a−dを作動させる調節器具に接続されている。調節器具が、設定値温度が低すぎると確認した場合に、空気の供給が増加し、調節器具が、温度が高すぎると確認した場合に、空気の供給が減少する。設定値温度は、規則的な間隔で下げられ、制御応答が観察される。設定値温度の低下の結果として、空気供給の減少を伴う制御応答に起因して、実際の温度も低下する場合に、調節器具が、酸化ゾーンにおける所望の低化学量論的燃焼比を設定し、次いで、元の設定値温度に戻る。対照的に、調節器具が、酸化ゾーンにおける実際の温度が、設定値温度の低下に続く制御応答の結果として、上昇したことを確認した場合に、それは、燃焼「左側に」調節する(ここにおいて、空気供給における継続的な減少下において化学量論的燃焼比における最大温度を通過する)ことによって、過化学量論的燃焼比を設定して補正措置を行い、温度が、低化学量論的な範囲における標準的な制御応答において、空気供給の更なる減少を伴って設定値温度に調整される。設定値温度に達した後に、元の温度は、この場合にもリセットされる。この制御プロセスは、2時間の規則的な間隔で繰り返される。
【0052】
固体材料供給配管21と熱分解配管22の両方が垂直に調整できる。熱分解配管を上昇させることによって、還元ゾーン53は、熱分解ゾーン23の縮小(または、シュリンケージ)と同時に拡大し得る。固体材料供給配管が上昇して熱分解配管が所定の位置に固定される場合に、熱分解ゾーンのみが拡大する。固体材料供給配管と熱分解配管が同時に上昇する場合に、還元ゾーン53が拡大し、熱分解ゾーン23の寸法は同じにとどまる。逆に、両方の配管21、22を反対方向に適宜挿入することによって、熱分解ゾーンおよび/または還元ゾーンの寸法を減少することが可能である。
【0053】
図3は、本発明の第2実施形態を示す。本実施形態は、その第1の実施形態とは異なり、単一の熱分解ゾーン23の代わりに、複数の熱分解ゾーン123a、b、c、dが、単一のシャフトガス化器に配置されている。この複数の熱分解ゾーン123a-dが、個々の複数の熱分解配管122a-dによって規定されており、それぞれの熱分解配管は、その中に設置されている固体材料供給配管121a-dを有する。固体材料供給配管121a-dのそれぞれは、2つの固体材料スクリューコンベアに接続されており、それぞれの固体材料スクリューコンベアが、2つの固体材料配管に固体材料を供給する。
【0054】
酸化ゾーン143a−eは、個別の熱分解ゾーンの間および熱分解ゾーンと外側シャフト壁112との間に配置されている。
【0055】
複数の合体したコークス柱によって形成されている還元ゾーンは、熱分解ゾーンの下に形成されている。これらのコークス柱の高さは、熱分解配管を上昇または下降することによって制御でき、個々の熱分解配管121a−cは、同時にまたは別々に上昇または降下されてよい。
【0056】
図3に記載のシャフトガス化器の機能的原理は、図1に記載のシャフトガス化器のそれとは異ならないが、複数の熱分解ゾーンに起因して、効率的なガス化を伴う固体材料の実質的に高い処理量、従って実質的に高いレベルの燃料ガス製造を達成できる。
本願発明は以下の態様を含む。
(態様1)
固体炭素質材料から燃料ガスを製造するシャフトガス化器であって、前記シャフトガス化器が:
− シャフトガス化器内側(12)を囲むシャフト壁(12)と、
− シャフトガス化器内に配置されている熱分解ゾーン(23)であって、前記熱分解ゾーンが、
固体炭素質材料をシャフトガス化器に供給する固体材料供給口(21a)と、
部分的にガス化された固体炭素質材料を放出する固体材料放出口(22a)と、
熱分解ガスのためのガス放出口(24)を有する、熱分解ゾーンと、
− シャフトガス化器内に配置されており熱分解ゾーンと熱的に接触している酸化ゾーン(43)であって、前記酸化ゾーンが、
熱分解ゾーンから出た熱分解ガスを放出する熱分解ゾーンのガス放出口と接続しているガス供給口(41a−d)と、
ガス放出口(44)を有する、酸化ゾーン
を有しており、
酸化ゾーン(43)が、熱分解ゾーン(23)とシャフト壁との間に配置されていることを特徴とする、シャフトガス化器。
(態様2)
シャフトガス化器内側に配置されている還元ゾーン(53)であって、前記還元ゾーンが、
部分的にガス化された固体炭素質材料を還元ゾーンに供給するために熱分解ゾーンの固体材料放出口に接続されている固体材料供給口と、
シャフトガス化器から出た部分的にガス化された固体炭素質材料を放出する固体材料放出口(14a)と、
部分的に酸化された熱分解ガスを酸化ゾーンから還元ゾーンに供給するために酸化ゾーンのガス放出口に接続されているガス供給口(44)と、
シャフトガス化器から燃料ガスを取り出すガス放出口(56)
を有する、還元ゾーンによって特徴付けられる、態様1に記載のシャフトガス化器。
(態様3)
固体材料を、熱分解ゾーンから還元ゾーンに重力下で供給できるように、還元ゾーン(53)が、重力の方向において熱分解ゾーン(23)の下に配置されていることを特徴とする、態様2に記載のシャフトガス化器。
(態様4)
2以上の熱分解ゾーン(123a−d)が、シャフトガス化器内側で互いに距離を置いて配置されており、1以上の酸化ゾーン(143a−e)が、2以上の熱分解ゾーンの間におよび熱分解ゾーンとシャフト壁との間に配置されていることを特徴とする、態様1〜3のいずれか1つに記載のシャフトガス化器。
(態様5)
− 熱分解ゾーンで生じた熱分解ガスを熱分解ゾーンの外に案内するように、
− 熱分解ゾーンから距離を置いて上方に向くように、および
− 重力の方向に酸化ゾーンの上側部分に通ずるように、
適合されている熱分解ガス導管によって特徴付けられている、態様1〜4のいずれか1つに記載のシャフトガス化器。
(態様6)
熱分解ゾーンの固体材料放出口(22a)を、シャフトガス化器内で垂直に移動可能に案内でき、シャフトガス化器の内側において異なる高さで少なくとも2つの位置に配置できることを特徴とする、態様1〜5のいずれか1つに記載のシャフトガス化器。
(態様7)
熱分解ゾーンの固体材料供給口(21a)を、シャフトガス化器内で垂直に移動可能に案内でき、シャフトガス化器の内側において異なる高さで少なくとも2つの位置に配置できることを特徴とする、態様1〜6のいずれか1つに記載のシャフトガス化器。
(態様8)
熱分解ゾーンの固体材料供給口が、熱分解配管(22)の内側に配置されている固体材料供給配管(21)の軸口(21a)を含み、熱分解ゾーンの固体材料放出口が、熱分解配管(22)の軸口(22a)を含むことを特徴とする、態様6または7に記載のシャフトガス化器。
(態様9)
− 酸化ゾーンの温度を検出する温度センサ(45a、b)と、
− 酸化ゾーンに供給される酸素含有ガス量を増加および/または減少する空気供給器具(41a−d、42a−d)と、
− 温度センサおよび空気供給器具と信号連絡する調節器具であって、調節器具の電子記憶器に格納される割当に基づく温度センサからの信号に従って空気供給器具(42a−d)を作動させることによって、酸化ゾーン(43)における低化学量論的燃焼を調節するように適合されている調節器具、
によって特徴付けられている、態様1〜8のいずれか1つに記載のシャフトガス化器。
(態様10)
− 調節器具が、格納された割当に基づいて空気供給器具を作動するように適合され、その結果、
信号が所定の設定値温度より低い温度を示す場合に空気供給を増加し、および
信号が所定の設定値温度より高い温度を示す場合に空気供給を減少する、
ことを特徴とする、態様1〜9のいずれか1つに記載のシャフトガス化器。
(態様11)
− 規則的な間隔を置いて設定値温度を所定の量で変え、
− 変えた設定値温度に到達するための制御応答に基づいて、低化学量論的燃焼と過化学量論的燃焼のどちらが酸化ゾーンで生じるかを確認し、および
− 次いで、その結果に応じて、改めて空気供給を設定し、とりわけ、
低化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、設定値温度を、変化前における設定値温度に所定の量で戻すことによって、または
過化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、変更された設定値に到達するまで空気供給を減少することによって、低化学量論的燃焼の調整を行う、
ように調節器具が構成されていることを特徴とする、態様8〜10のいずれか1つに記載のシャフトガス化器。
(態様12)
− 調節器具が、規則的な間隔を置いて設定値温度を所定の量で変え、
空気供給を増加するときに実際の温度が上昇すると、酸化ゾーンにおける低化学量論的燃焼を確認するように、または
空気供給を増加するときに実際の温度が低下すると、酸化ゾーンにおける過化学量論的燃焼を確認するように、適合されており、
− 次いで、調節器具が、このような確認の結果に応じて、改めて空気供給を設定し、
低化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、所定の量で設定値温度を再び上昇することによって、または
過化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、変更された設定値温度に到達するまで空気供給を減少することによって、低化学量論的燃焼の調整を行うように更に適合されていることを特徴とする、態様11に記載のシャフトガス化器。
(態様13)
固体炭素質材料からの燃料ガスの製造方法であって、当該方法が、
− 固体炭素質材料を、シャフトガス化器内側に配置されている熱分解ゾーンに供給する工程、および
− 熱分解ガスを、シャフトガス化器内側に設置されている酸化ゾーンに、熱分解ゾーンから供給する工程を含んでおり、
熱分解ガスが、熱分解ゾーンから半径方向に外側に出て酸化ゾーンに案内されることを特徴とする、燃料ガスの製造方法。
(態様14)
− 部分的にガス化した固体炭素質材料を、シャフトガス化器内側に配置されている還元ゾーンに、特に酸化ゾーンを迂回することにより熱分解ゾーンから供給する工程、
− 部分的に酸化した熱分解ガスを、酸化ゾーンから還元ゾーンに供給する工程、および
− 還元ゾーンから燃料ガスを取り出す工程
によって特徴付けられる、態様13に記載の方法。
(態様15)
− 1以上の温度センサを用いることによって、酸化ゾーンの温度を検出する工程、
− 空気供給器具を用いることによって、酸素含有ガスの酸化ゾーンへの供給を増加および/または減少する工程、および
− 温度センサおよび空気供給器具と信号連絡している調節器具を用いて、調節器具の電子記憶器に格納される割当に基づいて温度センサからの信号に従って空気供給量を制御することによって、酸化ゾーンにおける低化学量論的燃焼を調整する工程
によって特徴付けられる、態様13または14のいずれか1つに記載の方法。
(態様16)
− 規則的な間隔を置いて設定値温度を所定の量で変える工程、
− 変えた設定値温度に到達するための制御応答に基づいて、低化学量論的燃焼と過化学量論的燃焼のどちらが酸化ゾーンで生じるかを確認する工程、および
− その結果に応じて、改めて空気供給を設定して、とりわけ、
低化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、設定値温度を、変化前における設定値温度に所定の量で戻すことによって、または
過化学量論的燃焼が制御応答に基づいて確認された場合に、変更された設定値温度に到達するまで空気供給を減少することによって、低化学量論的燃焼の調整を行う工程
によって特徴付けられる、態様15に記載の方法。
図1
図2
図3