【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、高効率、高耐久性の有機エレクトロルミネッセンス素子用の材料として、正孔の注入・輸送性能に優れ、電子阻止能力を有し、薄膜状態での安定性が高く、耐熱性に優れた特性を有する有機化合物を提供し、さらにこの化合物を用いて、高効率、高耐久性の有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
【0017】
本発明が提供しようとする有機化合物が具備すべき物理的な特性としては、(1)正孔の注入特性がよいこと、(2)正孔の移動度が大きいこと、(3)電子阻止能力に優れること、(4)薄膜状態が安定であること、(5)耐熱性に優れていること、をあげることができる。また、本発明が提供しようとする有機エレクトロルミネッセンス素子が具備すべき物理的な特性としては、(1)発光効率および電力効率が高いこと、(2)発光開始電圧が低いこと、(3)実用駆動電圧が低いこと、をあげることができる。
【0018】
そこで本発明者らは上記の目的を達成するために、芳香族三級アミン構造が高い正孔注入・輸送能力を有していることと、アクリダン環構造が電子阻止性を有していること、さらにはこの部分構造が有する耐熱性と薄膜安定性への効果に期待して、アクリダン環構造を有する化合物を設計して化学合成し、該化合物を用いて種々の有機エレクトロルミネッセンス素子を試作し、素子の特性評価を鋭意行った結果、本発明を完成するに至った。
【0019】
1)すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される、アクリダン環構造を有する化合物である。
【0020】
【化3】
(1)
【0021】
(式中、Ar
1、Ar
2は相互に同一でも異なってもよく、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、R
1〜R
4は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。R
5〜R
7は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。R
8、R
9は相互に同一でも異なってもよく、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基であって、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。)
【0022】
2)また、本発明は、下記一般式(2)で表される、アクリダン環構造を有する化合物である。
【0023】
【化4】
(2)
【0024】
(式中、Ar
1、Ar
2は相互に同一でも異なってもよく、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基を表し、R
1〜R
4は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。R
5〜R
7は相互に同一でも異なってもよく、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基または置換もしくは無置換のアリールオキシ基であって、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。R
8、R
9は相互に同一でも異なってもよく、トリフルオロメチル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基または置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基であって、単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。)
【0025】
3)また、本発明は、前記一般式(1)において、R
8およびR
9がメチル基である、アクリダン環構造を有する化合物である。
【0026】
4)また、本発明は、前記一般式(1)において、Ar
1が置換もしくは無置換のビフェニリル基である、アクリダン環構造を有する化合物である。
【0027】
5)また、本発明は、前記一般式(1)において、Ar
1が置換もしくは無置換の9,9’−ジメチルフルオレニル基である、アクリダン環構造を有する化合物である。
【0028】
6)また、本発明は、前記一般式(1)において、Ar
1が置換もしくは無置換のフェニル基である、アクリダン環構造を有する化合物である。
【0029】
7)また、本発明は、前記一般式(1)において、Ar
2が置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基である、アクリダン環構造を有する化合物である。
【0030】
8)また、本発明は、前記一般式(1)において、Ar
2が9位に芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基から選ばれる置換基を有するカルバゾリル基である、アクリダン環構造を有する化合物である。
【0031】
9)また、本発明は、前記一般式(1)において、Ar
2が芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基から選ばれる置換基を有するフェニル基である、アクリダン環構造を有する化合物である。
【0032】
10)また、本発明は、一対の電極とその間に挟まれた少なくとも一層の有機層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記一般式(1)または一般式(2)で表されるアクリダン環構造を有する化合物が、少なくとも1つの有機層の構成材料として用いられていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0033】
11)また、本発明は、前記有機層が正孔輸送層である有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0034】
12)また、本発明は、前記有機層が電子阻止層である有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0035】
13)また、本発明は、前記有機層が正孔注入層である有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0036】
14)また、本発明は、前記有機層が発光層である有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0037】
一般式(1)〜(2)中のR
1〜R
9で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基」または「置換基を有していてもよい炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基」または「炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」としては、具体的に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基などをあげることができる。また、これらの基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0038】
一般式(1)〜(2)中のR
1〜R
9で表される「置換基を有する炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基」、「置換基を有する炭素原子数5ないし10のシクロアルキル基」または「置換基を有する炭素原子数2ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルケニル基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;アリル基などのアルケニル基;フェノキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルコキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基
、ピラニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基
、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基のような基をあげることができ、これらの置換基は、さらに他の置換基によって置換されていてもよい。また、これらの置換基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0039】
一般式(1)〜(2)中のR
1〜R
9で表される「置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」または「置換基を有していてもよい炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基」における「炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」または「炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基」としては、具体的に、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基および2−アダマンチルオキシ基などをあげることができる。また、これらの基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0040】
一般式(1)〜(2)中のR
1〜R
9で表される「置換基を有する炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキルオキシ基」または「置換基を有する炭素原子数5ないし10のシクロアルキルオキシ基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;アリル基などのアルケニル基;フェノキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルコキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基
、ピラニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基
、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基のような基をあげることができ、これらの置換基は、さらに他の置換基によって置換されていてもよい。また、これらの置換基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0041】
一般式(1)〜(2)中のR
5〜R
9で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピリジル基、
フリル基、ピラニル基、
チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基およびカルボリニル基などをあげることができる。また、これらの基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
ここで、一般式(1)〜(2)中のR
5〜R
7で表される「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」における「芳香族複素環基」としては、
チエニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾチアゾリル基、ジベンゾチオフェニル基など含硫黄芳香族複素環基が好ましい。
【0042】
一般式(1)〜(2)中のR
5〜R
9で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;アリル基などのアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェノキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルコキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基
、ピラニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基
、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基;スチリル基、ナフチルビニル基などのアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基のような基をあげることができ、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0043】
一般式(1)〜(2)中のR
1〜R
7で表される「置換もしくは無置換のアリールオキシ基」における「アリールオキシ基」としては、具体的に、フェノキシ基、トリルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ターフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基、フルオレニルオキシ基、インデニルオキシ基、ピレニルオキシ基、ペリレニルオキシ基などをあげることができる。また、これらの基同士が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0044】
一般式(1)〜(2)中のR
1〜R
7で表される「置換アリールオキシ基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;アリル基などのアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェノキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルコキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基
、ピラニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基
、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基;スチリル基、ナフチルビニル基などのアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基のような基をあげることができ、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基が単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0045】
一般式(1)〜(2)中のAr
1、Ar
2で表される「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」または「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」における「芳香族炭化水素基」、「芳香族複素環基」または「縮合多環芳香族基」としては、具体的に、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピリジル基、
フリル基、ピラニル基、
チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、チエノインドリル基、ベンゾチエノインドリル基、およびカルボリニル基などをあげることができる。
ここで、一般式(1)〜(2)中のAr
1、Ar
2で表される「置換もしくは無置換の芳香族複素環基」における「芳香族複素環基」としては、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾチアゾリル基、ジベンゾチオフェニル基など「含硫黄芳香族複素環基」または「硫黄および窒素を含む芳香族複素環基」が好ましい。
【0046】
一般式(1)〜(2)中のAr
1、Ar
2で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」における「置換基」としては、具体的に、重水素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基などの炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルコキシ基;アリル基などのアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェノキシ基、トリルオキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルコキシ基;フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基などの芳香族炭化水素基もしくは縮合多環芳香族基;ピリジル基
、ピラニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基
、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルボリニル基などの芳香族複素環基;スチリル基、ナフチルビニル基などのアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基のような基をあげることができ、これらの置換基はさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基が置換基同士もしくはAr
1、Ar
2で表される「置換芳香族炭化水素基」、「置換芳香族複素環基」または「置換縮合多環芳香族基」と単結合、置換もしくは無置換のメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0047】
一般式(1)〜(2)中のR
8、R
9としては、置換基を有していてもよい炭素原子数1ないし6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基が特に好ましい。
【0048】
一般式(1)〜(2)中のAr
1、Ar
2としては、「置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基」、「置換もしくは無置換の縮合多環芳香族基」、「9位に芳香族炭化水素基、芳香族複素環基または縮合多環芳香族基から選ばれる置換基を有するカルバゾリル基」、「含硫黄芳香族複素環基」または「硫黄および窒素を含む芳香族複素環基」が好ましく、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニリル基、置換もしくは無置換のターフェニリル基、置換もしくは無置換のナフチル基、置換もしくは無置換のフェナントリル基、9,9’−ジメチルフルオレニル基、9−フェニル−9H−カルバゾリル基、置換もしくは無置換のトリフェニレニル基が特に好ましい。
【0049】
本発明の一般式(1)〜(2)で表されるアクリダン環構造を有する化合物は新規な化合物であり、従来の正孔輸送材料より、優れた電子の阻止能力を有し、優れたアモルファス性を有し、かつ薄膜状態が安定である。
【0050】
本発明の一般式(1)〜(2)で表されるアクリダン環構造を有する化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以後、有機EL素子と略称する。)の正孔注入層および/または正孔輸送層の構成材料として使用することができる。従来の材料に比べて正孔の注入性が高く、移動度が大きく、電子阻止性が高く、しかも電子に対する安定性が高い材料を用いることによって、発光層内で生成した励起子を閉じ込めることができ、さらに正孔と電子が再結合する確率を向上させ、高発光効率を得ることができると共に、駆動電圧が低下して、有機EL素子の耐久性が向上するという作用を有する。
【0051】
本発明の一般式(1)〜(2)で表される、アクリダン環構造を有する化合物は、有機EL素子の電子阻止層の構成材料としても使用することができる。優れた電子の阻止能力と共に従来の材料に比べて正孔輸送性に優れ、かつ薄膜状態の安定性の高い材料を用いることにより、高い発光効率を有しながら、駆動電圧が低下し、電流耐性が改善されて、有機EL素子の最大発光輝度が向上するという作用を有する。
【0052】
本発明の一般式(1)〜(2)で表される、アクリダン環構造を有する化合物は、有機EL素子の発光層の構成材料としても使用することができる。従来の材料に比べて正孔輸送性に優れ、かつバンドギャップの広い本発明の材料を発光層のホスト材料として用い、ドーパントと呼ばれている蛍光発光体や燐光発光体を担持させて、発光層として用いることにより、駆動電圧が低下し、発光効率が改善された有機EL素子を実現できるという作用を有する。
【0053】
本発明の有機EL素子は、従来の正孔輸送材料より正孔の移動度が大きく、優れた電子の阻止能力を有し、優れたアモルファス性を有し、かつ薄膜状態が安定な、アクリダン環構造を有する化合物を用いているため、高効率、高耐久性を実現することが可能となった。