(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドッキングステーションが、前記カセットを前記ドッキングステーションに接続するための電磁ロックを更に備える、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシステム。
前記ドッキングステーションの前記デジタル記録媒体が、前記カセット内の薬剤量を突き止めるための在庫システムを更に備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
薬剤管理システムは、携帯型のカセットに収納される薬剤へのアクセスを制御するためのシステムである。カセットは、一般に、ロックされて、システムが実現される施設全体にわたる様々な場所に配置されるドッキングステーションにドッキングされる。一般に、システムは医療施設内で実現され、また、入院患者がカセットおよびドッキングステーションに割り当てられる。
【0012】
カセットは、患者に固有の薬剤を収納し、許可された医療職員によってのみアクセスされ得る。ドッキングステーションは、カセットのためのしっかりと安定したハウジングを備え、通常はアクセスを容易にするために患者のベッドサイドに隣接する。安定したハウジングを備える以外に、ドッキングステーションは、一般に、カセットにアクセスするための唯一の通信媒体としての役目を果たすとともに、カセットの場所を容易に突き止めることができるようにする。薬剤を投与するため、または、カセット内の薬剤を変更するため、許可された医療職員は、収納された薬剤へアクセスできるようにカセットのロックを解除してカセットをドッキングステーションから取り外す識別子(例えば、許可コード)を入力する。カセットに関連付けられたドッキングステーションは、関連するカセット内の薬剤量を突き止めるための電子在庫システムを含んでもよく、それにより、患者へ投与される薬剤の正確度が高められる。
【0013】
図1は、薬剤管理システム100の高レベルな図を描く実施形態を示し、薬剤管理システム100は、患者に固有の薬剤を確保するための電子的にロックされる携帯型のカセット102と、カセット102と接続するようになっているドッキングステーション104とを備える。
【0014】
カセット102は、薬剤を収納するようになっている少なくとも1つの内部区画110を有するハウジング101と、区画110へのアクセスを制限するようになっているカバー114と、ロック時にハウジング101とカバー114とを閉位置で互いに固定するためのロック機構112と、カセット102と関連付けられるカセット識別子を記憶するためのデジタル記録媒体とを備える。カセット識別子については後述する。デジタル記録媒体は、そのようなカセット識別子を記憶するようになっている多くの技術のうちのいずれかを使用して実現され得る。デジタル記録媒体は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記憶媒体、CD−ROM、DVD、および、ブルーレイを含む光媒体、バーコード、透かしがカセット識別子を証印に符号化する透かし入り証印、および、相変化メモリであってもよい。
【0015】
ハウジング101は、金属またはプラスチックから形成されてもよく、また、内部区画110を組み込むように成形されてもよい。あるいは、内部区画110は、ハウジング101に挿入される別個の容器であってもよい。
【0016】
図1において、カセット102は、複数の内部区画110を有するように描かれている。内部区画110は、カバー114が閉じられてロック機構112によりロックされるときにはアクセスできない。
【0017】
カバー114は、金属またはプラスチックから形成されてもよく、また、医療職員がカセット102の中身を点検できるようにするために一部または全体が透明であってもよい。
【0018】
ロック機構112は、ドッキングステーション104のコントローラ500B(例えば、マイクロプロセッサ)によって動作可能な電子ラッチまたは電磁ロック(例えば、ソレノイドロック)を備えてもよい。ドッキングステーション104のコントローラ500Bは、ドッキングステーション104の一部である後述するユーザ入力デバイス140から受け取られる識別子の認証に基づいてロック機構112のロックを解除する。ロック機構112は、一般に、カセット102がドッキングステーション104から取り外されるときにロックを解除され得ない。ドッキングステーション104のコントローラ500Bについては
図5Bに関連して詳しく説明する。
【0019】
カセット102は、一般に、医療職員によって薬局108から病棟106にあるいはドッキングステーション104、124から患者のベッドサイドに容易に持ち運びできる再利用可能な携帯型容器(すなわち、0.001m
3〜0.2m
3のサイズ)である。
【0020】
図1に示されるように、カセット102は、ディスプレイ118と、ドッキングステーション104、124に接続するための接続ポート120と、ドッキングステーション104と通信するための通信インタフェース122とを更に含む。
【0021】
ディスプレイ118は、とりわけ以下のうちの1つ以上を表示してもよい液晶ディスプレイ(LCD)パネル、LEDライトなどであってもよい。
カセット102と関連する患者の名前、
カセット102に収納される薬剤、
カセット102の在庫レベル、
ユーザ入力デバイス140から受け取られる識別子、および、
医療職員の注意を必要とする任意の警告。
【0022】
接続ポート120は、カセット102がドッキングステーション104、124に接続できるようにする。ドッキングステーション104、124に対するカセット102の接続は、電磁ロック(例えば、ソレノイドロック)、電子ラッチ、またはこれらの両方の組み合わせにより行われてもよい。電磁ロックまたは電子ラッチは、一般に、後述するドッキングステーション104の接続ポートに配置され、一方、接続ポート120は一般に受動的な相補部品を含む。
【0023】
通信インタフェース122は、カセット102がドッキングステーション104と通信できるようにし、また、ドッキングステーション104は、医療職員がカセット102をプログラミングできる(すなわち、カセット102を患者に関連付けることができる)ようにする。カセット102は、接続されたドッキングステーション104とだけ通信できる。
【0024】
薬剤管理システム100の他の構成要素はドッキングステーション104である。ドッキングステーション104、124は、少なくとも1つの許可カセット識別子および少なくとも1つの許可ユーザ識別子を記憶するためのデジタル記録媒体と、ユーザ識別子、カセット識別子、および、機能識別子を受け取るための入力デバイス140と、コントローラ500Bとを備える。コントローラ500Bは、カセット識別子および少なくとも1つの許可カセット識別子に応じてカセット102を接続し、受け取られたユーザ識別子および受け取られたカセット識別子を少なくとも1つの許可ユーザ識別子と少なくとも1つの許可カセット識別子とに基づいて認証し、受け取られた機能識別子と認証とに基づいてロック機構112を作動させ、認証に応じてカセット102の接続を解除するために使用される。識別子については後述する。デジタル記録媒体は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気記憶媒体、CD−ROM、DVD、および、ブルーレイを含む光媒体、バーコード、透かしがカセット識別子を証印に符号化する透かし入り証印、および、相変化メモリであってもよい。
【0025】
ドッキングステーション124は、
図1に示されるように、多くのカセット102を収容できるドッキングステーションの集合体(cluster)である。クラスタドッキングステーション124は、幾人もの患者を扱うための病棟106で、あるいは、多量のカセット102が補充待ちで収容される薬局108で使用されてもよい。一方、ドッキングステーション104は、
図1に描かれるように、2つのカセット102だけを収容できるデュアルドッキングステーションである。デュアルドッキングステーション104は、クラスタドッキングステーション124の代わりとして病棟106で使用されてもよく、通常は患者のベッド130の傍に配置される。デュアルドッキングステーション104は一人の患者を扱うために使用されてもよく、その場合、患者は、該患者に割り当てられる2つのカセット102を有する。以下、任意の形態のドッキングステーションには総称的に参照符号104が割り当てられる。
【0026】
ドッキングステーション104は、前述したように、ユーザ入力デバイス140を含む。ユーザ入力デバイス140は、一般に、キー(図示せず)、キーパッド(図示せず)、または、同様の制御機器によって形成される。幾つかの実施において、ユーザ入力デバイス140は、タッチスクリーンを共同で形成するためにディスプレイ142と物理的に関連付けられるタッチパネル(図示せず)を含んでもよい。したがって、そのようなタッチスクリーンは、キーパッド−ディスプレイの組み合わせと共に一般に使用されるプロンプト方式またはメニュー方式のGUIとは対照的に、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)の一形態として動作してもよい。スワイプカードリーダー(図示せず)またはバーコードリーダー(図示せず)などの他の形態のユーザ入力デバイスが使用されてもよい。
【0027】
ユーザ入力デバイス140は、ドッキングステーション104に記憶される許可識別子に対して認証される識別子を医療職員から受け取る。識別子および対応する事柄については以下で詳しく説明する。
【0028】
受け取られた識別子が有効であれば、ドッキングステーション104は、その後、ロック機構112のロックを解除してカセット102をドッキングステーション104から取り外すことにより内部区画110へのアクセスを効果的に可能にするために、ドッキングされたカセット102へ制御信号を送る。識別子は、薬剤を的確な患者へ投与する正確度を高める。
【0029】
カセット102にアクセスする唯一の方法は、アクセスを容易にするために一般にドッキングステーション104に隣接して配置されるユーザ入力デバイス140へ識別子を入力することによってである。より大きい病棟では、ユーザ入力デバイス140が中央の場所に配置されてもよい。医療職員が中央ユーザ入力デバイスにアクセスすると、アクセスされるカセット102およびドッキングステーション104は、アクセスされるカセット102およびアクセスされるドッキングステーション104の場所を医療職員に知らせるための信号(例えば、点滅光)を与える。
【0030】
前述したように、ドッキングステーション104は、カセット内の薬剤の量を突き止めるための電子在庫システムを含んでもよい。ユーザ入力デバイス140は、関連するカセット102に収納される薬剤を更新してチェックするために在庫システムへのアクセスを提供する。一般に、在庫システムは、薬剤がカセット102に加えられあるいはカセット102から取り出された後に更新される。ユーザ入力デバイス140への全ての入力の記録も監視目的で保持される。
【0031】
薬剤の量を突き止めるための他の在庫システムが使用されてもよい。そのような在庫システムは、ドッキングステーション104に隣接する紙ベースのあるいは電子的なリストを含んでもよい。
【0032】
前述した識別子は、とりわけ、医療スタッフと関連付けられる識別コード(許可ユーザ識別子)、カセット102と関連付けられる識別コード(カセット識別子)、薬剤と関連付けられる識別コード(薬剤識別子)、ドッキングステーション104、124と関連付けられる識別コード(ドッキングステーション識別子)、または、行われるべき行為と関連付けられる識別コード(機能識別子)である。識別コードは、バーコード、カードに記憶されるデジタルコード、および、磁気ストライプ、または、パスワードの形態で存在してもよい。
【0033】
機能識別子は、カセット102にアクセスするときに医療スタッフにより行われるべき機能と関連する識別表示である。機能識別子は、関連するカセット102の解放時および関連するドッキングステーション104に対するカセット102の接続時にとられるべきステップを制御してもよい。一例が以下で例示される。
【0034】
カセット識別子は、カセットと関連付けられる識別表示であり、患者と関連する情報(患者識別子)または薬剤と関連する情報(薬剤識別子)を含んでもよい。以下において、識別子は、一般に、デバイス(例えば、カセット102、ドッキングステーション104、124)のメモリに記憶されるデジタルコードの形態を成し、ユーザ入力デバイス140を介してデバイスへ入力され得る。
【0035】
例えば、カセット102またはドッキングステーション104、124は、ユーザ入力デバイス140から受け取られる識別子を認証するために使用されるべき許可識別子をそれぞれのデバイスのメモリに記憶する。
【0036】
例えば、医療職員は、許可ユーザ識別子、カセット識別子(組み込まれた患者識別子を伴う)、および、機能識別子を入力する。この例では、入力された許可ユーザ識別子が“アラン・ジョーンズ”であり、カセット識別子が“1234−y001”であり、機能識別子が“薬剤投与”である。ドッキングステーション104は、求められる“薬剤投与”機能識別子を実行するために“アラン・ジョーンズ” が対応するカセット102へのアクセスを許可されるかおよび/または対応するカセット102への十分なアクセス権を有するかどうかを検証する。ドッキングステーション104は、この例では、2つの部分、すなわち、カセットを識別する“1234”と、カセット102と関連付けられる患者を識別する“y001”とから構成されるカセット識別子が正しいかどうかも検証する。受け取られた全ての識別子が正しければ、ドッキングステーション104は、関連するカセットのロック機構112のロックを解除して、カセット102の接続を解除する。さもなければ、アラームが作動され、カセット102がロックされてドッキングステーション104にドッキングされたままとどまる。アラームは、可聴式であってもよく、あるいは、LED光シーケンスであってもよい。
【0037】
機能識別子に関する例において、ドッキングステーション104は、解放時にカセット102のロックを解除すべきかどうかを判定するために機能識別子を利用する。例えば、医療スタッフが“補充”機能識別子を入力すれば、ドッキングステーション104は、カセット102を解放するが、カセット102のロックを解除しない。これは、一般に、カセット102が薬局108においてのみ補充されるからである。医療職員が病棟106でカセット102を補充したい場合には、医療職員は、カセット102のロックを解除するために正しい機能識別子をユーザ入力デバイス140へ入力しなければならない。例えば、“病棟での補充”の機能識別子が有効な機能として特定されてもよい。一方、医療スタッフが“投与”機能識別子を入力する場合、ドッキングステーション104は、対応するカセット102を解放して同時にロックを解除し、これにより、内部区画110へのアクセスが可能になる。
【0038】
薬剤投与または薬剤補充の完了時、医療職員がカバー114を閉じ、それにより、ロック機構112と自動的に係合して、カバー114が所定位置にロックされる。医療職員は、その後、続けてカセット102を関連するドッキングステーション104に接続し、在庫システムを更新する。医療職員が在庫システムを更新しない場合には、在庫システムを更新するように医療職員に警告するためにアラームが作動されてもよい。前述したように、機能識別子は、対応する予期される在庫更新情報も有し、在庫更新が予期された通りでない場合には、アラームが作動されてもよい。
【0039】
例えば、“補充”機能識別子が予期される在庫増大を有する。在庫更新の結果として在庫が減少する場合には、アラームが作動されてもよい。逆に、“投与”機能識別子は、特定の薬剤量分の予期される在庫減少を有する。在庫更新が増大または予期しない減少をもたらす場合には、アラームが作動されてもよい。医療職員は、在庫更新が予期されるのと異なる理由に関するメモを入力しなければならない場合がある。このように、在庫更新は、エラーが生じた直後に投薬エラーに注意を払う機会を与える。
【0040】
医療職員が薬剤を投与するときには、一般に、当該職員は、各患者ごとの薬剤の情報と投与時間とを有する薬剤投与リストを携行する。薬剤投与リストは、手持ち式デバイス(例えば、iPad(登録商標)、PDA、携帯電話)、モバイルコンピュータデバイス(例えば、ラップトップ、コンピュータカートなど)等に表示されてもよい。あるいは、薬剤投与リストは、患者のベッドサイドに配置されてもよく、また、集中型病院システムにより絶え間なく更新される電子ディスプレイ(例えば、LCDスクリーン)に表示される。ディスプレイ118、142は、医療職員がディスプレイ118、142に表示される情報と薬剤投与リストの情報とを照合できるようにする。
【0041】
一般に、ドッキングステーション104は、固定構造体に装着するための装着部を含む。固定構造体の例は、壁、携帯型スタンドまたは常設スタンド、あるいは、ベッド130である。携帯型スタンドまたは常設スタンドは、ドッキングステーション104が装着するための構成要素を有するスタンドであってもよい。携帯型スタンドは、ドッキングステーション104が不足する医療施設のために使用されてもよい。このようにすると、ドッキングステーション104が必要とされる場所に携帯型スタンドを配置することができる。あるいは、常設スタンドが複数の場所に設けられ、必要に応じてドッキングステーション104が場所間で移動されてもよい。一般に、固定構造体は、アクセスを容易にするためにベッドに隣接する。
【0042】
ドッキングステーション104は、接続およびプログラミングの目的で(例えば、カセット102を患者に関連付けるために)カセット102と通信するとともにプログラミング目的で(例えば、ドッキングステーション104を患者に関連付けるために)医療施設のサーバコンピュータと通信するための通信インタフェース(図示せず)も含む。ドッキングステーション104は、カセット102がドッキングステーション104に接続されるときあるいはカセット102がドッキングステーション104に接続する過程にあるときにカセット102と通信するだけであってもよい。カセット102をドッキングステーション104に接続するプロセスについては
図7に関連して詳しく説明する。
【0043】
また、ドッキングステーション104は、筐体105と、カセット102に接続するための接続ポート(図示せず)と、ディスプレイ142とを含む。
図1に描かれるように、ドッキングステーション104は、カセット102を収容するようになっている筐体105を備えており、これにより、カセット102の安全性が高められる。
【0044】
ドッキングステーション104の接続ポートは、前述した識別子の認証時にカセット102がドッキングステーション104に接続できるようにする。一般に、ドッキングステーション接続ポートは、カセット102の相補的な構成要素に係止する電磁ロックを少なくとも備える。電磁ロックは一般にソレノイドであり、該ソレノイドは、電流がソレノイドを通るときに電磁石になる。カセット102の相補的な構成要素は、電磁ロックに磁気的に取り付くための金属プレートであってもよい。使用されてもよい他の接続機構は、とりわけ、カセット102の適した相補的な構成要素に係止しあるいは締結してもよいラッチまたは締結具である。
【0045】
ドッキングステーション104の通信インタフェースは、ドッキングステーション104がカセット102と通信できるようにする。カセット102およびドッキングステーション104の通信インタフェースは、有線接続または無線接続を介して互いに通信してもよい。
【0046】
ディスプレイ142はカセットディスプレイ118と同じ機能を有する。
【0047】
前述したように、カセット102は、接続されたドッキングステーション104と該ドッキングステーションを介してのみ通信してもよい。したがって、システム故障時または電源障害時には手動オーバーライドが実施される。手動オーバーライドは、カセット102およびドッキングステーション104のそれぞれにおける手動ロックであってもよい。相補的なキーがそれぞれの手動ロックで使用される場合には、このキーにより、医療職員は、カセット102のロックを解除することができ、あるいは、ドッキングステーション104からカセット102を取り外すことができる。
【0048】
図2は、システム100の典型的な動作を描く方法200のフロー図を示す。方法200は、医療施設(例えば、病院、高齢者介護施設)への患者の入院時にカセット102およびドッキングステーション104が患者に割り当てられるセットアップステップ202から始まる。しかしながら、システム100は、とりわけ、小売薬局、薬剤倉庫、および、家庭内施設で実現されてもよい。これらの他の施設では、カセット102が特定の患者の代わりに特定の薬剤と関連付けられてもよい。
【0049】
例えば、病院では、カセット識別子がカセットのシリアルナンバーを含んでもよく、また、患者識別子がカセット102と関連付けられてもよい。しかしながら、倉庫では、カセット識別子がカセットのシリアルナンバーを含んでもよく、また、薬剤識別子がカセット102と関連付けられてもよい。
【0050】
患者には、患者の割り当てベッド130の近傍にあるドッキングステーション104が割り当てられてもよい。このステップでは、割り当てられたカセット102および割り当てられたドッキングステーション104にアクセスできる識別子も特定される。
【0051】
例えば、患者が入院させられると、病院の医療職員(例えば、看護師、医師)がベッド130を患者に割り当てる。作業を容易にするため、ベッド130は、自動的に患者に割り当てられる関連するドッキングステーション104を既に有してもよい。所要レベルの許可を有する看護師および医師がドッキングステーション104および対応するカセット102にアクセスできるように、ドッキングステーション104が既に定められた許可レベルを有してもよい。
【0052】
割り当てられていないカセット102を収容するドッキングステーション104の一画に配置される割り当てられていないカセット102は、入院患者に割り当てられる。割り当てられていないカセット102およびドッキングステーション104を患者に割り当てるため、許可された医療職員は、ユーザ入力デバイス140によりカセット102およびドッキングステーション104をプログラミングする。あるいは、カセット102およびドッキングステーション104が集中型病院システムに組み込まれる場合には、病院サーバが割り当てを自動的にプログラミングできる。新たに割り当てられるカセット102は、対応するドッキングステーション104へ移されてドッキングされる。割り当てプロセス中、薬剤が誤って投与される機会を減らすために関連する患者および薬剤を特定するタグまたはラベルがカセット102に配置されてもよい。
【0053】
あるいは、カセット102は、ドッキングステーション104と既に関連付けられていてもよく、既にドッキングステーション104に常時接続されている。この場合、医療職員によってあるいは前述したように中央病院サーバによってベッド130を患者に割り当てる際にドッキングステーション104とカセット102との対が自動的に患者に割り当てられる。
【0054】
セットアッププロセスの完了時に、処理がステップ202からステップ204に進む。
【0055】
ステップ204において、カセット102は、医師から薬剤割り当てを受ける。システム100が病院システムに組み込まれない場合には、看護師が手書きノート等により薬剤割り当て通知を受ける。その後、看護師は、必要とされる識別子をユーザ入力デバイス140へ入力することによって対応するドッキングされたカセット102にアクセスし、それにより、カセット102が対応するドッキングステーション104から効果的に取り外されるとともに、カセット102が薬局108へ移送される。カセット102を取り外して移送する医療職員のプロセスについては
図8に関連して後述する。
【0056】
一方、サーバコンピュータと通信ネットワークとを有する病院システムにシステム100が組み込まれる場合、薬剤割り当ては、関連するドッキングステーション104を通じてサーバコンピュータにより対応するカセット102へ伝えられてもよい。この場合、ドッキングされたカセット102に薬剤を充填する必要があることを医療スタッフに知らせる信号が両方のディスプレイ118、142に表示される。引き続いて、医療職員は、カセット102をドッキングステーション104から取り外すとともに、取り外されたロックされたカセット102を薬局108へ移送するために、必要とされる識別子をユーザ入力デバイス140へ入力する。
【0057】
補充を待っている間、カセット102が薬局108のドッキングステーション104にドッキングされてもよくあるいはドッキングされずに安全な領域に配置されてもよい。カセット102の内部区画110へのアクセスを得るため、薬剤師は、カセット102のロックを解除すると同時にカセット102をドッキングステーション104から切り離すために、ドッキングステーションのユーザ入力デバイス140へ識別子を入力する。あるいは、カセット102が切り離される場合、薬剤師は、カセット102を中間ドッキングステーション104にドッキングして、識別子を中間ドッキングステーション104へ入力する。識別子の認証時、中間ドッキングステーション104は、カセット102のロックを解除して、カセット102を切り離す。薬剤師は、カセット102に所要の薬剤を充填して、カセット102をロックするとともに、カセット102の在庫を更新するためにカセット102を中間ドッキングステーション104にドッキングさせる。識別子を入力してカセット102の在庫を更新することにより、カセット102内に収納される薬剤の正確度のレベルが高まる。カセット102を充填すると、カセット102は、病棟106の関連するドッキングステーション104に戻される。ステップ204が判定ステップ206へ進む。
【0058】
判定ステップ206において、システム100は、薬剤を患者に投与するための任意の行為をチェックする。薬剤を患者に投与するための行為をシステム100が何ら受けない場合(No)には、処理がステップ208に続く。逆に、薬剤を患者に投与するための行為をシステム100が受ける場合(Yes)には、処理がステップ206からステップ207に進む。
【0059】
ステップ207において、薬剤は、許可された医療職員によって患者へ投与される。薬剤の投与時、医療職員はカセット102の在庫システムを更新し、これは、正しい薬剤が投与されたことを医療職員がダブルチェックするための機会を与える。このステップの更に詳しい説明は
図8に関連して示される。処理はステップ208へ続く。
【0060】
判定ステップ208において、システム100は、カセット102が補充を必要とするかあるいは薬剤の変更があるかどうかをチェックする。一般に、カセット102は、通常はステップ204の初期薬剤割り当て中にプログラミングされる薬剤の最小量を有し、この最小量は、カセット102が補充を要するという警告をもたらす。薬剤の変更または補充の事象が行われる場合(Yes)には、処理がステップ204へ続く。そうでない場合(No)には、処理がステップ208からステップ210に続く。
【0061】
判定210は、カセット102と関連する患者が依然として病院に入院しているかどうかをチェック(検証)する。患者が依然として入院している場合(Yes)には、処理がステップ206へ続く。そうでない場合(No)には、処理がステップ212へ進む。
【0062】
ステップ212では、ドッキングステーション104およびカセット102がリセットされる。その後、処理が終了する。
【0063】
図3は、別の実施形態に係るシステム300を示す。システム300は、
図1のシステム100と同じ構成要素を備えるとともに、可動カート305および供給カート306を更に含む。
図1の場合と同じ
図3のシステム300の構成要素には、
図1で使用される参照符号と同じ参照符号を使用する。可動カート305および供給カート306は、カセット102へのアクセスを提供するとともにカセット102のための移送を確保するために少なくとも1つのドッキングステーション104を含む。
【0064】
一般に、ドッキングステーション104は、可動カート305に装着するための装着部を含む。可動カート305への装着は一時的または恒久的であってもよい。可動カート305は、一般に、ロックされたカセット102を固定するための棚(図示せず)を含む。
【0065】
可動カート305および供給カート306は、ユーザ入力デバイス316(供給カート306では図示せず)と、ディスプレイ318(供給カート306では図示せず)と、ドッキングステーション104とを含む。これらの構成要素の機能は、前述したドッキングステーション104の機能と同じである。言い換えると、可動カート305および供給カート306は移送可能なドッキングステーションである。
【0066】
カセット102は、集中ドッキングステーション104に収容されてもよい。薬剤が患者へ投与されるべき場合には、医療職員が対応するカセット102を可動カート305のドッキングステーション104へ移動させる。医療職員は、その後、可動カート305を病棟106へ運ぶ。患者のベッドサイドに到達すると、医療職員が必要とされる識別子をユーザ入力デバイス316へ入力し、適切なカセット102がドッキングステーション104から解放されると同時にロックも解除される。薬剤投与の終了時、医療職員は、在庫システムを更新し、カバー114を閉じることによってカセット102をロックして、カセット102を可動カート305に固定する。
【0067】
一方、可動カート305が1つのドッキングステーション104およびロックされたカセット102を移送するための棚だけを有する場合、医療職員は、ロックされたカセット102を患者のベッドサイドへ移送するために棚に載せる。医療職員は、患者のベッドサイドに到達すると、ロックされたカセットのディスプレイ118に表示される情報と共に薬剤投与リストをチェックする。対応する情報を伴うカセット102が可動カート305の1つのドッキングステーション104に接続され、また、医療職員が識別子をユーザ入力デバイス316に入力する。識別子が有効であれば、カセット102がロック解除されてドッキングステーション104から切り離される。薬剤投与の完了時、医療職員は、カセット102をロックして可動カートのドッキングステーション104に接続し、在庫システムを更新する。医療職員は、続けて、識別子を入力して、ロックされたカセット102の接続を解除するとともに、ロックされたカセット102を可動カート305の棚に収容する。医療職員は、次の患者のためにプロセスを繰り返す。
【0068】
カセット102の薬剤が変更されるべき場合には、方法200のステップ204と同様のステップが行われる。この場合、医療職員は、カセット102を薬局108へ移送するために供給カート306を使用してもよい。補充または薬剤投与の完了時、カセット102は、可動カート305または供給カート306を使用して、それらの対応する集中ドッキングステーション104に戻される。
【0069】
図4は、サーバコンピュータ410によって動作が制御されるあるいは支援される薬剤管理システム400の図である。この構成において、サーバコンピュータ410は、通信ネットワーク440を介してドッキングステーション104と通信する。サーバコンピュータ410は、ドッキングステーション104のアプリケーションプログラムの一部または全てを実行してもよい。
【0070】
一例において、サーバコンピュータ410は、方法200のセットアップステップ202中に、一人の患者をカセット102およびドッキングステーション104の1つの対に関連付けるためにドッキングステーション104と通信してもよい。
【0071】
更なる例において、ドッキングステーション104がユーザ入力デバイス140で識別子を受け取ると、ドッキングステーション104は、受け取られたコードを通信ネットワーク440を介してサーバコンピュータ410へ送信する。サーバコンピュータ410は、受け取られた識別子を処理するとともに、サーバに記憶された識別子を用いた受け取られた識別子の認証に基づき、アクセスを医療職員に許可すべきかどうかの信号をドッキングステーション104へ送る。
【0072】
図5Aは、カセット102のコントローラ500Aの概略ブロック図を示す。コントローラ500Aは、相互接続されたバス513Aを介してメモリ504Aに双方向で接続されるプロセッサ502Aと、ポータブルメモリンタフェース506Aと、通信インタフェース508Aと、ディスプレイ/オーディオインタフェース510Aと、I/Oインタフェース512Aとを備える。一般に、コントローラ500Aは、電力をカセット102へ供給するためにバッテリーを含む。
【0073】
一般に、プロセッサ502Aはオンボードメモリを有する。メモリ504Aは、付加的なメモリとしてプロセッサ502Aに接続される。プロセッサ502Aのオンボードメモリおよびメモリ504Aは、不揮発性半導体リードオンリーメモリ(ROM)、半導体ランダムアクセスメモリ(RAM)、および、場合により、ハードディスクドライブ(HDD)から形成されてもよい。RAMは、揮発性、不揮発性、または、揮発性と不揮発性との組み合わせであってもよく。
【0074】
あるいは、コントローラ500Aからプロセッサ502Aが省略されてもよい。この場合、コントローラ500Aは、接続されたドッキングステーション104からの制御信号を接続550を介して通信インタフェース508Aから受け取ることができるにすぎない。言い換えると、ドッキングステーション104のコントローラ500Bがコントローラ500Aの動作を制御する。
【0075】
メモリ504Aは、カセットに割り当てられる患者と関連する情報またはカセットに割り当てられる患者の薬剤と関連する情報を含んでもよいカセット識別子を記憶する。
【0076】
ディスプレイ/オーディオインタフェース510Aはディスプレイ118に接続される。ディスプレイインタフェース510Aは、ディスプレイインタフェース510Aが接続されるプロセッサ502Aから受ける命令にしたがってディスプレイ118に情報を表示するように構成される。
【0077】
ディスプレイ/オーディオインタフェース510Aはスピーカ522Aにも接続され、スピーカ522Aは、プロセッサ502Aから受ける命令にしたがって音声を発生させる。例えば、スピーカ522Aは、許可されていないユーザがカセット102にアクセスしようとするときにアラームを発生させる。
【0078】
通信インタフェース508Aは、カセット102がドッキングステーション104と通信できるようにする。例えば、接続550は無線周波または光学的なものであってもよい。有線接続の一例はイーサネット(登録商標)を含む。また、無線接続の一例は、ブルートゥース(商標)型ローカル相互接続、Wi−Fi(IEEE802.11群の標準規格に基づくプロトコルを含む)、赤外線通信協会規格(IrDa)等を含む。
【0079】
図5Bは、ドッキングステーション104のコントローラ500Bの概略ブロック図を示す。コントローラ500Bは、相互接続されたバス513Bを介してメモリ504Bに双方向で接続されるプロセッサ502Bと、ポータブルメモリンタフェース506Bと、通信インタフェース508Bと、ディスプレイ/オーディオインタフェース510Bと、I/Oインタフェース512Bとを備える。
【0080】
メモリ504Bは、ドッキングステーション104へのアクセスおよびその後に関連するカセット102へのアクセスが許可される許可識別子を記憶する。また、メモリ504Bは、対応するカセット102の在庫、並びに、全ての受け取られた識別子および在庫更新を記録するログも記憶する。
【0081】
ポータブルメモリンタフェース506Bは、データ源またはデータの送信先として役目を果たすために相補的なポータブルメモリデバイス524をドッキングステーション104に接続できるようにする。そのようなインタフェースの例は、ユニバーサルシリアルバス(USB)メモリデバイス、セキュアデジタル(SD)カード、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会(PCMIA)カード、光ディスク、および、磁気ディスクなどのポータブルメモリデバイスとの接続を可能にする。これらのポータブルメモリデバイス524は、アプリケーションプログラム、初期設定、患者または薬剤に関連する情報、および、ドッキングステーション104に対するドッキングが許可されるカセット102に関連する情報を取り込むために使用されてもよい。
【0082】
ドッキングステーション104は、ドッキングステーション104を接続553を介してサーバコンピュータ410に直接に接続できるようにするあるいは代わりにドッキングステーション104を接続551を介した通信ネットワーク440によって接続552を介してサーバコンピュータ410に接続できるようにするための通信インタフェース508Bを有する。接続551、552、553は有線または無線であってもよい。有線接続または無線接続の例については通信インタフェース508Aに関連して説明した。
【0083】
ディスプレイ/オーディオインタフェース510Bはディスプレイ142およびスピーカ522Bに接続される。ディスプレイ142は、とりわけ、カセット102の状態、および、医療職員によるアクセスの履歴データを表示する。スピーカ522Aと同様に、スピーカ522Bも、許可されていない医療職員がカセット102をドッキングステーション104から取り外そうとするときにアラームを発生させる。
【0084】
例えば、カセット102をロック解除してドッキングステーション104から切り離すために、看護師または医師は識別子をユーザ入力デバイス140に入力し、これがプロセッサ502Bへ伝えられる。引き続いて、プロセッサ502Bは、カセット102と関連する識別子を得るために、メモリ504Bと通信する。その後、プロセッサ502Bは、続けて、受け取られた識別子をメモリ504Bに記憶された識別子に対して認証する。受け取られた識別子が有効であれば、プロセッサ502Bは、接続550により通信インタフェース508A〜通信インタフェース508Bを介して、関連するカセット102にロック解除信号を送る。制御信号は、引き続いて、I/Oインタフェース512Aを介してロック機構112へ送信される。ロック機構112は、ロック動作およびロック解除動作を制御するためのドライバ(図示せず)を含む。逆に、受け取られた識別子が無効であれば、プロセッサ502Bは、アラームを発生させるために、信号をディスプレイ/オーディオインタフェース510Bを介してスピーカ522Bおよびディスプレイ142へ送る。アラーム信号は、通信インタフェース508Bを介して、接続550を介して、通信インタフェース508Aを介して、最後にディスプレイ/オーディオインタフェース510Aを介して、対応するカセットスピーカ522Aおよびディスプレイ118へ送られてもよい。
【0085】
以下、コントローラ502A、502Bを総称して参照符号502とする。メモリ504A、504Bを総称して参照符号504とする。スピーカ522A、522Bを総称して参照符号522とする。
【0086】
図6は、カセット102およびドッキングステーション104を動作させるためのソフトウェアアーキテクチャ600の図である。ソフトウェアアーキテクチャは、入力デバイスアプリケーションプログラム602と、認証アプリケーションプログラム604と、ロックアプリケーションプログラム606と、接続アプリケーションプログラム630と、警告アプリケーションプログラム610と、表示アプリケーションプログラム612と、通信アプリケーションプログラム614と、データベースアプリケーションプログラム616とを備える。一般に、これらのアプリケーションプログラムの全てはドッキングステーション104にインストールされる。プロセッサ502Aがコントローラ500Aに存在する場合、ロックアプリケーションプログラム606、警告アプリケーションプログラム610、表示アプリケーションプログラム612、および、通信アプリケーションプログラム614は、カセット102にインストールされるとともに、ロック機構112、スピーカ522A、ディスプレイ118、および、通信インタフェース508Aのそれぞれの動作を制御するためにプロセッサ502Aによって実行される。あるいは、一部のアプリケーションプログラムがサーバコンピュータ410にインストールされてサーバコンピュータ410により実行されてもよい。
【0087】
以下、アプリケーションプログラムがドッキングステーション104にインストールされてドッキングステーション104により実行されると仮定する。
【0088】
入力デバイスアプリケーションプログラム602は、ユーザ入力デバイス140から入力(例えば、識別子、在庫の更新)を受けることができるコードモジュールである。入力が識別子である場合、入力デバイスアプリケーションプログラム602は、受け取られた識別子を認証のために認証アプリケーションプログラム604へ送る。あるいは、入力が在庫の更新である場合、入力デバイスアプリケーションプログラム602は、データベースを更新するために、受け取られた更新をデータベースアプリケーションプログラム616へ送る。データベースアプリケーションプログラム616については以下で更に説明する。
【0089】
認証アプリケーションプログラム604は、受け取られた識別子と記憶された識別子とを比較するためにデータベースアプリケーションプログラム616と通信する。記憶された識別子は、データベースアプリケーションプログラム616によって管理される。データベースアプリケーションプログラム616については以下で更に詳しく説明する。
【0090】
受け取られた識別子が有効であれば、その後、認証アプリケーションプログラム604がロックアプリケーションプログラム606へ制御信号をもたらし、引き続いて、ロックアプリケーションプログラム606は、通信アプリケーションプログラム614を使用して制御信号をカセット102へ伝えることによりカセット102のロック機構112のロックを解除する。ロックアプリケーションプログラム606は、記録目的のためにデータベースアプリケーションプログラム616へロック解除/ロック事象を記録する。しかしながら、受け取られた識別子が無効であるときには、認証アプリケーションプログラム604は、アラームを作動させる警告アプリケーションプログラム610へ制御信号をもたらす。アラームは、スピーカ522によって発生される警告音および/または点滅光であってもよい。警告アプリケーションプログラム610は、記録目的のためにアラーム事象をデータベースアプリケーションプログラム616へ記録する。
【0091】
認証アプリケーションプログラム604は、システム400が実現されれば、サーバコンピュータ410と通信するための通信アプリケーションプログラム614を利用する。
【0092】
識別子が受け取られると、入力デバイスアプリケーションプログラム602は、受け取られたデータを表示するために表示アプリケーションプログラム612とも並行して通信する。
【0093】
表示アプリケーションプログラム612は、それぞれのデバイス102、104、305のディスプレイ118、140、318に情報を表示するためのコードモジュールである。ユーザ入力デバイス140で受け取られる入力または識別子を表示する以外に、表示アプリケーションプログラム612は、警告アプリケーションプログラム610により発生される警告、認証アプリケーションプログラム604からの認証結果、通信アプリケーションプログラム614からの通信状態、および、データベースアプリケーションプログラム616の記憶された識別子も表示する。表示されてもよい他の情報については前述した。
【0094】
通信アプリケーションプログラム614は、システム400が実現されれば、ドッキングステーション104、カセット102、および、サーバコンピュータ410の間の通信を管理するコードモジュールである。
【0095】
データベースアプリケーションプログラム616は、ドッキングステーション104およびサーバコンピュータ410のデータベースを管理する。データベースは、とりわけ、カセット102の在庫、カセット102またはドッキングステーション104と関連する識別子、および、ドッキングステーション104にドッキングされてもよい対応するカセット102を含んでもよい。データベースアプリケーションプログラム616は、予期しない在庫更新が行われるときあるいは予期される在庫更新が行なわれないときあるいはカセット102の在庫レベルが最小閾値を下回るときにアラームを発生させるために警告アプリケーションプログラム610と通信する。
【0096】
接続アプリケーションプログラム630は、カセット102をドッキングステーション104に接続するためのドッキングステーション104の接続機構を制御するためのコードモジュールである。接続アプリケーションプログラム630は、挿入されるカセット102をドッキングステーション104にドッキングさせることができるかを検証するためにデータベースアプリケーションプログラム616に接続される。接続アプリケーションプログラム630は、挿入されるカセット102と通信するために(例えば、カセット識別子を受け取るために)通信アプリケーションプログラム606に更に接続される。後述する方法はコントローラ502を使用して実施されてもよい。
図7および
図8のプロセスは、メモリ504に記憶されてプロセッサ502で実行可能な1つ以上のソフトウェアアプリケーションプログラム602〜630として実施されてもよい。
図1、
図3、
図4のドッキングステーション104は前述した方法を実施する。あるいは、サーバコンピュータ410が前述した方法のステップの一部または全部を実施してもよい。ソフトウェア命令が1つ以上のコードモジュールとして形成されてもよく、各コードモジュールは1つ以上の特定のタスクを実行するためのものである。
【0097】
図7は、カセット102とドッキングステーション104との間の接続を行う方法700のフロー図である。方法700は、ドッキングステーション104が該ドッキングステーション104に挿入されているカセット102から識別子を受け取るステップ702で始まる。最初に、ドッキングステーション104は、カセット102がドッキングステーションポート(図示せず)と係合していることを確認する。例えば、確認は、ドッキングステーション104に配置されるスプリングボタンによって行われてもよく、このスプリングボタンは、カセット102が挿入されるときに押し下げられて、方法700を次のステップへ進める。
【0098】
カセット102がドッキングステーション104に挿入されるという事象が確認されると、ドッキングステーション104の接続アプリケーションプログラム630は、通信アプリケーションプログラム614を使用することにより、挿入されたカセット102のカセット識別子を要求する。前述したように、カセット識別子は、カセット102と関連する情報を含み、また、関連する患者および/または関連する薬剤の情報を含んでもよい。引き続いて、接続アプリケーションプログラム630は、通信アプリケーションプログラム614により、挿入されたカセット102のカセット識別子を受け取る。ステップ702がステップ704に進む。
【0099】
判定ステップ704において、ドッキングステーション104は、受け取られたカセット102が有効であることをチェックする。有効であるかどうかは、既に説明したように、受け取られたカセット識別子をドッキングステーション104に記憶されるカセット識別子を用いて認証することによって行われる。受け取られたカセット識別子が有効(Yes)であれば、方法700がステップ706へ移行する。
【0100】
ステップ706において、接続アプリケーションプログラム630は、カセット102をドッキングステーション104に接続するために、信号を接続ポート120へ送る。ロック機構112はドライバ(図示せず)を含み、このドライバは、その後、ドッキングステーション104のソレノイドの通電を維持して、カセット102の金属プレートと係合する。その後、処理が終了する。
【0101】
一方、ステップ704において、受け取られたカセット識別子が無効(No)であれば、方法700は、カセット102がドッキングステーション104に属さないことを知らせるアラームを作動させるステップ708に移行する。その後、方法700が終了する。
【0102】
図8は、カセット102を充填する/補充するためあるいはカセット102の薬剤を患者に投与するためにカセット102をドッキングステーション104から取り外すプロセスを表す方法800のフロー図である。方法800はステップ802から始まる。
【0103】
ステップ802において、ユーザ入力デバイス140は、入力デバイスアプリケーションプログラム602により扱われる識別子を受け取り、これは、識別子を受け取る既に説明した方法に類似する。方法800はステップ804に進む。
【0104】
判定ステップ804において、認証アプリケーションプログラム604は、受け取られた識別子をドッキングステーション104に記憶された識別子に対して認証する。これについては既に説明した。受け取られた全ての識別子が有効である場合、方法800はステップ806へ進む。
【0105】
判定ステップ806において、認証アプリケーションプログラム604は、機能識別子が受け取られたかどうかをチェックする。受け取られた機能識別子が第1のコード(1)に関連する場合には、方法800がステップ808に進む。一方、受け取られた機能識別子が第2のコード(2)に関連する場合には、方法800がステップ810に進む。
【0106】
例えば、機能識別子の第1のコードは薬剤を患者へ投与するためのものであり、一方、機能識別子の第2のコードは、カセット102の薬剤を補充する/変更するためのものである。
【0107】
ステップ808において、接続アプリケーションプログラム630は、受け取られたカセット識別子に対応するカセット102の接続を解除し、また、ロックアプリケーションプログラム606は、対応するカセット102のロックを解除する。その後、処理が終了する。
【0108】
ステップ810では、接続アプリケーションプログラム630がカセット102の接続を解除するが、ロックアプリケーションプログラム606は対応するカセット102のロックを解除しない。その後、処理が終了する。
【0109】
例えば、医療職員は、医療スタッフ識別コード、患者識別子、および、機能識別子を含む識別子を入力する。第1に、ドッキングステーション104は、医療スタッフ識別コードがドッキングステーション104にアクセスするのに十分な許可レベルを有することを確認する。第2に、ドッキングステーション104は、受け取られた患者識別子と関連する対応するカセット102がドッキングステーション104に存在することを確認する。第3に、カセット102のロックを解除すべきかどうかを判定するために、受け取られた機能識別子が解析される。この例では、記憶される機能識別子が“薬剤投与”および“カセット充填/補充”を含む。識別子を確認すると、ドッキングステーション104は、対応するカセット102を解放するとともに、受け取られた機能識別子が“薬剤投与”であればカセット102のロックを解除する。さもなければ、対応するカセット102は解放されるがロックされたままである。
【0110】
ステップ804において、識別子のうちの1つが無効(No)であると認証アプリケーションプログラム604が判定する場合、方法800は、警告アプリケーションプログラム610によって実行されるようにアラームを作動させるステップ812へ進む。
【0111】
方法800は、ステップ808、810または812の完了時に終わる。
【0112】
作動時、薬剤管理システム100は、投薬プロセスの各段階で、医療スタッフに一貫した明確な情報伝達を行い、それにより、投薬ミスの量が潜在的に減少する。また、管理システム100は、患者に投与される薬剤を少なくともダブルチェックするように医療スタッフに促すことも行い、それにより、ミスが起こる機会が更に減少する。