【実施例】
【0041】
以下、実施例により本発明を更に説明する。なお、「部」、「%」は特に示さない限り、重量基準とする。
【0042】
[実施例1]
188μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)の一方の面に、下記接着層塗料を塗布・乾燥させて、厚み10μmの接着層を形成した後、当該接着層上に、188μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)を貼りあわせて、実施例1の積層板を作製した。
【0043】
<接着層塗料>
・ポリオール系ポリエステル樹脂 3.80重量部
(バイロン500:東洋紡績社、固形分100%)
・イソシアネート系硬化剤 0.64重量部
(タケネートD-160N:三井化学社、固形分75%)
・水酸基含有ベンゾフェノン系化合物 0.76重量部
(Uvinul3050:BASFジャパン社、固形分100%、分子中の水酸基の数 4個)
・希釈溶媒 12.48重量部
【0044】
[実施例2]
実施例1の接着層塗料を下記の接着層塗料に変えた以外は実施例1と同様にして、実施例2の積層板を作製した。
【0045】
<接着層塗料>
・ポリオール系ポリエステル樹脂 4.30重量部
(バイロン500:東洋紡績社、固形分100%)
・イソシアネート系硬化剤 0.71重量部
(タケネートD-160N:三井化学社、固形分75%)
・水酸基含有ベンゾフェノン系化合物 0.25重量部
(Uvinul3050:BASFジャパン社、固形分100%、分子中の水酸基の数 4個)
・希釈溶媒 12.16重量部
【0046】
[実施例3]
実施例1の接着層塗料を下記の接着層塗料に変えた以外は実施例1と同様にして、実施例3の積層板を作製した。
【0047】
<接着層塗料>
・ポリオール系ポリエステル樹脂 3.15重量部
(バイロン500:東洋紡績社、固形分100%)
・イソシアネート系硬化剤 0.53重量部
(タケネートD-160N:三井化学社、固形分75%)
・水酸基含有ベンゾフェノン系化合物 1.52重量部
(Uvinul3050:BASFジャパン社、固形分100%、分子中の水酸基の数 4個)
・希釈溶媒 12.96重量部
【0048】
[実施例4]
実施例1の接着層塗料を下記の接着層塗料に変えた以外は実施例1と同様にして、実施例4の積層板を作製した。
【0049】
<接着層塗料>
・ポリオール系ポリエステル樹脂 4.10重量部
(バイロン500:東洋紡績社、固形分100%)
・イソシアネート系硬化剤 0.68重量部
(タケネートD-160N:三井化学社、固形分75%)
・水酸基含有ベンゾフェノン系化合物 0.51重量部
(Uvinul3000:BASFジャパン社、固形分100%、水酸基の数 2個)
・希釈溶媒 12.32重量部
【0050】
[実施例5]
実施例1の接着層塗料を下記の接着層塗料に変えた以外は実施例1と同様にして、実施例5の積層板を作製した。
【0051】
<接着層塗料>
・ポリオール系アクリル樹脂 11.32重量部
(オリバインBPS5296:トーヨーケム社、固形分35%)
・イソシアネート系硬化剤 0.06重量部
(オリバインBXX4773:トーヨーケム社、固形分35%)
・水酸基含有ベンゾフェノン系化合物 2.14重量部
(Uvinul3050:BASFジャパン社、固形分100%、分子中の水酸基の数 4個)
・希釈溶媒 10.10重量部
【0052】
[比較例1]
実施例1の接着層塗料を下記の接着層塗料に変えた以外は実施例1と同様にして、比較例1の積層板を作製した。
【0053】
<接着層塗料>
・ポリオール系ポリエステル樹脂 2.30重量部
(バイロン500:東洋紡績社、固形分100%)
・イソシアネート系硬化剤 0.38重量部
(タケネートD-160N:三井化学社、固形分75%)
・水酸基含有ベンゾフェノン系化合物 2.53重量部
(Uvinul3050:BASFジャパン社、固形分100%、分子中の水酸基の数 4個)
・希釈溶媒 13.59重量部
【0054】
[比較例2]
実施例1の接着層塗料を下記の接着層塗料に変えた以外は実施例1と同様にして、比較例2の積層板を作製した。
【0055】
<接着層塗料>
・アクリル樹脂 8.70重量部
(アクリディックA-195:DIC社、固形分50%)
・イソシアネート系硬化剤 0.72重量部
(タケネートD-110N:三井化学社、固形分75%)
・水酸基含有ベンゾフェノン系化合物 0.69重量部
(Uvinul3050:BASFジャパン社、固形分100%、分子中の水酸基の数 4個)
・希釈溶媒 8.44重量部
【0056】
[比較例3]
実施例1の接着層塗料を下記の接着層塗料に変えた以外は実施例1と同様にして、比較例3の積層板を作製した。
【0057】
<接着層塗料>
・ポリオール系ポリエステル樹脂 4.50重量部
(バイロン500:東洋紡績社、固形分100%)
・イソシアネート系硬化剤 0.75重量部
(タケネートD-160N:三井化学社、固形分75%)
・希釈溶媒 12.00重量部
【0058】
[比較例4]
実施例1の接着層塗料を下記の接着層塗料に変えた以外は実施例1と同様にして、比較例4の積層板を作製した。
【0059】
<接着層塗料>
・ポリオール系アクリル樹脂 11.32重量部
(オリバインBPS5296:トーヨーケム社、固形分35%)
・イソシアネート系硬化剤 0.06重量部
(オリバインBXX4773:トーヨーケム社、固形分35%)
・希釈溶媒 10.10重量部
【0060】
[T型剥離強度]
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた積層板を、T型剥離試験と同様に、左右に、剥離速度300mm/minで剥離し、剥離力を測定した。基材破壊を起こしたものを「◎」、基材破壊は起こさないが、剥離に要した力が10N/25mm幅以上であったものを「○」、剥離に要した力が10N/25mm幅未満であったものを「×」とした。
【0061】
[全光線透過率・ヘーズ]
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた積層板について、ヘーズメーター(NDH2000:日本電色工業社)を用いて、JIS K7361−1:1997における全光線透過率、JIS K7136:2000におけるヘーズを測定した。結果を表1に示す。
【0062】
[紫外線透過率]
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた積層板について、分光光度計(SolidSpec-3700:島津製作所社)を用いて、波長385nm、390nmの光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
【0063】
[色差]
色差は、JIS K5600−4−6に準拠し、CIE1976(L
*a
*b
*)色空間における2色間の幾何学的な距離(△E*ab)を算出したものであり、実施例1〜4は比較例3との色差、実施例5は比較例4との色差を算出した。
【0064】
【表1】
【0065】
実施例1〜実施例4の積層板は、接着層が、ポリオール系エステル樹脂とイソシアネート系硬化剤とを含む樹脂成分と、水酸基含有ベンゾフェノン系化合物を含み、水酸基含有ベンゾフェノン系化合物の含有量が、樹脂成分100重量部に対して、55重量部以下である。これら実施例の積層板は、同様にポリオール系エステル樹脂とイソシアネート系硬化剤とを含むが、水酸基含有ベンゾフェノン系化合物を含まない比較例3と比べて、接着層と樹脂フィルムとの接着性が向上したものであった。
【0066】
特に水酸基数が4のベンゾフェノン系化合物を用いた実施例1〜実施例3の積層板は、接着性と紫外線吸収性のいずれについても優れた結果が得られた。中でも、水酸基含有ベンゾフェノン系化合物の含有量が、樹脂成分100重量部に対して、10重量部以上20重量部以下の実施例1の積層板は、接着性、紫外線吸収性、全光線透過率、ヘーズ、色差のすべてにおいて優れた結果が得られた。
【0067】
実施例5の積層板は、接着層が、ポリオール系アクリル樹脂とイソシアネート系硬化剤とを含む樹脂成分と、水酸基含有ベンゾフェノン系化合物を含み、水酸基含有ベンゾフェノン系化合物の含有量が、樹脂成分100重量部に対して、50重量部以下である。実施例5の積層板は、ポリエステル系樹脂を用いた実施例1〜実施例4の積層板に比べると、接着性は劣るが、実施例5と同様にポリオール系アクリル樹脂とイソシアネート系硬化剤とを含むが水酸基含有ベンゾフェノン系化合物を含まない比較例4と比べると、接着層と樹脂フィルムとの接着性が向上したことがわかる。
【0068】
一方、比較例1の積層板は、接着層に水酸基含有ベンゾフェノン系化合物を多量に含むため、接着層中の接着成分の割合が低下してしまい、実施例1〜5と比べて、接着性に劣り、樹脂フィルムが剥離してしまうものとなった。
【0069】
比較例2の積層板は、接着層の樹脂成分として、アクリル系樹脂を用いたものである。接着層に、ポリオール成分が含まれないため、実施例1〜5と比べて、接着性に劣り、樹脂フィルムが剥離してしまうものとのなった。
【0070】
また、比較例1、比較例2の積層板は、接着層と樹脂フィルムとの接着力がなく、接着層と樹脂フィルムとの間で、ところどころで空気が入っていたため、全光線透過率やヘーズが、実施例のものと比べ劣るものとなった。