(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態は適宜変更できる。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。以下の説明では、
図1で定義されている上下方向2、左右方向3、及び前後方向4を用いることがある。
【0016】
図1に示されるように、画像形成装置10は、入力された画像をトナーを用いて、シート部材P1に印刷するプリンターである。なお、画像形成装置10は印刷機能のみを有するプリンターに限られない。例えば、ファクシミリー、複写機、或いは、プリンター、複写機、ファクシミリーなどの各機能を兼ね備えた複合機などであっても、本発明は適用可能である。
【0017】
画像形成装置10は、不図示のネットワーク通信部を介して外部から入力された画像データに基づいて、シート部材P1に画像を印刷する。画像形成装置10は、給紙部15と、画像形成部18と、定着部19と、排紙部21と、制御部90と、シート搬送装置100(
図2参照)とを備えている。
【0018】
給紙部15は、給紙トレイ50と、ピックアップローラー51と、給紙ローラー対52とを備えている。給紙トレイ50には、画像形成部18によって画像が形成されるシート部材P1が収容される。画像形成装置10に対してシート部材P1の給送動作を開始する指示が入力されると、ピックアップローラー51及び給紙ローラー対52により給紙トレイ50からシート部材P1が給送される。ピックアップローラー51によって給送されたシート部材P1は、給紙ローラー対52によってシート部材P1の給送方向下流側に形成された第1搬送路26へ搬送される。
【0019】
第1搬送路26は、給紙ローラー対52から画像形成部18までの間に形成された搬送経路であり、互いに対向するように設けられた搬送ガイド(不図示)によって形成されている。第1搬送路26には、複数の回転ローラー44が配置されている。回転ローラー44各々には、回転コロ45が回転ローラー44の外周面に接した状態で配置されており、回転ローラー44が回転することにより、回転コロ45も従動して回転する。給紙ローラー対52によって第1搬送路26へ給送されたシート部材P1は、回転ローラー44と回転コロ45とによって挟持されながら画像形成部18へ搬送される。
【0020】
画像形成部18は、第1搬送路26の終端近傍に設けられている。画像形成部18は、外部から入力された画像データに基づいてシート部材P1にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成部である。画像形成部18は、感光体ドラム31と、帯電部32と、現像部33と、露光部34と、転写部35と、クリーニング部36とを備えている。
【0021】
画像形成動作が開始されると、帯電部32によって感光体ドラム31の表面が一様の電位に帯電される。また、露光部34から帯電した感光体ドラム31に対して画像データに応じてレーザー光が走査される。これにより、感光体ドラム31に静電潜像が形成される。その後、現像部33によって静電潜像にトナーが付着されて、感光体ドラム31にトナー像が現像される。そして、そのトナー像が転写部35によって、第1搬送路26を搬送されてきたシート部材P1に転写される。トナー像が形成されたシート部材P1は、画像形成部18よりもシート部材P1の搬送方向下流側に形成された第2搬送路27へ搬送される。
【0022】
画像形成部18から第2搬送路27へ送り出されたシート部材P1は、第2搬送路27を通って定着部19に搬送される。定着部19は、シート部材P1に転写されたトナー像を熱と圧力によってそのシート部材P1に定着させるものであり、加熱ローラー41と加圧ローラー42とを備える。定着部19では、加熱ローラー41によってトナーが加熱溶融されてシート部材P1に定着される。定着部19によって画像が定着されたシート部材P1は、定着部19よりもシート部材P1の搬送方向下流側に形成された第3搬送路28へ搬送される。
【0023】
第3搬送路28には、複数の排紙ローラー対23が設けられている。第3搬送路28へ送り出されたシート部材P1は、排紙ローラー対23によって第3搬送路28を通って上方へ搬送されて、用紙排出口22から画像形成装置10の上面に設けられた排紙部21へ排出される。
【0024】
このように、ピックアップローラー51、給紙ローラー対52、回転ローラー44、加熱ローラー41、加圧ローラー42、排紙ローラー対23は、回転することによりシート部材P1を搬送する。以下の説明においては、これらのローラーを総称して搬送ローラー150(
図2参照)という。
【0025】
図2に示されるように、搬送ローラー150は、駆動モーター57により生成される駆動力が不図示のギヤなどの駆動伝達機構を介して伝達されることにより回転駆動される。駆動モーター57は、直流ブラシレスモーターのようなサーボモーターである。本実施形態では、駆動モーター57として、ヨークに複数の電磁石が設けられ、前記ヨークの内側にモーター出力軸48(
図3参照)と連結された回転子(ローター)が設けられたインナーローター型の直流ブラシレスモーターが採用されている。また、駆動モーター57は、前記電磁石に位相の異なる3相の駆動電流が供給されることで前記回転子が回転され、前記回転子と連結されたモーター出力軸48を介して搬送ローラー150が回転される。なお、駆動モーター57は、後述する回転速度検出部99(
図3参照)の検出信号に基づいて回転速度等がフィードバック制御されるサーボモーターであれば、直流ブラシレスモーターに限定されるものではない。
【0026】
画像形成装置10は、駆動モーター57の回転速度を検出する回転速度検出部99を有する。本実施形態における回転速度検出部99は、ロータリーエンコーダーである。
【0027】
図3に示されるように、ロータリーエンコーダーは、円板形状を有するパルス板70とフォトインタラプター71とを備える。パルス板70には、径方向に延びる多数のスリット(不図示)が例えば1°の回転角度を隔てて放射状に並んで形成されている。パルス板70は、駆動モーター57のモーター出力軸48に固定されている。
【0028】
フォトインタラプター71は、一定の間隔を隔てて対向する発光部71A及び受光部71Bを備える。パルス板70は、発光部71Aと受光部71Bとの間隙を通過する。発光部71Aから出力される光が前記スリットを通過して受光部71Bに受光される場合と、発光部71Aから出力される光がパルス板70の前記スリット以外の部分によって遮蔽される場合とで、受光部71Bから出力される信号の信号レベルが異なる。パルス板70が回転することにより、受光部71Bからパルス信号が制御部90(
図1、
図2参照)に出力される。前述のように径方向に延びる多数のスリット(不図示)が例えば1°の回転角度を隔てて放射状に並んで形成されている場合は、前記ロータリーエンコーダーは、パルス板70の回転速度を回転角度1°の検出精度で検出可能である。
【0029】
図2に示されるように、シート搬送装置100は、モーター制御装置58及び搬送ローラー150を含む。モーター制御装置58は、駆動モーター57及び制御部90に電気的に接続されており、制御部90からの速度指令を受けて、駆動モーター57に供給する駆動電流を制御する。搬送ローラー150は、モーター制御装置58により制御される駆動モーター57から伝達される駆動力を用いて回転してシート部材P1を搬送する。
【0030】
モーター制御装置58は、集積回路(ASIC)などの電子回路及び内部メモリなどを有し、駆動制御部59として機能する。なお、モーター制御装置58は、制御部90と同様にCPU等を有するマイクロコンピューターであってもよい。
【0031】
駆動制御部59は、制御部90から入力される制御信号と回転速度検出部99の検出信号とを用いてPWM方式(パルス幅変調方式)により前記駆動電流を生成して駆動モーター57に供給するフィードバック制御を実行する。前記制御信号は、駆動モーター57の目標回転速度を示す信号である。
【0032】
駆動制御部59は、位相比較部591と、PWM制御部592と、ドライブ回路部593とを含む。位相比較部591は、制御部90から入力される前記制御信号と回転速度検出部99の検出信号との位相差に基づいて、例えば周知のPID(Proportional-Integral-Derivative)制御を行う。回転速度検出部99の前記検出信号及び制御部90から入力される前記制御信号は、いずれもパルス信号である。
【0033】
PWM制御部592は、位相比較部591による前記PID制御によって得られる制御量に応じたデューティのPWM信号を生成する。ただし、後述するように、PWM制御部592により生成されるPWM信号のデューティが制限される場合がある。
【0034】
ドライブ回路部593は、PWM制御部592から出力されるPWM信号のデューティに比例した電圧を駆動モーター57に印加する。駆動モーター57に電圧を印加することにより、駆動モーター57に前記駆動電流が供給される。
【0035】
一方、制御部90は、例えばCPU、ROM、及びRAMなどが一つの集積回路に格納されたマイクロコンピューターである。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、前記CPUが実行する各種の処理の一次記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性の記憶部である。制御部90は、前記CPUが前記ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、画像形成装置10の動作を統括的に制御する。
【0036】
制御部90の前記ROMには、制御部90の前記CPUに各種処理を実行させる為の処理プログラムが記憶されている。制御部90は、CPUを用いてプログラムを実行することにより、制御信号出力部902及び停止処理部903として機能する。なお、制御部90が有する機能の一部又は複数が電子回路として設けられる構成も他の実施形態として考えられる。
【0037】
また、制御部90では、前記ROMに目標回転速度記憶部901が含まれる。目標回転速度記憶部901には、予め設定された駆動モーター57の目標回転速度が予め記憶されている。制御信号出力部902は、目標回転速度記憶部901に記憶されている前記目標回転速度を示す前記制御信号を生成してモーター制御装置58に出力する。
【0038】
例えば、制御信号出力部902は、
図4に示されるように、駆動モーター57について所謂台形制御を実行する。この場合、駆動モーター57の回転速度が制御される期間には、加速制御期間Aと、定速制御期間Bと、減速制御期間Cとが含まれる。加速制御期間Aにおいて、制御信号出力部902は、モーター制御装置58に出力する前記制御信号が示す前記目標回転速度を予め定められた値まで徐々に増加させる。これにより、搬送ローラー150は、予め定められた搬送速度でシート部材P1を搬送する前記目標回転速度まで加速する。そして、加速制御期間Aの後の定速制御期間Bにおいて、制御信号出力部902は、一定の前記目標回転速度を示す制御信号をモーター制御装置58に出力する。これにより、搬送ローラー150は、前記搬送速度で搬送する状態に維持される。その後、減速制御期間Cにおいて、制御信号出力部902は、モーター制御装置58に出力する制御信号が示す前記目標回転速度を零まで徐々に減少させる。これにより、搬送ローラー150は、前記目標回転速度から減速して停止する。ここに、加速制御期間A及び減速制御期間Cは、駆動モーター57の前記目標回転速度が変化する第1制御期間の一例であり、定速制御期間Bは、前記目標回転速度が一定である第2制御期間の一例である。
【0039】
目標回転速度記憶部901には、このような各期間A〜Cにおける駆動モーター57の目標回転速度が予め記憶されている。そして、制御信号出力部902は、前記各期間A〜Cにおいて、目標回転速度記憶部901に記憶されている前記目標回転速度を示す信号を前記制御信号として生成しモーター制御装置58に出力する。
【0040】
本実施形態では、前述したように、前記制御信号は、パルス信号である。また、前記目標回転速度の大きさは、前記パルス信号の周期に対応する。すなわち、前記目標回転速度が大きいほど、前記パルス信号の周期が短い(周波数が大きい)。なお、前記パルス信号のデューティは、前記目標回転速度の大きさに拘わらず、予め定められた一定の値である。
【0041】
停止処理部903は、モーター制御装置58から後述する異常発生通知を受け取った場合に、制御信号出力部902に対して駆動モーター57を停止させるための処理を実行する。例えば、停止処理部903は、制御信号出力部902による前記制御信号の生成を停止させることにより、駆動モーター57を停止させる。
【0042】
ところで、駆動モーター57に対して大きな負荷がかかった場合、駆動モーター57に供給可能な最大電流である定格負荷電流(駆動モーター57の巻線が焼損しない限度の電流)までの範囲で、駆動モーター57に供給される駆動電流を大きくすることで、搬送ローラー150の速度を一定に保つことは可能である。しかし、前記定格負荷電流が駆動モーター57に供給され続けると、駆動モーター57の発熱量が大幅に増大し、駆動モーター57の寿命が縮まったり故障が発生したりする虞がある。
【0043】
そこで、駆動モーター57に供給する前記駆動電流を前記定格負荷電流より小さい値以下に制限することが考えられる。しかしながら、駆動モーター57を制御している期間、常時、前記駆動電流を制限すると、例えば駆動モーター57を回転させるのに大きなトルクが必要となる前述の加速制御期間Aなどにおいて必要なトルクが得られなくなり、駆動モーター57の回転速度が所望の回転速度に達するまでに要する時間が長くなるなどの不具合が生じる。これに対し、以下に説明するように、本実施形態に係るモーター制御装置58は、駆動モーター57の発熱を抑制しつつ必要に応じたトルクを得るための処理を実行する。
【0044】
具体的に、
図2に示されるように、モーター制御装置58の駆動制御部59は、期間判定部594と、異常監視部595と、異常報知部596とを含む。
【0045】
期間判定部594は、制御部90から出力される前記パルス信号の周期に基づいて、現在の期間が各期間A〜Cのいずれであるかを判定する。
【0046】
例えば期間判定部594は、連続する2周期分の前記パルス信号に基づいて前記判定を行うことが可能である。具体的に、期間判定部594は、直前の前記パルス信号の周期がその1周期前の前記パルス信号の周期と同一又は予め定められた誤差範囲内の周期である場合は、現在の期間が定速制御期間Bであると判定する。また、期間判定部594は、直前の前記パルス信号の周期が、その1周期前の前記パルス信号の周期より前記誤差範囲を超えて小さい場合は、加速制御期間Aであると判定する。また、期間判定部594は、直前の前記パルス信号の周期が、その1周期前の前記パルス信号の周期より前記誤差範囲を超えて大きい場合は、減速制御期間Cであると判定する。期間判定部594は、このような判定を、制御部90から1周期分の前記パルス信号が入力されるたびに行う。
【0047】
ここで、本実施形態では、各期間A〜Cに応じて前記駆動電流の上限値が予め設定されている。そして、PWM制御部592は、期間A〜C各々において対応する上限値以下の範囲で前記駆動電流を制御する。なお、本実施形態では、前記駆動電流の上限値は、前記PWM信号のデューティの上限値によって決まる。
【0048】
具体的に、加速制御期間Aにおいては大きなトルクが必要であり、大きな駆動電流が必要となることがある。そのため、加速制御期間Aにおける前記駆動電流の上限値は、駆動モーター57の前記定格負荷電流と同じ又は前記定格負荷電流よりも小さい第1上限値に予め設定されている。すなわち、PWM制御部592は、加速制御期間Aにおける駆動電流を前記定格負荷電流以下で制御する。
【0049】
なお、減速制御期間Cについても、大きなトルクが必要となることがあるため、本実施形態では、PWM制御部592が、減速制御期間Cにおける駆動電流を加速制御期間Aと同様に前記第1上限値以下で制御する。なお、減速制御期間Cにおける駆動電流の上限値が定常制御期間Bと同様に設定されていることも他の実施形態として考えられる。
【0050】
一方、定速制御期間Bにおいては大きなトルクが必要でないことが多いが、駆動モーター57に大きな負荷が断続的に作用するおそれもある。そのため、定速制御期間Bにおける前記駆動電流の上限値は、前記第1上限値よりも小さい第2上限値に予め設定されている。すなわち、PWM制御部592は、定速制御期間Bにおける前記駆動電流を前記第2上限値以下で制御する。
【0051】
異常監視部595は、定速制御期間Bにおいて、前記第2上限値以下の駆動電流が駆動モーター57に供給されている場合、回転速度検出部99により検出される駆動モーター57の回転速度が予め設定された許容値以下まで低下しているか否かを監視する。具体的に、前記駆動電流が前記第2上限値で制限されるため、前記第2上限値以下の駆動電流によって駆動モーター57で生成されるトルクよりも大きなトルクが必要となった場合には、駆動モーター57のトルクが不足し、駆動モーター57の回転速度が低下する。そこで、異常監視部595は、定速制御期間Bにおいて駆動モーター57の回転速度が前記許容値以下まで低下していることを検出した場合に、異常が発生したと判定する。なお、前記許容値は、前記目標回転速度から特定の値を引いた値、又は前記目標回転速度に許容率を乗算した値である。
【0052】
異常報知部596は、異常監視部595により異常が発生したと判定された場合、駆動モーター57に異常が発生した旨の前記異常発生通知を制御部90に出力する。これにより、制御部90の停止処理部903が、モーター制御装置58に対する前記制御信号の送信を停止させることになる。
【0053】
PWM制御部592は、異常監視部595により異常が発生したと判定された場合、駆動モーター57への前記駆動電流の供給を停止する。例えば、異常監視部595により異常が発生したと判定され、その判定結果を受けて、異常報知部596は前記異常発生通知を制御部90に出力し、前記異常発生通知に基づいて制御部90の制御信号出力部902からの前記制御信号の送信が停止処理部903によって停止されることにより、PWM制御部592は、駆動モーター57への前記駆動電流の供給を停止する。なお、PWM制御部592が、異常監視部595から異常信号を受信した場合に、駆動モーター57への前記駆動電流の供給を停止することも考えられる。
【0054】
次に、
図5を用いて、モーター制御装置58によって実行されるモーター制御処理について説明する。モーター制御装置59は、例えば制御部90から搬送ローラー150を回転駆動する旨を示す駆動開始信号を受信した場合に前記モーター制御処理を実行する。なお、
図5のフローチャートにおいてステップS501、S502、・・・は処理手順(ステップ番号)を表している。
【0055】
<ステップS501>
ステップS501において、期間判定部594は、制御部90から前記パルス信号(前記制御信号)を受信したか否かを判定する。期間判定部594は、制御部90から前記パルス信号を受信していないと判定した場合(ステップS501でNO)、再度ステップS501の処理を繰り返し行う。一方、期間判定部594は、制御部90から前記パルス信号を受信したと判定した場合(ステップS501でYES)、処理をステップS502に移行させる。
【0056】
<ステップS502>
ステップS502において、期間判定部594は、制御部90から受信した前記パルス信号の周期を検出する。なお、本実施形態において、前記パルス信号の周期は、駆動モーター57の目標回転速度を示すものである。
【0057】
<ステップS503>
ステップS503において、期間判定部594は、制御部90から受信した前記パルス信号が駆動モーター57の制御開始後最初のパルス信号であるか否かを判定する。例えば、ステップS503では、前記駆動開始信号の受信後の最初のパルス信号であるか否かが判定される。ここで、期間判定部594は、前記パルス信号が最初のパルス信号であると判定した場合は(ステップS503でYES)、ステップS501の処理を再度行う。一方、期間判定部594は、前記パルス信号が最初のパルス信号ではないと判定した場合は(ステップS503でNO)、処理をステップS504に移行させる。
【0058】
<ステップS504>
ステップS504において、期間判定部594は、制御部90から今回受信した前記パルス信号の周期と、1周期前の前記パルス信号の周期とを比較し、現在の制御期間の判定を行う。すなわち、期間判定部594は、今回受信した前記パルス信号の周期が、1周期前の前記パルス信号の周期と同一又は予め定められた誤差範囲内の周期であるか否かを判定することにより、現在の制御期間が加速制御期間A、定速制御期間B、又は減速制御期間Cのいずれであるかを判定する。
【0059】
<ステップS505>
そして、期間判定部594は、現在の制御期間が加速制御期間A又は減速制御期間Cであると判定した場合は(ステップS505でNO)、処理をステップS506に移行させる。また、期間判定部594は、現在の制御期間が定速制御期間Bであると判定した場合は(ステップS505でYES)、処理をステップS508に移行させる。
【0060】
<ステップS506>
ステップS506において、PWM制御部592は、回転速度検出部99から駆動モーター57の回転速度の情報を取得する。
【0061】
<ステップS507>
ステップS507において、PWM制御部592は、ステップS506で取得した駆動モーター57の回転速度と、制御部90から受信した前記パルス信号の周期が示す目標回転速度とに基づいて、駆動モーター57に供給する駆動電流をフィードバック制御する。このとき、現在の制御期間は加速制御期間A又は減速制御期間Cであるため、PWM制御部592は、前述したように、駆動モーター57に供給する前記駆動電流を前記第1上限値以下の範囲で供給する。すなわち、駆動モーター57に供給される前記駆動電流のデューティが、前記第1上限値に対応するデューティを超えない範囲で設定される。これにより、駆動モーター57に大きな負荷がかかった場合でも、駆動モーター57に供給される前記駆動電流は、前記第1上限値で制限される。
【0062】
<ステップS508>
ステップS508において、PWM制御部592は、回転速度検出部99から駆動モーター57の回転速度の情報を取得する。
【0063】
<ステップS509>
ステップS509において、PWM制御部592は、ステップS508で取得した駆動モーター57の回転速度と、制御部90から受信した前記パルス信号の周期が示す目標回転速度とに基づいて、駆動モーター57に供給する駆動電流をフィードバック制御する。このとき、現在の制御期間は定速制御期間Bであるため、PWM制御部592は、前述したように、駆動モーター57に供給する前記駆動電流を前記第2上限値以下の範囲で供給する。すなわち、駆動モーター57に供給される前記駆動電流のデューティが、前記第2上限値に対応するデューティを超えない範囲で設定される。これにより、駆動モーター57に大きな負荷がかかった場合でも、駆動モーター57に供給される前記駆動電流は、前記第2上限値で制限される。
【0064】
<ステップS510>
ステップS510において、異常監視部595は、駆動モーター57への駆動電流が前記第2上限値の駆動電流であるか否かを判定する。そして、異常監視部595は、駆動モーター57への駆動電流が前記第2上限値の駆動電流ではないと判定した場合には(ステップS510でNO)、処理をステップS501に戻す。一方、異常監視部595は、駆動モーター57への駆動電流が前記第2上限値の駆動電流である異常状態が発生していると判定した場合(ステップS510でYES)、処理をステップS511に移行させる。
【0065】
<ステップS511>
ステップS511において、異常監視部595は、回転速度検出部99により検出される駆動モーター57の回転速度が前記許容値以下まで低下しているか否かを判定する。ここで、駆動制御部59は、前記回転速度が前記許容値以下まで低下していないと異常監視部595が判定した場合には(ステップS511でNO)、処理をステップS501に戻す。一方、異常監視部595は、前記回転速度が前記許容値以下まで低下していると判定した場合には(ステップS511でYES)、処理をステップS512に移行させる。
【0066】
<ステップS512>
ステップS512において、異常報知部596は、駆動モーター57に異常が発生した旨の前記異常発生通知を制御部90に出力する異常報知処理を実行する。これにより、
制御部90の停止処理部903は、モーター制御装置58に対する前記制御信号の送信を停止させる。また、制御部90は、前記異常発生通知を受信すると、例えば画像形成装置10による画像形成動作を停止するなどの停止処理を行う。
【0067】
<ステップS513>
ステップS513において、PWM制御部592は、制御部90の停止処理部903がモーター制御装置58に対する前記制御信号の送信を停止させることにより、駆動モーター57への前記駆動電流の供給を停止する。これにより、回転速度検出部99により検出される駆動モーター57の回転速度が低下する異常状態が生じている場合には駆動モーター57の駆動が停止されることになる。
【0068】
このように、本実施形態においては、定速制御期間Bにおいて、駆動モーター57に供給される駆動電流が、前記第1上限値よりも小さい前記第2上限値の範囲で制御される。これにより、駆動モーター57に大きな負荷がかかっても、駆動モーター57の発熱量が大幅に増大し得るような大きな駆動電流が駆動モーター57に供給されることはない。これにより、駆動モーター57の寿命が縮まったり故障が発生したりするという事態が生じるのを防止することができる。
【0069】
また、加速制御期間A及び減速制御期間Cにおいては、駆動モーター57に供給される駆動電流が、前記第1上限値までの範囲で制御される。これにより、大きなトルクが求められる特に加速制御期間Aにおいて必要なトルクを発生させることができる。
【0070】
即ち、画像形成装置10では、駆動モーター57の発熱を抑制しつつ必要に応じたトルクを得ることができる。
【0071】
なお、画像形成装置10では、例えばシート部材P1の厚み、材質、或いは印刷画質などに応じてシート部材P1の適切な搬送速度が異なる場合がある。また、モーター制御装置58は、用途或いは機能が異なる複数種類の搬送ローラー150に用いられる駆動モーター57を制御可能であることも考えられる。このような場合、定速制御期間Bにおける駆動モーター57の目標回転速度は、シート部材P1の厚み、材質、印刷画質、或いは搬送ローラー150の用途等のパラメーターに応じて異なる。そのため、PWM制御部592は、前記パラメーターに応じて前記駆動モーター57の前記目標回転速度、前記第1上限値、及び前記第2上限値を変更することが考えられる。なお、前記パラメーター各々に対応する前記目標回転速度、前記第1上限値、及び前記第2上限値は、例えば前記モーター制御装置58の記憶部に記憶されている。また、PWM制御部592が、基準となる前記目標回転速度、前記第1上限値、及び前記第2上限値と、予め定められた演算式とに基づいて前記パラメーター各々に対応する前記目標回転速度、前記第1上限値、及び前記第2上限値を算出することも考えられる。