(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
始動口に遊技球が入球したことを契機として大当たりの抽選を行い、特別図柄の変動表示を開始して所定時間経過後に前記抽選の結果に応じた特別図柄で停止させると共に、特別図柄の変動表示中に各種演出を行う遊技機であって、
特別図柄の変動表示中に前記始動口に遊技球が入球したとき、当該入球に基づく特別図柄の変動表示を保留として記憶する保留手段と、
前記保留手段に記憶されている保留数に応じて保留表示を行う保留表示手段と、
前記保留に基づく特別図柄の変動表示開始前に前記保留について事前演出を行うか否か事前判定を行う事前判定手段と、
前記特別図柄の変動表示に応じて装飾図柄の変動表示を行わせると共に、前記装飾図柄を確定停止させて前記抽選の結果を示唆する図柄演出制御手段と、
を備え、
前記図柄演出制御手段は、
前記事前判定手段により前記事前演出を行うと判定された場合に、前記事前判定の契機となった保留より先に記憶されている保留に基づき、前記装飾図柄の変動表示を開始させてから確定停止させるまでの間に、前記保留表示の表示態様が変化することを示唆する複数の特定態様のうち一の特定態様を選択すると共に、選択された前記一の特定態様にて前記装飾図柄を仮停止させることが可能であり、
前記事前判定の契機となる保留より先に記憶されている保留が大当たりに当選している期待度が高い場合に、前記特定態様で前記装飾図柄を仮停止させず、
前記保留表示手段は、前記装飾図柄が前記一の特定態様で仮停止すると、前記保留表示を通常とは異なる表示態様であって前記一の特定態様に応じた表示態様に変化させると共に、前記装飾図柄が前記特定態様とは異なる態様にて仮停止する場合に、前記保留表示を前記通常とは異なる表示態様に変化させないことを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態において、互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における遊技機1の外観構成を示す正面図である。この遊技機1は、遊技者の指示操作に基づいて発射装置により打ち出される遊技球が各種入賞口に入賞すると賞球を払い出すように構成された弾球式の遊技機である。遊技機本体1aの正面側に、透明ガラス板2が嵌め込まれた前枠扉3を有している。そして、遊技機本体1aは、前枠扉3の内側に遊技球を転動させる遊技盤10を備えている。前枠扉3は遊技機本体1aの左端部において回動可能に軸支されており、遊技機本体1aの前面側を開閉可能な構成である。透明ガラス板2は、前枠扉3が遊技機本体1aの前面側を閉鎖した状態で、遊技機本体1aの内側に取り付けられる遊技盤10を視認可能にするためのものである。また前枠扉3の下部中央には、正面側に張り出した棚状の球貯留部4が設けられる。この球貯留部4の上面には、遊技者が操作可能な操作ボタン6が設けられると共に、遊技盤10に打ち出すための遊技球を貯留しておくための球貯留部4が設けられる。また、前枠扉3は、球貯留部4の右下部に、遊技者が遊技球を発射させるために時計回り方向に回転操作可能なハンドルレバー5を備えている。さらに前枠扉3は、透明ガラス板2の上方及び球貯留部4の下方に、遊技の進行に伴って各種パターンで点灯する枠ランプ7を備えている。また、枠ランプ7は、透明ガラス板2の左右両側にも設けられる。つまり、枠ランプ7は透明ガラス板2を介して視認可能な遊技盤10の周囲を取り囲むように配置されており、遊技盤10で行われる演出と対応したパターンで点灯又は消灯することにより、遊技機1の全体での発光演出を行うものである。また、遊技機1は、透明ガラス板2の上方に位置する枠ランプ7の左右両側に遊技の進行に伴って各種演出用の音響出力を行うスピーカー8を備えている。
【0013】
遊技盤10は、前枠扉3が閉じられた状態のとき、その盤面と前枠扉3に嵌め込まれた透明ガラス板2との間に遊技球が転動可能な遊技領域を形成する。遊技者によってハンドルレバー5が時計回り方向に操作されると、その操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技領域の左上部に打ち出され、その後、遊技球が遊技領域を転動しながら流下する。そして遊技球が遊技盤10に設けられた各種入賞口に入賞すると、遊技機1は、球貯留部4の貯留皿に賞球を払い出す。
【0014】
遊技盤10の中央には、遊技の進行に伴って各種演出を行うためのセンター役物11が設けられる。このセンター役物11には、遊技盤10のほぼ中央に位置するように配置されたカラー液晶ディスプレイなどの画像表示器12が設けられる。また、遊技盤10は、センター役物11の周囲に、多数の釘や風車などの他、第1始動口13、第2始動口14、第1大入賞口15、第2大入賞口16およびスルーゲート21といった公知の部材を備えている。またこの他にも、図示を省略する普通入賞口なども設けられる。さらに、遊技盤10は、遊技球が転動する遊技領域の外側における盤面左下部に、特別図柄の変動表示を行って特別遊技判定の判定結果に応じた特別図柄を表示したり、第1始動口13及び第2始動口14に遊技球が入賞したことによる保留数を表示したり、或いは、スルーゲート21を遊技球が通過したことによる普通図柄の抽選結果を表示したりするための図柄表示器22を備えている。
【0015】
遊技盤10では、スルーゲート21がセンター役物11の右側に設けられている。したがって、遊技盤10の遊技領域に打ち出される遊技球が矢印F2で示すようにセンター役物11の右側の遊技領域に進入する場合、そのような遊技球はスルーゲート21を通過する可能性がある。このスルーゲート21は、遊技機1において普通図柄抽選が行われる条件となるゲートであり、遊技球がこのゲートを通過すると遊技機1において普通図柄抽選が開始される。
【0016】
第1始動口13はセンター役物11の下方位置に設けられており、第2始動口14はその第1始動口13の右側に設けられている。第1始動口13は、遊技盤10の遊技領域に打ち出される遊技球が矢印F1で示すようにセンター役物11の中央最上部を超えることなくセンター役物11の左側の遊技領域を流下する場合に入球する可能性がある位置に設けられる。つまり、遊技盤10の遊技領域に打ち出される遊技球が矢印F2で示すようにセンター役物11の中央最上部を超えてセンター役物11の右側の遊技領域を流下するときには、第1始動口13に入球する可能性は極めて低くなる。また第2始動口14は、遊技盤10の遊技領域に打ち出される遊技球が矢印F2で示すようにセンター役物11の中央最上部を超えてセンター役物11の右側の遊技領域を流下する場合に入球する可能性がある位置に設けられる。つまり、遊技盤10の遊技領域に打ち出される遊技球が矢印F1で示すようにセンター役物11の中央最上部を超えることなくセンター役物11の左側の遊技領域を流下するときには、第2始動口14に入球する可能性は極めて低くなるのである。
【0017】
第2始動口14は、その左右に羽根状の開閉部材である電動チューリップ14aを備えており、電動チューリップ14aが左右に開放していれば遊技球が第2始動口14に入球しやすい状態となる。この電動チューリップ14aが左右に開放していれば遊技球が第2始動口14に入球し易い状態となる。この電動チューリップ14aは、通常状態において第2始動口14の入賞開口部を閉鎖しており、遊技球がスルーゲート21を通過したことに伴って行われる普通図柄抽選に当選すると、そのときの遊技状態に応じて所定時間及び所定回数左右方向へ開放する。したがって、電動チューリップ14aは、普通図柄抽選の結果に応じて第2始動口14の入賞開口部を開放することにより遊技球が第2始動口14に入球することを補助する補助部材である。なお、電動チューリップ14aの構造は必ずしも上述したように左右方向に開閉する構造に限られるものではなく、例えば遊技盤10の前後方向に進退して第2始動口14の入賞開口部を開閉するものであってもかまわない。
【0018】
第1始動口13及び第2始動口14のそれぞれは、所定球数の賞球を払い出すための入賞口であると共に、遊技機1において遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの特別遊技判定が行われる条件となる入賞口である。これら始動口13,14に入賞した遊技球が図示を省略する始動検知領域を通過して始動条件が成立すると、遊技機1において特別遊技判定が行われる。遊技機1において特別遊技判定が行われると、図柄表示器22において特別図柄の変動表示が開始されると共に、センター役物11などにおいてもその特別遊技判定の結果に応じた遊技演出が開始される。例えば画像表示器12では、3つの装飾図柄12a、12b、12cを上下方向に変動させる図柄変動演出が開始される。そして特別図柄の変動表示が開始されてから所定時間が経過すると、図柄表示器22における特別図柄の変動表示及びセンター役物11における図柄変動演出が終了し、遊技者に対して特別遊技判定の結果が表示される。このとき表示される特別遊技判定の結果が大当たりなどの所定の当たりに当選したことを示すものであれば、遊技機1はその後、遊技者にとって有利な特別遊技を開始する。
【0019】
第1始動口13又は第2始動口14に遊技球が入賞すると、遊技機1は入賞したタイミングに応じて複数の乱数からなる遊技データを取得する。そして、遊技機1は、取得した遊技データを、始動口へ入賞した順序に基づいて保留として記憶する。保留を記憶した場合、遊技機1は、例えば画像表示器12において、装飾図柄12a、12b、12cの下方などの所定位置に、記憶した保留に対応する保留表示を表示させる。図例では、第1始動口13への入賞に基づいて記憶された保留に対応する保留表示を表示させるため、第1保留表示領域J1乃至J4が装飾図柄12a、12b、12cの下方に設けられる。そして、第1始動口13に入賞した順に、第1保留表示領域J1乃至J4に保留表示が表示される。また、第2始動口14への入賞に基づいて記憶された保留に対応する保留表示を表示させるため、第2保留表示領域J6乃至J9が、装飾図柄12a、12b、12cの下方の第1保留表示領域J1乃至J4と区別可能な位置に設けられる。そして、第2始動口14に入賞した順に第2保留表示領域J6乃至J9に保留表示が表示する。そして、遊技機1は、記憶された保留のうち第2始動口14へ入賞したことによる保留を第1始動口13へ入賞したことによる保留より優先して消化する。また、遊技機1は、同じ始動口への入賞により記憶された複数の保留について、記憶された順に消化して特別遊技判定を行い、この特別遊技判定の結果を表示するため特別図柄の変動表示を行う。先に記憶された保留が消化されると、当該保留に対応する保留表示は画像表示器12から消去されると共に、未消化の保留に対応する保留表示の表示位置がシフトする場合がある。例えば、第1始動口13への入賞に基づく保留が2つ記憶されており、これらの保留に対応する保留表示が第1保留表示領域J1及びJ2に表示されていた場合に、先に記憶された保留が消化され、第1保留表示領域J1に表示されていた保留表示が消去されると、後に記憶された保留に対応する保留表示が第1保留表示領域J2から第1保留表示領域J1にシフトする。
【0020】
なお、図柄表示器22は、遊技盤10の隅に配置されており、遊技者にとって視認し難い位置に設けられていると共に、特別図柄の変動表示の表示態様なども遊技者にとっては識別し難い表示態様で表示される。これに対して、画像表示器12などは、特別遊技判定の結果が大当たりなどの当たりであるか否かを遊技者が判別しやすい表示態様で表示する。それ故、遊技者は、特別遊技判定の結果などを主としてセンター役物11などで行われる図柄変動演出の結果などによって認識する。そして、遊技者は、センター役物11で行われる様々な演出を視認しながら遊技を進行させるようになる。
【0021】
ここで、遊技機1の仕様の一例を説明する。まず、遊技機1の特別遊技判定では、特別遊技へ移行させるか否かを判定する。そして、特別遊技へ移行させると判定した場合、次に特別遊技の種類を判定する。具体的には、まず特別遊技において第1大入賞口15又は第2大入賞口16を開放する回数(ラウンド数)と、第1大入賞口15又は第2大入賞口16を開放する時間(開放パターン)を決定する。すなわち、特別遊技では、第1大入賞口15又は第2大入賞口16のいずれかが択一的に開放されるため、特別遊技判定では第1大入賞口15又は第2大入賞口16を特別遊技中に開放する回数(ラウンド数)を決定するのである。また、各ラウンドにおいて開放状態が維持される時間に応じて、例えば30秒程度の比較的長い時間開放するよう設定されるラウンド(ロング開放ラウンド)と、0.2秒程度の極めて短い時間開放するラウンド(ショート開放ラウンド)とがあり、特別遊技判定では各ラウンドにおける開放時間(開放パターン)を決定する。
【0022】
次に、特別遊技判定の当選確率についてみると、特別遊技判定に当選する確率が例えば1/68程度である高確率状態と、特別遊技判定に当選する確率が1/400程度である通常確率状態に分かれる。さらに特別図柄の変動時間につき、変動時間が比較的短い時短状態と、変動時間が時短状態に比べて長い非時短状態に分かれる。変動時間が時短状態に比べて長い非時短状態では、普通図柄の変動時間が例えば30秒程度に設定される。また、普通図柄抽選の当選確率は例えば50%程度に設定され、普通図柄抽選に当選することにより電動チューリップ14aが開放される場合の開放時間が短い時間(例えば0.2秒程度)に設定されている。これに対して時短状態では、非時短状態に比べて普通図柄の変動時間が短く(例えば3秒程度)、また、電動チューリップ14aの開放時間が長く設定される(例えば3秒程度)。加えて時短状態では、非時短状態に比べて普通図柄抽選の当選確率が高い確率に設定される(例えば90%程度)。そのため、時短状態では、非時短状態に比べて特別図柄の変動時間が短いため特別遊技判定結果を早く表示すると共に、第2始動口14へ入球しやすい状態となるため、遊技者は遊技球を減らすことなく特別図柄を変動させることが可能となる。よって、時短状態は非時短状態に比べて遊技者にとって有利な遊技状態であると言えるのである。
【0023】
第1大入賞口15は、遊技盤10において第2始動口14のさらに右側に設けられている。第1大入賞口15は、遊技盤10の遊技領域に打ち出される遊技球が矢印F2で示すようにセンター役物11の中央最上部を超えてセンター役物11の右側の遊技領域を流下する場合に入球する可能性がある位置に設けられる。つまり、遊技盤10の遊技領域に打ち出される遊技球が矢印F1で示すようにセンター役物11の中央最上部を超えることなく、センター役物11の左側の遊技領域を流下するときには、第1大入賞口15に入球する可能性はない。この第1大入賞口15は、通常、閉鎖された状態となっている。そして、遊技機1において第1始動口13又は第2始動口14に遊技球が入球したことを条件として行われる特別遊技判定において大当たりに当選すると、その後に開始される特別遊技の予め定められた所定ラウンドにおいて、第1大入賞口15が開放される。第1大入賞口15が開放されると、所定時間が経過するまでの間、又は、所定数の入賞がカウントされるまでの間、その開放状態が継続される。したがって、第1大入賞口15が開放状態になると、所定時間が経過するまでの間に遊技球を所定数まで入賞させることが可能であり、それにより遊技者は賞球を獲得することができるのである。そして、開放状態に駆動された第1大入賞口15は、所定時間が経過した時点又は所定数の入賞がカウントされた時点で閉鎖状態に戻る。
【0024】
ただし、第1大入賞口15が開放されるラウンドにおいて、第1大入賞口15の開放状態が維持される開放時間は、特別遊技判定において当選した当たりの種別に応じて定められ、例えば30秒程度の比較的長い時間に設定されるラウンド(ロング開放ラウンド)と、0.2秒程度の極めて短い時間に設定されるラウンド(ショート開放ラウンド)との2種類がある。つまり、遊技者が多くの賞球を獲得可能なラウンドはロング開放ラウンドであり、ショート開放ラウンドの場合、開放中の第1大入賞口15に遊技球を入賞させることは困難であり、遊技者が賞球を獲得することは難しい。
【0025】
第2大入賞口16は、センター役物11の右側に設けられている。そのため、遊技盤10の遊技領域に打ち出される遊技球が矢印F2で示すようにセンター役物11の中央最上部を超えてセンター役物11の右側の遊技領域を流下するときには、第2大入賞口16に入球する可能性があり、矢印F1で示すようにセンター役物11の中央最上部を超えることなく遊技球がセンター役物11の左側の遊技領域を流下するときには、第2大入賞口16に入球する可能性はない。この第2大入賞口16も通常は閉鎖された状態となっている。そして遊技機1において第1始動口13又は第2始動口14に遊技球が入球したことを条件として行われる特別遊技判定において大当たりに当選すると、その後に開始される特別遊技の予め定められた所定ラウンドにおいて、所定時間が経過するまでの間、又は、所定数の入賞がカウントされるまでの間、第2大入賞口16が開放状態となる。したがって、第2大入賞口16が開放状態になると、所定時間が経過するまでの間に遊技球を所定数まで入賞させることが可能であり、それにより遊技者は賞球を獲得することができる。そして、開放状態に駆動された第2大入賞口16は、所定時間を経過した時点、又は、所定数の入賞がカウントされた時点で閉鎖状態に戻る。なお、特別遊技では、第1大入賞口15及び第2大入賞口16のいずれかが択一的に開放するラウンドが所定回数実行されるので、第1大入賞口15及び第2大入賞口16が同時に開放状態となることはない。また、第1大入賞口15又は第2大入賞口16を開放する特別遊技は、遊技者に対して多くの賞球を獲得することができる機会を付与する遊技であるため、遊技者にとって特別有利な遊技状態(特別遊技状態)である。
【0026】
第2大入賞口16の入賞領域にはVゲート18が設けられる。このVゲート18を遊技球が通過すると、主制御基板30は、その後の特別遊技判定における当選確率を高確率に設定する。
図2は、第2第入賞口16が開放状態のとき、第2大入賞口16に入球した遊技球が転動する転動領域17について説明する図である。この転動領域17の下部には、例えば
図2(a)に示すように、第2大入賞口16に入球した遊技球を検知して遊技盤10の背面側へ排出するための排出口20が設けられる。第2大入賞口16が
図2(a)に示すように閉状態であるとき、遊技盤10に打ち出された遊技球B1は、転動領域17に進入することはない。これに対して
図2(b)に示すように、第2大入賞口16が開状態であるときには、遊技盤10に打ち出された遊技球B2は、第2大入賞口16に入球し、転動領域17に進入する。この転動領域17の一部の領域にはスルーゲート21と同様に遊技球が通過可能であり、且つ、その遊技球の通過を検知可能に構成されたVゲート18が設けられている。すなわち、転動領域17は、第2大入賞口16に入球した遊技球B2を排出口20へ案内する経路として、Vゲート18を通過する経路である第1通過領域17aと、Vゲート18を通過しない経路である第2通過領域17bの2つの通過領域を有する。
【0027】
図2(b)は、遊技球が第1通過領域17aを通過する場合を示す図である。Vゲート18が遊技球B2の通過を検知すると、その特別遊技が終了した後の特別遊技判定において当選する確率が、1/68程度の高確率に設定される。そして、Vゲート18の上部には、第2大入賞口16の開放動作と連動して駆動され、例えば遊技盤10の盤面に対して前後方向に進退することにより、Vゲート18への遊技球の進入経路を開閉するシャッター19が設けられる。第2大入賞口16及びシャッター19の開閉動作のパターンについては後ほど説明する。シャッター19は、例えば第2大入賞口16が開状態に駆動されるのに伴ってVゲート18への進入経路を開放するように駆動される。すなわち、第2大入賞口16及びVゲート18への進入経路のいずれもが開放されているときに第2大入賞口16に遊技球B2が入球すると、遊技球B2は第1通過領域17aへと進入し、Vゲート18を通過して排出口20へと導かれる。遊技球B2がVゲート18を通過すると、V入賞検知スイッチ81がオンになり、遊技球B2のVゲート18の通過を検知する。ただし、第2大入賞口16に遊技球B2が入球した場合であっても、シャッター19がVゲート18を閉鎖していれば、遊技球B2は第2通過領域17bへ進入する。すなわち、第2大入賞口16に入球できたとしても、Vゲート18を通過できない場合があるのである。
【0028】
図3は、特別遊技におけるラウンド毎の大入賞口の開放パターンの一例を示す図である。開放パターンPA1では、
図3(a)に示すように、第1ラウンドから第4ラウンドまで第1大入賞口15がロング開放となり、第5ラウンドから最終ラウンドとなる第16ラウンドまでは第1大入賞口15又は第2大入賞口16が全てショート開放となる開放パターンである。また、第2大入賞口16がショート開放となる第14ラウンド及び第16ラウンドにおいて、Vゲート18もまたショート開放となる。
図4(a)は、第2大入賞口16がショート開放される場合の動作の一例を示すタイミングチャートである。第1大入賞口15が開放されるラウンドがタイミングT100で終了し、第1大入賞口15が閉状態となり、タイミングT100からT101までの間のインターバル時間を設けた後に、タイミングT101において第2大入賞口ソレノイド47が作動して第2大入賞口16を開放させる。そして、タイミングT103において第2大入賞口ソレノイド47が停止して第2大入賞口16が閉鎖される。ショート開放の場合には、第2大入賞口16が開放される時間ta1は例えば0.2秒程度の短い時間に制御される。シャッター19を開放するVゲートソレノイド80は、タイミングT101において作動してシャッター19を開放する。そして、Vゲートソレノイド80はタイミングT103よりも前に到来するタイミングT102において停止することにより、シャッター19を閉鎖する。すなわち、シャッター19がVゲート18への進入経路を開放する時間ta2は、例えば0.1秒以下という短い時間であり、第2大入賞口16の開放時間ta1よりも短い。なお、これとは異なり、シャッター19がVゲート18への進入経路を開放する時間ta2を、第2大入賞口16が開放される時間ta1と同じ時間としてもよい。このように、第2大入賞口16がショート開放される開放パターンPA1において、遊技球を第2大入賞口16に入球させることは困難である。また、第2大入賞口16に遊技球が入球したとしても、その遊技球がVゲート18を通過する可能性は低い。すなわち、開放パターンPA1において、遊技者が遊技球を第2大入賞口16に入球させてさらにVゲート18を通過させることにより、当該特別遊技終了後の遊技における特別遊技判定の当選確率を高確率にすることができる可能性は低いのである。
【0029】
これに対して、
図3(b)は第2大入賞口16がロング開放されるラウンドを有する場合の開放パターンPA2の一例を示したものである。開放パターンPA2では、第1ラウンドから第4ラウンドまで第1大入賞口15がロング開放となり、第5ラウンドから第13ラウンドまで第1大入賞口15がショート開放となる。そして、第14ラウンド及び第16ラウンドにおいて第2大入賞口16がロング開放となる。また、第2大入賞口16がロング開放となる。また、第2大入賞口16がロング開放となる第14ラウンド及び第16ラウンドにおいて、Vゲート18もまたロング開放となる。
図4(b)は、第2大入賞口16がロング開放される場合の動作の一例を示すタイミングチャートである。第1大入賞口15が開放されるラウンドがタイミングT200で終了して第1大入賞口15が閉状態となり、タイミングT200からT201までの間のインターバル時間を設けた後に、タイミングT201からタイミングT205までの間、第2大入賞口16のロング開放を含むラウンドが行われる。図例では、まず上述したショート開放のラウンドと同様にタイミングT201からT203までの間、例えば0.2秒程度の短い時間、第2大入賞口16を開放させ、タイミングT203において一旦第2大入賞口16を閉状態とさせる。そして、タイミングT203より後に到来するタイミングT204において第2大入賞口16を開放させ、タイミングT205までの間、ショート開放より長い時間(例えば25秒程度)継続して開放させる。図例のようにラウンド開始時に第2大入賞口16を開放パターンPA1と同様にショート開放させ、一旦第2大入賞口16を閉状態として所定時間経過した後にロング開放させる場合に、ショート開放終了タイミングT203からロング開放開始タイミングT204までの間に、演出制御基板33は第2大入賞口16へ向けて遊技球を発射することを遊技者に促す演出を行う。これにより、遊技者は第2大入賞口16及びVゲート18がロング開放されることを知ることができ、期待感を高める。また、第2大入賞口16を開放させる第2大入賞口ソレノイド47と同様に、タイミングT204からVゲートソレノイド80を作動させてVゲート18開放させ、遊技球が通過可能となるように制御する。そして、図例ではVゲートソレノイド80をタイミングT205より例えば1.5秒程度後に到来するタイミングT206において停止させる。すなわち、第2大入賞口16が開放される時間tb1よりもVゲートソレノイド80が作動してVゲート18がロング開放される時間tb2の方が長くなる。そうすると、例えば、第2大入賞口16の開放時間終了の直前に第2大入賞口16に入球した遊技球が、タイミングT205においてラウンドが終了したときに第2大入賞口16内の転動領域17に滞留している場合に、Vゲート18に進入可能な状態を継続させることにより、転動領域17に滞留している遊技球がVゲート18を通過できる機会を与えることができる。このように、第2大入賞口16がロング開放されるパターンPA2では、上記パターンPA1に比べて遊技球を第2大入賞口16に入球させることが容易である。また、Vゲート18もまた第2大入賞口16と共に長い時間開放されるため、第2大入賞口16に入球した遊技球がVゲート18を通過できる可能性が高い。つまり、開放パターンPA2において、遊技者が遊技球を第2大入賞口16に入球させ、この遊技球がVゲート18を通過することによって、当該特別遊技終了後の遊技において特別遊技判定に当選する確率が高確率になる可能性は、パターンPA1に比べて高くなるのである。なお、Vゲートソレノイド80が停止するタイミングT206は、第1大入賞口15が開放されるラウンドの開始タイミングT207より前であってもよいし、これより後であってもよい。また、図例とは異なり、Vゲートソレノイド80をラウンド終了タイミングT205において停止させるとしてもよい。さらに、第2大入賞口16をラウンド開始タイミングT201からラウンド終了タイミングT205までの間、継続して開放させてもよい。
【0030】
また、遊技盤10の中央最下部にはいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球をアウト球として遊技盤10の背面側へ排出するアウト口23が設けられている。
【0031】
図5は、遊技盤10の背面側に取り付けられる遊技機1の制御機構を示すブロック図である。遊技盤10の背面側には、遊技機1の主たる動作を制御する主制御基板30と、主制御基板30から出力される信号やコマンドに基づいて各部の動作を制御するサブ制御基板31とが設けられている。サブ制御基板31は、例えば
図5に示すように、払出制御基板32、演出制御基板33、画像制御基板34、ランプ制御基板35等で構成される。またサブ制御基板31には、図示を省略する発射制御基板も含まれる。発射制御基板は、遊技者によるハンドルレバー5の操作角度に応じて図示を省略する発射装置を動作させることにより、操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技盤10に打ち出されるように制御する。
【0032】
主制御基板30は、CPU30aとROM30bとRAM30cとを有する。この主制御基板30には、遊技球が第1始動口13に入賞したことを検知する第1始動口スイッチ41、遊技球が第2始動口14に入賞したことを検知する第2始動口スイッチ42、スルーゲート21を遊技球が通過したことを検知するスルーゲートスイッチ43、電動チューリップ14aを開閉させる電チューソレノイド44、第1大入賞口15を開閉駆動する第1大入賞口ソレノイド45、第1大入賞口15に遊技球が入球したことを検知する第1大入賞口スイッチ46、第2大入賞口16を開閉駆動する第2大入賞口ソレノイド47、及び、第2大入賞口16に遊技球が入賞したことを検知する第2大入賞口スイッチ48がそれぞれ接続されている。また、主制御基板30には、図柄表示器22が接続されている。なお、図柄表示器22は、特別図柄の変動表示を行うための特別図柄表示器22aと、普通図柄の変動表示を行うための普通図柄表示器22bとを備えている。
【0033】
主制御基板30は、第1始動口スイッチ41、第2始動口スイッチ42、第1大入賞口スイッチ46及び第2大入賞口スイッチ48のそれぞれが遊技球の入球を検知した場合、払出制御基板32に対して賞球コマンドを送出する。払出制御基板32は、CPU32aとROM32bとRAM32cとを備え、遊技盤10の背面側に設けられた払出モーター32dを制御するように構成されており、主制御基板30から賞球コマンドを入力すると、入賞した入賞口に応じて所定球数の払い出しを行う。
【0034】
また主制御基板30は、普通図柄の抽選や、特別遊技を行うか否かの特別遊技判定を行うように構成される。例えば遊技球がスルーゲート21を通過した場合、主制御基板30は、電動チューリップ14aを開放するか否かを決定するための普通図柄抽選を行い、その普通図柄抽選に当選すれば電チューソレノイド44を所定時間又は所定回数駆動させて電動チューリップ14aを開放させる。なお、普通図柄抽選に当選して電動チューリップ14aが開放すると、第2始動口14に対して遊技球が入賞し易い状態となるため、電動チューリップ14aが開放した状態は遊技者にとって有利な遊技状態のひとつである。
【0035】
また主制御基板30は、遊技球が第1始動口13や第2始動口14に入賞したことを検知して始動条件が成立した場合には、その入賞に基づく遊技データを取得して特別遊技判定を行い、特別図柄表示器22aにおいてその判定結果に基づく所定時間の特別図柄の変動表示を開始する。そして主制御基板30は、特別図柄表示器22aにおいて特別図柄の変動表示を開始することに伴い、その特別遊技判定結果に応じた所定時間の演出を行わせるべく、演出制御基板33に対して信号やコマンドを送出する。
【0036】
また、遊技球が第1始動口13や第2始動口14に入賞したことを検知した時点で先の特別図柄の変動表示が終了していない場合、主制御基板30は、その入賞に伴い取得した遊技データに基づく特別図柄の変動表示を保留する。そして、先の特別図柄の変動表示が終了して次の変動表示を開始することが可能なタイミングになると、主制御基板30は、保留を消化して次の特別遊技判定を行い、その特別遊技判定の結果に基づいて特別図柄の変動表示を開始する。本実施形態において主制御基板30は、特別遊技判定に先立ち、保留が記憶される際に取得した遊技データが特別遊技判定に当選する遊技データであるか否かを先読み判定してもよい。主制御基板30は、記憶した保留に対応する遊技データを演出制御基板33に送信する。また、主制御基板30が保留に対応する遊技データに対する先読み判定を行う場合には、遊技データと共に先読み判定結果も演出制御基板33に送信する。
【0037】
また、主制御基板30は、特別遊技判定において所定の当たりに当選していることが判明した場合、特別図柄の変動表示を所定時間行った後に、その当たりの種別に応じた特別遊技を開始する。そして、その特別遊技中の各ラウンドにおいて第1大入賞口ソレノイド45又は第2大入賞口ソレノイド47を択一的に開放状態へ駆動させることにより、第1大入賞口15又は第2大入賞口16を開放する。また、主制御基板30は、特別遊技を開始することに伴い、演出制御基板33に対してその特別遊技に対応する特別遊技演出を行わせるべく、信号やコマンドを送出する。
【0038】
演出制御基板33は、CPU33aとROM33bとRAM33cとを備えており、主制御基板30からの信号やコマンドに基づいて遊技機1で行う具体的な演出内容を決定する。そして、演出制御基板33は、画像制御基板34及びランプ制御基板35のそれぞれを制御することにより、その決定した具体的な演出パターンに基づく演出を実行する。つまり、演出制御基板33は、主制御基板30からの指示に基づき、遊技機1の全体で行う具体的な演出を決定すると共に、その実行を統括的に制御するのである。特に、主制御基板30によって特別遊技判定が行われて特別図柄の変動表示が所定時間行われる場合に、演出制御基板33は、その所定時間の間、特別遊技判定の結果を示唆するための示唆遊技演出の実行を制御する。示唆遊技演出の一例として、演出制御基板33は、画像表示器12において3つの装飾図柄12a、12b、12cを変動させる図柄変動演出を行うことにより、特別遊技判定の結果が大当たりであるか否かを示唆する演出を行う。演出制御基板33は、特別図柄の変動表示に伴って図柄変動演出を行い、特別図柄の変動表示が終了する際に図柄変動演出を終了させ、特別遊技判定の結果に応じた停止図柄で装飾図柄12a、12b、12cを停止させ、特別遊技判定の結果を遊技者に報知する。
【0039】
演出制御基板33は、図柄変動演出実行中の所定のタイミングにて、装飾図柄12a、12b、12cの変動を停止させ、装飾図柄12a、12b、12cを継続的に微動させながら、例えば1〜2秒程度の所定時間が経過するまで所定の図柄を表示させる(このような停止の態様につき、以下「仮停止」という)。図柄変動演出実行中に仮停止を行うか否かは、演出制御基板33により決定される演出パターンに基づく。仮停止が行われると、装飾図柄12a、12b、12cは所定時間微動を継続させながら所定の図柄を表示した状態で変動を停止し、所定時間経過後に変動を再開する。或いは、装飾図柄12a、12b、12cは、所定時間の間、微動を継続させながら所定の図柄を表示した状態で変動を停止し、所定時間経過後に微動を停止させて確定停止する。所定の図柄を表示した状態で完全に停止することにより、装飾図柄12a、12b、12cは特別遊技判定の結果を遊技者に対して報知するのである。本実施形態において、装飾図柄12a、12b、12cは仮停止した状態で所定時間が経過すると、変動を再開する場合があると共に、所定時間が経過すると微動を停止して完全に停止する場合もあるのである。演出制御基板33は、主制御基板30により決定される特別図柄の変動時間に応じて、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる演出パターンを選択するか否かを判定する。すなわち、図柄変動演出中に装飾図柄を仮停止させ、所定時間微動を継続させながら変動を停止させた後に変動を再開させるという演出を行うためには、所定の時間が必要となる。上述のとおり図柄変動演出の実行時間は特別図柄の変動時間に応じて決定される。そうすると、主制御基板30から特別図柄の変動時間を受信すると、演出制御基板33は、装飾図柄を仮停止させる演出を含む演出パターンを選択可能か否か判定することとなるのである。さらに、仮停止を行う場合において、演出制御基板33は図柄変動演出において仮停止を行う回数を決定する。
【0040】
また、主制御基板30により特別遊技が行われる場合、演出制御基板33は、大当たりの種類に応じて特別遊技演出の実行を制御する。演出制御基板33は、主制御基板30から特別遊技を開始するコマンドを受信すると、例えば特別遊技におけるラウンド数、各ラウンドの時間などを読み取る。そして、予め記憶する演出パターンから所定の演出パターンを選択して実行する。主制御基板30から特別遊技を終了するコマンドを受信すると、演出制御基板33は、特別遊技が終了することを遊技者に報知するエンディング演出を実行する。
【0041】
さらに演出制御基板33は、主制御基板30により記憶された保留に対応する遊技データを主制御基板30から受信すると、RAM33cに保留として記憶する。そして、演出制御基板33は、RAM33cに記憶される保留数に応じて、上述したように画像表示器12における第1保留表示領域J1乃至J4、又は第2保留表示領域J6乃至J9に保留表示を表示させる。
【0042】
画像制御基板34は、CPU34aとROM34bとRAM34cとVRAM34dとを備えており、画像表示器12に表示する画像を制御するものである。この画像制御基板34は、演出制御基板33からの指示に基づいて、主制御基板30で行われた特別遊技判定結果に応じた示唆遊技演出や特別遊技演出を行うための演出画像を表示することができる。また、画像制御基板34は、演出制御基板33からの指示に基づいて通常待機演出や特別待機演出を行うための演出画像を表示することが可能である。VRAM34dは、画像表示器12に表示するための画像を書き込むメモリである。CPU34aは、演出制御基板33から受信するコマンドや信号に基づいて、VRAM34dに対する背景画像表示処理、装飾図柄表示処理、操作演出画像表示処理などの各種処理を1フレームごとに繰り返して実行することにより、画像表示器12に対して、背景画像、装飾図柄画像、操作演出画像などを重畳的に表示することができる。画像制御基板34は、スピーカー8から各種の演出音を出力して音楽や効果音などを発生させるように構成されている。
【0043】
ランプ制御基板35は、CPU35aとROM35bとRAM35cとを備えており、枠ランプ7を制御する。このランプ制御基板35は、演出制御基板33からの指示に基づいて枠ランプ7などを含む各種ランプを点灯させる。
【0044】
図6は、主制御基板30における主たる機能構成を模式的に示したブロック図である。主制御基板30のRAM30cには、遊技データ格納部60と保留記憶部61とが設けられる。遊技データ格納部60は、大当たり乱数や図柄乱数、変動パターン乱数、リーチ乱数などの各種乱数を遊技データとして格納するものである。遊技データ格納部60に格納される各種乱数は、それぞれ定められた範囲内の値を採りうる乱数であり、その値が図示を省略する乱数更新部により逐次更新される。そのため、遊技データ格納部60から遊技データが読み出されるタイミングによって、各種乱数の値が異なる値となる。大当たり乱数は、特別遊技判定において特別遊技へ移行させるか否かを判定するのに用いられる乱数である。図柄乱数は、特別遊技へ移行させると判定された場合に、特別遊技の種類を決定するのに用いられる乱数である。主制御基板30は、図柄乱数に基づいて特別遊技におけるラウンド数や、各ラウンドにおける開放パターンを判定する。リーチ乱数は、特別遊技判定においてハズレである場合に、演出制御基板33がリーチ演出を含む演出パターンを決定可能な変動時間を設定するか否かを判定するのに用いられる乱数である。変動パターン乱数とは、特別図柄の変動時間(変動パターン)を決定するのに用いられる乱数である。なお、遊技データ格納部60には、普通図柄抽選に用いられる普通図柄乱数なども遊技データとして格納される。保留記憶部61は、遊技データ取得部51により遊技データ格納部60から読み出された遊技データを所定の上限数まで保留しておくための記憶領域である。
【0045】
主制御基板30のROM30bには、特別遊技判定テーブル62と、変動パターンテーブル63とが予め記憶されている。特別遊技判定テーブル62は、特別遊技判定を行うために参照されるテーブルである。この特別遊技判定テーブル62には、第1テーブル62aと第2テーブル62bとが含まれる。第1テーブル62aは、特別遊技判定において特別遊技を行うと判定される確率が通常確率であるときに参照されるテーブルである。第2テーブル62bは、特別遊技判定において特別遊技を行うと判定される確率、つまり大当たりとなる確率が通常確率よりも高い高確率状態のときに参照されるテーブルである。第1テーブル62aでは大当たり乱数が大当たりとなる当選値として所定数の値が定められており、第2テーブル62bでは大当たり乱数が大当たりとなる当選値として第1テーブル62aよりも多くの値が定められている。
【0046】
変動パターンテーブル63は、主制御基板30において特別遊技判定が行われた場合に、特別図柄の変動表示に関する変動時間を決定するために参照されるテーブルである。変動パターンテーブル63には、特別遊技判定の結果や特別遊技の種類に応じて参照されるテーブルや、リーチ乱数が所定の値を示す場合に参照されるテーブルなど、図示を省略する複数のテーブルが含まれる。また、時短状態又は非時短状態など現在の遊技状態に応じて異なるテーブルが参照される。一例として、非時短状態においてリーチ演出を含む演出パターンを決定可能な変動パターンが選択される確率は10%程度であり、他方、時短状態においてリーチ演出を含む演出パターンを決定可能な変動パターンが選択される確率は、非時短状態の場合においてリーチ演出を含む演出パターンを決定可能な変動パターンが選択される確率に比べて低い。そして変動パターンテーブル63に含まれるそれら複数のテーブルは、いずれも変動パターン乱数に対して特別図柄の変動時間が1対1で対応付けられたテーブルとなっている。そのため、この変動パターンテーブル63を参照すれば、特別遊技判定の結果やリーチ乱数の乱数値などに対応する特別図柄の変動時間を一義的に決定することができる。
【0047】
このような変動パターンテーブル63は、特別遊技判定で大当たりであると判定されると、特別図柄の変動時間が例えば60秒以上などの比較的長い時間が決定されるように予め変動パターンが定められている。また、特別遊技判定でハズレであると判定された場合には、特別図柄の変動時間が例えば60秒未満の比較的短い時間が決定されるように変動パターンが予め定められている。ただし、特別遊技判定の結果がハズレであっても、リーチ乱数が所定の値を示すことにより、演出制御基板33においてリーチ演出を含む演出パターンを決定可能な変動パターンが決定された場合には、大当たりの場合と同様、特別図柄の変動時間として例えば60秒以上などの比較的長い時間が決定されることがある。変動パターンにおいて設定される変動時間の一例として、5秒、10秒、30秒、60秒、90秒がある。特別図柄判定でハズレであると判定され、しかもリーチ演出を含む演出パターンを決定不可能な変動パターンが決定された場合、すなわち、いわゆるリーチ無しハズレの場合において、特別図柄の変動時間は、当該変動表示の開始時における保留の数に応じて決定される。例えば、当該変動表示の開始時において保留が1個記憶されている場合に、当該変動表示における変動時間は、10秒程度に決定され、当該変動表示の開始時において保留が3個記憶されている場合、当該変動表示における変動時間は、2秒程度の短い時間に決定される。
【0048】
主制御基板30のCPU30aは、遊技機1の状態や動作を統括的に制御し、遊技を進行させる遊技制御部50として機能する。この遊技制御部50は、様々な処理部として機能するが、
図7にはその一部の機能を例示する。すなわち、例えば遊技制御部50は、遊技機1の遊技状態を切り換えたり、遊技を進行させたりするために、遊技データ取得部51、特別遊技判定部52、特別図柄変動制御部53、特別遊技制御部54及び遊技状態設定部55として機能する。
【0049】
遊技データ取得部51は、第1始動口スイッチ41及び第2始動口スイッチ42のそれぞれが遊技球の入賞を検知した場合に、そのタイミングで遊技データ格納部60から大当たり乱数、図柄乱数、変動パターン乱数及びリーチ乱数を含む遊技データを取得する。遊技データ取得部51は、遊技データを取得すると、その遊技データを保留記憶部61に格納する。保留記憶部61は、第1始動口13への入賞によって取得された遊技データを記憶する第1保留記憶部61aと、第2始動口14への入賞によって取得された遊技データを記憶する第2保留記憶部61bとを有しており、第1始動口13への入賞により取得された遊技データと第2始動口14への入賞により取得された遊技データとを区別してそれぞれ所定の上限数(例えば4つ)まで記憶することが可能である。そのため、遊技データ取得部51は、第1始動口13への入賞により取得した遊技データを第1保留記憶部61aへ格納し、第2始動口14への入賞により取得した遊技データを第2保留記憶部61bへ格納する。第1保留記憶部61a及び第2保留記憶部61bのそれぞれに既に上限数の遊技データが格納されている場合、遊技データ取得部51は、遊技データ格納部60から取得した遊技データを破棄し、遊技データを格納する処理を行わない。なお、本実施形態において遊技データ取得部51は、取得した大当たり乱数及び図柄乱数に基づいて特別遊技判定に当選する遊技データであるか否か先読み判定を行ってもよい。先読み判定を行う場合、遊技データ取得部51は、遊技データが特別遊技判定に当選するか否か、また、特別遊技判定に当選すると判定した場合、大当たりの種類についても判定する。そして、遊技データ取得部51が取得した遊技データに対する先読み判定を行う場合、遊技データ取得部51は、遊技データと共に先読み判定結果も第1保留記憶部61a又は第2保留記憶部61bへ格納する。
【0050】
特別遊技判定部52は、始動条件成立により遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるか否かの特別遊技判定を行う処理部である。特別遊技判定部52は、特別遊技及び特別図柄の変動表示のいずれも実行中でないことを以て、特別遊技判定を行うための始動条件が成立したものとし、保留記憶部61に記憶されて保留状態にある遊技データを読み出し、その遊技データに基づき特別遊技判定を行う。すなわち、特別遊技判定部52は、遊技データに含まれる大当たり乱数に基づいて特別遊技判定テーブル62を参照し、当該大当たり乱数が大当たりの当選値に一致するか否かを判定する。上述したとおり特別遊技判定テーブル62には第1テーブル62aと第2テーブル62bとがあり、特別遊技判定部52は、遊技データ読み出し時点の遊技状態に応じて第1テーブル62a又は第2テーブル62bのいずれか一方を選択し、大当たり乱数がその選択したテーブルに定められた大当たりの当選値に一致するか否かを判定する。このような特別遊技判定により、保留記憶部61から読み出した遊技データの当選又はハズレが確定する。なお、第1テーブル62aは、大当たりとなる確率が例えば1/400程度に設定されたテーブルであり、第2テーブル62bは、第1テーブル62aよりも大当たりとなる確率が高く、例えば1/68程度に設定されたテーブルである。また、後述するように、特別遊技判定部52により判定された特別遊技の種類に応じて、特別遊技制御部54により大入賞口の開放時間、ラウンド数や開放パターンなどが決定される。つまり、特別遊技の種類によって、遊技者が特別遊技において獲得可能な賞球数が異なるのである。
【0051】
特別遊技判定部52は、特別図柄変動制御部53によって特別図柄の変動表示がおこなわれている間は、保留記憶部61からの遊技データの読み出しを行わない。この場合、特別図柄変動制御部53によって行われている特別図柄の変動表示が終了し、次の変動表示を行うことが可能になったタイミングで、特別遊技判定部52は、保留記憶部61から次の遊技データの読み出しを行い、その読み出した遊技データに基づいて特別遊技判定を行う。特別遊技判定部52は、第1保留記憶部61aに格納されている遊技データよりも、第2保留記憶部61bに格納されている遊技データを優先的に読み出して保留消化を行うよう構成される。
【0052】
特別図柄変動制御部53は、特別遊技判定部52による特別遊技判定の結果を表示するため特別図柄の変動表示を行う処理部である。具体的には、特別図柄変動制御部53は、特別遊技判定部52によって特別遊技判定が行われると、その特別遊技判定の結果に基づき変動パターンテーブル63を参照し、特別図柄の変動時間を決定して特別図柄表示器22aにおいて行う特別図柄の変動表示を制御する。また、特別図柄変動制御部53は、特別図柄の変動表示を決定して特別図柄の変動表示を開始するとき、演出制御基板33に対して変動開始コマンドを送出する。この変動開始コマンドには、特別遊技の判定結果や特別遊技判定において当選する場合の特別遊技の種類、特別図柄の変動時間や停止図柄などに関する情報が含まれる。そのため、演出制御基板33は、特別図柄変動制御部から送出される変動開始コマンドを受信すると、特別図柄表示器22aにおいて特別図柄の変動表示が行われている間、特別遊技判定の結果に対応した演出を行うことができるようになるのである。
【0053】
特別遊技制御部54は、特別遊技判定の結果に応じて特別図柄の変動表示が行われた後に特別遊技を実行する処理部である。すなわち、特別遊技制御部54は、特別遊技判定部52による特別遊技判定において所定の当たりに当選し、遊技者にとって有利な特別遊技状態へ移行させることが決定された場合に機能する。特別遊技制御部54は、特別遊技判定部52が図柄乱数に基づいて決定した特別遊技の種類に応じて、例えば第1大入賞口15及び第2大入賞口16の開放時間、ラウンド数や開放パターン、或いはエンディング時間などを決定する。そして特別遊技制御部54は特別遊技を開始する。特別遊技制御部54は、特別遊技を開始することに伴い、決定した開放パターンに基づいて複数ラウンドのうちの各ラウンドで第1大入賞口15及び第2大入賞口16のそれぞれを択一的に開放させることにより、特別遊技中において第1大入賞口15又は第2大入賞口16を開放状態へ作動させる開放特別遊技を制御する。
【0054】
遊技状態設定部55は、特別遊技終了後の遊技状態を設定する処理部である。特別遊技制御部54により決定された開放パターンに基づく第1大入賞口15又は第2大入賞口16の開放が終了すると、特別遊技制御部54はエンディングを行って特別遊技を終了させる。そして、遊技状態設定部55は、特別遊技中にV入賞検知スイッチ81が遊技球の第2大入賞口16におけるVゲート18通過を検知したか否かに応じて、特別遊技終了後の遊技における特別遊技判定の当選確率を高確率又は通常確率に設定する。また、遊技状態設定部55は、図柄乱数に基づいて、特別遊技終了後の遊技について時短又は非時短を設定する。
【0055】
図7は、遊技機1の遊技状態の遷移を示す図である。まず遊技機1に電源が投入されると、遊技機1は通常遊技状態ST1で起動する。通常遊技状態ST1は、大当たりに当選する確率が例えば1/400程度の通常確率で遊技を進行させる状態である。この通常遊技状態ST1では、スルーゲート21を遊技球が通過して行われる普通図柄抽選に当選した場合であっても、電動チューリップ14aが第2始動口14を開放する時間が極めて短く、第2始動口14へ遊技球が入賞する可能性は低い。そのため、通常遊技状態ST1では、遊技者はハンドルレバー5を操作することにより、
図1の矢印F1で示すように、遊技盤10の遊技領域に打ち出す遊技球がセンター役物11の左側領域を流下していくように調整し、遊技球を第1始動口13に入賞させることを狙って遊技を行う。
【0056】
そして、通常遊技状態ST1において遊技球が第1始動口13へ入賞することによって大当たりが発生すると、遊技機1は特別遊技ST2を開始する。特別遊技ST2が開始されると、センター役物11の右側に配置された第1大入賞口15及び第2大入賞口16のそれぞれが所定のラウンドで開放する。そのため遊技者は、遊技機1において特別遊技ST2が行われる間、ハンドルレバー5を操作することにより、
図1の矢印F2で示すように、遊技盤10の遊技領域に打ち出す遊技球がセンター役物11の右側領域を流下していくように調整し、遊技球を第1大入賞口15又は第2大入賞口16に入賞させることを狙って遊技を行う。
【0057】
所定のラウンド終了により特別遊技ST2が終了する。特別遊技ST2終了の後、通常遊技状態ST1、時短遊技状態ST3又は特定遊技状態ST4に移行する。本実施形態における時短遊技状態ST3は、特別遊技判定における当選確率が通常遊技状態ST1と同じ通常確率であり、通常遊技状態ST1とは異なり、所定回数の変動表示が行われる間(例えば、100回程度)時短が設定される遊技状態である。すなわち、時短遊技状態ST3では、スルーゲート21を遊技球が通過して行われる普通図柄抽選に当選した場合、電動チューリップ14aが第2始動口14を例えば3.5秒程度開放するため、通常遊技状態ST1における第2始動口14の開放時間(例えば0.2秒程度)と比べて長くなり、通常遊技状態ST1と比較して第2始動口14へ遊技球が入賞する可能性が高くなる。また、時短遊技状態ST3では、第1始動口13又は第2始動口14へ入賞することにより行われる特別遊技判定の結果が、例えばリーチ演出を行わずにハズレを表示させるというものであった場合に、特別遊技判定結果を表示する変動表示の時間が例えば3秒程度に設定されるため、通常遊技状態ST1の場合においてリーチ演出を行わずにハズレを表示させる場合の特別図柄の変動時間(例えば30秒程度)と比べて短く設定される。そのため、時短遊技状態ST3では、遊技者はハンドルレバー5を操作することにより、
図1の矢印F2で示すように、遊技盤10の遊技領域に打ち出す遊技球がセンター役物11の右側領域を流下していくように調整し、遊技球をスルーゲート21に通過させると共に、第2始動口14に入賞させることを狙って遊技を進行させる。これにより、遊技球を頻繁に第2始動口14へ入賞させることができるため、特別遊技ST2で獲得した持ち玉をそれ程減らすことなく遊技を進行させることができると共に、特別遊技判定を短時間で連続的に繰り返し行わせることができる。なお、時短遊技状態ST3が設定される所定回数の変動表示が終了するまでの間に、次の特別遊技判定に当選しなかった場合、時短遊技状態ST3が終了し、通常遊技状態ST1に移行する。
【0058】
通常遊技状態ST1と時短遊技状態ST3とを対比すると、時短遊技状態ST3では上述のように遊技球が第2始動口14へ頻繁に入賞するため、特別遊技判定が行われる機会を通常遊技状態ST1よりも頻繁に獲得することができる。そのため、時短遊技状態ST3は、遊技者にとって通常遊技状態ST1よりも有利な遊技状態である。したがって、時短遊技状態ST3へ移行する前の特別遊技状態ST2において行われる特別遊技のラウンドが全てショート開放ラウンドであっても、特別遊技状態ST2の終了後に時短遊技状態ST3へ移行することにより、遊技者は通常遊技状態ST1よりも有利な遊技価値を獲得することができる。
【0059】
本実施形態における特定遊技状態ST4は、特別遊技判定における当選確率が高確率であり、且つ、所定回数の変動表示が行われる間(例えば、100回程度)時短が設定される遊技状態である。特別遊技判定に当選した際に、図柄乱数に基づいて時短が設定され、しかも、当該特別遊技判定当選による特別遊技ST2において、遊技球が第2大入賞口16におけるVゲート18を通過したことにより、特別遊技ST2終了後、特定遊技状態ST4に移行するのである。すなわち、特定遊技状態ST4へ移行すると、特別遊技判定に当選する確率が通常遊技状態ST1又は時短遊技状態ST3よりも高い高確率となる。また、特定遊技状態ST4では、時短遊技状態ST3と同様、スルーゲート21を遊技球が通過して行われる普通図柄抽選に当選した場合に電動チューリップ14aが第2始動口14を開放する時間が比較的長くなり、通常遊技状態ST1と比較して第2始動口14へ入賞する可能性が高くなる。また、第1始動口13又は第2始動口14へ入賞することにより行われる特別遊技判定の結果を表示する変動表示の時間が、通常遊技状態ST1の場合と比べて短く設定される。そのため、特定遊技状態ST4では、遊技者はハンドルレバー5を操作することにより、
図1の矢印F2で示すように、遊技盤10の遊技領域に打ち出す遊技球がセンター役物11の右側領域を流下していくように調整し、遊技球をスルーゲート21に通過させると共に、第2始動口14に入賞させることを狙って遊技を進行させる。これにより、遊技球を頻繁に第2始動口14へ入賞させることができるため、特別遊技ST2で獲得した持ち玉をそれ程減らすことなく遊技を進行させることができると共に、特別遊技判定を短時間で連続的に繰り返し行わせることができる。特定遊技状態ST4は、高確率が設定される変動回数と時短が設定される変動回数に基づくものであり、設定された回数の変動表示が消化される間に特別遊技判定に当選しなかった場合、特定遊技状態ST4が終了して通常遊技状態ST1に移行する。
【0060】
時短遊技状態ST3と特定遊技状態ST4とを対比すると、特定遊技状態ST4では上述のように特別遊技判定において大当たりに当選する確率が高確率となるため、遊技者は早期に特別遊技判定において大当たりに当選する機会を獲得することができる。そのため、特定遊技状態ST4は、遊技者にとって時短遊技状態ST3よりも有利な遊技状態である。したがって、特定遊技状態ST4へ移行する前の特別遊技ST2におけるラウンドが全てショート開放ラウンドであっても、特別遊技ST2の終了後に特定遊技状態ST4へ移行することにより、遊技者は通常遊技状態ST1や時短遊技状態ST3よりも有利な遊技価値を獲得することができる。
【0061】
図7に戻って、遊技状態設定部55は、遊技機1の遊技状態を例えば特定遊技状態ST4に設定する際に、RAM30cに格納される特定遊技カウンタ68に特定遊技状態ST4において行われる変動表示の回数(例えば100回)を初期値としてセットする。そして、特定遊技カウンタ68は、変動表示が行われる毎に値を1ずつ減じることにより、特定遊技状態ST4において行われる変動表示の残回数を計測する。
【0062】
上記のような遊技状態の遷移に応じて、主制御基板30は、これら遊技状態の相互遷移を統括的に制御して遊技を進行させると共に、その遊技の進行に応じた演出を演出制御基板33に行わせる。例えば、通常遊技状態ST1から特別遊技ST2に移行する際に、主制御基板30は演出制御基板33に通常遊技状態ST1から特別遊技ST2へ移行することを報知する演出を行わせる。また主制御基板30は、特別遊技ST2が終了して時短遊技状態ST3に移行する場合、演出制御基板33に特別遊技ST2が終了し、時短遊技状態ST3へ移行することを報知する演出を行わせ、特別遊技ST2が終了して特定遊技状態ST4に移行する場合、特別遊技ST2が終了して特定遊技状態ST4に移行することを報知する演出を行わせる。
【0063】
次に、主制御基板30において行われる動作手順について説明する。
図8は、主制御基板30における主要動作を示すフローチャートである。主制御基板30のCPU30aは、電源投入時や電源断時などの特殊な場合を除き、通常の動作時において
図9に示すフローチャートに基づく処理をタイマ割込処理として一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行する。この処理が開始されると、主制御基板30は、乱数更新処理(ステップS101)、第1始動口スイッチ処理(ステップS102)、第2始動口スイッチ処理(ステップS103)、ゲートスイッチ処理(ステップS104)、各種スイッチ処理(ステップS105)、賞球処理(ステップS106)、特別図柄処理(ステップS107)、大入賞口処理(ステップS108)、普通図柄処理(ステップS109)、電チュー処理(ステップS110)、及び出力処理(ステップS111)を一連の処理として順次実行し、それら一連の処理が終了すると、その後は初期値乱数更新処理(ステップS112)を繰り返し実行する。その後、時間が経過し、再びタイマによる割込が発生することにより、再び乱数更新処理(ステップS101)以降の処理の実行を開始する。以降このような処理が繰り返される。
【0064】
乱数更新処理(ステップS101)では、乱数更新部(図示せず)によって、RAM30cの遊技データ格納部60に格納されている大当たり乱数、図柄乱数、変動パターン乱数、リーチ乱数などの各種乱数の値を更新する処理が行われる。第1始動口スイッチ処理(ステップS102)では、上述の遊技データ取得部51が第1始動口スイッチ41の状態を監視し、第1始動口13に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ41がオンとなった場合に遊技データ格納部60から遊技データを取得する処理が行われる。第2始動口スイッチ処理(ステップS103)では、上述の遊技データ取得部51が第2始動口スイッチ42の状態を監視し、第2始動口14に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ42がオンとなった場合に遊技データ格納部60から遊技データを取得する処理が行われる。ゲートスイッチ処理(ステップS104)では、遊技データ取得部51がスルーゲートスイッチ43の状態を監視し、スルーゲート21を遊技球が通過してスルーゲートスイッチ43がオンとなった場合に普通図柄を抽選するために普通図柄乱数を取得する処理が行われる。各種スイッチ処理(ステップS105)では、その他全てのスイッチ(例えば第1大入賞口スイッチ46など)からの信号を入力する処理が行われる。賞球処理(ステップS106)では、各種入賞口への入賞数を計数し、その計数値に基づいて賞球コマンドを設定する処理が行われる。特別図柄処理(ステップS107)では、特別遊技判定部52及び特別遊技制御部54による特別図柄の変動およびその図柄変動に伴う処理が行われる。大入賞口処理(ステップS108)では、第1大入賞口15及び第2大入賞口16を開閉する特別遊技の動作が制御される。普通図柄処理(ステップS109)では、普通図柄変動およびその図柄変動に伴う処理が行われる。電チュー処理(ステップS110)では、電動チューリップ14aの開閉動作を制御する。また、出力処理(ステップS111)では、主制御基板30から払出制御基板32及び演出制御基板33に対して制御用コマンドや遊技データなどを出力する処理が行われる。各基板に出力するコマンドやデータは、ステップS102からS110の各処理において生成され、予めRAM30cにセットされている。そのため、この出力処理ではRAM30cにセットされたコマンドやデータを読み出して出力する。そして初期値乱数更新処理(ステップS112)では、遊技データ格納部に格納されている大当たり乱数、図柄乱数、変動パターン乱数、リーチ乱数などの各種乱数の初期値が更新される。ステップS101からS111を実行した後の残余時間において、この初期値乱数更新処理を繰り返し実行することにより、各種乱数の初期値をその都度更新することができる。そして、この残余時間は遊技機1の動作状態に応じて長くなったり短くなったりするため、残余時間中における初期値乱数更新処理(ステップS112)の実行回数が毎回異なるものとなり、各種乱数の初期値の更新値を不規則な値にすることができる。それ故、大当たりを不正に発生させようとした場合でも大当たり乱数の初期値が不明なため、遊技者は大当たり乱数が大当たりの当選値となるタイミングを知ることができず、ひいては不正を防止することが可能となる。
【0065】
図9は、第1始動口スイッチ処理(
図8のステップS102)及び第2始動口スイッチ処理(
図8のステップS103)の詳細を示すフローチャートである。まず、
図9(a)に示すように、第1始動口スイッチ処理(ステップS102)では、第1始動口13に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ41がオンになったか否かを判定する(ステップS201)。ここで第1始動口スイッチ41がオンになっていない場合には(ステップS201でNO)始動条件が成立していないので第1始動口スイッチ処理を終了する。第1始動口スイッチ41がオンになっていれば(ステップS201でYES)、始動条件が成立するため、第1保留記憶部61aに記憶されている保留数U1が上限値未満か否かを判定する(ステップS202)。図例では上限値を4としている。そして、保留数U1が上限値に達している場合(ステップS202でNO)、それ以上保留数を増加させることはできないので、第1始動口スイッチ処理を終了する。一方、保留数U1が上限値未満である場合(ステップS202でYES)、保留数U1の値を1加算する(ステップS203)。そして第1始動口13に入賞したことによる遊技データを遊技データ格納部60から抽出し、その遊技データに含まれる各種乱数の値を第1保留記憶部61aに格納する(ステップS204)。そして、変動開始条件が成立すると、遊技データは第1保留記憶部61aから読み出され、読み出された遊技データに含まれる大当たり乱数によって、「大当たり」となるか「ハズレ」となるかが確定する。また、「大当たり」である場合、同時に読み出した図柄乱数によりその大当たりの種類が確定する。また、「ハズレ」である場合、読み出したリーチ乱数の値によってリーチ演出が行われるか否かが確定する。なお、遊技データ取得部51により遊技データに対する先読み判定が行われる場合、当該遊技データが特別遊技判定において「大当たり」に当選するか否か、また、「大当たり」に当選する場合に、その大当たりの種類が判定される。主制御基板30は、各種乱数を含む遊技データを演出制御基板33に送信するための送信用遊技データとしてセットする(ステップS205)。このときセットする送信用遊技データには、第1始動口13に入賞したことにより取得した遊技データであることを示す情報が付与される。また、遊技データに対する先読み判定が行われた場合に、先読み判定結果も合わせて演出制御基板33に送信される。そして遊技データのセットが完了すれば、第1始動口スイッチ処理を終了する。
【0066】
次に、
図9(b)に示すように、第2始動口スイッチ処理(
図8のステップS103)では、第2始動口14に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ42がオンになったか否かを判断する(ステップS301)。ここで第2始動口スイッチ42がオンになっていない場合には、始動条件が成立していないので第2始動口スイッチ処理を終了する。第2始動口スイッチ42がオンになっていれば、始動条件が成立するため、第2保留記憶部61bに記憶されている保留数U2が上限値未満か否かを判断する(ステップS302)。図例の場合、上限値を4個としている。そして保留数U2が上限値に達している場合には(ステップS302でNO)、それ以上保留数を増加させることができないので、第2始動口スイッチ処理を終了する。一方、保留数U2が上限値未満である場合(ステップS302でYES)、保留数U2の値を1加算する(ステップS303)。そして第2始動口14に入賞したことによる大当たり抽選のための遊技データを遊技データ格納部60から抽出し、その遊技データに含まれる各種乱数の値を第2保留記憶部61bに格納する(ステップS304)。そして変動開始条件が成立すると第2保留記憶部61bから遊技データが読み出されて特別遊技判定が行われ、読み出した遊技データに含まれる各種乱数の値により、大当たりであるか否か、またハズレの場合はリーチ演出を行うか否かなどが確定する。なお、本実施形態において遊技データ取得部51によって先読み判定が行われる場合、特別遊技判定に先立ち、遊技データに含まれる各種乱数の値に基づき、特別遊技判定において大当たりに当選するか否かなどが判定される。主制御基板30は、各種乱数を含む遊技データを演出制御基板33に送信するための送信用遊技データとしてセットする(ステップS305)。このときセットする送信用遊技データには、第2始動口14へ入賞したことによって取得した遊技データであることを示す情報が付与される。また、遊技データに対する先読み判定が行われた場合に、先読み判定結果も合わせて演出制御基板33に送信される。そして、遊技データのセットが完了すれば、第2始動口スイッチ処理を終了する。
【0067】
次に
図10は、ゲートスイッチ処理(
図8のステップS104)の詳細を示すフローチャートである。この処理ではまず、スルーゲート21を遊技球が通過してスルーゲートスイッチ43がオンになったか否かを判定する(ステップS401)。スルーゲートスイッチ43がオンになっていない場合には、普通図柄抽選の始動条件が成立していないため、ゲートスイッチ処理を終了する。スルーゲートスイッチ43がオンになっている場合には(ステップS401でYES)、始動条件が成立するため、普通図柄抽選の保留数Gが上限値未満か否かを判定する(ステップS402)。図例では上限値を4個としている。そして、保留数Gが上限値に達している場合には(ステップS402でNO)、それ以上保留数を増加させることができないので、ゲートスイッチ処理を終了する。一方、保留数が上限値未満の場合(ステップS402でYES)、保留数Gの値を1加算する(ステップS403)。そして、遊技球がスルーゲート21を通過したことによる普通図柄抽選のための普通図柄乱数を読み出し、その乱数値をRAM30cに格納する(ステップS404)。なお、このとき読み出される乱数の値により、遊技球がスルーゲート21を通過したことによる普通図柄抽選の当否が確定する。
【0068】
図11は、特別図柄処理(
図8のステップS107)の詳細を示すフローチャートである。この処理では先ず、遊技機1の現在の状態が特別遊技中であるか否かを判定する(ステップS501)。特別遊技中であれば(ステップS501でYES)、その特別遊技が終了するまで新たな特別図柄の変動表示を行うことができないため特別図柄の変動処理を開始することなく特別図柄処理を終了する。これに対して、特別遊技中でない場合(ステップS501でNO)、主制御基板30は、遊技機1の現在の状態が特別図柄変動中であるか否かを判定する(ステップS502)。特別図柄の変動表示中でない場合(ステップS502でNO)、保留数U2が1以上であるか否かを判定する(ステップS503)。保留数U2が1以上である場合(ステップS503でYES)、主制御基板30は、第2保留記憶部61bにおいて最も先に記憶された遊技データを読み出し(ステップS504)、その保留数U2の値を1減算する(ステップS505)。そして第2保留記憶部61bに記憶されている他の保留の記憶領域を順にシフトさせる(ステップS506)。
【0069】
一方、保留数U2が0である場合(ステップS503でNO)、主制御基板30は、保留数U1が1以上であるか否かを判定する(ステップS507)。保留数U1が1以上である場合(ステップS507でYES)、主制御基板30は、第1保留記憶部61aにおいて最も先に記憶された遊技データを読み出し(ステップS508)、その保留数U1の値を1減算する(ステップS509)。そして、第1保留記憶部61aに記憶されている他の保留の記憶領域を順にシフトさせる(ステップS510)。また、保留数U1が0である場合(ステップS507でNO)、始動条件である第1始動口13又は第2始動口14へ入賞したことによる保留がないことを意味するため、特別図柄の変動表示を開始させることなく特別図柄処理を終了する。
【0070】
次に、ステップS504とステップS508のいずれか一方で遊技データの読み出しが行われた場合、その読み出した遊技データに基づく特別遊技判定のための処理(ステップS511乃至S517)へ進む。すなわち、主制御基板30は、まず現在の遊技機1の遊技状態が高確率状態(特定遊技状態ST4)であるか否かを判定し(ステップS511)、高確率状態であれば(ステップS511でYES)高確率用判定テーブルを選択して読み出し(ステップS512)、高確率状態でなければ通常確率用判定テーブルを選択して読み出す(ステップS513)。そして、主制御基板30は、遊技者に有利な特別遊技を行うか否か判定するための特別遊技判定処理を実行する(ステップS514)。この特別遊技判定処理(ステップS514)では、ステップS504又はS508で読み出された遊技データに含まれる大当たり乱数に基づいて大当たりの当否が判定されると共に、その判定結果に応じて特別図柄の変動表示を行う変動時間が決定される。特別遊技判定処理の詳細については後述する。
【0071】
主制御基板30は、特別遊技判定処理(ステップS514)を実行した後、その特別遊技判定処理で決定された変動時間に対応する装飾図柄12a、12b、12cの図柄変動演出(示唆遊技演出)を演出制御基板33に行わせるための変動開始コマンドをRAM30cにセットする(ステップS515)。そして、主制御基板30は、特別遊技判定処理で決定された変動時間に基づき特別図柄表示器22aにおいて特別図柄の変動表示を開始し(ステップS516)、変動時間が経過するまで変動表示を継続させるため、変動時間の計測を開始する(ステップS517)。
【0072】
一方、ステップS502において特別図柄変動中であると判定した場合(ステップS502でYES)、主制御基板30は、その辺同時間が終了したか否かを判定する(ステップS518)。ここでは、特別図柄の変動表示開始に伴いステップS517で計測が開始された変動時間が、特別遊技判定処理(ステップS514)で決定された変動時間に達したか否かが判定される。そして変動時間が終了していなければ(ステップS518でNO)、特別図柄の変動表示が継続されるため、そのまま特別図柄処理を終了する。これに対し、変動時間が終了していた場合には(ステップS518でYES)、主制御基板30は、演出制御基板33によって行われている図柄変動演出を停止させるための変動停止コマンドをRAM30cにセットする(ステップS519)。そして、特別図柄表示器22aにおける特別図柄の変動表示を特別遊技判定の結果に対応する停止図柄で停止させて(ステップS520)、計測された変動時間をリセットする(ステップS521)。そして、主制御基板30は停止中処理(ステップS522)を実行する。停止中処理の詳細については後述する。
【0073】
図12は、特別遊技判定処理(
図11のステップS514)の詳細を示すフローチャートである。この処理を開始すると、主制御基板30は、ステップS512又はS513で選択したテーブルに基づき、遊技データに含まれる大当たり乱数が大当たりであるか否かの特別遊技判定を行う(ステップS541)。そして、大当たりに当選したか否かを判定し(ステップS542)、大当たりに当選している場合(ステップS542でYES)、図柄乱数に基づき大当たりの種類を判定する(ステップS543)。大当たりの種類の判定を行う際には、判定対象となる図柄乱数が第1保留記憶部61aから読み出された乱数である場合と、第2保留記憶部61bから読み出された乱数である場合とによって参照するテーブルが異なる。そのため、同じ図柄乱数であっても第1保留記憶部61aから読み出された場合と、第2保留記憶部61bから読み出された場合とで異なる大当たりの種類が判定されることもある。そして、大当たりの種類が確定すると、主制御基板30は、特別図柄の変動表示後に停止させる停止図柄としてその大当たりの種類に対応した特別図柄をセットする(ステップS544)。また、主制御基板30は、ROM30bの変動パターンテーブル63から大当たり用変動パターンテーブルを参照して(ステップS545)変動パターン乱数などに基づき特別図柄の変動時間を決定する(ステップS546)。
【0074】
また、大当たりに当選していない場合(ステップS542でNO)、主制御基板30は、特別図柄の変動表示後に停止させる停止図柄として、図柄乱数に基づくハズレ図柄をセットする(ステップS547)。そして現在の遊技状態が特定遊技状態であるか否かを判定し(ステップS548)、特定遊技状態ST4であると判定した場合(ステップS548でYES)、主制御基板30は、ROM30bの変動パターンテーブル63から特定遊技用変動パターンテーブルを参照する(ステップS549)。そして、主制御基板30は図柄変動時間を決定して(ステップS550)特別遊技判定処理を終了する。
【0075】
現在の遊技状態が特定遊技状態ST4でないと判定した場合(ステップS548でNO)、時短遊技状態ST3であるか否かを判定する(ステップS553)。時短遊技状態ST3であると判定した場合(ステップS553でYES)、主制御基板30は、ROM30bの変動パターンテーブル63から時短遊技用変動パターンテーブルを参照し(ステップS554)、変動パターン乱数やリーチ乱数などに基づいて特別図柄の変動時間を決定して(ステップS555)特別遊技判定処理を終了する。
【0076】
さらに、時短遊技状態ST3でもないと判定した場合(ステップS553でNO)、主制御基板30は、ROM30bの変動パターンテーブル63から通常遊技用変動パターンテーブルを参照すると共に(ステップS556)、保留記憶部61に記憶されている保留数(例えば第1保留記憶部61aに記憶されている保留数U1の値)を確認する(ステップS557)。例えば、保留数が上限数に達している場合に、特別図柄の変動表示を効率的に消化していくため、保留数が上限数に達していない場合と比べて短い変動時間を決定するからである。そして、図柄変動時間を決定して(ステップS558)特別遊技判定処理を終了する。
【0077】
次に、
図13は停止中処理(
図11のステップS522)の詳細を示すフローチャートである。停止中処理において、特別図柄の変動表示が停止した後、遊技機1の遊技状態を特別遊技に移行させたり、時短遊技状態ST3を通常遊技状態ST1へ移行させたり、特定遊技状態ST4を通常遊技状態ST1に移行させたりする処理を行う。この停止中処理を開始すると、主制御基板30は、特別遊技に移行する大当たりを発生させるか否かを判定し(ステップS571)、特別遊技を発生させると判定した場合(ステップS571でYES)、その大当たりの種類に対応する特別遊技をセットする(ステップS572)。そして、演出制御基板33に特別遊技に対応する特別遊技演出を行わせるための特別遊技開始コマンドをRAM30cにセットする(ステップS573)。その後、主制御基板30は、特別遊技を開始する(ステップS574)。
【0078】
また、主制御基板30は、大当たりを発生させないと判定した場合(ステップS571でNO)、現在の遊技状態が特定遊技状態ST4であるか否かを判定する(ステップS575)。そして特定遊技状態ST4であると判定した場合(ステップS575でYES)、主制御基板30は、特定遊技状態ST4での残り変動回数SCの値を1減算する(ステップS576)。なお、この残り変動回数SCは、特別遊技が終了して特定遊技状態ST4へ移行するときに所定値(例えば100)がセットされ、残り変動回数SCが0になると特定遊技状態ST4から通常遊技状態ST1に戻る。主制御基板30は残り変動回数SCが0になったか否かを判断し(ステップS577)、0になっていれば(ステップS577でYES)それ以後の遊技状態を通常遊技状態ST1にセットする(ステップS578)。
【0079】
さらに主制御基板30は、現在の遊技状態が特定遊技状態ST4でないと判定した場合(ステップS575でNO)、現在の遊技状態が時短遊技状態ST3であるか否かを判定する(ステップS579)。その結果、時短遊技状態ST3である場合(ステップS579でYES)、時短遊技状態ST3での残り変動回数JCの値を1減算する(ステップS580)。なお、この残り変動回数JCは、特別遊技が終了して時短遊技状態ST3へ移行するときに所定値(例えば100)がセットされるものである。主制御基板30は、この残り変動回数JCの値を1減算した後、残り変動回数JCが0になったか否かを判定し(ステップS581)、0になっていると判定した場合(ステップS581でYES)には以降の遊技状態を通常遊技状態ST1にセットする(ステップS582)。なお、現在の遊技状態が通常遊技状態ST1である場合(ステップS579でNO)、停止中処理を終了する。
【0080】
図14及び15は、大入賞口処理(
図8のステップS108)の具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、主制御基板30において、現在の遊技状態が特別遊技中であるか否かを判定する(ステップS601)。特別遊技中でないと判定した場合(ステップS601でNO)、主制御基板30は大入賞口処理を終了する。他方、現在の遊技状態が特別遊技中であると判定した場合(ステップS601でYES)、次に、停止中処理(
図14)で開始させた特別遊技のオープニング動作中であるか否かを判定する(ステップS602)。なお、オープニングは時短設定など特別遊技の種類に応じて異なり得る。オープニング動作中であると判定した場合(ステップS602でYES)、さらに予め設定されたオープニング時間を経過したか否かを判定する(ステップS603)。
【0081】
オープニング時間を経過したと判定した場合(ステップS603でYES)、主制御基板30は、第1大入賞口15又は第2大入賞口16を開放するラウンド値Rに対し1加算する(ステップS604)。そして、特別遊技の種類を確認し、開放パターンを確認する(ステップS605)。開放パターンを確認すると、ラウンド値Rに応じた大入賞口の開放時間をセットする(ステップS606)。上述したように、例えばショート開放ラウンドの場合の大入賞口の開放時間は0.2秒程度であり、ロング開放ラウンドの場合の開放時間は25秒程度である。開放時間をセットすると、ラウンド値Rに対応する第1大入賞口15又は第2大入賞口16のいずれかを開放する(ステップS607)。大入賞口を開放すると、主制御基板30は、遊技球のVゲート18通過を検知したか否かを判定し(ステップS610)、遊技球によるVゲート18の通過を検知したと判定した場合(ステップS610でYES)、通過フラグをオンにセットする(ステップS612)。Vゲート18の通過を検知しなかったと判定した場合(ステップS610でNO)、ステップS612をスキップする。
【0082】
次に、主制御基板30は、ステップS606でセットした大入賞口の開放時間が経過したか否かを判定する(ステップS614)。開放時間を経過したと判定した場合(ステップS614でYES)、開放中の大入賞口を閉鎖する(ステップS618)。大入賞口が開状態から閉状態に移行したときに1つのラウンドが終了したことになる。他方、開放時間を経過していないと判定した場合(ステップS614でNO)、予め設定されているラウンド内に入賞可能な上限値の遊技球が入球したか否かを判定する(ステップS616)。入球した遊技球数が上限値に達していないと判定した場合には(ステップS616でNO)、大入賞口処理を終了し、上限値に達したと判定した場合には(ステップS616でYES)開放中の大入賞口を閉鎖させて(ステップS618)当該ラウンドを終了させる。大入賞口を閉鎖させると、次に現在のラウンド値Rが最終ラウンドを示す値であるか否かを判定する(ステップS620)。ラウンド値Rが最終ラウンドを示す値であると判定した場合(ステップS620でYES)、ラウンド値Rを0にリセットする(ステップS622)。そして、特別遊技終了後の遊技における特別遊技判定の当選確率を高確率又は通常確率のいずれかに設定するため、通過フラグがオンにセットされているか否かを判定する(ステップS624)。他方、ステップS620でラウンド値Rが最終ラウンドを示す値ではないと判定した場合(ステップS620でNO)、主制御基板30は大入賞口処理を終了する。
【0083】
通過フラグがオンにセットされていると判定した場合(ステップS624でYES)、主制御基板30は、特別遊技判定における当選確率を高確率にセットする(ステップS626)。そして、高確率状態において特別遊技判定を行う変動表示の回数(SC)を予め設定されている回数にセットする。高確率状態において特別遊技判定を行う変動表示回数(SC)をセットすると、次に通過フラグをオンからオフにセットする(ステップS628)。他方、通過フラグがオンにセットされていないと判定した場合(ステップS624でNO)、特別遊技判定における当選確率を高確率よりも低い通常確率にセットする(ステップS630)。
【0084】
次に、図柄乱数を参照して、特別遊技終了後の遊技において時短が設定されるか否かを判定する(ステップS632)。時短が設定されると判定した場合(ステップS632でYES)、主制御基板30は、特別遊技終了後の遊技において時短が設定される変動表示の回数(JC)をセットする(ステップS634)。時短が設定される変動表示回数(JC)は、ステップS626で高確率がセットされる変動表示回数(SC)と同じであってもよいし、異なってもよい。また、当該特別遊技中にVゲート18を遊技球が通過したか否かに応じて、時短が設定される変動表示回数(JC)をセットしてもよい。他方、時短が設定されないと判定した場合(ステップS632でNO)、ステップS634をスキップする。
【0085】
次に主制御基板30は、特別遊技のエンディングを開始し、時間計測を開始する(ステップS636)。そしてエンディングの終了タイミングが到来したか否かを判定し(ステップS638)、エンディングの終了タイミングが到来したと判定した場合(ステップS638でYES)、特別遊技終了コマンドをセットし(ステップS640)、特別遊技を終了する。特別遊技終了コマンドは、後述する出力処理により演出制御基板33に送信され、演出制御基板33は特別遊技終了コマンドを受信すると、実行中の特別遊技演出を終了させる。他方、エンディング終了タイミングが到来していないと判定した場合(ステップS638でNO)、ステップS640をスキップして大入賞口処理を終了する。
【0086】
なお、ステップS602でオープニング中でないと判定した場合(ステップS602でNO)、
図15に示すフローチャートに進み、さらに大入賞口が開放中であるか否かを判定する(ステップS651)。大入賞口が開放中であると判定した場合(ステップS651でYES)、
図14のステップS610以降の処理を実行する。他方、大入賞口が開放中でないと判定した場合(ステップS651でNO)、さらに特別遊技のエンディング中であるか否かを判定する(ステップS652)。そして、エンディング中であると判定した場合(ステップS652でYES)、
図14のステップS638以降の処理を実行する。他方、エンディング中ではないと判定した場合(ステップS652でNO)、さらに各ラウンドのインターバル時間を経過したか否かを判定する(ステップS653)。そして、インターバル時間を経過していると判定した場合(ステップS653でYES)、次のラウンドを開始させるためステップS604においてラウンド値Rに1加算し、ステップS604以降の処理を実行する。他方、インターバル時間を経過していないと判定した場合(ステップS653でNO)、大入賞口処理を終了する。
【0087】
次に
図16は、普通図柄処理(
図8のステップS109)の詳細を示すフローチャートである。この処理では先ず、遊技機1の現在の状態が補助遊技中であるか否かを判定する(ステップS701)。補助遊技中とは、普通図柄抽選に当選して電動チューリップ14aの開放動作中であることを示している。遊技機1において補助遊技が行われると、第2始動口14に遊技球が入賞し易くなるため、このような補助遊技もまた遊技者にとって有利な遊技状態のひとつである。そして補助遊技中である場合(ステップS701でYES)、主制御基板30は、普通図柄変動を開始することなく普通図柄処理を終了する。補助遊技中でない場合(ステップS701でNO)、遊技機1の現在の状態が普通図柄の変動表示中であるか否かを判定する(ステップS702)。普通図柄の変動表示中でないと判定した場合(ステップS702でNO)、普通図柄抽選の保留数Gが1以上であるか否かを判定する(ステップS703)。保留数Gが0である場合には(ステップS703でNO)、普通図柄抽選の始動条件となるスルーゲート21への遊技球通過がないことを意味し、普通図柄の変動表示を開始することなく普通図柄処理を終了する。
【0088】
これに対し、保留数Gが1以上であると判定した場合(ステップS703でYES)、主制御基板30は、最も先に記憶された保留に対応する遊技データ(普通図柄乱数)を読み出し(ステップS704)、保留数Gの値を1減算し(ステップS705)、他の保留を記憶する記憶領域をシフトさせる(ステップS706)。次に、主制御基板30は、保留から読み出した普通図柄乱数が所定の当選値であるか否かの当たり判定を行い、普通図柄抽選に当選したか否かを判定する(ステップS707)。普通図柄抽選に当選したと判定した場合(ステップS707でYES)、主制御基板30は、普通図柄抽選に当選したことを示す図柄(当たり図柄)をRAM30cにセットする(ステップS708)。普通図柄抽選に当選しなかったと判定した場合(ステップS707でNO)、普通図柄抽選に外れたことを示す図柄(ハズレ図柄)をRAM30cにセットする(ステップS709)。
【0089】
そして主制御基板30は、遊技機1の現在の遊技状態が通常遊技状態ST1であるか否かを判定し(ステップS710)、通常遊技状態ST1であると判定した場合(ステップS710でYES)、普通図柄の変動時間を長時間(図例では29秒)に設定する(ステップS711)。他方、現在の遊技状態が通常遊技状態ST1ではないと判定した場合、すなわち現在の遊技状態が時短遊技状態ST3又は特定遊技状態ST4であると判定した場合(ステップS710でNO)には、普通図柄の変動時間を短時間(図例では3秒)に設定する(ステップS712)。そして、主制御基板30は、ステップS711又はS712でセットした変動時間に基づき、普通図柄表示器22bにおいて普通図柄の変動表示を開始すると共に(ステップS713)、普通図柄の変動時間の計測を開始する(ステップS714)。
【0090】
なお、ステップS702において普通図柄が変動表示中であると判定した場合(ステップS702でYES)、主制御基板30は、普通図柄の変動時間が終了したか否かを判定する(ステップS715)。つまり、ステップS714で計測開始された変動時間が、ステップS711又はS712でセットされた変動時間に達したか否かが判定される。普通図柄の変動時間が終了していないと判定した場合(ステップS715でNO)、普通図柄処理を終了させる。他方、変動時間が終了したと判定した場合(ステップS715でYES)、主制御基板30は、普通図柄の変動表示を停止させ、ステップS708又はS709でセットされた図柄を表示する(ステップS716)。そして、計測された変動時間をリセットする(ステップS717)。次に、普通図柄抽選に当選したか否かを判定し(ステップS718)、当選したと判定した場合(ステップS718でYES)電動チューリップ14aを開放させるための補助遊技を開始する(ステップS719)。これにより遊技状態は補助遊技中となる。他方、普通図柄抽選に当選していないと判定した場合(ステップS718でNO)、普通図柄処理を終了する。
【0091】
次に
図17は、電チュー処理(
図8のステップS110)の詳細を示すフローチャートである。この処理では先ず、遊技機1の現在の状態が補助遊技中であるか否かを判定し(ステップS801)、補助遊技中でないと判定した場合(ステップS801でNO)、電動チューリップ14aを開放しないため、補助遊技処理を終了する。補助遊技中であると判定した場合(ステップS801でYES)、主制御基板30は、電動チューリップ14aが開放中であるか否かを判定し(ステップS802)、電動チューリップ14aが開放中でないと判定した場合(ステップS802でNO)、さらに現在の遊技状態が通常遊技状態ST1であるか否かを判定する(ステップS803)。そして、通常遊技状態ST1であると判定した場合(ステップS803でYES)、主制御基板30は、電動チューリップ14aの開放時間を短時間(図例では0.2秒)に設定する(ステップS804)。他方、通常遊技状態ST1ではないと判定した場合(ステップS803でNO)、この場合には現在の遊技状態は時短遊技状態ST3又は特定遊技状態ST4であることを意味し、主制御基板30は、電動チューリップ14aの開放時間を長時間(図例では3.5秒)に設定する(ステップS805)。電動チューリップ14aの開放時間をセットすると、主制御基板30は電動チューリップ14aを開放する(ステップS806)と共に、開放後の経過時間の計測を開始する(ステップS807)。
【0092】
なお、ステップS802において電動チューリップ14aが開放中であると判定した場合(ステップS802でYES)、ステップS803からS807の処理をスキップする。その後、主制御基板30は、ステップS804又はS805でセットされた開放時間を経過したか否かを判定し(ステップS808)、開放時間を経過したと判定した場合(ステップS808でYES)、電動チューリップ14aを閉鎖し(ステップS809)補助遊技を終了させる(ステップS810)。他方、開放時間を経過していないと判定した場合(ステップS808でNO)、ステップS809とS810をスキップして電チュー処理を終了する。
【0093】
図18は、出力処理(
図8のステップS111)の詳細を示すフローチャートである。この処理では、主制御基板30からサブ制御基板31に対して各種データやコマンドなどが出力される。まず、主制御基板30は、送信用遊技データがセットされている場合、それを演出制御基板33に送信する(ステップS901)。送信用遊技データがセットされていなければ、ステップS901の処理を行わない。次に変動開始コマンドがセットされている場合、それを演出制御基板33に送信し、特別図柄の変動時間に対応する図柄変動演出を行うよう指示する(ステップS902)。これにより、演出制御基板33によって装飾図柄12a、12b、12cを変動させる変動演出が開始される。なお、変動開始コマンドがセットされていなければ、ステップS902の処理を行わない。次に、変動停止コマンドがセットされている場合、それを演出制御基板33に送信し、演出制御基板33により実行されている変動演出を停止させて特別遊技判定の結果を遊技者に報知させる(ステップS903)。変動停止コマンドがセットされていなければ、ステップS903の処理を行わない。次に特別遊技開始コマンドがセットされている場合、それを演出制御基板33に送信し、特別遊技開始に伴う特別遊技演出の開始を指示する(ステップS904)。このとき送信される特別遊技開始コマンドには、特別遊技後の遊技状態が時短遊技状態ST3と特定遊技状態ST4のいずれであるかを示す情報が含まれる。なお、特別遊技開始コマンドがセットされていなければ、ステップS904の処理を行わない。次に、特別遊技終了コマンドがセットされている場合、それを演出制御基板33に送信し、特別遊技演出を終了させる(ステップS903)。特別遊技終了コマンドがセットされていない場合には、ステップS904の処理を行わない。次に、普通図柄変動開始コマンドがセットされている場合、それを演出制御基板33に送信し、普通図柄変動演出を行わせる(ステップS906)。普通図柄変動開始コマンドがセットされていなければステップS906の処理を行わない。最後に、その他各種コマンドがセットされていれば、それを演出制御基板33や払出制御基板32に送信することで、各部を制御する(ステップS907)。例えば遊技球が各種入賞口に入賞したことに伴う賞球コマンドはこのとき払出制御基板32に対して送信され、払出制御基板32により賞球の払い出しが行われる。以上で出力処理が終了する。
【0094】
以上のように、主制御基板30は、遊技球が第1始動口13又は第2始動口14に入賞することを条件として特別図柄の変動表示を開始すると共に、演出制御基板33に対してその特別図柄の変動表示や特別遊技に連動して各種演出を実行させるように制御する。
【0095】
次に、演出制御基板33の構成について説明する。
図19は、演出制御基板33における機能構成を模式的に示したブロック図である。演出制御基板33は、上述したとおり主制御基板30から種々のコマンドを入力し、それらのコマンドに応じて演出パターンを決定する。そして、決定した演出パターンに基づいて画像制御基板34やランプ制御基板35に演出を実行させる。また、演出制御基板33は、主制御基板30から遊技データを受信すると、受信した遊技データをRAM33cに保留として記憶すると共に、画像表示器12に、記憶された保留数に応じて保留表示を表示させる。以下、このような演出制御基板33の構成及び動作について詳しく説明する。
【0096】
図19に示すように、演出制御基板33のCPU33aは、主制御基板30から送信されるコマンドや遊技データを受け付けるコマンド受信部101と、コマンド受信部101が主制御基板30から送信された遊技データを受け付けてRAM33cに保留として記憶された場合に、事前演出を行うか否か事前判定を行う事前判定部103と、特別図柄の変動表示が行われる際に実行する演出の演出パターンを決定する演出パターン決定部105と、演出パターン決定部105により決定された演出パターンに基づいて図柄変動演出を行わせる図柄演出制御部107と、RAM33cに保留が記憶される場合に保留表示を行う保留表示制御部110として機能する。ROM33bは、特別図柄の変動表示が行われる際に実行される演出パターン130を記憶する。RAM33cは、コマンド受信部101が主制御基板30から第1始動口13への入球に基づく遊技データを受け付けた場合に、遊技データを受け付けた順に第1保留記憶領域120に記憶する。第1保留記憶領域120は、遊技データを受け付けられた順に4つまで記憶するため、第1保留記憶領域120a乃至120dをさらに備える。そして、コマンド受信部101により受け付けられた第1始動口13入球に基づく遊技データは、受け付けられた順に従って第1保留記憶領域120aから順に記憶される。また、第1保留記憶領域120に記憶される保留が消化される場合、先に記憶された順に消化される。例えば、第1保留記憶領域120aに記憶される保留から順に消化され、第1保留記憶領域120aに記憶される保留が消化された場合、第1保留記憶領域120bに記憶されている保留は、第1保留記憶領域120bから第1保留記憶領域120aへ移行する。同様に、第1保留記憶領域120cに記憶されている保留は、第1保留記憶領域120cから120bへ移行し、第1保留記憶領域120dに記憶されている保留は、第1保留記憶領域120dから120cへ移行する。
【0097】
RAM33cは、コマンド受信部101が主制御基板30から第2始動口14への入球に基づく遊技データを受け付けた場合、遊技データを受け付けた順に第2保留記憶領域122に記憶する。第2保留記憶領域122は、遊技データを受け付けられた順に4つまで記憶するため、第2保留記憶領域122a乃至122dをさらに備える。そして、コマンド受信部101により受け付けられた第2始動口14入球に基づく遊技データは、受け付けられた順に従って第2保留記憶領域122aから順に記憶される。また、第2保留記憶領域122に記憶される保留が消化される場合、先に記憶された順に消化される。例えば、第2保留記憶領域122aに記憶される保留から順に消化され、第2保留記憶領域122aに記憶される保留が消化された場合、第2保留記憶領域122bに記憶されている保留は、第2保留記憶領域122bから第2保留記憶領域122aへ移行する。同様に、第2保留記憶領域122cに記憶されている保留は、第2保留記憶領域122cから122bへ移行し、第2保留記憶領域122dに記憶されている保留は、第2保留記憶領域122dから122cへ移行する。
RAM33cは、コマンド受信部101が主制御基板30から第1始動口13への入球に基づく遊技データを受け付けた場合に、受け付けられた遊技データを第1保留記憶領域120として記憶する。また、RAM33cは、コマンド受信部101が主制御基板30から第2始動口14への入球に基づく遊技データを受け付けた場合に、受け付けられた遊技データを第2保留記憶領域122として記憶する。
【0098】
コマンド受信部101は、主制御基板30からのコマンドが入力された場合に、入力されたコマンドを受け付ける処理部である。コマンド受信部101は、主制御基板30から変動開始コマンドを受けた場合に、受け付けた変動開始コマンドから変動時間や特別遊技判定結果を読み取り、演出パターン決定部105に通知する。コマンド受信部101は、主制御基板30から第1始動口13への入球に基づく遊技データを受け付けた場合に、受け付けた遊技データをRAM33cに第1保留記憶領域120として記憶させる。コマンド受信部101は、主制御基板30から第2始動口14への入球に基づく遊技データを受け付けた場合に、受け付けた遊技データをRAM33cに第2保留記憶領域122として記憶させる。また、コマンド受信部101は、主制御基板30から第1始動口13又は第2始動口14への入球に基づく遊技データを受け付けた場合に、事前判定部103に対して通知を行う。
【0099】
事前判定部103は、RAM33cに第1保留記憶領域120又は第2保留記憶領域122が記憶されることに伴い、記憶された保留に基づく特別図柄の変動表示開始前に、当該保留について事前演出を行うか否か事前判定を行う処理部である。事前判定部103は、主制御基板30から当該保留に対応する遊技データと共に送信された特別遊技判定に関する先読み判定結果を参照して、当該保留が消化されて行われる特別図柄の変動表示の際に事前演出を行うか否かを判定する。本実施形態における事前演出は、事前判定部103による判定に基づいて設定される演出であり、事前演出を設定された保留より先にRAM33cに記憶された保留が消化される際に、事前演出を設定された保留についての特別遊技判定結果を示唆する演出である。事前演出の例として、例えば事前演出を設定された保留に対応する保留表示の表示態様を、当該保留が消化されるまでの間に変化させることが挙げられる。事前判定部103は、事前演出を設定する場合に、さらに当該保留に対応する保留表示の表示態様を変化させる回数を決定する。後述するように、保留表示の表示態様を変化させる回数が多くなるのに比例して、特別遊技判定において当選している可能性が高くなる。保留表示の表示態様が変化する回数が多い場合、遊技者は当該保留表示に対応する保留が特別遊技判定に当選しているのではないかとの期待感を高める。事前判定部103は、保留表示の表示態様の変化回数を決定すると、RAM33cにおける予告回数カウンタ124に決定した変化回数(カウント値(K))を記憶させる。そして、後述するように、図柄変動演出において保留表示の表示態様を変化させる演出パターンが選択された場合に、変化させる回数に応じて予告回数カウンタ124のカウント値(K)は減少する。
【0100】
演出パターン決定部105は、特別図柄の変動表示が行われる際に行う演出の演出パターンを決定する処理部である。主制御基板30から送信された変動開始コマンドをコマンド受信部101が受け付けると、コマンド受信部101は変動開始コマンドに含まれる変動時間や特別遊技判定結果を読み取り、演出パターン決定部105に通知する。演出パターン決定部105は、コマンド受信部101から通知された変動時間や特別遊技判定結果に基づいて、ROM33bに格納されている演出パターン130から一の演出パターン130を選択して、当該特別図柄の変動表示の際に行う演出の演出パターンに決定する。事前判定部103により事前演出を行うと判定された場合に、演出パターン決定部105は、主制御基板30により決定された変動時間に応じて、装飾図柄12a、12b、12cを特定態様で仮停止させる演出パターンを選択可能である。本実施形態において特定態様は、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全ての装飾図柄を、特定の図柄を表示させた態様であり、これによって保留表示の表示態様が変化することを示唆する。特定の図柄は、例えば文字、或いは記号を含む図柄であってもよいし、特定のキャラクターを含む図柄であってもよい。特定態様は、1種類の図柄であってもよいし、或いは複数種類の図柄であってもよい。
【0101】
演出パターン決定部105は、事前判定部103により事前演出を行うと判定された場合に、事前演出が設定された保留より先に記憶されている保留が消化されて行われる特別図柄変動の変動時間に応じて、装飾図柄12a、12b、12cを特定態様で仮停止させる演出パターンを選択可能である。そうすると、演出パターン決定部105は、事前判定部103により事前演出を行うと判定された場合に、主制御基板30により決定された変動時間が所定時間以下であれば、装飾図柄12a、12b、12cを特定態様で仮停止させる演出パターンを選択しないことがある。図柄変動演出中に装飾図柄12a、12b、12cの変動を仮停止させる演出パターンでは、装飾図柄12a、12b、12cを変動状態から仮停止させ、所定時間が経過するまで特定態様の図柄を表示させた後に、再び変動を開始させる。そのため、装飾図柄の仮停止を含む演出を行うためには、所定時間以上の変動時間を要する。そこで、事前判定部103により事前演出を行うと判定されたとしても、主制御基板30により決定された変動時間が仮停止を含む演出を実行するのに十分ではない場合、演出パターン決定部105は、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる演出パターンを選択しない。
【0102】
図柄演出制御部107は、特別図柄の変動表示に応じて装飾図柄12a、12b、12cの変動表示を行わせると共に、装飾図柄12a、12b、12cを確定停止させて特別遊技判定結果を示す処理部である。本実施形態において装飾図柄12a、12b、12cの確定停止は、主制御基板30から受信する変動停止コマンドに基づいて装飾図柄12a、12b、12cが所定の図柄を表示して停止し、特別遊技判定結果を報知することをいう。図柄演出制御部107は、演出パターン決定部105により特別図柄の変動表示の際に行う演出の演出パターンが決定されると、決定された演出パターンに基づいて装飾図柄12a、12b、12cを変動させ、所定時間経過後に装飾図柄12a、12b、12cを停止させて特別遊技判定の結果を遊技者に対して報知する。
【0103】
また、図柄演出制御部107は、事前判定部103により事前演出を行うと判定された場合に、当該判定の契機となった保留より先に記憶されている保留が消化されて、装飾図柄12a、12b、12cの変動表示を開始させてから確定停止させるまでの間に、特定態様で装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させることがある。図柄演出制御部107は、装飾図柄12a、12b、12cを特定態様で仮停止させることにより、画像表示器12の画面に表示される保留表示の表示態様が変化することを示唆する。本実施形態において特定態様で装飾図柄を仮停止させる場合、例えば図柄演出制御部107は、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる際に、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定の態様の図柄を表示させる。そして、装飾図柄12a、12b、12cが仮停止した状態を継続している間、当該特定の態様の図柄を継続して表示させる。
【0104】
保留表示制御部110は、RAM33cに記憶されている第1保留記憶領域120又は第2保留記憶領域122の保留数に応じて保留表示を行う処理部である。保留表示制御部110は、第1保留記憶領域120に記憶される保留の数に応じて、
図1の画像表示器12の画面内における第1保留表示領域J1乃至J4に保留表示を表示させ、また、第2保留記憶領域122に記憶される保留の数に応じて、第2保留表示領域J6乃至J9に保留表示を表示させる。そして主制御基板30から送信された遊技データをコマンド受信部101が受け付けると、コマンド受信部101は保留表示制御部110に通知する。保留表示制御部110はこの通知に応じて、画像表示器12の画面内に保留表示を表示させる。保留表示制御部110は、遊技データが第1始動口13又は第2始動口14のいずれに入球したことに基づくデータであるのかに応じて、第1保留表示領域J1乃至J4のいずれか、又は第2保留表示領域J6乃至J9のいずれかに保留表示を新たに表示させる。保留表示制御部110は、保留が消化されて特別図柄の変動表示が開始する場合に、消化された保留に対応する保留表示を消去すると共に、未だ消化されていない保留に対応する保留表示が表示されている場合に、図例では未消化の保留に対応する保留表示を、従前の表示位置から1つずつ左にシフトさせた位置に表示させる。
【0105】
保留表示制御部110は、図柄演出制御部107により装飾図柄12a、12b、12cが特定態様で仮停止されると、保留表示を通常とは異なる表示態様に変化させる。装飾図柄12a、12b、12cが仮停止すると共に、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部が特定態様の図柄を表示すると、保留表示制御部110は、演出パターン決定部105により決定された演出パターン130の設定に応じて、事前演出が設定された保留に対応する保留表示の表示態様を変化させる。
【0106】
図20は、装飾図柄12a、12b、12cの仮停止に伴って保留表示の表示態様が変化する場合の一例を示すタイミングチャートである。特別図柄変動中のタイミングTaにおいて保留Pd1が記憶されると、保留Pd1に対応する保留表示P1が通常の表示態様である第1態様にて画像表示器12に表示される。タイミングTaより後であって且つ保留Pd1が消化されるまでのタイミングTbにおいて保留Pd2が記憶されると、保留Pd2に対応する保留表示P2が画像表示器12に第1態様にて表示される。そして、保留Pd2に対する事前判定の結果、事前演出を行うと判定されると、演出制御基板33は、保留Pd2に対して事前演出を設定し、RAM33cの予告回数カウンタ124に事前演出として保留表示を変化させる回数をセットする。実行中の特別図柄の変動表示が終了すると、保留Pd1が消化される。タイミングT1において保留Pd1が消化されると、主制御基板30は特別図柄の変動表示を開始する。また、保留Pd1が消化されたことに基づく変動開始コマンドを演出制御基板33に送信する。そして、演出制御基板33が変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板33は、タイミングT1において保留表示P1を画像表示器12の画面から消去すると共に、保留Pd1消化に基づく特別図柄変動の際に行う演出の演出パターン130を決定し、決定した演出パターン130に基づく図柄変動演出を開始させる。保留Pd1が消化されたことに伴い、保留Pd2に対応する保留表示P2は、表示位置を左に1つシフトして、保留表示P1が消去されるまで表示されていた位置に表示される。
【0107】
前記のとおり保留Pd2について事前判定の結果、事前演出を行うとの判定がなされている。そして、演出制御基板33は、保留Pd1消化に基づく特別図柄変動の際に行う演出の演出パターンの決定において、RAM33cの予告回数カウンタ124を参照し、事前演出として保留表示の表示態様を変化させる回数を読み取る。次に、演出制御基板33は変動開始コマンドに含まれる変動時間を確認して、図柄変動演出において装飾図柄12a、12b、12cを特定態様にて仮停止させることが可能か否かを判定する。変動時間内に装飾図柄12a、12b、12cを特定態様にて仮停止させることが可能である場合に、演出制御基板33は、保留Pd1消化に基づく特別図柄変動の際に行う演出の演出パターンとして、装飾図柄12a、12b、12cに特定態様を表示させて仮停止させる演出を含む演出パターン130を選択する。タイミングT1において保留Pd1消化に対応する図柄変動演出が開始した後、所定のタイミングTk1において演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定態様の図柄を表示させて仮停止させると共に、保留表示P2の表示態様を、第1態様から第2態様に変化させる。すなわち、装飾図柄が特定態様にて仮停止するタイミングTk1において、保留表示P2は通常の表示態様である第1態様から特別な表示態様である第2態様に変化するのである。
【0108】
演出制御基板33は、タイミングTk1から例えば1〜2秒程度の所定時間が経過するまで、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定態様の図柄を表示させて仮停止させた状態を継続させ、所定時間が経過すると再び装飾図柄12a、12b、12cの変動表示を開始させる。そして、変動表示が開始した後に到来するタイミングTk2において、演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部の図柄に特定態様の図柄を表示させて仮停止させると共に、保留表示P2の表示態様を第2態様から第3態様に変化させる。そして、演出制御基板33は、装飾図柄12a、12b、12cを例えば1〜2秒程度の所定時間が経過するまで仮停止させた状態を継続させ、所定時間が経過すると再び装飾図柄12a、12b、12cの変動表示を開始させる。さらに、装飾図柄12a、12b、12cの変動が開始した後の所定のタイミングTk3において、演出制御基板33は、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定態様の図柄を表示させて仮停止させると共に、保留表示P2の表示態様を第3態様から第4態様に変化させる。
【0109】
演出制御基板33は、装飾図柄12a、12b、12cをタイミングTk3にて仮停止させてから所定時間(例えば1〜2秒程度)が経過するまで仮停止させた状態を継続させ、所定時間が経過すると再び装飾図柄12a、12b、12cの変動表示を開始させる。その後、主制御基板30から変動停止コマンドを受信すると、演出制御基板33は、保留Pd1消化に基づく特別図柄変動に対応する図柄変動演出を終了させ、装飾図柄12a、12b、12cを確定停止させて特別遊技判定結果を報知する。保留表示P2は、装飾図柄12a、12b、12cが確定停止する際にも特別の表示態様である第4態様にて継続して表示される。最後に、タイミングT2において保留Pd2が消化され、主制御基板30は保留Pd2の消化に基づく特別図柄変動を開始させると共に、演出制御基板33に対して変動開始コマンドを送信する。タイミングT2において主制御基板30から変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板33は、第4態様にて表示される保留表示P2を画像表示器12から消去すると共に、特別図柄変動に応じた演出の演出パターンを決定し、決定した演出パターンに基づく演出を実行させる。
【0110】
図柄変動演出実行中に装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定態様の図柄を表示させて仮停止させることに伴って、保留表示P2の表示態様が通常の表示態様から特別の表示態様に変化することにより、遊技者の保留Pd2に対する期待感が増大する。また、図柄変動演出実行中に装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部の図柄が特定態様を表示した状態で仮停止する毎に保留表示P2の表示態様が、第1態様から第2態様へ変化し、次に第2態様から第3態様へ変化し、さらに第3態様から第4態様へ変化する。そうすると、保留表示P2の表示態様が変化する毎に遊技者の保留Pd2に対する期待感は増大し、また、遊技者は図柄変動演出を注視するようになり、遊技に対する集中度が高まる。
【0111】
図21及び
図22は、装飾図柄が特定態様にて仮停止するのに伴い保留表示の表示態様が変化する場合の画面遷移の一例を示す図である。
図21及び
図22の画面遷移の例は、
図20に示すタイミングチャートに沿って図柄変動演出が行われる場合の例である。まず、図柄変動演出実行中に第1始動口13への入球に基づく保留Pd1が記憶され、保留Pd1が記憶された後に同じく第1始動口13への入球に基づく保留Pd2が記憶されると、
図21(a)に示すように、画像表示器12の画面G1において、保留Pd1に対応する保留表示P1が第1保留表示領域J1の表示位置に表示され、保留Pd2に対応する保留表示P2が第1保留表示領域J2の表示位置に表示される。保留表示P1及び保留表示P2はいずれも通常の表示態様(第1態様)にて表示される。
図21(b)のように図柄変動演出が終了すると、装飾図柄12a、12b、12cは所定の図柄を示した状態で確定停止して特別遊技判定の結果を報知する。次に
図20のタイミングT1にて保留Pd1が消化されると、
図21(c)に示すように装飾図柄12a、12b、12cが変動表示を開始すると共に、保留表示P1が画面G1から消去される。そして、保留表示P2は、第1表示態様を維持して第1保留表示領域J2の左隣に設けられる第1保留表示領域J1にシフトする。次に、
図21(d)に示すように、タイミングT1より後に到来するタイミングTk1において装飾図柄12a、12b、12cは変動を仮停止させ、微動を継続しながら所定の図柄を表示する。図例では、装飾図柄12a及び12cが所定の数字からなる図柄を表示し、装飾図柄12bが星の形状からなる特定態様図柄Tz1を表示する。そして、装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示して仮停止するのに伴い、保留表示P2は通常の表示態様である第1態様から特別の表示態様である第2態様に変化する。
【0112】
装飾図柄12a、12b、12cは、所定時間が経過するまで仮停止した状態を継続させる。そして、
図21(e)に示すように、所定時間が経過した後に装飾図柄12a、12b、12cは再び変動を開始する。保留表示P2は、特別の表示態様である第2態様にて第1保留表示領域J1に継続して表示される。
図20のタイミングTk2が到来すると、
図21(f)に示すように、装飾図柄12a、12b、12cは変動を仮停止させ、微動を継続しながら所定の図柄を表示する。図例では、装飾図柄12a及び12cは所定の数字からなる図柄を表示し、他方、装飾図柄12bは星の形状からなる特定態様図柄Tz1を表示する。タイミングTk2において装飾図柄12a、12b、12cが仮停止し、装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示するのに伴い、保留表示P2は第1保留表示領域J1において第2態様からさらにこれとは異なる特別の表示態様である第3態様に変化する。装飾図柄12a、12b、12cは、所定時間が経過するまで仮停止した状態を継続させ、
図22(g)のように所定時間経過後に再び変動を開始する。保留表示P2は、第1保留表示領域J1において第3態様にて継続して表示される。
【0113】
さらに、
図20のタイミングTk3が到来すると、
図22(h)のように装飾図柄12a、12b、12cは変動を仮停止させ、微動を継続しながら所定の図柄を表示する。図例では、装飾図柄12a及び12cは所定の数字からなる図柄を表示し、他方、装飾図柄12bは星の形状からなる特定態様図柄Tz1を表示する。タイミングTk3において装飾図柄12a、12b、12cが仮停止し、装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示するのに伴い、保留表示P2は第1保留表示領域J1において第3態様からさらにこれとは異なる特別の表示態様である第4態様に変化する。そして、装飾図柄12a、12b、12cは、所定時間が経過するまで仮停止した状態を継続させ、所定時間が経過すると
図22(i)のように再び変動を開始する。保留表示P2は、第1保留表示領域J1において第4態様にて継続して表示される。
【0114】
最後に、
図22(j)に示すように保留Pd2消化に基づく特別図柄変動が終了するのに伴って図柄変動演出も終了する。そして、装飾図柄12a、12b、12cは確定停止して所定の図柄を表示する。保留表示P2は、装飾図柄12a、12b、12cが確定停止している間、画面G1の第1保留表示領域J1において第4態様にて継続して表示される。そして、
図20のタイミングT2において第2保留Pd2が消化されると、図柄変動演出が開始して
図22(k)のように装飾図柄12a、12b、12cが変動を開始する。また、第2保留Pd2の消化に伴い、保留表示P2が画面G1から消去される。装飾図柄12a、12b、12cは変動を継続し、所定時間経過後に
図22(l)に示すように所定の図柄を表示して確定停止し、特別遊技判定の結果を報知するのである。
【0115】
図21及び
図22に示すように、演出制御基板33は、事前判定により事前演出を行うと判定された保留Pd2より先に記憶された保留Pd1に基づく特別図柄変動に伴って実行される図柄変動演出中に装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させ、装飾図柄12a、12b、12cのいずれかが特定態様図柄Tz1を表示する毎に、保留Pd2に対応する保留表示P2の表示態様を変化させる。図柄変動演出中に装飾図柄が仮停止すると、遊技者は当該変動表示における特別遊技判定に当選したのではないかとの期待感を抱くのが通常である。本実施形態において、装飾図柄の仮停止に伴って保留Pd2に対応する保留表示P2の表示態様が変化するため、遊技者は、当初想定していなかった保留Pd2についての特別遊技判定の結果に対して期待感を抱くことになり、遊技の意外な展開を楽しむことができるのである。さらに、装飾図柄が1回の図柄変動演出実行中に複数回特定態様図柄Tz1を表示して仮停止を行うことがあり、特定態様図柄Tz1が表示される毎に保留表示P2の表示態様が変化する。そうすると、特定態様図柄Tz1が表示されて保留表示P2の表示態様が変化する度に遊技者の保留Pd2に対する期待感が高まることから、遊技の興趣性がより一層高まる。なお、
図21及び
図22の例では、装飾図柄が仮停止する際に装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示する例を示したが、これに限られず、装飾図柄12a又は12cが特定態様図柄Tz1を表示してもよい。また、装飾図柄12a、12b、12cのうち複数の装飾図柄が特定態様図柄Tz1を表示してもよい。さらに、装飾図柄12a、12b、12cのうち複数の装飾図柄が特定態様図柄Tz1を表示して仮停止を行う場合に、保留表示P2の表示態様を、表示された特定態様図柄Tz1の数に応じて例えば第1態様から第4態様に変化させてもよい。なお、図例では第1始動口13への入球に基づき記憶された保留Pd1及びPd2について示したが、保留Pd1及びPd2のいずれかが第2始動口14への入球に基づき記憶された保留である場合、第2始動口14への入球に基づく保留が優先して消化される。
【0116】
次に、保留表示の変化の態様について説明する。
図23は、保留表示の表示態様の変化の例を示す表である。
図23(a)に示すように、例えば保留表示の表示態様として第1段階から第4段階まで設定され、各段階に対応付けられる保留表示の表示態様として第1態様から第4態様まで設定される。第1段階における保留表示の第1態様は通常の表示態様であり、保留が記憶されることに伴って当該保留に対応する保留表示が画面G1に表示される場合に、当初第1態様にて表示される。先に記憶された保留の消化に基づく図柄変動演出実行中に装飾図柄12a、12b、12cが仮停止し、いずれか又は全部の装飾図柄が特定態様図柄Tz1を表示する毎に、保留表示の表示態様は1段階ずつ上の段階に移行し、第1態様から順に上の態様に変化する。図例では、保留表示の第1態様から第4態様は、保留表示をそれぞれ異なる色で表示する態様である。これとは異なり、演出制御基板33は、1回の装飾図柄12a、12b、12cの仮停止の際に、保留表示の表示態様を1段階ずつ上の段階に移行させるのではなく、例えば第1段階から第3段階、或いは第1段階から第4段階など1段階以上上の段階の表示態様に変化させてもよい。例えば、
図21及び22の画面遷移の例において、装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を赤色で表示させて仮停止し、これに応じて保留表示P2の表示態様を第1態様(緑色)から第4態様(赤色)に変化させてもよい。なお、装飾図柄12a、12b、12cの仮停止の際に、保留表示の態様を現在の段階より低い段階の態様に変化させることはない。
【0117】
そして、保留表示の表示態様が上の段階に移行することにより、当該保留表示に対応する保留が特別遊技判定に当選している可能性は高くなる。
図24は、事前判定において保留表示の表示態様を変化させるか否かを判定する場合の事前判定テーブルの一例を示す図である。保留が記憶されることにより主制御基板30から送信された当該保留の遊技データ及び先読み判定結果を受信すると、演出制御基板33は当該保留について事前判定を行う。そして、先読み判定結果に応じて事前演出として保留表示の表示態様を変化させる回数を決定する。図例では、先読み判定結果が「リーチ無しハズレ」である場合に、保留表示変化回数のうち、表示態様を変化させる回数が「0回」に決定される割合は例えば70%程度で最も高く、次いで、表示態様を変化させる回数が「1回」に決定される割合は30%程度であり、表示態様を変化させる回数が「2回」又は「3回」に決定される割合は0%に設定される。つまり、先読み判定結果が「リーチ無しハズレ」である場合、保留表示の表示態様が2回以上変化することはない。先読み判定の結果が「リーチハズレ」である場合に、保留表示の表示態様を変化させる回数が「1回」に決定される割合は例えば60%程度で最も高く、次いで、表示態様を変化させる回数が「2回」に決定される割合は30%程度であり、表示態様を変化させる回数が「0回」又は「3回」に決定される割合がそれぞれ5%程度の低い割合に設定される。最後に、先読み判定結果が「大当たり」である場合に、保留表示の表示態様を変化させる回数が「3回」に決定される割合は例えば60%程度で最も高く、次いで、表示態様を変化させる回数が「2回」に決定される割合が30%程度であり、表示態様を変化させる回数が「1回」に決定される割合が7%程度で、表示態様を変化させる回数が「0回」に決定される割合は3%程度の極めて低い割合に決定される。図例の事前判定テーブルによると、保留表示の表示態様を変化させる回数が多くなるのに比例して、当該保留表示に対応する保留が特別遊技判定に当選している確率は高くなる。そうすると、保留表示の表示態様の変化回数が多くなるのに比例して、当該保留の特別遊技判定当選に対する期待度は増大する。そして、
図23(a)において示したように、保留表示が1段階ずつ上の段階の表示態様に変化する場合、保留表示が変化する度に遊技者の期待が増大し、遊技の興趣性が高まるのである。
【0118】
図23(b)は、保留表示の各段階における表示態様がそれぞれ異なる形状である場合の一例を示す図である。図例では、第1段階における表示態様(第1態様)は円形であり、段階が上がる毎に保留表示が異なる形状に変化する。すなわち、保留が記憶されて主制御基板30から保留に関する遊技データを受信すると、演出制御基板33は、当該保留に対応する保留表示を画面G1内の所定表示位置に第1態様(円形)にて表示させる。そして、当該保留より先に記憶された保留消化に基づく図柄変動演出実行中に装飾図柄12a、12b、12cが仮停止し、装飾図柄のいずれかが特定態様図柄を表示すると、演出制御基板33は、表示された特定態様図柄に応じて当該保留に対応する保留表示の表示態様を変化させてもよい。この場合、演出制御基板33は、装飾図柄を仮停止させる際に、
図23(b)に示す保留表示の表示態様と同形状の特定態様図柄を表示させる演出パターン130を予め保持する。
【0119】
図25及び
図26は、装飾図柄の特定態様に応じて保留表示の表示態様を変化させる場合の画面遷移の一例を示す図である。
図25及び
図26に示す画面遷移の例は、
図20のタイミングチャートに沿って行われるものである。
図25(a)に示すように図柄変動演出が行われ、画面G1内で装飾図柄12a、12b、12cが変動中のタイミングTaにおいて、第1始動口13への入球に基づく保留Pd1が記憶されると、保留Pd1に対応する保留表示P1が第1保留表示領域J1に第1態様(円形)にて表示される。保留Pd1が記憶されたタイミングより後のタイミングTbにおいて同じく第1始動口13への入球に基づく保留Pd2が記憶されると、保留表示P1が表示されている右隣の第1保留表示領域J2に、保留表示P2が第1態様(円形)にて表示される。そして、保留Pd2の記憶によって行われる事前判定において、事前演出として保留表示P2を3回変化させると判定された場合、予告回数カウンタ124のカウント値(K)が3に設定される。
図25(b)に示すように図柄変動演出の終了により装飾図柄12a、12b、12cが確定停止して所定の図柄を表示すると、引き続いてタイミングT1にて保留Pd1が消化され、保留Pd1の消化に基づく特別図柄変動が開始すると共に、
図25(c)に示すように図柄変動演出が開始する。保留Pd1の消化に伴う図柄変動演出の演出パターンの決定において、演出制御基板33は予告回数カウンタ124のカウント値(K)を参照し、変動開始コマンドに含まれる変動時間が装飾図柄12a、12b、12cを3回仮停止させることが可能であると判定すると、当該図柄変動演出中に装飾図柄を3回仮停止させ、保留表示P2の表示態様を3回変化させる演出パターンを選択する。図柄変動演出が開始すると装飾図柄12a、12b、12cはそれぞれ変動を開始する。保留Pd1が消化されたタイミングT1にて保留表示P1が画面G1内から消去されると共に、保留表示P2が第1態様を保持したまま第1保留表示領域J2から左隣の第1保留表示領域J1にシフトする。
【0120】
そして、図柄変動演出実行中の所定タイミングTk1が到来すると、
図25(d)に示すように、演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる。仮停止した装飾図柄12aおよび12cは所定の図柄を表示するのに対し、装飾図柄12bは、例えばスペードの形状からなる特定態様図柄Tz2を表示する。装飾図柄12bが特定態様図柄Tz2を表示するのに伴い、保留表示P2は、第1保留表示領域J1において第2態様であるスペードの形状に変化する。すなわち、保留表示P2の表示態様は、装飾図柄が示す特定態様図柄Tz2に応じて、第1態様から第2態様であるスペードの形状に変化するのである。装飾図柄12a、12b、12cは所定時間が経過するまでの間、仮停止した状態を継続させる。そして、所定時間が経過すると、
図25(e)に示すように装飾図柄12a、12b、12cは再び変動を開始する。保留表示P2は第2態様であるスペードの形状のまま継続して第1保留表示領域J1に表示される。
【0121】
さらに、タイミングTk2が到来すると、
図25(f)に示すように演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる。仮停止した装飾図柄12a及び12cは例えば数字からなる所定の図柄を表示するのに対し、装飾図柄12bは、例えばハートの形状からなる特定態様図柄Tz3を表示する。装飾図柄12bが特定態様図柄Tz3を表示するのに伴い、保留表示P2は、第1保留表示領域J1において第3態様であるハートの形状に変化する。すなわち、保留表示P2の表示態様は、装飾図柄が示す特定態様図柄Tz3に応じて、第2態様であるスペードの形状から第3態様であるハートの形状に変化するのである。装飾図柄12a、12b、12cは、所定時間が経過するまでの間、仮停止した状態を継続させ、所定時間が経過すると
図26(g)に示すように再び変動を開始する。保留表示P2は、第3態様であるハートの形状のまま継続して第1保留表示領域J1に表示される。
【0122】
タイミングTk3が到来すると、
図26(h)に示すように演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる。仮停止した装飾図柄12a及び12cは例えば数字からなる所定の図柄を表示するのに対し、装飾図柄12bは、例えばひし形状の特定態様図柄Tz4を表示する。装飾図柄12bが特定態様図柄Tz4を表示するのに応じて、保留表示P2は第3態様であるハートの形状から第4態様であるひし形状に変化する。装飾図柄12a、12b、12cは、所定時間が経過するまでの間、仮停止した状態を継続させ、所定時間が経過すると
図26(i)に示すように再び変動を開始する。保留表示P2は、第4態様にて継続して第1保留表示領域J1に表示される。
【0123】
そして、保留Pd1の消化に基づく特別図柄変動が終了すると、これに伴い図柄変動演出が終了し、装飾図柄12a、12b、12cは所定の図柄を表示して確定停止する。保留表示P2は、装飾図柄12a、12b、12cが確定停止している間、第4態様にて第1保留表示領域J1に継続して表示される。そして最後に、タイミングT2において保留Pd2が消化されると、保留Pd2消化に基づく特別図柄変動が開始し、これに伴って
図26(k)のように図柄変動演出が開始する。また、タイミングT2において保留Pd2が消化されることにより、保留表示P2が画面G1内から消去される。図柄変動演出が開始してから所定時間行われた後に終了すると、
図26(l)に示すように装飾図柄12a、12b、12cは、所定の図柄を表示して確定停止し、特別遊技判定の結果を報知する。図例において、装飾図柄が特定態様図柄Tz2、Tz3及びTz4を表示するのに応じて、保留表示P2は第1段階から第4段階まで1段階ずつ順に表示態様を変化させる場合を示した。しかし、これとは異なり、例えば保留表示P2が第1段階に対応する第1態様にて表示されている場合に、装飾図柄が仮停止した際にひし形状の特定態様図柄Tz4を表示すると、保留表示P2はこれに応じて第4段階に対応する第4態様(ひし形状)に変化してもよい。また、図例では特定態様図柄の形状に応じて保留表示P2を変化させる場合を示したが、これに限らず、例えば、特定態様図柄の色に応じて保留表示P2を変化させてもよい。或いは装飾図柄12a、12b、12cの仮停止の際に表示される特定態様図柄の数に応じて保留表示P2を変化させてもよい。
【0124】
上述したように、演出パターン決定部105は、事前判定部103により事前演出を行うと判定された場合に、この事前判定の契機となった保留より先に記憶されている保留の変動時間に応じて、装飾図柄12a、12b、12cを特定態様で仮停止させる演出パターンを選択するか否か判定する。そして、事前判定部103により事前演出を行うと判定された場合であっても、この事前判定の契機となった保留より先の保留が消化される際に、主制御基板30から受信する変動開始コマンドに含まれる変動時間が、装飾図柄の仮停止を含む図柄変動演出を実行するのに十分でない場合、演出パターン決定部105は装飾図柄を仮停止させる演出パターンを選択しない。また、演出パターン決定部105は、変動開始コマンドに含まれる変動時間に基づき、当該特別図柄変動に伴って行われる図柄変動演出において装飾図柄を仮停止させる回数を決定する。
【0125】
図27は、事前判定により事前演出が設定されている場合に、図柄変動演出において装飾図柄を仮停止させる回数を判定する停止回数判定テーブルの一例を示す図である。演出パターン決定部105は、変動時間を確認すると共に、予告回数カウンタ124のカウント値(K)を確認する。そして、当該特別図柄変動に伴う図柄変動演出において装飾図柄を仮停止させる回数、すなわち保留表示の表示態様を変化させる回数を判定する。例えば変動時間が「5秒」である場合、図柄変動演出中に装飾図柄を仮停止させる演出を行うことは極めて困難である。そこで、変動時間が「5秒」である場合、演出パターン決定部105は、予告回数カウンタ124のカウント値(K)の値にかかわらず、装飾図柄を仮停止させる回数を「0回」に決定する。そして、演出パターン決定部105は装飾図柄を仮停止させない演出パターン130を選択することになる。すなわち、事前判定部103による事前判定において事前演出を行うと判定された場合に、演出パターン決定部105は、変動時間が所定値以下であることを条件として装飾図柄に特定態様図柄を表示させて仮停止させない演出パターンを選択するのである。これにより、保留表示の表示態様も変化しないことになる。次に、変動時間が「10秒」である場合、予告回数カウンタ124のカウント値(K)が1乃至3のいずれであっても、演出パターン決定部105は、装飾図柄を1回仮停止させる演出パターン130を選択する。すなわち、変動時間が10秒程度あれば図柄変動演出中に装飾図柄を1回仮停止させることが可能である。そこで、カウント値(K)の値にかかわらず、演出パターン決定部105は、装飾図柄を1回仮停止させる演出パターン130を選択することになる。すなわち、事前判定部103による事前判定において事前演出を行うと判定された場合に、演出パターン決定部105は、変動時間に応じて、当該変動時間内に実行可能な回数の範囲内において装飾図柄に特定態様図柄を表示させて仮停止させる演出パターンを選択するのである。
【0126】
次に、変動時間が「30秒」である場合、図柄変動演出中に装飾図柄を2回まで仮停止させることが可能である。そこで、変動時間が「30秒」である場合に、演出パターン決定部105は、装飾図柄を1回又は2回仮停止させる演出パターン130を選択可能となる。例えば、予告回数カウンタ124のカウント値(K)が「1」である場合、すなわち、事前判定において保留表示の表示態様を1回変化させる事前演出が設定されている場合に、演出パターン決定部105は、図柄変動演出中に装飾図柄を仮停止させる回数を「1回」に決定し、装飾図柄を1回仮停止させる演出パターン130を選択する。また、カウント値(K)が「2」又は「3」である場合に、演出パターン決定部105は、図柄変動演出中に装飾図柄を仮停止させる回数を「2回」に決定し、装飾図柄を2回仮停止させる演出パターン130を選択する。
【0127】
変動時間が「60秒」である場合、演出パターン決定部105は、装飾図柄の仮停止回数を最大3回に決定可能である。すなわち、変動時間が60秒である場合、図柄変動演出中に3回まで装飾図柄を仮停止させることが可能である。そこで、演出パターン決定部105は、予告回数カウンタ124のカウント値(K)に応じて装飾図柄を仮停止させる回数を決定できる。カウント値(K)が「1」の場合に、演出パターン決定部105は、装飾図柄を仮停止させる回数を「1回」に決定し、装飾図柄を1回仮停止させる演出パターン130を選択し、カウント値(K)が「2」の場合には、装飾図柄を仮停止させる回数を「2回」に決定し、装飾図柄を2回仮停止させる演出パターン130を選択し、カウント値(K)が「3」の場合には、装飾図柄を仮停止させる回数を「3回」に決定し、装飾図柄を3回仮停止させる演出パターン130を選択する。最後に、変動時間が「90秒」である場合も、演出パターン決定部105は装飾図柄の仮停止回数を最大3回に決定可能であり、予告回数カウンタ124のカウント値(K)に応じて装飾図柄を仮停止させる回数を決定できる。
【0128】
図28は、変動時間に応じて図柄変動演出中に装飾図柄を仮停止させる場合の一例を示すタイミングチャートである。特別図柄変動実行中の所定タイミングTaにおいて第1始動口13への入球が検知されて保留Pd1が記憶されると、保留Pd1に対応する保留表示P1が画面G1における第1保留表示領域J1に表示される。タイミングTaより後のタイミングTbにおいて同じく第1始動口13への入球による保留Pd2が記憶されると、保留表示P1の右隣の第1保留表示領域J2に保留表示P2が表示される。さらにタイミングTbより後のタイミングTcにおいて第1始動口13への入球による保留Pd3が記憶されると、保留表示P2の右隣の第1保留表示領域J3に保留表示P3が表示される。保留表示P1乃至P3はいずれも、第1段階の表示態様である第1態様にて表示される。なお、図例では、保留Pd3に対する事前判定の結果、保留表示P3の表示態様を3回変化させる事前演出を行うと決定され、予告回数カウンタ124のカウンタ値(K)が「3」に設定されている。
【0129】
そして実行中の特別図柄変動が終了して、タイミングT1において保留Pd1が消化されると、主制御基板30から演出制御基板33に対して変動開始コマンドが送信される。そして、主制御基板30から送信された変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板33は変動時間を確認し、当該特別図柄変動に伴う図柄変動演出の演出パターン130を決定する。ここで、変動開始コマンドに含まれる変動時間が、図柄変動演出中に装飾図柄を1回仮停止させることが可能な変動時間(例えば10秒)である場合、演出制御基板33は、装飾図柄を1回仮停止させる演出パターン130を選択する。そして、演出制御基板33は、予告回数カウンタ124のカウント値(K)を1減じると共に、選択した演出パターン130に基づく図柄変動演出を実行させる。また、演出制御基板33は、保留Pd1の消化に伴って保留表示P1を画面G1から消去する。演出パターン130において設定されたタイミングTk1が到来すると、演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させると共に、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定態様図柄Tz1を表示させる。また、タイミングTk1において保留表示P3を第1態様から第2態様に変化させる。タイミングTk1から所定時間が経過するまで装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させると、演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cの変動を開始させる。そして、主制御基板30から変動停止コマンドを受信すると、図柄変動演出を終了させて装飾図柄12a、12b、12cを確定停止させる。
【0130】
次に、タイミングT2において保留Pd2が消化されると、主制御基板30から演出制御基板33に対して変動開始コマンドが送信される。この変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板33は変動時間を確認し、当該特別図柄変動に伴う図柄変動演出の演出パターン130を決定する。変動時間が例えば30秒、60秒或いは90秒であって、図柄変動演出実行中に装飾図柄を少なくとも2回仮停止可能な場合、演出制御基板33は、予告回数カウンタ124のカウント値(K)を参照し、カウント値(K)が「2」であることを確認して、装飾図柄を2回仮停止させる演出パターン130を選択する。そして、演出制御基板33は、予告回数カウンタ124のカウント値(K)から2減じると共に、選択した演出パターン130に基づいて図柄変動演出を実行させる。また、保留Pd2の消化により保留表示P2を画面G1から消去すると共に、第2態様にて表示される保留表示P3を第1保留表示領域J2の位置から左隣の第1保留表示領域J1に移動させる。そして、図柄変動演出中の所定タイミングTk2において、演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させると共に、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定態様図柄Tz1を表示させる。演出制御基板33は、タイミングTk2において保留表示P3を第2態様から第3態様に変化させ、継続して第1保留表示領域J1に表示させる。
【0131】
演出制御基板33は、装飾図柄12a、12b、12cを所定時間仮停止させた後に、変動を開始させる。そして、演出パターン130において設定された所定のタイミングTk3が到来すると、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させて、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定態様図柄Tz1を表示させる。また、保留表示P3を第3態様から第4態様に変化させ、第1保留表示領域J1に継続して表示させる。そして、演出制御基板33は所定時間経過後に装飾図柄12a、12b、12cの変動を開始させ、主制御基板30から変動停止コマンドを受信すると図柄変動演出を終了させ、装飾図柄12a、12b、12cを確定停止させて特別遊技判定結果を報知させる。なお、保留表示P3は、装飾図柄12a、12b、12cが確定停止している間、継続して第4態様にて第1保留表示領域J1に表示される。最後に、タイミングT3において保留Pd3が消化されることにより主制御基板30から変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板33は、変動開始コマンドに応じて図柄変動演出を開始すると共に、保留表示P3を画面G1から消去する。そして、変動停止コマンドを受信すると、演出制御基板33は図柄変動演出を終了し、装飾図柄12a、12b、12cを確定停止させて特別遊技判定結果を報知させる。
【0132】
図29乃至
図31は、
図28のタイミングチャートに沿って保留表示の表示態様を変化させる場合の画面遷移の一例を示す図である。
図29(a)において、特別図柄変動に伴う図柄変動演出実行中に、第1始動口13への入球に基づいて保留Pd1、P2、P3が順に記憶されると、保留Pd1に対応する保留表示P1が画面G1の第1保留表示領域J1に表示され、保留Pd2に対応する保留表示P2が保留表示P1の表示位置の右隣の第1保留表示領域J2に表示され、保留Pd3に対応する保留表示P3が保留表示P2の表示位置の右隣の第1保留表示領域J3に表示される。保留表示P1、P2、P3はいずれも第1態様にて表示される。そして、保留Pd3に対する事前判定において、保留表示P3の表示態様を3回変化させる事前演出を行うと判定され、当該判定に基づいて予告回数カウンタ124のカウンタ値(K)が「3」に設定されている。
図29(b)に示すように図柄変動演出が終了すると、装飾図柄12a、12b、12cは確定停止して特別遊技判定結果を報知する。
【0133】
次に、タイミングT1において保留Pd1が消化されると、
図29(c)に示すように保留Pd1の消化に伴う図柄変動演出が開始して装飾図柄12a、12b、12cが変動を開始する。そして、保留表示P1が画面G1から消去されると共に、保留表示P2及び保留表示P3がそれぞれ1つずつ左隣にシフトし、保留表示P2が第1保留表示領域J1に、保留表示P3が第1保留表示領域J2にそれぞれ第1態様にて表示される。保留Pd1の消化に伴う図柄変動演出実行中のタイミングTk1が到来すると、
図29(d)に示すように装飾図柄12a、12b、12cが仮停止すると共に、装飾図柄12bが保留表示の態様の変化を示唆する特定態様図柄Tz1を表示する。装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示すると、事前判定の結果、事前演出を設定された保留Pd3に対応する保留表示P3が、第1保留表示領域J2において表示態様を第1態様から第2態様に変化させる。装飾図柄12a、12b、12cは、タイミングTk1から所定時間が経過するまで
図29(d)のように微動を継続しながら変動を停止した状態を維持する。所定時間が経過すると装飾図柄12a、12b、12cは
図29(e)に示すように再び変動を開始する。そして、保留Pd1消化に伴う図柄変動演出が終了すると、
図29(f)に示すように装飾図柄12a、12b、12cが所定の図柄を表示して確定停止する。これによって特別遊技判定結果を遊技者に対して報知する。装飾図柄12a、12b、12cが確定停止している間、保留表示P2は第1保留表示領域J1に第1態様にて継続して表示され、保留表示P3は第1保留表示領域J2に第2態様にて継続して表示される。
【0134】
次に、タイミングT2において保留Pd2が消化されると、保留Pd2の消化に伴う図柄変動演出が開始し、
図30(g)に示すように装飾図柄12a、12b、12cが変動を開始する。また、保留Pd2に対応する保留表示P2が画面G1から消去されると共に、保留表示P3が1つ左隣にシフトして第1保留表示領域J1に第2態様にて表示される。保留Pd2の消化に伴う図柄変動演出実行中の所定タイミングTk2が到来すると、
図30(h)に示すように、装飾図柄12a、12b、12cが仮停止すると共に、装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示する。装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示すると、保留表示P3が第1保留表示領域J1において第2態様から第3態様に変化する。装飾図柄12a、12b、12cは、タイミングTk2から所定時間が経過するまで、
図30(h)に示すように微動を継続しながら変動を停止した状態を維持する。所定時間が経過すると、装飾図柄12a、12b、12cは
図30(i)に示すように再び変動を開始する。保留表示P3はタイミングTk2において第3態様に変化すると、継続して第3態様にて表示される。装飾図柄12a、12b、12cが再び変動を開始してから後にタイミングTk3が到来すると、
図30(j)に示すように装飾図柄12a、12b、12cが再び仮停止すると共に、装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示する。装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示すると、保留表示P3は、第1保留表示領域J1において第3態様から第4態様に変化する。装飾図柄12a、12b、12cは、タイミングTk3から所定時間が経過するまで
図30(j)のように微動を継続しながら変動を停止した状態を維持する。所定時間が経過すると、装飾図柄12a、12b、12cは
図30(k)に示すように再び変動を開始する。保留表示P3は第4態様に変化した状態で第1保留表示領域J1に継続して表示される。そして、タイミングTk3より後にタイミングT3が到来すると、保留Pd2の消化に伴う図柄変動演出は終了し、
図30(l)に示すように装飾図柄12a、12b、12cは所定の図柄を表示して確定停止する。なお、保留表示P3は、装飾図柄12a、12b、12cが確定停止している間、第4態様にて第1保留表示領域J1に継続して表示される。最後に、タイミングT3において保留Pd3が消化されると、保留Pd3の消化に伴って図柄変動演出が開始し、
図31(m)に示すように装飾図柄12a、12b、12cの変動が開始する。また、保留表示P3が画面G1から消去される。これにより、遊技者は保留表示3に対応する保留Pd3が消化され、保留Pd3の消化に伴う図柄変動演出が開始したことを認識できる。そして、保留表示P3は、画面G1に表示されてから消去されるまでの間に表示態様が3回変化している。そのため、遊技者は当該図柄変動演出の結果において大当たりするのではないかとの期待を抱く。保留Pd3消化に伴う図柄変動演出がタイミングT4にて終了すると、
図31(n)に示すように装飾図柄12a、12b、12cは所定の図柄を表示して確定停止し、特別遊技判定の結果を報知する。
【0135】
保留表示制御部110は、装飾図柄12a、12b、12cが仮停止して特定態様図柄Tz1を表示すると、事前判定部103による事前判定において事前演出を行うと判定された保留に対応する保留表示の表示態様を、通常とは異なる表示態様に変化させる。さらに、保留表示制御部110は、装飾図柄12a、12b、12cが仮停止して特定態様図柄Tz1を表示すると、事前判定部103による事前判定において事前演出を行うと判定された保留とは異なる保留に対応する保留表示の表示態様を、通常とは異なる表示態様に変化させてもよい。この場合、ROM33bに格納される演出パターン130に、事前演出が設定された保留とは異なる保留に対応する保留表示を変化させる演出パターンが含まれる。演出制御基板33が変動開始コマンドを受信すると、演出パターン決定部105は変動時間に応じた演出パターン130を選択する。演出パターン決定部105によって、装飾図柄を仮停止させる際に事前演出が設定された保留とは異なる保留に対応する保留表示を変化させる演出パターン130が選択された場合に、保留表示制御部110は、図柄変動演出実行中に装飾図柄が特定態様図柄Tz1を表示して仮停止すると、演出パターン130に応じて事前演出が設定された保留とは異なる保留に対応する保留表示を変化させる。
【0136】
図32は、事前演出が設定された保留とは異なる保留に対応する保留表示の表示態様が変化する場合の一例を示すタイミングチャートである。特別図柄変動中の所定タイミングTaにおいて第1始動口13への入球に基づいて保留Pd1が記憶されると、画面G1に保留表示P1が第1態様にて表示される。また、特別図柄変動中であってタイミングTaより後のタイミングTbにおいて第1始動口13への入球に基づき保留Pd2が記憶されると、画面G1に保留表示P2が第1態様にて表示される。さらに特別図柄変動中であってタイミングTbより後のタイミングTcにおいて第1始動口13への入球に基づき保留Pd3が記憶されると、画面G1に保留表示P3が第1態様にて表示される。なお、演出制御基板33は、保留Pd1乃至Pd3の遊技データ(各遊技データに関する先読み判定結果を含む)を主制御基板30から受信すると、保留Pd1乃至Pd3に対する事前判定を行う。そして、図例では保留Pd3に対する事前判定において、保留表示の表示態様を2回変化させる事前演出を行うと判定されたものとする。この事前判定結果に応じて演出制御基板33は、RAM33cに格納される予告回数カウンタ124のカウント値(K)を「2」に設定する。
【0137】
特別図柄変動が終了し、タイミングT1において保留Pd1が消化されると、主制御基板30は保留Pd1について特別遊技判定を行い、判定結果を表示するため特別図柄変動を開始する。また、主制御基板30は特別遊技判定結果に基づき変動開始コマンドを演出制御基板33に送信する。変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板33は変動開始コマンドに含まれる変動時間を確認し、変動時間に応じて演出パターン130を決定する。図柄変動演出実行中に装飾図柄12a、12b、12cを2回仮停止させることが可能な変動時間(例えば、30秒以上)である場合に、演出制御基板33は、予告回数カウンタ124のカウント値(K)を参照し、装飾図柄12a、12b、12cを図柄変動演出実行中に2回仮停止させる演出パターン130を選択する。また、図例において、演出制御基板33は、1回目の装飾図柄の仮停止の際に保留表示P3の表示態様を第1態様から第2態様に変化させ、2回目の装飾図柄の仮停止の際に保留表示P2の表示態様を第1態様から第2態様に変化させる演出パターン130を選択したものとする。そして、演出制御基板33は、タイミングT1において図柄変動演出を開始させて装飾図柄12a、12b、12cを変動させると共に、保留Pd1に対応する保留表示P1を画面G1から消去する。保留Pd1の消化に伴う図柄変動演出中の所定タイミングTk1が到来すると、演出制御基板33は、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させると共に、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定態様図柄Tz1を表示させる。また、保留Pd3に対応する保留表示P3の表示態様を第1態様から第2態様に変化させる。保留表示P3の表示態様が変化したことにより、遊技者は保留表示P3に対応する保留Pd3が特別遊技判定に当選するのではないかとの期待感を抱く。
【0138】
タイミングTk1から所定時間が経過するまで装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させた後に、演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cの変動を開始させる。そして、タイミングTk1より後にタイミングTk2が到来すると、演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cを再び仮停止させると共に、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定態様図柄Tz1を表示させる。また、演出制御基板33は、演出パターン130に応じて保留表示P2の表示態様を第1態様から第2態様に変化させる。タイミングTk1において保留表示P3の表示態様を変化させ、これより後のタイミングTk2において保留表示P2の表示態様を変化させることにより、遊技者は一旦保留Pd3の大当たりに対する期待感を抱くが、後に保留Pd2又はPd3のいずれが特別遊技判定に当選する可能性があるのか確信を持てなくなる。そのため、保留Pd3が消化されて特別遊技判定結果が表示するまでの間、遊技者はスリルを持って遊技を楽しむことができるのである。
【0139】
演出制御基板33は、タイミングTk2から所定時間の間装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させ、所定時間が経過すると装飾図柄12a、12b、12cの変動を開始させる。そして、主制御基板30から変動停止コマンドを受信すると、演出制御基板33は図柄変動演出を終了させ、装飾図柄12a、12b、12cに所定の図柄を表示させて確定停止させる。その後のタイミングT2において、保留Pd2が消化されて特別遊技判定が行われる。そして、主制御基板30から当該特別遊技判定結果に基づく変動開始コマンドが演出制御基板33に対して送信され、演出制御基板33は変動開始コマンドを受信すると、当該コマンドに応じた演出パターン130を決定し、決定した演出パターン130に応じて図柄変動演出を行わせる。また、保留Pd2の消化に応じて保留表示P2を画面G1から消去する。主制御基板30から変動停止コマンドを受信すると、演出制御基板33は図柄変動演出を終了させ、装飾図柄12a、12b、12cに所定の図柄を表示させて確定停止させ、特別遊技判定結果を報知する。最後に、タイミングT3において保留Pd3が消化されると特別遊技判定が行われ、主制御基板30から演出制御基板33に対して当該判定結果に基づく変動開始コマンドが送信される。主制御基板30から送信された変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板33は変動時間を確認し、変動時間に応じて演出パターン130を決定する。そして、決定した演出パターン130に基づく図柄変動演出を実行させた後、タイミングT4において主制御基板30から変動停止コマンドを受信すると、演出制御基板33は図柄変動演出を終了させる。
【0140】
次に、
図32のタイミングチャートに沿って保留表示の表示態様が変化する場合における画面構成について説明する。
図33及び
図34は、
図32のタイミングチャートに沿って保留表示の表示態様が変化する場合の画面遷移の一例を示す図である。
図33(a)において図柄変動演出実行中であり、画面G1内にて装飾図柄12a、12b、12cが変動を行っている。そして、図柄変動演出実行中に第1始動口13への入球に基づいて保留Pd1、Pd2、Pd3が順に記憶されると、保留Pd1に対応する保留表示P1が第1保留表示領域J1に表示され、保留Pd2に対応する保留表示P2が保留表示P1の右隣の第1保留表示領域J2に表示され、さらに、保留Pd3に対応する保留表示P3が保留表示P2の右隣の第1保留表示領域J3に表示される。保留表示P1乃至P3はいずれも第1態様にて表示される。実行中の図柄変動演出が終了すると、
図33(b)に示すように装飾図柄12a、12b、12cが確定停止し、所定の図柄を表示して特別遊技判定の結果を報知する。
【0141】
装飾図柄12a、12b、12cが確定停止した後のタイミングT1において保留Pd1が消化されると、
図33(c)のように、保留Pd1の消化に伴う図柄変動演出が開始して装飾図柄12a、12b、12cが変動を開始する。また、保留Pd1に対応する保留表示P1が画面G1から消去されると共に、保留表示P2及びP3が、それぞれ第1態様にて左隣にシフトして表示される。保留Pd1消化に伴う図柄変動演出実行中の所定タイミングTk1が到来すると、
図33(d)に示すように、装飾図柄12a、12b、12cが仮停止すると共に、装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示する。装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示すると、保留表示P3が第1保留表示領域J2において第1態様から第2態様に変化する。装飾図柄12a、12b、12cは、所定時間の間、
図33(d)のように微動を継続しながら仮停止し、所定時間が経過すると
図33(e)に示すように再び変動を開始する。そして、タイミングTk2が到来すると
図33(f)に示すように、装飾図柄12a、12b、12cは再び仮停止すると共に、装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示する。装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示すると、保留表示P2が第1保留表示領域J1において第1態様から第2態様に変化する。保留表示P3は、第1保留表示領域J2において継続して第2態様にて表示される。
図33(f)に示すように保留表示P2及びP3が第2態様に変化したため、遊技者は、いずれの保留が特別遊技判定に当選しているのか確信を持てず、保留Pd3が消化されて特別遊技判定結果が表示されるまで、緊張感を持って画面G1にて行われる図柄変動演出を見守ることになる。
【0142】
装飾図柄12a、12b、12cは、タイミングTk2から所定時間の間、微動を継続しながら仮停止し、所定時間が経過すると
図34(g)に示すように再び変動を開始する。そして、図柄変動演出が終了すると、
図34(h)に示すように装飾図柄12a、12b、12cは所定の図柄を表示して確定停止する。装飾図柄12a、12b、12cが確定停止している間、保留表示P2及び保留表示P3は、それぞれ第1保留表示領域J1及び第1保留表示領域J2において、第2態様にて継続して表示される。その後、タイミングT2において保留Pd2が消化されると、保留Pd2消化に伴う図柄変動演出が開始し、
図34(i)に示すように装飾図柄12a、12b、12cが変動を開始する。また、保留Pd2に対応する保留表示P2が画面G1から消去されると共に、保留表示P3が第2態様にて第1保留表示領域J2から左隣の第1保留表示領域J1にシフトする。図柄変動演出が所定時間行われた後に終了すると、
図34(j)に示すように装飾図柄12a、12b、12cは所定の図柄を表示して確定停止し、特別遊技判定結果を報知する。装飾図柄12a、12b、12cが所定時間確定停止した後、タイミングT3が到来すると、
図34(k)に示すように保留Pd3が消化され、これに伴う図柄変動演出が開始して装飾図柄12a、12b、12cが変動を開始する。また、保留Pd3に対応する保留表示P3が画面G1から消去される。図柄変動演出が所定時間行われた後に終了すると、
図34(l)に示すように装飾図柄12a、12b、12cが確定停止して所定の図柄を表示することにより、特別遊技判定結果を報知する。なお、図例では、事前演出が設定された保留Pd3に対応する保留表示P3を第1態様から第2態様に変化させた後に、事前演出が設定されていない保留Pd2に対応する保留表示P2を第1態様から第2態様に変化させる場合を示したが、まず保留表示P2の表示態様を変化させ、その後に保留表示P3の表示態様を変化させてもよい。また、図例とは異なり、装飾図柄12a、12b、12cが仮停止すると共に装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示する毎に、保留表示P3とP2の表示態様を同時に変化させてもよい。
【0143】
次に、本実施形態における演出制御基板33において行われる処理手順の一例を説明する。
図35は、演出制御基板33において行われる主な処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、演出制御基板33は、RAM33cに格納される予告回数カウンタ124のカウント値(K)を0にセットする(ステップS1101)。そして、主制御基板30から遊技データを受信したか否かを判定する(ステップS1103)。遊技データを受信したと判定した場合(ステップS1103でYES)、受信した遊技データを保留として記憶すると共に事前演出を行うか否か判定する事前判定処理を実行する(ステップS1105)。事前判定処理の具体的な処理手順については後述する。主制御基板30から遊技データを受信しなかったと判定した場合(ステップS1103でNO)、事前判定処理(ステップS1105)をスキップする。次に、演出制御基板33は、主制御基板30から変動開始コマンドを受信したか否かを判定する(ステップS1107)。変動開始コマンドを受信したと判定した場合(ステップS1107でYES)、演出制御基板33は、図柄変動演出の演出パターンを決定する演出パターン決定処理を実行する(ステップS1110)。演出パターン決定処理の具体的な処理手順については後述する。演出パターン決定処理(ステップS1110)によって図柄変動演出の演出パターンが決定されると、図柄変動演出を開始させる(ステップS1112)。そして、図柄変動演出を開始させた後に、演出制御基板33は、図柄変動演出中に、例えば演出パターン130に応じて装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させたり、或いは保留表示の表示態様を変化させる演出制御処理を実行する(ステップS1114)。演出制御処理の具体的な処理手順については後述する。
【0144】
ステップS1107において、主制御基板30から変動開始コマンドを受信していないと判定した場合(ステップS1107でNO)、演出制御基板33は、さらに図柄変動演出を実行中であるか否か判定する(ステップS1116)。そして、図柄変動演出を実行中であると判定した場合(ステップS1116でYES)、演出制御処理(ステップS1114)を実行する。これに対して、図柄変動演出を実行中でないと判定した場合(ステップS1116でNO)、再びステップS1103に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0145】
演出制御処理(ステップS1114)を実行すると、演出制御基板33は、主制御基板30から実行中の図柄変動演出を停止させるための変動停止コマンドを受信したか否かを判定し(ステップS1118)、変動停止コマンドを受信したと判定した場合(ステップS1118でYES)、図柄変動演出を終了させる(ステップS1120)。図柄変動演出を終了させると、演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cに所定の図柄を表示させて確定停止させる。これによって特別遊技判定の結果を遊技者に対して報知するのである。そして、ステップS1103に戻って以降の処理を繰り返す。他方、変動停止コマンドを受信していないと判定した場合(ステップS1118でNO)、ステップS1120をスキップしてステップS1103に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0146】
図36は、事前判定処理(
図35のステップS1105)の具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。演出制御基板33は主制御基板30から受信した遊技データを保留としてRAM33cに記憶する(ステップS1201)。主制御基板30から送信される遊技データには、第1始動口13又は第2始動口14のいずれの始動口への入球によるものかを示す情報が付加される。また、遊技データと共に、主制御基板30において当該遊技データに対して行った先読み判定の結果も送信される。演出制御基板33は、これらの情報と共に、遊技データを第1保留記憶領域120又は第2保留記憶領域122として記憶する。次に、保留を記憶すると、演出制御基板33は、画像表示器12に当該保留に対応する保留表示を表示させる(ステップS1203)。
【0147】
次に、演出制御基板33は、RAM33cに記憶されている保留の数(新たに記憶された保留を含む)が複数であるか否かを判定し(ステップS1205)、記憶されている保留数が複数ではないと判定した場合(ステップS1205でNO)、すなわち、RAM33cに記憶されているのが新たに記憶された保留のみである場合に、事前判定を行うことなく事前判定処理を終了する。RAM33cに記憶されている保留が新たに記憶された保留のみである場合、先の保留消化に伴う図柄変動演出実行中に特定態様図柄を表示して装飾図柄を仮停止させ、当該保留に対応する保留表示を変化させる事前演出を行うことができないため、事前判定を行わないのである。他方、RAM33cに記憶されている保留数が複数であると判定した場合(ステップS1205でYES)、さらに新たに記憶された保留より先に記憶されている保留に基づき、既に事前演出が設定済みであるか否かを判定する(ステップS1207)。先に記憶されている保留に基づいて事前演出が設定済みであると判定した場合(ステップS1207でYES)、既に設定されている事前演出の演出効果を妨げないために、事前判定を行うことなく事前判定処理を終了させる。他方、先に記憶されている保留に基づいて事前演出が設定済みでないと判定した場合(ステップS1207でYES)、さらに先に記憶されている保留のうち、特別遊技判定に当選する保留があるか否かを判定する(ステップS1209)。そして、先に記憶されている保留の中に特別遊技判定に当選する保留があると判定した場合(ステップS1209でYES)、事前判定を行うことなく事前判定処理を終了させる。なぜなら、事前演出を設定しても、当該保留が消化されるまでに先の保留に基づく特別図柄変動において大当たり結果が表示されるため、事前演出を行うことによる演出効果が低くなるからである。また、ステップS1209に加えて、先に記憶されている保留又は新たに記憶された保留の消化に基づく変動表示中に、遊技状態が変化するか否かを判定し、遊技状態が変化すると判定した場合に、演出制御基板33は、事前判定を行うことなく事前判定を終了させてもよい。すなわち、先に記憶されている保留又は新たに記憶された保留に対応する変動表示が行われる間に、例えば、遊技状態が特定遊技状態ST4から通常遊技状態ST1へ移行する場合や、時短遊技状態ST3から通常遊技状態ST1へ移行する場合に、演出制御基板33は、新たに記憶された保留について事前演出を設定しない。
【0148】
他方、先に記憶されている保留に特別遊技判定に当選する保留がないと判定した場合(ステップS1209でNO)、演出制御基板33は事前判定を行い、新た保留について事前演出を行うか否か判定する(ステップS1211)。そして、事前判定の結果、当該新たな保留について事前演出を行うか否かを判定し(ステップS1213)、事前演出を行うと判定した場合(ステップS1213でYES)、RAM33cに格納される予告回数カウンタのカウント値(K)に、事前演出に基づき保留表示の態様を変化させる回数をセットする(ステップS1215)。これに対して、事前演出を行わないと判定した場合(ステップS1213でNO)、ステップS1215をスキップして事前判定処理を終了させる。
【0149】
図37は、演出パターン決定処理(
図35のステップS1110)の具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。演出制御基板33は、消化された保留が事前演出を設定した保留であるか否かを判定する(ステップS1301)。保留が記憶された際に行う事前判定の結果、事前演出を行うと判定した場合に、演出制御基板33は、当該保留について例えばフラグをオンに設定してRAM33cに記憶する。フラグがオンに設定されている保留であれば、演出制御基板33は、事前演出を設定した保留であると判定する。そして、消化された保留が事前演出を設定した保留であると判定した場合(ステップS1301でYES)、演出制御基板33は、予告回数カウンタ124のカウント値(K)をリセットして0にする。これにより、当該保留が消化された後においても依然として事前演出が行われることを回避するのである。他方、消化された保留が事前演出を設定した保留でないと判定した場合(ステップS1301でNO)、ステップS1303をスキップする。次に、演出制御基板33は変動開始コマンドに含まれる変動時間を参照し(ステップS1305)、変動時間が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS1307)。主制御基板30において変動時間を決定する場合に、特別遊技判定において大当たりであると判定される場合、例えば60秒以上の比較的長い変動時間に決定される。また、リーチ演出を含む演出パターンを選択可能な変動時間が決定される場合、大当たりの場合と同様に60秒以上の比較的長い時間が決定されることがある。そこで、変動時間が所定値(例えば60秒)以上である場合には、当該変動表示の結果が大当たりである場合又は当該変動表示に伴う図柄変動演出においてリーチ演出を実行可能な場合であると言える。演出制御基板33は、変動時間が所定値以上であると判定した場合(ステップS1307でYES)、さらに図柄変動演出実行中に装飾図柄を仮停止させる演出を行うか否かを判定する(ステップS1310)。そして、装飾図柄を仮停止させる演出を行うと判定した場合(ステップS1310でYES)、演出制御基板33は、装飾図柄を仮停止させる演出パターン130を選択する(ステップS1312)。この場合、装飾図柄を仮停止させる際に保留表示の表示態様を変化させる演出パターン130は選択されない。つまり、変動時間が所定値以上である場合、すなわち当該変動表示の結果が大当たりである場合やリーチ演出を実行可能な場合には、当該変動表示の結果に対する遊技者の期待感を高めるための演出を行う必要がある。にもかかわらず、このような場合に保留表示の表示態様を変化させる演出パターン130を選択すると、未消化の保留に対する遊技者の期待感を高めることになって当該変動表示の結果について遊技者の期待感が高まらず、当該変動表示における遊技の興趣性を損なうことになる。そこで、演出制御基板33は、変動時間が所定値以上である場合に、装飾図柄を仮停止させると共に保留表示の態様を変化させる演出パターンを選択しないのである。
【0150】
他方、ステップS1307において、変動時間が所定値以上ではないと判定した場合(ステップS1307でNO)、又はステップS1310において仮停止を行わないと判定した場合(ステップS1310でNO)に、演出制御基板33は、予告回数カウンタ124のカウント値(K)を参照し、カウント値(K)が0より大きいか否かを判定する(ステップS1314)。そして、カウント値(K)が0より大きいと判定した場合(ステップS1314でYES)、さらに仮停止が可能であるか否かを判定し(ステップS1316)、仮停止が可能であると判定した場合(ステップS1316でYES)、演出制御基板33は、装飾図柄を仮停止させると共に、保留表示の表示態様を所定回数(R)変化させる演出パターンを選択する(ステップS1318)。すなわち、事前演出として装飾図柄を仮停止させると共に、装飾図柄に特定態様図柄を表示させ、特定態様図柄が表示されると保留表示の表示態様を変化させる演出パターン130を選択するのである。そして、当該変動表示中に保留表示の態様を変化させる回数(R)を予告回数カウンタ124のカウント値(K)から差し引く(ステップS1320)。ステップS1314においてカウント値(K)が0である場合(ステップS1314でNO)、又はステップS1316において仮停止が可能ではないと判定した場合(ステップS1316でNO)に、演出制御基板33は、事前演出として装飾図柄を仮停止させない演出パターン130を選択する。
【0151】
最後に、演出制御基板33は選択した演出パターン130をセットして(ステップS1326)画像制御基板34やランプ制御基板35に対するコマンドを送信する。そして、消化された保留に対応する保留表示を画像表示器12の画面G1から消去すると共に(ステップS1328)、未消化の保留に対応する保留表示の表示位置をシフトさせて演出パターン決定処理を終了させる。なお、本実施形態において、主制御基板30は、第1始動口13への入球により記憶された遊技データよりも、第2始動口への入球により記憶された遊技データを優先的に消化して特別遊技判定を行うと共に、特別遊技判定結果に応じて変動表示を行う。本実施形態における演出パターン決定処理(
図35のステップS1110)は、
図37に示す処理手順から明らかなとおり、主制御基板33から受信した変動開始コマンドが、第1始動口13又は第2始動口14のうち、いずれの始動口への入球であるかにかかわらず実行される。しかし、
図37の処理手順の例とは異なり、演出制御基板33は、予告回数カウンタ124のカウント値(K)が0以上であっても(
図37のステップS1314)、第2始動口14への入球により記憶された遊技データの消化に基づく変動開始コマンドである場合には、当該変動表示において装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させない演出パターンを選択してもよい。
【0152】
図38は、演出制御処理(
図35のステップS1114)の具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、演出制御基板33は、当該図柄変動演出における演出パターン130が装飾図柄を仮停止させる演出を行うものであるか否かを判定し(ステップS1401)、装飾図柄を仮停止させる演出を行うものでないと判定した場合(ステップS1401でNO)、演出制御処理を終了する。他方、装飾図柄を仮停止させる演出を行うと判定した場合(ステップS1401でYES)、演出パターン130が保留表示を変化させる演出を行うものであるか否かを判定する(ステップS1403)。保留表示の変化を行うものであると判定した場合(ステップS1403でYES)、装飾図柄を仮停止させるタイミングが到来したか否かを判定し(ステップS1405)、装飾図柄を仮停止させるタイミングが到来したと判定した場合(ステップS1405でYES)、演出制御基板33は、装飾図柄を仮停止させると共に、装飾図柄に特定態様図柄を表示させる(ステップS1407)。次に、演出制御基板33は保留表示の表示態様を変化させ(ステップS1410)、演出制御処理を終了させる。他方、ステップS1405で装飾図柄を仮停止させるタイミングではないと判定した場合(ステップS105でNO)、ステップS1407とステップS1410をスキップして演出制御処理を終了させる。
【0153】
ステップS1403において、演出パターン130が保留表示を変化させる演出を行うものでないと判定した場合(ステップS1403でNO)、さらに演出制御基板33は装飾図柄を仮停止させるタイミングが到来したか否かを判定し(ステップS1412)、仮停止させるタイミングであると判定した場合(ステップS1412でYES)、装飾図柄を仮停止させて(ステップS1414)演出制御処理を終了させる。他方、装飾図柄を仮停止させるタイミングでないと判定した場合(ステップS1412でNO)、ステップS1414をスキップする。
【0154】
なお、本実施形態の事前判定処理につき、
図36にて説明した処理とは異なる処理を行う場合を以下に示す。
図36における事前判定処理では、事前判定の結果に基づき事前演出を行う場合に(
図36のステップS1213でYES)、まず、保留表示の表示態様を変化させる回数に対応する予告回数カウンタ124のカウント値(K)をセットし(
図36のステップS1215)、事前演出を行うと判定された保留より先に記憶されている保留が消化されて変動表示を開始する毎に、当該変動表示中に保留表示を変化させる回数を決定する例を示した。これとは異なり、先に記憶されている保留が消化される際の変動時間に応じて、予め各保留の消化に基づく変動表示中に保留表示を変化させる回数を決定してもよい。事前判定部103は、新たに記憶された保留につき事前演出を行うと判定した場合に、新たに記憶された保留に対応する保留表示の最終段階の表示態様を決定する。そして、事前判定部103は、第1保留記憶領域120又は第2保留記憶領域122に格納される各保留の変動時間を読み出し、各保留消化に基づく変動表示において当該新たに記憶された保留の表示態様を変化させる回数を決定する。また、事前判定部103は、当該新たに記憶された保留の最初の表示態様を決定してもよい。つまり、事前演出を行うと判定された新たな保留につき、常に第1段階の表示態様から開始させるのではなく、例えば第2段階や第3段階の表示態様から開始させてもよい。
【0155】
図39は、このような事前判定処理を行う場合の演出制御基板33における処理手順の一例を示したフローチャートである。演出制御基板33は新たな保留を記憶すると(ステップS1501)、新たな保留より先に記憶されている保留数は複数であるか否かを判定し(ステップS1503)、先に記憶されている保留数は1つであると判定した場合(ステップS1503でNO)、事前判定処理を終了させる。他方、先に記憶されている保留数は複数であると判定した場合(ステップS1503でYES)、先の保留につき事前演出を設定済みであるか否かを判定し(ステップS1505)、事前演出を設定済みであると判定した場合(ステップS1505でYES)、演出制御基板33は、事前判定処理を終了させる。他方、先の保留につき事前演出が設定済みではないと判定した場合(ステップS1505でYES)、さらに、先の保留のうち特別遊技判定において大当たりに当選する保留があるか否かを判定し(ステップS1507)、大当たりに当選する保留があると判定した場合(ステップS1507でYES)、事前判定処理を終了させる。先の保留において大当たりに当選する保留がないと判定した場合(ステップS1507でNO)、演出制御基板33は新たな保留について事前判定を行う(ステップS1509)。
【0156】
演出制御基板33は、新たな保留につき事前演出を行うか否かを判定し(ステップS1511)、事前演出を行うと判定した場合(ステップS1511でYES)、新たな保留の最終段階における表示態様を決定する(ステップS1513)。ここで最終段階における表示態様とは、当該新たな保留が消化される時点における表示態様を指す。次に演出制御基板33は、先に記憶されている保留が消化される際に行われる変動表示の変動時間を読み出し(ステップS1515)、先に記憶されている各保留の演出パターンを決定する(ステップS1517)。すなわち、演出制御基板33は、先に記憶されている各保留の変動時間に応じて、各保留消化に基づく変動表示中に装飾図柄12a、12b、12cを特定態様で仮停止させて保留表示の表示態様を変化させる回数を決定するのである。また、演出制御基板33は、事前演出を行うと判定された新たな保留の表示開始時の態様を決定する(ステップS1519)。すなわち、新たな保留に対応する保留表示をいずれの段階の表示態様にて開始させるのか決定する。そして、表示開始時の態様を決定すると、決定した態様にて新たな保留に対応する保留表示を行い(ステップS1521)、事前判定処理を終了する。
図39の処理手順の例に基づいて事前判定処理が行われ、先に記憶されている各保留消化に基づく変動表示中に装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる演出パターン130が設定されている場合に、優先的に消化される第2始動口14への入球に基づく保留が新たに記憶されると、この第2始動口14への入球による保留に基づく変動表示の際に、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる演出パターン130を実行させてもよい。或いは、この第2始動口14への入球による保留に基づく変動表示の際に、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる演出パターン130を行わず、この変動表示が終了した後に再び装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる演出パターン130を実行させてもよい。
【0157】
図39において示した場合とは異なり、新たな保留について事前演出を行うと判定された場合に、演出制御基板33は、当該新たな保留よりも先に記憶されている保留の変動時間を読み出して、装飾図柄12a、12b、12cを特定態様にて仮停止させることが可能な回数を算出した後に、保留表示の表示態様を変化させる回数を決定してもよい。演出制御基板33は、新たな保留につき事前演出を行うと判定した場合に(
図39のステップS1511)に、新たな保留より先に保留記憶領域に記憶されている保留の変動時間を読み出す。そして、演出制御基板33は、先に記憶されている保留消化に基づく変動表示において、装飾図柄12a、12b、12cを特定態様にて仮停止可能な回数を算出する。装飾図柄12a、12b、12cを仮停止可能な回数を算出すると、演出制御基板33は、算出された回数の範囲内で、新たな保留表示を変化させる回数を決定すると共に、先に記憶されている保留ごとに、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる回数をそれぞれ決定する。
【0158】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、特別図柄の変動表示実行中の遊技データに対応する変動対象表示を画面G1内の所定位置に表示する場合について説明する。
図39は第2実施形態における演出制御基板33の機能構成の一例を示すブロック図である。第1実施形態と同一の符号を付した構成は、第1実施形態において説明したものと同様である。
【0159】
図40において、表示制御部108は、画面G1において表示される動画像の表示を制御する処理部であり、保留表示制御部110と変動対象表示制御部112とを備える。
図41は、本実施形態における画面G1の構成の一例を示す図である。本実施形態において、変動対象表示は、特別図柄の変動表示が実行されている間、画面G1内の所定位置に表示される画像であって、変動表示実行中の遊技データに対応する画像である。図例において、変動対象表示を表示するための変動対象表示領域J10が装飾図柄12a、12b、12cの左方に設けられており、装飾図柄12a、12b、12cの下方に第1保留表示領域J1乃至J4、及び第2保留表示領域J6乃至J9が設けられる。図例において装飾図柄12a、12b、12cは変動中であり、当該変動中の遊技データに対応する変動対象表示は、変動対象表示領域J10に表示される。
【0160】
変動対象表示制御部112は、特別図柄変動中の遊技データに対応する変動対象表示を表示させる処理部である。第1始動口13又は第2始動口14への入球に基づいて取得された遊技データにつき、主制御基板30において遊技データに対する特別遊技判定が行われると、主制御基板30から演出制御基板33に対して、遊技データと特別遊技判定結果に基づく変動開始コマンドが送信される。コマンド受信部101が主制御基板30から送信された遊技データと変動開始コマンドを受け付けると、変動対象表示制御部112は、当該遊技データに対応する変動対象表示を画面G1内の変動対象表示領域J10に表示させる。また、主制御基板30において保留が消化されて特別遊技判定が行われると、主制御基板30から演出制御基板33に対して当該特別遊技判定に基づく変動開始コマンドが送信される。コマンド受信部101が当該変動開始コマンドを受け付けると、変動対象表示制御部112は、消化された保留に対応する遊技データに基づいて変動対象表示を変動対象表示領域J10に表示させる。なお、当該保留が消化されるまで当該保留に対応する保留表示が表示されていた場合、変動対象表示制御部112は、当該保留が消化されることに応じて保留表示が消去された時点における保留表示の表示態様を引き継いで変動対象表示を表示させる。例えば、変動対象表示制御部112は、保留表示制御部110から消化された保留に対応する保留表示の表示態様について通知を受け取り、通知された表示態様に基づき変動対象表示領域J10に変動対象表示を表示させる。
【0161】
また、変動対象表示制御部112は、装飾図柄12a、12b、12cが特定態様図柄Tz1を表示して仮停止すると、変動対象表示の表示態様を変化させてもよい。事前判定部103による事前判定により事前演出を行うと判定された保留が消化される場合に、主制御基板30から変動開始コマンドを受信すると、演出パターン決定部105は、変動開始コマンドに含まれる変動時間を確認すると共に予告回数カウンタ124のカウント値(K)を確認する。そして、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させて特定態様図柄Tz1を表示させることが可能である場合、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させて特定態様図柄Tz1を表示させる演出を含む演出パターン130を選択する。演出パターン決定部105により決定された演出パターン130に基づいて、図柄演出制御部107は図柄変動演出を実行させ、演出パターン130にて設定されたタイミングにおいて装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させて、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定態様図柄Tz1を表示させる。そして、変動対象表示制御部112は、図柄変動演出実行中に装飾図柄12a、12b、12cが仮停止して特定態様図柄Tz1が表示されると、変動対象表示の表示態様を現在の段階より1つ上の段階の表示態様に変化させる。或いは、これとは異なり、装飾図柄12a、12b、12cが仮停止して特定態様図柄Tz1が表示されると、変動対象表示の表示態様を現在の段階より1以上上の段階の表示態様に変化させてもよい。例えば、変動対象表示制御部112は、仮停止の際に表示される特定態様図柄Tz1の表示態様に応じて、変動対象表示の表示態様をいずれの段階の表示態様に変化させるか決定してもよい。変動対象表示の表示態様が変化することにより、当該変動表示において表示される特別遊技判定結果に対する遊技者の期待感を煽る演出が可能となる。なお、変動対象表示の各段階における表示態様については、
図23に示す保留表示の各段階における表示態様と同様である。
【0162】
図42は、装飾図柄が図柄変動演出実行中に仮停止するのに応じて変動対象表示の表示態様が変化する場合の一例を示すタイミングチャートである。特別図柄変動中のタイミングTaにおいて、例えば第1始動口13への入球に基づく保留Pd1が記憶され、主制御基板30から遊技データを受信すると、演出制御基板33は保留Pd1をRAM33cの第1保留記憶領域120に記憶すると共に、保留Pd1に対応する保留表示P1が画面G1に表示させる。また、タイミングTaより後のタイミングTbにおいて同じく第1始動口13への入球に基づく保留Pd2が記憶されると、演出制御基板33は、保留Pd2を第1保留記憶領域120に記憶させると共に、保留Pd2に対応する保留表示P2が画面G1に表示させる。保留表示P1及びP2はいずれも第1態様にて表示される。そして、保留Pd2に対する事前判定の結果が、保留表示P2の表示態様を3回変化させる事前演出を行うとするものであり、演出制御基板33は、予告回数カウンタ124のカウント値(K)を「3」に設定した。実行中の特別図柄変動が終了し、保留Pd1が消化され、主制御基板30において特別遊技判定が行われると、主制御基板30から特別遊技判定結果に基づく変動開始コマンドが送信される。主制御基板30から送信された変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板33は、保留Pd1を消化して第1保留記憶領域120から消去する。そして、演出制御基板33は、受信した変動開始コマンドに含まれる変動時間を確認すると共に、予告回数カウンタ124のカウント値(K)を確認する。そして、変動時間が装飾図柄12a、12b、12cを1回仮停止させることが可能な時間(例えば、10秒)である場合に、演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cを1回仮停止させて特定態様図柄Tz1を表示させる演出を含む演出パターン130を選択すると共に、カウント値(K)から1減じる。そして、演出制御基板33は、タイミングT1において、選択された演出パターン130に基づいて図柄変動演出を開始させる。
【0163】
図柄変動演出実行中の所定タイミングTk1が到来すると、演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させ、装飾図柄12a、12b、12cのいずれか又は全部に特定態様図柄Tz1を表示させると共に、保留表示P2の表示態様を第1態様から第2態様に変化させる。装飾図柄12a、12b、12cを所定時間の間仮停止させた後、演出制御基板33は再び装飾図柄12a、12b、12cの変動を開始させる。そして、主制御基板30から変動停止コマンドを受信すると、演出制御基板33は図柄変動演出を終了させ、装飾図柄12a、12b、12cに所定の図柄を表示させて確定停止させる。保留表示P2は、装飾図柄12a、12b、12cが確定停止している間においても第2態様にて継続して表示される。装飾図柄12a、12b、12cが確定停止した状態において所定時間が経過し、タイミングT2が到来すると保留Pd2が消化され、主制御基板30により特別遊技判定が行われる。そして主制御基板30から特別遊技判定結果に応じた変動開始コマンドを受信すると、演出制御基板33は、消化された保留Pd2に対応する保留表示P2を画面G1から消去すると共に、消化された保留Pd2に基づく変動表示が行われることに応じて変動対象表示P2'を変動対象表示領域J10に表示させる。なお、変動対象表示P2'は、保留Pd2の消化時における保留表示P2の表示態様を引き継いで第2態様にて表示される。演出制御基板33は、変動開始コマンドに含まれる変動時間を確認すると共に予告回数カウンタ124のカウント値(K)が「2」であることを確認し、変動時間が図柄変動演出中に装飾図柄を2回以上仮停止させることが可能である場合(例えば、30秒、60秒、90秒など)に、装飾図柄12a、12b、12cを2回仮停止させて特定態様図柄Tz1を表示させる演出を含む演出パターン130に決定して図柄変動演出を開始させる。
【0164】
図柄変動演出実行中の所定タイミングTk2が到来すると、演出制御基板33は装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させて特定態様図柄Tz1を表示させると共に、変動対象表示P2'を第2態様から第3態様に変化させる。タイミングTk2から所定時間装飾図柄12a、12b、12cを継続して仮停止させた後、演出制御基板33は再び変動を開始させる。そして、装飾図柄12a、12b、12cの変動を再開させた後に到来するタイミングTk3において、演出制御基板33は、再び装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させて特定態様図柄Tz1を表示させる。特定態様図柄Tz1を表示させるのに伴い、演出制御基板33は変動対象表示P2'の表示態様を第3態様から第4態様に変化させる。最後に、装飾図柄12a、12b、12cに再び変動を開始させ、タイミングT3において主制御基板30から変動停止コマンドを受信すると、演出制御基板33は図柄変動演出を終了させ、装飾図柄12a、12b、12cを確定停止させる。これにより特別遊技判定の結果を遊技者に報知する。本実施形態において、事前演出が設定された保留Pd2より先に消化される保留Pd1に基づく変動表示中に、保留表示P2の表示態様を事前演出により設定された回数(3回)変化させることができなかった場合であっても、保留Pd2消化に基づく変動表示中に変動対象表示P2'の表示態様を変化させることにより、予定した段階の表示態様に変化させることができるのである。
【0165】
次に、
図42のタイミングチャートに沿って保留表示及び変動対象表示の表示態様を変化させる場合の態様を説明する。
図43及び
図44は、保留表示及び変動対象表示の表示態様を変化させる場合の画面遷移の一例を示す図である。
図43(a)に示すように特別図柄変動に伴い図柄変動演出が実行中である場合に、装飾図柄12a、12b、12cが画面G1において変動を行っている。装飾図柄12aの左方に設けられた変動対象表示領域J10において、変動中の遊技データに対応する変動対象表示P0が表示される。装飾図柄12a、12b、12cの下方に設けられる第1保留表示領域J1において保留Pd1に対応する保留表示P1が表示され、また、第1保留表示領域J1の右隣に設けられる第1保留表示領域J2において保留Pd2に対応する保留表示P2が表示される。また、保留表示P1及びP2は共に第1態様にて表示される。
図43(b)に示すように図柄変動演出が終了すると、装飾図柄12a、12b、12cは確定停止して特別遊技判定結果を報知する。装飾図柄12a、12b、12cが確定停止すると、変動対象表示P0は画面G1から消去される。これにより、変動対象表示P0に対応する遊技データに基づく変動表示が終了したことを示すのである。なお、図例とは異なり、装飾図柄12a、12b、12cが確定停止した状態が継続する間、変動対象表示P0を継続して表示させてもよい。装飾図柄12a、12b、12cが確定停止している間においても、保留表示P1及びP2は第1態様にて継続して表示される。
【0166】
タイミングT1において保留Pd1が消化されると、
図43(c)に示すように保留Pd1に対応する保留表示P1が消去されると共に、保留表示P1の表示態様(第1態様)を引き継いだ変動対象表示P1'が変動対象表示領域J10に表示される。そして、保留Pd1消化に伴う図柄変動演出が開始し、装飾図柄12a、12b、12cが変動を開始する。また、保留表示P1が消去されたことに伴い、保留表示P2は左隣の第1保留表示領域J1に第1態様にてシフトする。このように、保留表示P1が消去されると共に保留表示P1の表示態様を引き継いだ変動対象表示P1'が表示されることにより、遊技者は保留表示P1に対応する保留Pd1が消化されたことによって変動表示が行われていることを認識可能である。また、変動対象表示P1'の表示態様から、当該変動表示において示される特別遊技判定の結果を推測することができる。
【0167】
図柄変動演出実行中にタイミングTk1が到来すると、
図43(d)に示すように装飾図柄12a、12b、12cは仮停止すると共に、装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示する。装飾図柄12bにより特定態様図柄Tz1が表示されると、事前演出が設定されている保留Pd2に対応する保留表示P2の表示態様が第1態様から第2態様に変化する。これにより、遊技者は保留表示P2に対応する保留Pd2が特別遊技判定に当選しているのではないかとの期待感を抱き、遊技への集中度が高まる。装飾図柄12a、12b、12cは、
図43(d)のように仮停止した状態を所定時間継続させた後に、
図43(e)に示すように再び変動を開始する。そして、所定時間変動を継続すると、装飾図柄12a、12b、12cは
図43(f)のように確定停止して、特別遊技判定結果を報知する。装飾図柄12a、12b、12cが確定停止すると、変動対象表示P1'は画面G1から消去される。保留表示P2は、装飾図柄12a、12b、12cが確定停止している間、第2態様にて継続して第1保留表示領域J1に表示される。
【0168】
次に、タイミングT2が到来して保留Pd2が消化されると、保留Pd2の消化に伴う図柄変動演出が開始し、
図44(g)に示すように装飾図柄12a、12b、12cが変動を開始すると共に、保留Pd2に対応する保留表示P2が消去されて、保留表示P2の表示態様(第2態様)を引き継いだ変動対象表示P2'が変動対象表示領域J10に表示される。これにより、遊技者は保留表示P2に対応する保留Pd2が消化されたことによる変動表示が実行されていることを認識できる。図柄変動演出中のタイミングTk2が到来すると、
図44(h)に示すように装飾図柄12a、12b、12cが仮停止すると共に、装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示する。装飾図柄12bにより特定態様図柄Tz1が表示されると、変動対象表示P2'は第2態様から第3態様に変化する。変動中の遊技データに対応する変動対象表示P2'の表示態様が変化することにより、遊技者は当該変動表示において大当たりに当選するのではないかとより一層の期待感を抱く。装飾図柄12a、12b、12cは、所定時間仮停止した後に、
図44(i)に示すように再び変動を開始する。
【0169】
装飾図柄12a、12b、12cは、変動を開始した後にタイミングTk3が到来すると再び仮停止し、
図44(j)に示すように装飾図柄12bが特定態様図柄Tz1を表示する。装飾図柄12bにより特定態様図柄Tz1が表示されるのに応じて、変動対象表示P2'は第3態様から第4態様に変化する。実行中の図柄変動演出において、装飾図柄12a、12b、12cが2回仮停止するのに伴って変動対象表示P2'の表示態様が2回変化したことから、遊技者はさらに強い期待感を抱く。最後に、装飾図柄12a、12b、12cは、所定時間仮停止した後に
図44(k)に示すように再び変動を開始し、タイミングT3において図柄変動演出が終了すると、装飾図柄12a、12b、12cは
図44(l)のように確定停止して特別遊技判定の結果を報知する。
【0170】
本実施形態において、変動中の遊技データに対応する変動対象表示は、当該遊技データが保留として記憶されていたときに表示された保留表示の表示態様を引き継いで画面G1に表示され、しかも変動中に表示態様が変化する。すなわち、例えば保留表示の表示態様が変化することにより、遊技者が当該保留表示に対応する保留が大当たりに当選するのではないかと期待感を抱いている場合に、当該保留が消化されて保留表示の表示態様を引き継いだ変動対象表示が画面G1に表示され、変動中に当該変動対象表示の表示態様がさらに上の段階の表示態様に変化する場合がある。そうすると、遊技者が保留に対して抱いていた期待感は、保留消化に基づく変動表示に対して良好に引き継がれると共に、さらに期待感を高めることが可能となるのであり、遊技の興趣性を一層高めるのである。
【0171】
なお、本実施形態において、特定態様図柄Tz1が表示される毎に保留表示及び変動対象表示の表示態様が1つずつ上の段階の表示態様に変化する場合を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、特定態様図柄の態様に応じて保留表示及び変動対象表示の表示態様が変化する場合を含む。例えば、装飾図柄により表示される特定態様図柄の色、形状などに応じて保留表示及び変動対象表示の表示態様が変化してもよい。
【0172】
(変形例)
以上より、本発明を適用した一実施形態について説明した。しかし、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に示す変形例も含む。
【0173】
上述の実施形態において、装飾図柄12a、12b、12cが特定態様図柄を表示して仮停止する際に、保留表示の表示態様を変化させる場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではなく、装飾図柄12a、12b、12cが特定態様図柄を表示して確定停止する際に、保留表示の表示態様を変化させてもよい。殊に、特別図柄の変動時間が短い場合に、演出制御基板33は、図柄変動演出終了時に装飾図柄12a、12b、12cに特定態様図柄を表示させて確定停止させると共に、保留表示の表示態様を変化させてもよい。
図28に示したように、例えば変動時間が5秒である場合、図柄変動演出実行中に仮停止を行うことは困難又は不可能である。そこで、演出制御基板33は、図柄変動演出実行中に装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させることができない変動時間である場合に、図柄変動演出が終了する際に装飾図柄12a、12b、12cの全部又は一部に特定態様図柄を表示させて確定停止させてもよい。
【0174】
また、上述の実施形態において、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる際の特定態様について、常に同じ態様にて表示させる場合、或いは、保留表示の変化の態様に応じて表示させる場合について説明した。しかし、本発明は、以下に説明するように、事前演出が設定された新たな保留の演出パターンに応じて特定態様図柄の態様を決定する場合を含む。すなわち、事前判定部103により新たな保留について事前演出を行うと判定される場合に、演出パターン決定部105は、新たな保留より先に記憶されている保留の消化に基づく変動表示中に、装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させ、装飾図柄12a、12b、12cに新たな保留が消化される際に行われる演出パターンに応じた態様の特定態様図柄を表示させる。そして、保留表示制御部110は、表示された特定態様図柄に応じて、新たな保留に対応する保留表示の表示態様を変化させる。
【0175】
図45は、事前判定部103により事前演出を行うと判定された保留の演出パターンと、特定態様図柄の表示態様の組み合わせの一例を示す図である。例えば新たな保留Pd2につき事前演出を行うと判定された場合に、演出パターン決定部105は、保留Pd2より先に記憶された保留Pd1が消化される際に、保留記憶領域に記憶されている保留Pd2の変動時間を参照して、当該変動時間と対応する演出パターン130を確認する。そして、演出パターン決定部105は、保留Pd2変動時間に対応する演出パターン130に応じて、保留Pd1消化に基づく変動表示中に表示させる特定態様図柄の表示態様を選択する。例えば、保留Pd2の変動時間に対応する演出パターン130が発展リーチ演出を含む演出パターンである場合に、演出パターン決定部105は、発展リーチ演出を想起させる文字「SPSP」を含む態様の特定態様図柄を選択する。また、保留Pd2の変動時間に対応する演出パターン130が操作ボタン6の操作を促す操作演出を含む場合に、演出パターン決定部105は、例えば操作ボタン6を模した図形を含む態様の特定態様図柄を選択する。或いは、保留Pd2の変動時間に対応する演出パターン130が装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させる疑似連演出を含む場合に、演出パターン決定部105は、例えば疑似連演出を示唆する文字「NEXT」を含む態様の特定態様図柄を選択する。演出パターン決定部105は、保留Pd1が消化される際に、選択した特定態様図柄を図柄変動演出中に表示させる演出パターン130を決定する。図柄演出制御部107は、保留Pd1が消化されると図柄変動演出を開始させ、演出パターン130により予め設定される所定のタイミングにて装飾図柄12a、12b、12cを仮停止させて、演出パターン決定部105により選択された特定態様図柄を表示させる。図柄演出制御部107により装飾図柄12a、12b、12cが仮停止され、特定態様図柄が表示されると、保留表示制御部110は、表示された特定態様図柄に応じて、保留Pd2に対応する保留表示P2の表示態様を変化させる。例えば、特定態様図柄が操作ボタン6を模した図形を含む態様である場合に、保留表示制御部110は、保留表示P2の表示態様を操作ボタン6の形状を模した図形に変化させる。
【0176】
なお、保留Pd2の変動時間に対応する演出パターン130が
図45に示す複数の演出を含む場合、例えば、発展リーチと操作演出のいずれも含む場合に、演出パターン決定部105は、特定態様図柄の態様として、これらの演出のうち一の演出に対応する態様を選択する。或いは、これとは異なり、演出パターン決定部105は、装飾図柄を複数回仮停止させる場合に、各回においてそれぞれ異なる態様の特定態様図柄を選択してもよい。演出パターン決定部105は、例えば1回目の仮停止の際に表示させる特定態様図柄として操作演出に対応する態様を選択し、2回目の仮停止の際に表示させる特定態様図柄として発展リーチ演出に対応する態様を選択する。
【0177】
図46は、新たな保留の演出パターンに応じて特定態様図柄の態様を決定する場合における演出パターン決定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図46に示す演出パターン決定処理の処理手順のうち、ステップS1601からS1615の処理手順については、第1実施形態にて示した演出パターン決定処理(
図37)におけるステップS1301からS1316と同様の処理であるため、説明を省略する。変動開始コマンドに含まれる変動時間によると変動中に仮停止を行うことが可能である場合(ステップS1615でYES)、演出制御基板33は、保留記憶領域に記憶される事前演出を設定された保留の変動時間を参照する(ステップS1617)。次に、参照した変動時間に対応する演出パターン130に含まれる演出に応じて特定態様図柄の態様を選択すると共に(ステップS1619)、装飾図柄を仮停止させて保留表示の態様を変化させる回数(R)を選択する(ステップS1621)。そして、演出制御基板33は、予告回数カウンタ124のカウント値(K)から保留表示の態様を変化させる回数(R)を差し引いて(ステップS1623)演出パターンをセットして(ステップS1627)演出パターン決定処理を終了させる。
【0178】
図47及び
図48は、新たな保留に設定される演出パターンに応じて特定態様図柄が決定される場合における画面遷移の一例を示す図である。
図47(a)に示すように、図柄変動演出実行中に第1始動口13への入球に基づく保留Pd1が記憶され、保留Pd1が記憶された後に同じく第1始動口13への入球に基づく保留Pd2が記憶されると、画像表示器12の画面G1において、保留Pd1に対応する保留表示P1が第1保留表示領域J1に表示され、保留Pd2に対応する保留表示P2が第2保留表示領域J2に表示される。そして、
図47(b)のように図柄変動演出が終了すると、装飾図柄12a、12b、12cは所定の図柄を示した状態で確定停止して特別遊技判定の結果を報知する。次に
図47(c)に示すように保留Pd1が消化されて図柄変動演出が開始する際に、保留表示P1が画面G1から消去されると共に、保留表示P2が第1保留表示領域J1にシフトする。保留Pd2が事前判定により事前演出を行うと判定されている場合に、
図47(d)に示すように、装飾図柄12a、12b、12cは、保留Pd1消化に基づく変動表示中の所定タイミングにて仮停止すると共に、装飾図柄12bは特定態様図柄Tz10を表示する。すなわち、保留Pd2の変動時間に対応する演出パターン130が例えば操作演出を含む場合に、演出制御基板33は、保留Pd2より先に消化される保留Pd1の変動表示中に装飾図柄12a、12b、12cは仮停止させると共に、装飾図柄12bに操作演出に応じた特定態様図柄Tz10を表示させる。また、特定態様図柄Tz10が表示されるのに伴い、保留表示P2は、特定態様図柄Tz10の態様に応じて、通常の表示態様から操作ボタン6を模した特別な態様に変化する。
【0179】
装飾図柄12a、12b、12cは、所定時間が経過するまでの間、仮停止した状態を継続させる。そして、
図47(e)に示すように、所定時間経過後に装飾図柄12a、12b、12cは再び変動を開始する。そして、所定時間の間、変動を継続した後に、演出制御基板33が主制御基板30から変動停止コマンドを受信すると、装飾図柄12a、12b、12cは確定停止して特別遊技判定の結果を報知する。次に保留Pd2が消化されると、
図48(g)に示すように、保留表示P2が画面G1から消去され、保留Pd2消化に基づく図柄変動演出が開始する。図柄変動演出が開始すると、装飾図柄12a、12b、12cは変動を開始する。そして、保留Pd2が消化される際に設定された演出パターン130には操作演出が含まれる。
図48(h)に示すように、装飾図柄12a、12b、12cの変動中の所定タイミングにおいて操作演出が開始し、画面G1内の所定位置(例えば画面G1下方)に操作ボタン6を模した誘導画像D10が表示される。誘導画像D10は、例えば操作ボタン6を模した画像を押下操作するよう促す態様の画像により構成されており、誘導画像D10の誘導に応じて遊技者が操作ボタン6を操作すると、操作ボタン6の操作に応じた演出が実行される。上述した変形例は、特定態様図柄Tz10を、保留Pd2の変動時間に対応する演出パターン130に応じた態様にて表示すると共に、保留表示P2の態様を特定態様図柄Tz10の態様に応じて変化させる構成を備える。これにより、遊技機1は、保留Pd2消化時に行われる演出を示唆すると共に、保留Pd2に対する期待感を抱かせて遊技の興趣性を一層高めることが可能となるのである。
【0180】
さらに、本発明は、以下に示す発明を含む。
(1)
始動口に遊技球が入球したことを契機として大当たりの抽選を行い、特別図柄の変動表示を開始して所定時間経過後に前記抽選の結果に応じた特別図柄で停止させると共に、特別図柄の変動表示中に各種演出を行う遊技であって、
特別図柄の変動表示中に前記始動口に遊技球が入球したとき、当該入球に基づく特別図柄の変動表示を保留として記憶する保留手段と、
前記保留手段に記憶されている保留数に応じて保留表示を行う保留表示手段と、
前記保留手段に保留が記憶されることに伴い、当該保留に基づく特別図柄の変動表示開始前に当該保留について事前演出を行うか否か事前判定を行う事前判定手段と、
前記特別図柄の変動表示に応じて装飾図柄の変動表示を行わせると共に、前記装飾図柄を停止させて前記抽選の結果を示唆する図柄演出制御手段と、
を備え、
前記図柄演出制御手段は、前記事前判定手段による事前判定に当選した場合に、事前判定に当選した保留より先に記憶されている保留に基づく前記装飾図柄の変動表示を停止させる際に、前記保留表示の表示態様が変化することを示唆する特定態様で前記装飾図柄を停止させ、
前記保留表示手段は、前記装飾図柄が前記特定態様で停止すると、前記保留表示の表示態様を通常とは異なる表示態様に変化させることを特徴とする遊技機。
【0181】
(2)
上記(1)に記載の遊技機であって、
前記図柄演出制御手段は、前記事前判定手段による事前判定に当選した場合に、事前判定に当選した保留より先に記憶されている保留に基づく装飾図柄を確定停止させる際に前記特定態様で停止させ、
前記保留表示手段は、前記装飾図柄が前記特定態様で確定停止すると、前記保留表示を通常とは異なる表示態様に変化させることを特徴とする遊技機。
【0182】
(3)
上記(1)又は(2)に記載の遊技機であって、
前記図柄演出制御手段は、
所定の演出パターンに基づき、前記装飾図柄の変動を開始させてから確定停止させるまでの間に前記装飾図柄を仮停止させた後、前記装飾図柄を再び変動させてから確定停止させることが可能であると共に、
前記所定の演出パターンに基づき、事前判定に当選した保留より先に記憶されている保留に基づく前記装飾図柄を仮停止させる際に前記特定態様で停止させ、
前記保留表示手段は、前記装飾図柄が前記特定態様で仮停止すると、前記保留表示を通常とは異なる表示態様に変化させることを特徴とする遊技機。
【0183】
(4)
上記(3)に記載の遊技機であって、
前記抽選の結果に応じて特別図柄の変動時間を決定する変動時間決定手段と、
特別図柄特別図柄の変動表示中に記憶された保留が前記事前判定手段による事前判定に当選した場合に、当該変動表示の残りの変動時間に応じて前記装飾図柄を前記特定態様で仮停止させる演出パターンを選択する演出パターン決定手段と、
をさらに備えることを特徴とする遊技機。