(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173438
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】血管の狭窄のための冠血流予備量比(FFR)値の決定
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20170724BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
A61B6/03 360D
A61B5/00 G
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-512173(P2015-512173)
(86)(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公表番号】特表2015-519942(P2015-519942A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】IB2013053801
(87)【国際公開番号】WO2013171644
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2016年5月6日
(31)【優先権主張番号】61/646,525
(32)【優先日】2012年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】フォルトマン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】グラス,ミヒャエル
【審査官】
伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/021307(WO,A2)
【文献】
特表2013−534154(JP,A)
【文献】
特開2010−115482(JP,A)
【文献】
荒井剛,冠血流予備量比(FFR)と解剖学的評価法(QCA,IVUS)との比較について,日本放射線技術学会東北部会雑誌,2008年 1月,第17号,204〜205頁,URL,http://tohoku-b.umin.ac.jp/data/17bukaizassi/17_page204.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/03
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冠血流予備量比値ルックアップテーブルに対する予め定義された狭窄特性を含むメモリと、
患者の血管内の狭窄に関する、前記狭窄の画像データから決定される少なくとも1つの特性を、前記ルックアップテーブル内の特性にマップし、前記特性に対応する冠血流予備量比値を識別するメトリック決定部と、
前記画像データと前記の識別された冠血流予備量比値とを視覚的に提示するディスプレイと、
を含むシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの特性は、前記狭窄の長さと前記狭窄の直径とを含む、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの特性は、前記狭窄のある位置の血管曲率、前記狭窄の分岐点に対する距離、又は血管種別のうち、1又は複数をさらに含む、請求項1又は2のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの特性は、前記患者に関する少なくとも1つの特性をさらに含み、前記患者に関する少なくとも1つの特性は、前記患者の血圧又は年齢の少なくとも一つを含む、請求項1乃至3のうちいずれか1項のシステム。
【請求項5】
前記ルックアップテーブルは、総合的なソフトウェア動脈モデルを用いて予め算出される、請求項1乃至4のうちいずれか1項のシステム。
【請求項6】
前記メトリック決定部は、前記少なくとも1つの特性と前記ルックアップテーブル内のエントリとの間の直接のマッチが存在しない場合、前記ルックアップテーブル内の複数の隣接するエントリ間に内挿する、請求項1乃至5のうちいずれか1項のシステム。
【請求項7】
前記メトリック決定部は、前記少なくとも1つの特性と前記ルックアップテーブル内のエントリとの間の直接のマッチが存在しない場合、前記ルックアップテーブル内の最も近いマッチを選択する、請求項1乃至5のうちいずれか1項のシステム。
【請求項8】
前記メトリック決定部は、前記少なくとも1つの特性と前記ルックアップテーブル内のエントリとの間の直接のマッチが存在しない場合、前記ルックアップテーブル内の複数の隣接するエントリの平均値を求める、請求項1乃至5のうちいずれか1項のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの特性は、少なくとも2つの特性を含み、前記メトリック決定部は、マッピングのために異なるように前記少なくとも2つの特性を重み付けする、請求項1乃至5のうちいずれか1項のシステム。
【請求項10】
前記画像データは、前記狭窄の重症度を示すカラーオーバーレイを用いて表示される、請求項1乃至9のうちいずれか1項のシステム。
【請求項11】
前記冠血流予備量比値に基づいて、推奨される処置方針を示す信号を生成する推奨部、
をさらに含む請求項1乃至10のうちいずれか1項のシステム。
【請求項12】
コンピュータ読取可能命令を用いて符号化されたコンピュータ読取可能記憶媒体であって、前記コンピュータ読取可能命令は、プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、冠血流予備量比値ルックアップテーブルに対する予め定義された狭窄特性と、患者の血管内の狭窄に関する、前記狭窄の画像データから決定される少なくとも1つの特性とに基づいて、患者のための冠血流予備量比値を決定させる、コンピュータ読取可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下記は、概して、画像データと冠血流予備量比(fractional flow reserve)値ルックアップテーブルに対する予め定義された狭窄特性とに基づいて、血管内の狭窄のための冠血流予備量比値を決定することに関し、特にコンピュータ断層撮影(CT)に対する適用と共に説明される。しかしながら、下記は、これらに限定されないが3D回転X線、2D血管造影X線、磁気共鳴イメージング(MRI)などを含む3次元(3D)血管造影画像データを生み出す他のモダリティ及び/又は他のイメージングモダリティなどの、他のイメージングモダリティにも適している。
【背景技術】
【0002】
冠血流予備量比(FFR)値は、血管狭窄にわたる圧力差値の測定結果であり、FFR値は、狭窄が心筋に対する酸素運搬を妨げる可能性を決定するために使用されている。一般に、FFR値は、仮に狭窄の無い中での最大流量と比べて、狭窄の有る中で血管を下る最大流量を表現する。狭窄により引き起こされる血圧低下が狭窄の血行動態重症度を示すという仮定にFFR値が基づいていることを、文献は主張している。そのようなものとして、FFR値は、例えばステント留置といった経皮的冠動脈インターベンションの計画において重要なファクタである。
【0003】
従来、FFR値は、狭窄の前後に血圧を取得するための圧力ワイヤを侵襲的に用いて測定されている。冠動脈FFR値を目的とした冠動脈カテーテル法の間、カテーテルは、シース及びガイドワイヤを用いて大腿動脈及び橈骨動脈に挿入される。その先端に取り付けられたセンサが、関心のある狭窄に位置付けられ、圧力は、血管形状、適応性及び抵抗並びに/又は他の特性に影響する様々な作用剤により促進された状態の間、狭窄にわたって記録される。この圧力値は、絶対値である。FFRが異常になる絶対的なカットオフ点は存在せず、むしろ、より低い値がより重大な狭窄を示す大きな不安定なグレーゾーンを有するなだらかな変わり目が存在することを、文献は示している。
【0004】
不幸にも、このアプローチで使用される圧力ワイヤは、比較的高価である場合があり、各侵襲的手技は、患者に健康リスクを課す。FFR値の非侵襲的測定のためのアプローチも存在する。こうしたアプローチは、患者の冠動脈CT血管造影からの画像データとこの画像データから導出される幾何学的動脈モデルとに基づいた患者固有のコンピュータシミュレーションを含んでいる。しかしながら、こうしたシミュレーションは、計算流体力学(CFD)に基づいており、かなり時間を消費する。現在、心臓専門医は、CTAデータセットを外部機関に提出し、数時間(例えば5時間)後に戻される結果を受信する必要があり、このことは、患者と臨床ワークフローとにとって煩わしい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の観点から、血管の狭窄のためのFFR値を決定するための他のアプローチの必要性が解決されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に説明される態様は、上記で参照された課題及びその他に対処する。
【0007】
1つの態様において、方法が、患者の血管内の狭窄に関する少なくとも1つの特性を、狭窄の画像データから決定するステップと、上記少なくとも1つの特性を、冠血流予備量比値ルックアップテーブルに対する予め定義された狭窄特性にマップするステップと、上記少なくとも1つの特性に対応するルックアップテーブル内の冠血流予備量比値を識別するステップと、画像データと識別された冠血流予備量比値とを視覚的に提示するステップと、を含む。
【0008】
別の態様において、システムが、冠血流予備量比値ルックアップテーブルに対する予め定義された狭窄特性を記憶するメモリを含む。本システムはさらに、患者の血管内の狭窄に関する、狭窄の画像データから決定される少なくとも1つの特性を、ルックアップテーブル内の特性にマップし、上記特性に対応する冠血流予備量比値を識別するメトリック決定部を含む。本システムはさらに、画像データと識別された冠血流予備量比値とを視覚的に提示するディスプレイを含む。
【0009】
別の態様において、コンピュータ読取可能記憶媒体がコンピュータ読取可能命令を用いて符号化される。この命令は、プロセッサにより実行されると、プロセッサに、冠血流予備量比値ルックアップテーブルに対する予め定義された狭窄特性と、患者の血管内の狭窄に関する、狭窄の画像データから決定される少なくとも1つの特性とに基づいて、患者のための冠血流予備量比値を決定させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、様々なコンポーネント及びコンポーネントの配置と、様々なステップ及びステップの配置との形態をとることができる。図面は、単に好適な実施形態を例示する目的のものであり、本発明を限定するものと見なされるべきではない。
【
図1】患者の血管の狭窄のためのFFR値を少なくとも決定するように構成されたメトリック決定部と関連したイメージングシステムを概略的に例示する。
【
図2】冠血流予備量比値ルックアップテーブルに対する予め定義された狭窄特性と関連したメトリック決定部の一例を例示する。
【
図3】患者の血管の狭窄のためのFFR値を決定するための一例示的方法を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、CTスキャナなどのイメージングシステム100を概略的に例示している。イメージングシステム100は、一般的な固定ガントリ102と回転ガントリ104とを含み、回転ガントリ104は、固定ガントリ102により回転可能に支持され、Z軸に関して検査領域106の周りを回転する。カウチなどの被検体支持体108が、検査領域106内の被写体又は被検体を支持する。
【0012】
X線管などの放射線源110が、回転ガントリ104により回転可能に支持され、回転ガントリ104と共に回転し、検査領域106を横切る放射線を放出する。放射線感知検出器アレイ112が、検査領域106をわたって放射線源110の反対側の角度のある弧に対応する。放射線感知検出器アレイ112は、検査領域106を横切る放射線を検出し、各々の検出された光子について、放射線を示す信号を生成する。
【0013】
再構成部114が、投影を再構成し、検査領域106内に位置する被検体又は被写体のうちスキャンされた部分を示すボリューメトリック画像データを生成する。汎用目的コンピューティングシステム又はコンピュータが、オペレータコンソール116としての機能を果たす。コンソール116は、モニタなどの人間が読める出力装置と、キーボード、マウスなどの入力装置とを含む。コンソール116上の常駐ソフトウェアが、オペレータがグラフィカルユーザインタフェース(GUI)又はその他のものを介してスキャナ100と対話し、かつ/あるいはこれを操作することを可能にする。
【0014】
メトリック決定部118は、血管(例えば、冠状動脈、大脳動脈など)を表す画像データを処理し、血管のうち少なくとも1つにおける狭窄のためのFFR値を決定するように、少なくとも構成される。メトリック決定部118は、さらに、1又は複数の他のメトリックを決定することができる。画像データは、システム100、他のCTイメージングシステム、3D回転X線システム、MRIシステム、3次元(3D)血管造影画像データを生み出す他のイメージングシステム、及び/又は他のイメージングシステムによって生成することができる。
【0015】
以下でより詳細に説明されるとおり、1つの非限定的な例において、メトリック決定部118は、画像データから様々な狭窄特性を決定し、その特性値を、メモリ122に記憶されたFFRルックアップテーブル120に対する狭窄特性におけるFFR値にマップする。メモリ122は、データベース、ローカルの及び/若しくはリモートのメモリ、並びに/又は他の形態のデータストレージを含んでよい。ルックアップテーブル120は、通常、例えば、すべての患者、特定患者のサブグループなどに対して1回、(1又は複数の)総合的なソフトウェア動脈モデルを用いて予め算出することができ、狭窄の種々の長さの所定セットと種々の直径の所定セットとのFFR値に対するマッピングを含む。2つ以上のルックアップテーブルが生成されてよく、種々のルックアップテーブルが種々の種類の患者に対応することができる。
【0016】
計算流体力学(CFD)のために外部機関にCTA画像データを送信することと比べて、FFRルックアップテーブル120に対する狭窄特性を用いることは、個々のFFR値を得るための労力を大きく低減させる。なぜならば、少なくとも、各患者のための完全なCFDシミュレーションに代わり、より少数の幾何学的属性しか、FFR値を決定するために決定され、かつルックアップテーブル120に関連付けられる必要がないからである。ルックアップテーブル120を生成し、決定を行うための適切な特性の例には、狭窄長さ、狭窄直径、血管曲率、狭窄の分岐点に対する距離などの狭窄の物理的特性と、血圧、患者年齢、血管種別など及び/又は他の情報などの患者情報とを含む。
【0017】
メトリック決定部118は、物理メモリ又は他の非一時的記憶媒体などのコンピュータ読取可能記憶媒体に記憶された少なくとも1つのコンピュータ読取可能命令を実行する少なくとも1つのプロセッサを通じて実施することができる。プロセッサは、さらに、搬送波、信号又は他の一時的媒体により伝えられる1又は複数のコンピュータ読取可能命令を実行することもできる。メトリック決定部118、メモリ122及び/又は出力装置124は、同一の装置(例えば、コンピューティングシステム)及び/又は異なる装置の部分であってよい。例示されているメトリック決定部118は、コンソール116、出力装置124(例えば、モニタ、フィルマー(filmer)、ポータブルメモリなど)、入力装置(例えば、キーボード、マウスなど)及び/又は他の装置などの装置と通信することができる。
【0018】
図2は、メトリック決定部118とFFR値ルックアップテーブル120に対する狭窄特性との一例を例示する。
【0019】
この例において、メトリック決定部118は、狭窄識別部202を含む。狭窄識別部202は、画像データの中の1又は複数の狭窄を識別する。これは、権限を与えられた個人の承認を用いた自動化されたアプローチ、権限を与えられた個人の入力に基づいた手動のアプローチ、又は自動の及び手動のアプローチの組み合わせを通じて達成することができる。
【0020】
メトリック決定部118は、さらに、識別された狭窄のうち1又は複数の長さを決定する狭窄長さ決定部204を含む。同様にして、これは、権限を与えられた個人の承認を用いた自動化されたアプローチ、権限を与えられた個人の入力に基づいた手動のアプローチ、又は自動の及び手動のアプローチの組み合わせを通じて達成することができる。
【0021】
メトリック決定部118は、さらに、識別された狭窄のうち1又は複数の長さに沿った直径を決定し、最小直径、平均直径及び/又は他の直径を識別する狭窄直径決定部206を含む。同様にして、これは、権限を与えられた個人の承認を用いた自動化されたアプローチ、権限を与えられた個人の入力に基づいた手動のアプローチ、又は自動の及び手動のアプローチの組み合わせを通じて達成することができる。
【0022】
2D血管造影X線投影が利用できる場合、1又は複数の画像ベースの狭窄特性が、例えば、最小の遠近描写(least foreshortening)、最大の線源検出器距離、既知の角度などの相当するイメージング設定下で取得される2D投影のうち単一又は多数から決定することができる。
【0023】
メトリック決定部118は、さらに、FFR値決定部208を含む。例示されている実施形態において、これは、1又は複数のマッチングアルゴリズム222に基づいて、狭窄の決定された長さ及び最小直径を、FFR値ルックアップテーブル120に対する狭窄特性にマップすることを含む。図示されているとおり、この例において、FFR値ルックアップテーブル120に対する狭窄特性は、狭窄の長さ及び直径のエントリの2D配列207を含み、エントリ210からエントリ212にかけて長さが増加し、エントリ212からエントリ214にかけて直径が減少し、エントリ216において最大長さ及び最小直径を有するエントリを有する。他の形式も本明細書において考えられる。
【0024】
エントリ207のうち各1つは、特定のFFR値に対応する。メトリック決定部118は、測定された長さ及び測定された直径とFFR値ルックアップテーブル120に対する狭窄特性内の長さ及び直径とにおける最も近いマッチ又は最良のマッチを決定し、対応するFFR値を、画像データ内の狭窄のためのFFR値として返す。値ルックアップテーブル120は、例示されているグラフィカル表現を含んでも含まなくてもよく、対応するグラフィカル表現を返すこともできる。
【0025】
測定された長さ及び/又は直径がいずれの特定のエントリ207にもマッチしない場合、(1又は複数の)マッチングアルゴリズム222を採用することができる。例として、1つの例において、マッチングアルゴリズムは、測定されたデータがいずれのルックアップテーブルエントリにもマッチしない場合、メトリック決定部118が隣接するエントリとエントリとの間に内挿すべきであることを示すことができる。外挿及び/又は他の手法を用いて、測定された長さ及び/又は直径をマッチさせ、FFR値を決定してもよい。
【0026】
複数のエントリ207が同等にふさわしく(例えば、これらエントリが測定された狭窄直径及び長さから同程度離れている)、あるいは所定範囲内にある場合、マッチングアルゴリズムは、メトリック決定部118に個々のFFR値から平均FFR値を算出するように指示することができる。この平均は、直接の平均又は加重された平均であってよい。別の例において、マッチングアルゴリズムは、メトリック決定部118に候補FFR値として複数のFFR値を選択するように指示することができる。
【0027】
別の例において、マッチングアルゴリズムは、メトリック決定部に、ルール又は優先度に基づいて複数のFFR値のうち1つを選択するように指示することができる。このルール又は優先度は、例えば、(1又は複数の)他の狭窄より大きい測定された狭窄特性のうち1つを重み付けする。例えば、狭窄直径及び狭窄長さが複数の異なるFFR値に対応する場合、アルゴリズムは、狭窄直径が狭窄長さより高い優先度を有することを示すことができ、これにより、メトリック決定部118に対するFFR値間で選択することについての指示を容易にすることができる。
【0028】
狭窄の長さとその最小直径とは異常なFFRの最大の決定要因であることを、文献が示している。しかしながら、血管曲率、狭窄の分岐点に対する距離、血圧、患者年齢、血管種別などの他の情報が、FFR値ルックアップテーブル120に対する狭窄特性の中に含まれてよく、かつ/あるいはFFR値ルックアップテーブル120に対する狭窄特性からFFR値を決定するためにメトリック決定部118により使用されてよい。さらなる情報がFFR値ルックアップテーブル120に対する狭窄特性に含まれる場合、このテーブルは、N次元のルックアップテーブルになる。
【0029】
場合により、FFR値決定部208は、FFR値の決定を容易にするために関心のある血管種別を追加的に使用することができる。例えば、冠状動脈に関心がある場合、関心のある血管は、右冠状動脈、左冠状動脈、左回旋動脈などとして識別することができる。他の血管も本明細書において考えられる。この識別は、例えばメトリック決定部118及び/又は他のコンポーネントによって、自動的に及び/又は手動で決定することができる。それから、FFR値決定部208は、FFR値ルックアップテーブル120に対する狭窄特性の中の血管種別を用いて血管のうち識別されたものをマップし、この情報を、FFR値を決定するために本明細書において論じられる情報に追加して又はその代わりに使用することができる。
【0030】
メトリック決定部118は、FFR値を視覚的に提示し、かつ/あるいはFFR値を別の装置に伝達することのうち、少なくとも1つをなす。例として、1つの例において、メトリック決定部118は、モニタ出力装置124を介して狭窄とFFR値とを示す画像データを視覚的に提示する。別の例において、メトリック決定部118は、FFR値をコンソール116に伝達し、コンソール116が、狭窄とFFR値とを示す画像データを視覚的に提示する。
【0031】
別の例において、対応するエントリ207のための
図2に示されるグラフィカル表現が、FFR値の代わりに又はこれに追加して表示される。別の例において、各カラーが既知の狭窄度合を表現するところのカラーオーバーレイが、FFR値及び/若しくはグラフィカル表現の代わりに又はこれらに追加して表示される。別の実施形態において、この情報は、フィルマー、プリンタ、別のコンピュータ、さらなる処理部などに送信することができる。
【0032】
任意的な推奨部218が、FFR値、及び/又は患者に関する臨床情報、患者病歴、画像データから導出される他の情報などの他の情報に基づいて、処置方針を推奨する。例示されている実施形態において、推奨部218は、予め定義された推奨される処置のセット220に基づいて、処置方針を推奨する。任意的な推奨部218は、推奨される処置方針を示す信号を生成し、コンソール116、出力装置124及び/又は他の装置に信号を伝達する。
【0033】
FFR値ルックアップテーブル120に対する狭窄特性は、ルックアップテーブル以外の形式で記憶されてもよいことを十分理解されたい。
【0034】
図3は、画像データから決定された狭窄の特性とFFR値ルックアップテーブル120に対する狭窄特性とに基づいて患者の血管内の狭窄のためのFFR値を決定するための一例示的方法を例示する。
【0035】
動作の順序付けは限定的でないことを十分理解されたい。そのようなものとして、他の順序付けが本明細書において考えられる。さらに、1又は複数の動作が省略されてよく、かつ/あるいは1又は複数の追加の動作が含まれてよい。
【0036】
302において、血管のスキャンが行われる。
【0037】
304において、血管の狭窄が識別される。
【0038】
306において、識別された狭窄の少なくとも1つの特性が、画像データに基づいて決定される。特性の例には、これらに限定されないが、狭窄長さ、狭窄直径、血管曲率、狭窄の分岐点に対する距離、血管種別及び/又は他の特性を含む。
【0039】
308において、FFR値ルックアップテーブルに対する予め算出された狭窄特性が取得される。FFR値ルックアップテーブルに対する適切な狭窄特性の一例が、本明細書において論じられたFFR値ルックアップテーブル120に対する狭窄特性である。
【0040】
310において、上記少なくとも1つの特性が、FFR値ルックアップテーブルに対する予め算出された狭窄特性内のFFR値にマップされる。
【0041】
312において、少なくともFFR値が、画像データと共に視覚的に提示される。論じられたとおり、マップ内のエントリ、カラーコーディングなどの他の情報が表示されてもよい。
【0042】
314において、場合により、推奨される処置方針が、FFR値に基づいて生成され、提供される。
【0043】
上記は、(1又は複数の)コンピュータプロセッサにより実行されると(1又は複数の)プロセッサに説明された動作を実行させる、コンピュータ読取可能記憶媒体上に符号化され又は組み込まれたコンピュータ読取可能命令によって実施することができる。さらに、又は別法として、コンピュータ読取可能命令のうち少なくとも1つが、信号、搬送波又は他の一時的媒体によって伝えられる。
【0044】
本発明は、好適な実施形態を参照して説明されている。変更及び変形が、前述の詳細な説明を読んで理解した他者において生じる可能性がある。本発明は、こうした変更及び変形が添付された請求項又はその均等物の範囲内に入る限り、すべてのこうした変更及び変形を含むと見なされるべきである。