【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの課題は、請求項1の特徴による熱電部品の製造のための方法によって、および請求項5の特徴による熱電部品によって、解決される。本発明のさらに有利な構成は、従属請求項に示される。請求項に個々に挙げられた特徴は、任意の技術的に有意な方法で、互いに組み合わせ可能であり、本発明のさらなる実施形態を示すことが、指摘される。明細書は、特に図と関連して、本発明をさらに詳しく説明し、本発明の補足の実施例を挙げる。ここで提案される熱電部品の使用は、自動車に限定されないことが、さらに指摘される。本発明による方法についての以下の詳説は、技術的に有意な範囲で、本発明による熱電部品に相応に適用される。
【0007】
本発明による、熱電部品の製造のための方法は、少なくとも以下のステップを含む:
a)少なくとも1つの繊維を提供するステップ、
b)少なくとも1つの繊維を熱電材料でコーティングし、少なくとも1つのコーティングされた繊維が形成されるようにするステップ、
c)少なくとも1つのコーティングされた繊維を、少なくとも巻いて中心軸を有するリングにするステップ、および、特にさらに、
d)熱電部品を製造するために、リングを押し付けるステップ。
【0008】
本方法は、望ましくは、a)〜c)の順序で、特にa)〜d)の順序で相次いで実行され、特に、ステップa)、b)およびc)は、何度もおよび/または互いに並行して行われてもよい。特に、本方法は、さらなるステップをその間に含み、例えば、繊維の、コーティングされた繊維の、および/またはリングの、処理のためである。
【0009】
繊維は、特に、以下の特性の少なくとも1つを備える:長く延びている、糸状である、弾力性がある、望ましくは丸い横断面、望ましくは繊維の直径よりも100倍大きい長さ、直径最小0.5マイクロメートル、直径最大5マイクロメートル。特に、本方法は、ちょうど1つの、望ましくはしかし多数の、熱電部品の製造のための繊維が、用いられることを含む。
【0010】
望ましくは、少なくとも1つの繊維は、非熱電材料から成り、特にセラミック材料から成る。それに関し、特に、以下の材料が提案され、以下の材料は、個々に、または互いに組み合わせても、使用され得る:酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム。
【0011】
特に、ステップb)で熱電材料が用いられ、熱電材料は、以下の材料の少なくとも1つを有する:
【表1】
【0012】
特に有利な構成の1つによると、少なくとも1つの繊維は、少なくとも1つの材料特性に関し、熱電材料に調和して設計される。特に、少なくとも150℃〜600℃の温度範囲で、繊維の、および熱電材料の、熱膨張係数は、互いに一致し、望ましくは最大10%、特にほんの最大2%、互いに異なる。
【0013】
望ましくは、少なくとも1つの繊維は、以下の材料特性を示す:
・繊維の材料が、熱電材料よりも高い強度を有する;
・100N/mm
2[ニュートン毎平方ミリメートル]よりも大きい、繊維の材料の引張強さ
・500N/mm
2よりも大きい、繊維の材料の圧縮強さ
【0014】
熱電材料での、少なくとも1つの繊維のコーティングは、望ましくは、繊維への熱電材料の蒸着により、例えば、CVD(化学蒸着)またはPVD(物理蒸着)法で、行われる。しかし他の方法も、コーティングのステップに使用可能である。
【0015】
望ましくは、少なくとも1つのコーティングされた繊維は、中心軸を有するリングになるように巻かれ、少なくとも1つのコーティングされた繊維が、中心軸の回りに巻かれるようになっている。特に、少なくとも1つの繊維は、追加的に折り畳まれる。特に、リングは、内径と外径とを有する。特に、本方法により、(円柱状の)ディスク要素が製造され、それは従って内径を有しない(つまり、0mmの内径を有するリング)。
【0016】
リングの、または少なくとも1つのコーティングされた繊維の、オプションで提案される圧縮は、特に、少なくとも250℃の温度[セルシウス度]で行われ、望ましくは、リングの製造のために、少なくとも2barの圧力が適用される。望ましくは、500℃よりも大きい温度であり、少なくとも2.5barの圧力である。
【0017】
熱電部品の製造のために、繊維のコーティングのための熱電材料の他に、さらなる熱電材料も、特にステップc)でまたはの後で、付け加えられることが確かに可能であり、熱電部品が、(圧縮された)コーティングされた繊維のみから成るのではなく、追加的に熱電材料がリングを形成するようになっている。望ましくは、熱電部品は、しかし独占的に、少なくとも1つのコーティングされた繊維によって形成される。
【0018】
特に有利な構成の1つによると、ステップd)の後に作り出された熱電部品は、第1の広がりを軸方向に沿って有し、ステップd1)で、分割プロセス(例えば切断)により、いくつかの(少なくとも2つの)、それぞれ、より小さい第2の広がりを有するリングに、軸方向に分けられる。
【0019】
特に、第1の広がりは、少なくとも2mmであり、望ましくは少なくとも10mmである。第2の広がりは、対応して少なくとも1.0mmである。
【0020】
特に、ステップc)の後にステップc1)が行われることも可能であり、ステップc1)では、ステップc)で作り出されたリングは、分割プロセスにより、いくつかの(少なくとも2つの)リングに分けられる。それに対応して、ステップd)の後に作り出された熱電部品は、それから、さらに分割されない。特に、本方法により製造されたディスク要素の場合、内径がさらなるステップで導入される。このステップは、望ましくは、ステップc)、c1)またはd)に続けて行われる。
【0021】
特に、少なくとも1つのコーティングされた繊維は、製造された熱電部品の周囲方向に、少なくとも120°[度(角)]の、望ましくは少なくとも360°の、特に望ましくは少なくとも420°の、角度範囲にわたって延びる。特に、少なくとも2つのコーティングされた繊維は、周囲方向に、少なくとも5°の角度範囲にわたって重なる。それによって、熱電材料が、繊維によりもたらされる、有利な材料特性を備えることが、保証される。
【0022】
本発明によって、熱電材料でコーティングされた少なくとも1つの繊維を備える熱電部品が、さらに提案され、熱電部品は、環状に形成され、少なくとも1つのコーティングされた繊維は、周囲方向に、少なくとも120°の、望ましくは少なくとも360°の、特に望ましくは少なくとも420°の、角度範囲にわたって延びる。特に、熱電部品は、本発明による方法に従って製造される。
【0023】
望ましくは、熱電部品の20〜80重量%を非熱電材料が占め、特に35〜65重量%である。熱電部品の有利な構成の1つによると、非熱電材料は、20℃〜600℃の温度範囲で、以下のグループから少なくとも1つの特性を有する:
‐熱電材料よりも高い引張強さR
mおよび/または降伏点R
p0.2、
‐熱電材料よりも少ない比熱伝導度[ワット/(ケルビン・メートル)]、
‐熱電材料よりも少ない電気伝導度[アンペア/(ボルト・メートル)]。
望ましくは、さらに、これらの特性のいくつかまたは全てがある。
【0024】
特性は、例えば、引張強さの改善、(場合によっては、局部的に所定のまたは適応した)熱伝導度および/または適応した電気伝導度、のような、熱電部品の所望の機能を、援助し、最後の特性は、特に、熱電部品の効率の改善のために使用されることができる。
【0025】
特に、非熱電材料が、ここでは断熱材として熱電部品内に配置されることが、予定される。
【0026】
特に、非熱電材料が、電気伝導体として使用されない、ここではつまり熱電材料の機能(ゼーベック/ペルティエ効果)を果たさないことが、予定される。特に、熱電効果は、熱電材料によってのみ、熱電部品で引き起こされる。
【0027】
特に、熱電部品内での非熱電材料の使用により、対応する熱電部品で構成された熱電モジュールの熱伝導度が、1つの作動点で、熱電モジュールにわたる、つまりホットサイドとコールドサイドとの間の、全温度差(排ガスと冷媒との間)の、20%〜80%、特に35%〜65%、に低下するように調節されることが、可能になっている。これに関連して、独国特許出願公開第102010030259A1号明細書が参照され、その内容全体が、技術的事情の説明のために、ここで引き合いに出される。その文書での「異物」についての言及は、ここでは「非熱電材料」に関連する。
【0028】
ここで提案された方法および熱電部品は、熱電材料でコーティングされた繊維の特別な配置により、特徴付けられる。特にセラミック材料から成るこの繊維により、変動熱負荷に対する機械的強度および耐久性が明らかに高められ、耐久性のある熱電モジュールが、提供されることができるようになっている。特に、少なくとも1つの繊維により、リングの周囲方向における力が吸収される。望ましくは、このように、熱電材料のクリープが、減少する、または完全に阻止されさえする。
【0029】
さらに自動車が提案され、自動車は、少なくとも、内燃機関と、排ガスシステムと、熱電モジュールと、を有し、熱電モジュールは、本発明による少なくとも1つの熱電部品、または、本発明による方法に従って製造された少なくとも1つの熱電部品、を備える。熱電モジュールは、排ガスの熱エネルギーから電気エネルギーを生じさせるように、設計される。
【0030】
本発明および技術周辺は、以下で図に基づいてより詳細に説明される。図は特に好ましい実施形態を示すが、本発明はそれに限定されない。図では、同じ対象に同じ参照符号が用いられる。図では、概略的に示している。