特許第6173446号(P6173446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6173446バイオマス含有炭化水素原料のための水安定性触媒による水素化脱硫、脱酸素および脱ろうプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173446
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】バイオマス含有炭化水素原料のための水安定性触媒による水素化脱硫、脱酸素および脱ろうプロセス
(51)【国際特許分類】
   C10G 65/02 20060101AFI20170724BHJP
   C10G 45/08 20060101ALI20170724BHJP
   C10G 45/64 20060101ALI20170724BHJP
   B01J 29/74 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   C10G65/02
   C10G45/08 Z
   C10G45/64
   B01J29/74 M
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-516085(P2015-516085)
(86)(22)【出願日】2013年6月3日
(65)【公表番号】特表2015-525271(P2015-525271A)
(43)【公表日】2015年9月3日
(86)【国際出願番号】US2013043826
(87)【国際公開番号】WO2013184545
(87)【国際公開日】20131212
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】61/655,217
(32)【優先日】2012年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/906,907
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023630
【氏名又は名称】エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー・アール・フィングランド
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エマニュエル・ガット
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−507591(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/112660(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/112661(WO,A1)
【文献】 特表2012−504686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの液体モーター燃料生産物を形成するための、鉱油成分およびバイオマス油成分の混合物を含んでなる混合された原料の処理方法であって、前記鉱油成分は、少なくとも250ppmwの硫黄を含有し、前記バイオマス油成分は、前記原料の全重量に基づいて、2〜20重量%であり、
a)前記鉱油成分よりも少ない有機結合硫黄および前記バイオマス油成分よりも少ない有機結合酸素を含有する水素化処理された流出物を製造するための水素化処理条件下で、水素化処理反応器の第1の反応領域において、水素化脱硫/脱酸素触媒を用いて、水素流の存在下で、前記混合された原料を水素化処理する工程と、
b)前記第1の反応領域の流出物流において前記反応成分が分離することがなく、水素化脱ろうされた流出物を製造するために十分な水素化脱ろう条件下で、前記水素化処理反応器の第2の反応領域において、前記水素化処理された流出物を脱ろう触媒と接触させる工程と、
c)前記炭化水素原料よりも低い硫黄含有量および前記炭化水素原料よりも低い酸素含有量を有する反応器流出物生産物を製造するために、気相生産物流を前記第2の反応領域流出物から分離する工程と、
d)前記反応器流出物生産物の少なくとも一部から少なくとも1つの液体モーター燃料生産物を製造する工程と
を含んでなり、
前記液体モーター燃料生産物が、前記反応器流出物生産物のディーゼル沸騰範囲フラクションから製造され、前記ディーゼル沸騰範囲フラクションの雲点が0℃未満であり、前記反応器流出物生産物が、前記炭化水素原料の分枝(イソ−)パラフィン含有量よりも少なくとも20重量%高い分枝(イソ−)パラフィン含有量を有し、
前記水素化脱ろう触媒が、ゼオライト担体と、その上に堆積された1つ以上の第VIII族金属および1つ以上の第VIB族金属を含んでなる少なくとも1つの活性金属化合物と、チタニア、ジルコニア、セリアまたは炭素から選択される結合剤とを13.8kPaa(2psia)よりも高い水の分圧を含む条件下で含んでなる、
方法。
【請求項2】
前記脱ろう触媒の前記ゼオライト担体が、ZSM−5、ZSM−22、ZSM−23またはZSM−48を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水素化脱硫/脱酸素触媒が、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1つの第VIII族金属酸化物と、MoおよびWから選択される少なくとも1つの第VIB族金属酸化物とを含んでなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記水素化脱硫/脱酸素触媒が、アルミナ、シリカおよびシリカアルミナから選択される担体を含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記水素化処理条件が、500°F(260℃)〜800°F(427℃)の重量平均床温度(WABT)、300psig(2.1MPag)〜3000psig(20.7MPag)の全圧力、0.1時間−1〜20時間−1のLHSV、500scf/bbl(89m/m)〜10000scf/bbl(1781m/m)の水素処理ガス速度のうち1つ以上を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
水素化脱ろう条件が、500°F(260℃)〜800°F(427℃)の重量平均床温度(WABT)、約300psig(2.1MPag)〜3000psig(20.7MPag)の全圧力、0.1時間−1〜20時間−1のLHSVのうち1つ以上を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記炭化水素原料が、80重量%〜約98重量%の前記鉱油成分と、2重量%〜約20重量%の前記バイオマス油成分とを含有し、前記鉱油成分が少なくとも500ppmwの硫黄を含有し、かつ前記反応器流出物生産物が100ppmw未満の硫黄を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記混合された原料が、少なくとも約200°F(93℃)のT5沸点および約800°F(427℃)未満のT95沸点を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記水素化脱ろう触媒が、ZSM−48と、前記ZSM−48の重量に基づき、約0.1重量%〜約3.0重量%の第VIII族金属含有量を有する、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金およびそれらの組み合わせから選択される第VIII族金属と、タングステン、モリブデンおよびそれらの組み合わせから選択される第VIB族金属と、チタニア結合剤とを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、単一反応器形状における硫黄含有鉱油およびバイオマス由来原料の両方を含有する供給流の処理方法に関する。この処理によって、脱硫され、脱酸素され、かつ脱ろうされた炭化水素生産物であって、酸素含有量が低く、イソ−パラフィン含有量が高く、n−パラフィン含有量が低く、かつ良好な低温流れ特性を有するものが製造される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
化石炭素資源の入手可能性が低下するなか、炭化水素をベースとする燃料および化学ベースストックとして使用するための他の資源に対する要求が増加している。バイオマス原料は、この点で、それらが再生可能であり、かつCOニュートラルであることが可能であるため、非常に大きな可能性を示す。しかしながら、原油(それに「鉱油」は誘導され得る)とは対照的に、バイオマスおよびバイオマス由来材料は、典型的に高濃度酸素化物を含有する。ほとんどの場合、酸素原子は脱酸素処理の間に水として除去され、熱分解油などのいくつかの場合、原材料はすでに多量の水を含有する。
【0003】
存在する問題は、ほとんどの既存の精製装置処理および関連装置が、原油のみ、または「鉱油」をベースとする原料のみを処理するために設計されているということである。バイオマス由来原料の処理には、しばしば、これらの原料をモーター燃料(又は内燃機関用燃料)および化学原料に変換するために別々の処理工程、装置および触媒が必要とされ、そしてそのようなプロセスは、これらの従来の(鉱油)原料の共処理に適合性であり得ない。鉱物をベースとする原料を厳密に処理するために設計された既存の精製装置システムは、バイオマス由来原料および従来の原料を別々に取り扱うための専用のプロセスを考慮して設計されていない。そのような費用は抑制的であろう。
【0004】
現在、様々な国において、モーター燃料プールの一部がバイオマス成分から誘導されることを義務づける多くの様々な法令がある。しかしながら、これらの要求されたパーセントのほとんどは小さく(典型的にバイオマス/生物燃料に基づく燃料組成の約5〜20%)、原油/鉱油がなお燃料組成の大多数を占めている。
【0005】
このことは、従来の粗製処理精製装置に、検討されたように従来の精製装置、プロセスおよび触媒としばしば適合不可能なこれらの鉱油/バイオマス原料を共処理するための新規プロセスおよび触媒を発明することを強要する。さらなる制限的な要因は、経済的な側面において、既存のプロセス装置を追加するか、または相当に変更するための有意な追加資金を精製装置に投資することに抑制的であることである。これは、鉱油をベースとする原料をモーター燃料、化学原料および他の炭化水素生産物に改質するために設計される既存のプロセス形状を有意に変更することに対する制限を含む。限られた土地空間などの他の制限は、関連するプロセス装置の有意な変更/追加をさらに抑制し得る。特に高価かつ抑制的な費用は、そのような混合原料を別々に改質するための鉱油の水素化に関連した高圧反応器を追加または置き換えるために必要とされるものである。
【0006】
上記の通り、ほとんどのバイオマス由来原料、または従来の原料と混合されたそれらの一部の処理には、本来的にバイオマス原料にある酸素の除去が必要とされる。この課題は、ほとんどの粗製原料が相当の量の酸素を含有しないため、従来の精製プロセスにおいて対処されなかった。
【0007】
水は、従来の精製装置型プロセスにおいて使用される多くの触媒系に対して不活性化効果を有することが知られている。アルミナを含有する触媒は、非常に低濃度でさえ(パートパーミリオン範囲で)、水に非常に感応性であることが知られている。脱酸素に有効な触媒組成物を記載するいくつかの従来技術の参照文献にも、原料において低酸素濃度を維持することの必要が示されている。
【0008】
例えば、J.Hancsokらによる論文である非特許文献1には、酸素含有原料を異性化するために使用される金属/ゼオライト触媒が記載されている。この触媒はアルミナと結合し、原料中の1%以上の酸素化物含有量が50%の酸性度損失を生じ、変換活性の低下を示すことが記載されている。さらに、O.V.Kikhtyaninらによる論文である非特許文献2には、アルミナに結合した金属/SAPO触媒が記載されており、これはヒマワリ油の水素化転化のために使用される。急速な不活性化は、(非酸素化炭化水素濃度と比較して)高い酸素化物濃度と同時に観察されたことが記載されるが、研究の目標は、そのような課題を軽減した処理条件を見出すことであった。
【0009】
実際に、アルミナを含有する触媒は、ヘテロ原子除去(例えば脱酸素)および異性化などの多くの必要なプロセスのために最も有効な触媒のうちの1つである可能性がある。そのような触媒の水によって誘導された不活性化は、数多くの機構(例えば、特に、焼結、酸性部位の滴定、競合吸着、ゼオライト支持脱アルミニウムおよび機械的安定性の低下)を経由して生じることが可能であり、そして生物燃料および他のバイオマス由来生産物に対する要求の増加のため、そのような不活性化は、ますます重要な課題となるであろう。
【0010】
鉱油およびバイオマスの両方の混合物を含有する原料の共処理によって存在する有意な課題は、組み合わせた原料から有意な量の酸素および結果として生じる水(それはバイオマス成分と典型的に関連する)を同時に除去しながら、組み合わせた原料から有意な量の硫黄(それは鉱油成分と典型的に関連する)を除去する必要がなおあることである。上記の通り、所与の精製装置プロセスおよび触媒系においてこれらを同時に達成することは、主に触媒の不安定性および/または触媒系における水素化脱硫効率の有意な損失のため、適切ではない結果をもたらした。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Microporous and Mesoporous Materials,101(2007),148−152
【非特許文献2】Fuel,89(2010),3085−3092
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
バイオマス含有量、酸素含有量、硫黄含有量および雲点などの精製装置のスペックを満たす燃料生産物を達成するために既存の装置およびプロセスの制約の範囲内で機能しながら、鉱油およびバイオマスの両方の混合物を含有する原料を共処理するための精製装置が直面するこのような課題の解決が当該産業において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(本発明の好ましい実施形態の要旨)
ここで、本発明の実施形態は、既存の精製装置設備の使用を最大化しながら、バイオマス含有量、酸素含有量、硫黄含有量および雲点などの精製装置のスペック(又は仕様)を満たす燃料生産物(又は燃料製品)を達成するために、既存の鉱油精製装置が、鉱油およびバイオマスの両方の混合物を含有する原料(又はフィードストック)を共処理することを可能にするプロセスおよび触媒溶液である。
【0014】
一実施形態において、少なくとも1つの液体モーター燃料生産物(又は液体の内燃機関用燃料製品)を形成するための、鉱油成分およびバイオマス油成分を含んでなる炭化水素原料(又は炭化水素フィードストック)の処理方法であって、当該方法は、
a)前記炭化水素原料よりも少ない有機結合硫黄(organically bound sulfur)および前記炭化水素原料よりも少ない有機結合酸素(organically bound oxygen)を含有する第1の反応領域流出物(first reaction zone effluent)を製造するために十分な第1の水素化処理条件下(first hydroprocessing conditions)で、水素化処理反応器の第1の反応領域において、前記炭化水素原料および第1の水素処理ガス流を、水素化脱硫/脱酸素触媒と接触させる工程と、
b)第2の反応領域流出物(second reaction zone effluent)を製造するために十分な第2の水素化処理条件下(second hydroprocessing conditions)で、前記水素化処理反応器の第2の反応領域において、前記第1の反応領域流出物を脱ろう触媒と接触させる工程と、
c)前記炭化水素原料よりも低い硫黄含有量および前記炭化水素原料よりも低い酸素含有量を有する反応器流出物生産物(reactor effluent product)を製造するために、気相生産物流を前記第2の反応領域流出物から分離する工程と、
d)前記反応器流出物生産物の少なくとも一部から少なくとも1つの液体モーター燃料生産物を製造する工程と
を含んでなり、
前記脱ろう触媒は、ゼオライト担体と、その上に堆積(又は析出)された1つ以上の第VIB族金属および第VIII族金属を含んでなる少なくとも1つの活性金属化合物と、(A)チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1つ以上の金属の酸化物、炭化物、窒化物、リン化物、硫化物またはそれらの組み合わせ、(B)活性炭、ならびに(C)チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1つ以上の金属がその上に堆積(又は析出)された炭素のうち1つ以上を含んでなる、親水性で水熱安定性の結合剤(又はバインダ)とを含んでなる。
【0015】
好ましい実施形態において、前記脱ろう触媒の前記結合剤は、ジルコニア、バナジア、チタニア、酸化モリブデン、酸化マンガン、酸化セリウム、炭素またはそれらの組み合わせを含んでなる。一方、より好ましい実施形態において、前記脱ろう触媒の前記結合剤は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1つ以上の金属を含んでなる。一方、最も好ましい実施形態において、前記脱ろう触媒の前記結合剤は、チタンを含んでなる。
【0016】
他の好ましい実施形態において、前記脱ろう触媒の前記ゼオライト担体は、ZSM−5、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ゼオライトベータ、ゼオライトY、USY、モルデナイト、フェリエライトまたはそれらの組み合わせを含んでなる。他の実施形態において、前記水素化脱硫/脱酸素触媒は、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1つの第VIII族金属酸化物と、MoおよびWから選択される少なくとも1つの第VI族金属酸化物と、アルミナ、シリカおよびシリカアルミナから選択される担体とを含んでなる。
【0017】
他の好ましい実施形態において、少なくとも1つの液体モーター燃料生産物は、前記反応器流出物生産物の雲点が0℃未満であるディーゼル沸騰範囲フラクション(diesel boiling range fraction)から製造される。
【0018】
好ましい実施形態において、前記炭化水素原料は、80重量%〜約98重量%の前記鉱油成分と、2重量%〜約20重量%の前記バイオマス油成分とを含有し、前記鉱油成分は少なくとも500ppmwの硫黄を含有し、そして前記反応器流出物生産物は100ppmw未満の硫黄を含有する。他の好ましい実施形態において、第2の水素化処理条件は、2psiaよりも高いか、5psiaよりも高いか、または10psiaよりも高い水の分圧(water partial pressure)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の水素化処理反応器システムおよび関連する生産物分離システムの第1の実施形態の単純化されたプロセススキームを例示する。
図2】本発明の水素化処理反応器システムおよび関連する生産物分離システムの第2の実施形態の単純化されたプロセススキームを例示する。
図3】同一の金属および担体成分を有するが、結合剤成分が異なる2種の異なる触媒組成物を使用して変換されたステアリン酸原料の比較GC−MSスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態の詳細な説明)
本発明は、単一水素化処理反応器において2部触媒系を利用して、鉱油成分およびバイオマス油成分を含んでなる炭化水素原料から、脱硫され、脱酸素され、かつ脱ろうされた炭化水素モーター燃料生産物流を製造するためのプロセスおよび触媒に関する。好ましくは、既存の従来の(鉱油)精製プロセスを、鉱油およびバイオマス油成分の両方を含んでなる炭化水素原料を精製するプロセスに経済的に改良するために、本明細書のプロセスに既存の精製装置の水素化処理反応器を利用することができる。
【0021】
原料(又はフィードストック)
本発明のプロセスおよび触媒は、鉱油(または「従来油」)成分およびバイオマス油(または「バイオマス」または「バイオマス由来」または「バイオフィード」)成分の両方を含んでなる混合された炭化水素原料を処理するために設計される。
【0022】
一実施形態において、炭化水素原料は、少なくとも約200°F(93℃)、または少なくとも約250°F(121℃)、または少なくとも約300°F(149℃)、または少なくとも約350°F(177℃)、または少なくとも約400°F(204℃)、または少なくとも約450°F(232℃)の初期沸点を有することができる。ケロシンまたは他のより軽い蒸留物成分が原料に含まれるか量次第で、初期沸騰は広範囲に異なることができる。もう1つの実施形態において、炭化水素原料は、約800°F(427℃)以下、または約750°F(399℃)以下、または約700°F(371℃)以下の最終的な沸点を有することができる。あるいは、重質ディーゼルフラクションおよび別の底部フラクションを製造するために分留が使用される実施形態において、最終的な沸点は、約1100°F(593℃)以下、または約1000°F(538℃)以下、または約900°F(482℃)以下であることができる。原料を特徴づける別の方法は、原料の特定のパーセントを沸騰させるために要求される沸点に基づく。例えば、原料の少なくとも5重量%を沸騰させるために要求される温度は、「T5」沸点と呼ばれる。T5沸点に基づいて原料を特徴づける場合、原料は、少なくとも約200°F(93℃)、または少なくとも約250°F(121℃)、または少なくとも約300°F(149℃)、または少なくとも約350°F(177℃)、または少なくとも約400°F(204℃)、または少なくとも約450°F(232℃)のT5沸点を有することができる。もう1つの実施形態において、原料は、約800°F(427℃)以下、または約750°F(399℃)以下、または約700°F(371℃)以下のT95沸点を有することができる。適切な原料の例は、様々な常圧および/または減圧軽油原料、ディーゼル沸騰範囲原料およびそれらの混合物に相当する原料を含む。
【0023】
一実施形態において、炭化水素原料は、提供された炭化水素原料の全重量に基づき、少なくとも0.5重量%、より好ましくは1重量%、例えば、少なくとも2重量%、少なくとも3重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%または少なくとも99重量%のバイオマスを含むことができる。
【0024】
好ましくは、バイオマス成分は、炭化水素原料の約2重量%〜約20重量%、またはより好ましくは約5重量%〜約15重量%である。他の好ましい実施形態において、鉱油成分は、炭化水素原料の約80重量%〜約98重量%、またはより好ましくは約85重量%〜約95重量%である。
【0025】
鉱油成分(又はミネラルオイル成分)
本発明のプロセスおよび触媒は、鉱油(または「従来油」)成分およびバイオマス(または「バイオマス由来」)成分の両方を含んでなる混合炭化水素原料を処理するために設計される。鉱油成分は、原油、タールサンドビチューメンなどの「非再生可能な」化石/鉱油備蓄、ならびにタールサンドビチューメン、石炭または油母頁岩から誘導される液体炭化水素流から誘導される成分である。鉱油のこれらの供給の製造および置き換えのために要求される時間枠が少なくとも数千年であるため、これらは「非再生可能な」資源と考えられる。鉱油の例には、限定されないが、直留(常圧)軽油、減圧軽油、脱金属化油、コーカー蒸留物、接触分解蒸留物、重質ナフサ、ディーゼル沸騰範囲蒸留物フラクション、ジェット燃料沸騰範囲蒸留物フラクション、ケロシン沸騰範囲蒸留物フラクションおよび石炭液体が含まれる。原料の鉱油部分は、これらの例の流れのいずれか1つまたはそれらのいずれかの組み合わせを含んでなることができる。
【0026】
本発明の好ましい実施形態において、鉱油成分は、少なくとも250ppmwの硫黄を含有する。より好ましくは、本明細書のプロセスにおいて、鉱油成分は、少なくとも500ppmw、または少なくとも1,000ppmw、または少なくとも5,000ppmw、または少なくとも10,000ppmwの硫黄を含有する。鉱油成分に存在する硫黄のほとんどは、有機結合硫黄である。
【0027】
バイオマス成分
一般に、バイオマス成分を構成する生物学的材料には、植物性脂肪/油、動物性脂肪/油、魚油、熱分解油および藻類脂質/油、ならびにそのような材料の成分が含まれる。いくつかの実施形態において、バイオマスは、典型的に水中で不溶性であるが、非極性(または脂肪)溶媒中で可溶性である生物学的化合物である1種以上の脂質化合物を含むことができる。そのような溶媒の非限定的な例には、アルコール、エーテル、クロロホルム、酢酸アルキル、ベンゼンおよびそれらの組み合わせが含まれる。
【0028】
脂質の主要な種類としては、必ずしも限定されないが、脂肪酸、グリセロール由来脂質(脂肪、油およびリン脂質を含む)、スフィンゴシン由来脂質(セラミド、セレブロシド、ガングリオシドおよびスフィンゴミエリンを含む)、ステロイドおよびそれらの誘導体、テルペンおよびそれらの誘導体、脂溶性ビタミン、ある種の芳香族化合物、ならびに長鎖アルコールおよびワックスが含まれる。
【0029】
生体において、脂質は、一般に、細胞膜の基礎として、そして燃料貯蔵の形態として機能する。脂質は、リポタンパク質およびリポ多糖類の形態などで、タンパク質または炭水化物との複合体としても見ることができる。
【0030】
本発明に従って使用することができる植物油の例としては、限定されないが、菜種(キャノーラ)油、大豆油、ココヤシ油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、落花生油、亜麻仁油、トール油、トウモロコシ油、ヒマシ油、ジャトロファ油、ホホバ油、オリーブ油、フラックスシード油、カメリナ油、サフラワー油、ババスーヤシ油、タロー油および米糠油が含まれる。
【0031】
本明細書で参照される植物油は、加工植物油材料を含むこともできる。加工植物油材料の非限定的な例には、脂肪酸および脂肪酸アルキルエステルが含まれる。アルキルエステルは、典型的にC〜Cアルキルエステルを含む。1種以上のメチル、エチルおよびプロピルエステルが好ましい。
【0032】
本発明に従って使用することができる動物性脂肪の例には、限定されないが、牛脂(タロー)、豚脂(ラード)、ターキー脂、魚脂/油および鶏脂が含まれる。動物性脂肪は、レストランおよび肉製造設備を含むいずれかの適切な供給源から得ることができる。
【0033】
本明細書で参照される動物性脂肪は、加工動物性脂肪材料を含むこともできる。加工動物性脂肪材料の非限定的な例には、脂肪酸および脂肪酸アルキルエステルが含まれる。アルキルエステルは、典型的にC〜Cアルキルエステルを含む。1種以上のメチル、エチルおよびプロピルエステルが好ましい。
【0034】
藻類油または脂質は、膜成分、貯蔵産物および代謝物質の形態で藻類に典型的に含有される。ある種の藻類株、特にケイソウおよびシアノバクテリアなどの微細藻類は、比例して高濃度の脂質を含有する。藻類油のための藻類供給源は、バイオマス自体の全重量に基づき、様々な量、例えば、2重量%〜40重量%の脂質を含有することができる。追加的に、または代わりとして、藻類は、脂質ではない、例えば、ワックスエステル、脂肪ケトン、脂肪アルデヒド、脂肪アルコールなどの酸素化炭化水素を含有する油を製造するために遺伝子組み替えされることができる。さらに追加的に、または代わりとして、藻類は、非酸素化炭化水素を製造するために遺伝子組み替えされることができる。そのような場合、遺伝子組み替えのため、藻類は、実際に、油材料含有量の増加を示し得、そして/またはそのような油材料は有利なことに、従来のバイオマスで観測可能および/または達成可能な含有量と比較して、酸素含有量が低下し得る。
【0035】
藻類油のための藻類供給源には、限定されないが、単細胞および多細胞藻類が含まれる。そのような藻類の例には、紅藻類(rhodophyte)、緑藻類(chlorophyte)、ヘテロコント藻類(heterokontophyte)、トリポ藻類(tribophyte)、灰色藻(glaucophyte)、クロララクニオ藻(chlorarachniophyte)、ユーグレナ藻(euglenoid)、ハプト藻(haptophyte)、クリプトモナド(cryptomonad)、ジノフラゲラム(dinoflagellum)、植物プランクトンなど、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態において、藻類は、緑藻綱(Chlorophyceae)および/またはハプト藻類(Haptophyta)であることができる。具体的な種としては、限定されないが、ネオクロリス・オレオアバンダンス(Neochloris oleoabundans)、スセネデスム・ジモルファス(Scenedesmus dimorphus)、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)、海洋性珪藻(Phaeodactylum tricornutum)、プレウロクリシス・カルテラエ(Pleurochrysis carterae)、プリムネシウム・パルバム(Prymnesium parvum)、テトラテルミス・チュイ(Tetraselmis chui)、およびクラミドモナス・レインハルトチイ(Chlamydomonas reinhardtii)が挙げられる。追加的または代わりの藻類の非限定的な例としては、限定されないが、アクナンテス(Achnanthes)、アンフィブローラ(Amphiprora)、アンフォラ(Amphora)、アンキストロデスモス(Ankistrodesmus)、アステロモナス(Asteromonas)、ボエケロヴィア(Boekelovia)、ボロディネラ(Borodinella)、ボツリオコッカス(Botryococcus)、ブラクテオコッカス(Bracteococcus)、カエトセロス(Chaetoceros)、カルテリア(Carteria)、クラミドモナス(Chlamydomonas)、クロロコッカム(Chlorococcum)、クロロゴニウム(Chlorogonium)、クロレラ(Chlorella)、クロオモナス(Chroomonas)、クリソスファエラ(Chrysosphaera)、クリコスファエラ(Cricosphaera)、クリプテコディニウム(Crypthecodinium)、クリプトモナス(Cryptomonas)、サイクロテラ(Cyclotella)、ドナリエラ(Dunaliella)、エリプソイドン(Ellipsoidon)、エミリアニア(Emiliania)、エレモスファエラ(Eremosphaera)、エルノデスミウス(Ernodesmius)、ユーグレナ(Euglena)、フランセイア(Franceia)、フラギラリア(Fragilaria)、グロエオサムニオン(Gloeothamnion)、ハエマトコッカス(Haematococcus)、ハロカフェテリア(Halocafeteria)、ヒメノモナス(Hymenomonas)、イソクリシス(Isochrysis)、レポシンクリス(Lepocinclis)、ミクラクチニウム(Micractinium)、モノラフィディウム(Monoraphidium)、ナンノクロリス(Nannochloris)、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)、ナビクラ(Navicula)、ネオクロリス(Neochloris)、ネフロクロリス(Nephrochloris)、ネフロセルミス(Nephroselmis)、ニツスチア(Nitzschia)、オクロモナス(Ochromonas)、オエドゴニウム(Oedogonium)、オオサイスティス(Oocystis)、オストレオコッカス(Ostreococcus)、パブロバ(Pavlova)、パラクロレラ(Parachlorella)、パスケリア(Pascheria)ファエオダクチルム(Phaeodactylum)、ファグス(Phagus)、プラティモナス(Platymonas)、プレウロクリシス(Pleurochrysis)、プレウロコッカス(Pleurococcus)、プロトテカ(Prototheca)、シュードクロレラ(Pseudochlorella)、プラミモナス(Pyramimonas)、ピロボツリス(Pyrobotrys)、セネデスムス(Scenedesmus)、シゾキトリウム(Schizochytrium)、スケレトネマ(Skeletonema)、スピロギラ(Spyrogyra)、スチココッカス(Stichococcus)、テトラセルミス(Tetraselmis)、スラウストキトリウム(Thraustochytriu)、ヴィリディエラ(Viridiella)およびボルボックス(Volvox)種が挙げられる。
【0036】
シアノバクテリア種が含まれ、それに由来して本明細書において藻類油として認められる油が単離/誘導できる、原核生物(野生型であっても、遺伝子操作されているものであってもよい)のその他の例には、限定されないが、以下のアグメネルム(Agmenellum)、アナバエナ(Anabaena)、アナバエノプシス(Anabaenopsis)、アナシスティス(Anacystis)、アファニゾメノン(Aphanizomenon)、アルスロスピラ(Arthrospira)、アステロカプサ(Asterocapsa)、ボリジア(Borzia)、カロスリックス(Calothrix)、チャメシフォン(Chamaesiphon)、クロログロエオプシス(Chlorogloeopsis)、クロオコッキディオプシス(Chroococcidiopsis)、クロオコッカス(Chroococcus)、クリナリウム(Crinalium)、シアノバクテリウム(Cyanobacterium)、シアノビウム(Cyanobium)、シアノシスティス(Cyanocystis)、シアノスピラ(Cyanospira)、シアノセイス(Cyanothece)シリンドロスペルモプシス(Cylindrospermopsis)、シリンドロスペルマム(Cylindrospermum)、ダクティロコッコプシス(Dactylococcopsis)、デルモカルペラ(Dermocarpella)、フィシェレーラ(Fischerella)、フレミエラ(Fremyella)、ゲイトレリア(Geitleria)、ゲイトレリネマ(Geitlerinema)、グロエオバクター(Gloeobacter)、グロエオカプサ(Gloeocapsa)、グロエオセイス(Gloeothece)、ハロスピルリナ(Halospirulina)、エンガリエーラ(Iyengariella)、レプトリングビア(Leptolyngbya)、リムノスリックス(Limnothrix)、リングビア(Lyngbya)、ミクロコレウス(Microcoleus)、ミクロシスティス(Microcystis)、ミクロサルシナ(Myxosarcina)、ノドゥラリア(Nodularia)、ノストク(Nostoc)、ノストクオプシス(Nostochopsis)、オシラトリア(Oscillatoria)、フォルミディウム(Phormidium)、プランクトリックス(Planktothrix)、プレウロカプサ(Pleurocapsa)、プロクロロコッカス(Prochlorococcus)、プロクロロン(Prochloron)、プロクロロスリックス(Prochlorothrix)、シュードアナバエナ(Pseudanabaena)、リヴラリア(Rivularia)、シゾスリックス(Schizothrix)、シトネーマ(Scytonema)、スピルリナ(Spirulina)、スタニエリア(Stanieria)、スターリア(Starria)、スティゴネマ(Stigonema)、シムプロカ(Symploca)、シネココッカス(Synechococcus)、シネコシスティス(Synechocystis)、トリポスリックス(Tolypothrix)、トリコデスミウム(Trichodesmium)、チコネマ(Tychonema)、およびキセノコッカス(Xenococcus)の種の1種以上が挙げられる。
【0037】
いくつかの実施形態において、バイオマス成分は、脂肪酸アルキルエステルを含んでなることができる。そのような実施形態において、脂肪酸アルキルエステルは、好ましくは、脂肪酸メチルエステル(FAME)、脂肪酸エチルエステル(FAEE)および/または脂肪酸プロピルエステルを含んでなることができる。
【0038】
追加的に、または代わりとして、バイオマス成分は、少なくとも約1重量%、例えば、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%または少なくとも約8重量%の酸素を含むことができる。バイオマス成分に存在する酸素のほとんどは、有機結合酸素である。
【0039】
反応器/プロセス(又は処理、工程もしくは製法)/触媒
本発明のプロセスは、好ましくは、鉱油成分およびバイオマス油成分を含んでなる炭化水素原料から、脱硫され、脱酸素され、かつ脱ろうされた炭化水素モーター燃料生産物流を製造するためのプロセスおよび触媒によって、少なくとも2種の触媒床を含んでなる単一反応器を利用する。好ましくは、本明細書に記載されるプロセスおよび触媒を利用することによって、既存の従来の(鉱油)精製プロセスを、硫黄含有鉱油および酸素含有バイオマス油成分の両方を含んでなる本明細書の炭化水素原料を精製するプロセスに経済的に改良するために、既存の精製装置の水素化処理反応器を利用することができる。
【0040】
第1の反応領域(又は第1反応ゾーン)
本明細書のプロセスにおいて、第1の反応領域は、鉱油成分およびバイオマス油成分の両方を含んでなる組み合わせた炭化水素原料を水素化脱硫および脱酸素するために適切な第1の水素化処理条件下で操作される触媒を含有する。この第1の反応領域は、複数の触媒床を含有してもよい。しかしながら、この領域において、これらの触媒床の少なくとも1種は、「水素化脱硫/脱酸素触媒」を含んでなるか、または本明細書にさらに記載される場合、「第1の触媒」として本明細書に記載されてもよい。
【0041】
この第1の触媒は、好ましくはアルミナ、シリカまたはシリカアルミナを含んでなる高表面積担体材料上で、好ましくは、少なくとも1種の第VIII族金属の酸化物、好ましくはFe、CoおよびNiから選択される金属の酸化物、より好ましくはCoおよび/またはNiから選択される金属の酸化物、そして最も好ましくはCoの酸化物と、少なくとも1種の第VI族金属の酸化物、好ましくはMoおよびWから選択される金属の酸化物、より好ましくはMoの酸化物とを含んでなる。他の適切な水素化脱硫/脱酸素触媒には、ゼオライト触媒、ならびに貴金属がPdおよびPtから選択される貴金属触媒が含まれる。好ましくは、水素化脱硫/脱酸素触媒の第VIII族金属の酸化物は、触媒の重量に基づき、約0.1〜約20重量%、好ましくは約1〜約12重量%の範囲の量で存在する。第VI族金属の酸化物は、好ましくは、触媒の重量に基づき、約1〜約50重量%、好ましくは約2〜約20重量%の範囲の量で存在する。
【0042】
本発明の実施において使用される水素化脱硫/脱酸素触媒は、好ましくは担持された触媒である。いずれかの適切な耐火性触媒担体材料、好ましくは無機酸化物担体材料を、本発明で利用する水素化脱硫/脱酸素触媒のための担体として使用することができる。適切な担体材料の非限定的な例には、ゼオライト、アルミナ、シリカ、チタニア、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、炭素、ジルコニア、珪藻土、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化イットリウムおよび酸化プラセオジムを含む酸化ランタニド、クロミア、酸化トリウム、ウラニア、ニオビア、タンタラ、酸化スズ、酸化亜鉛およびアルミニウムホスフェートが含まれる。アルミナ、シリカおよびシリカアルミナが好ましい。アルミナはより好ましい。
【0043】
水素化処理反応器のこの第1の反応領域の好ましい条件には、原料よりも少ない有機結合硫黄および炭化水素原料よりも少ない有機結合酸素を含有する第1の反応領域流出物を製造するために十分な第1の水素化処理条件下で、炭化水素原料および第1の水素処理ガス流を、水素化脱硫/脱酸素触媒と接触させることを含む。
【0044】
これらの第1の水素化処理条件は、約500°F(約260℃)〜約800°F(約427℃)、例えば、約550°F(約288℃)〜約700°F(約371℃)の重量平均床温度(weight average bed temperature)(WABT)、約300psig(約2.1MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)、例えば、約700psig(約4.8MPag)〜約2000psig(約13.8MPag)の全圧力、約0.1時間−1〜約20時間−1、例えば、約0.2時間−1〜約10時間−1のLHSV、および約500scf/bbl(約89m/m)〜約10000scf/bbl(約1781m/m)、例えば、約750scf/bbl(約134m/m)〜約7000scf/bbl(約1247m/m)、または約1000scf/bbl(約178m/m)〜約5000scf/bbl(約890m/m)の水素処理ガス速度の1つ以上を含むことができる。
【0045】
「処理ガス」、「水素処理ガス」または「水素処理ガス流」という用語は、本明細書で使用される場合、純粋な水素、または一般に反応または生産物に不都合に干渉または影響を及ぼさない1種もしくはそれ以上の他のガス(例えば、窒素、メタンなどの軽質炭化水素など、およびそれらの組み合わせ)に加えて、意図された反応目的のために少なくとも十分である量で水素を含有する水素含有ガスのいずれかであることが可能であるガス流を意味する。HS、NH、COおよびCOなどの不純物は典型的に望ましくなく、典型的に除去されるか、またはそれが反応器床/領域に送られる前に水素処理ガス中で所望の低濃度まで低下される。水素化処理反応器に導入された処理ガス流は、好ましくは少なくとも約50体積%の水素を含有する。しかしながら、本明細書で利用される処理ガス流は、より好ましくは、少なくとも75体積%の水素、より好ましくは少なくとも85体積%の水素、または少なくとも95体積%の水素を含有する。
【0046】
第1の反応領域流出物は、好ましくは、炭化水素原料中に存在する有機結合硫黄の25重量%未満、より好ましくは10重量%未満、そして最も好ましくは5重量%未満を含有する。好ましい実施形態において、第1の反応領域流出物は、250ppm未満、より好ましくは100ppm未満、さらにより好ましくは50ppm未満、そして最も好ましくは30ppm未満の有機結合硫黄を含有する。炭化水素供給流の有機硫黄含有量のほとんどは、この第1の反応器床においてHSに変換される。
【0047】
第1の反応領域流出物は、また、好ましくは、炭化水素原料中に存在する有機結合酸素の50重量%未満、より好ましくは25重量%未満、そして最も好ましくは10重量%未満を含有する。好ましい実施形態において、第1の反応領域流出物は、10,000ppm未満、より好ましくは5,000ppm未満、さらにより好ましくは1,000ppm未満、そして最も好ましくは500ppm未満の有機結合酸素を含有する。有機酸素含有量のほとんどは、この第1の反応領域においてHO(または蒸気の形態でもよい「水」)に変換される。実施形態において、第1の反応領域流出物の水の分圧(water partial pressure)は、これらの水素化処理条件下で2psiaより高く、または5psiaより高く、またはいくつかの例において、10psiaより高く、そしてこれらの条件は、本明細書のプロセスにおいて、水素化処理反応器の第2の反応領域で経験される。
【0048】
第2の反応領域(又は第2反応ゾーン)
本明細書のプロセスにおいて、第1の反応領域流出物流の範囲内での反応成分を分離せずに、第1の反応領域流出物を第2の反応領域に通過させる。第2の水素処理ガス流などの追加的な流れは、第1の反応領域流出物と、水素化処理反応器の第2の反応領域に位置する触媒との接触の前、またはそれと同時に、第1の反応領域流出物に添加されてもよい。
【0049】
本明細書のプロセスにおいて、第2の反応領域は、鉱油成分およびバイオマス油成分の両方を含んでなる組み合わせた炭化水素原料から誘導された第1の反応領域流出物を接触水素化脱ろうするために適切なプロセス条件下で操作される触媒を含有する。「接触水素化脱ろう」(または逆に「脱ろう)という用語が本明細書で使用される場合、少なくとも12個以上の炭素原子(すなわち、「C12+」炭化水素)を含有するn−パラフィンを含む、炭化水素を含有するろう様分子が、触媒および過剰量の水素の存在下で、少なくとも部分的に異性体に変換される(すなわち、「異性体化される」)。この第2の反応領域は、複数の触媒床を含有してもよい。この第2の反応領域において、これらの触媒床の少なくとも1種は、「脱ろう触媒」を含んでなるか、または本明細書にさらに記載される場合、「第2の触媒」として本明細書に記載されてもよい。
【0050】
得られた第1の反応領域流出物を脱ろうすることにおける特定の問題は、第1の反応領域から得られる流出物に存在する水反応生産物の高含有量である。上記の通り、従来の脱ろう触媒、特にアルミナ担持脱ろう触媒は物理的に不安定であるおそれがあり、触媒損失、ならびに相当する水素化転化効率の減少がもたらされる。
【0051】
本発明による方法において有効となるため、第2の反応領域で利用される脱ろう触媒組成物は、物理的触媒損失を最小化し、かつ高変換効率を最大化/維持しながら、水素異性化/脱ろうが可能でなければならない。任意選択的に、本発明によって利用される脱ろう触媒組成物は、追加的に、第1の反応器床流出物を少なくとも部分的に水素化分解することが可能でもよい。本明細書に利用される耐水性脱ろう触媒組成物は、ゼオライト担体などの親水性の水熱安定性担体と、その上に堆積(又は析出)された1種以上の第VIB族金属および第VIII族金属を含んでなる少なくとも1種の活性金属化合物と、親水性の水熱安定性結合剤とを含んでなる。
【0052】
本発明の脱ろう触媒において使用するゼオライト担体には、限定されないが、結晶質アルミノシリケートモレキュラーシーブおよび/または1−Dまたは3−Dモレキュラーシーブ(例えば、10員環1−Dモレキュラーシーブ)が含まれる。適切な脱ろう触媒担体の例には、限定されないが、フェリエライト、モルデナイト、ZSM−5、ZSM−22(シータワン(theta one)またはTONとしても知られる)、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ゼオライトベータ、ゼオライトY、USY、他の第IIA族、第IVB族、第VB族および/または第VIB族酸化物、ならびにそれらの組み合わせ(例えば、ZSM−5、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48およびそれらの組み合わせなどのモレキュラーシーブ、特に、ZSM−5、ZSM−48および/またはZSM−23などのモレキュラーシーブ)が含まれる。
【0053】
典型的に金属水素化処理成分を含む少なくとも1種の活性金属化合物は、第VIII族金属を含んでなることができる。適切な第VIII族金属は、Pt、Pd、Ni、Coまたはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、脱ろう触媒組成物は、少なくとも0.1重量%、例えば、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約2.5重量%または少なくとも約5.0重量%の第VIII族金属を含むことができる。追加的に、または代わりとして、触媒組成物は、約10.0重量%以下、例えば、約5.0重量%以下、約2.5重量%以下、約1.5重量%以下、または約1.0重量%以下の第VIII族金属を含むことができる。
【0054】
いくつかの実施形態において、脱ろう触媒組成物は、追加の水素化処理成分として、Wおよび/またはMoなどの第VIB族金属を含むことができる。典型的に、第VIB族金属は、第VIII族金属が(Niおよび/またはCoなどの)非貴金属を含んでなる場合に存在することができる。そのような実施形態の例は、NiW、NiMoまたはNiMoWの金属を含む脱ろう触媒組成物である。存在する場合、脱ろう触媒組成物は、少なくとも約0.5重量%、例えば、少なくとも約1.0重量%、少なくとも約2.5重量%または少なくとも約5.0重量%の第VIB族金属を含むことができる。追加的に、または代わりとして、脱ろう触媒組成物は、約20.0重量%以下、例えば、約15.0重量%以下、約10.0重量%以下、約5.0重量%以下、または約1.0重量%以下の第VIB族金属を含むことができる。しかしながら、脱ろう触媒組成物が第VIII族金属のみを含有する場合、(Ptおよび/またはPdなどの)不活性の第VIII族金属(又は貴金属)が好ましい第VIII族金属である。
【0055】
有利には親水性および/または水熱安定性であることができる脱ろう触媒組成物の結合剤は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1種以上の金属、活性炭、ならびに/あるいはその上に、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1種以上の金属が堆積(又は析出)された炭素を含んでなる。より好ましくは、脱ろう触媒の結合剤は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1種以上の金属を含んでなる。さらにより好ましくは、脱ろう触媒の結合剤は、チタン、ジルコニウムおよびセリウムから選択される1種以上の金属を含んでなる。最も好ましくは、結合剤はチタンを含んでなる。
【0056】
他の実施形態において、脱ろう触媒の結合剤は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1種以上の金属、活性炭、ならびに/あるいはその上に、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1種以上の金属が堆積(又は析出)された炭素から本質的になる。別の実施形態において、脱ろう触媒の結合剤は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1種以上の金属から本質的になる。別の実施形態において、脱ろう触媒の結合剤は、チタン、ジルコニウムおよびセリウムから選択される1種以上の金属から本質的になる。さらに別の実施形態において、結合剤はチタンから本質的になる。
【0057】
1種以上の金属の形態は金属であってもよいが、典型的に、酸化物、炭化物、窒化物、リン化物、硫化物またはそれらの組み合わせを含んでなる(例えば、炭化物と窒化物との組み合わせはニトリルであることが可能であり、リン化物と酸化物との組み合わせは、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などであることが可能である)。必ずではないが、好ましくは、結合剤はチタニア(二酸化チタンとしても知られる)を含んでなる。本発明による脱ろう触媒組成物は、上記成分から本質的になってもよく、あるいは他の遷移金属(例えば、ニオブなどの第V族金属)の供給源、希土類元素の供給源、有機配位子(例えば、添加されたか、あるいは酸化および硫化工程から残った前駆体として)、リン化合物、ホウ素化合物、フッ素含有化合物、シリコン含有化合物、促進剤、追加結合剤、充填剤もしくは同類の薬剤、またはそれらの組み合わせなどの追加の成分を任意に含有してもよい。本明細書に指される族は、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary(第13版)の周期表に見られるCAS版の族を指す。
【0058】
水素化処理反応器の第2の反応領域の好ましい条件には、限定されないが、改善された雲点特性などの改善された低温流れ特性を有する第2の反応領域流出物を製造するために十分な第2の水素化処理条件下で、炭化水素原料および第1の水素処理ガス流を、脱ろう触媒と接触させることを含む。
【0059】
これらの第2の水素化処理条件は、約500°F(約260℃)〜約800°F(約427℃)、例えば、約550°F(約288℃)〜約700°F(約371℃)の重量平均床温度(WABT)、約300psig(約2.1MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)、例えば、約700psig(約4.8MPag)〜約2000psig(約13.8MPag)の全圧力、約0.1時間−1〜約20時間−1、例えば、約0.2時間−1〜約10時間−1のLHSVの1つ以上を含むことができる。この第2の反応領域への第1の反応器床流出物において過剰量の水素を提供するために、第1の反応領域において過剰量の水素を添加することができる。好ましい実施形態において、第2の水素処理ガス流は、第1の反応領域流出物と、第2の反応領域に位置する脱ろう触媒との接触の前、またはそれと同時に、第1の反応領域流出物に添加されてもよい。そのような場合、約200scf/bbl(約36m/m)〜約5000scf/bbl(約890m/m)の第2の水素処理ガス速度が好ましい。
【0060】
この第2の反応領域処理の生産物は、「第2の反応領域流出物」である。この流出物は、水素化処理反応器において追加の触媒床および/または反応領域によってさらに処理されてもよいが、限定せず、また単純さのために、第1の反応領域および第2の反応領域、ならびに関連する触媒床のみが水素化処理反応器に存在する実施形態に関して本明細書にプロセスを記載し続ける。本発明のそのような実施形態において、第2の反応領域流出物は、水素化処理反応器から引き出される。好ましくは、第2の反応領域流出物の少なくとも一部は、気相生産物および反応器流出物生産物を形成するために分離される。追加的に、または任意に、反応領域流出物は水素化処理反応器から引き出され、そして分留装置塔に送られ、そこで気相生産物は反応器流出物生産物から除去され、そして反応器流出物生産物は、同時に2以上の異なる沸騰範囲の液体生産物流に分留される。この後者の実施形態において、「反応器流出物生産物」という用語は、本明細書の全体的な反応器流出物生産物の特定のフラクションとして示されない限り、分留された液体生産物流の組み合わせであると考えられる。「液体生産物」または「液体生産物流」という用語は、本明細書の文脈で利用される場合、標準(大気)圧力および温度において液体である本プロセスの反応器生産物成分を意味する。
【0061】
図1は、本明細書に記載されるような2つのみの反応領域を有する単一反応器が利用される本明細書のプロセス形状の実施形態の単純化されたスキームを例示する。図1は、モーター燃料用途のためにさらに分離することができる反応器流出物生産物を形成するために、第2の反応領域流出物から気相生産物を分離するためのフラッシュドラムの任意の使用を示す。
【0062】
図1中、鉱油成分1およびバイオマス油成分5を組み合わせて、組み合わせた炭化水素原料10を形成する。そのような組み合わせが図中では、単純さのために水素化処理反応器20に入る前に生じるように例示されるが、本発明はそのように限定されない。典型的に、2つの成分流は、水素化処理反応器20への導入の有意に前に、プロセスの一部で混合される。組み合わせられた流れは、追加的に、図1中に例示されるように、プロセスの工程より前に前処理を受ける。
【0063】
図1を続けると、組み合わせた炭化水素原料10(または本明細書に単に「炭化水素原料」と記載される)は、水素化処理反応器20に入る。第1の水素処理ガス流15は、炭化水素原料と組み合わせられる。図1中、この組み合わせる工程は、反応器に入る前に炭化水素原料流10と混合するように示される。しかしながら、第1の水素処理ガス流15は、任意に、または追加的に、直接に水素化処理反応器20へと、本明細書のプロセスに導入されてもよい。水素原料10および第1の水素処理気体15は、本明細書に記載される第1の水素化処理条件下、第1の反応器領域25において触媒と接触する。第1の反応領域25は、本明細書の発明の詳細において記載されるような水素化脱硫/脱酸素触媒を含有する。組み合わせた流れの成分は第1の反応領域25において触媒を通過し、ここで、この成分は、異なる分子生産物に触媒的に変換されて、そして第1の反応領域流出物として第1の反応領域から出て(図中、別々に示されない)、これは、次いで、本明細書に記載されるような第2の水素化処理条件下で第2の反応領域30を通過する。任意に、示されるように、第2の水素処理ガス流体35を第2の反応領域30の前にプロセスに添加することができる。第1の反応領域流出物は、第2の反応領域30において触媒的に変換され、本明細書の詳細説明に記載されるような生産物特性を生じ、そして示されるように、第2の反応領域流出物40として水素化処理反応器20から引き出すことができる。
【0064】
図1に示される実施形態において、第2の反応領域流出物40を気相生産物55および反応器流出物生産物60に分離するために、フラッシュドラム50が利用される。示されないが、フラッシュドラム50に入る前に、第2の反応領域流出物40に追加の冷却を行ってもよい。次いで、反応器流出物生産物60を、さらに処理することができ、そして/またはディーゼル、ケロシン、ジェット、暖房油、船舶、掩蔽壕燃料および/もしくは潤滑油の用途のためのフラクションに分離することができる。
【0065】
図2は、本明細書のプロセスの別の任意の実施形態を例示する。この形状において、図1に記載される要素/プロセス1〜40は、図2に示されるものと本質的に同じである。しかしながら、本明細書のプロセスの好ましい用途は、組み合わせた鉱油/バイオマス成分流を共処理しながら、モーター燃料のスペックを満たすナフサ流(ガソリンブレンド用)または蒸留物(ディーゼルブレンド用)などの少なくとも1種のモーター燃料生産物流を製造することであるため、分留装置塔70は、第2の反応領域流出物40を使用可能なモーター燃料フラクションへと直接分離するために利用される。
【0066】
ここで、第2の反応領域流出物40は、分留装置塔70に入って、様々な生産物流に分離するものとして示される。ここで、気相流75は、分留塔70のオーバーヘッドから引き出される。ガス流および液体流への第2の反応領域流出物40の初期の分離を生じるフラッシュドラム(図1中では要素50として示される)を利用することは任意であり(図2中で示されず/詳述されない)、次いで、液体流を、さらに記載されるようなさらなる分離のために分留装置塔70に通過させることができることに留意すべきである。図2に示される形状を続けると、気相流れ75は、(硫化水素などの)反応プロセスから縮合不可能な生産物であるいくらかの水素、水および軽質石油ガスまたは「LPG」(プロパンおよびブタンなど)を主に含有する。
【0067】
本明細書の好ましい実施形態において、80°F(27℃)〜450°F(232℃)の沸騰範囲を有するナフサ範囲フラクション80および/または400°F(204℃)〜700°F(371℃)の沸騰範囲を有する蒸留物範囲フラクション85の一方または両方が分留装置塔70から得られる。本明細書に記載される通り、これらの生産物はモーター燃料での使用のために改善された生産物品質を有する。例えば、ナフサ範囲フラクションは、プロセスに導入された炭化水素原料より低い硫黄を有し、そして好ましくはモーターガソリンのスペックを満たすために十分に硫黄が低い。ナフサ範囲フラクションは、ガソリンオクタンを改善する異性体含有量においても改善されなければならない。同様に、得られる蒸留物生産物は、ディーゼルモーター燃料での使用のために改善された生産物品質を有する。蒸留物範囲フラクションは、プロセスに導入された炭化水素原料より低い硫黄を有し、そして好ましくはモーターガソリンのスペックを満たすために十分に硫黄が低い。また蒸留物フラクションは、組み合わせた炭化水素原料の処理されていない蒸留物フラクション以上に改善された雲点特性を有し、そして好ましくは、さらなる変換処理を必要とせずに、ディーゼルモーター燃料のための商業的輸送および使用のスペックを満たす。
【0068】
図2を続けると、任意に、炭化水素原料が、蒸留物沸騰範囲よりも著しく高い沸点を有するフラクション成分を含有する場合、船舶/掩蔽壕燃料フラクション90が、分留塔70から引き出されることができる。追加的に、そのような場合、潤滑油フラクション95が分留塔70から引き出されてもよい。本発明のプロセスは、改善された流動点および粘度特性を有する低硫黄潤滑油フラクションを製造する際に、例外的に有用である。
【0069】
好ましい実施形態において、反応器流出物生産物は、組み合わせた炭化水素原料の分枝鎖(イソ−)パラフィン含有量よりも少なくとも10重量%高い、そしてより好ましくは少なくとも20重量%高い、そしてさらにより好ましくは少なくとも35重量%高い分枝鎖(イソ−)パラフィン含有量を有する。
【0070】
追加的に、本明細書の好ましい実施形態において、第2の反応領域流出物流からの気相流の分離後、反応器流出物生産物流は、炭化水素原料に存在する硫黄の好ましくは25重量%未満、より好ましくは10重量%未満、そして最も好ましくは5重量%未満を含有する。好ましい実施形態において、反応器流出物生産物流は、250ppm未満、より好ましくは100ppm未満、さらにより好ましくは50ppm未満、そして最も好ましくは30ppm未満の硫黄を含有する。
【0071】
追加的に、本明細書の好ましい実施形態において、第2の反応領域流出物流からの気相流の分離後、反応器流出物生産物流は、炭化水素原料に存在する酸素の好ましくは50重量%未満、より好ましくは25重量%未満、そして最も好ましくは10重量%未満を含有する。好ましい実施形態において、反応器流出物生産物流は、10,000ppm未満、より好ましくは5,000ppm未満、さらにより好ましくは1,000ppm未満、そして最も好ましくは500ppm未満の酸素を含有する。
【0072】
いくつかの実施形態において、本発明による方法の反応器流出物生産物の一部以上の部分(またはおそらく全生産物)は、1種以上の輸送燃料組成物として有利に使用することができ、そして/または1種以上の既存の燃料プールに送られてもよい。そのような燃料組成物/プールの非限定的な例には、限定されないが、ディーゼル、ケロシン、ジェット、暖房油、船舶および/または掩蔽壕燃料が含まれる。例えば、一実施形態において、生産物の蒸留物部分は、400°F(204℃)〜550°F(288℃)の沸騰範囲を有するケロシンカットおよび550°F(232℃)〜700°F(371℃)の沸騰範囲を有するディーゼルカットに分離することができる(例えば、分留などによって)。
【0073】
より好ましい実施形態において、反応器流出物生産物のディーゼル沸騰範囲フラクションは分離/単離されて、そしてディーゼル沸騰範囲フラクション、0℃未満、好ましくは5℃未満、または10℃未満、または15℃未満、または20℃未満、または25℃未満、または30℃未満、または35℃未満、または40℃未満の雲点を示すことができる。
【0074】
追加的に、または代わりとして、本発明は以下の実施形態を含むことができる。
【0075】
実施形態1
少なくとも1つの液体モーター燃料生産物を形成するための、鉱油成分およびバイオマス油成分を含んでなる炭化水素原料の処理方法であって、当該方法が、
a)前記炭化水素原料よりも少ない有機結合硫黄および前記炭化水素原料よりも少ない有機結合酸素を含有する第1の反応領域流出物を製造するために十分な第1の水素化処理条件下で、水素化処理反応器の第1の反応領域において、前記炭化水素原料および第1の水素処理ガス流を、水素化脱硫/脱酸素触媒と接触させる工程と、
b)第2の反応領域流出物を製造するために十分な第2の水素化処理条件下で、前記水素化処理反応器の第2の反応領域において、前記第1の反応領域流出物を脱ろう触媒と接触させる工程と、
c)前記炭化水素原料よりも低い硫黄含有量および前記炭化水素原料よりも低い酸素含有量を有する反応器流出物生産物を製造するために、気相生産物流を前記第2の反応領域流出物から分離する工程と、
d)前記反応器流出物生産物の少なくとも一部から少なくとも1つの液体モーター燃料生産物を製造する工程と
を含んでなり、
前記脱ろう触媒が、ゼオライト担体と、その上に堆積(又は析出)された1つ以上の第VIB族金属および第VIII族金属を含んでなる少なくとも1つの活性金属化合物と、(A)チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1つ以上の金属の酸化物、炭化物、窒化物、リン化物、硫化物またはそれらの組み合わせ、(B)活性炭、ならびに(C)チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1つ以上の金属がその上に堆積(又は析出)された炭素のうち1つ以上を含んでなる、親水性で水熱安定性の結合剤(又はバインダ)とを含んでなる、
方法。
【0076】
実施形態2
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、ジルコニア、バナジア、チタニア、酸化モリブデン、酸化マンガン、酸化セリウム、炭素またはそれらの組み合わせを含んでなる、実施形態1の方法。
【0077】
実施形態3
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1つ以上の金属を含んでなる、実施形態1の方法。
【0078】
実施形態4
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、チタン、ジルコニウムおよびセリウムから選択される1つ以上の金属を含んでなる、実施形態3の方法。
【0079】
実施形態5
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、チタン、ジルコニウムおよびセリウムから選択される1つ以上の金属から本質的になる、実施形態4の方法。
【0080】
実施形態6
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、チタンを含んでなる、実施形態3の方法。
【0081】
実施形態7
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、チタンから本質的になる、実施形態6の方法。
【0082】
実施形態8
前記脱ろう触媒の前記ゼオライト担体が、ZSM−5、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ゼオライトベータ、ゼオライトY、USY、モルデナイト、フェリエライトまたはそれらの組み合わせを含んでなる、実施形態1〜7のいずれかの方法。
【0083】
実施形態9
前記水素化脱硫/脱酸素触媒が、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1つの第VIII族金属酸化物と、MoおよびWから選択される少なくとも1つの第VIB族金属酸化物とを含んでなる、実施形態1〜8のいずれかの方法。
【0084】
実施形態10
前記水素化脱硫/脱酸素触媒が、アルミナ、シリカおよびシリカアルミナから選択される担体をさらに含んでなる、実施形態1〜9のいずれかの方法。
【0085】
実施形態11
前記第1の水素化処理条件が、約500°F(約260℃)〜約800°F(約427℃)の重量平均床温度(WABT)、約300psig(約2.1MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の全圧力、約0.1時間−1〜約20時間−1のLHSV、および約500scf/bbl(約89m/m)〜約10000scf/bbl(約1781m/m)の水素処理ガス速度のうち1つ以上を含む、実施形態1〜10のいずれかの方法。
【0086】
実施形態12
前記第1の水素化処理条件が、2psiaよりも高い水の分圧を含む、実施形態1〜11のいずれかの方法。
【0087】
実施形態13
前記第2の水素化処理条件が、約500°F(約260℃)〜約800°F(約427℃)の重量平均床温度(WABT)、約300psig(約2.1MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の全圧力、および約0.1時間−1〜約20時間−1のLHSVのうち1つ以上を含む、実施形態1〜12のいずれかの方法。
【0088】
実施形態14
前記第2の水素化処理条件が、5psiaよりも高い水の分圧をさらに含む、実施形態1〜13のいずれかの方法。
【0089】
実施形態15
前記第2の水素化処理条件が、約200scf/bbl(約36m/m)〜約5000scf/bbl(約890m/m)の処理ガス速度での第2の水素処理ガスの導入を含む、実施形態1〜14のいずれかの方法。
【0090】
実施形態16
前記気相生産物流および前記反応器流出物生産物を製造するために、前記第2の反応領域流出物がフラッシュドラムで分離される、実施形態1〜15のいずれかの方法。
【0091】
実施形態17
前記第2の反応領域流出物が、前記気相生産物流および前記反応器流出物生産物を製造するために、分留装置塔で分離される、実施形態1〜15のいずれか1つの方法。
【0092】
実施形態18
前記炭化水素原料が、80重量%〜約98重量%の前記鉱油成分と、2重量%〜約20重量%の前記バイオマス油成分とを含有し、前記鉱油成分が少なくとも500ppmwの硫黄を含有し、かつ前記反応器流出物生産物が100ppmw未満の硫黄を含有する、実施形態1〜17のいずれかの方法。
【0093】
実施形態19
前記バイオマス油成分が少なくとも2重量%の酸素を含有し、かつ前記反応器流出物生産物が1,000ppmw未満の酸素を含有する実施形態18の方法。
【0094】
実施形態20
前記バイオマス油成分が、藻類から誘導される、実施形態1〜19のいずれかの方法。
【0095】
実施形態21
前記炭化水素原料が、少なくとも約200°F(93℃)のT5沸点および約800°F(427℃)未満のT95沸点を有する、実施形態1〜20のいずれかの方法。
【0096】
実施形態22
前記少なくとも1つの液体モーター燃料生産物が、前記反応器流出物生産物のディーゼル沸騰範囲フラクションから製造され、前記ディーゼル沸騰範囲フラクションの雲点が0℃未満である、実施形態1〜21のいずれかの方法。
【0097】
実施形態23
前記反応器流出物生産物が、前記炭化水素原料の分枝(イソ−)パラフィン含有量よりも少なくとも20重量%高い分枝(イソ−)パラフィン含有量を有する、実施形態1〜22のいずれかの方法。
【0098】
実施形態24
前記脱ろう触媒が、ZSM−48と、前記ZSM−48の重量に基づき、約0.1重量%〜約3.0重量%の金属含有量を有するパラジウムおよび白金から選択される第VIII族金属と、チタニア結合剤とを含んでなる、実施形態1および8〜23のいずれか1つの方法。
【0099】
実施形態25
前記脱ろう触媒が、ZSM−48と、前記ZSM−48の重量に基づき、約0.5重量%〜約20重量%の第VIII族金属含有量を有するニッケル、コバルトおよび鉄から選択される第VIII族非貴金属と、前記ZSM−48の重量に基づき、約3重量%〜約25重量%の第VIB族金属含有量を有するモリブデンおよびタングステンから選択される第VIB族金属と、チタニア結合剤とを含んでなる、実施形態1および8〜23のいずれか1つの方法。
【0100】
実施形態26
ナフサ沸騰範囲フラクションおよび蒸留物沸騰範囲フラクションが分留装置塔から得られる、実施形態17〜25のいずれか1つの方法。
【0101】
実施形態27
前記分留塔からの前記ナフサ沸騰範囲フラクションが、前記炭化水素原料のナフサ沸騰範囲フラクションよりも高いオクタン価を有する、実施形態26の方法。
【0102】
実施形態28
前記分留塔からの前記蒸留物沸騰範囲フラクションが、前記炭化水素原料の蒸留物沸騰範囲フラクションよりも低い雲点および前記炭化水素原料の蒸留物沸騰範囲フラクションよりも低い流動点を有する、実施形態26および27のいずれか1つの方法。
【0103】
実施形態29
前記蒸留物沸騰範囲フラクションは、0℃未満の雲点を有するディーゼル沸騰範囲フラクションを含有する、実施形態26〜28のいずれか1つの方法。
【実施例】
【0104】
(実施例)
本明細書の実施例は、水相水素化転化処理における従来技術の相当する触媒と比較して、より高い変換活性を示し、かつそれを維持する本明細書の水耐性触媒の特性を例示する。
【0105】
実施例1
一連の異なる触媒組成物において、約250℃、約275℃、約300℃および約325℃の温度でステアリン酸原料を変換した。これらの触媒組成物には、アルミナ担体/結合剤上の<1重量%のPt、チタニア結合剤(触媒重量の約35%)を有するZSM−23担体上の<1重量%のPt(担体上の全金属は触媒重量の約65%であった)、アルミナ結合剤(触媒重量の約35%)を有するZSM−48担体上の<1重量%のPt(担体上の全金属は触媒重量の約65%であった)、チタニア結合剤を有するZSM−48担体上の<1重量%のPt、アルミナ結合剤(触媒重量の約35%)を有するZSM−5担体上の<1重量%のPt(担体上の全金属は触媒重量の約65%であった)、ならびに金属および結合剤を含まないZSM−5が含まれた。試験した全ての温度において、チタニア含有(またはより概括的に非アルミナ含有)触媒組成物は、アルミナ含有触媒組成物よりも高いステアリン酸原料の変換を示した。約275℃以上において、チタニア(非アルミナ)含有触媒は全て、少なくとも15%(例えば約20%〜約95%)の変換レベルを示したが、アルミナ含有触媒は10%未満の変換レベルを示した。これらの変換レベルは、物質収支が関与する計算に基づき、これは酸素含有量に対する良好な指標であることもできる。脱酸素は、脱カルボキシル化および脱水を通して生じることができるため、その反応/処理条件において形成されたCOおよび水の完全な損失を仮定して、(少なくとも脱カルボニル化/脱カルボキシル化反応に関する)変換レベルは、物質収支の低下によって増加する傾向があることができる。アルミナ含有触媒などの非親水性および/または非水熱安定性の結合剤を有する触媒は、そのような原料の脱酸素に関して非常に低い活性を示す。
【0106】
実施例2
実施例2において、結合剤以外は同一である2種の触媒組成物の活性を直接比較した。第1の触媒組成物は、アルミナ結合剤を有するZSM−48担体上の<1重量%のPtであり、第2の触媒組成物は、チタニア結合剤を有するZSM−48担体上の<1重量%のPtであった。各触媒上で、ステアリン酸原料を、約325℃の温度で、約0.3時間−1の重量空間速度で、および約400psig(約2.8MPag)の水素分圧下で変換した。生産物は、質量分析計(GC−MS)に連結されたガスクロマトグラフを使って分析した。スペクトル比較は、上部のチタニア結合剤、底部のアルミナ結合剤によって図3に示される。チタニア結合剤を含有する触媒組成物は、パラフィンから分枝鎖(イソ−)パラフィンまでの原料の実質的に完全な変換を示し、また実質的に完全な脱酸素も示した。この上部試料の流動点は、約10℃/分の温度変化率を使用する示差走査熱量測定(DSC)による分析に基づき、約50℃未満であると決定された。アルミナ結合剤を含有する触媒組成物は、多量の未変換ステアリン酸と、いくらかの限定的な脱酸素を示したが、パラフィンから分枝鎖(イソ−)パラフィンへの変換のかろうじて検出可能な(トレース)量のみを示した。この底部試料の流動点は、DSC分析に基づき、約+52℃であることが決定された。比較のため、ステアリン酸原料の流動点(融点)は、約+69℃であった。
【0107】
本発明の操作の原理およびモードを、様々な例示的かつ好ましい実施形態に関して上記に記載した。当業者によって理解されるように、本発明は、全体として、請求の範囲で定義されるように、本明細書に特に列挙されない他の好ましい実施形態を包含する。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
少なくとも1つの液体モーター燃料生産物を形成するための、鉱油成分およびバイオマス油成分を含んでなる炭化水素原料の処理方法であって、
a)前記炭化水素原料よりも少ない有機結合硫黄および前記炭化水素原料よりも少ない有機結合酸素を含有する第1の反応領域流出物を製造するために十分な第1の水素化処理条件下で、水素化処理反応器の第1の反応領域において、前記炭化水素原料および第1の水素処理ガス流を、水素化脱硫/脱酸素触媒と接触させる工程と、
b)第2の反応領域流出物を製造するために十分な第2の水素化処理条件下で、前記水素化処理反応器の第2の反応領域において、前記第1の反応領域流出物を脱ろう触媒と接触させる工程と、
c)前記炭化水素原料よりも低い硫黄含有量および前記炭化水素原料よりも低い酸素含有量を有する反応器流出物生産物を製造するために、気相生産物流を前記第2の反応領域流出物から分離する工程と、
d)前記反応器流出物生産物の少なくとも一部から少なくとも1つの液体モーター燃料生産物を製造する工程と
を含んでなり、
前記脱ろう触媒が、ゼオライト担体と、その上に堆積された1つ以上の第VIB族金属および第VIII族金属を含んでなる少なくとも1つの活性金属化合物と、(A)チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1つ以上の金属の酸化物、炭化物、窒化物、リン化物、硫化物またはそれらの組み合わせ、(B)活性炭、ならびに(C)チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1つ以上の金属がその上に堆積された炭素のうち1つ以上を含んでなる、親水性で水熱安定性の結合剤とを含んでなる、
方法。
(態様2)
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、ジルコニア、バナジア、チタニア、酸化モリブデン、酸化マンガン、酸化セリウム、炭素またはそれらの組み合わせを含んでなる、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、チタン、ジルコニウム、バナジウム、モリブデン、マンガンおよびセリウムから選択される1つ以上の金属を含んでなる、態様1に記載の方法。
(態様4)
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、チタン、ジルコニウムおよびセリウムから選択される1つ以上の金属を含んでなる、態様3に記載の方法。
(態様5)
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、チタン、ジルコニウムおよびセリウムから選択される1つ以上の金属から本質的になる、態様4に記載の方法。
(態様6)
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、チタンを含んでなる、態様3に記載の方法。
(態様7)
前記脱ろう触媒の前記結合剤が、チタンから本質的になる、態様6に記載の方法。
(態様8)
前記脱ろう触媒の前記ゼオライト担体が、ZSM−5、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−48、ゼオライトベータ、ゼオライトY、USY、モルデナイト、フェリエライトまたはそれらの組み合わせを含んでなる、態様1〜7のいずれか1項に記載の方法。
(態様9)
前記水素化脱硫/脱酸素触媒が、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1つの第VIII族金属酸化物と、MoおよびWから選択される少なくとも1つの第VIB族金属酸化物とを含んでなる、態様1〜8のいずれか1項に記載の方法。
(態様10)
前記水素化脱硫/脱酸素触媒が、アルミナ、シリカおよびシリカアルミナから選択される担体をさらに含んでなる、態様1〜9のいずれか1項に記載の方法。
(態様11)
前記第1の水素化処理条件が、約500°F(約260℃)〜約800°F(約427℃)の重量平均床温度(WABT)、約300psig(約2.1MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の全圧力、約0.1時間−1〜約20時間−1のLHSV、約500scf/bbl(約89m/m)〜約10000scf/bbl(約1781m/m)の水素処理ガス速度、および2psiaよりも高い水の分圧のうち1つ以上を含む、態様1〜10のいずれか1項に記載の方法。
(態様12)
前記第2の水素化処理条件が、約500°F(約260℃)〜約800°F(約427℃)の重量平均床温度(WABT)、約300psig(約2.1MPag)〜約3000psig(約20.7MPag)の全圧力、約0.1時間−1〜約20時間−1のLHSV、および2psiaよりも高い水の分圧のうち1つ以上を含む、態様1〜11のいずれか1項に記載の方法。
(態様13)
前記炭化水素原料が、80重量%〜約98重量%の前記鉱油成分と、2重量%〜約20重量%の前記バイオマス油成分とを含有し、前記鉱油成分が少なくとも500ppmwの硫黄を含有し、かつ前記反応器流出物生産物が100ppmw未満の硫黄を含有する、態様1〜12のいずれか1項に記載の方法。
(態様14)
前記バイオマス油成分が、藻類から誘導される、態様1〜13のいずれか1項に記載の方法。
(態様15)
前記炭化水素原料が、少なくとも約200°F(93℃)のT5沸点および約800°F(427℃)未満のT95沸点を有する、態様1〜14のいずれか1項に記載の方法。
(態様16)
前記少なくとも1つの液体モーター燃料生産物が、前記反応器流出物生産物のディーゼル沸騰範囲フラクションから製造され、前記ディーゼル沸騰範囲フラクションの雲点が0℃未満であり、前記反応器流出物生産物が、前記炭化水素原料の分枝(イソ−)パラフィン含有量よりも少なくとも20重量%高い分枝(イソ−)パラフィン含有量を有する、態様1〜15のいずれか1項に記載の方法。
(態様17)
前記脱ろう触媒が、ZSM−48と、前記ZSM−48の重量に基づき、約0.1重量%〜約3.0重量%の金属含有量を有するパラジウムおよび白金から選択される第VIII族金属と、チタニア結合剤とを含んでなる、態様1および8〜16のいずれか1項に記載の方法。
(態様18)
前記脱ろう触媒が、ZSM−48と、前記ZSM−48の重量に基づき、約0.5重量%〜約20重量%の第VIII族金属含有量を有するニッケル、コバルトおよび鉄から選択される第VIII族非貴金属と、前記ZSM−48の重量に基づき、約3重量%〜約25重量%の第VIB族金属含有量を有するモリブデンおよびタングステンから選択される第VIB族金属と、チタニア結合剤とを含んでなる、態様1および8〜16のいずれか1項に記載の方法。
図1
図2
図3