特許第6173463号(P6173463)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173463
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】ポリオールエステルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/08 20060101AFI20170724BHJP
   C07C 67/56 20060101ALI20170724BHJP
   C07C 69/28 20060101ALI20170724BHJP
   B01J 31/02 20060101ALI20170724BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170724BHJP
【FI】
   C07C67/08
   C07C67/56
   C07C69/28
   B01J31/02 101Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-531479(P2015-531479)
(86)(22)【出願日】2013年8月10日
(65)【公表番号】特表2015-529672(P2015-529672A)
(43)【公表日】2015年10月8日
(86)【国際出願番号】EP2013002408
(87)【国際公開番号】WO2014040680
(87)【国際公開日】20140320
【審査請求日】2016年6月1日
(31)【優先権主張番号】102012018207.4
(32)【優先日】2012年9月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507254975
【氏名又は名称】オクセア・ゲゼルシャフト・ミト・べシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】フライ・グイード・デー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー・トニア
(72)【発明者】
【氏名】アルノルト・イェルク
(72)【発明者】
【氏名】クレイックマン・トールステン
(72)【発明者】
【氏名】シュトルッツ・ハインツ
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/042116(WO,A1)
【文献】 特表平08−505879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 67/08
B01J 31/02
C07C 67/56
C07C 69/28
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールと、3〜20個の炭素原子を有する線状又は分岐状の脂肪族モノカルボン酸との反応によってポリオールエステルを製造する方法であって、触媒として、元素の周期表の第4族〜第14族の少なくとも一つの元素を含有するルイス酸及び吸着剤の存在下に、生成される水を除去しながら出発化合物の混合物を反応させ、そして引き続き、得られた粗製エステルを、1〜6.5のpH値を有する酸性の活性炭である、別の吸着剤の添加によって後処理し、
その際、チタンがそれの化合物の形態で触媒として使用され、アルコラート、アシル化物、カルボン酸塩又はキレートがチタン化合物として使用されることを特徴とする、上記の方法。
【請求項2】
前記酸性の活性炭による後処理が、室温〜140℃の温度で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸性の活性炭の存在下に熱加水分解が行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記熱加水分解が、100〜250℃の温度で行われることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリオールエステルを、80〜250℃の温度及び0.2〜500hPaの圧力で乾燥させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
処理される粗製エステル100重量部に対して、0.05〜2.5重量部の前記酸性の活性炭が添加されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
不足量で使用されるポリオールに基づいて、前記触媒が、1.0×10−5〜20モル%の量で使用されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
不足量で使用されるポリオールに基づいて、前記触媒が、0.01〜5モル%の量で使用されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリオールの、3〜20個の炭素原子を有する線状又は分岐状の脂肪族モノカルボン酸との反応の時に、反応投入物100重量部に対して、0.1〜5重量部の吸着剤が使用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
ケイ酸ゲル(Silicagel)、シリカゲル(Kieselgel)、珪藻土、アルミニウム酸化物、アルミニウム水酸化物、粘土、炭酸塩又は活性炭が吸着剤として使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
一般式(I)、
R(OH) (I)
(式中、Rは、2〜20個の炭素原子を有する脂肪族又は環状脂肪族の炭化水素残基を意味し、そして、nは、2〜8整数を意味する。)
で表される化合物がポリオールとして使用されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
一般式(II)、
H−(−O−[−CR−]−)−OH (II)
(式中、R及びRは、互いに独立して、水素、1〜5個の炭素原子を有するアルキル残を意味するか、又は1〜5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル残基意味し、mは、1〜10の整数を意味し、oは、2〜15の整数を意味する。)
で表される化合物がポリオールとして使用されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジメチロールブタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、エチレングリコール又は3(4),8(9)−ジヒドロキシメチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカンがポリオールとして使用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ジ−トリメチロールプロパン、ジ−ペンタエリスリット、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール又はテトラプロピレングリコールがポリオールとして使用されることを特徴とする、請求項12に記載方法。
【請求項15】
プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−ペンタン酸、2−メチル酪酸、3−メチル酪酸、2−メチルペンタン酸、n−ヘキサン酸、2−エチル酪酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、n−ノナン酸、2−メチルオクタン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸又は2−プロピルヘプタン酸が、脂肪族モノカルボン酸として反応されることを特徴とする、請求項1〜14に記載の方法。
【請求項16】
トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチラート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート又はテトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエートを製造するための、請求項1〜15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
前記アルキル残基が、メチル、エチル又はプロピルを意味することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記ヒドロキシアルキル残基が、ヒドロキシメチル残基であることを特徴とする、請求項12又は17に記載の方法。
【請求項19】
mが、1、2、3又は4の整数を意味することを特徴とする、請求項12、17又は18に記載の方法。
【請求項20】
oが、2、3、4又は5の整数を意味することを特徴とする、請求項12及び17〜19のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3〜20個の炭素原子を有する線状又は分岐状の脂肪族モノカルボン酸及びポリオールから、触媒として、元素の周期表の第4族〜第14族から選択される少なくとも一種の元素を含有するルイス酸及び吸着剤の存在下においてそれら出発化合物を反応させ、そして引き続いて、更なる吸着剤を添加することにより粗製エステルを後処理することによってポリオールエステルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオールエステルとも呼ばれる多価アルコールのエステルは、産業界において広範囲にわたり、そして多種多様な用途において、例えば、可塑剤又は滑剤中において使用されている。適当な出発製品を選択することによって、物理的特性、例えば、沸点又は粘度を合目的的に調整することができ、そして、化学的特性、例えば、加水分解耐性又は酸化による分解に対抗する安定性を考慮することができる。また、特定の用途に関する問題の解決に当たり、ポリオールエステルを、合目的的に適合させることもできる。ポリオールエステルの使用に関する詳細な報告は、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5. Auflage, 1985, VCH Verlagsgesellschaft, Vol. A1, Seiten 305−319; 1990, Vol. A15, Seiten 438−440(非特許文献1)又はKirk Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 3. Auflage, John Wiley & Sons, 1978, Vol. 1, Seiten 778−787; 1981, Vol. 14, Seiten 496−498(非特許文献2)に見られる。
【0003】
滑剤としてのポリオールエステルの使用は、技術的に大きな意味を有しており、そして、鉱油をベースとする滑剤が、設定された要件を不完全にしか満たさない場合におけるような使用分野に特に使用されている。ポリオールエステルは、特に、タービンモーターオイル及び機械油として利用されている。滑剤用途のためのポリオールエステルは、しばしば、アルコール成分として、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、グリセリン又はTCD−Alkohol DMとも呼ばれる3(4),8(9)−ジヒドロキシメチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカンをベースとしている。
【0004】
ポリオールエステルは、かなりの範囲において可塑剤としても使用されている。可塑剤は、多様な方法で、プラスチック、コーティング、シーラント製品及びゴム製品において使用されている。これらは、化学的に反応することなく、好ましくは、それの溶解許容量及び膨潤許容量によって、物理的な相互作用において高重合体の熱可塑性物質と接触する。これによって均質な系が形成され、その熱可塑性の範囲は、元来のポリマーに比較して、より低い温度にシフトし、特に、その機械的特性が最適化される、例えば、変形可能性、弾性、強度が高められて硬度が低減される、という結果を伴う。
【0005】
可塑剤の使用分野をできるだけ大きく広げるためには、それらが一連の基準を満たさなくてはならない。理想的には、それらは、無臭であり、無色であり、耐光性であり、耐低温性であり、そして耐高温性であることが望ましい。さらに、それらは水に対して無反応であり、燃焼しにくく、そして、低揮発性であり、そして、健康に無害であることが期待される。さらに、可塑剤の製造は簡単であるべきであり、そして環境上の要求を満たすために、再利用できない副生成物及び有害物質を含有する排水のような廃棄物質を回避して行われるべきである。特定の部類のポリオールエステル(G−エステルと略称する)は、アルコール成分として、ジオールあるいはエーテルジオール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール又はより高級なプロピレングリコールを含有している。それらの製造は、様々な方法で行うことができる。酸触媒の存在下におけるアルコール及び酸の反応の他に、実際上、G−エステルを得るために更なるプロセスが適用される。例えば、ジオールの酸ハロゲン化物との反応、カルボン酸の、ジオールによるエステル化、及び、エチレンオキシドのカルボン酸への添加(エトキシル化)である。産業的な製造設備においては、製造方法として、ジオール及びカルボン酸の直接的な転化、及びカルボン酸のエトキシル化だけが行われ、その際、ジオール及び酸のエステル化が大抵好ましく与えられる。この方法は、特別な手間暇なく、従来の化学装置において実行できるため、化学的に均一な生成物がもたらされる。対照的に、エトキシル化は、巨大で費用のかかる技術的手段を要する。
【0006】
アルコールのカルボン酸による直接的なエステル化は、有機化学の基本操作の一つである。反応速度を高めるために、通常、触媒の存在下において反応を行う。反応成分の一つを過剰に使用すること及び/又は反応の過程で形成した水を分離することによって、質量作用の法則に応じた平衡が反応生成物、すなわち、エステルの側に確実にシフトする、すなわち、高い収量が得られる。
【0007】
エチレングリコール及び脂肪酸からのエステルも含む、多価アルコールのエステルを製造するための、及び選択された代表的なこれらの化合物クラスの特性は、Goldsmith, Polyhydric Alcohol Esters of Fatty Acids, Chem. Rev. 33, 257 ff. (1943)(非特許文献3)中に見出される。例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルのエステルは、2.5〜8時間の反応時間にわたり、130〜230℃の温度で製造される。反応水を除去するには二酸化炭素が使用されている。多価アルコールのエステル化に適切な触媒としては、無機酸、酸塩、有機スルホン酸、塩化アセチル、金属又はアモルファス金属酸化物が挙げられている。反応水の除去は、例えば、トルエン又はキシレンのような添加溶剤を用いて、又は二酸化炭素又は窒素のような不活性ガスを導入することによって行われる。
【0008】
ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを得ること及び特性については、Johnson (Edit.), Fatty Acids in Industry (1989) Kap. 9, Polyoxyethylene Esters of Fatty Acid(非特許文献4)が示しており、そして、一連の準備の心得を与えている。より高いジエステルの濃度は、グリコールに対するカルボン酸のモル比を高めることによって達成される。反応水を除去するための適した方法は、水と混合可能でない溶媒の存在下における共沸蒸留、不活性ガスを通過させながらの加熱、又は乾燥助剤の存在下における真空下における反応である。触媒を添加しない場合、より長い反応時間及びより高い反応温度が必要とされる。二つの反応条件は、触媒の投入によって緩和することができる。硫酸以外に、有機酸、例えば、p−トルエンスルホン並びにポリスチレン種のカチオン交換器が好ましい触媒である。金属粉末、例えば、スズ又は鉄の使用もまた記載されている。米国特許第2,628,249号明細書(特許文献1)の教示によれば、活性炭の存在下において処理する場合に、硫酸又はスルホン酸による触媒作用を与える色の問題を緩和できる。
【0009】
さらなる金属含有触媒として、例えば、米国特許第5,324,853 A1号明細書(特許文献2)によるように、チタンアルコラート、ジルコニウムアルコラート又はスズアルコラート、カルボン酸チタン、カルボン酸ジルコニウム又はカルボン酸スズ、又はチタンキレート、ジルコニウムキレート又はスズキレートもまた、ポリオールエステルの製造に使用される。そのような金属触媒は、高温触媒と見なすことができる。というのも、これは、高温のエステル化温度、一般に180℃超においてのみ、完全に活性化されるからである。該金属触媒は、しばしば、エステル化反応の開始時に添加されるのではなく、反応混合物がすでに加熱された後に添加され、そして脱水しながら部分的に反応している。典型的な硫酸系触媒に比較してより高い反応温度及びより長い反応時間を要するにも拘わらず、そのような金属含有の化合物を有する触媒の場合、比較的低い色数を有する粗製エステルが得られる。それにも拘わらず、典型的な硫酸系触媒に比較して、通常の方法は、例えば、テトラ(イソプロピル)オルトチタナート、テトラ(ブチル)オルトチタナート、テトラ(ブチル)ジルコナート又はスズ(II)−2−エチルヘキサノエートなどのエステル化触媒を必要とする。
【0010】
過剰に存在する成分に基づく、ポリオールのカルボン酸による触媒的なエステル化反応の際、比較的短時間内で高い転化率が達成されるが、所望のポリオールエステルのための残留投入物のために、依然として比較的長い反応継続時間を許容しなければならない。その際に得られるポリオールエステルは部分的にエステル化された生成物の許容可能な残留含有量を有しており、これは、mgKOH/g(DIN 53240に準拠)の水酸価によって、又はガスクロマトグラフィーで測定された、部分的にエステル化された生成物の含有量によって表されるが、工業的な製造装置の性能を制限するため、長時間の反応時間は経済的に不利である。残留体積分を沈殿させるために、米国特許第5,324,853 A1号明細書(特許文献2)は、反応投入物の強い混合を提案している。
【0011】
エステル化反応の終了後、金属触媒の十分な分離を確実にする。というのも、精製されたポリオールエステル中の金属の純度は、可塑剤又は滑剤としてのそれの使用に影響を及ぼすおそれがあり、その場合、例えば、導電性又は安定性が、大気酸素に影響を及ぼすからである。米国特許第5,324,853 A1号明細書(特許文献2)からの方法によれば、粗製エステル化混合物は、水性の炭酸ナトリウム溶液、場合によっては、及び活性炭と混合される。この方法によって、金属化合物は不溶性の固体に加水分解され、そして、粗製エステル化化合物の更なる再処理の前にろ別することができる。米国特許第4,304,925 A1号明細書(特許文献3)によれば、粗製エステル化生成物は、アルカリ添加の前に最初に見ずと混合され、そして、加熱において処理される。それによって、加水分解された金属化合物が、良好にろ過可能な沈殿物に転化される。
【0012】
国際公開第2011/042116 A1号パンフレット(特許文献4)によれば、ポリオールの、3〜20個の炭素原子を有する線状又は分岐状の脂肪族モノカルボン酸による転化は、ルイス酸の存在下かつ吸着剤の存在下で行われ、その際、引き続いて、熱加水分解法が行われる。熱加水分解によって、依然として存在する触媒残滓が破壊され、そして、良好にろ別可能な加水分解生成物に転化される。エステル化反応の間にすでに使用される吸着剤は、触媒による生成物の分離を容易にする。
【0013】
欧州特許出願公開第2 308 823 A2号(特許文献6)は、同様に、吸着剤の存在下に、ポリオールを、3〜20個の炭素原子を有する線状又は分岐状の脂肪族カルボン酸と反応させることによってポリオールエステルを製造する方法に関する。得られたポリオールエステルは、吸着剤による別の後処理に供することができる。
【0014】
欧州特許出願公開第0 439 722 A1号(特許文献7)は、第一級C6〜C14アルコールの、ジ−及びトリカルボン酸、又はそれらの無水物とのチタン触媒化反応由来の粗製のエステル混合物を処理する方法に関する。未転化のアルコールを除去した後に、活性炭が添加されて、そして残存アルコールが水蒸気にによる処理によって除去される。
【0015】
国際公開第2005/021482 A1号パンフレット(特許文献5)はエステル化方法において、塩基性の処理、熱加水分解、ろ過及び再ストリッピングによって、エステル化反応の終了において粗製生成物を処理することを記載している。該方法は、その後、吸着剤による処理及び引き続く吸着剤のろ過、場合によっては、ろ過助剤の存在下におけるろ過が続く。吸着剤として、好ましくは活性炭が使用され、これはまた、粗製エステルの再処理時にろ過助剤と一緒に使用することができる。活性炭及びろ過助剤のいずれも6〜11のpH値を有さなくてはならない。
【0016】
金属触媒下における従来技術のポリオールエステルの製造方法は、経済的に合理的な時間でエステル化反応を完了させるために特別な設計の反応装置か、又は良好にろ別可能な加水分解生成物に形成しながら、エステル化反応の終了後に金属含有触媒を可能な限り除去するために、例えば熱加水分解の形態など、加熱における水での追加的な処理のいずれかを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第2,628,249号明細書
【特許文献2】米国特許第5,324,853 A1号明細書
【特許文献3】米国特許第4,304,925 A1号明細書
【特許文献4】国際公開第2011/042116 A1号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2005/021482 A1号パンフレット
【特許文献6】欧州特許出願公開第2 308 823 A2号
【特許文献7】欧州特許出願公開第0 439 722 A1号
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5. Auflage, 1985, VCH Verlagsgesellschaft, Vol. A1, Seiten 305−319; 1990, Vol. A15, Seiten 438−440
【非特許文献2】Kirk Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 3. Auflage, John Wiley & Sons, 1978, Vol. 1, Seiten 778−787; 1981, Vol. 14, Seiten 496−498
【非特許文献3】Goldsmith, Polyhydric Alcohol Esters of Fatty Acids, Chem. Rev. 33, 257 ff. (1943)
【非特許文献4】Johnson (Edit.), Fatty Acids in Industry (1989) Kap. 9, Polyoxyethylene Esters of Fatty Acid
【非特許文献5】Roempp’s Chemie−Lexikon, 8. Auflage, Franck’sche Verlagshandlung 1983, Band 3, H−L
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、公知の方法を改善し、そして、全体のプロセスの一連の調整及び簡略化によって方法を最適化し、そして、ポリオールエステルを、高品質で得ることを簡単にし、それによって、ポリオールエステル可能な限り多用途に使用できることが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0020】
それ故、本発明は、ポリオールの、3〜20個の炭素原子を有する線状又は分岐状の脂肪族モノカルボン酸による反応によってポリオールエステルを製造する方法であって、触媒として周期表の第4族から第14族までの少なくとも一種の元素を含有するルイス酸の存在下に、かつ、吸着剤の存在下において、形成される水を除去しながら出発化合物の化合物を反応させ、そして引き続いて得られた粗製エステルを、pH値1〜6.5を有する酸性の活性炭である更なる吸着剤の添加によって後処理することを特徴とする、該方法に関する。
【0021】
出発化合物のポリオールと脂肪族モノカルボン酸との間の反応は、投入材料に依存して、約120〜180℃の範囲内で適用され、そして、引き続いて、様々に設計された方法で終了するまで行うことができる。
【0022】
本発明の方法の構成によれば、反応水の除去を簡単にするために、最初に、室温から最大で280℃にまで、好ましくは、250℃にまで加熱し、そして、一定に保持された温度において、圧力を標準圧から徐々に低下させる。圧力段階の選択は、一段階、二段階又は多段階のいずれか、並びにそれぞれの段階に対して調節すべき圧力に、広範囲にわたって変化させ、かつ、それぞれの条件に適合させることができる。例えば、圧力の第一の段階において、標準圧力から最初に600hPaまでに低下させそして引き続いて、反応を、300hPaの圧力で最後まで行うことができる。この圧力の情報は、合目的的に適合されるガイド値である。
【0023】
該圧力の多様性の他にも同様に、温度もまた、エステル化反応の間に室温から一段階、二段階又は多段階で変化させることができ、その結果、一定に調節された圧力において、温度は段階的に高められ、通常、最大で280℃の温度までに高められる。温度を段階的に最大で280℃に加熱することが合目的的であることが実証されているが、圧力もまた段階的に低下させる。例えば、エステル化反応は、第一の段階において、室温から開始して、190℃までの温度において行うことができる。同様に、水の排除を加速させるために、低下した圧力を600hPaまでにする。190℃の温度に達した後、圧力は、再度、300hPaまでに低下させ、そして、エステル化反応を250℃までの温度において終了するまで行う。この温度及び圧力の仕様はガイド値であり、適した方法が保持される。それぞれの段階に調節すべき温度条件及び圧力条件、段階の数並びに、時間単位当たりのそれぞれの温度加熱速度又は圧力低下速度は、広い範囲にわたって変更することができ、そして出発化合物及び反応生成物の物理的特性に応じて適合させることができ、その際、第一の段階の温度条件及び圧力条件は、標準圧力及び室温から調節される。第二の段階における温度を高め、そして第二の段階において圧力を低下させることが特に好都合であることが判明した。
【0024】
調節すべき圧力の下限は、物理的特性、例えば、沸点及び蒸気圧、出発化合物並びに形成される反応生成物に依存しており、そして、装置の設備によってもまた決定される。標準圧に基づいて、この限界値の内側で、段階的に低下させた圧力で段階的に操作することができる。温度の上限は通常280℃であり、色に有害な分解生成物の形成を回避するために保持される。温度段階の下限は、反応速度によって決定され、これは、エステル化反応を合理的な時間内に完了させるのに十分高くなくてはならない。この限界値内において、段階的に上昇する温度によって徐々に操作することができる。
【0025】
それぞれの反応条件、例えば、温度、反応時間、適用する圧力又は使用される触媒は、十分な反応速度で、背景において着色する成分の形成を促し、かつ、ポリオールエーテルの分解反応を可能な限り回避するために、それぞれのポリオールエステルに適合させるべきである。特に、エーテルジオール、例えば、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールをベースとするポリオールエーテルの場合、反応条件、例えば、温度、反応時間及び触媒の種類及びその量が、それぞれのポリオールエステルに対して合目的的に調節されない場合に、エーテル骨格の強化された分解が適用できる。
【0026】
エステル化は、化学量論量のポリオール及び脂肪族モノカルボン酸によってなすことができる。しかしながら、好ましくは、ポリオールを、一般には低沸点成分であり、かつ、その後の粗製エステルの再処理時に、簡単な方法で蒸留によって分離できるモノカルボン酸試薬によって行うことができる。脂肪族モノカルボン酸は、ポリオールのエステル化するヒドロキシ基1モル当たり10〜50%濃度モル、好ましくは20〜40%濃度モルの過剰で使用される。
【0027】
形成された反応水は、エステル化反応の過程で、過剰のモノカルボン酸と共に反応容器から留去され、そして、下流の相分離器中へ誘導され、そこでモノカルボン酸及び水は、それらの溶解特性に応じて分離される。反応容器と相分離器との間には、同様に、1〜25個、好ましくは2〜10個、特に好ましくは3〜6個の論理的なプレートを有する分留塔を設置することができ、該塔において、塔の頂部を介して水に富んだ留分を相分離器中へ誘導し、そしてモノカルボン酸に富んだ留分を塔の底部を介して反応容器中へ還流させる。
【0028】
場合によっては、使用したモノカルボン酸が水と共に、反応条件下において共沸分もまた形成され、そして、添加溶剤としての反応水を除去することができる。水の攻撃から、反応過程を追跡することができる。遊離した水はプロセスから除去される一方で、モノカルボン酸は、相分離器から再び反応容器へ還流される。更なる有機溶媒、例えば、共沸混合物の形成を目的として採用されるヘキサン、1−ヘキセン、シクロヘキセン、トルエン、キシレン又はキシレン異性体混合物の添加は制限されないが、いくつかの例外的な場合に限定される。共沸混合物は、エステル化反応の開始時にすでに添加されているか又はより高温に達した後に添加することができる。理論的に推測される水の量が発生しているか又は例えば、DIN 53240に準拠して測定された水酸価が、所定値を下回っている場合、反応を終了し、その場合反応投入物は冷却することができる。
【0029】
ポリールのモノカルボン酸によるエステル化のための触媒として、元素の周期表の第4族から第14族までの少なくとも一種の元素を含有するルイス酸が使用され、これは固体形態又は液体形態で使用することができる。本発明の意味において、ルイス酸とは、一般に、そのような元素又は化合物の通常の定義であると理解され、これは、例えば、Roempp’s Chemie−Lexikon, 8. Auflage, Franck’sche Verlagshandlung 1983, Band 3, H−L(非特許文献5)において説明されるような電子のギャップを有する。エステル化反応における触媒として使用できるルイス酸として特に好ましいものとしては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、亜鉛、ホウ素、アルミニウム又はスズが挙げられ、これらは、微細に分割された形態か又は好ましくは化合物の形態で使用される元素である。適した化合物は、例えば、酸化スズ(II)、酸化スズ(IV)、カルボン酸スズ(II)、例えば、スズ(II)−2−エチレンヘキサノエート、シュウ酸スズ(II)、酢酸スズ(II)又は酢酸スズ(IV)、スズ(IV)アルコラート、例えば、テトラ(メチル)スタナート、テトラ(エチル)スタナート、テトラ(プロピル)スタナート、テトラ(イソプロピル)スタナート又はテトラ(イソブチル)スタナート、又は有機スズ化合物、例えば、ブチルスズマレエート又はジブチルスズラウレートである。適したチタン化合物としては、アルコラート、例えば、テトラ(メチル)オルトチタナート、テトラ(エチル)オルトチタナート、テトラ(プロピル)オルトチタナート、テトラ(イソプロピル)オルトチタナート、テトラ(ブチル)オルトチタナート、テトラ(イソブチル)オルトチタナート、テトラ(ペンチル)オルトチタナート又はテトラ(2−エチルヘキシル)オルトチタナート;アセチレート、例えば、ヒドロキシチタンアセチレート、ヒドロキシチタンブチラート又はヒドロキシチタンペンタノエート;カルボキシレート、例えば、チタン(IV)−アセテート、チタン(IV)−プロピオナート、チタン(IV)−ブチラート、チタン(IV)−ペンタノエート又はチタン(IV)−2−エチルヘキサノエート;又はキレート、例えば、テトラエチレングリコールチタナート又はテトラプロピレングリコールチタナートが挙げられる。適当なジルコニウム化合物又はハフニウム化合物も良好に使用でき、例えば、テトラ(メチル)オルトジルコナート、テトラ(エチル)オルトジルコナート、テトラ(プロピル)オルトジルコナート、テトラ(イソプロピル)オルトジルコナート、テトラ(ブチル)オルトジルコナート、テトラ(イソブチル)オルトジルコナート、テトラ(ペンチル)オルトジルコナート又はテトラ(2−エチルヘキシル)オルトジルコナートである。
【0030】
同様に、ホウ酸並びにホウ酸エステル、例えば、ホウ酸トリメチルエステル、ホウ酸トリエチルエステル、ホウ酸トリプロピルエステル、ホウ酸トリイソプロピルエステル、ホウ酸トリブチルエステル又はホウ酸トリイソブチルエステルが適している。
【0031】
同様に、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、カルボン酸アルミニウム、例えば、酢酸アルミニウム又はステアリン酸アルミニウム、又はアルミニウムアルコラート、例えば、トリブチル酸アルミニウム、トリ−sec−ブチル酸アルミニウム、トリ−tert−ブチル酸アルミニウム又はトリ−イソプロピル酸アルミニウムが適している。
【0032】
酸化亜鉛、硫酸亜鉛及びカルボン酸亜鉛、例えば、酢酸亜鉛二水和物又はステアリン酸亜鉛、及び酢酸鉄(II)又は酸化水酸化鉄(III)も触媒として使用できる。
【0033】
触媒は、開始時にできるだけ早く反応混合物に添加するか、又はそれに続いて高められた温度で安全な測定を観察しながら転化するとともに、例えば、反応水の分離が開始されたときに添加できる。触媒はその際に、一部又は部分的に添加できる。エステル化反応の終わりに、触媒の残量を添加することが特に推奨される。
【0034】
添加すべきエステル化触媒の量は、過剰に添加された出発化合物に基づいて、合目的的には、ポリオールに基づいて、1×10−5〜20モル%、好ましくは、0.01〜5モル%、特に、0.01〜2モル%である。より多量の触媒の場合、ポリオールの分裂反応が見込まれる。
【0035】
好ましくは、エーテルジオール、例えば、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールをベースとしてポリオールエステルを製造する際、反応終了時に高濃度の触媒を投入する時、及び遊離した水酸基の最後の残基の転化の段階において、エーテル鎖の分裂が高まるおそれがあるため、この場合、反応温度又は適用した圧力を適合させるべきである。選択した触媒濃度が高い程、一般には、より低い反応温度又は適用した圧力を選択すべきで最適化した温度プロフィル及び圧力プロフィルにしたがって操作すべきである。触媒濃度が低すぎると、エステル化速度が低下して、合理的な反応時間では、許容可能な反応が観察されない。
【0036】
エステル化触媒の添加は、液体形態又は固体形態で行うことができる。固体の触媒、例えば、酸化スズ(II)、酸化亜鉛又は酸化水酸化鉄(III)は、エステル化反応の終了後に、更なる再処理中に分離される。エステル化触媒が液体の化合物として添加される場合、例えば、テトラ(イソプロピル)オルトチタナート又はテトラ(ブチル)オルトチタナートの場合、エステル化反応の終了後に反応混合物中に依然として溶解して存在するため、これらの化合物を、再処理方法の間に転化生成物に転化し、これらは、エステル化反応中に使用する吸着剤によって、かつ、後処理の間に添加された酸性の活性炭によって分離する。
【0037】
エステル化は、吸着剤の存在下に行われる。その際に、通常、化学的な実践上、研究室においても工業プラントにおいても使用される、多孔質で、表面積の大きい固体材料が使用される。そのような材料の例は、表面積に富んだポリケイ酸、例えば、ケイ酸シリカゲル(Silicagele)(シリカキセロゲル)、シリカゲル(Kieselgel)、珪藻土、表面積に富んだ酸化アルミニウム及び酸化アルミニウム水和物、鉱物材料、例えば、粘土又は炭酸塩、又は活性炭などである。特に、活性炭が実証されている。一般に、吸着剤は、反応溶液中において微細に懸濁し、これは強い撹拌又は不活性ガスの導入によって撹拌される。それによって、液相と吸着剤との間の密な接触が達成される。吸着剤の量は広く自由であるため、個々の要求に応じて調整される。液体の出発物質100重量部に基づいて、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜1.5重量部の吸着剤が投入される。
【0038】
冒頭に記載したポリオールエステルのための品質基準に起因して、反応水を除去しながらのエステル化段階時、及び粗製エステルの再処理時に、方法工程は、非常に顕著なプロセスの特徴を有し、それ故、この方法工程の調整は、最終生成物の感覚的及び視覚的な特徴並びに触媒の残留含有量に考慮すべき程度の影響を及ぼす。特に、最適化されたプロセスの実施によって、エーテルジオール、例えば、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールをベースとし、高純度並びに低減された色数及び高い色安定性を有するポリオールエステルが得られる。出発物質、すなわち、多価アルコール及び脂肪族モノカルボン酸の構造は、ポリールエステルで可塑化されるプラスチック材料の機械特性及び熱的特性に応じて適合され、そして、滑剤の加水分解及び酸化安定性に影響を及ぼす。
【0039】
反応終了後に生じる反応混合物は、過剰のモノカルボン酸で作用させる本発明の方法の好ましい実施形態に準拠する限り、所望の反応生成物としてのポリオールエステル、場合によっては、未転化の出発物質の他に、特に、過剰の脂肪族モノカルボン酸が生じる。通常、低下させた圧力の適用下で目的に応じて、未転化の、及び過剰に存在する出発化合物を最初に留去する。
【0040】
引き続いて、粗製エステルに、酸性の活性炭を添加し、該添加剤は、例えば、強い撹拌又は不活性ガスの導入によって、例えば、処理すべき粗製エステル中に微細に懸濁される。処理すべき粗製エステル100重量部に基づいて、一般に、0.05〜2.5重量部、好ましくは、0.1〜0.75重量部の酸性の活性炭が添加される。一般に、粗製エステルに添加される酸性の活性炭の量は、エステル化反応の間に使用される吸着剤の量に比較して明らかに少なく、そして通常、エステル化反応の間に添加される量の50%までである。粗製エステルの酸性の活性炭による処理は、一般に、室温〜140℃の温度、好ましくは、60〜120℃の温度で、かつ、一般に、0.5〜4時間、好ましくは、0.5〜2時間の期間にわたって行われる。本発明の方法のさらなる実施形態においては、該酸性の活性炭は、エステル化反応の終了後ではあるが、過剰に存在する出発化合物、通常はモノカルボン酸の分離前又は分離の間に添加される。この変化の場合、過剰な出発化合物の主要量の分離時に該酸性の活性炭はすでに存在している。この場合、粗製エステルの該酸性の活性炭による後処理は、過剰に存在する出発化合物の分離時に実施される条件下において行われる。
【0041】
驚くことに、該酸性の活性炭による後処理によって、粗製生成物中のルイス酸触媒の残留含有量が著しく低減できることが評価された。ルイス酸触媒の残留含有量が低減されればされる程、活性炭はますます酸性になるか又は活性炭のpH値はますます低くなる。活性炭のpH値とは、本発明の意味において、100mlの脱イオン化された水中へ、95℃において1時間かけて酸性の活性炭5gを懸濁することによって得られる水性の抽出物のpH値である。引き続いて、pH値は25℃で測定される。酸性の活性炭として強酸の活性炭を使用する場合、水性の抽出物は5.5未満のpH値を有し、粗製生成物中のルイス酸触媒の含有量を大きく低減させることができ、このことは、国際公開第2011/042116 A1号パンフレット(特許文献4)中に提案されている熱加水分解なしで済ますことができる。時間を要する熱加水分解によってエステル化装置が占有されるため、装置の出力及びエステル化法の効率を改善することができる。この結果は予測されていなかった。というのも、酸性のルイス酸触媒の吸着並びにその分解生成物は、むしろアルカリ性の反応性吸着剤で行うべきだからである。
【0042】
より酸性が低くかつその水性抽出物が5.5〜6.5のpH値を有する酸性の活性炭が使用される場合、熱加水分解は、該酸性の活性炭の存在下に行うことが薦められるが、これは、塩基性の吸着剤が添加される場合の熱加水分解に比較して著しく短時間である。国際公開第2011/042116 A1号パンフレット(特許文献4)による従来技術の場合、熱加水分解の期間は30分〜5時間であることが教示されているが、穏やかな酸性の活性炭の存在下における任意の熱加水分解の継続時間は、30分までの期間に短縮することができる。通常の90〜120分という熱加水分解を45分にすでに短時間化されたことにより、エステル化方法の効率が高められる。しかしながら、穏やかな酸性の活性炭を使用する場合でも、ルイス酸触媒の残留含有量を許容可能な基準まで抑えるために熱加水分解は必ずしも要求されない。
【0043】
更なる吸着剤としてそのような吸着剤が使用される場合、その水性の抽出物は6.5超のpH値を示し、その更なる吸着剤の存在下における熱加水分解が強く推奨され、一般に、30分〜2時間の期間にわたり行われる。任意に行われる熱加水分解が長くなればなる程、後処理において添加される更なる吸着剤はますます塩基性となり、したがって、その水性抽出物のpH値はますます高くなると一般に言える。
【0044】
粗製エステルの後処理のために添加される酸性の活性炭は、多孔質で表面積の大きい固体の活性炭であり、例えば、活性化されている。性炭は、例えば、水蒸気を用いて活性することができ、そして、それらは、活性炭の酸性特性に影響を及ぼす。1〜6.5、好ましくは2〜5.5のpH値を有する活性炭が使用され、例えば、市場から入手可能な、Norit社のType CA1又はSX 1G、又はChemviron Carbon社のDCL 330である。上述の酸性の活性炭の混合物も同様に使用することができる。
【0045】
任意の熱加水分解は、一般に、標準圧力で行われるが、利便的に、400hPaまでのわずかに低い圧力の使用は排除されない。熱加水分解は、一般に、100〜250℃、好ましくは150〜220℃、特に、170〜200℃の温度で、そしてまた、製造されるポリオールそれぞれの物理的特性にしたがって行われる。
【0046】
粗製エステルを熱加水分解の温度に必要な温度に加熱するために、任意の熱加水分解のプロセス工程の際に、作用温度を達成するまでの加熱時間の間、合目的的に可能な限り穏やかに加熱する。
【0047】
穏やかな熱加水分解によって、分解反応、特に、エーテルジオール、例えば、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールをベースとしてポリオールエステルを製造する際のエーテル鎖の望ましくない分解を抑制することができる。
【0048】
ポリオールエステルの中和価をさらに低減するために、場合によっては、熱加水分解後に、固体のアルカリ性反応物質、例えば、塩基性の二酸化ケイ素、塩基性の酸化アルミニウム、又は炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、又は固体形態の水酸化ナトリウム並びに塩基性の反応性鉱物の添加を行う。
【0049】
引き続いて、慣習的に、40〜120℃の温度で粗生成物はろ過されて、後処理の間に添加される酸性の活性炭並びに、エステル化の間に添加される吸着剤、触媒の分解生成物及び、場合によって添加された固体のアルカリ性反応物質を分離する。ろ過は、通常のろ過助剤、例えば、セルロース、シリカゲル、珪藻土又は木粉によって行うことができる。
【0050】
その後、例えば、生成物を高められた温度で生成物に不活性ガスを通すことにより、ポリオールエステルを乾燥させる。また、高められた温度で同時に低圧にし、場合によっては、及び生成物に不活性ガスを誘導することもできる。不活性ガスの作用を用いることなく、高められた温度又は低下させた圧力のみで処理することもできる。それぞれの乾燥条件、例えば、温度、圧力及び期間は、簡単な予備実験によって決定することができる。一般に、80〜250℃、好ましくは100〜180℃の範囲内の温度、及び0.2〜500hPa、好ましくは1〜200hPa、特に好ましくは1〜20hPaの圧力で処理は行われる。乾燥により、出発化合物の残滓、例えば、モノカルボン酸、及び水が除去される。それに続いて、乾燥したポリオールエステルは、ろ過によって最後の固形物質を分離する。ろ過は、慣用のろ過装置において、標準温度又は120℃までの温度で、場合によっては、慣用のろ過助剤の存在下で行われる。
【0051】
ろ過の完了後、淡色のポリオールエステルが得られ、これは、残りの特性、例えば、水分含有量、残留酸含有量、触媒成分の残存含有量及びモノエステルの残存含有量も満たす。
【0052】
本発明の方法のための出発材料として使用される多価アルコール又はポリオールは、次の一般式(I)を満たす。
R(OH) (I)
【0053】
式中、Rは、2〜20個、好ましくは2〜10個の炭素原子を有する脂肪族又は環状脂肪族の炭化水素残基であり、nは2〜8、好ましくは、2、3、4、5又は6の整数を意味する。
【0054】
ポリオールとして、同様に、次の一般式(II)で表される化合物が適している。
H−(−O−[−CR−]−)−OH (II)
【0055】
式中、R及びRは、互いに独立して、水素、1〜5個の炭素原子を有するアルキル残基、好ましくは、メチル、エチル又はプロピルか、又は1〜5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル残基、好ましくはヒドロキシメチル残基を意味し、mは、1〜10、好ましくは1から8、そして特に好ましくは1、2、3又は4の整数を意味し、oは、2〜15、好ましくは2〜8、そして特に好ましくは2、3、4又は5の整数を意味する。
【0056】
本発明の方法に従って、淡色のポリオールエステルに転化できるポリオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジメチロールブタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール又はジーペンタエリスリトール又は3(4),8(9)−ジヒドロキシメチル−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカンである。
【0057】
さらなるポリオールとしては、エチレングリコール及び1,2−プロピレングリコール及びそのオリゴマー、特に、エーテルジオールジ−、トリ−及びテトラエチレングリコール又はジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール又はテトラプロピレングリコールが考慮される。エチレングリコール及びプロピレングリコールは、産業的に製造される化学物質である。それらを製造するための基本物質はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドであり、圧力下における水の加熱によってそれらから1,2−エチレングリコール及び1,2−プロピレングリコールが得られる。ジエチレングリコールは、エチレングリコールからエトキシル化によって得られる。トリエチレングリコールは、テトラエチレングリコールのように、エチレングリコールを製造するためのエチレンオキシドの加水分解の際の副生成物として生成する。二つの化合物は、エチレングリコールのエチレンオキシドとの反応によっても合成することができる。ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール及びより高級なプロポキシル化生成物は、プロピレンオキシドの1,2−プロピレングリコールへの多重付加から入手できる。
【0058】
本発明のプロセスに従って淡色のポリオールエステルを得るために、1分子中に3〜20個の炭素原子を有する線状又は分岐状の、脂肪族モノカルボン酸が使用される。多くの場合において飽和された酸が好ましいが、可塑剤又滑剤のそれぞれの使用分野に依存して、エステル合成の反応成分として、不飽和のカルボン酸も使用できる。ポリオールエステルの構成成分としてのモノカルボン酸の例として、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−ペンタン酸、2−メチル酪酸、3−メチル酪酸、2−メチルペンタン酸、n−ヘキサン酸、2−エチル酪酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、2−エチルヘキサン酸、n−ノナン酸、2−メチルオクタン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、2−プロピルヘプタン酸、2−メチルウンデカン酸、イソウンデカンカルボン酸、トリシクロデカンカルボン酸及びイソトリデカンカルボン酸が挙げられる。特に実証されているのは、モノエチレングリコール又はオリゴマーのエチレングリコール、並びに1,2−プロピレングリコール又はオリゴマーのプロピレングリコールの、C−〜C13−モノカルボン酸又はC−〜C10−モノカルボン酸によるポリオールエステルの製造、並びに1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又は3(4),8(9)−ジヒドロキシメチル−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカンをベースとするポリオールエステルを製造するための新規な方法である。
【0059】
エチレングリコールのポリオールエステル並びにそれのオリゴマーは、通常の高重合性熱可塑性物質の全てのための可塑剤として非常に優れて適している。特に有用なのは、多層型ガラス又は積層型ガラスを製造するための中間層として、グリコールエステルと混合されたポリビニルブチラールへの添加剤として使用される場合である。これらは同様に、コーティング剤として広範囲の用途が見出される、プラスチックの水性分散物における合体剤又は膜形成助剤として使用できる。本発明の製造方法によれば、優れたカラー特性を有し、その他の品質に関する要求、例えば、弱い臭気、低い酸価及び触媒不純物の低い含有量などを満たすポリオールエステルを簡単な方法で製造できる。本発明の方法は、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3G8エステル)、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート(4G7エステル)、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチラート(3G6エステル)、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート(3G7エステル)又はテトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(4G8エステル)の製造に特に適している。
【0060】
本発明の方法は、化学技術のための典型的な反応装置において、連続式に又はバッチ式に行うことができる。撹拌式タンクのカスケードタンクシステム又は反応管としても知られている撹拌式タンクが有効であると実証されている場合、バッチ式で反応を遂行することが好ましい。
【0061】
以下の例において、本発明の方法をより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0062】
実施形態
後処理において使用する活性炭及び吸着剤のpH値を測定するために、最初に、水性の抽出物を製造した。その際、使用する活性炭又は吸着材の5グラムを100mlの脱イオン水と共に、95℃で1時間にわたり懸濁するまで撹拌した。引き続いて、その水性の抽出物の懸濁液について、pH値を25℃で測定した。測定は、Schott社のタイプ CG836のpHメーターを用いて行った。
【0063】
例1〜5:
トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3G8 エステル)の製造
撹拌機、内部温度計及び水分離器を備えた、加熱可能な2L−四つ口フラスコ中に、エステルされるヒドロキシ基に基づいて、トリエチレングリコール及び2−エチルヘキサン酸を30モル%濃度の過剰量で、及びトリエチレングリコールに基づいて0.045モル%のテトラ(イソプロピル)オルトチタナートを装入し、そして、全反応投入物に基づいてMead Westvaco社のタイプ Nuchar RGCの活性炭1重量%を添加した。撹拌下及び600hPaまでの低圧の適用下で、該装入物を220℃に加熱し、そして、形成した反応水を水分離器で取り除いた。この段階における1時間の反応時間後、圧力を400hPaに低下させ、そして、220℃の温度を維持した。さらに3時間の反応時間の後、圧力をさらに300hPaに低下させた。反応行程は、該水分離器を介して排出される反応水を連続的に計量することによって、並びに、試料を採取して、ガスクロマトグラフィーで検査することによって監視した。ガスクロマトグラフィーによって算出された含有量(重量%)が、少なくとも97%のトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、並びに最大5.0mgKOH/g(DIN 53240)の残余のヒドロキシル価の場合に、反応を終了した。最初の水の生成で開始する純粋なエステル化継続時間は8時間であった。引き続いて、残存する酸含有量が、粗製エステル中0.18mg KOH/g(DIN EN ISO 2114/ASTM D 1613)及び239のHazen色数(DIN EN ISO 6271)に達するまで、蒸留により、過剰の2−エチルヘキサン酸を、180℃及び2hPaで分離した。
【0064】
残存する酸の分離を終了した後に、粗製エステル中のチタン含有量を、18ppmチタンになるよう測定した。粗製エステルの全量に基づいて0.36重量%の量で活性炭がさらに与えられ、そして、撹拌下の90℃で後処理されることについて表1に示した。処理継続時間にわたり、ASTM D 5185に準拠して該粗製エステル中のチタン含有量が測定された。
【0065】
【表1】
【0066】
例6〜8:
トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3G8 エステル)の製造
撹拌機、内部温度計及び水分離器を備えた加熱可能な2Lの−四つ口フラスコ中に、エステル化されるヒドロキシ基に基づいて、トリエチレングリコール及び2−エチルヘキサン酸を30モル%濃度の過剰量で、及びトリエチレングリコールに基づいて0.045モル%のテトラ(イソプロピル)オルトチタナートを装入し、そして、全反応投入物に基づいてMead Westvaco社のタイプ Nuchar RGCの活性炭1重量%を添加した。撹拌下及び600hPaまでの低圧の適用下で、該装入物を220℃に加熱し、そして、形成した反応水を水分離器で取り除いた。この段階における1時間の反応時間後、圧力を400hPaに低下させ、そして、220℃の温度を維持した。さらに3時間の反応時間後、圧力を300hPaにさらに低下させた。反応行程は、該水分離器を介して排出される反応水を連続的に計量することによって、並びに、試料を採取して、ガスクロマトグラフィーで検査することによって監視した。ガスクロマトグラフィーによって算出された含有量(重量%)が、少なくとも97%のトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、並びに最大5.0mgKOH/g(DIN 53240)の残余のヒドロキシル価の場合に、反応を終了させた。最初の水の生成で開始する純粋なエステル化継続時間は8時間であった。引き続いて、残存する酸含有量が、粗製エステル中0.12mg KOH/g(DIN EN ISO 2114/ASTM D 1613)及び135のHazen色数(DIN EN ISO 6271)に達するまで、蒸留により、過剰の2−エチルヘキサン酸を、180℃及び2hPaで分離した。
【0067】
残存する酸の分離を終了した後に、粗製エステル中のチタン含有量を、14.6ppmのチタン含有量になるよう測定した。粗製エステルの全量に基づいて0.36重量%の量で活性炭がさらに与えられ、そして、撹拌下の65℃で後処理されることについて表2に示した。処理継続時間にわたり、ASTM D 5185に準拠して該粗製エステル中のチタン含有量が測定された。
【0068】
【表2】
【0069】
例9〜11:
トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3G8 エステル)の製造
撹拌機、内部温度計及び水分離器を備えた加熱可能な2Lの−四つ口フラスコ中に、エステル化するヒドロキシ基に基づいて、トリエチレングリコール及び2−エチルヘキサン酸を30モル%濃度の過剰量で、及びトリエチレングリコールに基づいて0.045モル%のテトラ(イソプロピル)オルトチタナートを装入し、そして、全反応投入物に基づいてMead Westvaco社のタイプ Nuchar RGCの活性炭1重量%を添加した。撹拌下及び600hPaまでの低圧の適用下で、該装入物を220℃に加熱し、そして、形成した反応水を水分離器で取り除いた。この段階における1時間の反応時間後、圧力を400hPaに低下させ、そして、220℃の温度を維持した。さらに3時間の反応時間後、圧力を300hPaにさらに低下させた。反応行程は、該水分離器を介して排出される反応水を連続的に計量することによって、並びに、試料を採取して、ガスクロマトグラフィーで検査することによって監視した。ガスクロマトグラフィーによって算出された含有量(重量%)が、少なくとも97%のトリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、並びに最大5.0mgKOH/g(DIN 53240)の残余のヒドロキシル価の場合に、反応を終了した。最初の水の生成で開始する純粋なエステル化継続時間は8時間であった。引き続いて、残存する酸含有量が、粗製エステル中0.38mg KOH/g(DIN EN ISO 2114/ASTM D 1613)及び135のHazen色数(DIN EN ISO 6271)に達するまで、蒸留により、過剰の2−エチルヘキサン酸を、180℃及び2hPaで分離した。
【0070】
残存する酸の分離を終了した後に、粗製エステル中のチタン含有量を、35ppmのチタン含有量になるよう測定した。粗製エステルの全量に基づいて0.36重量%の量で活性炭がさらに与えられ(試験9及び10)、そして、撹拌下の90℃で後処理されることについて表3に示した。処理継続時間にわたり、ASTM D 5185に準拠して該粗製エステル中のチタン含有量が測定された。
【0071】
35ppmのチタン含有量を有する粗製エステルの再処理を、粗製エステルの全量に基づいて、Chemviron Carbon社のType DCL 330の活性炭0.18重量%を添加し、そして、180℃における撹拌下での30分の熱加水分解によって試験11において行った。
【0072】
【表3】
【0073】
実施例に示されるように、酸性の活性炭を用いる後処理により、粗製エステル中のルイス酸−触媒の含有量を明らかに低下させることができる。この効果は、活性炭がより酸性であるほど、より顕著である。後処理と、適度に酸性の活性炭と、短時間の熱加水分解との組合せもまた、ルイス酸触媒の含有量を著しく低下させる。