特許第6173552号(P6173552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6173552
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】電子分光器
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/48 20060101AFI20170724BHJP
   H01J 49/06 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   H01J49/48
   H01J49/06
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-235046(P2016-235046)
(22)【出願日】2016年12月2日
【審査請求日】2017年3月14日
(31)【優先権主張番号】1650735-2
(32)【優先日】2016年5月27日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】1650967-1
(32)【優先日】2016年7月1日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】1651497-8
(32)【優先日】2016年11月17日
(33)【優先権主張国】SE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516363916
【氏名又は名称】エム・ベー・サイエンティフィック・アクチボラゲット
【氏名又は名称原語表記】MB SCIENTIFIC AB
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・バルツァー
【審査官】 杉田 翠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−511055(JP,A)
【文献】 実公昭54−010842(JP,Y1)
【文献】 実開昭61−085055(JP,U)
【文献】 実開昭52−037445(JP,U)
【文献】 登録実用新案第338743(JP,Z2)
【文献】 特開昭62−098544(JP,A)
【文献】 米国特許第06194730(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J37/10−37/145
37/15
37/244
49/06
49/10−49/18
49/44−49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子放出サンプル(10)を分析するための半球分析デバイス型の荷電粒子分光器であって、前記分光器は、
前記粒子が測定領域(M)に入ることを可能にする入口を有する測定領域(M)と、
前記荷電粒子の粒子ビームを形成し、前記粒子を前記粒子放出サンプルと前記測定領域の前記入口との間で輸送するレンズシステム(12)とを備え、前記レンズシステムは、実質的に真直の光学軸(13)を有し、前記分光器はさらに、
前記粒子ビームが前記測定領域(M)へと入る前に、前記粒子ビームを前記レンズシステムの前記光学軸(13)に垂直な少なくとも1つの座標方向(x、y)に偏向するように構成される、前記レンズ内のデフレクタ構成(14a、14b)と、
前記測定領域内の前記荷電粒子の位置を検出するための検出器構成(9)とを備え、
前記検出器構成(9)は、二次元での前記荷電粒子の位置を決定するように構成され、その1つは、前記粒子のエネルギの指標となり、その1つは、前記粒子の開始方向または開始位置の指標となり、
少なくとも第1の機構(26;26’;26’’)は、少なくとも前記レンズ(12)の一部を、サンプルスポットと分析器の前記入口との間の軸に対して少なくとも第1の座標方向に前記粒子ビームの偏向と同期して変位させるように構成され、
前記レンズは、前記測定領域の前記入口に隣接する前記レンズの端部で多方向のピボットポイントにおいて吊るされ、これにより、前記レンズは、前記ピボットポイントの周りで前記座標方向(x、y)に傾けられることができ、
少なくとも前記レンズシステム(12)の入口領域を動かすための前記機構は、傾動機構である、分光器。
【請求項2】
前記レンズを傾動させるための前記機構は、モータと、前記モータに接続されたアクチュエータロッドと、前記レンズが前記傾動機構(26;26’;26’’)との接触を保つように配置されるばね負荷式デバイス(35、36、37、38)とを備える、請求項に記載の分光器。
【請求項3】
前記第1の傾動機構(26、26’)と直角に配置され、前記レンズを第2の座標方向(x、y)に前記粒子ビームの偏向と同期して傾けるように構成されるさらなる傾動機構(26’’)を備え、
前記ばね負荷式デバイス(35)は、前記第1および第2の傾動機構に対して対称的に対向し、135°の角度距離で配置される、請求項2に記載の分光器。
【請求項4】
メモリからデータを取り出すように構成されるプロセッサ(P)を備える制御ユニット(CU)をさらに備え、
前記データは、デフレクタへの電圧設定を行い、前記電圧設定に同期して前記傾動機構においてモータを作動させるための、アナログ信号に変換される、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の分光器。
【請求項5】
前記データは、テーブル(DTab(8)、MTab)として提供され、テーブルの1つの組は、前記デフレクタ構成内の各デフレクタプレート(1〜8)用であり、1つのテーブルは、前記モータ用であり、特定の電圧設定は、前記レンズの特定の傾動を提供するために、特定のモータ設定と相関する、請求項に記載の分光器。
【請求項6】
粒子放出サンプル(10)を分析するための半球分析デバイス型の荷電粒子分光器であって、前記分光器は、
前記粒子が測定領域(M)に入ることを可能にする入口を有する測定領域(M)と、
前記荷電粒子の粒子ビームを形成し、前記粒子を前記粒子放出サンプルと前記測定領域の前記入口との間で輸送するレンズシステム(12)とを備え、前記レンズシステムは、実質的に真直の光学軸(13)を有し、前記分光器はさらに、
前記粒子ビームが前記測定領域(M)へと入る前に、前記粒子ビームを前記レンズシステムの前記光学軸(13)に垂直な少なくとも1つの座標方向(x、y)に偏向するように構成される、前記レンズ内のデフレクタ構成(14a、14b)と、
前記測定領域内の前記荷電粒子の位置を検出するための検出器構成(9)とを備え、
前記検出器構成(9)は、二次元での前記荷電粒子の位置を決定するように構成され、その1つは、前記粒子のエネルギの指標となり、その1つは、前記粒子の開始方向または開始位置の指標となり、
少なくとも第1の機構(26;26’;26’’)は、少なくとも前記レンズ(12)の一部を、サンプルスポットと分析器の前記入口との間の軸に対して少なくとも第1の座標方向に前記粒子ビームの偏向と同期して変位させるように構成され、
少なくとも前記レンズ(12)の一部を前記サンプルスポットと前記分析器入口との間の前記軸に対して少なくとも第1の座標方向に動かすための前記機構は、前記レンズ(12)を前記座標方向(x、y)に屈曲させる機構である、分光器。
【請求項7】
前記機構は、前記アクチュエータロッド(27’)を前記レンズ本体に接続するボールジョイント(29)を備える、請求項に記載の分光器。
【請求項8】
粒子放出サンプル(10)から放出される荷電粒子に関する少なくとも1つのパラメータを決定するための方法であって、
実質的に真直の光学軸(13)を有するレンズシステム(12)によって、前記荷電粒子の粒子ビームを形成し、前記粒子を前記粒子放出サンプル(10)と測定領域(3)の入口(8)との間で輸送するステップと、
前記粒子ビームが前記測定領域に入る前に、前記粒子ビームを前記レンズシステムの前記光学軸に垂直な少なくとも第1の座標方向(x、y)に偏向するステップと、
前記測定領域内の前記荷電粒子の位置を検出するステップとを備え、前記位置は、前記少なくとも1つのパラメータの指標となり、
前記荷電粒子の位置を前記検出するステップは、二次元での位置の検出を伴い、その1つは、前記粒子のエネルギの指標となり、その1つは、前記粒子の開始方向または開始位置の指標となり、前記方法はさらに、
少なくとも前記レンズ(12)の一部をサンプルスポットと分析器の前記入口との間の軸に対して前記座標方向に前記粒子ビームの前記偏向に同期して変位させるステップを備え、これにより前記荷電粒子の軌跡が前記測定領域に入り、
前記レンズは、前記測定領域の前記入口に隣接する前記レンズの端部で多方向のピボットポイントにおいて吊るされ、
前記レンズを前記座標方向(x、y)に傾動させるステップを備える、方法。
【請求項9】
前記変位させるステップは、漸増的である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
粒子放出サンプル(10)から放出される荷電粒子に関する少なくとも1つのパラメータを決定するための方法であって、
実質的に真直の光学軸(13)を有するレンズシステム(12)によって、前記荷電粒子の粒子ビームを形成し、前記粒子を前記粒子放出サンプル(10)と測定領域(3)の入口(8)との間で輸送するステップと、
前記粒子ビームが前記測定領域に入る前に、前記粒子ビームを前記レンズシステムの前記光学軸に垂直な少なくとも第1の座標方向(x、y)に偏向するステップと、
前記測定領域内の前記荷電粒子の位置を検出するステップとを備え、前記位置は、前記少なくとも1つのパラメータの指標となり、
前記荷電粒子の位置を前記検出するステップは、二次元での位置の検出を伴い、その1つは、前記粒子のエネルギの指標となり、その1つは、前記粒子の開始方向または開始位置の指標となり、前記方法はさらに、
少なくとも前記レンズ(12)の一部をサンプルスポットと分析器の前記入口との間の軸に対して前記座標方向に前記粒子ビームの前記偏向に同期して変位させるステップを備え、これにより前記荷電粒子の軌跡が前記測定領域に入り、
前記レンズは、ある点で屈曲されることにより、前記変位が行われる、方法。
【請求項11】
粒子放出サンプルを分析するための半球分析デバイス型の荷電粒子分光器であって、
前記荷電粒子分光器は、
前記粒子放出サンプルから放出され、かつ粒子ビームを構成する荷電粒子が入る入口を有する測定領域と、
前記荷電粒子を前記粒子放出サンプルと前記測定領域の前記入口との間で輸送し、かつ実質的に真直の光学軸を有するレンズと、
前記レンズ内に配置され、かつ前記粒子ビームが前記測定領域へと入る前に前記粒子ビームを少なくとも前記レンズの前記光学軸に垂直な第1の座標方向に偏向するデフレクタ構成と、
前記測定領域内の前記荷電粒子の位置を検出するための検出器構成と、
少なくとも前記レンズの一部を、サンプルスポットと前記荷電粒子分光器の入口との間の軸に対して少なくとも前記第1の座標方向に前記粒子ビームの偏向と同期して変位させるように構成される機構とを備え、
前記検出器構成は、二次元での前記荷電粒子の位置を決定するように構成され、
二次元での前記荷電粒子の位置の一方は、前記荷電粒子のエネルギの指標となり、
二次元での前記荷電粒子の位置の他方は、前記荷電粒子の開始方向又は開始位置の指標となり、
前記レンズは、前記測定領域の前記入口に隣接する前記レンズの端部で多方向のピボットポイントにおいて吊るされることにより、前記ピボットポイントの周りで前記第1の座標方向に傾けられるように構成され、
前記機構は、前記レンズの入口領域を動かすための第1の傾動機構を含む、荷電粒子分光器。
【請求項12】
前記機構は、モータと、前記モータに接続されたアクチュエータロッドと、前記レンズが前記第1の傾動機構との接触を保つように配置されるばね負荷式デバイスとをさらに含む、請求項11に記載の荷電粒子分光器。
【請求項13】
前記機構は、前記第1の傾動機構と直角に配置され、かつ前記レンズを第2の座標方向に前記粒子ビームの偏向と同期して傾ける第2の傾動機構をさらに含む、請求項12に記載の荷電粒子分光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子分光器に関し、特に角度モードで動作させるための新規の手段および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
半球分析デバイス型の光電子分光器では、中心となる部品は、電子のエネルギが、分析される測定領域である。測定領域は、ベースプレート上に取り付けられ、静電界がそれらの間に印加される2つの同心状半球によって形成される。電子は、入口を通って測定領域に入り、ベースプレートに垂直に近い方向で半球間の領域に入る電子は、静電界によって偏向され、偏向場によって規定されるある範囲の運動エネルギを有する電子は、半円を通って進んだ後に検出器構成に到達するだろう。典型的な測器では、電子は、それらの発生源(典型的に光子、電子または他の粒子を用いた励起後に電子を放出するサンプル)から、半球の入口へと、共通の実質的に真直の光学軸を有する複数のレンズを備える静電レンズシステムによって輸送される。
【0003】
レンズシステムおよび検出器構成は、レンズ軸に垂直かつ限定された角度範囲内の限定されたエリア内に放出される電子のみを受け入れるだろう。さらに、発生源は、(感度および解像度の面で)最良の特性を達成するために、z方向に狭い範囲内に位置付けられなければならない。これは、全ての座標方向への移動と回転の両方、すなわち6自由度を可能とするマニピュレータ上に、サンプルを取り付けることを要する。
【0004】
たとえば角度分解光電子分光(ARPES)の多くの用途では、完全な測定は、十分に整列されたサンプルからの30度の全円錐開口部を有する立体角の完全な検出を要する。サンプルおよび励起エネルギ/運動エネルギに応じて、必須角度範囲は変化してもよい。角度解像度要件もまた用途によって異なるが、典型的には1度から0.1度までの範囲である。エネルギ解像度では所望の広がりは、用途に応じて0.5eVから0.5meVまでである。高解像度測定を実現するために、分析器構成は、十分な角度およびエネルギ解像度を有さなければならないが、半球状分析器構成がレンズ軸に垂直な限定された角度範囲内に放出される電子のみを受け入れるので、サンプルマニピュレータは、非常に高精度の移動および再現性を有さなければならない。マニピュレータは、完全な30度の立体角データセットを構築するために、サンプルを正確に回転させ、傾けることを必要とされる。
【0005】
しかし、近年では照明システムがはるかに高いレベルの空間解像度に達しており、これは非常に微細な微結晶が観察できることを意味する。これによって、マニピュレーション、すなわちサンプルの回転は、非常に困難になる。
【0006】
サンプルマニピュレーションを除去する1つの方法は、レンズの光学軸と整列する測定領域への入口に電子ビームを運ぶために、第1のデフレクタの近くに、レンズ内において第2のデフレクタを、設けることである。
【0007】
そのようなレンズ内のデフレクタを設けられた分光器は、VG Scienta ABによって販売されている。
【0008】
このシステムがサンプルマニピュレーションの必要性を除去するという事実にも関わらず、それでもなお記録された画像にはいくらかの歪みがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
記録された画像の品質を向上させるために、本発明者は、サンプルマニピュレーションに対する必要性をまた除去し、加えてより少ない歪みを提供する新規デバイスを考案した。
【0010】
これによって粒子放出サンプルを分析するための半球分析デバイス型の荷電粒子分光器が提供される。分光器は、上記粒子が測定領域に入ることを可能とする入口を有する測定領域と、上記荷電粒子の粒子ビームを形成し、粒子を上記粒子放出サンプルと測定領域の上記入口との間で輸送するレンズシステムとを備え、上記レンズシステムは、実質的に真直の光学軸を有し、上記分析器は、粒子ビームが測定領域に入る前に、レンズシステムの光学軸に垂直な少なくとも1つの座標方向(x、y)に粒子ビームを偏向するように構成されるデフレクタを備えるレンズ内のデフレクタ構成と、測定領域内の荷電粒子の位置を検出するための検出器構成とを備え、検出器構成は、二次元での荷電粒子の位置を決定するように構成され、その1つは、粒子のエネルギの指標となり、その1つは、粒子の開始方向または開始位置の指標となる。発明の思想は、少なくともレンズの一部を、サンプルスポットと分析器入口との間の軸に対して少なくとも第1の座標方向に変位させ(すなわち、ある位置からわずかに異なる位置へと漸増的に動かし)、そしてレンズシステム内で粒子ビームを1度偏向させることである。変位は、粒子ビームの偏向に同期して行われ、これにより上記荷電粒子の軌跡が測定領域に入るだろう。粒子ビームは、このためレンズの「軸外」に入り、ビームが異なる点でフォーカスされることを引き起こすだろう。
【0011】
レンズまたはレンズ軸の「公称位置」という用語は、検討されるべきサンプルスポットから水平線に沿って走行する粒子ビームがレンズ軸へと続き、レンズ軸と一致する点で入口スリット上にフォーカスされるという状況を意味するように解釈されるべきである。
【0012】
特に、レンズの公称位置において測定領域の前で入口スリットよりも上でフォーカスされるだろう、水平から外れる開始方向を有するビームは、変位が適切な方法で行われると、スリットよりも下の点でフォーカスされるようにできるということに留意すべきである。
【0013】
したがって、ビームを水平、すなわち公称光軸と整列して、または少なくとも平行に戻すために、レンズ内に1つの偏向ステージを設ければ十分である。
【0014】
この効果を達成するためのいくつかの可能な方法には、たとえば、レンズを傾動させること、レンズをその長さに沿うある点で屈曲させること、またはレンズ全体を対象とする座標方向に曲げることなどがある。
【0015】
1つの実施形態では、レンズがピボットポイントの周りで上記座標方向(x、y)に傾けられることができるように、レンズは、測定領域の入口に隣接するレンズの端部で多方向のピボットポイントにおいて吊るされる。
【0016】
レンズを上記座標方向に粒子ビームの偏向に同期して傾けるように構成される少なくとも第1の傾動機構がまた設けられる。
【0017】
分光器の1つの実施形態では、レンズを傾動するための機構は、モータと、モータに接続されたアクチュエータロッドと、レンズを傾動機構に接して保持するために配置されるばね負荷式デバイスとを備える。
【0018】
好ましくは、分光器は、第1の傾動機構に対して直角に配置され、レンズを第2の座標方向(x、y)に粒子ビームの偏向に同期して傾けるように構成されるさらなる傾動機構を備え、ばね負荷式デバイスは、第1および第2の傾動機構に対称的に対向して約135°の角度距離で配置される。
【0019】
別の実施形態ではレンズ全体は、それが所望の座標方向に動かされることを可能とする機構内で吊るされる。
【0020】
さらに別の実施形態では、レンズは、複数のレンズ素子、少なくとも2つのレンズ素子に細分化されるが、これらは、素子が接合される位置でレンズが屈曲されることができるように接続される。
【0021】
上記の実施形態の全ては、粒子ビームが1つの単一のデフレクタユニットを使用することによって再整列されることを可能とするという同じ結果を達成する。
【0022】
第2の態様では、本発明は、粒子放出サンプルから放出される荷電粒子に関する少なくとも1つのパラメータを決定するための方法を提供し、方法は、実質的に真直の光学軸を有するレンズシステムを用いて上記荷電粒子の粒子ビームを形成し、粒子を測定領域の上記粒子放出サンプルおよび入口の間で輸送するステップとを備え、上記座標方向(x、y)にレンズが傾けられることができるように、上記レンズは、多方向のピボットポイントにおいて測定領域の入口に隣接するレンズの端部で吊るされ、方法はさらに、粒子ビームが測定領域へと入る前に、粒子ビームをレンズシステムの光学軸に垂直な少なくとも第1の座標方向(x、y)に偏向するステップと、上記測定領域内の上記荷電粒子の位置を検出するステップとを備え、位置は、上記少なくとも1つのパラメータの指標となり、荷電粒子の位置を検出するステップは、二次元での位置を検出することを伴い、その1つは、粒子のエネルギの指標となり、その1つは、粒子の開始方向または開始位置の指標となる。
【0023】
1つの実施形態では、レンズは、上記座標方向に粒子ビームの偏向に同期して傾けられ、上記荷電粒子の軌跡は、測定領域に入るだろう。
【0024】
別の実施形態では、レンズ全体が動かされ、さらなる実施形態ではレンズは屈曲される。
【0025】
本発明のさらなる適用範囲は、例示のみのために与えられ、したがって本発明を限定するものとみなされるべきではない、以下に与えられる詳細な説明および添付図面から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】角度モードでの動作における新規特徴を具現化する電子分光器の一部を概略的に図示する。
図2】新規特徴にしたがってレンズがわずかに傾けられた、図1に示されるものと同じ装置を示す。
図3】多方向ヒンジを図示する。
図4】少なくとも1つの座標方向にレンズを傾動するためのマニピュレータシステムを概略的に図示する。
図5】制御システムを概略的に図示する。
図6】デフレクタを有するレンズおよび有さないレンズにおける粒子ビーム間それぞれを、比較する図である。
図7】デフレクタを有する傾けられないレンズ、およびデフレクタを有する傾けられたレンズの粒子ビーム間それぞれを、比較する図である。
図8】プリズムを使用する光の2回偏向を図示する。
図9】レンズの傾動およびプリズムを使用する単一の偏向を図示する。
図10】レンズ全体を動かすための機構を図示する。
図11】レンズの屈曲を図示する。
図12】レンズを通って走行する真直のビームを概略的に図示する。
図13】ビームがサンプルからある角度で放出され、レンズを通って走行する状態を概略的に図示する。
図14】サンプルからある角度で放出され、レンズを通って光学軸を跨いで走行するビームを概略的に図示する。
図15図14に示されるようなビームの偏向を概略的に図示する。
図16図13と同じ状況を概略的に図示する。
図17図16に示された位置からのレンズの傾動の効果を概略的に図示する。
図18図17に示された状況におけるビームの偏向を概略的に図示する。
図19】国際公開第2013/133739号に係る先行技術のシステムを概略的に図示する。
図20】国際公開第2013/133739号に係る先行技術のシステムを概略的に図示する。
図21】先行技術システムおよび本システムそれぞれによって得られた記録画像である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1は、本発明を具現化する電子分光器の一部、特に、サンプル10、光学軸13を有する電子レンズ12、デフレクタ14a、14bの対、半球状分析器Mの測定領域への入口スリット16a(破線で示されるのみ)、梁20を介してレンズ12の本体に堅く取り付けられており、多方向のピボットポイントにおいてレンズ12を吊るすヒンジ機構18とを概略的に図示する。ヒンジ18は、半球状分析器Mのベースプレート22に取り付けられる。測定領域の内部に、第2のスリット16bがある。
【0028】
装置の新規性は、好ましい実施形態において、傾動機構24にある。この機構は、第1の実施形態においてモータ26、好ましくは電気モータ、好ましくはステッピングモータを備える。
【0029】
モータは、デフレクタ14a、14b上の電圧をもまた制御する制御ユニットCUによって制御され、制御は概略的に破線で示され、以下にさらに説明されるだろう。
【0030】
モータ26は、垂直方向に動くことができる押し部材27を作動させるように構成される。押し部材27は適切には、レンズ12がその上に載置される支持プレート28上に、その上端部が取り付けられたアクチュエータロッドである。
【0031】
図2では、レンズ12は水平からわずかに傾けられ、すなわちレンズ12への入口領域は、小さな距離(最大約5mm)だけ水平から動かされている。これは、レンズの光学軸13’ がその公称位置13から逸していることに明らかに見られる。
【0032】
ヒンジ機構18は、今度は図3を参照して簡単に説明されるだろう。そのようなヒンジ機構は、先行技術に係る大体の電子分光器に設けられ、調整目的で使用され、本発明の一部をなすものではない。
【0033】
ヒンジ機構は、レンズ本体12に堅く取り付けられる(たとえば溶接されるまたはボルト締めされる)梁部材20を備える。梁部材20は、レンズ本体の近位端部から突出する。梁20の突出部分の端部で、梁は、貫通穴31を有する。貫通穴は、丸で囲まれた拡大された部分を参照して、頂部において底部よりも広い直径を有し、すなわち穴の最低部に小さな段差32がある。寸法が一定の縮尺ではないことに注意すべきである。穴には、スリーブ部材34がある。このため、段差32に起因して、スリーブ34と貫通穴31の内周との間に小さな周方向のギャップGがあるだろう。スリーブ34の周囲には、ばね部材36、適切にはカップばねが設けられている。ボルトまたはスクリュー38は、ベースプレート22内に固定され、スクリューが締め付けられると、ばねは、電気的接触を確実にする強力な下向きの力を発揮するだろう。穴での梁20の底面は、わずかに凹状である(図示しない)。
【0034】
この構造は、全ての方向へのレンズ12のわずかな移動を可能にする。
図4aは、少なくとも1つの方向へのレンズの傾動を可能とするためのデバイスを示す。
【0035】
レンズ12をX方向に動かすことができる1つの垂直に配向された機構24’とは別に、レンズ12をY方向に動かすための水平に配置される機構24’’をまた設けられることができる。ばねが装填された支持デバイス35がまた設けられる。それは、支持プレート36と、摺動可能であるように骨組み(図示しない)に取り付けられたガイドロッド37と、支持プレート36上に押す力を加えるばね38とを備える。このデバイス35は、レンズ12を傾動機構24’、24’’と接して保持する。
【0036】
動作に際して、制御ユニット28は、エネルギを設定し、レンズ電圧を設定し、デフレクタ14a、14bへの電圧を設定することによってエネルギEおよび角度Θを規定するといった、いくつかの行為を行うだろう。モータは、規定された程度Tまでレンズが漸増して傾けられるように、エネルギを与えられ、これは、増分ごとにミリメートルの数分の1とされることができ、最大の傾きTは、数mm、すなわち図2に示されるように約最大±10mmであろう。
【0037】
これらの行為が行われるときに、露光が行われ、エネルギEおよび角度Θの値の新たな組に対して、この操作が繰り返される。
【0038】
このため、検出器によって複数の露光が行われる段階的な手順によって、画像(2D)が構築される。
【0039】
デフレクタ電圧との関係においてモータ増分を設定するこの手順は、ビームの偏向と同期して動作される傾動機構(すなわちモータおよびアクチュエータロッド)とも称されるだろう。
【0040】
図4bでは、代替的な実施形態が図示される。それは、ボールジョイント29(球状ベアリング)、すなわち適切には金属であるが他の使用可能な材料であってもよく、レンズ本体に取り付けられるソケット取り付けられる(封入される)ボールを備える。示されるようなモータ26’によって作動される剛性ロッド27’を使用することは、この実施形態で移動を1つの座標方向(X方向)に制限する。
【0041】
今度は同期動作の実際の制御が簡単に説明されるだろう。
図5は、制御を概略的に図示する。
【0042】
制御ユニットCUは、概略的に破線で描かれた箱で示され、データを格納するためのメモリユニットと、レンズ電圧のためのおよびモータドライブのためのそれぞれのデジタルアナログ変換器DACとを備え、そして、メモリからデータを取り出すように構成されるプロセッサPを備え、上記データは、デフレクタに電圧を設定し、モータを傾動機構において電圧設定に同期して作動するためのアナログ信号に変換される。
【0043】
このため、パラメータの設定は、テーブルDTab(8)から制御ユニットCUのメモリにデータを提供することによって行われる。対応するテーブルMTabは、モータの漸増動作ために提供される。複数のDAC(デジタルアナログコンバータ)が提供され、1つは、素子O4(8極構成)内の各デフレクタプレート1〜8用である。
【0044】
同様に、モータドライブ用のDACがある。
DTab(8)およびMTabテーブルは、それぞれ、スキャンされるべき電子のための開始角度Θ各々に対応する電圧値を含む。このため、テーブルは、上記開始角度Θの関数である値を含む。
【0045】
上記にすでに示されたように、完全なスキャンサイクルは、a)所与の開始角度Θに対する偏向のための電圧および、b)モータを作動させ、それに対応してロッド27(図1に示されるものと同じ素子)を移動させることによる、レンズの所望の移動に対応する電圧(設定値(V))を設定することと、c)a)およびb)を全ての角度Θ、たとえば−5°〜+5°に対して繰り返すこととを備える。
【0046】
モータに結合されているのは、モータ軸の回転に応じて電圧(実際の値)を生むだろう、電位差計PMであり、実際の値=設定値であるときに、PIDは、モータを止め、露光が行われるだろう。
【0047】
今度は、新規の傾動機構を組み込んでいるシステムの動作が説明されるだろう。
図6aは、放出サンプルスポットから放射される電子ビームと、ビームが簡略化されたレンズによってどのように影響されるかを概略的に示す。各ドットは、電子ビームが通過し屈折されるレンズ上の点、すなわちビームが方向を変化させるスポットを表す。この簡略化された図示では、右端部でスリット上へのフォーカスを有する単一のレンズ素子が示される。この簡略化された図に明らかに見られるように、真直の線状に走行する、すなわち0°の開始角度での電子は、スリット上でフォーカスされ、真直の線状に測定領域に入り、開始角度>0°(たとえば15°)を有する電子は、異なるスポットフォーカスされるだろう。
【0048】
図6bでは、デフレクタが導入されている。見られるように、偏向の結果、電子は、水平から外れる方向をとり、スリットから外れる。
【0049】
図6bと同様である図7aは、レンズが傾けられ(破線が傾けられない位置)、デフレクタが駆動される(電子ビームは、実線によって示される)図7bと比較されるべきである。
【0050】
図7bの(実線の電子線の続きとしての)破線のビーム線は、デフレクタが駆動されない場合の電子ビームを示す。レンズの傾動は、偏向なしのフォーカスが、スリットよりも下の点でスリット部材に当たるように十分でなければならないということを認識することが重要である。デフレクタが駆動されたときに、それは新たに水平の経路に導かれ、これにより、ちょうどスリット上に当たり、測定領域に入る。
【0051】
レンズの傾動は、妥協であるということを認識することが重要である。達成したいことは、レンズ全体を垂直に移動させることである。これは確かに可能であるが、レンズがかさばり(800mm長)真空チャンバ内に配置されるため、より複雑であろう。その代わりに、傾ける角度が無視できるほどとても小さく、全ての実際的な目的のために、レンズの垂直並進運動と同等であるので、非常にわずかなレンズの傾動は、同じ効果を達成する。サンプルを移動すること、すなわち、サンプル/レンズの相対的移動も同様に可能であるが、再び、サンプルは、非常にかさばる構造に取り付けられており、それを動かすことは複雑である。
【0052】
レンズ全体を動かすための機構は、図10に示され、以下にさらに説明される。
さらなる可能性は、レンズを屈曲させることであろう。実際には、レンズは複数のセグメントから構成され、2つのセグメント間の接合でわずかな屈曲を実際に引き起こすことが可能だろう。そのような屈曲は、全ての実用的目的に対して当然に、ここに開示された傾動と同等だろう。そのような屈曲は、図11に示され、以下にさらに説明される。
【0053】
このように、一般的な意味で、少なくともレンズの一部が所望の座標方向に変位される(または動かされる)ということができる。
【0054】
図7bでは、同期した方法の傾動および偏向が、電子がスリットへと実質的に水平の軸に沿って入ることを引き起こすだろうということが明らかに見られる。傾動に起因する水平からのレンズの非常に小さな逸脱は無視できる。レンズは、800mm長のオーダであり、レンズ開口での最大偏向は、5mm、通常の場合、1〜2mmである。
【0055】
システムがどのように動作するかの光学系からの類推は、所与のスポットでスクリーン上で単一のレンズによってフォーカスされる像を想像することであり得る。レンズが1つの方向に動かされると、光は、レンズ中心外に入り、その結果、像もまたスクリーン上で移動するだろう。像を中心に戻すために、プリズムをレンズおよびスクリーンの間に置くことができる。プリズムは、光を平行に「偏向」し、これはまさにデフレクタが電子ビームに行うことである。
【0056】
2つのプリズムP1、P2を使用して2つの偏向を使用する先行技術と同様の状況は、図8に示される。このように、光源LSからの光は、約15°の開始角度を有し、レンズLによってフォーカスされ、スリットSよりも下の点を指すように1回目P1の屈折がされ、スリットSに入るように2回目P2の偏向がされる。
【0057】
図9では、本発明に類似する状況、すなわちレンズを動かし1度の偏向を行うことが示されている。
【0058】
図9aは、光源LSから放出される光を示す。光は、レンズLによってフォーカスされ、プリズムP2によって屈折される。見られるように、光はスリットSをある角度で通過する。
【0059】
図9bは、矢印で示されるように、レンズLが下向きに小さな距離(たとえば2mm)だけ動かされた状況を示す。このように、今度は光学軸も変位させられるので、光は、異なってフォーカスされるだろう。したがってプリズムP2は、正しく位置決めされる場合、光が光学軸と平行に整列するように、それを屈折する(偏向する)だろう。
【0060】
これは、図7bの状況と完全に類似する。
図10では、光学軸を変位させるための代替的な機構の1つ、特にレンズ全体を垂直に変位させるための機構が概略的に示される。
【0061】
このように、示された実施形態ではレンズ12は、2つの支持構造、たとえば図1に示された実施形態と同様に、ロッド27によって、支持プレート28を介して吊るされる。当然に、この実施形態ではボールジョイント型サスペンション29が、等しく適用可能だろう。ロッドは、モータ26によって作動される。
【0062】
図10aは、「公称位置」におけるレンズ12を示す。図10bでは、矢印Aによって示されるようにレンズ12が垂直方向に距離Dだけわずかに動かされるように、モータ26はロッド27を引っ込める。
【0063】
図11は、レンズがレンズ12に沿うある点で、接合110を介して2つのセグメントに細分化される実施形態を概略的に図示する。レンズの端部は、回動可能に吊るされなければならない。このため、この実施形態は、セグメントが接合110で光学軸に対して動かされることを可能とする。図11aは「公称」位置であり、図11bは、曲げられた状況(わずかに誇張されている)を示し、すなわち接合110でレンズ12の部分が距離D’変位されている。
【0064】
この移動を可能とする機構は、図10に示されたものと同じまたは同様であることができるが、ボールジョイントは、この実施形態で好ましくあり得る。
【0065】
上述の本発明は、Scientaによる先行技術の解決策と比較してその機能に関してさらに説明されるであろう。新規の解決策は、レンズの固有の特性に基づくものであり、図12〜16に図示される。
【0066】
図12は、角度「0」でサンプル([数1])から放出される電子ビームを示す。それは、真直にレンズを通ってその光学軸OAに沿って進み、スリットに入り、両方のスリットを通り、測定領域Mに進む。
【0067】
図13は、ある角度でサンプルから放出される電子ビームに起こることを示す。それはレンズを通るが、異なる場所を出て、スリットから外れる。レンズ内の軌道は、単にレンズの複雑さを説明するために、一見不規則な曲線で図示される。
【0068】
図14では、サンプルはわずかにずらされた位置に動かされている([数2]で記号化される)。電子ビームは、再びスリットから外れるだろうが、サンプルが適切に動かされた場合、それは、それが光学軸を跨ぐ点においてレンズを出る。したがって、図15を参照して、スリットでのレンズの出口端部で提供される1つの単一のデフレクタは、ビームが光学軸に沿って測定領域へとスリットを通るように偏向するだろう。
【0069】
今や、サンプルを動かすことは、レンズを動かすこと、または、図16および図17に示されるように、図16に示される水平の位置から図17に示される傾けられる位置へと小さな角度αだけレンズを傾動させることと同等である。傾動は、レンズ全体を動かすことよりかなり簡易であり、伴う角度がとても小さいので、レンズ全体が動かされた場合と結果は、事実上同じであろうし、本発明の効果を説明するために重要な意味を持たないであろう。
【0070】
このように、レンズが適切に傾けられる場合、ビームはスリット近くでレンズを出て、当初の光学軸OA、すなわちスリットの対を走行する軸を跨ぐだろう。
【0071】
(以前に図15に示されたように)単一のデフレクタが今提供される場合、図18を参照して、ビームは、当初の光学軸OAに沿って戻されることができ、スリットを通って測定領域Mへと走行するだろう。
【0072】
比較のために、Scientaがその国際出願第2013/133739号公報で行っていることが、図19および図20に図示される。
【0073】
図19に示されるように、図12と同じ状況から始めて、Scientaは、図20を参照してビーム軌跡が最終的に光学軸に整列してスリットに到達するようにそれを変化させる、2つのデフレクタを設ける。
【0074】
図21(a)および図21(b)は、先行技術システムおよび本システムによって得られた記録画像との比較を示す。図21(a)は、2つのデフレクタを有する先行技術システムによって得られた記録画像である。Scientaによる国際公開第2013/133739号に係る電子分光器と同様に、先行技術のシステムは、2つのデフレクタを含む。図21(b)は、角度補正レンズを有する本電子分光器によって得られた記録画像である。図21(b)に示された記録画像は、図21(a)に示される記録画像と比較して著しく歪みが少ない。
【要約】      (修正有)
【課題】試料マニピュレーションの無い荷電粒子分光器に於いて、歪みの無い観察画像を実現する技術を提供する。
【解決手段】サンプル10から放出された荷電粒子を、測定領域へ輸送するための光学軸13を有するレンズシステム12と、光学軸13に垂直な方向に荷電粒子を偏向するデフレクタ14a、14bと、荷電粒子の位置を検出する検出器構成とを備え、レンズシステム12の一部を、荷電粒子ビームの偏向と同期して所定方向に変位させる。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21