特許第6173610号(P6173610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6173610垂直磁気トンネル接合用のアモルファスキャップ層を含む二重界面自由層
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173610
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】垂直磁気トンネル接合用のアモルファスキャップ層を含む二重界面自由層
(51)【国際特許分類】
   H01L 43/10 20060101AFI20170724BHJP
   H01L 21/8239 20060101ALI20170724BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20170724BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   H01L43/10
   H01L27/105 447
   H01L43/08 Z
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-549139(P2016-549139)
(86)(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公表番号】特表2017-505544(P2017-505544A)
(43)【公表日】2017年2月16日
(86)【国際出願番号】US2014071258
(87)【国際公開番号】WO2015122963
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2017年5月12日
(31)【優先権主張番号】14/179,502
(32)【優先日】2014年2月12日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】チャンド・パク
(72)【発明者】
【氏名】カンホ・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ヒュク・カン
【審査官】 加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−253303(JP,A)
【文献】 特表2012−519957(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0078482(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0181537(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 43/10
H01L 21/8239
H01L 27/105
H01L 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気トンネル接合(MTJ)であって、
固定層と、
前記固定層上の障壁層と、
アモルファスの第1の層およびアモルファスの第2の層を含む自由層であって、前記アモルファスの第2の層が前記障壁層と相互作用し、前記アモルファスの第2の層の部分が結晶化され、導電性の挿入層が前記アモルファスの第1の層と前記アモルファスの第2の層との間に配され、前記挿入層が、前記アモルファスの第1および第2の層内に存在しない元素から構成される、自由層と、
前記障壁層と反対側の前記アモルファスの第1の層の表面と相互作用する酸化物キャッピング層であって、前記アモルファスの第1の層が前記酸化物キャッピング層と前記障壁層との間にあり、前記導電性の挿入層が、前記酸化物キャッピング層に近接する前記自由層の部分の結晶化を防ぎ、前記導電性の挿入層が前記アモルファスの第1の層の部分の結晶化を防ぐ、酸化物キャッピング層と、
を含む、磁気トンネル接合。
【請求項2】
前記障壁層が酸化マグネシウム(MgO)を含む、請求項1に記載のMTJ。
【請求項3】
前記酸化物キャッピング層が酸化アルミニウム(AlO)を含む、請求項2に記載のMTJ。
【請求項4】
前記酸化物キャッピング層が酸化ハフニウム(HfO)を含む、請求項2に記載のMTJ。
【請求項5】
前記アモルファスの第1の層が前記アモルファスの第2の層よりも低い磁気モーメントを有する、請求項1に記載のMTJ。
【請求項6】
前記アモルファスの第1の層および前記アモルファスの第2の層がコバルト鉄ボロン(CoFeB)を含む、請求項に記載のMTJ。
【請求項7】
モバイル電話、セットトップボックス、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、コンピュータ、ハンドヘルドパーソナル通信システム(PCS)ユニット、ポータブルデータユニット、および/または定位置データユニットに統合される、請求項1に記載のMTJ。
【請求項8】
磁気トンネル接合(MTJ)であって、
固定層と、
前記固定層上の障壁層と、
アモルファスの第1の層と、前記障壁層と相互作用するための手段とを含む自由層であって、前記相互作用する手段の部分が結晶化され、導電性の挿入層が前記アモルファスの第1の層と前記相互作用する手段との間に配され、前記挿入層が、前記アモルファスの第1の層および前記相互作用する手段内に存在しない元素から構成される、自由層と、
前記障壁層と反対側の前記アモルファスの第1の層の表面と相互作用する酸化物キャッピング層であって、前記アモルファスの第1の層が前記酸化物キャッピング層と前記障壁層との間にあり、前記導電性の挿入層が、前記酸化物キャッピング層に近接する前記自由層の部分の結晶化を防ぎ、前記導電性の挿入層が前記アモルファスの第1の層の部分の結晶化を防ぐ、酸化物キャッピング層と、
を含む、磁気トンネル接合。
【請求項9】
モバイル電話、セットトップボックス、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、コンピュータ、ハンドヘルドパーソナル通信システム(PCS)ユニット、ポータブルデータユニット、および/または定位置データユニットに統合される、請求項に記載のMTJ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、半導体デバイスに関し、より詳細には、垂直磁気トンネル接合(pMTJ)デバイスに使用されるアモルファスキャップ層を含む二重界面自由層に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のランダムアクセスメモリ(RAM)チップ技術とは異なり、磁気RAM(MRAM)では、データは、記憶要素の磁気分極によって記憶される。記憶要素は、トンネリング層によって分離された2つの強磁性層から形成される。固定(たとえば、ピン)層と呼ばれる、2つの強磁性層のうちの一方は、特定の方向に固定された磁化を有する。自由層と呼ばれる他方の強磁性磁気層は、2つの異なる状態に変化し得る磁化方向を有する。固定層、トンネリング層、および自由層を有する1つのそのようなデバイスは、磁気トンネル接合(MTJ)である。
【0003】
MTJでは、論理「1」または論理「0」のいずれかを表すために、自由層の異なる状態が使用され得る。特に、MTJの電気抵抗は、自由層の磁化および固定層の磁化が、互いに平行であるか、または反平行であるかに依存する。たとえば、自由層の磁化が固定層の磁化と反平行であるとき、論理「1」状態が表される。自由層の磁化が固定層の磁化と平行であるとき、論理「0」状態が表される。MRAMなどのメモリデバイスは、個別にアドレス指定可能なMTJのアレイから構築される。
【0004】
従来のMRAMにデータを書き込むために、臨界スイッチング電流を超える書込み電流がMTJを通して印加される。書込み電流は、自由層の磁化方向を変えるのに十分な量だけスイッチング電流を超えるべきである。書込み電流が第1の方向に流れるとき、MTJは、第1の状態になるか、または第1の状態にとどまる。第1の状態では、MTJの自由層の磁化方向と固定層の磁化方向は、平行な方位に並ぶ。書込み電流が、第1の方向とは反対の第2の方向に流れるとき、MTJは、第2の状態になるか、または第2の状態にとどまる。第2の状態では、MTJの自由層の磁化方向と固定層の磁化方向は、反平行な方位になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様では、磁気トンネル接合(MTJ)は、固定層と固定層上の障壁層とを含む。そのようなMTJは、障壁層と相互作用する自由層も含む。自由層は、障壁層による結晶構造を有する。MTJは、自由層と相互作用するアモルファスキャッピング層をさらに含む。
【0006】
本開示の別の態様では、磁気トンネル接合(MTJ)デバイスを作製する方法は、固定層を堆積させるステップを含む。本方法は、固定層上に障壁層を堆積させるステップも含む。障壁層は、結晶構造を有する。本方法は、障壁層上にアモルファス自由層を堆積させるステップをさらに含む。本方法は、自由層上にアモルファスキャッピング層を堆積させるステップも含む。本方法は、アモルファス自由層が障壁層の結晶構造を採用するように、MTJデバイスをアニーリングするステップをさらに含む。
【0007】
本開示の別の態様による磁気トンネル接合(MTJ)は、固定層と固定層上の障壁層とを含む。MTJは、障壁層と相互作用するための手段も含む。相互作用するための手段は、障壁層による結晶構造を有する。MTJは、自由層と相互作用するアモルファスキャッピング層をさらに含む。
【0008】
上記は、続く詳細な説明をより十分に理解することができるように、本開示の特徴および技術的利点について、かなり大まかに概説したものである。本開示のさらなる特徴および利点について、以下に説明する。本開示は、本開示と同じ目的を果たすための他の構造体を修正または設計するための基礎として容易に利用できることを、当業者は諒解されたい。そのような均等な構造(construction)が、添付の特許請求の範囲に記載した本開示の教示から逸脱しないことも、当業者は諒解されたい。本開示の構成と動作方法の両方に関して本開示の特徴になると考えられる新規な特徴が、さらなる目的および利点とともに、以下の説明を添付の図と併せて検討することからより十分に理解されるであろう。しかしながら、図の各々は、例示および説明を目的として提供されているにすぎず、本開示の制限を定めるものではないことを、明確に理解されたい。
【0009】
本開示のより完全な理解のために、ここで、添付の図面とともに行われる以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1つまたは複数の態様による垂直磁気トンネル接合(pMTJ)の横断面図である。
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による垂直磁気トンネル接合(pMTJ)の自由層を示す図である。
図3】本開示の1つまたは複数の態様による垂直磁気トンネル接合(pMTJ)の自由層内の挿入層を示す図である。
図4】本開示の1つまたは複数の態様を示すプロセスフロー図である。
図5】本開示の一構成が有利に採用され得る例示的なワイヤレス通信システムを示すブロック図である。
図6】一構成による、半導体構成要素の回路設計、レイアウト設計、および論理設計に使用される設計用ワークステーションを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面とともに以下に記載する詳細な説明は、様々な構成の説明として意図されており、本明細書で説明する概念が実施され得る唯一の構成を表すことを意図されていない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解を与えるための具体的な詳細を含む。しかしながら、これらの概念がこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には明らかであろう。場合によっては、そのような概念を曖昧にすることを回避するために、よく知られている構造体および構成要素がブロック図の形態で示されている。本明細書の説明では、「および/または」という用語の使用は、「包含的論理和」を表すことを意図し、「または」という用語の使用は、「排他的論理和」を表すことを意図する。
【0012】
磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の磁気トンネル接合(MTJ)を形成するのに使用される材料は、一般に、高いトンネル磁気抵抗(TMR)、高い垂直磁気異方性(PMA)、および良好なデータ保持を示す。MTJ構造体は、垂直と呼ばれる垂直な方位の磁気トンネル接合(pMTJ)デバイス内で作られ得る。誘電体障壁層(たとえば、酸化マグネシウム(MgO))を含む材料(たとえば、コバルト鉄ボロン(CoFeB)材料)のスタックが、pMTJ構造体内に使用され得る。材料(たとえば、CoFeB/MgO/CoFeB)のスタックを含むpMTJ構造体が、MRAM構造体内に使用するために検討されてきた。
【0013】
pMTJ構造体内の材料(たとえば、CoFeB/MgO/CoFeB)のこのスタックは、特定の垂直磁気異方性(PMA)を提供し得る。たとえば、MgO層とCoFeB層との間のインターフェースによって、CoFeB/MgO/CoFeBの材料スタックを含むpMTJの全体的なPMAが決定される。PMAを増加させるために多くは、より薄いCoFeB層が好都合である。しかしながら、pMTJ内のより薄いCoFeB層は、pMTJ構造体のTMRおよびデータ保持を低減する。
【0014】
pMTJ構造体のデータ保持能力は、自由層によって提供される。記憶層(たとえば、自由層)内の二重界面(たとえば、障壁MgO/CoFeB/MgOキャップ)は、TMRおよびデータ保持を改善するが、依然として不十分な量のTMRを示す場合がある。不十分な量のTMRは、自由層内の2つの異なるMgO/CoFeBインターフェースの結果である。詳細には、2つの異なるMgO/CoFeBインターフェースは、ポストアニーリングの間に薄いCoFeB層内に結晶方位の不整合を引き起こす場合がある。
【0015】
本開示の一態様では、磁気トンネル接合(MTJ)デバイスは、自由層、障壁層、および固定層を含む。一構成では、自由層は、障壁層と相互作用する。詳細には、自由層は、障壁層による結晶構造を有する。アモルファスキャッピング層は、自由層と相互作用する。この構成では、アモルファスキャッピング層は、自由層との界面における結晶化を防ぐ。代わりに、自由層と障壁層との間の界面において、結晶化が起こる。その結果、障壁層の結晶構造によって、自由層の結晶構造が決定される。
【0016】
図1は、本開示の一態様による垂直磁気トンネル接合(pMTJ)構造体の横断面図を示す。典型的には、pMTJ構造体100が、基板102上に形成される。pMTJ構造体100は、シリコン基板などの半導体基板、または任意の他の代替の適切な基板材料上に形成され得る。pMTJ構造体100は、第1の電極104、シード層106、第1の合成反強磁性(SAF)層108、SAF結合層110、および第2のSAF層112を含み得る。pMTJ構造体100は、参照層114、障壁層116、自由層118、キャップ層120(キャッピング層としても知られている)、および第2の電極122も含む。pMTJ構造体100は、半導体メモリデバイス(たとえば、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM))などの様々なタイプのデバイス内に使用され得る。
【0017】
この構成では、第1の電極104および第2の電極122は、導電性材料(たとえば、タンタル(Ta))を含む。他の構成では、第1の電極104および/または第2の電極122は、限定はしないが、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、または他の同様の導電性材料を含む、他の適切な材料を含み得る。第1の電極104および第2の電極122は、pMTJ構造体100内に様々な材料を使用する場合もある。
【0018】
シード層106は、第1の電極104上に形成される。シード層106は、第1のSAF層108に機械的結晶性基板を提供し得る。シード層106は、シード層106に、限定はしないが、ニッケルクロム(NiCr)、ニッケル鉄(NiFe)、NiFeCr、または他の適切な材料を含む複合材料であり得る。シード層106が成長するか、またはさもなければ第1の電極104に結合されるとき、滑らかで高密度の結晶構造がシード層106をもたらす。この構成では、シード層106は、特定の結晶方位に従ってpMTJ100構造体内に後で形成される層の成長を促進させる。シード層106の結晶構造は、ミラー指数表記方法内の任意の結晶方位になるように選択され得るが、(111)結晶方位にあるように選択されることが多い。
【0019】
第1のSAF層108は、シード層106上に形成される。第1のSAF層108は、単一の材料層であり得るか、またはシード層106上に形成される材料多層スタックであり得る。第1のSAF層108に使用される材料多層スタックは、第1のSAF層108内に強磁性モーメントを生成するための強磁性材料または材料の組合せであり得る。第1のSAF層108を形成するのに使用される材料多層スタックは、限定はしないが、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、もしくはパラジウム(Pd)などの他の材料と組み合わせたコバルト、または他の同様の強磁性材料を含む。
【0020】
SAF結合層110は、第1のSAF層108上に形成され、第1のSAF層108と第2のSAF層112との間の磁気結合を促進する。SAF結合層110は、限定はしないが、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、ガドリニウム(Gd)、白金(Pt)、ハフニウム(Hf)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、テルビウム(Tb)、または他の同様の材料を含む、この結合に役立つ材料を含む。SAF結合層110は、第1のSAF層108および第2のSAF層112に機械的なおよび/または結晶性の構造的支持を提供するための材料を含む場合もある。
【0021】
第2のSAF層112は、SAF結合層110上に形成される。第2のSAF層112は、第1のSAF層108と同様の材料を使用し得るが、他の材料を含み得る。第1のSAF層108と、SAF結合層110と、第2のSAF層112との組合せは、pMTJ構造体100内の「ピン層」としばしば呼ばれるSAF構造体124を形成する。SAF構造体124は、反強磁性結合を介してSAF構造体124の磁化方向を固定するか、または留める。SAF構造体124は、コバルト鉄ボロン(CoFeB)膜を含み得る。SAF構造体124は、CoFeTa、NiFe、Co、CoFe、CoPt、CoPd、FePt、またはNi、Co、およびFeの任意の合金などの他の強磁性材料層を含む場合もある。
【0022】
参照層114は、SAF構造体124上に形成される。参照層114は、障壁層116に結晶方位を提供する。シード層106と同様に、参照層114内に使用される材料は、特定の結晶方位に成長するように後続の層にテンプレートを提供する。この方位は、ミラー指数システム内の任意の方向にあり得るが、(100)(または(001))結晶方位にあることが多い。参照層114は、第2のSAF層112の最後の層である場合もあるが、説明を容易にするために別の層として示されている。
【0023】
障壁層116(トンネル障壁層とも呼ばれる)は、参照層114上に形成される。障壁層116は、SAF構造体124と自由層118との間を進む電子にトンネル障壁を提供する。酸化マグネシウム(MgO)を含み得る障壁層116は、参照層114上に形成され、結晶構造を有し得る。障壁層の結晶構造は、(100)方向にあり得る。障壁層116は、酸化アルミニウム(AlO)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミニウムオキシナイトライド(AlON)、または他の非磁性もしくは誘電性の材料などの、他の要素または他の材料を含み得る。障壁層116の厚さは、pMTJ100構造体にバイアス電圧が印加されるとき、電子がSAF構造体124から障壁層116を通って自由層118までトンネリングすることができるように形成される。
【0024】
コバルト鉄ボロン(CoFeB)であり得る自由層118は、障壁層116上に形成される。自由層118は、障壁層116上に最初に堆積されるときは、アモルファス構造体である。すなわち、自由層118は、障壁層116上に最初に堆積されるときは、結晶構造を有しない。自由層118は、SAF構造体124と同じ強磁性材料であり得る強磁性層もしくは多層材料でもあるか、または様々な材料を使用し得る。
【0025】
この構成では、自由層118は、特定の磁気方位に固定も留められもされない強磁性材料を含む。自由層118の磁化方位は、SAF構造体124の留められた磁化に対して平行な方向または反平行な方向になるように回転することができる。トンネル電流が、SAF構造体124および自由層118の相対磁化方向に応じて障壁層116を通して垂直に流れる。
【0026】
キャップ層120は、自由層118上に形成される。キャップ層120は、自由層118とSAF構造体124との間の磁場および電場の閉込めを可能にするための誘電体層または他の絶縁層であり得る。キャップ層120は、pMTJ100構造体を一方の方位(たとえば、平行)から他方(たとえば、反平行)に切り替えるのに使用される切替え電流密度を低減するのを助ける。キャッピング層とも呼ばれ得るキャップ層120は、たとえば、アモルファス酸化アルミニウム(AlO)またはアモルファス酸化ハフニウム(HfO)などの酸化物であり得る。キャップ層120は、本開示の範囲から逸脱することなく、酸化マグネシウム(MgO)または他の誘電体材料などの他の材料である場合もある。
【0027】
この構成では、キャップ層120は、最初に自由層118上に堆積されたときはアモルファスである。すなわち、キャップ層120は、アモルファスであり、したがって、最初に堆積されたときは全体的な結晶構造を有しない。キャップ層120の一部分は結晶性である場合があるが、キャップ層120の構造全体は、後続の処理(たとえば、アニーリング)中に自由層118に転送され得るテンプレートまたは他の成長パターンを提供しない。
【0028】
第2の電極122は、キャップ層120上に形成される。一構成では、第2の電極122は、タンタルを含む。代替的には、第2の電極122は、pMTJ構造体100を他のデバイスまたは回路の一部分に電気接続するために任意の他の適切な導電性材料を含む。キャップ層120上の第2の電極122の形成により、pMTJ構造体100が完成する。
【0029】
図2は、本開示の一態様によるpMTJ構造体の記憶層(たとえば、自由層)を示す。参照層114、障壁層116、自由層118、およびキャップ層120を含む、図1のpMTJ構造体100の一部分200が、図2にさらに示される。自由層118は、第1の層202および第2の層204を含む。第1の層202は、自由層118内の鉄の多い層であり得る。第2の層204は、自由層118内のコバルトの多い層であり得る。この構成では、自由層118の結晶化は、結晶成長方向206に沿って、自由層118と障壁層116との間の界面210において開始する。
【0030】
図1で説明したように、障壁層116は、結晶方位を有する。障壁層116は、最初はアモルファス構造を有する。障壁層116の結晶方位は、参照層114から獲得され得る。しかしながら、障壁層116の結晶方位は、参照層114上に障壁層116を形成するのに使用される特性および/または堆積技法を介して獲得される場合もある。この構成では、障壁層116の結晶方位は、自由層118へ結晶成長方向206に転送される。図2に示すように、障壁層116の結晶方位は、第2の層204に転送される。
【0031】
第2の層204(たとえば、CoFeB層)は障壁層116上に堆積されたときはアモルファスであるので、後続の処理ステップは、障壁層116の結晶構造を第2の層204に転送する。これらの後続の処理ステップは、障壁層116から第2の層204への結晶方位の転送を制御するための、アニーリングステップ、または他の処理ステップであり得る。これらの後続の処理ステップは、結晶成長方向206も制御する。詳細には、結晶成長は、結晶成長方向206に第2の層204を通って継続する。
【0032】
キャップ層120および第1の層202がアモルファスであるので、結晶成長方向208に沿った、キャップ層120から第1の層202への結晶方位転送が低減される。したがって、pMTJ構造体100の一部分200の結晶方位は、障壁層116の結晶構造から導かれ、結晶化が、界面210から結晶成長方向206に進む。結晶成長方向208への成長は低減されるか、または存在しないので、自由層118内の(たとえば、第2の層204および/または第1の層202内の)結晶方位の競合または格子不整合がより少ない。結晶成長方向206に沿った、自由層118を通る結晶成長のこの制御により、トンネル磁気抵抗(TMR)の増加が可能になる。この構成では、pMTJ構造体100のTMRは、キャップ層120が相殺する結晶方位テンプレートのキャップ層120から自由層118への伝搬を低減するので、増加する。
【0033】
第2の層204がCoFeB層の一部分である構成では、第2の層204は、60パーセントの鉄、20パーセントのコバルト、および20パーセントのボロンから構成される。第2の層204は、障壁層116と第2の層204との間の界面210における垂直磁気異方性(PMA)を促進する。障壁層116と第2の層204との間の界面210におけるPMAを促進することにより、pMTJ構造体100の性能が改善される。CoFeBの他の構成、または材料の他の合金および構成は、本開示の範囲内であると想定される。
【0034】
第2の層204はまた、アニーリング中または他の後続の処理ステップ中に自由層118が結晶構造になるとき、障壁層116の結晶方位の維持を助ける。第2の層204は、CoFeBを含むとき、鉄−酸素界面のために、より高いPMAをもたらす。鉄−酸素軌道混成は、CoFeB/MgO界面の強いPMAの起源である。本開示のこの態様では、障壁層116の方位を維持することにより、pMTJ構造体100のTMRが増加する。障壁層116の結晶方位は、第1の層202の一部分またはすべてを含む、自由層118の一部分全体に転送され得る。代替的には、障壁層116の結晶方位は、自由層118の一部分のみに転送される。キャップ層120のアモルファス特性は、AlOまたはHfOなどの材料を採用するとき、結晶構造がキャップ層120から自由層118に進展しないようにする。その結果、自由層118の結晶構造は、自由層118内で終了する。自由層118での結晶構造の終了はまた、自由層118とキャップ層120との間の界面220におけるPMAを増加させる。
【0035】
第1の層202がCoFeB層の一部分である構成では、第1の層202は、60パーセントのコバルト、20パーセントの鉄、および20パーセントのボロンの構成を有する。CoFeBの他の構成、または材料の他の合金および構成は、本開示の範囲内であると想定される。この構成では、第1の層202は、キャップ層120と第1の層202との間の界面220におけるPMAを促進する。キャップ層120と第1の層202との間の界面220におけるPMAを促進することにより、pMTJ構造体100の性能が改善される。さらに、第1の層202は、第2の層204よりも低い磁気モーメントを有する。第1の層202のより低い磁気モーメントは、pMTJ構造体100に対する消磁効果を低減するのを助ける。このことはまた、本開示のこの態様を採用するpMTJ構造体100のPMAを増加させる。
【0036】
第2の層204および第1の層202は、異なる層として示されているが、段階的な層であり得る。この構成では、鉄およびコバルトの含有率は、界面210から障壁層116までの距離に応じて、および/またはキャップ層120までの距離に応じて変化する。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、第2の層204および第1の層202には、鉄の代わりに、他の強磁性材料が使用され得る。この構成では、自由層118内の第2の層204から第1の層202への変化は、後続の処理ステップ中に自由層118内の結晶構造が急速に進展しないようにする。結晶転送レートの変化はまた、結晶方位および結晶構造をキャップ層120に転送する機会を低減する。自由層118内の結晶化レートのこの変化により、自由層118の構造の追加の制御が可能になる。自由層118のこの追加の制御は、pMTJ構造体100のTMRおよびPMAを増加させる場合もある。
【0037】
自由層118は、約20〜25オングストロームの厚さを有し得る。第2の層204は、約5オングストロームの厚さである場合があり、第1の層202は、約20オングストロームの厚さである場合がある。本開示の範囲内にとどまる間は、他の厚さが可能である。キャップ層120は、約10オングストロームの厚さである場合がある。キャップ層120の厚さが低減されるとき、AlOまたは他のアモルファス材料を採用するキャップ層120は、アモルファスのままであり、自由層118内への結晶成長を低減する。このことは、自由層118とキャップ層120との間の界面220におけるPMAを増加させる。
【0038】
図3は、本開示の一態様による、自由層118内の挿入層302を示す。自由層118内の結晶方位の形成に対する追加の抵抗が指定される場合、図3に示す挿入層302が、自由層118内に含まれ得る。pMTJ構造体100は、挿入層302を有する構造体300を含み得る。挿入層302は、必要な場合、自由層118に使用されるものと異なる材料であり得る。そのような材料は、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、または他の材料を含み得る。
【0039】
この構成では、キャップ層120から自由層118を通る結晶成長方向208への任意の結晶方位の進展をさらに遅くするために、挿入層302が含まれる。任意の結晶方位の障壁層116から結晶成長方向206への成長を止めるために、挿入層302が同じくまたは代替的に含まれ得る。さらに、挿入層302の包含は、障壁層116および自由層118との間の界面210における結晶方位を維持することによってpMTJ構造体100のPMAを増加させ得る。挿入層302の包含は、障壁層116の結晶方位が、自由層118の第1の層202の部分に進展することを防ぐ場合もある。挿入層302の包含は、総磁気モーメントを低減する場合もあり、pMTJ構造体100内の構造体300の消磁効果を低減する場合がある。
【0040】
図4は、本開示の一態様のpMTJデバイス内のアモルファスキャップ層とともに二重界面自由層を形成する方法400を示すプロセスフロー図である。プロセスブロック402では、固定層が堆積される。プロセスブロック404では、障壁層が、固定層上に堆積される。障壁層は、結晶構造を有する。たとえば、図2に示すように、障壁層116が、固定層(たとえば、参照層114)上に堆積される。プロセスブロック406では、アモルファス自由層が、障壁層上に堆積される。プロセスブロック408では、アモルファスキャッピング層が、自由層上に堆積される。たとえば、図2に示すように、自由層118が、障壁層116上に堆積される。加えて、キャップ層120が、自由層118上に堆積される。
【0041】
プロセスブロック410では、自由層が障壁層の結晶構造を採用するように、pMTJのアニーリングが実行される。再び図2を参照すると、キャップ層120は、アモルファスであり、それによって自由層118との界面220における結晶化を防ぐ。代わりに、自由層118と障壁層116との間の界面210において、結晶化が起こる。その結果、本開示のこの態様における障壁層116の結晶構造によって、自由層118の結晶構造が決定される。
【0042】
本開示のさらなる態様によれば、磁気トンネル接合(MTJ)について説明される。一構成では、MTJは、固定層と固定層上の障壁層とを含む。そのようなMTJは、障壁層と相互作用するための手段も含む。相互作用するための手段は、障壁層による結晶構造を有する。相互作用手段は、図1に関して説明したように自由層118であり得る。MTJは、相互作用手段と相互作用するアモルファスキャッピング層も含む。別の態様では、前述の手段は、前述の手段によって列挙された機能を実行するように構成された任意の層、任意の界面または構造体であり得る。
【0043】
図5は、本開示の一態様が有利に採用され得る、例示的なワイヤレス通信システム500を示すブロック図である。説明のために、図5は、3つの遠隔ユニット520、530および550と、2つの基地局540とを示す。ワイヤレス通信システムは、より多くの遠隔ユニットおよび基地局を有することができることが認識されよう。遠隔ユニット520、530および550は、開示されたpMTJデバイスを含むICデバイス525A、525C、および525Bを含む。他のデバイスも、基地局、スイッチングデバイス、およびネットワーク機器などの、開示されたpMTJデバイスを含み得ることが認識されよう。図5は、基地局540から遠隔ユニット520、530および550への順方向リンク信号580と、遠隔ユニット520、530および550から基地局540への逆方向リンク信号590とを示す。
【0044】
図5では、ワイヤレスローカルループシステムにおいて、遠隔ユニット520は携帯電話として示され、遠隔ユニット530はポータブルコンピュータとして示され、遠隔ユニット550は定位置遠隔ユニットとして示されている。たとえば、遠隔ユニットは、モバイル電話、ハンドヘルドパーソナル通信システム(PCS)ユニット、携帯情報端末などのポータブルデータユニット、GPS対応デバイス、ナビゲーションデバイス、セットトップボックス、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、検針機器などの定位置データユニット、またはデータもしくはコンピュータ命令を記憶する、もしくは取り出す他のデバイス、またはそれらの組合せとすることができる。図5は本開示の態様による遠隔ユニットを示すが、本開示は、これらの示された例示的なユニットに限定されない。本開示の態様は、開示されたpMTJデバイスを含む多くのデバイスにおいて適切に採用され得る。
【0045】
図6は、上記で開示したpMTJデバイスなどの、半導体構成要素の回路設計、レイアウト設計、および論理設計に使用される設計用ワークステーションを示すブロック図である。設計用ワークステーション600は、オペレーティングシステムソフトウェア、サポートファイル、およびCadenceやOrCADなどの設計ソフトウェアを収容するハードディスク601を含む。設計用ワークステーション600は、回路610、またはpMTJデバイスなどの半導体構成要素612の設計を容易にするためにディスプレイ602も含む。記憶媒体604が、回路610または半導体構成要素612の設計を有形に記憶するために提供される。回路610または半導体構成要素612の設計は、GDSIIまたはGERBERなどのファイルフォーマットで記憶媒体604上に記憶され得る。記憶媒体604は、CD−ROM、DVD、ハードディスク、フラッシュメモリ、または他の適切なデバイスであり得る。さらに、設計用ワークステーション600は、記憶媒体604から入力を受け入れるか、または記憶媒体604に出力を書き込むための駆動装置603を含む。
【0046】
記憶媒体604上に記録されるデータは、論理回路構成、フォトリソグラフィマスク用のパターンデータ、または電子ビームリソグラフィなどの連続描画ツール用のマスクパターンデータを指定することができる。データは、論理シミュレーションに関連するタイミング図またはネット回路などの論理検証データをさらに含み得る。記憶媒体604上にデータを提供すると、半導体ウエハを設計するためのプロセス数を削減させることによって、回路610または半導体構成要素612の設計が容易になる。
【0047】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、または他の名称で呼ばれるかどうかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プロシージャ、機能などを意味するように広く解釈されるべきである。ソフトウェアは、コンピュータ可読媒体上に存在し得る。コンピュータ可読媒体は、例として、磁気記憶デバイス(たとえば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(たとえば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(たとえば、カード、スティック、キードライブ)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、またはリムーバブルディスクのようなメモリを含み得る。メモリは、本開示全体にわたって提示した様々な態様ではプロセッサとは別個に示されているが、メモリはプロセッサの内部にあり得る(たとえば、キャッシュまたはレジスタ)。
【0048】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアの実装形態の場合、方法は、本明細書で説明する機能を実行するモジュール(たとえば、プロシージャ、関数など)を用いて実装され得る。本明細書において説明した方法を実装する際に、命令を有形に具現化する機械可読媒体を使用することができる。たとえば、ソフトウェアコードをメモリに記憶させ、プロセッサユニットによって実行することができる。メモリは、プロセッサユニット内またはプロセッサユニットの外部に実装されていてよい。本明細書では、「メモリ」という用語は、長期メモリ、短期メモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、または他のメモリのタイプを指し、特定のタイプのメモリもしくは特定の数のメモリ、またはメモリが格納される媒体のタイプに限定すべきではない。
【0049】
機能が、ファームウェアおよび/またはソフトウェアにおいて実施される場合には、コンピュータ可読媒体上に1つまたは複数の命令またはコードとして記憶することができる。例として、データ構造を符号化したコンピュータ可読媒体、およびコンピュータプログラムを符号化したコンピュータ可読媒体がある。コンピュータ可読媒体は、物理的コンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータがアクセスすることのできる利用可能な媒体とすることができる。限定ではなく、例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気記憶デバイス、または、所望のプログラムコードを命令もしくはデータ構造の形で記憶するのに使用することができ、かつコンピュータによってアクセスされ得る他の媒体を含むことができ、本明細書で使用されるディスク(diskおよびdisc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピーディスク(disk)、およびBlu−ray(登録商標)ディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は通常、データを磁気的に再生するが、ディスク(disc)はデータをレーザによって光学的に再生する。上記のものの組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0050】
命令および/またはデータは、コンピュータ可読媒体上の記憶域に加えて、通信装置に含まれる伝送媒体上の信号として与えることができる。たとえば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有するトランシーバを含むことができる。命令およびデータは、1つまたは複数のプロセッサに、特許請求の範囲において概説される機能を実施させるように構成される。
【0051】
以上、本開示およびその利点について詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定められる本開示の技術から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換、および改変を行えることを理解されたい。たとえば、「上」および「下」などの関係性の用語が、基板または電子デバイスに関して使用される。当然、基板または電子デバイスが反転した場合、上は下に、下は上になる。加えて、横向きの場合、上および下は、基板または電子デバイスの側面を指す場合がある。さらに、本出願の範囲は、本明細書で説明したプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、およびステップの特定の構成に限定されることは意図されない。当業者が本開示から容易に諒解するように、本明細書で説明した対応する構成と実質的に同じ機能を実行するか、もしくは実質的に同じ結果を実現する、現存するもしくは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップが、本開示に従って利用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップをそれらの範囲内に含むものとする。
【0052】
本明細書で本開示に関連して説明された様々な例示的論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組合せとして実装され得ることを当業者ならさらに理解されよう。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、様々な例示的構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、上記ではその機能に関して一般的に説明してきた。そのような機能が、ハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定の適用例および全体的なシステムに課された設計制約次第である。当業者は、説明した機能を特定の適用例ごとに様々な方法で実装し得るが、そのような実装の決定は、本開示の範囲からの逸脱をもたらすものと解釈されるべきではない。
【0053】
本明細書の開示に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、本明細書で説明される機能を実行するように設計された汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、個別のゲートもしくはトランジスタロジック、個別のハードウェア構成要素、またはそれらの任意の組合せとともに、実装または実行され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るが、代替実施形態では、プロセッサは、任意の従来型プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。
【0054】
本開示に関連して説明した方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアにおいて直接的に、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールにおいて、またはその2つの組合せで具現化され得る。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、または当技術分野において知られている任意の他の形態の記憶媒体中に存在することができる。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。代替として、記憶媒体はプロセッサと一体化されてもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に存在し得る。ASICは、ユーザ端末内に存在し得る。代替として、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末内の個別の構成要素として存在してもよい。
【0055】
本開示の前述の説明は、当業者が本開示を作製または使用することを可能にするために提供される。本開示に対する様々な修正形態が当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義される一般的な原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の変形形態に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書で説明される例および設計に限定されるものではなく、本明細書で開示される原理および新規の特徴に合致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0056】
開示した方法におけるステップの特定の順序または階層は、例示的なプロセスの例示であることを理解されたい。設計の選好に基づいて、方法におけるステップの特定の順序または階層が再構成可能であることを理解されたい。添付の方法クレームは、様々なステップの要素を例示的な順序で提示したものであり、クレーム内で明記していない限り、提示した特定の順序または階層に限定されるように意図されているわけではない。
【0057】
前述の説明は、いかなる当業者も本明細書で説明する様々な態様を実施することを可能にするように与えられる。これらの態様の様々な修正形態は、当業者に容易に明らかになり、本明細書で定義する一般原理は、他の態様に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書で示す態様に限定することを意図しているわけではなく、特許請求の範囲の文言と整合するすべての範囲を許容することを意図しており、単数の要素への言及は、そのように明記されていない限り、「唯一無二の」を意味するのでなく、「1つまたは複数の」を意味することを意図している。別段に明記されていない限り、「いくつかの」という用語は「1つまたは複数の」を指す。項目のリスト「のうちの少なくとも1つ」について言及する句は、単一のメンバーを含むこれらの項目の任意の組合せを指す。一例として、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、aおよびb、aおよびc、bおよびc、ならびにa、bおよびcを含むことが意図される。当業者に知られているまたは後で当業者に知られることになる、本開示全体にわたって説明する様々な態様の要素の構造的および機能的なすべての均等物は、参照により本明細書に明確に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。さらに、本明細書で開示するいかなる内容も、そのような開示が特許請求の範囲で明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公に供することは意図されていない。請求項のいかなる要素も、「のための手段」という句を使用して要素が明確に記載されていない限り、または方法クレームの場合に「のためのステップ」という句を使用して要素が記載されていない限り、米国特許法第112条第6項の規定に基づいて解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0058】
100 垂直磁気トンネル接合、pMTJ構造体
102 基板
104 第1の電極
106 シード層
108 第1の合成反強磁性層、第1のSAF層
110 SAF結合層
112 第2のSAF層
114 参照層
116 障壁層
118 自由層
120 キャップ層
122 第2の電極
124 SAF構造体
200 pMTJ構造体100の一部分
202 第1の層
204 第2の層
206 結晶成長方向
208 結晶成長方向
210 界面
220 界面
300 構造体
302 挿入層
400 方法
500 ワイヤレス通信システム
520 遠隔ユニット、携帯電話
525A ICデバイス
525B ICデバイス
525C ICデバイス
530 遠隔ユニット、ポータブルコンピュータ
540 基地局
550 遠隔ユニット、定位置遠隔ユニット
580 順方向リンク信号
590 逆方向リンク信号
600 設計用ワークステーション
601 ハードディスク
602 ディスプレイ
603 駆動装置
604 記憶媒体
610 回路
612 半導体構成要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6