(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173676
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】高周波コイルユニット及び磁気共鳴イメージング装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
A61B5/05 355
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-245619(P2012-245619)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2014-94035(P2014-94035A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136504
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 毅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100160901
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正平
(72)【発明者】
【氏名】河合 択真
【審査官】
伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−252741(JP,A)
【文献】
特開2003−144408(JP,A)
【文献】
実開昭53−108063(JP,U)
【文献】
実開平04−103104(JP,U)
【文献】
特開2001−138865(JP,A)
【文献】
特開2009−011836(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0009172(US,A1)
【文献】
特開2012−105805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を支持する支持部と、
前記支持部に設けられ、前記被検体を跨る第1の部分と前記被検体の両足の間を仕切る第2の部分とを有する固定具と、
を備え、
前記支持部は、前記被検体全体を支持するように構成される高周波コイルユニット。
【請求項2】
被検体を支持する支持部と、
前記支持部に設けられ、前記被検体を跨る第1の部分と前記被検体の両足の間を仕切る第2の部分とを有する固定具と、
を備え、
前記支持部に、腹部用のコイル要素を取り付けるための取付構造を設けた高周波コイルユニット。
【請求項3】
被検体をセットし、かつ寝台にセットするための支持部であって前記被検体を背面側から支持するように構成される支持部と、
前記支持部に設けられ、少なくとも鉛直方向の異なる位置に配置された複数のコイル要素と、
前記被検体の背面側を支持する前記支持部の支持面と、前記被検体の両側面側となる前記支持部の2つの端部の少なくとも一方とを、前記被検体の股間を経由して連結する固定具と、
を有する高周波コイルユニット。
【請求項4】
前記固定具にコイル要素の少なくとも一部を設けた請求項3記載の高周波コイルユニット。
【請求項5】
前記固定具は、少なくとも一部が前記支持部から着脱可能に構成される請求項3記載の高周波コイルユニット。
【請求項6】
前記固定具及び前記支持部にそれぞれ一部が配置され、前記固定具が前記支持部に取り付けられた状態で機能するコイル要素を設けた請求項5記載の高周波コイルユニット。
【請求項7】
前記固定具が前記支持部に取り付けられた状態で機能するコイル要素は、前記被検体の足が内側を通る位置に配置される請求項6記載の高周波コイルユニット。
【請求項8】
被検体をセットし、かつ寝台にセットするための支持部と、
前記支持部に設けられ、少なくとも鉛直方向の異なる位置に配置された複数のコイル要素と、
前記被検体の腹部用のコイル要素と、
を有し、
前記被検体の腹部側のコイル要素として、前記被検体の背面側の前記支持部に設けられる前記複数のコイル要素の数と異なる数の複数のコイル要素を設けた高周波コイルユニット。
【請求項9】
前記支持部は、前記被検体を背面側から支持するように構成される請求項1、2又は8記載の高周波コイルユニット。
【請求項10】
前記複数のコイル要素は、鉛直方向に湾曲する曲面に沿って配置される請求項3乃至8のいずれか1項に記載の高周波コイルユニット。
【請求項11】
前記複数のコイル要素は、一部が前記被検体の側面をカバーするように配置される請求項3乃至8のいずれか1項に記載の高周波コイルユニット。
【請求項12】
前記被検体の頭部用及び腹部用の少なくとも一方のコイル要素を更に設けた請求項1乃至7のいずれか1項に記載の高周波コイルユニット。
【請求項13】
前記支持部は、前記被検体と接触する表面が凹凸を有するクッション材で構成される請求項1乃至12のいずれか1項に記載の高周波コイルユニット。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の高周波コイルユニットと、
前記高周波コイルユニットを用いて被検体の磁気共鳴イメージングを行う撮像システムと、
を備える磁気共鳴イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、高周波(RF: radio frequency)コイルユニット及び磁気共鳴イメージング(MRI: Magnetic Resonance Imaging)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをラーモア周波数のRF信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴(MR: magnetic resonance)信号から画像を再構成する画像診断装置である。
【0003】
従来、MRI装置に使用される小児用のRF受信コイルとして頭部用のRFコイルと脊椎用のRFコイルとを連結させた一体型のコイルが市販されている。従来の小児用RF受信コイルは、複数のコイル要素を被検体の背面側に平面状に配置した構造を有している。このため、必要に応じて、被検体のアンテリア側における感度を補うために、補助的な別のRFコイルが設置される。
【0004】
但し、被検体が小児である場合には、大きな荷重を被検体にかけることは望ましくない。そこで、補助的に付加されるRFコイルは、設置台及び支持機構を用いて被検体のアンテリア側に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−253410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の小児の撮像法では、被検体のアンテリア側に設置される補助的なRFコイルと被検体との間における空隙が大きくなる。このため、十分なSNR (signal to noise ratio)を確保することが困難な場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、被検体に大きな荷重を掛けることなく、より好適な感度で必要な領域からMR信号を受信することが可能なRFコイルユニット及びMRI装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る高周波コイルユニットは、被検体を支持する支持部と、固定具とを備える。固定具は、前記支持部に設けられ、前記被検体を跨る第1の部分と前記被検体の両足の間を仕切る第2の部分とを有する。
前記支持部は、前記被検体全体を支持するように構成される。
また、本発明の実施形態に係る高周波コイルユニットは、被検体を支持する支持部と、固定具とを備える。固定具は、前記支持部に設けられ、前記被検体を跨る第1の部分と前記被検体の両足の間を仕切る第2の部分とを有する。前記支持部に、腹部用のコイル要素を取り付けるための取付構造を設けた。
また、本発明の実施形態に係る高周波コイルユニットは、被検体をセットし、かつ寝台にセットするための支持部と、複数のコイル要素と、固定具とを有する。支持部は、前記被検体を背面側から支持するように構成される。複数のコイル要素は、前記支持部に設けられ、少なくとも鉛直方向の異なる位置に配置される。固定具は、前記被検体の背面側を支持する前記支持部の支持面と、前記被検体の両側面側となる前記支持部の2つの端部の少なくとも一方とを、前記被検体の股間を経由して連結する。
また、本発明の実施形態に係る高周波コイルユニットは、被検体をセットし、かつ寝台にセットするための支持部と、複数のコイル要素と、前記被検体の腹部用のコイル要素とを有する。複数のコイル要素は、前記支持部に設けられ、少なくとも鉛直方向の異なる位置に配置される。前記被検体の腹部側のコイル要素として、前記被検体の背面側の前記支持部に設けられる前記複数のコイル要素の数と異なる数の複数のコイル要素が設けられる。
また、本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置は、前記高周波コイルユニットと、撮像システムとを備える。撮像システムは、前記高周波コイルユニットを用いて被検体の磁気共鳴イメージングを行う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るRFコイルユニットの構成を示す斜視図。
【
図2】
図1に示す支持部内に設けられる複数のコイル要素の配置を示すRFコイルユニットの下面図。
【
図3】
図1に示す支持部及び頭部コイル内に設けられる複数のコイル要素の配置を示すRFコイルユニットの右側面図。
【
図4】
図1に示す固定具及び頭部コイル内に設けられる複数のコイル要素の配置を示すRFコイルユニットの上面図。
【
図5】
図1に示す支持部の表面における構造の一例を示す斜視図。
【
図6】
図1に示す支持部の表面における構造の別の一例を示す斜視図。
【
図7】独立した頭部用コイルを設けてRFコイルユニットを構成した例を示す図。
【
図8】被検体の腹部側におけるコイル要素の数を多くした例を示すRFコイルユニットの上面図。
【
図9】被検体の腹部側に独立した腹部用コイルを取り付けてRFコイルユニットを構成した例を示す斜視図。
【
図10】
図1に示す頭部用コイルの開閉方向を変えた例を示す図。
【
図11】
図1に示す頭部用コイルの開閉方向を変えた別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係るRFコイルユニット及びMRI装置について添付図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の実施形態に係るRFコイルユニットの構成を示す斜視図、
図2は、
図1に示す支持部内に設けられる複数のコイル要素の配置を示すRFコイルユニットの下面図、
図3は、
図1に示す支持部及び頭部コイル内に設けられる複数のコイル要素の配置を示すRFコイルユニットの右側面図、
図4は、
図1に示す固定具及び頭部コイル内に設けられる複数のコイル要素の配置を示すRFコイルユニットの上面図である。
【0012】
RFコイルユニット1は、被検体Oをセットし、かつ寝台にセットするための支持部2に複数のコイル要素3を設けて構成される。複数のコイル要素3は、少なくとも鉛直方向の異なる位置に配置される。支持部2には、更に被検体Oを腹部側から固定するための固定具4及び頭部用コイル5を設けることができる。
【0013】
支持部2の長手方向のサイズは、支持部2により被検体O全体を支持できるように被検体Oの大きさに合わせて決定することができる。但し、図示される例に限らず、被検体Oの手足が支持部2の外部となるように支持部2のサイズを決定してもよい。尚、図示された例は、被検体Oが乳幼児である場合の例を示している。
【0014】
また、支持部2は、被検体Oを背面側から支持するように構成することができる。特に、支持部2を鉛直方向に湾曲させると、複数のコイル要素3を支持部2に鉛直方向に湾曲する曲面に沿って配置することができる。このため、簡易に複数のコイル要素3を鉛直方向の異なる位置に配置しつつ、被検体Oを支持部2にフィットさせることができる。被検体Oが乳幼児である場合には、例えば、被検体Oの厚みを考慮して15mm程度の深さとなるように、支持部2を湾曲させることができる。これにより、支持部2で被検体O全体を安全に保護することができる。
【0015】
但し、被検体Oを仰向けにセットせずにうつ伏せ又は横向きにセットするように支持部2を構成してもよい。その場合には、被検体Oを良好に固定できるように被検体Oの形状に応じた固定具4を支持部2に設けることができる。
【0016】
一方、被検体Oを仰向けにセットするように構成された湾曲する支持部2に、複数のコイル要素3を湾曲する曲面に沿って配置すると、複数のコイル要素3は、一部が被検体Oの側面をカバーするように配置されることとなる。このため、被検体Oの背面側に加えて側面における感度を確保することができる。従って、支持部2に配置される複数のコイル要素3は、従来の脊椎コイルに比べて被検体Oのアンテリア側における感度が飛躍的に向上する。
【0017】
図示された例では、横断面が円弧状でかつ板状の支持部2の内部に、被検体Oの体軸方向及び被検体Oの体軸に垂直な方向に沿ってそれぞれ4つのコイル要素3が収納されている。
【0018】
固定具4は、被検体Oの背面側を支持する支持部2の支持面と被検体Oの両側面側となる支持部2の2つの端部の少なくとも一方とを、被検体Oの股間を経由して連結する器具である。固定具4は、被検体Oの両足を通すことができるような構造とすることが被検体Oの動きに起因するアーチファクトを抑制する観点から好適である。図示された例では、固定具4が、被検体Oの両側面側と支持面とを連結している。この場合、固定具4は、T字状又はY字状となる。
【0019】
このような構造を有する固定具4を支持部2に設けることによってRFコイルユニット1は、チャイルドシート型のRFコイルとなる。但し、被検体Oの片足のみを通すような固定具を支持部2に設けてもよい。その場合には、固定具は、分岐のない曲がった柱状構造となる。
【0020】
固定具4は、少なくとも一部が支持部2から着脱可能に構成することが望ましい。これにより、被検体Oのセットが容易となる。具体例として、固定具4と支持部2の支持面とをヒンジで連結することができる。これにより、固定具4を開閉することが可能となる。或いは、固定具4全体を支持部2から着脱できるようにしてもよい。固定具4の着脱部は、ロック機構などにより支持部2と連結することが安全性の向上に繋がる。或いは、面ファスナ等で簡易かつフレキシブルに固定具4を支持部2に取り付けられるようにしてもよい。
【0021】
更に、固定具4には、コイル要素3の少なくとも一部を設けることができる。図示された例では、固定具4の内部にT字形状又はY字形状等の形状に合わせて複数のコイル要素3が配置されている。このため、被検体Oの腹部側に配置されるコイル要素3によって被検体Oのアンテリア側における感度を一層向上させることができる。図示された例では、被検体Oの腹部側のコイル要素3として、被検体Oの背面側の支持部2に設けられる複数のコイル要素3の数と異なる数の複数のコイル要素3が設けられている。一方、被検体Oの股間に配置されるコイル要素3によって、被検体Oの股関節付近における感度を向上させることができる。
【0022】
図示された例では、更に、固定具4の内部にコイル要素3の一部が収納されている。すなわち、固定具4と支持部2とに跨る2つのコイル要素3が設けられている。従って、各コイル要素3は、固定具4及び支持部2にそれぞれ一部が配置され、固定具4が支持部2に取り付けられた状態でコイルとして機能する。また、各コイル要素3は、被検体Oの足が内側を通る位置に配置されることとなる。従って、被検体Oの股関節近傍における感度を一層向上させることができる。固定具4と支持部2とに跨るコイルは、被検体Oを固定して動きを抑止する観点及び被検体Oに大きな荷重をかけないようにする観点からリジッドコイルとすることが望ましい。
【0023】
頭部用コイル5は、図示されるように支持部2の一部を背面側とする開閉型のコイルとすることができる。この場合、頭部用コイル5の体表面側は、断面が円弧状の湾曲したコイルとすることができる。頭部用コイル5の体表面側は、ヒンジを介して支持部2の端部に連結することができる。これにより、体表面側が開閉する頭部用コイル5を構成することができる。そして、頭部用コイル5の内部には、頭部用の複数のコイル要素3を配置することができる。頭部用コイル5の体表面側のコイルは、可撓性を有するフレキシブルなコイル又は剛性を有するリジッドコイルとすることができる。
【0024】
このように、頭部用コイル5を設けることによって、小児の頭部用及び脊椎用のRFコイルとしてRFコイルユニット1を構成することができる。更に、固定具4内にコイル要素3を設けることによって股関節付近及び腹部側の感度も得ることができる。但し、頭部用、腹部用及び股関節用のコイル要素3の一部又は全部を省略して簡易な構造を有するRFコイルユニット1を構成することもできる。或いは、被検体Oの頭部用及び腹部用の少なくとも一方のコイル要素3を設けてRFコイルユニット1を構成することもできる。
【0025】
また、図示された例に限らず、各所に配置されるコイル要素3の大きさ、数及び形状は任意である。例えば、矩形、円形、楕円形、8の字型等の様々な形状を有するコイル要素3を設けることができる。
【0026】
上述した特徴の他、支持部2の材質として被検体Oと接触する表面を、凹凸を有するクッション材で構成することが好適である。
【0027】
図5は、
図1に示す支持部2の表面における構造の一例を示す斜視図である。また、
図6は、
図1に示す支持部2の表面における構造の別の一例を示す斜視図である。
【0028】
図5及び
図6に示すように支持部2の表面は、1次元的又は2次元的な凹凸を有するクッション材で構成することが好適である。これにより、被検体Oが、体温調節が未熟な乳幼児である場合に、空気の通過によって体温上昇を防ぐことができる。また、支持部2の表面を隙間のない構造とすることにより、支持部2内への液体の侵入を防止することもできる。
【0029】
また、被検体Oの首に対応する位置には、首にフィットするクッションを設けるようにしてもよい。更に、首に限らず、被検体Oの体形に合わせて支持部2に起伏を設けることにより、不要な空隙を低減させることができる。これにより、感度の向上及び被検体Oの動きの低減を図ることができる。
【0030】
この他、被検体Oを一層安全に支持部2に固定するために、被検体Oの体表面側をハーネス6で固定するようにしてもよい。例えば、肩から股関節にかけてワンタッチで着脱できるY字状のベルトを設けることによって、被検体Oの上半身の動きを抑制することができる。
【0031】
上述したRFコイルユニット1は、撮像システムを備えたMRI装置の寝台にセットし、MRイメージング用のRF受信コイルとして使用することができる。RFコイルユニット1は、ケーシングで保護した状態で寝台の天板にセットすることが実用的である。RFコイルユニット1を寝台の天板にセットすると、支持部2に設けられた複数のコイル要素3は、寝台の上下方向に配置されることとなる。このため、被検体Oのアンテリア側における感度を維持しつつMRI装置の撮像システムにより、RFコイルユニット1を用いて被検体OのMRイメージングを行うことが可能となる。
【0032】
次に、RFコイルユニット1のバリエーションについて例示する。
【0033】
図7は、独立した頭部用コイル5を設けてRFコイルユニット1を構成した例を示す図である。
【0034】
図1には、頭部用コイル5の下面側を支持部2と一体型にした例を示したが、頭部用コイル5を独立して使用できるようにしてもよい。その場合、
図7に示すように、頭部用コイル5の幅を被検体Oのサイズに合わせて支持部2よりも狭くすると、頭部における感度を向上させることができる。
【0035】
図8は、被検体Oの腹部側におけるコイル要素3の数を多くした例を示すRFコイルユニット1の上面図である。
【0036】
図8に示すように、固定具4の、被検体Oからみて支持部2の左右両端部を連結する部分の体軸方向における幅を広げると、被検体Oの腹部に加えて胸部にもコイル要素3を配置することが可能となる。これにより、股関節付近、腹部及び胸部における感度を向上させることができる。
【0037】
図9は、被検体Oの腹部側に独立した腹部用コイルを取り付けてRFコイルユニット1を構成した例を示す斜視図である。
【0038】
図9に示すように、支持部2に、腹部用のコイル要素3を取り付けるための取付構造10Aを設けることができる。取付構造10Aとしては、フックや面ファスナなど、腹部用のコイル要素3を支持部2に取り付けることが可能な構造であれば、任意のものを用いることができる。図示された例では、被検体Oからみて支持部2の左右側面に、長手方向に沿って線状の面ファスナが取り付けられている。
【0039】
このように支持部2に取付構造10Aを設けると、支持部2の取付構造10Aに対応する取付構造10Bを有する所望の腹部用コイル11を支持部2に取り付けることが可能となる。例えば、面ファスナを両端に設けた柔軟性を有する市販の腹部用コイル11を支持部2に取り付けることができる。このため、被検体Oに大きな荷重をかけることなく、腹部や胸部の感度を向上させることができる。
【0040】
図10は、
図1に示す頭部用コイル5の開閉方向を変えた例を示す図である。
図11は、
図1に示す頭部用コイル5の開閉方向を変えた別の例を示す図である。
【0041】
図1には、支持部2の長手方向に開閉する頭部用コイル5を例示したが、
図10及び
図11に示すように支持部2の長手方向に垂直な方向に開閉する頭部用コイル5を支持部2に設けてもよい。
【0042】
例えば、
図10に示す頭部用コイル5では、被検体Oからみて上部側が中心から左右に開閉する構造となっている。すなわち、頭部用コイル5の上部側が2つの湾曲したパーツから成り、かつ各パーツがヒンジで頭部用コイル5の下部側と連結されている。
【0043】
一方、
図11に示す頭部用コイル5では、被検体Oからみて上部側が分離せずに左右方向に開閉する構造となっている。すなわち、湾曲した上部側の一端がヒンジを介して頭部用コイル5の下部側と連結されている。
【0044】
以上のようなRFコイルユニット1は、複数のコイル要素3を鉛直方向の異なる位置に配置し、かつ被検体Oに過大な荷重をかけずに被検体Oを固定及び保護できるように構成したものである。
【0045】
このため、RFコイルユニット1によれば、被検体Oに大きな荷重をかけずに、被検体Oの背面側及びアンテリア側に感度を得ることができる。更に、固定具4に沿って、被検体Oの股間から腹部にかけてコイル要素3を配置することによって、股関節付近及び腹部における感度を得ることもできる。
【0046】
また、RFコイルユニット1によれば、湾曲した支持部2と固定具4とによって被検体Oの動きを抑制しつつ安全に被検体Oを保護することができる。
【0047】
このため、RFコイルユニット1は、セッティングが容易な小児用の脊椎用RFコイルとして使用することができる。しかも、心臓、腹部及び股関節等の小児における画像診断において必要とされる領域において十分な感度を得ることができる。このため、股関節脱臼等の検査においても、股関節近傍の固定具4に沿って配置されたコイル要素3によって十分な感度及びSNRで撮像を行うことができる。
【0048】
加えて、支持部2に取付構造10Aを設けることにより、従来の腹部用コイルを被検体Oに荷重をかけずにセットすることが可能となる。
【0049】
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。
【符号の説明】
【0050】
1 RFコイルユニット
2 支持部
3 コイル要素
4 固定具
5 頭部用コイル
6 ハーネス
10A,10B 取付構造
11 腹部用コイル
O 被検体