特許第6173721号(P6173721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6173721周波数解析装置、当該周波数解析装置を用いた信号処理装置、および、当該信号処理装置を用いた高周波測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173721
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】周波数解析装置、当該周波数解析装置を用いた信号処理装置、および、当該信号処理装置を用いた高周波測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 23/16 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
   G01R23/16 D
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-42923(P2013-42923)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-81352(P2014-81352A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2016年2月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-214135(P2012-214135)
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(73)【特許権者】
【識別番号】595107944
【氏名又は名称】株式会社ローラン
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100115369
【弁理士】
【氏名又は名称】仙波 司
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】鳴川 雄太
(72)【発明者】
【氏名】田中 良平
(72)【発明者】
【氏名】茂木 建二
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−55949(JP,A)
【文献】 特開昭59−632(JP,A)
【文献】 特開2012−112761(JP,A)
【文献】 米国特許第5528134(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるアナログ信号に対してサンプリングを行って、サンプリングデータを生成するサンプリング手段と、
前記サンプリングデータを、対象とする周波数に対応したサンプリングデータであるリサンプリングデータに変換するデータ変換手段と、
前記リサンプリングデータに対して高速フーリエ変換処理を行って周波数毎の変換結果を出力するFFT処理手段と、
前記サンプリングデータに対して高速フーリエ変換処理を行って周波数毎の変換結果を出力する第2のFFT処理手段と、
前記第2のFFT処理手段が出力する周波数毎の変換結果に基づいて、前記対象とする周波数を推定する周波数推定手段と、
を備え
前記周波数推定手段は、
前記第2のFFT処理手段が出力する変換結果の大きさであるスペクトルパワーが最大値になる場合の周波数である近似周波数を検出する検出手段と、
前記近似周波数に周波数分解能を加算した周波数についてのスペクトルパワーと、前記近似周波数から前記周波数分解能を減算した周波数についてのスペクトルパワーとを比較する比較手段と、
前記最大値に対する、前記比較手段によって大きいと判定された方のスペクトルパワーの比率を算出する比率算出手段と、
を備えており、
前記比率算出手段によって算出された比率に基づいて、前記対象とする周波数を推定する、
ことを特徴とする周波数解析装置。
【請求項2】
前記対象とする周波数は、前記アナログ信号の基本波成分の周波数である、請求項1に記載の周波数解析装置。
【請求項3】
入力されるアナログ信号に対してサンプリングを行って、サンプリングデータを生成するサンプリング手段と、
前記サンプリングデータを、対象とする周波数に対応したサンプリングデータであるリサンプリングデータに変換するデータ変換手段と、
前記リサンプリングデータに対して高速フーリエ変換処理を行って周波数毎の変換結果を出力するFFT処理手段と、
を備え
複数の対象とする周波数毎に、前記データ変換手段およびFFT処理手段を備えている、
ことを特徴とする周波数解析装置。
【請求項4】
前記サンプリングデータに対して高速フーリエ変換処理を行って周波数毎の変換結果を出力する第2のFFT処理手段と、
前記第2のFFT処理手段が出力する周波数毎の変換結果に基づいて、前記対象とする周波数を推定する周波数推定手段と、
をさらに備え、
前記周波数推定手段は、
前記第2のFFT処理手段が出力する変換結果の大きさであるスペクトルパワーが最大値になる場合の周波数である近似周波数を検出する検出手段と、
前記近似周波数に周波数分解能を加算した周波数についてのスペクトルパワーと、前記近似周波数から前記周波数分解能を減算した周波数についてのスペクトルパワーとを比較する比較手段と、
前記最大値に対する、前記比較手段によって大きいと判定された方のスペクトルパワーの比率を算出する比率算出手段と、
を備えており、
前記比率算出手段によって算出された比率に基づいて、前記対象とする周波数を推定する、
請求項に記載の周波数解析装置。
【請求項5】
前記周波数推定手段は、
前記近似周波数からの補正量と前記比率との対応関係をあらかじめ記憶している記憶手段をさらに備え、
前記比較手段によって、前記周波数分解能を加算した周波数のスペクトルパワーの方が大きいと判定された場合は、前記比率に対応する補正量に前記周波数分解能を乗算して前記近似周波数に加算した周波数を、前記対象とする周波数として推定し、
前記比較手段によって、前記周波数分解能を減算した周波数のスペクトルパワーの方が大きいと判定された場合は、前記比率に対応する補正量に前記周波数分解能を乗算して前記近似周波数から減算した周波数を、前記対象とする周波数として推定する、
請求項1または4に記載の周波数解析装置。
【請求項6】
前記対象とする周波数に対応したサンプリング周波数であるリサンプリング周波数を算出するリサンプリング周波数算出手段をさらに備え、
前記データ変換手段は、前記サンプリング手段のサンプリング周波数および前記リサンプリング周波数に基づいて変換を行う、
請求項1ないし5のいずれかに記載の周波数解析装置。
【請求項7】
前記データ変換手段は、前記サンプリング周波数をfs、前記リサンプリング周波数を
rとした場合、下記式に基づいて、前記サンプリングデータxi(i=0,1,…,N−
1)を前記リサンプリングデータrn(n=0,1,…,N−1)に変換する、
請求項に記載の周波数解析装置。
【数1】
【請求項8】
請求項1ないしのいずれかに記載の周波数解析装置と、
前記FFT処理手段が出力する、前記対象とする周波数についての変換結果に基づいて、前記アナログ信号の対象とする周波数成分の振幅および位相を演算する演算手段と、
を備えていることを特徴とする信号処理装置。
【請求項9】
高周波電力が伝送される伝送線路に配置されて、高周波電圧信号および高周波電流信号を検出する高周波検出装置と、
請求項に記載の信号処理装置であって、前記高周波電圧信号の前記対象とする周波数成分の振幅および位相を演算する電圧信号処理装置と、
請求項に記載の信号処理装置であって、前記高周波電流信号の前記対象とする周波数成分の振幅および位相を演算する電流信号処理装置と、
前記電圧信号処理装置が出力した前記高周波電圧信号の前記対象とする周波数成分の振幅および位相と、前記電流信号処理装置が出力した前記高周波電流信号の前記対象とする周波数成分の振幅および位相とから、各種高周波パラメータを演算する演算装置と、
を備えていることを特徴とする高周波測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速フーリエ変換処理を行う周波数解析装置、当該周波数解析装置を用いた信号処理装置、および、当該信号処理装置を用いた高周波測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高周波電力が伝送される伝送線路に配置されて、各種の高周波パラメータを検出する高周波測定装置が開発されている(例えば、特許文献1など)。高周波測定装置は、伝送線路を流れる高周波電流と伝送線路に生じる高周波電圧とを検出し、検出した電圧信号および電流信号の基本波成分の振幅および位相をそれぞれ算出する。そして、算出されたこれらのデータから、高周波パラメータを算出する。なお、高周波パラメータとは、例えば、インピーダンス、反射係数、進行波電力、反射波電力などである。
【0003】
図11は、従来の高周波測定装置が備える電圧信号処理装置の一例を説明するための図である。同図に示す電圧信号処理装置は、電圧信号の基本波成分の振幅および位相を算出するものである。電圧信号処理装置は、周波数解析を行うサンプリング部100およびFFT処理部600と、周波数解析結果に基づいて演算を行う演算部700とを備えている。本願では、複数の周波数成分が混在している信号に対して処理を行い、周波数毎のスペクトルに分解することを「周波数解析」としている。なお、電流信号の信号処理を行う電流信号処理装置も同様の構成になる。
【0004】
サンプリング部100は、サンプリングを行うものである。サンプリング部100は、検出された電圧信号vを入力され、サンプリング周波数fsでN点サンプリング(Nは2の累乗)を行って、サンプリングされたN個のサンプリングデータxi(i=0,1,…,N−1)をFFT処理部600に出力する。
【0005】
FFT処理部600は、高速フーリエ変換(Fast Fourier transformation)処理を行うものである。FFT処理部600は、サンプリング部100から入力されるサンプリングデータxiに対して高速フーリエ変換処理を行い、変換結果Xk(k=0,1,…,N/2−1)を演算部700に出力する。
【0006】
演算部700は、電圧信号vの基本波成分の振幅および位相を演算するものである。演算部700は、FFT処理部600より入力される変換結果Xkに基づいて、その大きさであるスペクトルパワー|Xk|が最大のものを検出する。k=aのときのスペクトルパワー|Xa|が最大になるとすると、演算部700は、変換結果Xaに基づいて電圧信号vの基本波成分の振幅および位相を演算して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−93257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
FFT処理部600がFFT処理により出力する変換結果Xkは離散的であり、サンプリング周波数fsの分解能の整数倍の周波数についてのみ変換結果Xkが出力される。したがって、基本波成分の周波数(以下では、「基本周波数」とする。)がサンプリング周波数fsの分解能の整数倍である場合は、基本周波数についての変換結果Xkが出力されるが、基本周波数がサンプリング周波数fsの分解能の整数倍でない場合は、基本周波数についての変換結果Xkが出力されず、基本周波数の前後の周波数の変換結果Xkに分散されて出力される。
【0009】
この場合、スペクトルパワー|Xk|が最大になる周波数(k=aのときの周波数fa)が基本周波数に一致しないので、変換結果Xaに基づいて演算部700で算出された振幅および位相は、基本波成分の振幅および位相を正確に示さない。
【0010】
本発明は上述した事情のもとで考え出されたものであって、サンプリング周波数に関係なく、対象とする周波数についての変換結果を出力することができる周波数解析装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0012】
本発明の第1の側面によって提供される周波数解析装置は、入力されるアナログ信号に対してサンプリングを行って、サンプリングデータを生成するサンプリング手段と、前記サンプリングデータを、前記アナログ信号の対象とする周波数に対応したサンプリングデータであるリサンプリングデータに変換するデータ変換手段と、前記リサンプリングデータに対して高速フーリエ変換処理を行って周波数毎の変換結果を出力するFFT処理手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
なお、「対象とする周波数」とは、周波数解析の対象となる周波数である。例えば、基本波成分の周波数解析を行う場合、「対象とする周波数」は基本周波数であり、第n高調波成分の周波数解析を行う場合、「対象とする周波数」は第n高調波の周波数である。また、「対象とする周波数に対応したサンプリングデータ」とは、対象とする周波数がサンプリング周波数の分解能の整数倍になる場合のサンプリング周波数(リサンプリング周波数)でサンプリングを行ったサンプリングデータ(リサンプリングデータ)のことである。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記対象とする周波数に対応したサンプリング周波数であるリサンプリング周波数を算出するリサンプリング周波数算出手段をさらに備え、前記データ変換手段は、前記サンプリング手段のサンプリング周波数および前記リサンプリング周波数に基づいて変換を行う。
【0015】
なお、「対象とする周波数に対応したサンプリング周波数」とは、対象とする周波数がサンプリング周波数の分解能の整数倍になる場合のサンプリング周波数(リサンプリング周波数)のことである。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記データ変換手段は、前記サンプリング周波数をfs、前記リサンプリング周波数をfrとした場合、下記式に基づいて、前記サンプリングデータxi(i=0,1,…,N−1)を前記リサンプリングデータrn(n=0,1,…,N−1)に変換する。
【数1】
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記サンプリングデータに対して高速フーリエ変換処理を行って周波数毎の変換結果を出力する第2のFFT処理手段と、前記第2のFFT処理手段が出力する周波数毎の変換結果に基づいて、前記対象とする周波数を推定する周波数推定手段とをさらに備えている。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記周波数推定手段は、前記第2のFFT処理手段が出力する変換結果の大きさであるスペクトルパワーが最大値になる場合の周波数である近似周波数を検出する検出手段と、前記近似周波数に周波数分解能を加算した周波数についてのスペクトルパワーと、前記近似周波数から前記周波数分解能を減算した周波数についてのスペクトルパワーとを比較する比較手段と、前記最大値に対する、前記比較手段によって大きいと判定された方のスペクトルパワーの比率を算出する比率算出手段とを備えており、前記比率算出手段によって算出された比率に基づいて、前記対象とする周波数を推定する。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記周波数推定手段は、前記近似周波数からの補正量と前記比率との対応関係をあらかじめ記憶している記憶手段をさらに備え、前記比較手段によって、周波数分解能を加算した周波数のスペクトルパワーの方が大きいと判定された場合は、前記比率に対応する補正量に前記周波数分解能を乗算して前記近似周波数に加算した周波数を、前記対象とする周波数として推定し、前記比較手段によって、周波数分解能を減算した周波数のスペクトルパワーの方が大きいと判定された場合は、前記比率に対応する補正量に前記周波数分解能を乗算して前記近似周波数から減算した周波数を、前記対象とする周波数として推定する。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記周波数推定手段は、前記第2のFFT処理手段が出力する変換結果の大きさであるスペクトルパワーが最大値saになる場合の周波数である近似周波数を検出する検出手段と、前記近似周波数に周波数分解能を加算した周波数についてのスペクトルパワーsa+1と、前記近似周波数から前記周波数分解能を減算した周波数についてのスペクトルパワーsa-1とを比較する比較手段とを備え、前記比較手段によって、sa+1≧sa-1と判定された場合は、
【数2】
によって算出されたΔkに前記周波数分解能を乗算して前記近似周波数に加算した周波数を、前記対象とする周波数として推定し、前記比較手段によって、sa+1<sa-1と判定された場合は、
【数3】
によって算出されたΔkに前記周波数分解能を乗算して前記近似周波数から減算した周波数を、前記対象とする周波数として推定する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記対象とする周波数を検出する周波数検出手段をさらに備えている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記対象とする周波数は、前記アナログ信号の基本波成分の周波数である。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の対象とする周波数毎に、前記データ変換手段およびFFT処理手段を備えている。
【0024】
本発明の第2の側面によって提供される信号処理装置は、本発明の第1の側面によって提供される周波数解析装置と、前記FFT処理手段が出力する、前記対象とする周波数についての変換結果に基づいて、前記アナログ信号の対象とする周波数成分の振幅および位相を演算する演算手段とを備えていることを特徴とする。
【0025】
本発明の第3の側面によって提供される高周波測定装置は、高周波電力が伝送される伝送線路に配置されて、高周波電圧信号および高周波電流信号を検出する高周波検出装置と、本発明の第2の側面によって提供される信号処理装置であって、前記高周波電圧信号の前記対象とする周波数成分の振幅および位相を演算する電圧信号処理装置と、本発明の第2の側面によって提供される信号処理装置であって、前記高周波電流信号の前記対象とする周波数成分の振幅および位相を演算する電流信号処理装置と、前記電圧信号処理装置が出力した前記高周波電圧信号の前記対象とする周波数波成分の振幅および位相と、前記電流信号処理装置が出力した前記高周波電流信号の前記対象とする周波数成分の振幅および位相とから、各種高周波パラメータを演算する演算装置とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、サンプリング手段によって生成されたサンプリングデータがアナログ信号の対象とする周波数に対応したリサンプリングデータに変換され、当該リサンプリングデータに対して高速フーリエ変換処理が行われる。したがって、サンプリング周波数に関係なく、対象とする周波数についての変換結果を出力することができる。
【0027】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る周波数解析装置を説明するための機能ブロック図である。
図2】周波数finの推定方法を説明するための図である。
図3】スペクトルパワー比と補正量の関係を説明するための図である。
図4】サンプリングデータとリサンプリングデータとを説明するための図である。
図5】第1実施形態に係る高周波測定装置を説明するための図である。
図6】電圧信号処理装置に電圧信号を入力したシミュレーション結果を説明するためのものである。
図7】正規化された周波数偏移量およびスペクトルパワーを表す図である。
図8】第2実施形態に係る周波数解析装置を説明するための機能ブロック図である。
図9】第3実施形態に係る周波数解析装置を説明するための機能ブロック図である。
図10】第4実施形態に係る周波数解析装置を説明するための機能ブロック図である。
図11】従来の高周波測定装置が備える電圧信号処理装置の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、本発明に係る周波数解析装置を備えた電圧信号処理装置を例として、図面を参照して具体的に説明する。
【0030】
図1は、第1実施形態に係る周波数解析装置を説明するための機能ブロック図であり、当該周波数解析装置を備えた電圧信号処理装置を示している。同図に示す電圧信号処理装置Aは、伝送線路に生じる高周波電圧を検出したアナログ信号である電圧信号vを入力され、当該電圧信号vの基本波成分の振幅および位相を演算するものである。電圧信号処理装置Aは、周波数解析装置を構成するサンプリング部1、FFT処理部2、周波数推定部3、リサンプリング周波数算出部4、データ変換部5、およびFFT処理部6と、演算部7とを備えている。
【0031】
サンプリング部1は、サンプリングを行うものである。サンプリング部1は、入力される電圧信号vに対して、サンプリング周波数fsでN点サンプリング(Nは2の累乗であり、例えば、本実施形態では「2048」としている。)を行い、サンプリングされたN個のサンプリングデータxi(i=0,1,…,N−1)をFFT処理部2およびデータ変換部5に出力する。サンプリング周波数fsは、あらかじめ定められた値が設定されている。なお、サンプリング部1は量子化も行っており、サンプリングデータxiはデジタルデータになっている。
【0032】
FFT処理部2は、高速フーリエ変換処理を行うものである。FFT処理部2は、サンプリング部1から入力されるサンプリングデータxiに対して高速フーリエ変換処理を行い、変換結果Xkを周波数推定部3に出力する。変換結果Xkは、下記(1)式で算出される。なお、FFT処理部2の前段にローパスフィルタを設けて、高周波成分を除去するようにしてもよい。
【数4】
【0033】
周波数推定部3は、電圧信号vの基本周波数を推定するものである。周波数推定部3は、まず、FFT処理部2より入力される変換結果Xkに基づいて、スペクトルパワー|Xk|が最大となる周波数を算出する。サンプリング周波数fsでN点サンプリングを行った場合、周波数分解能f1は、f1=fs/Nとなる。また、周波数fk(=k・f1)のスペクトルパワーが|Xk|となる。k=aのときのスペクトルパワー|Xa|が最大になるとすると、この時の周波数はfa(=a・f1)である。周波数fa+1(=(a+1)・f1)のときのスペクトルパワー|Xa+1|、または、周波数fa-1(=(a−1)・f1)のときのスペクトルパワー|Xa-1|が、スペクトルパワー|Xa|の次に大きいものとなる。周波数推定部3は、最大のスペクトルパワー|Xa|と、次に大きいスペクトルパワー|Xa+1|(または、スペクトルパワー|Xa-1|)とに基づいて、電圧信号vの基本周波数finを推定する。
【0034】
図2は、基本周波数finの推定方法を説明するための図であり、各周波数のスペクトルパワーを示している。
【0035】
同図(a)は、|Xa+1|≧|Xa-1|の場合を示している。この場合、基本周波数finは、周波数fa(=a・f1)と周波数fa+1(=(a+1)・f1)の間の周波数faに近い値になる。つまり、基本周波数finの位置に表れるべきスペクトルパワー(同図において破線で示している。)が、周波数faと周波数fa+1の位置に分散されて表れている。基本周波数finが周波数faに近いほど、スペクトルパワー|Xa|は大きくなり、スペクトルパワー|Xa+1|は小さくなる。したがって、スペクトルパワー|Xa|とスペクトルパワー|Xa+1|とから、基本周波数finと周波数faとの差を求めることができる。本実施形態では、当該差をΔk・f1とする補正量Δkを定義し、スペクトルパワー|Xa|に対するスペクトルパワー|Xa+1|の比率であるスペクトルパワー比R(=|Xa+1|/|Xa|)から、補正量Δkを算出している。
【0036】
図3は、スペクトルパワー比Rと補正量Δkの関係を説明するための図である。
【0037】
同図は、電圧信号vの基本周波数を13.56MHz付近で変化させた時のスペクトルパワー比Rと補正量Δkの関係を示している。具体的には、補正量Δkを0.01ずつ変化させてスペクトルパワー比Rを算出してテーブル化し、線形補完により補完したものである。周波数推定部3は、当該テーブル(以下では、「変換テーブル」とする。)に基づいて、スペクトルパワー比Rから補正量Δkを線形補完して算出し、リサンプリング周波数算出部4に出力する。
【0038】
|Xa+1|<|Xa-1|の場合、図2(b)に示すように、基本周波数finは、周波数fa-1(=(a−1)・f1)と周波数fa(=a・f1)との間の周波数faに近い値になる。つまり、基本周波数finの位置に表れるべきスペクトルパワー(同図において破線で示している。)が、周波数fa-1と周波数faの位置に分散されて表れている。基本周波数finが周波数faに近いほど、スペクトルパワー|Xa|は大きくなり、スペクトルパワー|Xa-1|は小さくなる。したがって、スペクトルパワー|Xa|とスペクトルパワー|Xa-1|とから、基本周波数finと周波数faとの差(Δk・f1)を算出することができる。この場合のスペクトルパワー比R(=|Xa-1|/|Xa|)と補正量Δkの関係は、図3と同様になるので、周波数推定部3は、同じ変換テーブルを用いて、スペクトルパワー比Rから補正量Δkを線形補完して算出する。
【0039】
周波数推定部3は、入力されうる電圧信号vの基本周波数毎に変換テーブルを記録している。なお、いずれの周波数であっても、スペクトルパワー比Rと補正量Δkの関係は同様であり、図3と同様の、上に凸の形状の曲線となるので、同じ変換テーブルを用いるようにしてもよい。また、スペクトルパワー比Rと補正量Δkの関係を、図3の破線で示す直線で近似させて、単純な計算式(Δk=0.5R)で補正量Δkを算出するようにしてもよい。これらの場合、補正量Δkの精度は悪くなるが、変換テーブルのための記憶容量を削減することができる。また、他の計算方法で補正量Δkを算出するようにしてもよい。また、スペクトルパワー比Rを用いるのでなく、スペクトルパワー|Xa|とスペクトルパワー|Xa+1|(または、スペクトルパワー|Xa-1|)との差を用いて補正量Δkを算出するようにしてもよい。
【0040】
周波数推定部3で推定された基本周波数fin(以下では、「推定周波数fin」とする。)は、補正量Δkから、下記(2)式のようになる。周波数推定部3は、算出された補正量Δkをリサンプリング周波数算出部4に出力する。
【数5】
【0041】
図1に戻って、リサンプリング周波数算出部4は、推定周波数finに対応したサンプリング周波数であるリサンプリング周波数frを算出するものである。リサンプリング周波数算出部4は、周波数推定部3から入力される補正量Δkに基づいてリサンプリング周波数frを算出し、データ変換部5に出力する。周波数推定部3からリサンプリング周波数算出部4には、aの値および|Xa+1|と|Xa-1|のどちらが大きいかを示す情報も入力される。
【0042】
推定周波数finがリサンプリング周波数frの分解能の整数倍であれば、電圧信号vをリサンプリング周波数frでサンプリングしたサンプリングデータをFFT処理することで、推定周波数finについての変換結果を出力することができる。本実施形態では、リサンプリング周波数frをサンプリング周波数fsより大きく、できるだけ近いものとするために、下記(3)式によって、リサンプリング周波数frを算出している。なお、リサンプリング周波数frの算出方法はこれに限られない。例えば、下記(3)式の分母を、それぞれ「a」、「a−1」、「a+1」や、その他の整数にしてもよい。
【数6】
【0043】
なお、上記(2)、(3)式より、frは、下記(4)式で表すことができる。したがって、周波数推定部3から補正量Δkを入力する代わりに、上記(2)式に基づいて算出された推定周波数finを入力し、下記(4)式に基づいてリサンプリング周波数frを算出するようにしてもよい。
【数7】
【0044】
データ変換部5は、サンプリングデータの変換を行うものである。データ変換部5は、サンプリング部1より入力される、サンプリング周波数fsでサンプリングされたサンプリングデータxi(i=0,1,…,N−1)を、リサンプリング周波数frでサンプリングした場合のリサンプリングデータrn(n=0,1,…,N−1)に変換する。具体的には、データ変換部5は、サンプリング部1より入力されるサンプリングデータxi(i=0,1,…,N−1)、リサンプリング周波数算出部4より入力されるリサンプリング周波数fr、およびあらかじめ設定されているサンプリング周波数fsに基づいて、sinc関数の性質を利用した下記(5)式によって、リサンプリングデータrn(n=0,1,…,N−1)を算出している。
【数8】
【0045】
上記(5)式の算出方法について、以下に説明する。
【0046】
f(t)をフーリエ変換する式は下記(6)式となり、F(ω)をフーリエ逆変換する式は下記(7)式となる。
【数9】
【0047】
上記(7)式に上記(6)式を代入すると、
【数10】
【0048】
上記(8)式を離散表示に書き直すと、下記(9)式になる。下記(9)式は、サンプリングされた離散データf(k)がデルタ関数の畳み込みを用いてf(t)が再生されることを意味している。つまり、サンプリングされた離散データf(k)を用いて、任意の時間の補間値を表すことができる。
【数11】
【0049】
なお、サンプリング関数として、デルタ関数δ(t)の近似関数であるSinc関数を用いることができる。
【0050】
連続波形f(t)の周波数スペクトルがW[Hz]以下に制限されている場合、サンプリング定理より、1/(2W)秒ごとにサンプリングしたf(t)の値の列により完全に表される。したがって、上記(9)式より、サンプリング関数をSinc関数として定義すると、下記(10)式で表される。
【数12】
【0051】
上記(10)式の導出の方法を、以下に説明する。
【0052】
f(t)を時間間隔Tごとにサンプリングしたfs(t)は、下記(11)式で表される。
【数13】
【0053】
重畳積分定理の公式である下記(12)式の関係を参照して、上記(11)式のfs(t)をフーリエ変換すると、Fs(ω)は下記(13)のようになる。
【数14】
【数15】
【0054】
s(ω)は、区間(−ω0/2〜ω0/2)で、(1/T)F(ω)に等しい周期関数である。f(t)の周波数帯域が(−W〜W)[Hz]に制限されていることに注意すると、下記(14)式に示す方形窓関数Pωc(ω)を用いることで、2πW=ωcとして、下記(15)式の関係が得られる。
【数16】
【0055】
上記(15)式にフーリエ逆変換を行うと、上記(12)式の重畳積分定理の公式を参照して、f(t)は下記(16)式のようになる。
【数17】
【0056】
ここで、以下のように、フーリエ変換対を算出することができる。
【数18】
【数19】
【0057】
上記(16)式は、上記(17)式のフーリエ変換対を用いると、ωc=2πW、T=1/(2W)より、下記(18)式となる。
【数20】
【0058】
以上のように、離散的なデータとSinc関数を用いることで、任意の時間のデータを復元することができる。
【0059】
上記(18)式(上記(10)式)において、2W=fs、任意の時間t=(1/fr)iより、下記(19)式となる。なお、Sinc関数は偶関数なのでSinc(x)=Sinc(−x)である。
【数21】
【0060】
上記(19)式より、離散的なデータf(n/fs)をサンプリングデータxi(i=0,1,…,N−1)とすると、リサンプリングデータrn(n=0,1,…,N−1)は、上記(5)式で算出することができる。
【0061】
なお、上記(3)式より、fs/fr=a/(a+Δk)(または、a/(a−Δk))なので、上記(5)式はaとΔkとで表すことができる。したがって、リサンプリング周波数算出部4からリサンプリング周波数frを入力する代わりに、周波数推定部3から補正量Δk、aの値、および|Xa+1|と|Xa-1|のどちらが大きいかを示す情報を入力して、リサンプリングデータrnを算出するようにしてもよい。
【0062】
図4は、サンプリングデータxiと、サンプリングデータxiをデータ変換部5で変換したリサンプリングデータrnとを説明するための図である。
【0063】
同図において、ひし形で表している点は、正弦波信号を所定のサンプリング周波数fsでサンプリングしたサンプリングデータxi(i=0,1,…,N−1)を示している。サンプリングデータxiに基づいて、FFT処理部2、周波数推定部3、およびリサンプリング周波数算出部4によって、リサンプリング周波数frが算出される。正方形で表している点は、リサンプリング周波数frに基づいてデータ変換部5で変換されたリサンプリングデータrn(n=0,1,…,N−1)を示している。リサンプリングデータrnもサンプリングデータxiと同じ正弦波上に位置している。また、リサンプリング周波数frがサンプリング周波数fsより大きいので、リサンプリングデータrnの間隔がサンプリングデータxiの間隔より狭くなっている。
【0064】
図1に戻って、FFT処理部6は、高速フーリエ変換処理を行うものである。FFT処理部6は、データ変換部5から入力されるリサンプリングデータrnに対して高速フーリエ変換処理を行い、変換結果Rk(k=0,1,…,N/2−1)を演算部7に出力する。変換結果Rkは、下記(20)式で算出される。
【数22】
【0065】
演算部7は、電圧信号vの基本波成分の振幅および位相を演算するものである。演算部7は、FFT処理部6より入力される変換結果Rkに基づいて、スペクトルパワー|Rk|が最大のものを検出する。リサンプリング周波数frが上記(3)式の第1式(すなわち、|Xa+1|≧|Xa-1|の場合)で算出された場合は、k=aのときのスペクトルパワー|Ra|が最大になるので、演算部7は、変換結果Raに基づいて電圧信号vの基本波成分の振幅および位相を演算して出力する。振幅は|Ra|に基づいて算出され、位相θはRaの実部であるRe(Ra)と虚部であるIm(Ra)とから、下記(21)式により算出される。
【数23】
【0066】
一方、リサンプリング周波数frが上記(3)式の第2式(すなわち、|Xa+1|<|Xa-1|の場合)で算出された場合は、k=a−1のときのスペクトルパワー|Ra-1|が最大になるので、演算部7は、変換結果Ra-1に基づいて電圧信号vの基本波成分の振幅および位相を演算して出力する。
【0067】
図5は、電圧信号処理装置Aを備える高周波測定装置を説明するための図である。同図に示す高周波測定装置は、電圧信号処理装置A、電流信号処理装置B、高周波検出装置C、演算装置Dを備えている。
【0068】
高周波検出装置Cは、高周波電力が伝送される伝送線路Eに配置されて、伝送線路Eを流れる高周波電流と伝送線路Eに生じる高周波電圧とを検出するものである。高周波検出装置Cは、検出したアナログ信号である電圧信号vを電圧信号処理装置Aに出力し、検出したアナログ信号である電流信号iを電流信号処理装置Bに出力する。電流信号処理装置Bは、高周波検出装置Cから電流信号iを入力され、当該電流信号iの基本波成分の振幅および位相を演算する。電流信号処理装置Bの構成は電圧信号処理装置A(図1参照)と同様である。演算装置Dは、電圧信号処理装置Aが算出した電圧信号vの基本波成分の振幅および位相と、電流信号処理装置Bが算出した電流信号iの基本波成分の振幅および位相とから、各種高周波パラメータを算出する。
【0069】
本実施形態において、データ変換部5から出力されるリサンプリングデータrn(n=0,1,…,N−1)は、リサンプリング周波数frでサンプリングした場合のサンプリングデータになっている。推定周波数fin(電圧信号vの基本周波数を推定したもの)はリサンプリング周波数frの分解能の整数倍になっているので、FFT処理部6が出力する変換結果Rk(k=0,1,…,N/2−1)には、推定周波数finのものが含まれている。したがって、演算部7は、電圧信号vの基本波成分の振幅および位相を正確に算出することができる。
【0070】
図6は、電圧信号処理装置Aに電圧信号vを入力したシミュレーション結果を説明するためのものである。
【0071】
周波数13.56MHzの電圧信号vを、位相を30°ずつずらして、サンプリング部1に入力した。サンプリング周波数fs=125MHz、サンプリング点数N=2048としている。同図中央の欄は、周波数推定部3で推定された推定周波数finおよび演算部7で算出された位相θを記載しており、同図右側の欄は、実際の値(同図左側の欄)との誤差を記載している。同図に示すように、周波数の誤差は最大で40Hz程度であり、位相の誤差は最大で0.12°程度であった。十分実用的な値を算出することができている。
【0072】
なお、本実施形態においては、周波数推定部3がスペクトルパワー比Rと変換テーブルを用いて補正量Δkを算出する場合について説明したが、これに限られず、他の方法で補正量Δkを算出するようにしてもよい。周波数推定部3が計算式を用いて補正量Δkを算出する実施例について、以下に説明する。
【0073】
この場合も、周波数推定部3は、FFT処理部2より入力される変換結果Xkに基づいて、最大のスペクトルパワー|Xa|と、次に大きいスペクトルパワー|Xa+1|(または、スペクトルパワー|Xa-1|)とを検出する。以下では、スペクトルパワー|Xk|をskと記載する。
【0074】
本実施形態では、サンプリングデータxiに特別な窓関数を乗算していないので、下記(22)式に示す方形波を窓関数として乗算していることになる。
【数24】
【0075】
上記(22)式をフーリエ変換すると下記(23)式になり、さらにω=2πfとすると、下記(24)式になる。なお、f=0のときに最大値が「1」になるように正規化している。
【数25】
【0076】
基本周波数finからの周波数偏移量を正規化したものをδとすると、これに対応する周波数スペクトルのスペクトルパワーを正規化したS(δ)は、下記(25)式で表せる。基本周波数finのときにδ=0となり、このときS(0)=1で最大になる。
【数26】
【0077】
最大のスペクトルパワーがsaで、次に大きいスペクトルパワーがsa+1の場合(sa+1≧sa-1)、δ=−Δkのときが周波数faに対応し、S(−Δk)がsaを正規化したものになる(図7(a)参照)。また、δ=1−Δkのときが周波数fa+1に対応し、S(1−Δk)がsa+1を正規化したものになる。なお、lは正規化するための定数である。したがって、上記(25)式より下記(26)、(27)式が導かれ、下記(28)式が導かれる。
【数27】
【0078】
最大のスペクトルパワーがsaで、次に大きいスペクトルパワーがsa-1の場合(sa+1<sa-1)、δ=Δkのときが周波数faに対応し、S(Δk)がsaを正規化したものになる(図7(b)参照)。また、δ=Δk−1のときが周波数fa-1に対応し、S(Δk−1)がsa-1を正規化したものになる。したがって、上記(25)式より下記(29)、(30)式が導かれ、下記(31)式が導かれる。
【数28】
【0079】
周波数推定部3は、sa+1≧sa-1の場合には上記(28)式を用いて、sa+1<sa-1の場合には上記(31)式を用いて、補整量Δkを算出する。なお、基本周波数finは、上記(2)式より算出することができる。
【0080】
また、上記第1実施形態においては、周波数推定部3で推定周波数finを推定したが、これに限られず、他の方法で推定周波数finを検出するようにしてもよい。他の方法で推定周波数finを検出する場合を第2実施形態として、以下に説明する。
【0081】
図8は、第2実施形態に係る周波数解析装置を説明するための機能ブロック図である。同図において、第1実施形態に係る電圧信号処理装置A(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。図8に示すように、電圧信号処理装置A1は、電圧信号vから推定周波数finを検出する点で、第1実施形態に係る電圧信号処理装置Aと異なる。
【0082】
周波数検出部8は、入力される信号の基本周波数を検出するものである。周波数検出部8は、電圧信号vを入力され、当該電圧信号vの基本周波数である推定周波数finを検出し、検出した推定周波数finをリサンプリング周波数算出部4’に出力する。周波数検出方法は、従来からある検出方法を用いればよく、交流信号がゼロレベルを交差する点間のパルスをカウントし、そのカウント値の逆数を取って周波数を求める「ゼロクロス点間カウント法」であってもよいし、PLL(Phase Locked Loop)を利用した方法であってもよい。周波数検出部8による周波数検出は、サンプリング部1によるサンプリングと同じタイミングで行う。なお、電圧信号処理装置A1に周波数検出部8を設けるのではなく、電圧信号処理装置A1の外部にある周波数検出装置で電圧信号vの基本周波数を検出して、リサンプリング周波数算出部4’に入力するようにしてもよい。
【0083】
リサンプリング周波数算出部4’は、周波数検出部8から推定周波数finを入力されてリサンプリング周波数frを算出する。リサンプリング周波数算出部4’は、上記(4)式を用いて、リサンプリング周波数frを算出する。分母の「a」には、推定周波数finを周波数分解能f1(=fs/N)で割った値に近い整数を用いるようにすればよい。
【0084】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、推定周波数finに対応したリサンプリング周波数frが算出され、データ変換部5から出力されるリサンプリングデータrn(n=0,1,…,N−1)がリサンプリング周波数frでサンプリングした場合のサンプリングデータになる。したがって、第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0085】
なお、上記第1および第2実施形態においては、データ変換部5がサンプリング部1より入力されるサンプリングデータxiをリサンプリングデータrnに変換する場合について説明したが、これに限られない。例えば、サンプリング部1がリサンプリング周波数算出部4(4’)で算出されたリサンプリング周波数frでサンプリングを行うようにして、データ変換部5を設けないようにしてもよい。ただし、サンプリング部1がリサンプリング周波数算出部4(4’)で算出されるリサンプリング周波数frに対応できるように、クロック周波数を相当高くする必要がある。クロック周波数に応じてリサンプリング周波数frの精度を下げると、演算部7の演算結果の精度も下がる。データ変換部5を用いれば、サンプリング部1の性能に関係なく、適切なリサンプリングデータrnを生成することができる。
【0086】
また、上記第1および第2実施形態においては、本発明に係る周波数解析装置を電圧信号処理装置に用いた場合について説明したが、これに限られない。本発明に係る周波数解析装置は、あらゆる交流信号の周波数解析を行う場合にも、用いることができる。例えば、電圧信号処理装置A(図1参照)において、演算部7で振幅および位相を演算する代わりに、FFT処理部6が出力する変換結果Rk(k=0,1,…,N/2−1)をスペクトルとして表示するようにしてもよい。
【0087】
また、上記第1および第2実施形態においては、電圧信号処理装置A(A1)が電圧信号vの基本波成分の振幅および位相を演算する場合について説明したが、これに限られない。電圧信号処理装置A(A1)が電圧信号vの高調波成分の振幅および位相を演算するようにしてもよい。
【0088】
例えば、第n高調波成分の振幅および位相を演算する場合には、演算部7が、FFT処理部6より入力される変換結果Rkのうち、基本周波数のn倍の周波数成分に対応するものを用いて演算を行うようにすればよい。すなわち、リサンプリング周波数frが上記(3)式の第1式(すなわち、|Xa+1|≧|Xa-1|の場合)で算出された場合は、k=aのときのスペクトルパワー|Ra|が最大になり、この時の周波数が基本周波数である。したがって、演算部7は、変換結果Rnaに基づいて演算を行うようにすればよい。具体的には、|Rna|に基づいて振幅を算出し、上記(21)式において「Ra」を「Rna」に代えて位相θを算出する。一方、リサンプリング周波数frが上記(3)式の第2式(すなわち、|Xa+1|<|Xa-1|の場合)で算出された場合は、k=a−1のときのスペクトルパワー|Ra-1|が最大になり、この時の周波数が基本周波数である。したがって、演算部7は、変換結果Rn(a-1)に基づいて演算を行うようにすればよい。具体的には、|Rn(a-1)|に基づいて振幅を算出し、上記(21)式において「Ra」を「Rn(a-1)」に代えて位相θを算出する。
【0089】
上述した演算部7の演算処理のみで高調波成分の振幅および位相を演算する場合、周波数推定部3(周波数検出部8)で推定された基本周波数に誤差があると、高次の高調波成分の演算結果の精度が悪くなってしまう。したがって、周波数推定部3がFFT処理部2より入力される変換結果Xkのうち高調波成分に対応する周波数帯域のものだけを用いて補正量Δkを算出するようにしてもよい(第1実施形態の場合)。この場合、補正量Δkが高調波周波数に対するものであり、これに基づいたリサンプリングデータrnに変換されるので、演算部7での演算結果の精度が良くなる。なお、FFT処理部2の前段にバンドパスフィルタを設けて、高調波成分のみをFFT処理部2に入力するようにしてもよい。なお、第2実施形態の場合は、周波数検出部8が基本周波数の代わりに高調波周波数を検出して、推定周波数finとしてリサンプリング周波数算出部4’に出力すればよい。
【0090】
次に、基本波成分の振幅および位相と高調波成分の振幅および位相とをそれぞれ演算することができる電圧信号処理装置を、第3実施形態として以下に説明する。
【0091】
図9は、第3実施形態に係る周波数解析装置を説明するための機能ブロック図である。同図において、第1実施形態に係る電圧信号処理装置A(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。図9に示すように、電圧信号処理装置A2は、高調波成分の振幅および位相を演算する構成(同図において破線で囲った構成であるリサンプリング周波数算出部4”、データ変換部5’、FFT処理部6’、および、演算部7’)が追加されている点と、周波数推定部3’が2種類の補正量ΔkとΔk’とを切り替えて出力する点で、第1実施形態に係る電圧信号処理装置Aと異なる。
【0092】
周波数推定部3’は、変換結果Xkを用いて基本周波数に対する補正量Δkを算出し、リサンプリング周波数算出部4に出力する状態と、変換結果Xkのうち高調波成分に対応する周波数帯域のものだけを用いて高調波周波数に対する補正量Δk’を算出し、リサンプリング周波数算出部4”に出力する状態とを切り替える。なお、FFT処理部2の前段にフィルタを設けて、ローパスフィルタとして基本周波数成分のみを通過させる状態と、バンドパスフィルタとして高調波成分のみを通過させる状態とを切り替えるようにしてもよい。
【0093】
リサンプリング周波数算出部4”、データ変換部5’、FFT処理部6’、および、演算部7’は、それぞれリサンプリング周波数算出部4、データ変換部5、FFT処理部6、および、演算部7と同様の機能ブロックである。リサンプリング周波数算出部4”は、周波数推定部3’より入力される補正量Δk’に基づいて、リサンプリング周波数fr’を算出する。リサンプリング周波数算出部4”は、周波数推定部3’より補正量Δk’が入力されていない間(周波数推定部3’がリサンプリング周波数算出部4に補正量Δkを入力している間)は、保持しておいた直前のリサンプリング周波数fr’を出力する(リサンプリング周波数算出部4も同様)。データ変換部5’はリサンプリング周波数fr’に基づいて変換したリサンプリングデータrn’を出力し、FFT処理部6’はリサンプリングデータrn’に対して高速フーリエ変換処理を行って変換結果Rk’を出力し、演算部7’は変換結果Rk’に基づいて高調波成分の振幅および位相を演算する。
【0094】
基本波成分の他に複数の高調波成分(例えば、第3高調波と第5高調波など)の処理を行う場合は、図9に示す破線で囲った構成を必要な数だけ設け、周波数推定部3’が各高調波周波数に対する補正量Δk’をそれぞれ算出して、切り替えて出力するようにすればよい。
【0095】
上記第3実施形態の場合、周波数推定部3’が補正量Δkと補正量Δk’とを交互に算出して出力を切り替えるので、リサンプリング周波数frおよびリサンプリング周波数fr’がそれぞれ固定されている期間がある。電圧信号vの周波数が変動する場合、この固定期間での演算結果の精度は悪くなる。補正量Δkと補正量Δk’とを同時に算出することができる電圧信号処理装置を、第4実施形態として以下に説明する。
【0096】
図10は、第4実施形態に係る周波数解析装置を説明するための機能ブロック図である。同図において、第1実施形態に係る電圧信号処理装置A(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。図10に示すように、電圧信号処理装置A3は、高調波成分の振幅および位相を演算する構成(同図において破線で囲った構成であるFFT処理部2’、周波数推定部3”、リサンプリング周波数算出部4”、データ変換部5’、FFT処理部6’、および、演算部7’)が追加されている点で、第1実施形態に係る電圧信号処理装置Aと異なる。
【0097】
FFT処理部2’、周波数推定部3”、リサンプリング周波数算出部4”、データ変換部5’、FFT処理部6’、および、演算部7’は、それぞれFFT処理部2、周波数推定部3、リサンプリング周波数算出部4、データ変換部5、FFT処理部6、および、演算部7と同様の機能ブロックである。FFT処理部2’は、サンプリング部1から入力されるサンプリングデータxiに対して高速フーリエ変換処理を行い、変換結果Xk’を周波数推定部3”に出力する。周波数推定部3”は、変換結果Xk’のうち高調波成分に対応する周波数帯域のものだけを用いて高調波周波数に対する補正量Δk’を算出し、リサンプリング周波数算出部4”に出力する。リサンプリング周波数算出部4”は、周波数推定部3”より入力される補正量Δk’に基づいて、リサンプリング周波数fr’を算出する。データ変換部5’はリサンプリング周波数fr’に基づいて変換したリサンプリングデータrn’を出力し、FFT処理部6’はリサンプリングデータrn’に対して高速フーリエ変換処理を行いって変換結果Rk’を出力し、演算部7’は変換結果Rk’に基づいて高調波成分の振幅および位相を演算する。
【0098】
なお、FFT処理部2の前段にローパスフィルタを設け、基本周波数成分のみを通過させるようにし、FFT処理部2’の前段にバンドパスフィルタを設け、高調波成分のみを通過させるようにしてもよい。
【0099】
基本波成分の他に複数の高調波成分(例えば、第3高調波と第5高調波など)の処理を行う場合は、図10に示す破線で囲った構成を必要な数だけ設ければよい。
【0100】
本発明に係る周波数解析装置、当該周波数解析装置を用いた信号処理装置、および、当該信号処理装置を用いた高周波測定装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る周波数解析装置、当該周波数解析装置を用いた信号処理装置、および、当該信号処理装置を用いた高周波測定装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0101】
A,A1,A2,A3 電圧信号処理装置
1 サンプリング部
2 FFT処理部
3,3’,3” 周波数推定部
4,4’,4” リサンプリング周波数算出部
5,5’ データ変換部
6,6’ FFT処理部
7,7’ 演算部
8 周波数検出部
B 電流信号処理装置
C 高周波検出装置
D 演算装置
E 伝送線路
図1
図2
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図5
図6
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図9
図10
図11