特許第6173740号(P6173740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メディカルシステムズ株式会社の特許一覧

特許6173740医用システムおよび医用辞書情報管理方法
<>
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000002
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000003
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000004
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000005
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000006
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000007
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000008
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000009
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000010
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000011
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000012
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000013
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000014
  • 特許6173740-医用システムおよび医用辞書情報管理方法 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173740
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】医用システムおよび医用辞書情報管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/24 20120101AFI20170724BHJP
   G06F 17/22 20060101ALI20170724BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   G06Q50/24
   G06F17/22 623
   A61B5/00 G
【請求項の数】14
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2013-69801(P2013-69801)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-191815(P2014-191815A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年1月6日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000866
【氏名又は名称】特許業務法人三澤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 真人
(72)【発明者】
【氏名】二見 光
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−175863(JP,A)
【文献】 特開2001−325252(JP,A)
【文献】 特開2000−115331(JP,A)
【文献】 特開2010−092368(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0040576(US,A1)
【文献】 ジャストシステム ATOK15 for Windows,PCfan,株式会社毎日コミュニケーションズ,2001年11月29日,Vol.8 No.32,pp.30-31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
A61B 5/00
G06F 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サーバ、第2サーバ、第1コンピュータ端末および第2コンピュータ端末が相互に通信可能な医用システムであって、
前記第1コンピュータ端末または前記第2サーバに設けられ、かつユーザ識別情報または用途識別情報を含む属性情報に関連付けられた医用辞書情報を複数種類記憶し、かつ前記第1サーバと通信可能な医用辞書記憶部を備え
記第1サーバは、
前記属性情報を受信したときに、前記属性情報に関連付けられた前記医用辞書情報を前記第1コンピュータ端末または前記第2サーバに設けられた前記医用辞書記憶部から取得する医用辞書情報取得部を有し、
前記第2コンピュータ端末は、
前記医用辞書記憶部に記憶された前記医用辞書情報を使用するアプリケーションと前記第1サーバから受けた医用辞書情報を含む複数種類の辞書情報とを記憶する端末側記憶部と、
前記属性情報を入力するための入力部と、
前記アプリケーションの実行時において前記入力部から入力を受けると、前記複数種類の医用辞書情報に基づく前記入力についての変換候補それぞれを並列表示させる表示部とを有すること、
を特徴とする医用システム。
【請求項2】
第1サーバ、第2サーバ、第1コンピュータ端末および第2コンピュータ端末が相互に通信可能な医用システムであって、
前記第1コンピュータ端末または前記第2サーバに設けられ、かつユーザ識別情報または用途識別情報を含む属性情報に関連付けられた医用辞書情報を複数種類記憶し、かつ前記第1サーバと通信可能な医用辞書記憶部を備え、
前記医用辞書情報には、入力に対応する複数の変換候補、医用辞書内での前記変換候補それぞれの優先度を示す第1優先度情報が含まれ、また、前記複数種類の医用辞書情報それぞれには、各医用辞書情報の優先度を規定する第2優先度情報が関連付けられており、
前記第1サーバは、
前記属性情報を受信したときに、前記属性情報に関連付けられた前記医用辞書情報を前記第1コンピュータ端末または前記第2サーバに設けられた前記医用辞書記憶部から取得する医用辞書情報取得部を有し、
前記第2コンピュータ端末は、
表示部と、属性情報を入力するための入力部とを有し、
前記医用辞書情報を使用するアプリケーションの実行時において前記入力部から入力を受けると、前記変換候補それぞれを、前記第1優先度情報にしたがった優先度順に前記表示部に表示させ、或いは、前記第2優先度情報にしたがった優先度順に並列して前記変換候補を前記医用辞書情報ごとに区別して前記表示部に表示させ、
を特徴とする医用システム。
【請求項3】
前記ユーザ識別情報は、ユーザ個人の識別情報、ユーザの所属先識別情報、または端末で使用するオペレーティングシステムのアカウント情報であること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の医用システム。
【請求項4】
前記用途識別情報は、前記医用辞書情報を使用するアプリケーションの識別情報または端末で使用するオペレーティングシステムのアカウント情報であること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の医用システム。
【請求項5】
前記第1コンピュータ端末は、ユーザの所属先に配置され、かつ前記第2コンピュータ端末は該所属先でない他の場所に配置され、
前記第1サーバは、前記第1コンピュータ端末から前記属性情報と関連付けられた新規の前記医用辞書情報、または前記属性情報と関連付けられた前記医用辞書情報の更新情報を受け、かつ
前記医用辞書記憶部に新規の前記医用辞書情報を記憶させ、あるいは前記更新情報に基づき前記医用辞書記憶部に記憶された前記医用辞書情報を更新すること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の医用システム。
【請求項6】
前記第1サーバは、前記第2コンピュータ端末から前記属性情報と関連付けられた前記医用辞書情報の更新情報を受け、かつ
前記更新情報に基づき前記医用辞書記憶部に記憶された前記医用辞書情報を更新すること、
を特徴とする請求項5に記載の医用システム。
【請求項7】
前記第1サーバは、前記属性情報に関連付けられた前記医用辞書情報、または前記医用辞書情報の更新情報を前記第2コンピュータ端末に送信させること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の医用システム。
【請求項8】
前記医用辞書記憶部は、前記医用辞書情報と、前記属性情報とを関連付けるデータベースを記憶すること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医用システム。
【請求項9】
前記医用辞書記憶部は複数種類の医用辞書情報を記憶し、
前記医用辞書情報取得部は、前記属性情報に基づき前記複数種類の医用辞書情報の全部または一部を取得すること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の医用システム。
【請求項10】
前記第2コンピュータ端末は、前記第2優先度情報における優先度が高い医用辞書情報の変換候補とともに、該優先度が低い医用辞書の変換候補を表示させること、
を特徴とする請求項2に記載の医用システム。
【請求項11】
前記属性情報には前記用途識別情報が含まれ、
前記第2コンピュータ端末は、前記医用辞書情報と、該医用辞書情報に関連付けられた前記用途識別情報を受け、かつ該用途識別情報に関連づけられた医用辞書情報を、該用途識別情報に対応する用途にのみ使用する制御を行うこと、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の医用システム。
【請求項12】
前記用途識別情報には、前記医用辞書情報を使用するアプリケーションの識別情報が含まれ、
前記第2コンピュータ端末は、前記医用辞書情報と、該医用辞書情報に関連付けられた前記アプリケーションの識別情報を受け、かつ前記医用辞書情報を、関連付けられた前記アプリケーションの識別情報に対応するアプリケーションを実行するときにのみ読み出す制御を行うこと、
を特徴とする請求項11に記載の医用システム。
【請求項13】
相互に通信可能な第1サーバ及び第2サーバと、
第1コンピュータ端末および第2コンピュータ端末と、
前記第1コンピュータ端末または前記第2サーバに設けられ、かつユーザ識別情報または用途識別情報を含む属性情報に関連付けられた医用辞書情報を複数記憶し、前記第1サーバと通信可能な医用辞書記憶部と、
を含む医用システムにおける医用辞書情報管理方法であって、
前記第2コンピュータ端末から、ユーザ識別情報または用途識別情報を含む属性情報を前記第1サーバにより受信する属性情報受信ステップと、
前記第1サーバが属性情報を受信したときに、当該属性情報に関連付けられた医用辞書情報を前記第1コンピュータ端末または前記第2サーバに設けられた前記医用辞書記憶部から取得する医用辞書情報取得ステップと、
前記第1サーバが、前記取得された医用辞書情報に基づく情報を前記第2コンピュータ端末に向けて送信する制御を行う辞書情報送信ステップと、
前記第2コンピュータ端末は、アプリケーションの実行時において入力部から入力を受けると、前記第1サーバから受信した前記医用辞書情報に基づく前記入力についての変換候補それぞれを並列表示させるステップと、
を有すること、
を特徴とする医用辞書情報管理方法。
【請求項14】
サーバと、第1コンピュータ端末および第2コンピュータ端末とが相互に通信可能な医用システムであって、
前記第1コンピュータ端末に設けられ、かつユーザ識別情報または用途識別情報を含む属性情報に関連付けられた医用辞書情報を複数種類記憶し、かつ前記サーバと通信可能な医用辞書記憶部を備え
記サーバは、
前記属性情報を受信したときに、前記属性情報に関連付けられた前記医用辞書情報を前記第1コンピュータ端末に設けられた前記医用辞書記憶部から取得する医用辞書情報取得部を有し、
取得された前記医用辞書情報に基づく情報を前記第2コンピュータ端末に向けて送信
前記第2コンピュータ端末は、
前記医用辞書記憶部に記憶された前記医用辞書情報を使用するアプリケーションと、前記サーバから受けた医用辞書情報を含む複数種類の辞書情報とを記憶する端末側記憶部と、
前記属性情報を入力するための入力部と、
前記アプリケーションの実行時において前記入力部から入力を受けると、前記複数種類の医用辞書情報に基づく前記入力についての変換候補それぞれを並列表示させる表示部と、を有し、
前記入力部を介して入力された属性情報を前記サーバに向けて送信すること、
を特徴とする医用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用辞書情報を管理する医用システム、医用サーバおよび医用辞書情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関における文書等を作成するために文書作成ソフトウェアが利用されている。その文書作成ソフトウェアにおいて、入力された文字列(以下、「変換前文字列」と記載する)をあらかじめ登録された他の文字列(以下、「変換後文字列」と記載する)に変換するための辞書データが利用される(特許文献1等参照)。
【0003】
医療機関における文書を作成する場合、一般に使用される文書作成ソフトウェアの辞書データの他、医療機関の文書の作成に適した辞書データが利用される(以下、「医用辞書データ」と記載する)。例えば、読影レポートを作成するための医用辞書データや、医療会計に関する文書を作成するための医用辞書データ等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−012257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療機関の職務の従事者は、自己の所属科(所属部門)以外の他の科の職務に従事することがある。また、当該従事者は、他の医療機関(系列病院等)の職務に従事することがある。この場合、当該従事者は通常使用する端末以外の他の端末を使用することになる。ただし、当該他の端末には、当該従事者が通常使用している医用辞書データが記憶されていないため、当該他の端末において文書作成ソフトウェアを使用することになる。
【0006】
医療機関の文書の作成に適した辞書データが使用できないと、入力文字列に対して適切な変換候補が示されないことによって当該文書の作成効率が低下するおそれがある。
【0007】
また、異なる医療機関の間、あるいは異なる診療科の間で、異なる医用辞書データを使用することは、同一の内容について多様な表現で記載することにつながる。結果として、表現を統一的にすべき文書において、表現のばらつきを招来するおそれがある。
【0008】
また、異なる医療機関、あるいは異なる診療科のすべての端末において、同一の医用辞書データを登録、または更新する作業は煩雑である。
【0009】
この実施形態は、医療機関における異なる文書作成用端末の間で効率的に医用辞書データを共有することが可能な医用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施態様は、第1サーバ、第2サーバ、第1コンピュータ端末および第2コンピュータ端末とを含み、これらが相互に通信可能な医用システムである。当該医用システムは、第1コンピュータ端末、もしくは第2サーバに設けられ、かつユーザ識別情報または用途識別情報を含む属性情報に関連付けられた医用辞書情報を複数種類記憶し、かつ第1サーバと通信可能な医用辞書記憶部をさらに備える。第1サーバは、属性情報を受信したときに、属性情報に関連付けられた医用辞書情報を医用辞書記憶部から取得する医用辞書情報取得部を備える。第2コンピュータ端末は、医用辞書記憶部に記憶された医用辞書情報を使用するアプリケーションと第1サーバから受けた医用辞書情報を含む複数種類の辞書情報とを記憶する端末側記憶部と、属性情報を入力するための入力部と、アプリケーションの実行時において入力部から入力を受けると、複数種類の辞書情報に基づく入力についての変換候補それぞれを並列表示させる表示部と、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態にかかる医用システムおよびクラウドサーバの一例を示す概略ブロック図。
図2】実施形態にかかる医用システムにおける辞書DBの辞書データの分類の一例を示す概略図。
図3】第1実施形態にかかる第2レポート端末の一例を示す概略ブロック図。
図4A】第1実施形態にかかるレポート作成画面の概要を示す概念図。
図4B】第1実施形態にかかるレポート作成画面と変換候補の表示画面の概要を示す概念図。
図5】第1実施形態にかかるクラウドサーバの動作の概略を示すフローチャート。
図6】第1実施形態にかかる第2レポート端末の動作の概略を示すフローチャート。
図7】第1実施形態にかかる第2レポート端末の動作の概略を示すフローチャート。
図8】第1実施形態にかかる第1レポート端末の一例を示す概略ブロック図。
図9】第1実施形態にかかるクラウドサーバの動作の概略を示すフローチャート。
図10】第1変形例にかかるクラウドサーバの一例を示す概略ブロック図。
図11】第1変形例にかかるクラウドサーバの動作の概略を示すフローチャート。
図12】第1変形例にかかるクラウドサーバの動作の概略を示すフローチャート。
図13】第2変形例にかかる第1レポート端末の一例を示す概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図13を参照して、第1実施形態〜第4実施形態にかかる医用システムについて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
(医用システム)
第1実施形態にかかる医用システムの全体構成について図1を参照して説明する。図1は、第1実施形態にかかる医用システム100の一例を示す概略ブロック図である。図1に示すように、医用システム100は、クラウドサーバ1、第1レポート端末20、第2レポート端末30Aおよび第3レポート端末30BがネットワークNを介して相互にデータ通信が可能に接続されて構成されている。なお、第1レポート端末20は、「第1コンピュータ端末」の一例に該当し、第2レポート端末30Aまたは第3レポート端末30Bは「第2コンピュータ端末」の一例に該当する。
【0014】
一例において医用システム100は、基幹病院と各系列病院等をVPN等の地域医療情報ネットワークで接続することにより構成される。また他の例において医用システム100は、医療機関の各診療科の各レポート端末、医療事務端末等をLAN等のネットワークで接続することにより構成されていてもよい。なお、図1においては、第1レポート端末20、第2レポート端末30Aおよび第3レポート端末30Bが示されているが、これは図示の便宜上であり、医用システム100におけるネットワークNに接続される端末数は図1の例示に限られない。
【0015】
また後述するが、一例において第1レポート端末20はユーザが医療機関の文書作成に通常使用するコンピュータ端末であって、その記憶部等には、ユーザによりカスタマイズされた文書作成用の医用辞書データが記憶されている。この医用辞書データは、ユーザが読影レポート、医用レポート等の文書を作成するにあたり、文書作成の効率向上等のためにして登録した用語等の文字列を含み、入力文字の変換に用いられるデータである。
【0016】
(クラウドサーバの全体構成)
次に第1実施形態にかかるクラウドサーバ1の全体構成について図1を参照して説明する。図1に示すように、クラウドサーバ1は、主制御部3、送受信部5、医用辞書データ記憶部7、取得部9およびインターフェース記憶部11を含んで構成されている。一例においてクラウドサーバ1は、医用システム100における情報を一括で記憶および管理する機能を有する。ただし、医用システム100における全データでなく、少なくとも医用辞書データを含んだ一部の情報のみを記憶および管理してもよい。
【0017】
<主制御部>
主制御部3は例えばCPU、ROM、RAM等で構成される。ROMには、あらかじめ制御プログラムが記憶され、CPUが当該制御プログラムを適宜RAM上に展開することにより、主制御部3として機能する。例えば、主制御部3は第2レポート端末30Aまたは第3レポート端末30Bからの医用辞書データの取得要求に応じ、その取得要求にかかる属性情報に基づき医用辞書データの取得処理を実行する。また他の例として主制御部3は、辞書データによる変換候補を表示するためのインターフェース(ウインドウ等の画面データ)にかかるデータを第2レポート端末30A等に送信する制御を行う。インターフェースは、第2レポート端末30A等における文書作成アプリケーション等の実行時に、変換候補を表示するための画面データ(表示ウインドウ等)である。なお、ウインドウとは、表示部の所定の表示領域を占める表示画面を示すものである。本実施形態にかかる主制御部3の各制御に関し、詳しくは以下に説明する。
【0018】
<送受信部>
送受信部5は、第1レポート端末20、第2レポート端末30Aおよび第3レポート端末30Bとの間で、医用辞書データおよび当該データに関連付けられた属性情報をやり取りするための通信インターフェースである。またクラウドサーバ1は、送受信部5を介して医用辞書データの更新結果データおよびそのログデータを送信する。
【0019】
<医用辞書データ記憶部の概要>
第1実施形態にかかる医用辞書データ記憶部7の概要について図2を参照して説明する。図2は、実施形態にかかる医用システムにおける辞書DBの辞書データの分類の一例を示す概略図である。医用辞書データ記憶部7は、ハードディスクドライブ(HDD;Hard Disk Drive)、Flash SSD(Solid State Drive)、RAM SSD等により構成される。医用辞書データ記憶部7は、辞書DBにより医用辞書データと属性情報とを関連付けて記憶する。なお、医用辞書データ記憶部7は、「医用辞書記憶部」の一例に該当する。
【0020】
送受信部5を介し、後述する第1レポート端末20等から、属性情報とともに、当該属性情報と関連付けられた医用辞書データを受けると、主制御部3は、属性情報が辞書DBに適合するかについて判定する。主制御部3は、判定の結果、適合すると判定した場合、医用辞書データ記憶部7に当該医用辞書データを記憶させる。さらに主制御部3は、医用辞書データ記憶部7の辞書DBに、当該医用辞書データのファイル名と各種属性情報とを関連付けて記憶させる。なお、この医用辞書データの登録や更新に関する処理(医用辞書データ登録処理)の内容は、後述する第1レポート端末20に関連して説明する。
【0021】
<辞書DB;属性情報>
図2のテーブルに示すように医用辞書データ記憶部7における辞書DBは、医用辞書データのファイル名と、その辞書データにおける各種の属性情報とを関連付けて記憶するデータベースである。属性情報は、辞書データを各種の観点から分類するものである。図2の例において属性情報を大別するとユーザ識別情報と用途識別情報に分類することができる。また、属性情報としては、ユーザ識別情報と用途識別情報の他、医用辞書データの優先度を示す第2優先度情報が含まれていてもよい。なお、医用辞書データについての詳細は後述するが、医用辞書データ内における同一(略同一も含む。以下同じ。)の入力文字に対する各変換候補の優先度を示す情報は、医用辞書データに含まれている。この医用辞書データ内における変換候補ごとの優先度について、以下、「第1優先度情報」と記載することがある。
【0022】
《属性情報;ユーザ識別情報》
このうちユーザ識別情報としては、例えば医用辞書データを作成した(または保有する(以下同様))ユーザ名もしくはユーザ個人の識別情報、または医用辞書データを作成したユーザの所属医療機関の名称もしくは識別情報等が該当する。また、ユーザ識別情報の例としては、当該所属医療機関が属する病院グループの名称または識別情報も含まれる。また、ユーザ識別情報の例としては、ユーザの所属医療機関における診療科等の所属科(所属部門)名または識別情報も含まれる。また、ユーザ識別情報の例としては、ユーザが第1レポート端末20、第2レポート端末30A、第3レポート端末30B等を使用するためのログオンアカウント、ログインアカウント、サインインアカウント等のアカウント情報が該当する。例えば、各端末のオペレーティングシステムのログオンアカウント等である。ただし、これらのアカウント情報が読影レポート用アカウント、所見レポート用アカウント、論文作成用アカウント等、用途ごとにアカウントを分けている場合は、アカウント情報を用途識別情報と捉えることも可能である。つまり、属性情報においてユーザ識別情報と用途識別情報とを厳格に分別する必要はない。なお、「ユーザの所属医療機関における診療科等の所属科」は、「所属先識別情報」の一例に該当する。また、「所属科名」または「所属科の識別情報」は、「所属先識別情報」の一例に該当する。
【0023】
なお図2の例に限らずユーザ識別情報には、医用辞書データを作成したユーザを識別するためのあらゆる識別情報を含ませることが可能である。また辞書DBにおいて、図2に示すユーザ識別情報のいくつかを含まないように構成することも可能である。さらには属性情報としてユーザ識別情報を含まなければならないものではない。すなわち、医用辞書データの記憶または読み出し等に属性情報を利用することができればよいため、属性情報には、医用辞書データの作成者の識別情報、または作成者の所属に関する識別情報が含まれない場合がありうる。
【0024】
《属性情報;用途識別情報》
これに対して属性情報のうち用途識別情報としては、例えば医用辞書データの使用用途または当該用途を示す識別情報が該当する。この用途識別情報の具体例として医用辞書データを使用するアプリケーションを識別する識別情報を挙げることができる。この識別情報を以下、「アプリケーション識別情報」と記載することがある。
【0025】
例えば、医用辞書データ「xxx.dic」が、第1レポート端末20等のユーザにより、読影レポート作成用のアプリケーション「Report A」を使用する場合の文字入力効率の向上のために作成されたものとする。この場合、当該ユーザにより第1レポート端末20等において、医用辞書データ「xxx.dic」に対し、アプリケーション「Report A」の識別情報が属性情報として関連付けられる。その上で医用辞書データ「xxx.dic」が属性情報とともにクラウドサーバ1の医用辞書データ記憶部7に記憶される。これにより医用辞書データ記憶部7は、医用辞書データ記憶部7の辞書DBにおいて、医用辞書データ「xxx.dic」と、アプリケーション識別情報「Report A」とを関連付けて記憶する。
【0026】
用途識別情報の他の例としては、図2に示すように診療科ごとの医用辞書データを識別するための診療科識別情報が該当する。所見レポート作成のために使用するアプリケーションが同じ場合であっても、ユーザ本人が所属する診療科ごとで、使用する単語に特徴があることも考えられる。したがって、医用辞書データの属性情報として、診療科識別情報が関連付けられる場合がある。そのような事態を想定して、辞書DBにおける属性情報のテーブルの項目に、診療科識別情報を含ませる構成とすることも可能である。
【0027】
また用途識別情報の他の例としては、人体の部位ごとの部位識別情報が該当する。人体の部位ごとに症状や、単語と併用して使用される単位等に特徴がある場合が考えられる。例えば、人体の部位であれば、部位ごとの各組織の名称が異なる場合がある。また疾患の名称も人体の部位ごとに異なる場合がある。したがって、医用辞書データの属性情報として、部位識別情報が関連付けられる場合があり、辞書DBにおける属性情報のテーブルには、そのような事態を想定して部位識別情報を含ませる構成とすることも可能である。
【0028】
また用途識別情報の他の例としては、疾患ごとの医用辞書データを識別する疾患識別情報が該当する。疾患の所見ごとに使用される単語に特徴がある場合が考えられる。同様に他の例として、読影レポートの作成のために用いられる、画像を生成するモダリティごとの医用辞書データを識別するモダリティ識別情報が該当する。したがって、医用辞書データの属性情報として、疾患識別情報またはモダリティ識別情報が関連付けられる場合があり、辞書DBにおける属性情報のテーブルには、そのような事態を想定してこれらの識別情報を含ませる構成とすることも可能である。
【0029】
なお、記憶されようとする医用辞書データに対しては、辞書DBにおける属性情報のテーブルにおける少なくとも一種の属性情報が関連付けられていればよい。例えば、アプリケーション識別情報のみが関連付けられる医用辞書データが記憶されている場合もある。ただし、クラウドサーバ1はこのような構成に限られず、辞書DBにおける属性情報のテーブルにおける全種類の属性情報が関連付けられていなければ、クラウドサーバ1が医用辞書データの登録または更新を拒否する構成であってもよい。また他の例として、辞書DBのテーブルにおける1以上の特定の属性情報(必須の属性情報)が関連付けられていなければ、クラウドサーバ1が医用辞書データの登録または更新を拒否する構成であってもよい。具体例として、属性情報のうち、アプリケーション識別情報と、医用辞書データを作成したユーザの所属医療機関の識別情報とを最低限含まなければならないとすることも可能である。
【0030】
<主制御部;属性情報判定処理>
医用辞書データ記憶部7からの医用辞書データの取得にあたり次に説明する属性情報判定処理を行う。クラウドサーバ1の主制御部3は、送受信部5を介して第2レポート端末30Aや第3レポート端末30B等のレポート端末から属性情報とともに医用辞書データの取得要求を受ける。主制御部3は取得要求における属性情報が適切であるか判断する。例えば、主制御部3は取得要求における属性情報が、辞書DBにおける属性情報のテーブルにあるかどうか判断する。この判断は、主制御部3が、取得要求における属性情報のフォーマットについて、辞書DBのテーブルにおける各種属性情報が有するフォーマットのいずれかに適合するかの判定によって行われる。
【0031】
取得要求にかかる属性情報のフォーマットが辞書DBのテーブルにおけるフォーマットに適合しないと判断された場合、主制御部3は取得要求を送信したレポート端末に対し、属性エラーの判定データを出力する。当該エラーの判定データを受けたレポート端末は、当該データに基づき取得要求のエラーの表示をする。主制御部3は、取得要求にかかる属性情報が辞書DBのテーブルにおけるフォーマットに適合すると判断した場合、取得部9に後述の医用辞書データの検索処理の実行を指示する。
【0032】
なお主制御部3が、取得要求における属性情報の少なくともいずれか1つだけでも辞書DBの各種属性情報のフォーマットに適合していれば、取得要求における他の属性情報が、各種属性情報のフォーマットに適合しなくてもよいと判断する構成としてもよい。
【0033】
これに対し、主制御部3が取得要求における各属性情報の全てについて、辞書DBの対応する属性情報のフォーマットにそれぞれ適合していなければ、取得要求にかかる属性情報が辞書DBのフォーマットに適合しないと判断する構成としてもよい。
【0034】
<取得部の概要>
取得部9の概要について説明する。取得部9は、第2レポート端末30A、第3レポート端末30B等の各レポート端末から医用辞書データの取得要求に応じて、該当する医用辞書データを医用辞書データ記憶部7から検索する。検索の結果、該当する医用辞書データがあった場合は、その医用辞書データを取得要求にかかるレポート端末に送信する。取得部9は、上記属性情報判定処理の結果に応じて、医用辞書データの検索処理検索処理を行う。また、取得部9は主制御部3および送受信部5を介して、検索処理の結果、医用辞書データおよび属性情報の組み合わせ、または該当データが無かった旨のエラー表示にかかるデータを取得要求にかかるレポート端末に送信する。以下、取得部9の検索処理の具体例を説明する。なお、取得部9は、「医用辞書取得部」の一例に該当する。
【0035】
<取得部;検索処理>
属性情報判定処理により上記取得要求における属性情報が、辞書DBに適合する場合、主制御部3からの指示を受け、取得部9は医用辞書データの検索処理を行う。すなわち取得部9は、取得要求にかかる属性情報のうち、フォーマットに適合すると判断されたすべての属性情報に基づき、医用辞書データ記憶部7の辞書DBから該当する医用辞書データを検索する。
【0036】
取得部9は、属性情報を用いた検索処理の結果、辞書DBにおいて当該属性情報を有する医用辞書データがあると判断した場合、その医用辞書データについて、辞書DBに登録されているファイル名を特定する。例えば取得部9は、ユーザ識別情報「ユーザA」と、所属科識別情報「放射線科」とに基づいて、辞書DBにこれらの属性情報が関連付けられた医用辞書データがあるか検索する。
【0037】
取得部9は、さらに特定した医用辞書データのファイル名に基づき、当該医用辞書データの記憶先(例えば、医用辞書データ記憶部7内の記憶領域を指定するアドレス)を特定する。取得部9は、さらに特定した記憶先から医用辞書データを取得する。例えば取得部9は、ユーザ識別情報「ユーザA」と、所属科識別情報「放射線科」とが関連付けられた医用辞書データのファイル名「XXX.dic」を特定し、そのファイル名「XXX.dic」に対応づけられた、医用辞書データ記憶部7における記憶領域を特定する。
【0038】
なお上記検索処理の一例において取得部9は、取得要求に含まれるとともに属性情報判定処理において辞書DBのフォーマットに適合すると判定された全ての属性情報を用いて検索処理を実行する。他の例として取得部9は、取得要求にかかる各種属性情報のそれぞれを用いて検索処理を実行してもよい。すなわち、上述の属性情報判定処理における判断の結果、取得要求にかかる属性情報から適正な属性情報が特定されるが、その特定されたすべての属性情報が関連付けられた医用辞書データを検索してもよく、あるいは特定された属性情報の少なくともいずれか1つが関連付けられた医用辞書データを検索してもよい。
【0039】
前者の具体例として、取得部9は、取得要求にかかるユーザ識別情報、所属医療機関識別情報(または病院グループ識別情報)、所属科識別情報、アカウント情報およびアプリケーション識別情報のすべてに該当する医用辞書データを検索する。
【0040】
他の例として、取得部9は取得要求にかかる属性情報のうち、属性情報判定処理において属性エラーと判断されなかった属性情報それぞれを用いて医用辞書データを検索する。具体例として、取得部9は、ユーザ識別情報、所属医療機関識別情報(または病院グループ識別情報)、所属科識別情報、アカウント情報およびアプリケーション識別情報のいずれかに該当する医用辞書データを検索する。ただしこの例では、例えば取得要求にかかるユーザ識別情報によって検索した医用辞書データと、アプリケーション識別情報によって検索した医用辞書データとが同一となる場合がある。取得部9は検索結果として同一の医用辞書データが複数該当した場合、複数のうち1のデータのみを取得する。
【0041】
取得部9は、検索の結果、該当する医用辞書データとともに、医用辞書データに関連付けられた各属性情報を取得する。取得部9は、検索に用いられた属性情報だけでなく、取得した医用辞書データに関連付けられたすべての属性情報を取得する。例えば、取得部9がユーザ識別情報「ユーザA」と、所属科識別情報「放射線科」とを用いて検索処理を行った場合でも、当該医用辞書データに他の属性情報が関連付けられていれば、当該他の属性情報も取得する。この場合他の属性情報とは、所属医療機関識別情報、病院グループ識別情報、第2優先度情報や、アプリケーション識別情報等である。
【0042】
なお、検索処理において複数の医用辞書データが取得されることを考慮して、医用辞書データに関連する属性情報のうち、第2優先度情報を必ず医用辞書データとともに取得する構成であってもよい。
【0043】
該当する医用辞書データが複数ある場合も、医用辞書データごとに関連付けられた各属性情報を取得する。取得部9は、取得した医用辞書データおよび各属性情報を主制御部3に送る。次いで主制御部3は、取得要求にかかるレポート端末を特定する。例えば、特定したレポート端末が第2レポート端末30Aである場合、主制御部3は医用辞書データと各属性情報の関連付けを維持したまま、送受信部5を介して第2レポート端末30Aに送る。主制御部3は、取得要求にかかる検索ログをこれらのデータとともに第2レポート端末30Aに送ってもよい。
【0044】
取得部9は、取得要求にかかる属性情報が辞書DBのテーブルにないと判断した場合、取得要求を送信したレポート端末に対し、該当する医用辞書データが無かったことを示すエラー表示のためデータを出力する。当該レポート端末は、当該データを受け、取得要求のエラーの表示処理をする(詳細は後述)。
【0045】
<インターフェース記憶部>
インターフェース記憶部11について説明する。インターフェース記憶部11は、HDD、Flash SSD、RAM SSD等により構成される。インターフェース記憶部11は、医用辞書データの変換候補の選択画面の画面データ(インターフェース;図4B参照)と、各種文書作成用アプリケーションの種別とを関連付けて記憶する。なお、インターフェース記憶部11と医用辞書データ記憶部7とを、同一の記憶装置として構成することも可能である。
【0046】
また、インターフェース記憶部11には、医用辞書データの取得要求データを作成するためのプログラムが記憶されていてもよい。例えば、第2レポート端末30Aにおいて起動されたウェブブラウザによって、クラウドサーバ1における当該取得要求作成プログラムへのアクセス要求がされると、主制御部3はアクセス要求を受け付ける。さらに主制御部3は、アクセス要求に応じ、上記ウェブブラウザを介して表示可能な取得要求作成画面の画面データを、インターフェース記憶部11から読み出す。また主制御部3は、当該画面データを第2レポート端末30Aに送る制御を行う。第2レポート端末30Aは、ウェブブラウザを介して取得要求作成画面を表示部(図3・符号6参照)に表示させる。なお、取得要求のデータを作成するためのアプリケーションが第2レポート端末30Aに記憶されている場合は、インターフェース記憶部11に上記プログラムが記憶されている構成でなくてもよい。
【0047】
さらにインターフェース記憶部11には、変換候補の選択画面データの表示形式に関する設定情報が記憶されていてもよい。設定情報の例としては、後述の第2レポート端末30Aで表示される変換候補の選択画面の配置位置に関する情報が挙げられる。この配置位置に関する情報とは、当該選択画面が、文書作成アプリケーションの表示画面に対してどの位置に配置されるかについてあらかじめ設定された情報である。文書作成アプリケーションは、レポート端末ごと、使用用途ごとに異なる場合があるため設定情報は少なくとも各種文書作成用アプリケーションの種別ごとに設定される。
【0048】
またインターフェース記憶部11に記憶されている設定情報の他の例として、当該選択画面のサイズに関する情報があげられる。サイズに関する情報とは、各レポート端末の表示部における画面全体の大きさに対する当該選択画面の大きさの割合について設定された情報である。また、後述のように辞書データの優先度順に、辞書データ別の変換候補を並列表示する場合、優先度の高い辞書データの変換候補の選択画面のサイズを相対的に大きく表示する設定も可能である。
【0049】
またインターフェース記憶部11に記憶されている設定情報の他の例として、複数の辞書データの配列表示に関する設定情報が記憶されていてもよい。上述のように、1回の取得要求における属性情報に対し、複数の医用辞書データが該当する場合がある。また、それら複数の医用辞書データが同一の文書作成アプリケーションで使用可能な場合がある。その場合、いずれか1つの医用辞書データの変換候補の選択画面のみを表示する設定では不都合が生じるおそれがある。例えば、複数の医用辞書データの優先度(第2優先度情報)が同じである場合が考えられ、レポート端末において2以上の医用辞書データに基づく選択画面のうちいずれを表示するか判定できないおそれがある。あるいは、医用辞書データの優先度が同じにもかかわらず、1種類の医用辞書データの変換候補しか表示されないという問題が生じうる。
【0050】
このような問題に対処するため、配列表示に関する情報があらかじめ設定される。すなわち取得要求にしたがって複数の医用辞書データが取得された場合に、文書作成作業を行うユーザが複数の医用辞書データの変換候補を参照できるように、インターフェース記憶部11には配列表示に関する設定情報が記憶される場合がある。以下、変換候補の選択画面の表示例をいくつか説明する。
【0051】
《選択画面表示例−1》
インターフェース記憶部11の設定情報における変換候補の選択画面の配列としては、例えば次のような類型が考えられる。第1の例としては、属性情報に該当するすべての医用辞書データに基づく変換候補の選択画面を並列表示する配列方法があげられる。この設定情報に基づく配列方法では、レポート端末において辞書データが3種類記憶されている場合、3種類のすべての辞書データに基づく変換候補の選択画面を、レポート端末の表示部において所定方向に並列して表示させる。
【0052】
また医用辞書データにおいて第2優先度情報が関連付けられている場合、医用辞書データの優先度順に、選択画面を並べて配置してもよい。優先度が高い順に選択画面を上から下へ配置する配列方法や優先度が高い順に選択画面を左から右へ配置する配列方法等である。
【0053】
さらに第1の例における優先度順の並列表示において、優先度の低い医用辞書データについても表示させてもよい。前記のように優先度順に医用辞書データを表示する構成の場合、優先度が低い医用辞書データは表示頻度が低くなるため、使用されなくなるおそれがある。しかしながら、設定された優先度が低かったとしても、所定の文書の作成に有用な変換候補を提示可能な辞書データは存在しうる。つまり、ユーザの判断により設定された医用辞書データの優先度は、当該医用辞書データの実質的な有用性と必ずしも対応しない場合がある。したがって、インターフェース記憶部11の配列表示に関する設定情報において、第2優先度情報にしたがって低優先度とされた医用辞書データの変換候補と、高優先度の医用辞書データに基づく変換候補とを共に表示するように設定される構成としてもよい。
【0054】
また、第1の例における優先度順の並列表示において、並列表示する辞書データごとの変換候補の数を設定するようにしてもよい。例えば、高優先度順に2種類の医用辞書データ「XXX.dic」、「ZZZ.dic」の変換候補をそれぞれ表示するとともに、1種類の低優先度の医用辞書データ「YYY.dic」の変換候補を表示してもよい。また、高優先度の医用辞書データの変換候補を表示するとともに、医用辞書データ記憶部7から取得した医用辞書データでなく、レポート端末にあらかじめ記憶されている辞書データを並列表示するように設定されていてもよい。なお、優先度順の表示は、辞書データを使用するアプリケーションごとに異なっていてもよい。このようなアプリケーションごとの優先度の変更のためには、属性情報におけるアプリケーション識別情報が利用される。
【0055】
《選択画面表示例−2》
変換候補の選択画面の配列の第2の例としては、レポート端末の文書作成アプリケーションにおいて、複数種類の中の1種類の医用辞書データに基づく変換候補を最初に表示させ、切り替え操作に応じて順次医用辞書データを切り替える方法が挙げられる。例えば、取得部9が取得した複数の医用辞書データの中から優先度の高い医用辞書データを選択し、最初に表示させる。この例においてインターフェース記憶部11における選択画面データでは、当該選択画面上に画面の切替ボタンを表示させるように設定されている。レポート端末において操作部等により切替ボタンが操作されると、医用辞書データが切り替わり、他の変換候補の選択画面が表示される。このような構成により切り替え操作に応じて順次医用辞書データを切り替えることが可能である。
【0056】
なお、第2の例と第1の例を組み合わせることも可能である。例えば、操作によって医用辞書データを切り替え可能であって、かつ優先度の高い順に医用辞書データが切り替わる第1の選択画面と、当該第1の選択画面とともに優先度の低い医用辞書データを常時表示する第2の選択画面とを並列表示してもよい。また、第2の例と第1の例を組み合わせる他の例として、高優先度順に複数の医用辞書データの各変換候補を並列表示してもすべての医用辞書データの変換候補を表示しきれないときに、ユーザにより選択画面上の切り替えボタンが操作されることに応じて、他の辞書データの変換候補に切り替わるように表示制御される構成であってもよい。
【0057】
《選択画面表示例−3》
変換候補の選択画面の配列の第3の例としては、レポート端末の文書作成アプリケーションにおいて、複数種類の医用辞書データに基づく変換候補を区別せずに、1つの選択画面において表示する表示方法が挙げられる。例えば、まず第2優先度情報に基づき、高優先度の医用辞書データが選択される。次いで第1優先度情報に基づき、選択された医用辞書データ内における同一の入力に対する優先度の最も高い変換候補が抽出される。この変換候補は第1変換候補とされる。次いで、第2優先度情報に基づき優先度における次点の医用辞書データが選択される。さらに次点の医用辞書データの第1優先度情報に基づき、その医用辞書データ内で最も高優先度の変換候補が抽出される。この変換候補は第2変換候補とされる。
【0058】
このようにしてインターフェース記憶部11の設定情報に基づきレポート端末は、第2優先度情報により選択された高優先度の医用辞書データの中から、第1優先度情報により優先度の高い変換候補を順に抽出していく。例えば、第2優先度情報により選択された高優先度の医用辞書データ「XXX.dic」がある場合に、レポート端末は、その医用辞書データ「XXX.dic」における各変換候補を第1優先度情報に基づき、昇順に「ABCDE」(第1順位)、「ABCD」(第2順位)、「ABC」(第3順位)、「AB」(第4順位)、「ABCDE」(第5順位)...というように抽出する。
【0059】
さらにレポート端末は、抽出した変換候補を、当該設定情報に基づき抽出順に並べていく。つまりレポート端末は、当該設定情報に基づき並び替えた変換候補を医用辞書データ別でなく一括で表示する。なお、第3の例において上記のように抽出と並び替え処理を行わない構成であってもよい。
【0060】
すなわち、単に高優先度の医用辞書データ順に変換候補を直列的に表示してもよい。例えばレポート端末は、インターフェース記憶部11の設定情報により、最も高優先度の医用辞書データの各変換候補を第1優先度情報に基づき順に表示し、次にその選択画面内で、次点の優先度の医用辞書データの各変換候補を第1優先度情報に基づき順に表示する。レポート端末は、当該設定情報によりこの処理を繰り返し、取得された医用辞書データすべての変換候補を表示させる。なお、上記第1の例から第3の例のすべてにおいて、インターフェース記憶部11の設定情報により、選択画面上で下位の変換候補を表示させるためにスクロール操作が可能なように構成されているものとする。
【0061】
なお、第3の例と、第2の例または第1の例を組み合わせることも可能である。例えば、第3の例において医用辞書データごとの変換候補を直列的に連結して表示する場合、選択画面において、他の医用辞書データに切り替えるための切り替えボタンが設けられていてもよい。また、すべての医用辞書データの変換候補を一括表示する第3の例の選択画面と、優先度の低い医用辞書データを表示する他の選択画面とを並列表示してもよい。また、インターフェース記憶部11における設定情報により、第3の例、第2の例および第1の例の組み合わせにかかる選択画面を表示させてもよい。
【0062】
(第2レポート端末の全体構成)
次に第1実施形態にかかる第2レポート端末の全体構成について図3を参照し、第2レポート端末30Aの例において説明する。図3に示すように、第2レポート端末30Aは、端末側制御部2、送受信部4、表示部6、操作部8、記憶部10、変換部12および表示制御部14を含んで構成されている。一例において第2レポート端末30Aは、クラウドサーバ1から医用辞書データを取得するための取得要求を作成する機能、および取得要求をクラウドサーバ1に送信する機能を有する。ただし、本実施形態特有の機能をすべてクラウドサーバ1に担わせる構成とすることも可能である。
【0063】
<端末側制御部>
端末側制御部2は例えばCPU、ROM、RAM等で構成される。ROMには、あらかじめ制御プログラムが記憶され、CPUが当該制御プログラムを適宜RAM上に展開することにより、端末側制御部2として機能する。例えば、端末側制御部2は、記憶部10から医用辞書データの取得要求データを作成するためのプログラムを読み出し、表示制御部14に送る。また、操作部8から医用辞書データの取得要求にかかる属性情報を示す入力を受け、取得要求作成画面に反映させる。また、主制御部3は取得要求データの作成完了の指示を操作部8から受けたことに応じ、送受信部4を介してクラウドサーバ1に属性情報を伴った医用辞書データの取得要求を送信する。なお、ウェブブラウザを介して医用辞書データの取得要求データを作成する構成においては、記憶部10から取得要求作成プログラムを読み出す処理は行われない。
【0064】
また、端末側制御部2はクラウドサーバ1から取得された医用辞書データを記憶部10に記憶させる。このとき医用辞書データと関連付けられた属性情報を、関連付けられた状態を維持して記憶させる。
【0065】
<送受信部>
送受信部4は、第2レポート端末30Aとクラウドサーバ1の間で、取得要求データ、医用辞書データ、当該データに関連付けられた属性情報、検索ログ等を送受信するための通信インターフェースである。またウェブブラウザにより、クラウドサーバ1との間で、送受信部4を介して取得要求作成時のデータ送受信が行われる。
【0066】
<表示部>
表示部6は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(OELD;Organic Electro−Luminescence)または、FED(Field Emission Display)等の任意の形態の表示デバイスによって構成される。表示部6は、表示制御部14の制御を受けて各種の画面、例えば、取得要求データ作成画面や文書作成アプリケーションに基づく表示画面を表示する。また、後述する変換候補の選択画面または上述の取得要求のエラーを表示する。
【0067】
<操作部>
操作部8は、キーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック、コントロールパネル等の任意の形態の操作デバイスや入力デバイスによって構成される。端末側制御部2は、実施された操作に基づいて操作部8が出力する操作信号を受けて、この操作内容に対応する制御や演算を実行する。なお、操作部8は「入力部」の一例に該当する。
【0068】
<記憶部>
記憶部10は、HDD、Flash SSD、RAM SSD等により構成される。記憶部10には、汎用のウェブブラウザ、文書作成、表計算等のプログラムが記憶されている。さらに、記憶部10には第2レポート端末30Aで用いられる文書作成アプリケーションにおいて使用可能な辞書データが記憶されている。この辞書データは文書作成アプリケーションにおける汎用の辞書データである場合もあり、またその辞書データが第2レポート端末30Aのユーザによりカスタマイズされている場合もある。また、記憶部10はクラウドサーバ1から取得された医用辞書データを記憶する。なお、記憶部10は、「端末側記憶部」の一例に該当する。
【0069】
なお、本実施形態の記憶部10の構成によっては、医用辞書データの取得要求データを作成するためのプログラムが記憶されている場合もある。例えば当該プログラムは、医用辞書データの取得要求作成画面の画面データである。また当該プログラムは、取得要求作成画面の表示時において、取得要求にかかる属性情報の入力(ドロップダウンメニューからの選択等)を受け、端末側制御部2が取得要求のデータを作成するためのものである。また当該プログラムにおいて上記属性情報判定処理を実行してもよい。この構成の場合は、クラウドサーバ1において属性情報判定処理を実行しない構成とすることも可能である。
【0070】
<変換部>
変換部12は、文書作成アプリケーション等、文字入力を伴うプログラムの起動時などの所定のタイミングで、そのプログラムで使用可能な辞書データを判断する。例えば変換部12は、取得要求に応じて取得された医用辞書データを含む、記憶部10に記憶された各辞書データのフォーマットを、起動されたプログラムにおいて使用可能な辞書フォーマットと対比する。医用辞書データにアプリケーション識別情報が関連付けられている構成においては、変換部12は当該対比処理をアプリケーション識別情報に基づいて実行する。対比の結果、変換部12は起動されたプログラムにおいて使用可能と判断した辞書データを読み出す。
【0071】
また、変換部12は当該プログラムの実行時に、端末側制御部2を介して操作部8からの入力を受け、一時的に当該入力内容を記憶する。次いで変換部12は、あらかじめ設定された入力言語に基づいて、当該入力に対して一意に定まる変換前文字(図4B;「*****」参照)に変換する。次いで変換部12は変換前文字を一時的に記憶する。さらに変換部12は、上記読み出された各辞書データから、記憶した変換前文字に対応する変換候補を抽出する。また、変換部12は抽出した変換候補を、辞書データごとに一時的に記憶する。
【0072】
例えば、変換部12は各辞書データに基づいて、各辞書データから変換前文字「*****」に対応する変換候補「ABCDE」、「ABCD」、「ABC」、「AB」、「ABCDE」...を抽出する。なお、変換部12はその抽出した変換候補を、各辞書データの第1優先度情報にしたがった優先度順の情報とともに抽出する。変換部12は、少なくとも各辞書データごとの変換候補を、辞書データ内での第1優先度情報とともに表示制御部14に送る。
【0073】
ここで、本実施形態においてクラウドサーバ1から取得要求を出したレポート端末に、上記変換候補の選択画面や選択画面の配列に関するデータが送信される構成において、変換部12は記憶部10に記憶された選択画面等のデータを読み出す。さらに変換部12は、各辞書データごとの変換候補および第1優先度順情報、ならびに読み出した変換候補の選択画面のデータを表示制御部14に送る。変換部12が選択画面の配列表示に関するデータも読み出している場合は、そのデータも共に表示制御部14に送られる。
【0074】
<表示制御部>
表示制御部14について図4Aおよび図4Bを参照して説明する。図4Aは、第1実施形態にかかるレポート作成画面の概要を示す概念図である。図4Bは、第1実施形態にかかるレポート作成画面と変換候補の表示画面の概要を示す概念図である。表示制御部14は、第2レポート端末30Aにおいて、表示部6の表示内容を制御する。例えば、端末側制御部2を介して、記憶部10から各種画面データを受け、各種表示画面を表示部6に表示させる。各種表示画面とは、第2レポート端末30Aにおける起動後の初期画面や、起動された文書作成アプリケーションやウェブブラウザ等の表示画面である。また、表示制御部14は、文字入力を伴うアプリケーションの実行時に変換部12から辞書データごとの変換候補を受け、当該変換候補のデータを、変換候補の選択画面データに割り当てて、当該アプリケーションとともに変換候補の選択画面を生成する。表示制御部14は、生成した変換候補の選択画面を表示部6に表示させる。この処理について、以下、図4Aおよび図4Bに示す概要を例示する。
【0075】
《表示制御部;取得要求作成画面の表示処理の例1》
操作部8にて医用辞書データの取得要求作成画面の表示指示をする操作がなされると、当該指示が端末側制御部2に送られる。端末側制御部2は当該指示を受けて取得要求作成画面の画面データを取得する。この画面データは、一例において、記憶部10に記憶された汎用のウェブブラウザを介してクラウドサーバ1から取得されたデータである。すなわち、当該ウェブブラウザを介して当該取得要求作成画面を表示する指示がなされると、第2レポート端末30Aの端末側制御部2は、送受信部4を介してクラウドサーバ1に画面データの要求を実行する。取得要求作成画面を表示する指示とは、例えば画面データの記憶先の指定操作等である。クラウドサーバ1は送受信部5を介して当該要求を受ける。主制御部3は当該要求に応じて、インターフェース記憶部11から取得要求作成画面の画面データを読み出し、送受信部5を介して第2レポート端末30Aに送る。
【0076】
第2レポート端末30Aの端末側制御部2は、送受信部4を介してクラウドサーバ1から取得要求作成画面を受け、表示制御部14に送る。表示制御部14は取得要求作成画面をウェブブラウザを介して表示部6に表示させる。当該画面の表示時に操作部8を介して属性情報の入力があると、端末側制御部2を介して表示制御部14により入力内容が取得要求作成画面に反映され表示される。さらに第2レポート端末30Aにおいて、入力された属性情報は、端末側制御部2のRAM等に一時的に記憶される。さらに第2レポート端末30A側で当該画面の表示時に、操作部8を介して取得要求のデータ作成が完了した旨の操作があると、端末側制御部2は、一時的に記憶した属性情報とともに、医用辞書データ当該取得要求の作成データ完了の指示をクラウドサーバ1に送る。このとき取得要求にかかるレポート端末の識別情報が共に送信されてもよい。
【0077】
《表示制御部;取得要求作成画面の表示処理の例2》
取得要求作成画面の表示処理から取得要求の送信までの他の例について説明する。ブラウザを介し、操作部8に基づいて医用辞書データの取得要求作成画面の表示指示をする操作がなされると、当該操作に基づく指示が送受信部4を介してクラウドサーバ1に送られる。クラウドサーバ1が当該画面データの要求を受けると、主制御部3は当該要求に応じて、取得要求作成画面の画面データを読み出し、送受信部5を介して第2レポート端末30Aに送る。
【0078】
上記と同様に、取得要求作成画面が第2レポート端末30Aの表示部6に表示されている時に、操作部8を介して属性情報の入力があると、入力内容が端末側制御部2、送受信部4、送受信部5を介して主制御部3に送られる。クラウドサーバ1の主制御部3は、入力された属性情報を一時的に記憶し、かつ当該入力内容を反映させた画面データを作成する。画面データは第2レポート端末30Aの表示制御部14に送られる。表示制御部14は入力内容が反映された取得要求作成画面を表示部6に表示させる。さらに第2レポート端末30A側で当該画面の表示時に操作部8を介して取得要求のデータ作成が完了した旨の操作があると、端末側制御部2は、医用辞書データ当該取得要求の作成データ完了の指示をクラウドサーバ1に送る。この構成の場合は当該完了指示が取得要求となる。クラウドサーバ1は、当該取得要求を受け、一時的に記憶した属性情報に基づき医用辞書データの取得にかかる上記処理を実行する。
【0079】
《表示制御部;取得要求作成画面の表示処理の例3》
取得要求作成画面の表示処理から取得要求の送信までの他の例について説明する。操作部8に基づいて医用辞書データの取得要求作成画面の表示指示をする操作がなされると、端末側制御部2は、記憶部10から医用辞書データの取得要求データを作成するためのプログラムを読み出す。当該プログラムに基づき、表示制御部14により表示部6に取得要求作成画面が表示されているときに、操作部8を介して属性情報の入力があると、入力内容が端末側制御部2に送られる。端末側制御部2は、入力された属性情報を一時的に記憶し、かつ表示制御部14に入力内容を送る。表示制御部14は上記プログラムに基づき、取得要求作成画面に入力内容を反映させた画面データを作成する。この後の処理は、上記例1と同様である。
【0080】
《表示制御部;取得要求エラー判定の表示処理の例》
第2レポート端末30Aにおいて、取得要求を送信した後、クラウドサーバ1における上記属性情報判定処理および検索処理の結果、取得要求のエラー表示を行うためのデータを受信する場合がある。例えば、取得要求を実行したものの属性情報判定エラーとなった場合、クラウドサーバ1は第2レポート端末30Aに対し、取得要求にかかる属性情報のフォーマットが辞書DBのフォーマットと適合しない等のエラーメッセージの表示画面データを送る。第2レポート端末30Aは、当該データに基づき表示制御部14により、表示部6にエラーメッセージを表示させる。
【0081】
また、検索処理の結果、該当無しの判定エラーとなった場合、クラウドサーバ1は第2レポート端末30Aに対し、取得要求にかかる属性情報に該当する医用辞書データが無い等のエラーメッセージの表示画面データを送る。第2レポート端末30Aは、当該データに基づき表示制御部14により、表示部6にエラーメッセージを表示させる。
【0082】
《表示制御部;選択画面配列処理の例》
第2レポート端末30Aにおいて、操作部8から読影レポート作成画面の表示操作がなされると、端末側制御部2は、記憶部10から読影レポート作成アプリケーションを記憶部10から読み出す。また端末側制御部2は、読影レポート作成画面の画面データを表示制御部14に送る。表示制御部14は画面データに基づいて、図4Aに示すような読影レポート作成画面を表示させる。なお、図4Aにおける右側には読影レポートにかかる医用画像と医用画像のサムネイルが表示されている。また図4Aにおける左側には読影レポートの表示欄が表示されている。この読影レポートの表示欄には、文字列が表示されている。
【0083】
この文字列には、既に変換処理が完了して文字列として確定されたものが含まれる。また図4Bのようにユーザが操作部8を介して入力した入力内容に対応する変換前文字(未変換の文字)が表示されている場合がある。なお、以下に記載する変換候補の選択画面の表示の前には、変換部12等により、概ね次のような処理が行われる。まず文書作成アプリケーションの起動時に、操作部8を介した入力操作があると、変換部12はあらかじめ設定された入力言語、入力モード等の設定に基づき、当該入力に対して一意に定まる変換前文字に変換する。表示制御部14はその変換前文字を受けて、変換前文字を表示部6に表示させる(図4B;「******」参照)。このとき、予測変換を行う構成であれば、この時点で次の選択画面の表示処理に移行する。また他の例として、操作部8から変換前文字の変換操作があったことに応じて変換部12が次の選択画面の表示処理に移行する構成であってもよい。
【0084】
表示制御部14は、変換部12から例えば、各辞書データごとの変換候補、第1優先度情報および第2優先度情報、ならびに変換候補の選択画面および選択画面の配列表示に関するデータを受ける。まず表示制御部14は、各辞書データ内における複数の変換候補を、第1優先度情報に基づいて、優先度順に選択画面データに割り当てる。表示制御部14は、辞書データごとにこの処理を行う。さらに表示制御部14は、第2優先度情報に基づいて各辞書データの優先度順を決定する。また、表示制御部14は選択画面の配列表示に関するデータに基づいて、特定した辞書データの優先度順に、辞書データ別の変換候補の選択画面それぞれ(ウインドウ表示等;図4B左下欄参照)の配列を決定する。
【0085】
また表示制御部14は、上記決定された配列の情報と、あらかじめ設定された変換候補の選択画面の配置位置の情報やサイズの情報とにしたがって、変換候補の選択画面を、読影レポート作成画面上に表示させる制御を行う。なお、表示制御部14による変換候補の選択画面の表示形式は、クラウドサーバ1のインターフェース記憶部11から受けた当該表示形式に関する設定情報にしたがう。
【0086】
例えば、図4Bに示すように、辞書データの優先度順に、所定の方向(画面横方向等)に、所定の配列数(3データの配列等)で、各辞書データを配列する。ここで表示制御部14が受けた取得要求にかかる辞書データが5データ分あり、配列数が3データ分である場合についての表示の一例について説明する。なお、5データ分の辞書データについて仮に、優先度順で第1順位の医用辞書データ「xxx.dic」、第2順位の医用辞書データ「yyy.dic」、第3順位の医用辞書データ「zzz.dic」、第4順位の医用辞書データ「vvv.dic」、第5順位の医用辞書データ「uuu.dic」とする。また第2レポート端末30Aの記憶部10に記憶された、取得要求にかかわらない標準の辞書データを「AAA.dic」とする。
【0087】
この例において、取得要求にかかる辞書データが5データ分あり、第2レポート端末30Aにおける標準の辞書データとあわせると、6データ分の医用辞書データが存在する。しかしながらこの例において、クラウドサーバ1から受けた選択画面の設定情報では、医用辞書データごとの選択画面を3データ分だけ配列する設定となっている。ここで、表示制御部14は設定情報にしたがって、6の辞書データ分存在する変換候補のうち、最初に表示する3の辞書データ分の変換候補を決定する。仮に、設定情報において最初に表示する3データ分の内訳として左側から順に、第1順位のデータ「xxx.dic」、第2順位のデータ「yyy.dic」、および最も優先度順の低い医用辞書データ「uuu.dic」を表示するように設定されているとすれば、表示制御部14は、その設定および各辞書データの第2優先度情報に基づき、表示する辞書データとその配列順を決定する。なお、設定情報において、1番目と2番目に表示する変換候補については第2優先度情報にしたがうように設定され、かつ3番目の選択画面については各レポート端末における標準の辞書データを選定するように設定される構成であってもよい。この場合は、「xxx.dic」、「yyy.dic」および「AAA.dic」が最初に表示される辞書データの変換候補として決定される。
【0088】
また、表示制御部14は設定情報に応じて、表示された変換候補の選択画面を他の選択画面に切り替えて表示させることが可能である。例えば、表示制御部14は、最初に表示された辞書データだけでなく、操作部8を介したユーザによる切り替え操作にしたがい、表示部6に表示されている変換候補の選択画面を、他の辞書データによる変換候補の選択画面に切り替えて表示させることが可能である。
【0089】
《表示制御部;選択操作後の処理の例》
図4Bに示すような変換候補の選択画面のいずれかにおいて、ユーザが操作部8を介して変換候補の1つを選択すると、端末側制御部2は、操作部8から選択された変換候補の入力を受ける。例えば当該選択操作に応じて、操作部8から端末側制御部2へ、辞書データの種別、および当該辞書データにおける変換候補の優先度順(第1優先度情報)が入力される。端末側制御部2は、それらの情報を一時的に記憶するとともに、表示制御部14にそれらの情報を送る。表示制御部14は、それらの情報に基づき、選択された変換候補に応じた変換後の文字を読影レポートの表示欄に反映させる。
【0090】
ここで、ユーザが操作部8を介して表示された変換後の文字を確定する操作を行うと、端末側制御部2は変換後の文字を確定させ、表示制御部14に選択画面の表示終了の指示を送る。表示制御部14は、指示を受けて各辞書データによる選択画面の表示を終了する。それにより、表示部6には変換候補の選択画面が表示されなくなる。
【0091】
なお、ユーザが望む変換後文字と、各辞書データが示す変換候補のいずれもが対応しない場合がある。その場合、ユーザは上記標準の辞書データ(例えばAAA.dic)等により、操作部8を介して所望の変換後文字が表示されるよう文字変換操作を行う。当該変換操作に基づく変換後文字は、各辞書データのいずれにも含まれない変換候補であるため、端末側制御部2がその変換後文字を、1以上の医用辞書データ等に追加登録する構成であってもよい。例えば端末側制御部2は、記憶部10に記憶された医用辞書データ等に対して、当該変換後文字を追加登録(記憶)させる。追加登録は、記憶部10に記憶されたすべての辞書データに対するものであってもよく、クラウドサーバ1から取得された辞書データのみに対するものであってもよい。また、当該変換後文字を追加登録したい辞書データをユーザが選択する構成であってもよい。
【0092】
また他の例として、各辞書データが、変換候補の編集を可能とする編集画面の画面データを有している構成であってもよい。この場合、ユーザは当該編集画面において所望の変換候補を追加登録する操作を実行する。例えば、ユーザにより操作部8を介して、各辞書データが有する当該編集画面の画面データを表示する操作が実行されると、端末側制御部2は、記憶部10から操作にかかる辞書データから編集画面のデータを読み出す。表示制御部14は、端末側制御部2から読みだされた編集画面のデータを受け、当該辞書データの編集画面を表示部6に表示させる。さらにユーザにより操作部8を介して、当該編集画面上で入力文字と変換後文字とが入力され、かつ確定操作がなされる。この操作により端末側制御部2は、新規の変換候補を、記憶部10における上記辞書データに対し追加で記憶させる。
【0093】
端末側制御部2は、追加登録された医用辞書データの変換候補データに基づいて、クラウドサーバ1の医用辞書データ記憶部7における医用辞書データを更新する要求を行う。例えば、端末側制御部2は追加登録された医用辞書データのファイル名と追加登録された変換候補のデータを送受信部4を介して、クラウドサーバ1に送信する。なお、変換候補のデータに当該変換候補の第1優先度情報が含まれていてもよい。クラウドサーバ1は、医用辞書データ記憶部7における同ファイル名の医用辞書データに対し、当該変換候補を追加で記憶させる(詳細は後述する)。このときレポート端末からクラウドサーバ1に送信される変換候補のデータには、追加登録のログ情報等が関連付けられていてもよい。すなわち、ログ情報には、追加登録するにあたって使用されたアプリケーション識別情報、追加登録したユーザの識別情報やレポート端末の識別情報等が含まれる。
【0094】
また、端末側制御部2は、追加登録された変換候補を所定のタイミングでクラウドサーバ1に送信する。例えば、端末側制御部2による追加登録処理に応じて随時送信される。また追加登録するにあたって使用されたアプリケーションの終了操作があった時に送信されてもよい。また追加登録するにあたって使用されたレポート端末のシステムログアウト時に送信されてもよい。また追加登録するにあたって使用されたレポート端末の停止操作(シャットダウン操作)からレポート端末の電源が落とされるまでの間に送信されてもよい。なお、上記「追加登録された変換候補」は、「更新情報」の一例に該当する。
【0095】
なお、医用辞書データ記憶部7の医用辞書データの更新処理については、第1レポート端末20の説明において記載する。
【0096】
(クラウドサーバの動作)
次に、クラウドサーバ1の動作について、図5を参照して説明する。図5は、第1実施形態にかかるクラウドサーバ1の動作の概略を示すフローチャートである。なお、図5は医用辞書データの取得にかかるクラウドサーバ1の動作について概要を示すものであり、医用辞書データの新規登録および更新にかかるクラウドサーバ1の動作については図9において示される。
【0097】
<ステップ01>
クラウドサーバ1の主制御部3は、第2レポート端末30Aから、送受信部5を介して属性情報を検索クエリとした医用辞書データの取得要求を受ける(「属性情報受信ステップ」の一例に該当)。
【0098】
<ステップ02>
主制御部3は取得要求における属性情報が適切であるか判断する。例えば、主制御部3は、取得要求における属性情報のフォーマットが、辞書DBのテーブルにおける各種属性情報のフォーマットのいずれかに適合するか判定する。なお、取得要求を送信したレポート端末にて当該属性情報判定処理を実行する構成の場合には、クラウドサーバ1は当該S02の処理を行わない。
【0099】
<ステップ03>
S02の判断の結果、取得要求における属性情報が適切と判断された場合(S02;Yes)、主制御部3は、取得部9に検索処理の実行指示を出力する。取得部9は指示を受け、取得要求にかかる属性情報に基づき、医用辞書データ記憶部7の辞書DBから該当する医用辞書データを検索する。なお、取得部9は取得要求に含まれ、属性情報判定処理にかかる全ての属性情報に該当する医用辞書データを検索するか、あるいは取得要求に含まれた各種属性情報の少なくとも1つを用いて検索する。
【0100】
<ステップ04>
S02の判断の結果、取得要求における属性情報が適切でないと判断された場合(S02;No)、主制御部3は属性情報判定エラーのデータを送受信部5を介して取得要求にかかるレポート端末に送信する。またこの場合、クラウドサーバ1は医用辞書データの一連の取得処理を終了する。
【0101】
<ステップ05>
取得部9は、S03の検索処理の結果、取得要求にかかる医用辞書データが医用辞書データ記憶部7に存在するか判定する。
【0102】
<ステップ06>
S05の判断の結果、取得要求にかかる医用辞書データがあったと判断した場合(S05;Yes)、取得部9は該当する医用辞書データを医用辞書データ記憶部7から抽出する(「医用辞書情報取得ステップ」の一例に該当)。さらに取得部9は、該当する医用辞書データとともに、医用辞書データに関連付けられた各属性情報を取得する。該当する医用辞書データが複数ある場合、取得部9は医用辞書データごとに関連付けられた各属性情報を取得する。
【0103】
なお、S03において取得部9が取得要求に含まれた各種属性情報の少なくとも1つを用いて検索する場合であって、かつ検索結果として同一の医用辞書データが複数該当した場合、1データ分だけを取得する。またこの場合は辞書DBの該当した属性情報のみを医用辞書データとともに取得する。
【0104】
<ステップ07>
S05の判断の結果、取得要求にかかる医用辞書データが無かったと判断した場合(S05;No)、取得部9は該当データが無かったことを示す判定エラーを示す表示画面データを送受信部5を介して、取得要求にかかるレポート端末に送信する。またこの場合、クラウドサーバ1は医用辞書データの一連の取得処理を終了する。
【0105】
<ステップ08>
S06において抽出された医用辞書データは、主制御部3により医用辞書データと各属性情報の関連付けが維持されたまま、送受信部5を介して第2レポート端末30Aに送られる(「辞書情報送信ステップ」の一例に該当)。主制御部3は、取得要求にかかる検索ログをこれらのデータとともに第2レポート端末30Aに送ってもよい。
【0106】
(第2レポート端末の動作)
次に、取得要求により医用辞書データを受ける第2レポート端末の動作について、図6を参照して説明する。図6は、第1実施形態にかかる第2レポート端末30Aの動作の概略を示すフローチャートである。なお、図6は、第2レポート端末30Aの動作について概要を示すものであるが、クラウドサーバ1とデータ通信が可能なすべてのレポート端末において同様の動作を実行することが可能である。
【0107】
なお、次に説明する取得要求送信以降の処理の前に、第2レポート端末30Aにより取得要求の作成および送信が実行される。例えば第2レポート端末30Aは、操作部8を介して実行された取得要求作成画面の表示指示をクラウドサーバ1に送信する。さらに第2レポート端末30Aは、取得要求作成画面の画面データを受け、取得要求作成画面を表示する。さらに取得要求作成画面の表示時にユーザにより操作部8等により属性情報の入力が実行される。
【0108】
<ステップ11>
第2レポート端末30Aの表示部6に取得要求作成画面が表示されているとき、第2レポート端末30Aの操作部8を介して取得要求作成完了の操作がなされると、入力された属性情報が関連付けられた取得要求がクラウドサーバ1に送信される。
【0109】
<ステップ12>
取得要求の結果、端末側制御部2はクラウドサーバ1から医用辞書データの取得要求の結果を受ける。端末側制御部2は、クラウドサーバ1が取得要求の結果医用辞書データを受信したかについて判断する。すなわち端末側制御部2は、医用辞書データを受信したか、または各種エラーを示す表示画面データを受信したかを判断する。
【0110】
<ステップ13−1>
S12の判断の結果、属性エラーや検索エラー等のエラーを示す表示画面データを受信したと判断された場合(S12;No)、主制御部3は、当該表示画面データを表示制御部14に送る。表示制御部14は、当該表示画面データに基づき、表示部6に取得要求のエラーを表示させる。また端末側制御部2は以下の医用辞書データの取得処理を終了する。なお、再度取得要求を作成するかの選択画面等を表示させてもよい。
【0111】
<ステップ13−2>
S12の判断の結果、医用辞書データを受信したと判断された場合(S12;Yes)、主制御部3は、当該医用辞書データとともに属性情報を記憶部10に記憶させる。主制御部3は、検索ログ等も受信した場合、検索ログ等も共に記憶させる。
【0112】
<ステップ14>
S13−2の記憶の後、読影レポート等の文書作成アプリケーションの起動操作が実行されると、主制御部3は記憶部10から操作に応じた文書作成アプリケーションを読み出し、表示制御部14に送る。表示制御部14は、受けたアプリケーションに基づく表示画面を表示部6に表示させる。
【0113】
<ステップ15>
S14の当該アプリケーションの起動時等、所定のタイミングで、変換部12は記憶部10に記憶された各辞書データのフォーマットを、起動されたアプリケーションにおいて使用可能な辞書フォーマットと対比する。対比の結果、変換部12は起動されたプログラムにおいて使用可能と判断した辞書データを読み出す。さらに変換部12は辞書データとともに第2優先度情報を読み出す。
【0114】
<ステップ16>
S14におけるアプリケーションの起動後、端末側制御部2を介して操作部8からの入力を受けると、端末側制御部2は入力に応じ変換部12が変換した変換前文字(未変換の文字)を表示制御部14に暫定的に表示させる。また変換部12は一時的に当該変換前文字を記憶する。
【0115】
<ステップ17>
さらに変換部12は、所定のタイミング(操作部8を介した文字変換の操作時等)で、端末側制御部2等から変換処理の指示を受ける。なお文字変換の操作を受ける前に、入力された文字に対応する予測変換の候補を表示させる構成にすることも可能であり、その場合、上記入力に対応して端末側制御部2が変換部12に指示を送る。変換部12は、上記読み出された各辞書データから、記憶した変換前文字に対応する変換候補があるか判断する。また、変換部12は当該入力内容に該当する変換候補を、辞書データごとに一時的に記憶する。
【0116】
<ステップ18>
表示制御部14は、変換部12から例えば、各辞書データごとの変換候補、第1優先度情報および第2優先度情報、ならびに変換候補の選択画面および選択画面の配列表示に関するデータを受ける。表示制御部14は、各辞書データ内における複数の変換候補を、第1優先度情報に基づいて、優先度順に選択画面データに割り当てる。また表示制御部14は、第2優先度情報に基づいて各辞書データの優先度順を決定する。また、表示制御部14は選択画面の配列表示に関するデータに基づいて、特定した辞書データの優先度順に変換候補の選択画面それぞれ(ウインドウ表示等;図4B左下欄参照)の配列を決定する。
【0117】
また表示制御部14は、上記決定された配列の情報と、あらかじめ設定された変換候補の選択画面の配置位置の情報やサイズの情報とにしたがって、変換候補の選択画面を、読影レポート作成画面上に表示させる制御を行う。
【0118】
<ステップ19>
ユーザが操作部8を介して変換候補の1つを選択すると、端末側制御部2は、操作部8から選択された変換候補に応じて、辞書データの種別、および当該辞書データにおける変換候補の優先度順(第1優先度情報)が入力される。
【0119】
<ステップ20>
端末側制御部2は、辞書データの種別、および当該辞書データにおける変換候補の優先度順から選択された変換候補を特定して一時的に記憶するとともに、表示制御部14にそれらの情報を送る。
【0120】
<ステップ21>
表示制御部14は、端末側制御部2から受けた情報に基づき、選択された変換候補に応じた変換後の文字を読影レポートの表示欄に反映させる。
【0121】
(第1レポート端末の全体構成)
次に第1実施形態にかかる第1レポート端末の全体構成について図8を参照し、第1レポート端末20の例において説明する。図3に示すように、第2レポート端末30Aは、主制御部21、送受信部22、表示部23、操作部24、表示制御部25、変換部26および記憶部27を含んで構成されている。一例において第1レポート端末20は、医師等のユーザが通常使用するレポート端末であり、その記憶部27には医療機関の文書を作成するための医用辞書データが記憶されている。
【0122】
なお、主制御部21、送受信部22、表示部23、操作部24、表示制御部25、変換部26および記憶部27等、第1レポート端末20のハードウェア構成については、第2レポート端末30Aと同様であるため、説明を割愛する。
【0123】
<医用辞書データ登録処理>
操作部24からの操作を受け、主制御部21は送受信部22を介してクラウドサーバ1に医用辞書データの登録画面データの要求を送信する。主制御部21は、表示制御部25に画面データを送る、表示制御部25は、画面データに基づき医用辞書データの登録画面を表示部23に表示させる。なお、第2レポート端末30Aの表示制御部14における取得要求作成画面の表示処理例1および例2において説明したように、医用辞書データの登録画面は、ウェブブラウザを介して表示されてもよい。
【0124】
当該登録画面上で、記憶部27に記憶された医用辞書データの選択操作、および当該医用辞書データにおける属性情報の入力があると、主制御部21は選択された医用辞書データ、および入力された属性情報を一時的に記憶する。さらに操作部24を介して当該画面の表示時に登録する医用辞書データの確定操作がなされると、一時的に記憶された属性情報と医用辞書データとが、主制御部21により送受信部22を介してクラウドサーバ1に送信される。
【0125】
なお、医用辞書データの辞書ファイル名は、属性情報の入力時に入力されてもよく、上記確定操作の後に辞書ファイル名の入力を促すように構成されていてもよい。また、属性情報のうち、ユーザ名、ユーザの所属医療機関名、当該所属医療機関が属する病院グループ名、ユーザの所属科名およびアカウント情報、ならびにこれらの識別情報は、ユーザが入力しなくても、医用辞書データの登録プログラムにより主制御部21が取得する構成であってもよい。すなわち主制御部21は、第1レポート端末20においてあらかじめ記憶されたシステム情報等の各種情報から上記識別情報を取得する。
【0126】
また、医用辞書データの登録処理の他の例について説明する。この例において主制御部21は、医用辞書データを所定のタイミングでクラウドサーバ1に送信する。例えば、また医用辞書データを使用するアプリケーションの終了操作があった時に、まず主制御部21は医用辞書データの登録プログラムにしたがって、属性情報をシステム情報等から取得する。さらに属性情報に対応する医用辞書データ名と医用辞書データとが主制御部21に送信される。また他の例として、医用辞書データが記憶されているレポート端末(第1レポート端末20等)の停止操作(シャットダウン操作)からレポート端末の電源が落とされるまでの間にこれらの処理が行われてもよい。また、また医用辞書データが記憶されているレポート端末のシステムログアウト時にこれらの処理が行われてもよい。
【0127】
(クラウドサーバの登録処理)
次に、クラウドサーバ1における医用辞書データの新規登録処理について説明する。クラウドサーバ1は、第1レポート端末20から医用辞書データの登録要求とともに、医用辞書データ、およびそれに関連付けられた属性情報を受けると、送受信部5を介して主制御部3に送る。主制御部3は当該登録要求における属性情報のフォーマットが、辞書DBのテーブルにおける各種属性情報のフォーマットのいずれかに該当するか判断する。
【0128】
主制御部3は、登録要求にかかる属性情報のフォーマットが辞書DBのテーブルにおけるフォーマットに適合しないと判断した場合、登録要求を送信したレポート端末に対し、属性エラーの判定データを出力する。当該エラーの判定データを受けたレポート端末は、当該データに基づき登録要求のエラーの表示をする。主制御部3は、登録要求にかかる属性情報が辞書DBのテーブルにおけるフォーマットに適合すると判断した場合、医用辞書データの登録処理を行う。
【0129】
なお主制御部3が、取得要求における属性情報の少なくともいずれか1つだけでも辞書DBの各種属性情報に該当していれば、取得要求における他の属性情報が、各種属性情報に該当しなくてもよいと判断する構成としてもよい。ただし、この場合、医用辞書データ記憶部7の辞書DBに登録される属性情報は、辞書DBに適合するもののみである。
【0130】
これに対し、主制御部3が取得要求における各属性情報の全てについて、辞書DBの対応する属性情報のフォーマットにそれぞれ該当していなければ、非該当と判断し、属性エラーの判定データを出力する構成としてもよい。
【0131】
主制御部3は、登録要求にかかる属性情報のフォーマットが辞書DBのテーブルにおけるフォーマットに適合すると判断した場合、登録要求にかかる医用辞書データと、フォーマットに適合する属性情報とを関連付けて医用辞書データ記憶部7の辞書DBに記憶させる。ここで、登録要求の属性情報の判定処理において、登録要求に、辞書DBに設定された全種類の属性情報のすべてが含まれていなければ属性情報のエラーを出力する構成であれば、医用辞書データとともに当該全種類の属性情報が登録される。これに対し、登録要求に、辞書DBに設定された全種類の属性情報のうち1以上の属性情報が含まれていれば属性情報が適合していると判断する構成であれば、当該適合する属性情報のみが医用辞書データと関連付けられて登録される。
【0132】
主制御部3は医用辞書データの登録処理を完了すると、いずれの場合(登録可/エラー)であっても、処理のログを登録処理にかかるレポート端末に送信する。
【0133】
(クラウドサーバの更新処理)
次に、クラウドサーバ1における医用辞書データの更新処理(追加登録処理)
について説明する。クラウドサーバ1は、第2レポート端末30A等のレポート端末から医用辞書データの更新要求とともに、新たな変換候補のデータ、およびそれに関連付けられた属性情報を受けると、送受信部5を介して主制御部3に送る。主制御部3は当該登録要求における属性情報のフォーマットが、辞書DBのテーブルにおける各種属性情報のフォーマットのいずれかに該当するか判断する。なお、上記「更新要求」および「新たな変換候補のデータ」は、「更新情報」の一例に該当する。
【0134】
主制御部3により、更新要求にかかる属性情報のフォーマットが辞書DBのテーブルにおけるフォーマットに適合しないと判断された場合、および適合すると判断された場合については、医用辞書データの登録処理と同様である。ただし、更新処理において主制御部3は、更新要求のデータに基づき、更新対象の医用辞書データを特定し、特定した医用辞書データに当該新たな変換候補のデータを追加で記憶させる。なお、変換候補のデータには、入力文字とそれ対応する変換後文字とが含まれる。さらに、変換候補のデータに当該変換候補の第1優先度情報が含まれていてもよい。いずれの場合であっても主制御部3は更新する医用辞書データにおいて新たな変換候補の優先度順を定めて記憶させる。
【0135】
主制御部3は医用辞書データの更新処理を完了すると、いずれの場合(更新可/エラー)であっても、処理のログを更新処理にかかるレポート端末に送信する。
【0136】
(更新処理にかかるクラウドサーバ1の動作)
次に、更新要求により医用辞書データの新たな変換候補を受けるクラウドサーバ1の動作について、図9を参照して説明する。図9は、第1実施形態にかかるクラウドサーバ1の動作の概略を示すフローチャートであり、更新要求から更新処理にかかるログを送信するまでの動作の概要を示すものである。
【0137】
<ステップ31>
クラウドサーバ1の主制御部3は、第2レポート端末30Aから、送受信部5を介して医用辞書データの更新要求を受ける。このとき更新要求には、属性情報と、その属性情報により特性される医用辞書データの新たな変換候補が含まれる。なお、変換候補のデータに当該変換候補の第1優先度情報が含まれていてもよい。
【0138】
<ステップ32>
主制御部3は更新要求における属性情報のフォーマットが、辞書DBのテーブルにおける各種属性情報のフォーマットのいずれかに適合するか判定する。なお、更新要求を送信したレポート端末にて当該属性情報判定処理を実行する構成の場合には、クラウドサーバ1は当該S32の処理を行わない。
【0139】
<ステップ33−1>
S32の判断の結果、更新要求における属性情報が適切でないと判断された場合(S32;No)、主制御部3は属性情報判定エラーのデータを送受信部5を介して更新要求にかかるレポート端末に送信する。またこの場合、クラウドサーバ1は医用辞書データの一連の更新処理を終了する。
【0140】
<ステップ33−2>
S32の判断の結果、更新要求における属性情報が適切と判断された場合(S02;Yes)、主制御部3は、更新要求にかかる属性情報に基づき、医用辞書データ記憶部7の辞書DBから該当する医用辞書データを特定する。なお、主制御部3は更新要求に含まれ、属性情報判定処理にかかる全ての属性情報に該当する医用辞書データを特定するか、あるいは更新要求に含まれた各種属性情報の少なくとも1つを用いて特定する。
【0141】
<ステップ34>
主制御部3は、S33−2において特定された医用辞書データに対し、更新要求にかかる第1優先度情報に基づき、優先度順を設定した上で新たな変換候補を追加で記憶させる。
【0142】
<ステップ35>
S34の更新処理後、または上記エラー判定後、主制御部3は、更新処理の結果のログを作成する。例えば、主制御部3はエラーとなった属性情報の情報と更新処理がエラーとなった旨をログとして作成する。あるいは主制御部3により適合する属性情報の情報と、追加で記憶された処理の経過とを含むログが作成される。
【0143】
<ステップ36>
主制御部3は、送受信部5を介し、S35において作成されたログを第2レポート端末30A等のレポート端末に送信する。なお、更新要求にかかるレポート端末から更新要求とともにログが要求された場合にのみログを送信する構成としてもよい。
【0144】
(作用・効果)
以上説明した第1実施形態にかかる医用システム100の作用および効果について説明する。
【0145】
レポート端末のユーザは、使用する頻度の高いレポート端末(第1レポート端末20等)において、読影レポート、医用レポート等の文書を作成するにあたり、文書作成の効率向上等のためにして登録した用語等を含み、入力文字の変換に用いられる医用辞書データを作成して記憶させている。本実施形態における医用システム100は、この医用辞書データをクラウドサーバ1において管理し、クラウドサーバ1に接続された他のレポート端末において使用可能である。なお、他のレポート端末(第2レポート端末30A、第3レポート端末30B等)はユーザが使用するが、使用頻度が低いレポート端末等である。
【0146】
このような構成によれば、ユーザが当該他のレポート端末を使用する場合であっても、使用頻度の高いレポート端末における医用辞書データを使用することが可能である。その結果、異なる医療機関の間、あるいは異なる診療科の間でも、同様の医用辞書データを使用することが可能である。したがって、医療機関の文書において同一の内容について同様の表現で記載することができるため、表現を統一的にすべき文書において、表現のばらつきを防止することが可能である。
【0147】
また、本実施形態の医用システム100は、異なる医療機関、あるいは異なる診療科のすべての端末において、同一の医用辞書データを登録、または更新する作業を行う必要がない。したがって、ユーザの労力を軽減することが可能である。
【0148】
以上によれば、医用システム100は、医療機関における異なるレポート端末の間で効率的に医用辞書データを共有することが可能である。
【0149】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかる医用システム100について説明する。取得部9の検索処理において取得された医用辞書データが、医用辞書データの取得要求にかかるレポート端末(第2レポート端末30A等)において使用できないフォーマットのデータである場合がある。第2実施形態では、例えばクラウドサーバ1が取得した医用辞書データについて、取得要求にかかるレポート端末における使用の可否を判断する。クラウドサーバ1による判断の結果、使用不可と判断された場合、クラウドサーバ1は、当該レポート端末において使用可能となるように医用辞書データのフォーマットのコンバート処理を行う。
【0150】
例えば、クラウドサーバ1は、送受信部5を介して第2レポート端末30Aから医用辞書データの取得要求とともに、第2レポート端末30Aにおける文書作成アプリケーションを示すアプリケーション識別情報を属性情報として受ける。ここで第1実施形態と同様に、主制御部3に属性情報判定処理が行われ、かつ取得部9により検索処理が行われる。検索処理の結果、取得された医用辞書データがあった場合、主制御部3は、その医用辞書データの属性情報のうちアプリケーション識別情報を抽出する。また主制御部3は抽出されたアプリケーション識別情報と取得要求にかかるアプリケーション識別情報とを対比する。
【0151】
対比の結果、これらのアプリケーション識別情報が対応している場合には、主制御部3はレポート端末において使用可能であると判断し、送受信部5を介し、医用辞書データと属性情報とを第2レポート端末30Aに送信する。
【0152】
これに対し、これらのアプリケーション識別情報が対応しない場合、主制御部3はその医用辞書データを、取得要求にかかるレポート端末において使用不可であると判断する。主制御部3は使用不可と判断された医用辞書データについてコンバート処理を行う。例えば、取得した医用辞書データのフォーマットを取得要求にかかるアプリケーション識別情報のフォーマットに変換する。コンバート処理によりレポート端末において使用可能となった処理後の医用辞書データと属性情報とは送受信部5を介して第2レポート端末30Aに送られる。
【0153】
なお、取得要求にアプリケーション識別情報が含まれない場合もある。その場合、主制御部3は取得部9から医用辞書データと属性情報とを受けると、取得要求にかかるレポート端末にアプリケーション識別情報の取得要求を実行する。主制御部3は、レポート端末におけるアプリケーション識別情報を受けると、上記対比を含む使用の可否についての判断を行う。また主制御部3は上記と同様に判断結果に応じてコンバート処理等を行う。
【0154】
また、他の例において主制御部3は上記対比を含む使用の可否についての判断を行わない構成であってもよい。この場合、主制御部3は医用辞書データ、属性情報、ならびに上記判断およびコンバート処理を実行するためのプログラムを送る。またこの構成においては当該判断およびコンバート処理を当該プログラムに基づき第2レポート端末30A等のレポート端末において実行する。
【0155】
(作用・効果)
以上説明した第2実施形態にかかる医用システム100の作用および効果について説明する。
【0156】
第2実施形態における医用システム100は、医用辞書データをクラウドサーバ1において管理し、クラウドサーバ1に接続された他のレポート端末において使用可能である。このような構成によれば、異なるレポート端末の間で同様の医用辞書データを使用することができ、表現を統一的にすべき医療機関の文書において、表現のばらつきを防止することが可能である。
【0157】
また、医用システム100は、取得要求にかかるレポート端末における医用辞書データの使用の可否を判断し、判断結果に応じてコンバート処理を行う。したがって、例えばレポート端末ごとの文書作成アプリケーションが異なっていても異なるレポート端末の間で同様の医用辞書データを使用することができる。
【0158】
以上によれば、医用システム100は、医療機関における異なるレポート端末の間で効率的に医用辞書データを共有することが可能である。
【0159】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態にかかる医用システム100について説明する。上述のように属性情報判定処理において、取得要求にかかる属性情報が医用辞書データ記憶部7の辞書DBに適合するが、検索処理において該当する医用辞書データが無いと判断される場合がある。第3実施形態では、検索処理において該当する医用辞書データが無いと判断された場合に、取得要求にかかる属性情報に近い属性情報を有する医用辞書データを類似医用辞書データとして検索する。
【0160】
この構成において、例えばクラウドサーバ1では、属性情報判定処理において取得要求に含まれた各属性情報のうち、必須の属性情報(以下、単に「必須属性情報」と記載する。)が設定される。必須属性情報とは、取得要求に含まれた各属性情報のうち、必ずフォーマットが辞書DBに適合しなければならないとして設定される属性情報である。一例において、医用辞書データの属性情報のうち、ユーザの所属科識別情報(放射線科等)が該当する。また他の例においてアプリケーション識別情報であってもよい。
【0161】
検索処理において、必須属性情報を含む取得要求に対して該当する医用辞書データが無いと判断された場合、主制御部3は必須属性情報以外の属性情報を検索クエリから外し、再度検索処理を実行する。例えば所属科識別情報が必須属性情報であって、所属科が放射線科である場合、主制御部3は放射線科という条件を再検索処理に使用しつつ、取得要求にかかるユーザ識別情報を検索クエリから外し、再度の検索処理を実行する。すなわち、取得要求に合致する医用辞書データがなくても、主制御部3は近い条件の医用辞書データを検索することになる。
【0162】
主制御部3は近い条件の医用辞書データが検索されると、送受信部5を介し、再検索時の検索に用いられた属性情報と、当該医用辞書データと、検索ログとを取得要求にかかるレポート端末(第2レポート端末30A等)に送る。
【0163】
ここで、第2実施形態を組み合わせることが可能である。例えば再検索において放射線科という所属科識別情報は合致しているものの、使用するアプリケーション(アプリケーション識別情報)が異なる医用辞書データが検索された場合、主制御部3等は、第2実施形態におけるコンバート処理を行うように構成してもよい。
【0164】
なお、インターフェース記憶部11には、取得された医用辞書データが類似医用辞書データであることや、類似医用辞書データの属性情報(ユーザ識別情報等)等を表示するための表示画面データが記憶されていてもよい。主制御部3は、類似医用辞書データとともに、当該表示画面データを取得要求にかかる医用辞書データに送る。
【0165】
(作用・効果)
以上説明した第3実施形態にかかる医用システム100の作用および効果について説明する。
【0166】
第3実施形態における医用システム100は、医用辞書データをクラウドサーバ1において管理し、クラウドサーバ1に接続された他のレポート端末において使用可能である。このような構成によれば、異なるレポート端末の間で同様の医用辞書データを使用することができ、表現を統一的にすべき医療機関の文書において、表現のばらつきを防止することが可能である。
【0167】
また、医用システム100は、取得要求に合致する医用辞書データがなくても、近い条件の医用辞書データを検索する。したがって、例えば所定のユーザの医用辞書データを検索して検索されなかった場合であっても、当該所定のユーザと同じ所属科の他のユーザの医用辞書データを検索することが可能である。すなわち、使用頻度の低いレポート端末の使用時に、ユーザが医用辞書データを使用したいにもかかわらず、検索するための属性情報がわからない場合、または失念してしまった場合がある。その場合でも、上記構成によれば類似医用辞書データを取得することができる。
【0168】
以上によれば、医用システム100は、医療機関における異なるレポート端末の間で効率的に医用辞書データを共有することが可能である。
【0169】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態にかかる医用システム100について説明する。取得要求の結果、第2レポート端末30A等のレポート端末において複数の医用辞書データが取得される場合がある。ただし、上述のようにフォーマットの違い等によって医用辞書データごとに使用可能な医用辞書データが異なる場合がある。第4実施形態においては、属性情報に基づき、複数の医用辞書データをそれぞれ必要な用途にのみ使用するよう、制御が行われる。なお、このプログラムは例えばインターフェース記憶部11に記憶されている。
【0170】
(第1の例)
例えば、第2レポート端末30Aは、送受信部4を介してクラウドサーバ1から医用辞書データとともに、該データに関連付けられた属性情報および起動されたアプリケーションの識別プログラムを受ける。この起動されたアプリケーションの識別プログラムとは、アプリケーション識別情報に基づきレポート端末において起動されたアプリケーションと医用辞書データとが対応するか判断するプログラムである。
【0171】
一例において、端末側制御部2は記憶部10から操作に応じて文書作成アプリケーションを読み出すときに、各辞書データを読み出す。また端末側制御部2は各辞書データにかかる属性情報のうち、アプリケーション識別情報を抽出する。さらに端末側制御部2は、識別プログラムを読み出す。また端末側制御部2は、プログラムにしたがって、抽出した各アプリケーション識別情報に基づき、各辞書データが、起動されたアプリケーションに対応するか判断する。端末側制御部2は、読みだした辞書データのうち、変換部12が対応すると判断された辞書データのみを変換処理に使用するよう指示する。
【0172】
(第2の例)
第2の例において、クラウドサーバ1の属性情報判定処理における必須属性情報として、使用用途識別情報が設定されているものとする。使用用途識別情報とは、例えば読影レポート作成用、特定の診療科の所見レポート作成用、論文作成用、医療会計用等、作成する医療機関の文章の種別である。第2レポート端末30Aは、送受信部4を介してクラウドサーバ1から医用辞書データとともに、該データに関連付けられた属性情報および使用用途の選択操作を行うための表示画面データを受ける。表示画面データは、属性情報において設定された各使用用途をユーザが操作部8により選択するためのデータである。また、取得された医用辞書データの属性情報には必須属性情報としての使用用途識別情報が含まれているものとする。
【0173】
一例において、端末側制御部2は記憶部10から操作に応じて文書作成アプリケーションを読み出すときに、各辞書データを読み出す。また端末側制御部2は各辞書データにかかる属性情報のうち、使用用途識別情報を抽出する。さらに端末側制御部2は、上記表示画面データを読み出し表示制御部14に送る。表示制御部14は、表示画面データに基づき、使用用途の選択画面を表示部6に表示させる。ユーザにより操作部8を介していずれかの使用用途が選択されると、操作に応じた使用用途識別情報が端末側制御部2を介して変換部12に送られる。変換部12は、選択された使用用途識別情報に対応する記憶部10のみを読み出す。変換部12は、当該使用用途識別情報に対応する医用辞書データのみに基づいて入力文字の変換処理を行う。ただし、使用用途識別情報にかかわらず、第2レポート端末30Aにあらかじめ記憶されていた通常の辞書データは読み出されてもよい。
【0174】
(作用・効果)
以上説明した第4実施形態にかかる医用システム100の作用および効果について説明する。
【0175】
第4実施形態における医用システム100は、医用辞書データをクラウドサーバ1において管理し、クラウドサーバ1に接続された他のレポート端末において使用可能である。このような構成によれば、異なるレポート端末の間で同様の医用辞書データを使用することができ、表現を統一的にすべき医療機関の文書において、表現のばらつきを防止することが可能である。
【0176】
また、医用システム100は、属性情報に基づき、複数の医用辞書データをそれぞれ必要な用途にのみ使用するよう、制御が行う。したがって、レポート端末においてユーザが必要とする医用辞書の使用用途が選択され、その用途に応じた医用辞書データに基づく変換候補を表示することが可能である。
【0177】
以上によれば、医用システム100は、医療機関における異なるレポート端末の間で効率的に医用辞書データを共有することが可能である。
【0178】
[第1変形例]
次に、第1〜第4実施形態の変形例にかかる医用システム200について、第1変形例として説明する。図10は、第1変形例にかかるクラウドサーバ1Aの一例を示す概略ブロック図である。図10に示すように、クラウドサーバ1Aは、主制御部3A、送受信部5A、対応関係記憶部7A、および取得部9Aを含んで構成されている。この構成においては、上記実施形態と異なり、医用辞書データがクラウドサーバ1Aに記憶されておらず、ファイルサーバ7Bに記憶されている。すなわち、クラウドサーバ1Aは、医用システム200における医用辞書データを管理する機能のみを有するように構成されていてもよい。
【0179】
対応関係記憶部7Aには、医用辞書データの記憶場所と、医用辞書データ名と、各属性情報の対応関係が記憶されている。主制御部3は属性情報判定処理において対応関係記憶部7Aを参照して医用辞書データおよび属性情報をファイルサーバ7Bから取得する。
【0180】
(第1変形例のクラウドサーバの動作)
次に、第1変形例にかかるクラウドサーバ1Aの動作について、図11および図12を参照して説明する。図11および図12は、実施形態の第1変形例にかかるクラウドサーバ1Aの動作の概略を示すフローチャートである。なお、図11および図12は医用辞書データの取得にかかるクラウドサーバ1Aの動作について概要を示すものである。
【0181】
<ステップ51>
クラウドサーバ1Aの主制御部3Aは、第2レポート端末30Aから、送受信部5を介して属性情報を検索クエリとした医用辞書データの取得要求を受ける(「属性情報受信ステップ」の一例に該当)。
【0182】
<ステップ52>
主制御部3Aは取得要求における属性情報が適切であるか判断する。例えば、主制御部3Aは、取得要求における属性情報のフォーマットが対応関係記憶部7Aのテーブルにおける各種属性情報のフォーマットのいずれかに適合するか判定する。なお、取得要求を送信したレポート端末にて当該属性情報判定処理を実行する構成の場合には、クラウドサーバ1Aは当該S52の処理を行わない。
【0183】
<ステップ53>
S52の判断の結果、取得要求における属性情報が適切と判断された場合(S52;Yes)、主制御部3Aは、取得部9Aに検索処理の実行指示を出力する。取得部9Aは指示を受け、取得要求にかかる属性情報に基づき、送受信部5を介し、ファイルサーバ7Bから該当する医用辞書データを検索する。なお、取得部9Aは取得要求に含まれ、属性情報判定処理にかかる全ての属性情報に該当する医用辞書データを検索するか、あるいは取得要求に含まれた各種属性情報の少なくとも1つを用いて検索する。
【0184】
<ステップ54>
S52の判断の結果、取得要求における属性情報が適切でないと判断された場合(S52;No)、主制御部3Aは属性情報判定エラーのデータを送受信部5Aを介して取得要求にかかるレポート端末に送信する。またこの場合、クラウドサーバ1Aは医用辞書データの一連の取得処理を終了する。
【0185】
<ステップ55>
取得部9Aは、S53の検索処理の結果、取得要求にかかる医用辞書データがファイルサーバ7Bに存在するか判定する。
【0186】
<ステップ56>
S55の判断の結果、取得要求にかかる医用辞書データがあったと判断した場合(S55;Yes)、取得部9Aは該当する医用辞書データ記憶場所をファイルサーバ7Bから特定する(「医用辞書情報取得ステップ」の一例に該当)。さらに取得部9Aは、該当する医用辞書データとともに、医用辞書データに関連付けられた各属性情報を取得する。該当する医用辞書データが複数ある場合、取得部9は医用辞書データごとに関連付けられた各属性情報を取得する。
<ステップ57>
S55の判断の結果、取得要求にかかる医用辞書データが無かったと判断した場合(S55;No)、取得部9Aは該当データが無かったことを示す判定エラーのデータを送受信部5Aを介して、取得要求にかかるレポート端末に送信する。またこの場合、クラウドサーバ1Aは医用辞書データの一連の取得処理を終了する。
【0187】
<ステップ58>
クラウドサーバ1Aは、主制御部3等により送受信部5Aを介してファイルサーバ7BへS57で特定した医用辞書データの記憶場所に記憶されている医用辞書データの取得要求を送る。
【0188】
<ステップ59>
クラウドサーバ1Aは、送受信部5Aを介してファイルサーバ7BからS58の取得要求にかかる医用辞書データを受ける。なお、S53において取得部9Aが取得要求に含まれた各種属性情報の少なくとも1つを用いて検索する場合であって、かつ検索結果として同一の医用辞書データが複数該当した場合、1データ分だけを取得する。またこの場合は辞書DBの該当した属性情報のみを医用辞書データとともに取得する。
【0189】
<ステップ58>
S56において抽出された医用辞書データは、主制御部3Aにより医用辞書データと各属性情報の関連付けが維持されたまま、送受信部5Aを介して第2レポート端末30Aに送られる(「辞書情報送信ステップ」の一例に該当)。主制御部3Aは、取得要求にかかる検索ログをこれらのデータとともに第2レポート端末30Aに送ってもよい。
【0190】
なお、ファイルサーバ7Bにおいて、第1実施形態において説明したインターフェース記憶部11に記憶された各データを記憶する記憶領域が設けられていてもよい。またインターフェース記憶部11に記憶された各データが他のファイルサーバに記憶されていてもよい。
【0191】
第1変形例にかかる医用システムにおいても上記実施形態と同様に、医療機関における異なるレポート端末の間で効率的に医用辞書データを共有することが可能である。
【0192】
[第2変形例]
次に、第1〜第4実施形態の変形例にかかる医用システム300について、第1変形例として説明する。図13は、第2変形例にかかる医用システム300の第1レポート端末20Aの一例を示す概略ブロック図である。図13に示すように、第1レポート端末20Aは、第1〜第4実施形態と同様に、主制御部21A、送受信部22A、表示部23A、操作部24A、表示制御部25A、変換部26Aおよび記憶部27Aの他、医用辞書データ記憶部28Aを含んで構成されている。この構成においては、上記実施形態と異なり、医用辞書データがクラウドサーバ1Aに記憶されておらず、クラウドサーバ1が第1レポート端末20Aから取得する。すなわち、クラウドサーバ1Aは、医用システム300における医用辞書データを管理する機能のみを有するように構成されていてもよい。
【0193】
なお、主制御部21A、送受信部22A、表示部23A、操作部24A、表示制御部25A、変換部26Aおよび記憶部27A等、第1レポート端末20のハードウェア構成については、上記実施形態と同様であるため、説明を割愛する。
【0194】
例えば、クラウドサーバ1の取得部9は属性情報判定処理を経て、第1変形例と同様に検索処理を行う。ただし、検索処理の対象は第1レポート端末20Aの医用辞書データ記憶部28Aである。
【0195】
取得部9は、属性情報判定処理において適合すると判断された属性情報に対応する医用辞書データを検索する。検索の結果、医用辞書データがあると判断されると、取得部9は、検索された医用辞書データの記憶場所を、第1レポート端末20Aの医用辞書データ記憶部28Aを参照して特定する。主制御部3は送受信部5を介して、取得部9において特定した記憶場所の情報とともに医用辞書データの取得要求を第1レポート端末20Aに送る。
【0196】
第1レポート端末20Aの主制御部21Aは、送受信部22Aを介して取得要求を受け、記憶場所の情報に基づき医用辞書データ記憶部28Aから医用辞書データを読み出す。読み出された医用辞書データは、主制御部21Aにより、送受信部22Aを介してクラウドサーバ1に送られる。第2変形例におけるその他の構成は上記実施形態と同様である。
【0197】
[第3変形例]
次に、第1〜第4実施形態の第3変形例について説明する。上記実施形態における医用システムでは、医用辞書データの取得要求にしたがって複数の医用辞書データが検索される場合がある。上記実施形態においては、第2レポート端末30A等が、複数の医用辞書データに基づく変換候補を医用辞書データごとに並列表示する場合や、切り替え表示する場合がある。またその場合、複数の医用辞書データの変換候補が表示される場合、医用辞書データ別に変換候補の選択操作をする必要がある。
【0198】
したがって第3変形例は、例えばクラウドサーバ1のインターフェース記憶部11において、医用辞書データの変換候補の表示操作、および変換操作の操作マニュアルを表示する表示画面データを記憶する構成である。当該操作マニュアルのデータは、医用辞書データとともに取得要求にかかるレポート端末に送られる。
【0199】
上記第1〜第4実施形態およびその変形例にかかる医用システムは、医用辞書データをクラウドサーバにおいて管理し、クラウドサーバに接続された他のレポート端末において使用可能である。このような構成によれば、異なるレポート端末の間で同様の医用辞書データを使用することができ、表現を統一的にすべき医療機関の文書において、表現のばらつきを防止することが可能である。
【0200】
また、上記第1〜第4実施形態およびその変形例は、適宜組み合わせて構成することが可能である。
【0201】
この発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0202】
100 医用システム
1 クラウドサーバ
2 端末側制御部
3 主制御部
7 医用辞書データ記憶部
8 操作部
11 インターフェース記憶部
12 変換部
14 表示制御部
20 第1レポート端末
28A 医用辞書データ記憶部
30A 第2レポート端末
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13