特許第6173758号(P6173758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電波工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6173758-接合型水晶発振器 図000002
  • 特許6173758-接合型水晶発振器 図000003
  • 特許6173758-接合型水晶発振器 図000004
  • 特許6173758-接合型水晶発振器 図000005
  • 特許6173758-接合型水晶発振器 図000006
  • 特許6173758-接合型水晶発振器 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173758
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】接合型水晶発振器
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20170724BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   H03B5/32 H
   H03H9/02 K
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-91289(P2013-91289)
(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-216753(P2014-216753A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(74)【代理人】
【識別番号】100094651
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 晃
(72)【発明者】
【氏名】播磨 秀典
【審査官】 石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−349555(JP,A)
【文献】 特開2010−103139(JP,A)
【文献】 特開平11−176879(JP,A)
【文献】 特開2013−066109(JP,A)
【文献】 特開2010−056930(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/056725(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0295421(US,A1)
【文献】 特開2007−149815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/32
H03H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水晶振動子を収容した水晶パッケージと、水晶発振子と共に発振回路を構成するICチップ等の電子回路部品を収容した回路パッケージを二段に接合した接合型水晶発振器であって、
前記水晶パッケージの容器は、前記回路パッケージと対向する裏面に複数の面状の出力端子が当該裏面より一段高く形成されており、
前記回路パッケージは、前記水晶パッケージと対向する上面の当該水晶パッケージに形成された出力端子に対応する位置に複数の面状の外部端子が当該上面より一段高く形成されており、
前記水晶パッケージの前記回路パッケージと対向する裏面と、前記回路パッケージの前記水晶パッケージと対向する上面との間に、熱硬化性樹脂にはんだ微粒子を分散した異方性導電接着剤が介在されてなり、
前記水晶パッケージに形成された前記出力端子の厚みをCμm、前記回路パッケージに形成された前記外部端子の厚みをDμm、前記異方性導電接着剤に分散された前記はんだ微粒子の平均外径をEμmとしたとき、
(C+D)>Eであって、
前記はんだ微粒子の平均外径Eは20乃至30μmに設定され、前記水晶パッケージに形成された前記出力端子の厚みと前記回路パッケージに形成された前記外部端子の厚みの合計(C+D)は30μm以上に設定され、
前記水晶パッケージの容器の裏面に設けられた複数の面状の出力端子の表面同士の間の前記回路パッケージの外部端子から離れる方向の反り量をA(A≧0)とし、
前記回路パッケージの容器の上面に設けられた複数の面状の外部端子の表面同士の間の前記水晶パッケージの出力端子から離れる方向の反り量をB(B≧0)としたとき、
(A+B)≦20μmとした水晶パッケージ及び回路パッケージを用いて接合したことを特徴とする接合型水晶発振器。
【請求項2】
請求項1において、
前記水晶パッケージの容器及び前記回路パッケージのうち、前記水晶パッケージの容器は水晶板の加工品であることを特徴とする接合型水晶発振器。
【請求項3】
請求項1において、
前記水晶パッケージの容器及び前記回路パッケージの容器は、共に水晶板の加工品であることを特徴とする接合型水晶発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装型の水晶発振器に係り、特に、水晶発振子を収容した水晶パッケージと、この水晶発振子と共に発振回路を構成するICチップ等の電子回路部品を収容した回路パッケージを二段に接合した水晶発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器は、例えば温度補償型として携帯電話等の移動体通信機器に多く使用されている。近年では、生産性の観点から、電子部品を収容した実装基板を水晶振動子の底面に接合した表面実装型の水晶発振器がある。
【0003】
第5図は、水晶パッケージと回路パッケージを二段に接合した従来の表面実装型の水晶発振器を説明する断面模式図で、図5(a)は両者を接合する前の状態を、図5(b)は両者を一体に接合した状態を示す。この水晶発振器は、内部に水晶片を収容した水晶パッケージ1に有する出力端子(水晶出力端子)2の設置面(底壁(裏面))と、水晶片(図示を省略)と共に発振回路を構成するICチップ(図示を省略)を収容した回路パッケージ3に設けた外部端子(水晶入力端子)4の設置面(上面)とを上下二段に接合して構成される。水晶パッケージ1に有する出力端子2、回路パッケージ3に設けた外部端子4は、それぞれ、水晶パッケージ1の出力端子2が設置された底面である裏面1A、回路パッケージ3の外部端子4の上面3Aから一段高く形成されている。
【0004】
上記水晶パッケージ1と回路パッケージ3との電気的接合には、接着性を有する異方性導電接着剤6が用いられている。この異方性導電接着剤6は、絶縁性の高い接着剤中に導電粒子を均一に分散させたもので、相対向する電極間の電気的接続と隣接電極間の絶縁とパッケージ間の固定に用いられる。リフロー処理などの熱処理工程に使用されるものとして、耐熱性が高く、かつ絶縁性の高いエポキシ樹脂を用い、はんだ粉(以下、はんだ微粒子)を導電粒子としたものがある。このような異方性導電接着剤は、接合電極の表面にはんだのプリコートを不要とするものも知られている。
【0005】
水晶パッケージ1と回路パッケージ3との貼り合わせ面に熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)62にはんだ微粒子61を分散した異方性導電接着剤6を塗布する(図5(a)参照)。異方性導電接着剤6は、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)62にはんだ微粒子61を分散した半田粒子入り熱硬化樹脂剤で、この例では、回路パッケージ3の外部端子4の設置面である当該外部端子4を含めた上面3Aにペースト状としたものを塗布する。なお、異方性導電接着剤6は、ペースト状のものに代えて、液状としたものがあり、これを塗布し、あるいはフィルム状に成形したものを貼付してもよい。水晶パッケージ1や回路パッケージ3の容器(筐体)は、ガラスエポキシ板、セラミックス板、水晶板あるいはガラス板を成型加工して形成される。
【0006】
回路パッケージ3の外部端子4の上面3Aに塗布された異方性導電接着剤6の上に水晶パッケージ1の出力端子2が設置された底面である裏面1Aを当該出力端子2が前記外部端子4に正しく対向するように位置合わせし、リフロー炉で両者を押圧加熱処理する。この処理により、水晶振動子パッケージ1と回路パッケージ3とは、図5(b)に示したように接合される。すなわち、出力端子2と外部端子4との間にあるはんだ粒子61aは、出力端子2と外部端子4との間で押し潰される。出力端子2と外部端子4の両端子は押し潰されたはんだ微粒子61aで電気的に接続される。
【0007】
水晶パッケージ1と回路パッケージ3の間にある異方性導電接着剤6は、そのエポキシ樹脂の加熱による溶融とその後の冷却による硬化で水晶パッケージ1と回路パッケージ3を機械的に強固に接合し、一体の電子部品とした二段接合の水晶発振器となる。この種の二段接合型の水晶発振器の従来例としては、特許文献1、特許文献2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−349555号公報
【特許文献2】特開2009−105628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図6は、図5で説明した二段接合した従来の表面実装型の水晶発振器における水晶パッケージと回路パッケージの接合不良の発生原因を説明する断面模式図である。水晶パッケージ1の接合面1Aと回路パッケージ3の接合面3Aの何れか一方又は双方に非平坦、あるいは部分的な反りなどの非平行歪があると、水晶パッケージ1の出力端子2と回路パッケージ3の外部端子4の間にある半田粒子61が、図6の円で囲ったB部分に示したように、押圧加熱処理で潰されないままとなる場合がある。
【0010】
図6には、回路パッケージ3の外部端子4の一つを設けた上面3Aが、水晶パッケージ1の裏面1Aに対して部分的に紙面の右下方向に反った非平行歪がある場合として示す。この結果、水晶パッケージ1の出力端子2と回路パッケージ3の外部端子4との間にあるはんだ微粒子61は押し潰しが不十分、あるいは皆無となり、電気的接続が得られないという不具合が発生し、不良部品となって製造歩留まりの低下をもたらす。水晶パッケージ1の裏面1A、あるいは水晶パッケージ1の出力端子2を設けた裏面1Aと回路パッケージ3の外部端子4を設けた上面3Aの両方に反りなどの非平行歪がある場合も同様の不具合が生じる。
【0011】
本発明の目的は、水晶パッケージと回路パッケージの接合面に非平行歪があることに起因して起こる水晶パッケージの出力端子と回路パッケージの外部端子との電気的接続不良の発生を低減して、製造歩留まりを向上させた接合型水晶発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の接合型水晶発振器は、
(1)水晶振動子を収容した水晶パッケージと、水晶発振子と共に発振回路を構成するICチップ等の電子回路部品を収容した回路パッケージを二段に接合した水晶発振器であって、
(2)前記水晶パッケージの容器は、前記回路パッケージと対向する裏面に複数の面状の出力端子が当該裏面より一段高く形成されており、
(3)前記回路パッケージは、前記水晶パッケージと対向する上面の当該水晶パッケージに形成された出力端子に対応する位置に複数の面状の外部端子が当該上面より一段高く形成されており、
(4)前記水晶パッケージの前記回路パッケージと対向する裏面と、前記回路パッケージの前記水晶パッケージと対向する上面との間に、熱硬化性樹脂に球形のはんだ微粒子を分散した異方性導電接着剤を介在させてなり、
(5)前記水晶パッケージに形成された前記出力端子の厚みをCμm、前記回路パッケージに形成された前記外部端子の厚みをDμm、前記異方性導電接着剤に分散された前記はんだ微粒子の平均外径をEμmとしたとき、
(6)(C+D)>Eとした
ことを特徴とする。
(7)前記はんだ微粒子の平均外径Eを20乃至30μmとしたとき、前記水晶パッケージに形成された前記出力端子の厚みと前記回路パッケージに形成された前記外部端子の厚みの合計(C+D)を30μm以上とした
ことを特徴とする。
(8)前記水晶パッケージの容器及び前記回路パッケージのうち、前記水晶パッケージの容器は水晶板の加工品である
ことを特徴とする。
(9)前記水晶パッケージの容器及び前記回路パッケージの容器は、共に水晶板の加工品である
ことを特徴とする。
(10)前記水晶パッケージの容器の裏面に設けられた複数の面状の出力端子の表面同士の間の前記回路パッケージの外部端子から離れる方向の反り量をA(A≧0)とし、前記回路パッケージの容器の上面に設けられた複数の面状の外部端子の表面同士の間の前記水晶パッケージの出力端子から離れる方向の反り量をB(B≧0)としたとき、(A+B)≦20μmとした水晶パッケージ及び回路パッケージを用いて接合する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
水晶パッケージに形成された出力端子の厚みCと回路パッケージに形成された外部端子の厚みDの合計をはんだ微粒子の平均外径Eよりも大とすることで、水晶パッケージに形成された出力端子と回路パッケージに形成された外部端子とは、はんだ微粒子の潰れが確実となり、両者の電気的導通不良が防止される。出力端子と外部端子以外の対向部分は異方性導電接着剤を構成する熱硬化性樹脂によって固く接合される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1を説明する接合型水晶発振器の断面模式図である。
図2図1に示した水晶パッケージと回路パッケージの対向部分を拡大して示す断面模式図である。
図3】水晶パッケージ1と回路パッケージ3の対向面における非平行歪の許容量を説明する断面模式図である。
図4】本発明の実施例2を説明する接合型水晶発振器の断面模式図である。
図5】水晶パッケージと回路パッケージを二段に接合した従来の表面実装型の水晶発振器を説明する断面模式図である。
図6図5で説明した二段接合した従来の表面実装型の水晶発振器における水晶パッケージと回路パッケージの接合不良の発生原因を説明する断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る接合型水晶発振器の実施の形態につき、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1を説明する接合型水晶発振器の断面模式図である。また、図2は、図1に示した水晶パッケージと回路パッケージの対向部分を拡大して示す断面模式図である。図中、図5図6と同じ機能部分には同一の参照符号を付してある。水晶パッケージ1の容器内には水晶片(図示を省略)が収容されている。回路パッケージ3には、水晶片と共に発振回路を構成するICチップ(図示を省略)が収容されている。なお、回路パッケージ3には、水晶発振器の種類によっては温度制御回路、同機構などがICチップに集積され、またはICチップと共に収容されている。
【0017】
水晶パッケージ1の裏面1Aには、水晶振動子の振動信号を出力する複数の出力端子2が設けられている。また、回路パッケージ3の前記水晶パッケージ1の裏面1Aと対向する上面3Aには、水晶パッケージ1から水晶片の振動信号を受け取るための外部端子4が設けられている。
【0018】
水晶パッケージ1に設けた出力端子2、回路パッケージ3に設けた外部端子4は、それぞれ、水晶パッケージ1の裏面1A、回路パッケージ3の上面3Aから一段高く形成されている。なお、参照符号5は、この接合型水晶発振器を適用機器の回路基板等に実装するための表面実装端子である。
【0019】
前記した図5と同様に、水晶パッケージ1の出力端子2と回路パッケージ3の外部端子4との電気的接合には、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂62にはんだ微粒子61を分散させた接着性を有する異方性導電接着剤6が用いられる。この異方性導電接着剤6を水晶パッケージ1の裏面1Aと回路パッケージ3の上面3Aとの間に介在させる。実施例1では、回路パッケージ3の上面3Aに、外部端子4を含めた全面に異方性導電接着剤6を塗布する。その後、水晶パッケージ1の裏面を回路パッケージ3の上面に載置し、出力端子2と外部端子4とが正しく対向するように位置合わせする。
【0020】
位置あわせ後、水晶パッケージ1と回路パッケージ3とを貼り合わせ方向に押圧した状態でリフロー処理を施す。このリフロー処理により、エポキシ樹脂62が溶融すると共に、分散されたはんだ微粒子61も加熱される。図2に示したように、水晶パッケージ1に形成された出力端子2の厚みをCμm、回路パッケージ3に形成された外部端子4の厚みをDμm、異方性導電接着剤6に分散されたはんだ微粒子61の平均外径をEμmとしたとき、(C+D)>Eに設定されている。
【0021】
図2に示したような寸法関係の設定により、水晶パッケージ1の出力端子2と回路パッケージ3の外部端子4の間で加熱されたはんだ微粒子61は上記押圧の圧力で押し潰され、出力端子2と外部端子4は電気的に接続される。溶融した熱硬化性樹脂62は水晶パッケージ1の出力端子を含めた裏面1Aと回路パッケージ3の外部端子4を含めた上面3Aの全面に濡れ広がり、リフロー処理後の冷却で硬化し、両者を機械的にも強固に接合する。
【0022】
このように、水晶パッケージ1に形成された出力端子2の厚みをC、回路パッケージ3に形成された外部端子4の厚みをDμm、異方性導電接着剤6に分散されたはんだ微粒子61の平均外径をEμmとして、(C+D)>Eに設定することで、前記した従来技術の課題として説明した電気的接続不良を回避することができる。
【0023】
以上の説明では、水晶パッケージ1と回路パッケージ3の対向面が平行で、あることを前提としたが、これらの面に反りなどの非平行歪がある場合の対応について、以下に説明する。
【0024】
図3は、水晶パッケージ1と回路パッケージ3の対向面における非平行歪の許容量を説明する断面模式図である。上記の各図と同様の機能部分には同一参照符号を付してある。図3において、水晶パッケージ1の容器の裏面1Aに設けられた複数の面状の出力端子2の表面同士の間の回路パッケージ3の外部端子4から離れる方向の反り量をA(A≧0)とする。また、回路パッケージ3の容器の上面3Aに設けられた複数の面状の外部端子4の表面同士の間の前記水晶パッケージ1の出力端子2から離れる方向の反り量をB(B≧0)とする。そして、これらの合計が(A+B)≦20μmである水晶パッケージ1及び回路パッケージ3を用いる。
【0025】
上記の(A+B)≦20μmを満たさない水晶パッケージ1と回路パッケージ3は接合前に排除する。なお、言うまでもなく、A=0、あるいはB=0の場合は、水晶パッケージ1と回路パッケージ3の一方のみの排除となる。
【0026】
本実施例によれば、図5(b)に示したように、出力端子2と外部端子4の間に押し潰されたはんだ微粒子61aが形成されて良好な接合が達成され、接合型水晶発振器の製造歩留まりを向上することができる。
【実施例2】
【0027】
図4は、本発明の実施例2を説明する接合型水晶発振器の(a)断面模式図、(b)(a)の回路パッケージを水晶パッケージ側から見た平面模式図である。図中、図1図3図5図6と同じ機能部分には同一の参照符号を付してある。本実施例は、水晶パッケージ1と回路パッケージ3を共に水晶板の加工で構成した接合型水晶発振器である。
【0028】
水晶パッケージ1は、底壁11、水晶片12、蓋壁13を貼り合わせて構成される。これら底壁11、水晶片12、蓋壁13は全て水晶板の加工で形成されたものである。水晶片12の両面に励振電極14a,14bが成膜されており、連結部15で基部16に片もち懸架されている。水晶片12の振動信号は、図示しない導体で出力端子2に接続されている。このように、本実施例の接合型水晶発振器を構成する水晶パッケージ1は全体が水晶板を構成材としてある。
【0029】
また、本実施例では、回路パッケージ3も、その容器が水晶板の加工で形成されたものを用いている。この容器は、比較的厚での水晶板をエッチング加工で凹部9が形成され、この凹部9にICチップ9のバンプ8を図示しない凹部の底面に設けた配線パターン(図示せず)の電極パッドに接続して搭載されている。外部端子4とICチップの接続などは、上記の配線パターンで行われる。
【0030】
図4(b)に示したように、回路パッケージ3の解放端の角部分に複数の(ここでは、4個)外部端子4が設けられており、この外部端子4と出力端子2(図4(a)参照)との間のはんだ微粒子61aは押し潰されて平面が拡大した形状になっている。電気的接続が必要な部分以外の回路パッケージ3の開放端は熱硬化性樹脂62で機械的に接合されている。
【0031】
本実施例では、水晶パッケージ1と回路パッケージ3の両方共、容器(水晶パッケージ1は構成材全て)が水晶板で構成されたものであるが、それらの一方のみを水晶板以外の既知の基板(例えば、ガラス・エポキシ板、セラミックス板、ガラス板、等)で構成したものとすることもできる。
【0032】
本実施例によっても、水晶パッケージの出力端子と回路パッケージの外部端子の間に押し潰されたはんだ微粒子が形成されて良好な接合が達成された接合型水晶発振器を得ることができ、当該接合型水晶発振器の製造歩留まりを向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、水晶発振器に限るものではなく、はんだ粒子入りの熱硬化性樹脂からなる異方性導電接着剤を用いる各種の電子部品の接合に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・水晶パッケージ、1A・・水晶パッケージの裏面、2・・出力端子、3・・回路パッケージ、3A・・回路パッケージの上面、4・・外部端子、5・・実装端子、6・・異方性導電接着剤、62・・熱硬化性樹脂、61・・はんだ微粒子、7・・ICチップ、9・・凹部、11・・底壁、12・・水晶片、13・・蓋壁、14a,14b・・励振電極、15・・連結部、16・・基部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6