特許第6173779号(P6173779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173779
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】ボトル飲用水充填装置
(51)【国際特許分類】
   B67C 7/00 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
   B67C7/00
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-119279(P2013-119279)
(22)【出願日】2013年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-234237(P2014-234237A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2016年5月18日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】503201922
【氏名又は名称】株式会社野村工電社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】野村 保夫
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−112468(JP,A)
【文献】 特開2003−317144(JP,A)
【文献】 特開平08−268406(JP,A)
【文献】 特開平09−169392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C3/00−11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部に回動軸が設けられた円盤からなるドラムと、
このドラムの前面側に円周方向へ環状に配列されボトルを前記円盤に対して放射状に、かつ、その給水口を外側に向けて着脱自在に保持する複数のボトル保持具と、
前記回動軸を回動可能に水平に支持する枠体と、
前記ドラムの上方において鉛直方向と平行に配置された前記ボトルの前記給水口の真上に設置され前記ボトル内へ飲用水を注入する給水ノズルと、
前記ドラムの下方において前記給水口の真下に設置され前記ボトル内へ洗浄水を注入する洗浄ノズルと、
前記ドラムを所望の角度で回動させる回動機構と、を備えたことを特徴とするボトル飲用水充填装置。
【請求項2】
前記ボトルにキャップを装着するキャップ巻締機と、
このキャップ巻締機を前記給水ノズルと一体として保持する保持プレートと、
前記枠体に設置されるガイド部材と、を備え、
前記キャップ巻締機は、
前記ボトルの前記キャップを解放自在に保持するチャック部と、
このチャック部を鉛直方向に平行な軸心周りに回転させる回転機構と、
前記チャック部を昇降させる昇降機構と、からなり、
前記保持プレートは、前記チャック部を昇降自在に保持し、
前記ガイド部材は、前記給水ノズルと前記キャップ巻締機のいずれか一方が前記ボトルの前記給水口の真上に配置されるように前記保持プレートを前記円盤に沿って水平方向へ移動可能に支持することを特徴とする請求項1記載のボトル飲用水充填装置。
【請求項3】
前記キャップ巻締機の下方に設置されるキャップ受け部と、
このキャップ受け部に前記キャップを供給するキャップ供給部と、を備え、
前記キャップ受け部は、前記給水ノズルが前記ボトルの前記給水口の真上に配置された状態で前記チャック部が下降した場合に到達する箇所に配置されることを特徴とする請求項2記載のボトル飲用水充填装置。
【請求項4】
投光部と受光部の間に光路を形成し前記受光部における受光量に基づいて前記光路を遮断する対象物の存在を検出する光電センサを備え、
前記投光部及び前記受光部は、前記円盤に対して平行に前記光路を形成するように配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のボトル飲用水充填装置。
【請求項5】
前記ドラムの側方において前記円盤に平行に、かつ、その中心へ向けて高圧の空気を噴射可能に前記給水口の近傍に設置される給気ノズルを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のボトル飲用水充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容量が500cc程度のペットボトル(PET bottle)に飲料水等を充填するボトル飲用水充填装置に係り、特に、容器の洗浄、飲料水等の充填、キャップの装着という一連の工程をバッチ処理で行うことが可能な小型のボトル飲用水充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の飲料水がPET樹脂(ポリエチレンテレフタレート)によって成形された容器、いわゆるペットボトルに充填された状態で販売されている。このペットボトルに飲料水を充填するには、容器を洗浄し、飲料水を充填した後、容器の給水口にキャップを被冠して装着する必要があるが、通常、これらの工程は、洗浄装置、充填装置及び蓋締装置を用いて個別に行われている。しかし、このような方法では、装置が大掛かりなものとなるため、製造費用が高くなり、かつ、広い設置スペースが必要となる。すなわち、従来の方法は、大規模な工場等において大量生産を行う場合には適しているものの、例えば、温泉地等において温泉と同じ成分を含む飲用水を観光客の求めに応じ、その都度、ペットボトルに充填して販売するような場合には適していない。
そこで、このような課題を解決するものとして、広い設置スペースを必要としない小型の飲料水充填装置に対する需要が高まっている。そして、それに関し、既に幾つかの発明や考案が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「ボトル飲用水充填装置」という名称で、繰り返し使用可能な大型のボトルを供給し、このボトルに飲用水を充填した状態で販売するものであって、ボトル容器の洗浄、飲用水の注水、及び打栓を1台で行うことが可能な小型の装置に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、飲用水を充填するボトルが載置されるとともに回動によりボトルの給水口の向きを変更可能に設置されるドラムと、給水ノズル部と、キャップを供給する配栓機と、キャップをハンマによって打栓する打栓機と、洗浄ノズル部と、洗浄水を排出するための配管と、を備えた構造となっている。
このような構造によれば、給水ノズル部と打栓機をドラムの周囲でスペースを効率的に利用しながら配置することができる。また、ボトルを反転した状態でボトルの給水口に下方から洗浄ノズルによって洗浄水を注入して洗浄するため、ボトル内部を洗浄した後、洗浄水がそのままボトルの給水口を通って排出されるという作用を有する。
【0004】
また、特許文献2には、「飲料販売装置」という名称で、飲料をボトルに注入充填して販売する装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、ボトルを収容する飲料注入ボックスと、この飲料注入ボックス内でボトルへ洗浄液と飲料をそれぞれ注入可能に設置される洗浄ノズル及び飲料ノズルと、ボトルを把持する把持装置と、この把持装置を飲料注入ボックスと交差する略水平な回転軸の周りで回転自在に支持する回転支持部材と、把持装置を回転軸の周りに回転させる駆動手段と、を備えた構造となっている。
このような構造によれば、ボトルの洗浄と飲料水の充填という工程を1つの飲料注入ボックス内で行うことができる。したがって、動作機構を簡素化し、装置全体をコンパクト化することが可能となる。
【0005】
さらに、特許文献3には、「ボトルの洗浄方法及び、これを利用した飲料水の自動販売機」という名称で、顧客が持参してきたボトルへ飲料水を充填して販売する装置に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、ボトルが載置されるボトル載置板やボルトの首部が保持される保持部などからなり、ボルトを注ぎ口部が下側に位置するように反転する反転装置と、飲料水や殺菌剤入り飲料水をボトルの内部に噴射するノズルと、を備えた構造となっている。
このような構造の自動販売機においては、簡単で、かつ、衛生的にボトルを洗浄することができる。また、飲料水の注入機能とボトルの洗浄機能を備えているため、各機能を備えた装置を別々に使用する場合とは異なり、広い設置スペースを必要としないというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4837358号公報
【特許文献2】特開2007−323374号公報
【特許文献3】特開2003−317144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1に開示された発明では、ボトルを1本ずつ処理する構造であり、前のボトルに対する飲用水の充填が完了するまで、次のボトルを装置にセットできないという課題があった。また、ドラムの回動軸が装置の幅方向と平行に設置されており、装置の幅方向よりも奥行きを長くとる必要があるため、設置箇所が制限されるという課題があった。
【0008】
特許文献2に開示された発明では、複数本のボトルを同時に処理できないという課題があった。また、ボトルを洗浄する洗浄液と、ボトルに充填すべき飲料を同一の注入ノズルを使用して、ボトル内に噴射注入する構造となっているため、飲料と異なる液体を洗浄液として用いることができないという課題があった。
【0009】
さらに、特許文献3に開示された発明では、顧客の求めに応じて、ボトル1本ずつに対して、洗浄と飲料水の充填を行う構造となっているため、生産性が低いという課題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、バッチ処理によって、複数のペットボトルに対して容器の洗浄、飲料水等の充填、キャップの装着などの一連の工程を同時並行的に進めることが可能であり、かつ、広い設置スペースを必要とせず、小型で安価なボトル飲用水充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明であるボトル飲用水充填装置は、中心部に回動軸が設けられた円盤からなるドラムと、このドラムの前面側に円周方向へ環状に配列されボトルを円盤に対して放射状に、かつ、その給水口を外側に向けて着脱自在に保持する複数のボトル保持具と、回動軸を回動可能に水平に支持する枠体と、ドラムの上方において鉛直方向と平行に配置されたボトルの給水口の真上に設置されボトル内へ飲用水を注入する給水ノズルと、ドラムの下方において給水口の真下に設置されボトル内へ洗浄水を注入する洗浄ノズルと、ドラムを所望の角度で回動させる回動機構と、を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
このような構造のボトル飲用水充填装置においては、給水口が下方を向いた状態のボトルに対して洗浄ノズルによって下方からボトル内へ洗浄水を注入する構造となっているため、ボトル内のゴミ等を洗い流した洗浄水は、自重により給水口からボトルの外へ排出されるという作用を有する。
また、ドラムの回動に伴い、洗浄ノズルによる洗浄と、給水ノズルによる飲用水の注入が可能な位置までボトルが搬送されるとともに、洗浄ノズルに対しては給水口が下方を向き、給水ノズルに対しては給水口が上方を向くように、すなわち、それぞれの処理に適した姿勢になるようにボトルが回転するという作用を有する。
さらに、ドラムの前面に装着され回動軸を中心として円を描くように搬送されるボトルに対して洗浄や飲料水の充填等の処理が順次行われる構造であるため、装置を覆う筺体の前面パネル等を取り外すと、ボトルの装填状態や搬送状態が一目瞭然となる。そして、本装置は、幅方向に比べて回動軸の軸方向の長さが短い形状となる。
加えて、複数のボトルに対して、洗浄ノズルよる洗浄と給水ノズルによる飲料水の充填がバッチ処理によって同時並行的に進められるという作用を有する。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1に記載のボトル飲用水充填装置において、ボトルにキャップを装着するキャップ巻締機と、このキャップ巻締機を給水ノズルと一体として保持する保持プレートと、枠体に設置されるガイド部材と、を備え、キャップ巻締機は、ボトルのキャップを解放自在に保持するチャック部と、このチャック部を鉛直方向に平行な軸心周りに回転させる回転機構と、チャック部を昇降させる昇降機構と、からなり、保持プレートは、チャック部を昇降自在に保持し、ガイド部材は、給水ノズルとキャップ巻締機のいずれか一方がボトルの給水口の真上に配置されるように保持プレートを円盤に沿って水平方向へ移動可能に支持することを特徴とするものである。
このような構造のボトル飲用水充填装置においては、請求項1記載の発明の作用に加えて、保持プレートの円盤に沿った水平移動に伴い、給水ノズルによるボトルへの飲用水の注入が可能な状態と、キャップ巻締機による給水口へのキャップの装着が可能な状態が切り替わるという作用を有する。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載のボトル飲用水充填装置において、キャップ巻締機の下方に設置されるキャップ受け部と、このキャップ受け部にキャップを供給するキャップ供給部と、を備え、キャップ受け部は、給水ノズルがボトルの給水口の真上に配置された状態でチャック部が下降した場合に到達する箇所に配置されることを特徴とするものである。
このような構造のボトル飲用水充填装置においては、請求項2に記載の発明の作用に加えて、給水ノズルによってボトルに飲用水が注入されている間に、キャップ巻締機の昇降機構を作動させ、キャップ受け部に到達するようにチャック部を下降させることで、キャップ受け部に既に供給済みのキャップがチャック部に装填されるという作用を有する。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のボトル飲用水充填装置において、投光部と受光部の間に光路を形成し受光部における受光量に基づいて光路を遮断する対象物の存在を検出する光電センサを備え、投光部及び受光部は、円盤に対して平行に光路を形成するように配置されることを特徴とするものである。
このような構造のボトル飲用水充填装置においては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、ボトル保持具を挟むように投光部と受光部を配置することにより、ボトル保持具にボトルが装填されていることが検出されるという作用を有する。
【0016】
請求項5記載の発明は、求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のボトル飲用水充填装置において、ドラムの側方において円盤に平行に、かつ、その中心へ向けて高圧の空気を噴射可能に給水口の近傍に設置される給気ノズルを備えたことを特徴とするものである。
このような構造のボトル飲用水充填装置においては、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、高圧の空気がボトルの給水口から注入されることにより、ボトルの内部に存在する可能性のあるゴミ等の混入物が吹き飛ばされて排除されるという作用を有する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の請求項1に記載のボトル飲用水充填装置によれば、ボトルから洗浄水を強制的に排出する機構を設ける必要がない。また、ボトルの搬送と姿勢制御をドラムの回転という一つの動作で実現できるため、ボトルの搬送機構が簡素化される。したがって、装置を小型化するとともに、製造コストの削減を図ることができる。
さらに、装置を覆う筺体の前面パネル等を取り外すと、ボトルの装填状態や搬送状態を一目で確認できるため、保守や点検が容易である。加えて、本装置は、設置スペースの奥行きが狭い場合でも設置することができる。
また、本発明のボトル飲用水充填装置によれば、従来、複数の装置で行われていた処理を1台の装置で、効率良く行うことができるため、設置スペースが削減されるとともに、作業効率が向上する。
【0018】
本発明の請求項2に記載のボトル飲用水充填装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、ボトルに対する飲用水の充填工程とキャップの装着工程が効率良く連続して行われるという効果を奏する。
【0019】
本発明の請求項3に記載のボトル飲用水充填装置によれば、請求項2に記載の発明の効果に加えて、ボトルへの飲用水の充填工程の間にキャップ巻締機へのキャップの装填を行うことで、作業効率が高まるという効果を奏する。
【0020】
一般に直方体状に形成されることが多い枠体と、円盤との間には、例えば、枠体の四隅等に無駄な空間が発生し易いが、本発明の請求項4に記載のボトル飲用水充填装置によれば、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、円盤の上部や下部の側方に投光部と受光部をそれぞれボトル保持具を間に挟むようにして設置することにより、この空間を有効に利用できるという効果を奏する。そして、各ボトルの給水口を円盤の中心から略等距離に配置することによれば、光路を遮るボトルが常に1本のみとなるように、投光部と受光部を配置することができる。この場合、他のボトル保持具に装填されたボトルが誤って検出されるおそれがない。したがって、装置の誤動作を防ぐことができる。
【0021】
本発明の請求項5に記載のボトル飲用水充填装置によれば、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の効果に加え、ボトルが下向きの状態になる前、すなわち、ボトル内部に浮遊している微細なゴミ等が洗浄水による洗浄によって水分を含み、ボトルの内面に付着してしまう前に、高圧空気による洗浄工程を行うことができるため、それらのゴミ等を効率よく排除できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係るボトル飲用水充填装置の内部構造を示す立面図である。
図2】本実施の形態に係るボトル飲用水充填装置の外観を示す立面図である。
図3】(a)はボトル飲用水充填装置を構成するドラムの回転機構を説明するための模式図であり、(b)は同図(a)におけるA−A線矢視断面図である。
図4】(a)は本実施の形態に係るボトル飲用水充填装置においてドラムの上部付近及び下部付近をそれぞれ部分的に拡大して示した斜視図である。
図5図1において構成要素の一部を省略した拡大図である。
図6】(a)は本実施の形態に係るボトル飲用水充填装置の運転手順を示すフローチャートであり、(b)は同図(a)のステップS2におけるドラムの回動状態を示す模式図である。
図7】(a)及び(b)はそれぞれ図6(a)のステップS4及びステップS7におけるドラムの回動状態を示す模式図である。
図8】(a)及び(b)はそれぞれ図6(a)のステップS10及びステップS11におけるドラムの回動状態を示す模式図である。
図9】(a)及び(b)はそれぞれ図6(a)のステップS12及びステップS13におけるドラムの回動状態を示す模式図である。
図10】(a)及び(b)はそれぞれ図6(a)のステップS14及びステップS16におけるドラムの回動状態を示す模式図である。
図11図5(a)において全てのボトル保持具にボトルが装着された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のボトル飲用水充填装置について、図1図11を用いて具体的に説明する。
図1及び図2はそれぞれ本発明の実施の形態に係るボトル飲用水充填装置の内部構造及び外観を示す立面図である。ただし、図1図2において前面パネルの一部を取り外した状態に相当する。
なお、本実施例では、ペットボトルに飲用水を充填する場合を想定しているが、本発明のボトル飲用水充填装置は、ペットボトル以外の容器に飲用水以外の液体を充填する場合にも使用することができる。すなわち、以下の説明は、そのような場合についても同様に成り立つ。
【実施例】
【0024】
図1及び図2に示すように、ボトル飲用水充填装置1は、枠体2とパネル3によって中空直方体状に形成されるとともに下面の四隅にキャスター5が取り付けられた筺体4の内部に、ドラム6、ドラムカバー7,8、給水ノズル9、洗浄ノズル10、給気ノズル11、キャップ供給部12、キャップ巻締機13及び制御盤14が設置された構造となっている。そして、ドラム6、給水ノズル9、洗浄ノズル10、給気ノズル11及びキャップ巻締機13は、制御盤14によってその動作を制御されている。
【0025】
枠体2の前面を覆うように設置されるパネル3は、スタートボタン15、非常停止ボタン16及び液晶タッチパネル17が設けられた前面パネル3aと、枠体2の上段、中段、下段に対してそれぞれ着脱可能に取り付けられる前面パネル3b〜3dとからなり、前面パネル3bにはキャップ投入口4eが開口形成され、前面パネル3cにはボトル装填口4aとキャップ装填口4bがそれぞれ開口形成されている。そして、ボトル装填口4aとキャップ装填口4bには、硬質樹脂や硬質ガラス等の透明板に取っ手18が設けられた開閉扉19a,19bがそれぞれヒンジ20を用いて開閉可能に取り付けられている。また、前面パネル3c,3dには、開口部に透明板が嵌めこまれるようにして窓部4c,4dが形成されている。
なお、スタートボタン15はドラム5の動作を開始させるためのボタンであり、非常停止ボタン16は本装置を稼働中に何らかの不具合が生じた場合に全ての動作を停止させるためのボタンである。また、液晶タッチパネル17は装置の運転状態を表示するとともに、装置の運転条件等の設定を行う際に用いられるものである。
【0026】
ドラム6は、前面側に複数のボトル保持具21が円周方向へ所定のピッチで環状に配列された円盤22と、隣接する2つのボトル保持具21の間を仕切るように円盤22の前面側の複数箇所に立設される仕切り部材23と、からなり、円盤22は、枠体2に回動可能に設置された回動軸24によって中心部を支持されている。すなわち、ドラム6は枠体2に回動軸24を回動中心として回動可能に取り付けられている。
【0027】
仕切り部材23は、長尺状の板材であり、曲折された曲折部23aを除き、その長手方向が半径方向と一致するように円盤22に取り付けられている。なお、本実施例では、6個のボトル保持具21の間を互いに仕切るために、曲折部23aの曲折角度が120°の仕切り部材23を用いている。そして、この仕切り部材23を円盤22の前面側6箇所に設置することにより、ボトル保持具21が個別に収納される区画が円周方向へ均等に6箇所形成され、回動軸24の端部を囲む区間が中央に形成されている。
【0028】
給水ノズル9から供給された飲用水がドラム6の側方へ飛散することを防ぐため、ドラム6の上部側面と背面を覆うようにドラムカバー7が設置されている。一方、ドラム6の下方には、洗浄ノズル10から供給された洗浄水を受ける容器として機能するドラムカバー8が設置されている。そして、ドラムカバー8には、貯留した水を外部へ排出するための排水ロート25が設けられている。
なお、ドラムカバー7,8の外側には、後述の光電センサの投光部と受光部を設置するための固定金具26a,26bが枠体2に取り付けられている。
【0029】
次に、ドラム6を回動させる機構について図3を用いて説明する。
図3(a)はドラム6を背面側から見た図であり、図3(b)は図3(a)におけるA−A線矢視断面の一部を拡大して示した図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、ドラム6を構成する円盤22の回動中心に接合された回動軸24は、枠体2にボルト28を用いて固定された一対の軸受27,27によって水平に保持されている。また、回動軸24は軸受27,27で挟まれた部分の中央付近にフリーホイール29を介してピニオン30が接続されており、ピニオン30には、枠体2に取り付けられたシリンダ31のロッド32の先端に固定されたラック33が噛合している。したがって、シリンダ31によってロッド32を前進又は後退させると、ラック33と噛合するピニオン30が正方向(図3(a)に矢印Bで示す方向)又はその逆方向へ回動する。そして、フリーホイール29の作用により、回動軸24にはピニオン30から正方向へ回動させる力のみが伝達される。すなわち、ドラム6は、シリンダ31のロッド32を前進若しくは後退させることにより、ドラム6が間欠的に所定の角度(本実施例では60°)ずつ回動する構造となっている。
【0030】
図4(a)及び図4(b)は図1のように前面パネル3c,3dを取り外した状態で、ドラム6の上部付近及び下部付近をそれぞれ拡大して示した斜視図である。なお、図4では、便宜上、1個のボトル保持具21のみを示している。また、図中の二点鎖線は光電センサを構成する投光部と受光部の間に形成される光路を模式的に表したものである。
図4(a)に示すように、ドラムカバー7と仕切り部材23には、ドラム6が回動していない状態において、光電センサの投光部と受光部の間に形成される光路を遮断することがないように、それぞれ貫通穴7a,23bが設けられている。また、給水ノズル9から供給された飲用水等が仕切り部材23によって仕切られた前述の区画の内部に溜まることがないように、仕切り部材23の曲折部23aには排水用の貫通穴23cが設けられている。
【0031】
図4(b)に示すように、ドラムカバー8にもドラムカバー7の貫通穴7aと同様の目的で貫通穴8aが設けられている。ただし、ドラムカバー8の内壁面を伝って流下する洗浄水や飲用水等が貫通穴8aを通って外部へ排出されることがないように、貫通穴8aの上部を覆うようにカバー8bが設けられている。
ボトル保持具21は、互いに平行となるように所定の間隔をあけて円盤22に立設される一対の挟持板34,34と、挟持板34,34を連結するとともに円盤22に対して平行に設置される平面視矩形状の背板35と、挟持板34,34及び背板35に対して直交するように円盤22に立設されるU字板36と、背板35と平行に挟持板34,34から外方へ向かって延設される取付部37と、円盤22に設けられたネジ孔(図示せず)に対して取付部37をネジ止めする固定具38からなる。そして、挟持板34には、貫通穴7a,8aと同様の目的で貫通穴34aが設けられている。
このように、ボトル飲用水充填装置1においては、U字板36により給水口39a(図10(a)参照)が保持されるとともに挟持板34,34により本体部39b(図10(a)参照)が両側から挟み込まれるようにしてボトル39(図10(a)参照)が固定される。また、使用するボトル39の本体部39bの幅に対応したサイズの挟持板34,34と背板35に適宜交換できるように、挟持板34,34と背板35は円盤22に対して着脱自在となっている。
【0032】
図5図1において枠体2や前面パネル3a〜3dなど構成要素の一部を省略して拡大した図である。なお、図を見易くするために、ボトルにハッチングを施すともに、ドラムカバー8の前面及び説明上必要でないボトルの図示を省略している。また、図中の矢印Dはドラム6が回動する方向(図3に示した矢印Bと同一方向)を示している。
図5に示すように、ボトル保持具21は、ボトル39が円盤22に対して放射状に、かつ、その給水口が外側に向いた状態で配置されるように、円盤22に着脱自在に設置されている。
ドラム6の上方には、貯留タンク(図示せず)から給水ライン(図示せず)を介して供給される飲用水をボトル39に注入するための給水ノズル9が配置されている。
【0033】
給水ノズル9にはキャップ巻締機13が併設されている。このキャップ巻締機13は、複数の爪を用いてキャップ40を解放自在に保持するチャック部13aと、チャック部13aを鉛直方向に平行な軸心周りに回転させる回転機構13bと、チャック部13a及び回転機構13bを上下方向へ移動させる昇降機構13cを備えている。また、キャップ巻締機13の真下には、キャップ受け部41が設置され、このキャップ受け部41はキャップ供給部12の下端に接続されている。なお、キャップ供給部12は、その内部をキャップ40が滑動可能に中空形状をなし、キャップ投入口4eの近傍に上端が開口し、下端はキャップ受け部41に向かって開口している。
したがって、キャップ投入口4e(図2参照)から投入されたキャップ40は、自重によってキャップ供給部12の内部を下方へ向かって滑動した後、キャップ受け部41に供給され、上方から下降してきたチャック部13aに保持されることになる。
【0034】
給水ノズル9とキャップ巻締機13は、円盤22に沿って水平に枠体2に取り付けられたガイドレール(図示せず)によってスライド自在に支持される保持プレート42によって一体として保持されている。また、保持プレート42は図示しないプレート駆動手段によって矢印Cで示すように水平方向へ移動可能となっている。
すなわち、キャップ巻締機13は、鉛直方向に対して平行に配置されたボトル39の給水口39aの真上に給水ノズル9が配置されている場合、チャック部13aがキャップ受け部41の真上に配置され、昇降自在となっている。また、キャップ巻締機13は、保持プレート42の水平移動に伴い、給水ノズル9と一体として円盤22に沿って水平方向へ移動する。そして、ボトル飲用水充填装置1においては、キャップ巻締機13が上記ボトル39の給水口39aの真上にチャック部13aが配置されるまで、水平移動可能となっている。
なお、本願明細書において、「給水ノズル9や洗浄ノズル10がボトル39の給水口39aの真上又は真下にある」とは、長手方向の中心軸が鉛直方向と一致するようにボトル39が設置されている場合に、その中心軸の延長線上に給水ノズル9や洗浄ノズル10が配置されている状態を意味するものとする。
【0035】
ドラム6の側方には、ドラムカバー8の内部へ突出するように設けられた給気ノズル11が、高圧の空気を円盤22に対して平行に、かつ、その中心へ向けて噴射可能にボトル39の給水口39aの近傍に設置されている。
また、ドラム6の下方には、ドラムカバー8の内部へ突出するように設けられた洗浄ノズル10がボトル39の内部へ洗浄水を注入可能に、ボトル39の給水口39aの真下に配置されている。なお、本実施例では、水道の蛇口等に洗浄ノズル10を接続することで、水道水を洗浄水として利用しているが、これに限らず、例えば、洗浄液が貯留されたタンクから洗浄液ポンプ等を用いて洗浄液を洗浄ノズル10に供給する構造であっても良い。
【0036】
ドラム6の上部及び下部には、ドラムカバー7,8と枠体2の間に光電センサの投光部43及び受光部44がそれぞれ固定金具26a,26bを用いて設置されている。なお、本実施例で使用する光電センサは、投光部43の光源(投光素子)に発光ダイオードを使用し、受光部44の受光素子にフォトトランジスタ、フォトダイオード、PSD(位置検出用フォトダイオード)を使用している。
ドラム6が回動していない場合、ドラムカバー7の貫通穴7aと仕切り部材23の貫通穴23b、及びドラムカバー8の貫通穴8aと仕切り部材23の貫通穴23bは、それぞれ一直線上に配置されており、投光部43及び受光部44もそれらの直線状にそれぞれ配置されている。すなわち、投光部43と受光部44は、両者の間に形成される光路が円盤22に対して略平行となるように配置されている。
したがって、鉛直方向に対して平行状態にあるボトル保持具21にボトル39が装填されていない場合、投光部43と受光部44の間には、図5に二点鎖線で示すような光路が形成される。一方、上述のボトル保持具21にボトル39が装填されている場合、投光部43と受光部44の間の光路は、ボトル39によって遮断されるため、受光部44が受ける光量に応じて発生する電気信号が変化する。そして、この電気信号が制御盤14に内蔵された信号処理回路で処理され、ボトル保持具21にボトル39が装填されていることが検出される。
なお、枠体2と円盤22との間には、枠体2の四隅等に無駄な空間が発生し易いが、この空間は、上述したように投光部43と受光部44が設置されることにより、有効に利用される。また、本実施例のように、各ボトル39の給水口39aが円盤22の中心から略等距離に配置されている場合、光路を遮るボトルが常に1本のみとなるように、投光部43と受光部44を配置することができる。この場合、給水ノズル9の真下、あるいは洗浄ノズル10の真上に配置されたボトル39以外のボトル39が誤って光電センサによって検出されるおそれがない。したがって、装置の誤動作を防ぐことができる。
【0037】
次に、ボトル飲用水充填装置1の運転手順について図6図11を用いて説明する。図6(a)はボトル飲用水充填装置1の運転手順を示すフローチャートであり、図6(b)〜図10(b)はドラム6の回動状態を示す模式図である。なお、図を見易くするために、説明上図示の必要のない構成要素を省略している。
また、図6(b)は図6(a)におけるステップS2に対応し、図7(a)及び(b)はそれぞれステップS4及びステップS7に対応する。さらに、図8(a)及び図8(b)はそれぞれステップS10及びステップS11に対応し、図9(a)及び図9(b)はそれぞれステップS12及びステップS13に対応している。そして、図10(a)及び図10(b)はそれぞれステップS14及びステップS16に対応している。また、図11図5において全てのボトル保持具21にボトル39が装着された状態を示している。
【0038】
図6(a)に示すように、まず、ステップS1において、装置の電源を投入する。ステップS2では、ボトル装填口4aの開閉扉19aを開けてボトル保持具21にボトル39を装填し、開閉扉19aを閉める(図2及び図6(b)参照)。次に、ステップS3において、スタートボタン15(図2参照)を押すと、制御盤14からの指令に従って、ドラム6が正方向(図6(b)の矢印D参照)に60°回動する。
ステップS4では、ドラム6が停止した後、制御盤14からの指令に従って、給気ノズル11から高圧の空気が噴射される。そして、この高圧の空気がボトル39の給水口39aから注入されることにより、ボトル39の内部に存在する可能性のあるゴミ等の混入物が吹き飛ばされて排除される(図7(a)参照)。この場合、ボトル39の内部に浮遊している微細なゴミ等が洗浄水による洗浄によって水分を含み、ボトル39の内面に付着してしまう前に、高圧空気によって、それらのゴミ等を効率よく排除することができる。
その後、ステップS5において、スタートボタン15を押すと、制御盤14からの指令に従って、ドラム6が正方向(図7(a)の矢印D参照)に60°回動する。
【0039】
ステップS6において、ドラム6が停止した後、ドラム6の下部に配置された投光部43及び受光部44からなる光電センサによってボトル保持具21に装填されたボトル39が検出されると、ステップS7において、制御盤14からの指令に従って、洗浄ノズル10から洗浄水が吐出される。この洗浄水が給水口39aからボトル39の内部へ注入されることにより、ボトル39の内面が洗浄される。その後、洗浄水は、再び給水口39aを通ってボトル39の外部へ排出され、ドラムカバー8の排水ロート25からボトル飲用水充填装置1の外部へ排出される(図7(b)参照)。なお、ステップS6において、ボトル39が検出されない場合は、ステップS7の工程が省略される。
【0040】
ステップS8では、スタートボタン15を3回押すことにより、ドラム6が制御盤14からの指令に従って正方向(図7(b)の矢印D参照)に180°回動する。
ステップS9では、ドラム6が停止した後、ドラム6の上部に配置された投光部43及び受光部44からなる光電センサによってボトル保持具21に装填されたボトル39が検出されると、ステップS10において、制御盤14からの指令に従って、給水ノズル9から飲用水が給水口39aを通してボトル39の内部へ注入される(図8(a)参照)。
また、このとき、ステップS11では、制御盤14からの指令に従ってキャップ巻締機13の昇降機構13cが作動することにより、図8(a)に矢印Eで示すように、チャック部13aが下降する。そして、図8(b)に示すように、キャップ受け部41において、キャップ供給部12から供給されたキャップ40をキャップ巻締機13のチャック部13aが保持する。キャップ巻締機13へのキャップ40の装填が完了すると、制御盤14からの指令に従ってキャップ巻締機13の昇降機構13cが再び作動し、矢印Fで示すように、チャック部13aが上昇する。
その後、ステップS12では、制御盤14からの指令に従ってプレート駆動手段(図示せず)が作動する。これにより、矢印Gで示す方向へ保持プレート42が水平移動し、キャップ40が装填されたキャップ巻締機13のチャック部13aがボトル39の給水口39aの真上に配置される(図9(a)参照)。
【0041】
ステップS13では、制御盤14からの指令に従ってキャップ巻締機13の回転機構13b及び昇降機構13cが作動する。これにより、チャック部13aはキャップ40を保持した状態で鉛直方向に平行な軸を中心として回転しながら、図9(a)に矢印Eで示すように下降する。その結果、図9(b)に示すように、雄ネジが形成されたボトル39の給水口39aに対し、キャップ40が所定のトルクで螺入される。そして、ボトル39へのキャップ40の装着が完了すると、制御盤14からの指令に従って、チャック部13aはキャップ40を解放するともに、昇降機構13cの作動により、矢印Fで示すように上昇する。
ステップS14では、制御盤14からの指令に従ってプレート駆動手段(図示せず)が再び作動する。その結果、矢印Hで示す方向へ保持プレート42が水平移動し、給水ノズル9がボトル39の給水口39aの真上に配置される(図10(a)参照)。なお、ステップS9において、ボトル39が検出されない場合は、ステップS10〜ステップS14の工程が省略される。
【0042】
ステップS15では、スタートボタン15を押すことにより、ドラム6が制御盤14からの指令に従って正方向(図10(a)の矢印D参照)に60°回動する。
ステップS16では、ドラム6が停止した後、ボトル装填口4aの開閉扉19aを開けてボトル保持具21からボトル39を取り外し、図10(b)に示すように、装置からボトル39を取り出す。そして、開閉扉19aを閉めた後、ステップS17において、装置の電源を切断する。
【0043】
以上の説明は、本装置の運転手順に対する理解を容易にするために、円盤22に対して1本のボトル39のみが装填された状態を想定したものであるが、実際には、本装置は、図11に示すように、全てのボトル保持具21に対してボトル39が装着された状態で使用される。
すなわち、ボトル飲用水充填装置1においては、バッチ処理によって、複数のボトル39に対して、給気ノズル11及び洗浄ノズル10による洗浄、給水ノズル9による飲料水の充填、キャップ巻締機13によるキャップ40の装着という一連の工程が同時並行的に進められる。すなわち、ボトル飲用水充填装置1によれば、従来、複数の装置で行われていた処理を1台の装置で、効率良く行うことができるため、設置スペースが削減されるとともに、作業効率が向上する。
【0044】
そして、ボトル飲用水充填装置1においては、ボトル39の給水口39aが下方を向いた状態で、給水ノズル9から噴射された洗浄水が給水口39aからボトル39の内部へ注入されるため、ボトル39の内部のゴミ等を洗い流した洗浄水が自重により再び給水口39aを通ってボトル39の外へ排出されるという作用を有する。この場合、ボトル39から洗浄水を強制的に排出する機構を設ける必要がないため、洗浄機構が簡素化される。
また、ドラム6の回動に伴って、洗浄ノズル10の真上や給水ノズル9の真下までボトル39が搬送されるとともに、洗浄ノズル10に対しては給水口39aが下方を向き、給水ノズル9に対しては給水口39aが上方を向くように、すなわち、それぞれの処理に適した姿勢になるようにボトル39が回転するという作用を有する。このように、ボトル飲用水充填装置1によれば、ボトル39の搬送と姿勢制御をドラム6の回動という一つの動作で実現できるため、ボトル39の搬送機構が簡素化される。したがって、本装置は小型化及び製造コストの削減が可能である。
【0045】
また、ボトル飲用水充填装置1においては、ドラム6の前面に装着され回動軸24を中心として円を描くように搬送されるボトル39に対して洗浄や飲料水の充填、キャップ40の装着等の処理が順次行われる構造であるため、前面パネル3b〜3dを取り外すことにより、ボトル39のボトル保持具21への装填状態、あるいはボトル39の搬送状態が一目瞭然となる。すなわち、ボトル39の装填状態や搬送状態を一目で確認できるため、保守や点検が容易である。
さらに、ボトル飲用水充填装置1は、幅方向よりも回動軸24の軸方向の長さが短いため、設置スペースの奥行きが狭い場合でも設置することができる。
【0046】
さらに、ボトル飲用水充填装置1においては、保持プレート42が円盤22に沿って水平移動することで、給水ノズル9によるボトル39への飲用水の注入が可能な状態と、キャップ巻締機13による給水口39aへのキャップ40の装着が可能な状態が切り替わるという作用を有する。これにより、ボトル39に対する飲用水の充填工程とキャップ40の装着工程が効率良く連続して行われる。
加えて、ボトル飲用水充填装置1では、給水ノズル9によってボトル39に飲用水が注入されている間に、キャップ巻締機13の昇降機構13cを作動させて、チャック部13aをキャップ受け部41に到達するように下降させることで、キャップ受け部21に既に供給済みのキャップ40がチャック部13aに装填される。すなわち、ボトル飲用水充填装置1によれば、ボトル39への飲用水の充填工程の間にキャップ巻締機13へのキャップ40の装填が行われるため、作業効率が高い。
【0047】
本実施例では、ドラム6の回動機構を構成するシリンダ31としてエアシリンダを用いているが、これに限らず、エアシリンダの代わりに電動シリンダや油圧シリンダを用いても良い。また、ピニオン30に噛合するラック33をシリンダ31によって駆動しドラム6を回動させる機構に代えて、電動モータや油圧モータを用いてドラム6を回動させることもできる。
さらに、円盤22に設置されるボトル保持具21の個数は本実施例に示した6個に限定されず、適宜変更可能である。なお、円盤22に設置されるボトル保持具21の個数を変更する場合には、スタートボタン15の1回の操作によってドラム6が回動する角度や仕切り部材23の個数や設置箇所もそれに応じて変更する必要がある。
また、仕切り部材23を省略した構造とすることもできる。ただし、洗浄水や飲用水の飛散を防止するためには、本実施例に示したように円盤22に対して仕切り部材23を設けることが望ましい。
そして、投光部43及び受光部44を給気ノズル11を間に挟むように設置して、ボトル保持具21にボトル39が装填されていない場合には、給気ノズル11から高圧の空気が噴射されない構造とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
請求項1乃至請求項5に記載された発明は、特に、小規模な店舗や施設等において、飲用水が充填された状態の小ロットのペットボトルを販売する場合などに適している。
【符号の説明】
【0049】
1…ボトル飲用水充填装置 2…枠体 3…パネル 3a〜3d…前面パネル 4…筺体 4a…ボトル装填口 4b…キャップ装填口 4c,4d…窓部 4e…キャップ投入口 5…キャスター 6…ドラム 7…ドラムカバー 7a…貫通穴 8…ドラムカバー 8a…貫通穴 8b…カバー 9…給水ノズル 10…洗浄ノズル 11…給気ノズル 12…キャップ供給部 13…キャップ巻締機 13a…チャック部 13b…回転機構 13c…昇降機構 14…制御盤 15…スタートボタン 16…非常停止ボタン 17…液晶タッチパネル 18…取っ手 19a,19b…開閉扉 20…ヒンジ 21…ボトル保持具 22…円盤 23…仕切り部材 23a…曲折部 23b,23c…貫通穴 24…回動軸 25…排水ロート 26a,26b…固定金具 27…軸受 28…ボルト 29…フリーホイール 30…ピニオン 31…シリンダ 32…ロッド 33…ラック 34…挟持板 34a…貫通穴 35…背板 36…U字板 37…取付部 38…固定具 39…ボトル 39a…給水口 39b…本体部 40…キャップ 41…キャップ受け部 42…保持プレート 43…投光部 44…受光部
図1
図2
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