(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態>
〔画像形成装置1の全体構成〕
まず、
図1により、画像形成装置1の全体の構成について説明する。
画像形成装置1は、ネットワーク接続部15(ネットワーク接続手段)、主応答部100(主応答手段)、及び副応答部200(副応答手段)を備えて構成される。
画像形成装置1は、消費電力が通常の通常モードと、通常モードよりも消費電力の低い省電力モードとに状態を移行させることが可能である。
通常モード時は、主応答部100と副応答部200両方が動作し、それぞれ非同期で、別々のパケットの応答を行う。
省電力モード時は、副応答部200が応答できるプロトコルのパケットについて、副応答部200が応答する。
【0011】
画像形成装置1は、主制御部10(制御手段)、画像処理部11、原稿読取部12、原稿給送部13、搬送部(給紙ローラー42b、搬送ローラー44、排出ローラー45)、ネットワーク接続部15(ネットワーク接続手段)、操作パネル部16、画像形成部17(画像形成手段)、補助記憶部18(記憶手段)、主記憶部19(記憶手段)、副制御部20(制御手段)等が、同一又は異なるバス等で接続されている。各部は、主制御部10又は副制御部20によって全体又は一部が動作制御される。
このうち、主応答部100は、主制御部10、画像処理部11、原稿読取部12、原稿給送部13、搬送部、操作パネル部16、画像形成部17、補助記憶部18、及び主記憶部19を含んで構成される。
また、副応答部200は、副制御部20、補助記憶部18、及び主記憶部19を含んで構成される。
【0012】
主制御部10及び副制御部20は、GPP(General Purpose Processor)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサー)等の情報処理手段である。
主制御部10及び副制御部20は、補助記憶部18のROMやHDDに記憶されている制御プログラムを読み出して主記憶部19に展開して、この制御プログラムを実行することで、後述する機能ブロックの各手段として動作させられる。また、主制御部10、副制御部20は、図示しない外部の端末や操作パネル部16から入力された所定の指示情報に応じて、装置全体の制御を行う。
なお、主制御部10及び副制御部20は、物理的に一つのCPU等ではなく、マルチコアやマルチスレッド対応のCPUで、独立してOS(Operating System)のカーネルを実行可能な処理単位である「演算ユニット」の一つ等であってもよい。また、主制御部10及び副制御部20は、主にAMP(Asymmetric Multiple Processor)構成で実行されていてもよい。
また、主制御部10及び副制御部20は、主記憶部19に別々のメモリー空間を設定されてもよい。しかしながら、この場合でも、お互いのメモリー空間を読み書き可能に構成されていてもよい。
【0013】
画像処理部11は、DSP(Digital Signal Processor)やGPU(Graphics Processing Unit)等の制御演算手段である。画像処理部11は、画像データに対して所定の画像処理を行う手段であり、例えば、拡大縮小、濃度調整、階調調整、画像改善等の各種画像処理を行う。
【0014】
原稿読取部12は、セットされた原稿を読み取る(スキャン)手段である。
原稿給送部13は、原稿読取部12で読み取られる原稿を搬送する手段である。
画像形成部17は、ユーザーの出力指示により、主記憶部19及び補助記憶部18に記憶され、原稿読取部12で読み取られ、又は外部の端末から取得されたデータから記録紙への画像形成を行わせる手段である。
搬送部は、給紙カセット42a(
図2)から記録紙を搬送し、画像形成部17で画像形成させ、その後にスタックトレイ50へ搬送する。
なお、原稿読取部12、原稿給送部13、画像形成部17、及び搬送部の動作については後述する。
【0015】
ネットワーク接続部15は、LAN、無線LAN、WAN、携帯電話網等の外部のネットワークに接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続手段である。
ネットワーク接続部15は、外部のネットワークから、例えば、TCP/IPのパケットを送受信する。
ネットワーク接続部15は、受信したパケットを主応答部100と副応答部200とに振り分けるフィルター部30(フィルター手段)を備えている。このフィルター部30の詳細については後述する。
【0016】
操作パネル部16は、LCD等の表示部と、テンキー、スタートキー、キャンセルキー、複写やFAX送信やスキャナー等の動作モードの切り換えのボタン、選択された文書の印刷や送信や保存や記録等に関するジョブの実行に係る指示を行うためのボタンやタッチパネル等の入力部とを備えている。
操作パネル部16は、ユーザーによる画像形成装置1の各種ジョブの指示を取得する。また、操作パネル部16から取得したユーザーの指示により、各ユーザーの情報を入力、変更することも可能である。
【0017】
補助記憶部18は、ROM(Read Only Memory)やSSD(Solid State Drive)やオンボードの半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段である。補助記憶部18は、各種プログラムやデータを記憶している。
このうち、補助記憶部18の半導体メモリーは、EEPROM、NAND型やNOR型フラッシュメモリー、MRAM、ReRAM等の不揮発性メモリーを含んでいる。
また、補助記憶部18のROMやHDDには画像形成装置1の動作制御を行うためのファームウェアを含む制御プログラムが記憶されている。また、補助記憶部18には、ユーザー毎の保存フォルダーの領域が含まれていてもよい。
【0018】
主記憶部19は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM、MRAMのような半導体メモリー等の記憶手段である。主記憶部19は、補助記憶部18から読み出されたプログラムやデータを記憶する。
また、主記憶部19は、ネットワーク接続部15で受信されたパケットや、主制御部10や副制御部20で作成された応答用のパケット等を一時的に記憶する。この際、主記憶部19は、ネットワーク接続部15、主制御部10、及び副制御部20のいずれからも読み書き可能にパケットを記憶しておいてもよい。また、主記憶部19は、FIFOやネットワークスタックのような方式で、パケット等を記憶してもよい。
【0019】
なお、画像形成装置1において、主制御部10、画像処理部11、及び副制御部20は、GPU内蔵CPU等やチップ・オン・モジュールパッケージのように、一体的に形成されていてもよい。
また、画像形成装置1は、ファクシミリの送受信を行うFAX送受信部を備えていてもよい。
【0020】
〔画像形成装置1の動作〕
次に、
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。
原稿読取部12は、本体部14の上部に配設され、原稿給送部13は、原稿読取部12の上部に配設されている。スタックトレイ50は、本体部14に形成された記録紙の排出口41側に配設され、また、操作パネル部16は、画像形成装置1のフロント側に配設されている。
【0021】
原稿読取部12は、スキャナー12aと、プラテンガラス12bと、原稿読取スリット12cとを備えている。スキャナー12aは、露光ランプ、及びCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像センサー等から構成され、原稿給送部13による原稿の搬送方向に移動可能に構成されている。
プラテンガラス12bは、ガラス等の透明部材により構成された原稿台である。原稿読取スリット12cは、原稿給送部13による原稿の搬送方向と直交方向に形成されたスリットを有する。
【0022】
プラテンガラス12bに載置された原稿を読み取る場合には、スキャナー12aは、プラテンガラス12bに対向する位置に移動され、プラテンガラス12bに載置された原稿を走査しながら原稿を読み取って画像データを取得して、取得した画像データを本体部14に出力する。
また、原稿給送部13により搬送された原稿を読み取る場合には、スキャナー12aは、原稿読取スリット12cと対向する位置に移動され、原稿読取スリット12cを介し、原稿給送部13による原稿の搬送動作と同期して原稿を読み取って画像データを取得し、取得した画像データを本体部14に出力する。
【0023】
原稿給送部13は、原稿載置部13aと、原稿排出部13bと、原稿搬送機構13cとを備えている。原稿載置部13aに載置された原稿は、原稿搬送機構13cによって、1枚ずつ順に繰り出されて原稿読取スリット12cに対向する位置へ搬送され、その後、原稿排出部13bに排出される。
なお、原稿給送部13は、可倒式に構成され、原稿給送部13を上方に持ち上げることで、プラテンガラス12bの上面を開放させることができる。
【0024】
本体部14は、画像形成部17を備えると共に、給紙部42と、用紙搬送路43と、搬送ローラー44と、排出ローラー45とを備えている。給紙部42は、それぞれサイズ又は向きが異なる記録紙を収納する複数の給紙カセット42aと、給紙カセット42aから記録紙を1枚ずつ用紙搬送路43に繰り出す給紙ローラー42bとを備えている。給紙ローラー42b、搬送ローラー44、及び排出ローラー45は、搬送部として機能する。記録紙は、この搬送部により搬送される。
給紙ローラー42bによって用紙搬送路43に繰り出された記録紙は、搬送ローラー44によって画像形成部17に搬送される。そして、画像形成部17によって記録が施された記録紙は、排出ローラー45によってスタックトレイ50に排出される。
【0025】
画像形成部17は、感光体ドラム17aと、露光部17bと、現像部17cと、転写部17dと、定着部17eとを備えている。露光部17bは、レーザー装置やミラーやレンズやLEDアレイ等を備えた光学ユニットであり、画像データに基づいて光等を出力して感光体ドラム17aを露光し、感光体ドラム17aの表面に静電潜像を形成する。現像部17cは、トナーを用いて感光体ドラム17aに形成された静電潜像を現像する現像ユニットであり、静電潜像に基づいたトナー像を感光体ドラム17a上に形成させる。転写部17dは、現像部17cによって感光体ドラム17a上に形成されたトナー像を記録紙に転写させる。定着部17eは、転写部17dによってトナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる。
【0026】
〔画像形成装置1の制御構成〕
次に、
図3により、画像形成装置1のネットワーク接続部15、主応答部100、及び副応答部200の制御構成について説明する。
ネットワーク接続部15は、上述したように、フィルター部30を備えている。
また、主応答部100は、ネットワーク送受信部110、プロトコル処理部120、プロトコル処理部130、及び省電力制御部140を備えている。
また、副応答部200は、ネットワーク送受信部210、プロトコル処理部230、及び省電力管理部240を備えている。
【0027】
ネットワーク接続部15は、上述したように、外部のネットワークからパケットを受信する。
ネットワーク接続部15のフィルター部30は、外部のネットワークから受信したパケットに対して、プロトコル毎に適切に主応答部100及び副応答部200に振り分けを行う。この際、フィルター部30は、予め設定された、印刷データを扱うプロトコルのパケットを含む、通常モード時に応答が必要なパケットを主応答部100に振り分ける。また、フィルター部30は、予め設定された、ARPやSNMPを含むプロトコルのパケットを含む、省電力モードでも少なくとも一部は応答可能なパケットを副応答部200に振り分ける。
また、フィルター部30は、これらの振り分けの際、主応答部100に振り分けられなかったパケットを副応答部200に振り分ける排他制御を行う。
また、主応答部100と副応答部200とでは、共通のIPアドレスやMACアドレスを使用してもよい。また、逆に、フィルター部30は、ポート変換やNAT(Network Address Translation)を行ってもよい。
【0028】
主応答部100は、フィルター部30により振り分けられたパケットについて、主に通常モード時にのみ応答可能な印刷データ等を含むパケットに対する応答を行う。
また、主応答部100は、フィルター部30により振り分けられたパケットを、予め定められた時間以上受信しない場合、省電力モードに移行する。
【0029】
ネットワーク送受信部110は、フィルター部30により主応答部100用に振り分けられたパケットを取得して解析し、プロトコル処理部120に送信する。
また、ネットワーク送受信部110は、プロトコル処理部120により応答が行われたパケットをネットワーク接続部15に送信する。
また、ネットワーク送受信部110は、予め定められた時間、フィルター部30により主応答部100用に振り分けられたパケットを取得しなかった場合、省電力制御部140に通知する。
また、ネットワーク送受信部110は、省電力制御部140により、省電力モードから通常モードに移行された場合の通知を取得し、プロトコル処理部130に通知する。
【0030】
プロトコル処理部120は、ネットワーク送受信部110により取得されたパケットについて、各部に各種処理を行わせる。
また、プロトコル処理部120は、ネットワーク送受信部110により取得されたパケットの応答を行い、この応答したパケットをネットワーク送受信部110に送信する。
【0031】
プロトコル処理部130は、副応答部200で処理できなかったパケットを、副応答部200のプロトコル処理部230から受信して、各種処理を行う。プロトコル処理部130は、これらのパケットの応答を行い、この応答したパケットをプロトコル処理部230に送信する。また、プロトコル処理部130は、省電力制御部140から、省電力モードにおいて副制御部200で応答できないパケットを受信し、通常モードに移行されたことを示す通知を受けた場合にも、このパケットを取得して応答する処理を行う。
つまり、プロトコル処理部130は、プロトコル処理部230で処理できなかったパケットに対する応答を行う。このため、同種のパケットが、主応答部100と副応答部200とで応答されることはない。
【0032】
省電力制御部140は、フィルター部30により振り分けられたパケットを、予め定められた時間以上受信しない場合、各部を省電力モードに移行させる。省電力制御部140は、この際、省電力モードに移行した旨の通知を、副応答部200の省電力管理部240に送信する。
また、省電力制御部140は、副応答部200の指示により省電力モードから通常モードに復帰した場合には、その旨、プロトコル処理部130に通知する。
【0033】
副応答部200は、フィルター部30により振り分けられた、一部の種類のプロトコルのパケットについて、応答を行う。副応答部200は、例えば、省電力モードであっても応答可能なARPやSNMPを含むプロトコルのパケットについて、省電力モードにおいても応答する。また、本実施形態の副応答部200は、通常モード時であっても、これらのプロトコルのパケットを、主応答部100とは排他的に処理する。
また、副応答部200は、省電力モード時に応答できないパケットを受信した場合、主応答部を通常モードに移行させて応答させる。
【0034】
ネットワーク送受信部210は、フィルター部30により副応答部200用に振り分けられたパケットを取得して解析し、プロトコル処理部230に送信する。
【0035】
プロトコル処理部230は、ネットワーク送受信部210により取得されたパケットについて、各部に各種処理を行わせる。
また、プロトコル処理部230は、ネットワーク送受信部210により取得されたパケットの応答を行い、この応答したパケットをネットワーク送受信部210に送信する。
また、プロトコル処理部230は、自ら応答できないパケットをネットワーク送受信部210により取得した場合、主応答部100のプロトコル処理部130に送信する。この際、プロトコル処理部230は、省電力モードであった場合、省電力管理部240に通知し、主応答部100が通常モードに復帰した後で、当該パケットをプロトコル処理部130に送信する。
【0036】
省電力管理部240は、プロトコル処理部230から通知を受信した場合、省電力モードから通常モードに移行させる。
また、省電力管理部240は、主応答部100が省電力モードから通常モードに移行した場合に、ネットワーク送受信部210を介してプロトコル処理部230に通知する。
【0037】
ここで、画像形成装置1の主制御部10は、補助記憶部18に記憶され、主記憶部19に展開された主応答部100用の制御プログラムを実行することで、ネットワーク送受信部110、プロトコル処理部120、プロトコル処理部130、及び省電力制御部140として機能する。
また、画像形成装置1の副制御部20は、補助記憶部18に記憶され、主記憶部19に展開された副応答部200用の制御プログラムを実行することで、ネットワーク送受信部210、プロトコル処理部230、及び省電力管理部240として機能する。
また、上述の画像形成装置1の各部は、本発明の画像形成方法を実行するハードウェア資源となる。
【0038】
〔画像形成装置1によるパケット応答処理〕
次に、
図4〜
図5を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1による
処理の説明を行う。
本実施形態のパケット応答処理では、通常モード時には、フィルター部30によりプロトコル毎に適切に振り分けられた、外部のネットワークから受信したパケットを、主応答部100及び副応答部200にて同時に応答する処理を行う。また、省電力モード時には、副応答部200が応答できるプロトコルのパケットは、副応答部200で応答する。
本実施形態のパケット応答処理において、主応答部100の処理は、主制御部10が主応答部100として、補助記憶部18から主記憶部19に展開されたプログラムを、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。また、副応答部200の処理は、副制御部20が副応答部200として、補助記憶部18から主記憶部19に展開されたプログラムを、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下では、最初に
図4のフローチャートを参照して、本実施形態のパケット応答処理における主応答部100の処理の詳細について説明する。
【0039】
(ステップS101)
ここでは、主応答部100は、既に通常モードで機能している。
しかしながら、まず、プロトコル処理部130が、現在、省電力モードから復帰した状態であるか否かを判定する。プロトコル処理部130は、省電力制御部140から、省電力モードから通常モードへの移行の通知を受信した場合に、Yesと判定する。プロトコル処理部130は、当該通知を受信していない場合には、Noと判定する。
Yesの場合、プロトコル処理部130は、処理をステップS105に進める。
Noの場合、プロトコル処理部130は、処理をステップS102に進める。
【0040】
(ステップS102)
省電力制御部140から通知を受信していない場合、ネットワーク送受信部110が、振り分けパケット受信待機処理を行う。
ネットワーク送受信部110は、ネットワーク接続部15にて外部のネットワークから受信したパケットのうち、フィルター部30により主応答部100用に振り分けられたパケットを取得するまで待機する。
ネットワーク送受信部110は、パケットを取得した場合、これを解析してプロトコル処理部120に送信する。
【0041】
(ステップS103)
次に、プロトコル処理部120が、予め定められた時間以上、パケットの受信がなかったか否かを判定する。プロトコル処理部120は、タイマー等により、予め定められた時間以上、主応答部100用に振り分けられたパケットを受信しなかった場合に、Yesと判定する。この予め定められた時間は、ユーザーが操作パネル部16により、「省電力モード移行時間」等として数十秒〜数時間等の時間を設定可能である。また、プロトコル処理部120は、就業時間や営業日等に基づいて設定された時刻になった場合に、この予め定められた時間以上になったと判断してもよい。逆に、プロトコル処理部120は、予め定められた時間の間に、ネットワーク送受信部110からパケットを受信した場合には、Noと判定する。
Yesの場合、プロトコル処理部120は、処理をステップS107に進める。
Noの場合、プロトコル処理部120は、処理をステップS104に進める。
【0042】
(ステップS104)
パケットを受信した場合、プロトコル処理部120は、振り分けパケットプロトコル処理を行う。
プロトコル処理部120は、受信したパケットに含まれるデータのプロトコルに従った処理を、各部と協働して実行する。プロトコル処理部120は、例えば、パケットが印刷データの場合には、画像形成部17に出力して印刷させる。
また、プロトコル処理部120は、受信したパケットに対応する応答用のパケットを作成する必要がある場合、これを作成して、ネットワーク送受信部110からネットワーク接続部15に送信させてもよい。
【0043】
(ステップS105)
ここで、プロトコル処理部130が、副応答部200からパケットを取得したか否かを判定する。
プロトコル処理部130は、副応答部200のプロトコル処理部230からパケットを受信した場合に、Yesと判定する。プロトコル処理部130は、省電力モード時に副応答部200のプロトコル処理部230で処理できないパケットがあり、省電力モードから通常モードに移行された場合、省電力制御部140からその旨の通知を受信した際にもYesと判定する。プロトコル処理部130は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、プロトコル処理部130は、処理をステップS106に進める。
Noの場合、プロトコル処理部130は、パケット応答処理の主応答部100の処理を終了する。
【0044】
(ステップS106)
副応答部200からパケットを取得した場合、プロトコル処理部130は、副制御部パケットプロトコル処理を行う。
プロトコル処理部130は、ステップS104の振り分けパケットプロトコル処理と同様に、受信したパケットが対応する各プロトコルに対応して各部を制御し、応答するパケットを作成して送信する。
送信後、プロトコル処理部130は、パケット応答処理の主応答部100の処理を終了する。
【0045】
(ステップS107)
予め定められた時間以上、パケットの受信がなかった場合、省電力制御部140は、省電力モード移行処理を行う。
省電力制御部140は、各部の電源供給を停止したり省電力状態に遷移させたりし、主制御部10自体も待機(HALT)等の状態にさせる。この際に、副応答部200の省電力管理部240に通知する。
以上により、本発明の実施の形態に係るパケット応答処理の主応答部100の処理を終了する。
【0046】
その後、省電力モードの場合、主応答部100は、通常モードに復帰するまで、そのまま待機する。また、通常モードの場合、主応答部100は、フィルター部30により主応答部100へ振り分けられたパケットへの対応を繰り返す。
【0047】
次に、
図5のフローチャートを参照して、パケット応答処理の副応答部200の処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0048】
(ステップS201)
まず、ネットワーク送受信部210が、振り分けパケット受信処理を行う。
ネットワーク送受信部210は、ネットワーク接続部15にて外部のネットワークから受信したパケットのうち、フィルター部30により副応答部200用に振り分けられたパケットを取得するまで待機する。
ネットワーク送受信部210は、パケットを取得した場合、これを解析してプロトコル処理部230に送信する。
【0049】
(ステップS202)
次に、プロトコル処理部230が、振り分けパケットプロトコル処理を行う。
プロトコル処理部230は、ネットワーク送受信部210から受信したパケットについて、ステップS104の振り分けパケットプロトコル処理と同様に、対応する各プロトコルにより各部を制御し、応答するパケットを作成して送信する。
この際、プロトコル処理部230は、主応答部100による応答が必要なパケットであった場合には、何もしない。
【0050】
(ステップS203)
次に、プロトコル処理部230が、主応答部100による応答が必要か否かを判定する。プロトコル処理部230は、主応答部100による応答が必要なパケットであった場合に、Yesと判定する。プロトコル処理部230は、副応答部200による応答が可能なパケットであった場合には、Noと判定する。
Yesの場合、プロトコル処理部230は、処理をステップS204に進める。
Noの場合、プロトコル処理部230は、パケット応答処理の副応答部200の処理を終了する。
【0051】
(ステップS204)
主応答部100による応答が必要であった場合、プロトコル処理部230が、省電力モードであるか否かを判定する。
Yesの場合、すなわち省電力モードであった場合、プロトコル処理部230は、処理をステップS205に進める。
Noの場合、すなわち通常モードであった場合、プロトコル処理部230は、処理をステップS206に進める。
【0052】
(ステップS205)
省電力モードであった場合、省電力管理部240が、主応答部通常モード移行処理を行う。
省電力管理部240は、主制御部10を起動させ、主応答部100の省電力制御部140に、省電力モードから通常モードへの移行を行うよう指示する。これにより、主応答部100が、省電力モードから通常モードへ移行される。
【0053】
(ステップS206)
ここで、プロトコル処理部230が、主応答部パケット送信処理を行う。
プロトコル処理部230は、主応答部100により応答が必要なパケットを、主応答部100のプロトコル処理部130に送信する。
以上により、本発明の実施の形態に係るパケット応答処理の副応答部200の処理を終了する。
【0054】
その後、フィルター部30から副応答部200へ振り分けられたパケットを受信した場合に、副応答部200は、このパケットへの対応を繰り返す。
【0055】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、特許文献1のような技術では、主応答部と副応答部とにそれぞれ同じプロトコルの同種のパケットに応答するプロトコル処理部を備える必要があった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、外部のネットワークからパケットを受信するネットワーク接続部15と、ネットワーク接続部15により受信されたパケットを、プロトコル毎に振り分けるフィルター部30と、フィルター部30により振り分けられたパケットについて、各部の動作制御を行う通常モードの際に応答する主応答部100と、フィルター部30により主応答部100に振り分けられなかった一部の種類のパケットについて、主応答部100がパケットへの応答を行わない省電力モードにおいても応答する副応答部200とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、フィルター部30を主応答部100及び副応答部200の外部に配置し、受信したパケットに対して、プロトコル毎に適切に主応答部100及び副応答部200に振り分けを行う。このため、同じプロトコルの同種のパケットを処理するプロトコル処理部がそれぞれの主応答部100と副応答部200とに二重で備えられる必要がなくなり、ネットワーク応答の無駄を抑え、各パケットにおいて効率的な処理ができる。また、パケットへ応答するための主制御部10、副制御部20、主記憶部19、及び補助記憶部18のシステムリソース(資源)を節約できる。
また、通常モード時においても、副応答部200で応答可能な種類のパケットに応答するため、主応答部100と副応答部200とで別々のパケットを処理できる。よって、処理効率が高くなり、結果として消費電力も削減できる。
【0056】
また、特許文献1の技術では、キャッシュ情報やネットワークスタックの状態等について、メインシステムとサブシステムとで整合性が取れないことで、プロトコルの規定通りの応答ができないことがあった。つまり、受信したパケットが、リクエストに対して単純に応答を返せばよいプロトコルでなく、キャッシュ情報や状態遷移を処理する必要があるプロトコルの場合は、メインシステムとサブシステムとで整合性を取るのが難しい場合が生じていた。
これに対して、本実施形態では、通常モードであっても省電力モードであっても、副応答部200が応答できるプロトコルのパケットは、フィルター部30によって振り分けられ、副応答部200で応答するよう構成している。このため、省電力モードから通常モードへ復帰した際に、ネットワークスタックの状態に矛盾が生じることを防ぐことが可能である。よって、SNMPやARPのようなプロトコルにおいても、プロトコルの規定通りの応答を行うことが可能になる。
【0057】
また、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、主応答部100が、フィルター部30により振り分けられたパケットを、予め定められた時間以上受信しない場合、省電力モードに移行することを特徴とする。
このように構成することで、主応答部100で応答するパケットが受信されなければ、通常モードから省電力モードに移行させることが可能となる。これにより、印刷データを作成するPC等がすべてシャットダウンされているものの、副応答部200で応答するパケットがルーター等から送信されているような状態でも、省電力モードへ移行させることができる。よって、消費電力を削減し、コストを削減することができる。
【0058】
また、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、副応答部200が、省電力モード時に応答できないパケットを受信した場合、主応答部100を通常モードに移行させて応答させることを特徴とする。
このように構成することで、SNMP等の複雑なプロトコルであっても、副応答部200で一部の種類のパケットについては応答し、応答できない種類のパケットが振り分けられた場合は、当該パケットについて、主応答部100に応答させることが可能になる。このため、ネットワークスタック等に矛盾を生じさせずに応答を行うことができる。また、SNMP等において副応答部200で一部の種類の応答可能なパケットについては、省電力モード時に副応答部200で応答可能となるため、消費電力を削減できる。
【0059】
また、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、フィルター部30が、印刷データを扱うプロトコルのパケットを主応答部100に振り分け、ARPやSNMPを含むプロトコルのパケットを副応答部200に振り分けることを特徴とする。
このように構成することで、容易に主応答部100と副応答部200とで応答に必要な回路の規模やシステムリソース等を分配でき、主応答部100と副応答部200とについてコストを削減可能である。
【0060】
なお、本発明の実施の形態においては、主応答部100と副応答部200とは、それぞれ、主制御部10と副制御部20とがプログラムを実行することで実現するように記載した。しかしながら、主応答部100と副応答部200とを、一部若しくは全てを専用のASIC等により構成してもよい。また、逆に、フィルター部30についても、補助記憶部18に記憶され、主記憶部19に展開されたプログラムを実行して実現されてもよい。
このように構成することで、全体としてパケットの応答の効率を最適化し、コストを削減できる。
【0061】
また、上述の実施の形態においては、補助記憶部18及び主記憶部19が主制御部10及び副制御部20とで共有されるように記載した。
しかしながら、主制御部10及び副制御部20が、それぞれ、補助記憶部18又は主記憶部19を備えるような構成であってもよい。この場合、共有メモリー等を介して、主制御部10と副制御部20との間でデータを送受信可能であってもよい。
このように構成することで、コストを削減できる。また、副応答部200をネットワークボード等として容易に脱着可能となる。
【0062】
また、フィルター部30は、通常モードと省電力モードとで、主応答部100及び副応答部200へのパケットのプロトコル毎の振り分けを変更してもよい。この場合、フィルター部30は、通常モード時に応答が必要なパケットであっても、副応答部200に振り分けてもよい。
このように構成することで、通常モードと省電力モードとで、主応答部100及び副応答部200が最適なパケットへの応答を行うことができ、コストを削減できる。
【0063】
また、本発明は、画像形成装置以外の情報処理装置にも適用できる。つまり、ネットワークスキャナー、スキャナーをUSB等で別途接続したサーバー等を用いる構成であってもよい。
【0064】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。