特許第6173973号(P6173973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173973
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20170724BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20170724BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20170724BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20170724BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   G01C21/26 P
   G01C21/36
   G08G1/005
   G09B29/10 A
   G09B29/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-120617(P2014-120617)
(22)【出願日】2014年6月11日
(65)【公開番号】特開2016-1122(P2016-1122A)
(43)【公開日】2016年1月7日
【審査請求日】2016年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233055
【氏名又は名称】株式会社日立ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴之
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/003628(WO,A1)
【文献】 特開2011−185785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G01C 21/36
G08G 1/005
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置であって、
出発地を特定する出発地情報と目的地を特定する目的地情報を記憶する出発地目的地情報記憶手段と、
リンク毎のコストを含む道路情報を記憶する道路情報記憶手段と、
前記出発地から前記目的地までの経路に含まれる前記リンクのコストの合計であるトータルコストの上限を設定するコスト設定情報を記憶するコスト設定情報記憶手段と、
前記目的地情報および前記コスト設定情報の入力を受け付け、ならびに経路探索結果を表示する表示入力手段と、
前記表示入力手段が前記コスト設定情報の入力を受け付けると、前記出発地情報、前記目的地情報、前記道路情報および前記コスト設定情報を用いて経路探索を開始する経路探索手段と
前記目的地情報に対応する目的地名称、および前記経路探索結果の経路の前記トータルコストをコスト履歴情報として記憶するコスト履歴情報記憶手段とを備え、
前記表示入力手段が、
前記コスト設定情報の入力を受け付けるにあたり、利用者による前記コスト設定情報の直感的な入力を可能とするコスト設定初期画面情報を表示し、および
前記経路探索結果としての経路を表示するにあたり、コスト設定入力後画面情報を表示し、
前記表示入力手段が、以前の経路探索により得られた前記コスト履歴情報のうち少なくとも前記目的地名称を、前記コスト設定初期画面情報および/または前記コスト設定入力後画面情報に含めて表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示入力手段が、前記目的地の優先順位の入力を受け付け、
前記出発地目的地情報記憶手段が、複数の前記目的地情報を記憶するとともに、
前記目的地の前記優先順位を、前記目的地情報のそれぞれに記憶することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記出発地から、一つまたは複数の前記目的地を順次経由して、最後の前記目的地まで巡る経路の前記トータルコストが前記コスト設定情報を超過する場合、
前記経路探索手段は、前記トータルコストが前記コスト設定情報を超過する経路から、前記目的地を前記優先順位の低い方から順次除外していき、前記出発地と残存している前記目的地から構成される経路の前記トータルコストが前記コスト設定情報の値以下となる経路を探索し、
前記表示入力手段が、前記トータルコストが前記コスト設定情報の値以下となる経路を前記経路探索結果として表示することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示入力手段が、前記経路探索結果に、前記残存している前記目的地と前記順次除外された前記目的地とを含め、両者を異なる印で表示することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記経路探索手段が、前記表示入力手段が前記目的地の前記優先順位の入力を受け付けると、さらに経路探索を開始することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一つに記載のナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に歩行者が使用するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では目的地に到達するための案内を行うナビゲーション装置が一般的となり、歩行者でも携帯電話やスマートフォンなどを使用して目的地に案内するナビゲーション機能を利用する機会が増加しつつある。通常の使用方法としては、出発地と目的地、経由地などを入力し、自動車の場合は有料道路の使用可否やネットワーク等から取得する渋滞情報、歩行者の場合は階段など使用を避けたい情報などを考慮して、移動経路を探索して表示する。
【0003】
自動車のナビゲーションでは、従来においては目的地に早く到達することが最重要である。このため、交差点と交差点の間の道路などで構成された経路の部分候補について、部分候補の距離と予想される自動車の走行速度から所要時間を算出し、部分候補の組み合わせにより所要時間の和が最小となるように移動経路を算出する。しかし、該方法では運転者の疲労などは考慮されていない。このため、短時間で目的地に到着する経路を選択したとしても疲労の影響で運転者がより長い休憩時間をとってしまい、むしろ、より長い時間で目的地に到達する経路の方が疲労が少なく運転者の休憩時間が短くなる場合がある。この結果、目的地に到達する時間が逆転する可能性があるという課題がある。
【0004】
また、経路上で渋滞が発生し、経路上の休憩施設で休憩を取った場合に、渋滞が増加傾向にあるときには、渋滞区間の手前の休憩施設に立寄ると、休憩中に渋滞が増加してしまい、目的地までの走行時間が想定以上に長くなる可能性があるという課題がある。
【0005】
また、疲労が蓄積すると運転に危険が伴うため、どの程度疲労が蓄積したかを検出することも重要な課題となる。
【0006】
このような課題に解決可能な解決策が提示されている。例えば、特許文献1では、疲労度を考慮した経路探索手段が開示されている。該方法では、右左折回数や道幅が狭い場合などは、より疲労が蓄積されるものとして経路探索時に考慮することとしている。特許文献2では、渋滞の増減傾向を予測し、休憩を取った場合に不用意に所要時間が増加しないような休憩場所を提案する方式としている。特許文献3では、疲労度の算出方法として、道路のカーブや信号機の有無情報を利用し、より疲労の蓄積されない経路探索手段を実現している。特許文献4では、運転者による運転操作の操作量と道路形状に基づく基準操作量を比較演算し、運転者の疲労度を求める方式を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−26932号公報
【特許文献2】特開2005−265708号公報
【特許文献3】特開2006−17678号公報
【特許文献4】特開2008−146515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動車の運転の場合には、運転者の疲労を考慮し疲労の少ない経路を提示することで、結果として早く目的地に到達することを目的としている。歩行者向けのナビゲーション機能も同様の技術を適用することで結果として早く目的地に到達する可能性のある経路を提示することができる。また、階段など経路上の特有物を忌避するような経路を提示し、疲労を避ける経路を提示することができる。
【0009】
しかし、歩行の場合は、一定以上の疲労が蓄積される経路を利用者が望まない場合があり、このため、利用者が許容する疲労蓄積量の範囲内等、疲労などのコストを考慮した経路を提示することが望まれる。また、例えば、ある観光地域内の一つまたは複数の目的地を経由して巡りたい場合には、上記方法を適用しても、一定以上の疲労を利用者が感じた時点で目的地巡りは中止され、優先順位の高い目的地に行けないという事態が発生してしまうため、疲労が一定以上蓄積されないように、優先順位が低い目的地は除外した経路を算出することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する為に、本発明のナビゲーション装置は、出発地を特定する出発地情報と目的地を特定する目的地情報を記憶する出発地目的地情報記憶手段と、リンク毎のコストを含む道路情報を記憶する道路情報記憶手段と、出発地から目的地までの経路に含まれるリンクのコストの合計であるトータルコストの上限を設定するコスト設定情報を記憶するコスト設定情報記憶手段と、目的地情報およびコスト設定情報の入力を受け付け、ならびに経路探索結果を表示する表示入力手段と、表示入力手段がコスト設定情報の入力を受け付けると、出発地情報、目的地情報、道路情報およびコスト設定情報を用いて経路探索を開始する経路探索手段と、目的地情報に対応する目的地名称、および経路探索結果の経路のトータルコストをコスト履歴情報として記憶するコスト履歴情報記憶手段とを備え、表示入力手段が、コスト設定情報の入力を受け付けるにあたり、利用者によるコスト設定情報の直感的な入力を可能とするコスト設定初期画面情報を表示し、および経路探索結果としての経路を表示し、表示入力手段が、以前の経路探索により得られたコスト履歴情報のうち少なくとも目的地名称を、コスト設定初期画面情報および/またはコスト設定入力後画面情報に含めて表示することを特徴とする。
【0012】
また、好ましくは、本発明のナビゲーション装置は、表示入力手段が、目的地の優先順位の入力を受け付け、出発地目的地情報記憶手段が、複数の目的地情報を記憶するとともに、目的地の優先順位を、目的地情報のそれぞれに記憶することを特徴とする。
【0013】
また、好ましくは、本発明のナビゲーション装置は、出発地から、一つまたは複数の目的地を順次経由して、最後の目的地まで巡る経路のトータルコストがコスト設定情報を超過する場合、経路探索手段は、トータルコストがコスト設定情報を超過する経路から、目的地を優先順位の低い方から順次除外していき、出発地と残存している目的地から構成される経路のトータルコストがコスト設定情報の値以下となる経路を探索し、表示入力手段が、トータルコストがコスト設定情報の値以下となる経路を経路探索結果として表示することを特徴とする。
【0014】
また、好ましくは、本発明のナビゲーション装置は、表示入力手段が、経路探索結果に、残存している目的地と順次除外された目的地とを含め、両者を異なる印で表示することを特徴とする。
【0015】
また、好ましくは、本発明のナビゲーション装置は、経路探索手段が、表示入力手段が目的地の優先順位の入力を受け付けると、さらに経路探索を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のナビゲーション装置によれば、疲労などのコストを考慮した経路探索の設定項目を簡易な手段で入力して経路探索をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の全体構成図の一例である。
図2】本発明の実施形態の概要を示すシーケンス図の一例である。
図3】本発明の実施形態に係る出発地情報および目的地情報の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る道路情報のデータ構造の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るコスト履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るコスト設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、利用者の疲労などのコストを考慮した経路探索機能により到達可能な目的地を表示するという目的を、簡易な入力手段により行える構成を実現したものである。
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、経路探索で一般的に用いられるグラフ理論に対応し、本明細書では、地点をノード、地点間をリンク、リンクの重みをコストと呼ぶ場合がある。
【0020】
図1は、本発明の実施形態によるナビゲーション装置の全体構成を説明する図である。100はナビゲーション装置を示している。ナビゲーション装置100は、位置情報取得部101と、経路探索部102と、表示入力部103と、出発地目的地情報記憶部104と、道路情報記憶部105と、コスト設定情報記憶部106と、コスト履歴情報記憶部107とを備えている。
【0021】
位置情報取得部101は、ナビゲーション装置100の現在位置を取得する。取得された位置情報は、出発地情報として出発地目的地情報記憶部104に記憶される。なお、位置情報取得部101は任意的手段であり、これに代えて、利用者は出発地情報を表示入力部103等にて入力することにより出発地を設定することもできる。
【0022】
102は経路探索部であり、出発地情報、目的地情報、道路情報およびコスト設定情報を用いて経路探索する。経路探索部102は、表示入力部103がコスト設定情報の入力を受け付けると、自動的に経路探索を行う。また好ましくは、経路探索部102は、表示入力部103が目的地の優先順位の入力を受け付けた場合にも経路探索を開始するようにしてもよい。ここで、コスト設定情報の入力や目的地の優先順位の入力とは、これらの情報を初めて入力する場合のみならず、既に入力されて設定されている情報を変更する情報が入力された場合をも含む。したがって、コスト設定情報および目的地の優先順位は何度も変更することが可能であり、また、その都度経路探索が行われることとなる。経路探索では、出発地から目的地までの経路に含まれるリンクのコストの合計(本発明において、経路に含まれるリンクのコストの合計をトータルコストと呼ぶ)を算出する。経路探索部102は、トータルコストがコスト設定情報以下の経路のみを算出しても良い。
【0023】
表示入力部103はナビゲーション画面を表示し、利用者の入力を受け付けるユーザインタフェースである。具体的には、経路探索結果としての経路、およびコスト設定画面情報(利用者によるコスト設定情報の直感的な入力を可能とするコスト設定初期画面情報およびコスト設定入力後画面情報を総称してコスト設定画面情報という。)を表示する。また、目的地情報およびコスト設定情報等、ならびに好ましくは目的地の優先順位の入力を受け付ける。
【0024】
出発地目的地情報記憶部104は、出発地を特定する出発地情報と目的地を特定する目的地情報を記憶する。これらの特定は、緯度や経度などを用いる方法が一般的であるが、地点が特定できる情報であれば何でもよい。出発地目的地情報記憶部104は、複数の目的地情報を記憶することができ、この場合、好ましくは、目的地情報毎に優先順位を記憶することができる。
【0025】
道路情報記憶部105は、ナビゲーション装置の経路探索で通常用いられるノードやリンクのコストなどから構成される。本実施形態では、疲労を考慮したコストが設定されており、リンク毎のコストを含んでいる。
【0026】
コスト設定情報記憶部106は、コスト設定情報の入力が表示入力部103により受け付けられるとコスト設定情報を記憶する。コスト設定情報は、利用者がどの程度のトータルコストまで許容するかを設定する値、すなわち、出発地から目的地までの経路に含まれるリンクのコストの合計であるトータルコストの上限を定めるものである。本実施形態では、コスト設定情報は、利用者が許容する疲労の量である。また、本実施形態では、コスト設定情報の設定は、後述するようにバー621上の設定つまみ627を移動することにより行われるが、コスト設定情報はバー621上の位置に対応している数値として記憶される。
【0027】
コスト履歴情報記憶部107は、例えば、過去にナビゲーション装置100を使用した際に算出したトータルコストについての履歴であるコスト履歴情報を記憶する。なお、本情報はネットワークなどにより外部装置から取得しても良い。また、コスト履歴情報には、当該算出したトータルコストに係る経路の目的地に対応する目的地名称が含まれる。
【0028】
以上のような構成により、コスト設定情報は簡易な手段で入力されることができ、また該入力の受け付けを条件として経路探索を実施し、到達可能な、すなわち利用者が許容するトータルコストの範囲内の経路(および好ましくは該経路を構成する目的地)を表示することができる。
【0029】
図2は、本発明の全体シーケンス図である。処理を開始すると、位置情報取得部101から取得した位置情報は出発地目的地情報記憶部104に出発地情報として記憶され、設定されると共に、利用者が目的地情報を表示入力部103にて入力すると、これが出発地目的地情報記憶部104に目的地情報として記憶され、設定される(S201)。
【0030】
ここで、利用者は目的地を複数設定することが可能であり、この場合、探索される経路は、出発地から一つ又は複数の目的地を順次経由して、いずれか一つの目的地を終点とする経路である(よって、終点の目的地が最後の目的地となり、それ以外の目的地は経由地となる。)。またそれぞれの目的地に対して優先順位を設定可能である。
【0031】
次に、表示入力部103は、コスト設定初期画面情報を表示する(S202)。これは、コスト設定情報を入力するユーザインタフェースであり、利用者が直感的にコスト設定情報を入力することが可能な画面情報である。表示の際に、コスト履歴情報を表示しても良い。
【0032】
利用者がコスト設定情報を入力すると(S203)、経路探索部102は、経路探索を行う。なお、目的地情報が複数記憶されている場合に、探索された経路におけるトータルコストがコスト設定情報を超過するときには、優先順位の低い目的地を経路から排除した経路が改めて探索されてもよい。この場合、コスト設定情報を超過しない目的地から構成された経路が経路探索結果として用いられる。
【0033】
表示入力部103は、探索された経路を経路探索結果の経路として表示する(S204)。
【0034】
次に、利用者がコスト設定情報の入力を最終的に完了した場合にはその旨の入力を受け付ける(S205)。コスト設定情報の入力が最終的に完了していない場合にはコスト設定情報の入力S203から再度実施される。S203及びS204のステップは何度でも繰り返し行うことができる。すなわち、利用者は、様々な値のコスト設定情報を入力して、その都度、コスト設定情報の範囲内で到達可能な経路を確認することができる。
【0035】
S205でコスト設定情報の設定が最終的に完了すると、ナビゲーションを開始する(S206)。
【0036】
図3は、出発地目的地情報記憶部104が記憶する出発地情報および目的地情報の例である。301は地点を特定するIDである。000は出発地を表している。001以降は目的地である。302は地点の緯度を、303は地点の経度を表している。304は経路探索の時に用いる優先順位を表している。本実施形態では、数値が小さいほど優先順位が高い。優先順位は、経路探索の時に、例えば優先順位1および2の目的地から構成される経路ではトータルコストがコスト設定情報以下であり、優先順位3の目的地を含めた経路ではトータルコストがコスト設定情報を超過する場合には、優先順位1および2の目的地から構成される経路探索結果を表示する、といった形で使用する。
【0037】
図4は、道路情報記憶部105が記憶する道路情報の例である。401は始点ノードIDであり、402は終点ノードIDである。ノード間のリンクが経路探索の最小構成単位となる。403はリンクのコストであり、本実施形態では、歩行者の疲労に影響を与えるリンクの距離や、坂の有無、坂の傾斜の程度などから算出される。経路探索においては、出発地のノードから目的地のノードまでの各リンクのトータルコストを最小にするような組み合わせパターンが算出されるほか、コストに対する補正値などを用いたりして、様々な探索が行われる。本発明においては、基本的な経路探索の方法は何でもよく、したがって、通常のナビゲーション装置と同様の経路探索方法でもよく、経路探索に道路情報として401から403以外の項目を用いても良い。
【0038】
図5は、コスト履歴情報記憶部106が記憶するコスト履歴情報の例である。コスト履歴情報とは、目的地情報に対応する目的地名称と、典型的には、以前にナビゲーション装置100にて探索した経路の出発地から目的地までのトータルコストを記録した情報を含むものである。但し、この他に、例えば、出発地から主要都市の中心地点、著名なランドマーク等までの経路に含まれるリンクのトータルコストを含ませることができる。また、これらのコスト履歴情報は、上述したように、ナビゲーション装置100内に記憶するのに代えて、またはこれに加えて、ネットワーク等を介して通信可能に接続された外部の装置に記憶させて利用することもできる。501はナビゲーション装置100を利用した日時、502は例えば以前に探索した経路における目的地に対応する名称を表す。503は以前に探索した経路のトータルコストであり、例えば疲労の量などでも良い。コスト履歴情報は、表示入力部103によってコスト設定画面情報に含めて表示されてもよい。
【0039】
図6は、ナビゲーション装置100の経路探索結果を上段に、コスト設定入力後画面情報を下段に表示した例である。なお、本実施形態では、表示画面上はコスト設定の代わりに疲労設定と表示している。
【0040】
600はナビゲーション装置100の画面である。610は地図の表示領域である。本領域で経路探索結果の表示などを行う。
【0041】
611、612および613は目的地の表示例である。また、優先順位の入力領域も同時に表示されており、611の目的地には優先順位の高い「是非行きたい」が設定されている。612はやや優先順位の高い目的地であり、「まあ行きたい」と設定されている。613は優先順位の低い目的地であり、「行ければ」が設定されている。ここで、「是非行きたい」は、図3の優先順位304の「1」に相当し、「まあ行きたい」は同じく「2」に相当し、および「行ければ」は同じく「3」に相当する。優先順位の入力領域が操作されることにより目的地の優先順位の入力を受け付けることができる。また、優先順位が入力されることを条件に経路探索を行うようにすることもできる。
【0042】
本実施形態では、出発地から、複数の目的地を経由して、最後の目的地まで巡る経路のトータルコストがコスト設定情報を超える経路となる目的地が設定されており、経路探索により、当該経路から優先順位が低い目的地から順次除外され、出発地と残存している目的地から構成される経路のトータルコストがコスト設定情報以下となる経路が探索される。具体的には、「行ければ」の目的地3および9は経路探索結果の経路から除外され、トータルコストがコスト設定情報以下となる経路が経路探索結果として表示されている。また、経路探索結果の経路に含まれている(残存している)目的地1、4、5および7は黒丸の印で表示され、除外された目的地3および9は白丸の印で表示されているように、経路探索結果の経路に含まれる目的地と除外された目的地とは異なる印で表示されている。印614はナビゲーション装置100の現在位置(出発地)を示している。
【0043】
620はコスト設定画面情報の表示領域である。図6は、コスト設定情報が入力された後であり、コスト設定入力後画面情報を示している。本実施形態では、利用者の疲労が主たるコストであるため、疲労設定と表示している。
【0044】
621はコスト設定情報を入力するためのバーである。本実施形態では左端は疲労が少なく、右端に行く程疲労が多い設定となる。これに対応して、コストの程度を言語化した情報として、例えば、バー621の左端付近には「ほとんど疲れない」、右端付近には「相当疲れる」と表示している。設定つまみ627をバー621上で左右に移動することによりコスト設定情報を入力可能であり、設定つまみ627を移動すると自動的に経路探索を実施するようにしても良い。
【0045】
図4のコスト403に示すように、コストは通常、数値で表される。したがって、トータルコストも通常数値となり、トータルコストの上限を設定するコスト設定情報も数値となる。そのため、コスト設定情報を設定することは、コスト設定情報をある特定の数値に決定することといえるが、これには、利用者は自己が許容するトータルコストの上限を数値として定量的に把握する必要があるため、コスト設定情報の設定が困難である場合も考えられる。これに対し、本実施形態では、バー621と設定つまみ627により、利用者がコスト設定情報の入力を、コストの程度を言語化した情報に基づいて、直感的に、かつ定性的に行うことが可能となっている。
【0046】
622はコスト履歴情報の一例である。622は、コスト履歴情報を登録する際に、日時を入力しない定型量として登録されたものである。623はトータルコストが中程度のコスト履歴情報である。624はトータルコストがやや高いコスト履歴情報である。これらのコスト履歴情報は、それぞれのトータルコストに応じて、バー621の相当する位置に表示されている。具体的には、コスト履歴情報623は、図5のトータルコスト503を参照すると「4500」である。したがって、設定つまみ627が、コスト履歴情報623の位置に対応する位置に移動されると、コスト設定情報は「4500」に設定されることになる。同じく、設定つまみ627が、コスト履歴情報624の位置に対応する位置に移動されると、コスト設定情報は「8000」に設定される。利用者は、コスト設定画面に表示されたコスト履歴情報を参照して、これを目安にすれば、より容易に精度の高いコスト設定情報を設定することが可能となる。
【0047】
625はコスト設定情報を最終的に完了した旨を入力するボタンである。626はコスト設定情報の設定を実施せずに戻るボタンである。
【0048】
620はコスト設定入力後画面情報を示したものであるが、コスト設定初期画面情報は、コスト設定情報が入力される前のコスト設定画面情報である。コスト設定初期画面情報では、例えば、初期設定として、設定つまみ627がバー621の中央に位置している。その他の表示される情報は、コスト設定入力後画面情報と同様である。
【0049】
図6に示したように本実施形態では、入力されたコスト設定情報および目的地の優先順位と、経路探索結果の経路が同時に表示されることから、利用者は、入力したコスト設定情報および目的地の優先順位と、経路探索結果の経路との対応関係を容易に把握することができる。また、本実施形態では、コスト設定情報を入力する都度および目的地の優先順位を入力する都度、経路探索が行われ、経路探索結果の経路が表示されることから、利用者は、自己が所望する疲労量と目的地の組み合わせが得られるまで、コスト設定情報の値や優先順位を変更して経路探索を繰り返し行うことができる。
【符号の説明】
【0050】
100 ナビゲーション装置
101 位置情報取得部
102 経路探索部
103 表示入力部
104 出発地目的地情報記憶部
105 道路情報記憶部
106 コスト設定情報記憶部
107 コスト履歴情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6