特許第6173977号(P6173977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6173977
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】ローラバニシング工具
(51)【国際特許分類】
   B24B 39/02 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
   B24B39/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-129287(P2014-129287)
(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公開番号】特開2016-7667(P2016-7667A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮内 慎也
(72)【発明者】
【氏名】二村 優
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第3069750(US,A)
【文献】 特開平06−008135(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第931242(GB,A)
【文献】 特開昭49−001456(JP,A)
【文献】 実開平07−042681(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 39/00 − 39/06
B24B 35/00
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機に装着するシャンクと、このシャンクに連結されたハウジングと、このハウジングに対して回転自在に支持された円筒状のローラ支持部材と、このローラ支持部材に装着されたテーパ形状のローラと、このローラのテーパ形状に適合したテーパ形状部を有するマンドレルと、を有するローラバニシング工具であって、
前記シャンクと前記マンドレルとを連結するツール径追従機構を備え、
前記ツール径追従機構は、
前記シャンクの先端部に形成された円筒形状部と、
この円筒形状部に螺旋状に設けられたリード溝と、
このリード溝に沿って螺旋状に移動自在に配設されたピン部材と、
前記マンドレルに形成され前記ピン部材が挿通されたピン部材挿通孔と、
前記シャンクに装着され前記マンドレルを前方に付勢する付勢手段と、
を備えたことを特徴とするローラバニシング工具。
【請求項2】
前記付勢手段は、付勢力を調整する付勢力調整手段を備えたこと、
を特徴とする請求項1に記載のローラバニシング工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はローラバニシング工具に係り、特にツール径追従機構を備えたローラバニシング工具に関する。
【背景技術】
【0002】
ローラバニシング工具は、ローラを回転させながらワークに押圧して円筒状の穴内面を塑性変形させて鏡面仕上げする。ローラバニシング工具は、加工部位の穴径寸法のばらつきやツール径の設定に数十μmの違いがあると仕上がりに影響を及ぼすため、穴径のばらつきに自動的に対応(ツール径に追従)できる変位機構と調整バネ機構を備えたローラバニシング工具が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載されたローラバニシング工具は、変位機構にかかる回転負荷トルクの変動を予め定められた設定値に保たれるように調整バネ機構によって制御している。変位機構は、シャンクと駆動体との間に配置されたローラユニットを備えており、ローラユニットの可撓性ローラの遊星運動とフィードアングルによる送り機構を利用して、回転負荷トルクの変化によって駆動体をシャンクに対して相対的に軸方向移動させることによって、ばらつきに対応できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3245638号公報(段落0044〜0054、図1図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたローラバニシング工具では、ハウジング内に変位機構が配設されるため、ハウジングの構造が複雑になり外形サイズも大きくなるので、装着可能な加工機が制約されるという問題があった。
また、可撓性のローラは消耗品であり交換が必要になるが、ハウジングの構造が複雑なのでメンテナンスがしにくいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、構造を簡素化し部品点数を削減して小型化するとともに、メンテナンス性を向上させたツール径追従機能を備えたローラバニシング工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、加工機に装着するシャンクと、このシャンクに連結されたハウジングと、このハウジングに対して回転自在に支持された円筒状のローラ支持部材と、このローラ支持部材に装着されたテーパ形状のローラと、このローラのテーパ形状に適合したテーパ形状部を有するマンドレルと、を有するローラバニシング工具であって、前記シャンクと前記マンドレルとを連結するツール径追従機構を備え、前記ツール径追従機構は、前記シャンクの先端部に形成された円筒形状部と、この円筒形状部に螺旋状に設けられたリード溝と、このリード溝に沿って螺旋状に移動自在に配設されたピン部材と、前記マンドレルに形成され前記ピン部材が挿通されたピン部材挿通孔と、前記シャンクに装着され前記マンドレルを前方に付勢する付勢手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明は、ツール径追従機構を備えたことで、マンドレルの回転負荷トルクと軸方向力とをバランスさせてバニシング加工時における押圧力を自動調整することができる。つまり、本発明は、ワークの内径のばらつき等に柔軟に対応してツール径を自動調整することで、バニシング加工時における押圧力を好適に保持することができる。このため、均一な仕上げ面を形成することができる。
また、摺動性に優れたプラトー面を容易に形成できる。バニシング加工は、表面の凹凸の凸部をローラで押し潰すことによって鏡面仕上げをすることができるが、摺動性に優れた表面を形成するときは、表面に理想的な凹部と凸部を形成する必要がある。バニシ量が数μm変化すると、凹部と凸部の大きさは大きく変化する。そのため、一般的には、数μm以上の寸法公差で量産加工している機械部品に対して、ローラバニシング加工前の内径大きさがミクロン代で変化するため、一定のバニシ量で加工ができず、一定の大きさの凹部と凸部を成形することは困難であった。しかし、本発明によれば、穴径にばらつきがあってもツール径追従機構によりバニシ量を一定に保つことができるため、一定の凹部と凸部、つまり良好なプラトー面を安定して形成することができる。
これにより、本発明に係るローラバニシング工具を用いて摺動性を必要とする機械部品にプラトー面を加工することができ、機械部品の摺動性能を向上させることができる。
【0009】
本発明は、シャンクの先端部に形成された円筒形状部に螺旋状に設けられたリード溝を備え、このリード溝に沿って移動自在に配設されたピン部材によってシャンクとマンドレルを連結してツール径追従機構の主要部を構成することで、シャンクの内部にツール径追従機構を収容することができるため、ハウジングの外形寸法を小さくして工具全体を小型化することができる。
【0010】
このようにして、本発明に係るローラバニシング工具は、取り扱い性がよく操作性を向上させることができるとともに、使用適用範囲を拡大して種々の加工機で好適に使用することができる。
また、ハウジング内に可撓性ローラを収容する必要がないため、ハウジングの構成を簡素化して部品点数および消耗品を削減するとともに、分解組立て性を向上させることができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のローラバニシング工具であって、前記付勢手段は、付勢力を調整する付勢力調整手段を備えたこと、を特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、本発明は、付勢力調整手段を備えたことで、バニシング加工時における押圧力を適切に調整することができるため、均一な仕上げ面を形成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るローラバニシング工具は、構造を簡素化して部品点数を削減して小型化するとともに、メンテナンス性を向上させ、且つ均一な仕上げ面を形成ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るローラバニシング工具の構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係るシャンクおよびアジャストリング周りの構成を示す分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るツール径追従機構の動作を説明するための平面図であり、(a)は加工前の状態、(b)は加工中において(a)よりもマンドレルが後退した状態、(c)は加工中において(b)よりもさらにマンドレルが後退した状態である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るローラバニシング工具について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
ローラバニシング工具1は、図1に示すように、加工機(不図示)に装着して回転駆動させるシャンク2と、このシャンク2に連結されたハウジング3と、シャンク2とハウジング3とを連結するアジャストリング4と、ローラ支持部材であるフレーム5と、このローラ支持部材5に装着されたテーパ形状のローラ51と、このローラ51のテーパ形状に適合したテーパ形状部61bを有するマンドレル6と、シャンク2とマンドレル6とを連結して加工押圧力を自動調整するツール径追従機構8と、を備えている。
【0016】
なお、本実施形態においては、シャンク2を加工機(不図示)に装着して回転駆動する使用形態を例として説明するが、これに限定されるものではなく、シャンク2を加工機に固定しワーク(不図示)を回転させて加工することもできる。
【0017】
以下の説明において、説明の便宜上、シャンク2の側(図1の右側)を後部、ローラ51の側(図1の左側)を前部という。各構成部材においても同様に前後方向を定めるものとする。
【0018】
シャンク2は、筒状の部材であり、加工機(不図示)に装着可能な形状をなした小径部21と、外周ねじ23が形成された円筒形状部である拡径部22と、拡径部22の前部側に螺旋状に設けられたリード溝24(図2参照)と、拡径部22の後部側に形成された軸方向溝25(図2参照)と、を備えている。
【0019】
なお、本実施形態においては、小径部21と拡径部22とを一体として構成したが、これに限定されるものではなく、それぞれ別体として構成して連結してもよい。また、リード溝24が形成される拡径部22の先端部(円筒形状部)を拡径部22から分割して構成してもよい。
【0020】
ハウジング3は、シャンク2に連結されるハウジング本体31と、ハウジング本体31の先端部に螺入して固定されるハウジングナット32と、フレーム5を回転自在に支持する軸受33と、ハウジングナット32に装着されフレーム5を後方の軸受33に付勢するスプリング34と、を備えている。スプリング34は、スラストリング34aとストップリング34bでフレーム5に係止されている。
【0021】
ハウジング本体31は、後端面に円周方向に沿って切り欠き状に形成された複数の凹部31a(図2参照)と、前端面に形成されたねじ部31bと、内周部に形成された内周ねじ31cと、を備えている。凹部31aはアジャストリング4の鉤部41(図2参照)と係合され、ねじ部31bはハウジングナット32と螺合され、内周ねじ31cはシャンク2の外周ねじ23に螺合されている。
【0022】
かかる構成により、ハウジングナット32は、ねじ部31bを介してハウジング本体31に固定されている。ハウジング本体31は、内周ねじ(回転溝)31cをシャンク2の外周ねじ(回転溝)23に螺合させることで、ハウジング本体31をシャンク2に対して回転させることにより軸方向に移動させることができる。
【0023】
ハウジングナット32は、フレーム5を回転自在に支持する部材であり、スプリング34によってフレーム5を後方に付勢しながら、軸受33によってフレーム5を回転自在に支持している。
【0024】
アジャストリング4は、図2に示すように、リング状の形状をなし、前端面に設けられハウジング本体31に形成された凹部31aに係合される鉤部41と、鉤部41に対して周方向で180度反対側の内周部に形成されたスライドキー42と、シャンク2にアジャストリング4を固定するための止めねじ43(図1参照)と、を備えている。スライドキー42は、ピン42aによってアジャストリング4に固定されている。
【0025】
アジャストリング4は、シャンク2の拡径部22に形成された軸方向溝25にスライドキー42を係合させた状態で軸方向にスライド移動できるようになっている。
このため、アジャストリング4は、スライドキー42を軸方向溝25に係合させてスライドさせながら、ハウジング本体31を少し回転させて鉤部41をハウジング本体31の凹部31aとハウジング3(ハウジング本体31とハウジングナット32)とを一体として回転可能に連結することができる。
【0026】
フレーム5は、図1に示すように、円筒形状をなして形成され先端部には複数のローラ51が円周上に出没自在に配設されている。
ローラ51は、先端部が拡径され、後端部が縮径されたテーパ形状をなし、マンドレル6の外周面に支持された状態でワーク(不図示)の内周面に押圧されて転動(自転)しながらマンドレル6(第1マンドレル61の先端部)の外周面上を円周方向に移動(公転)してワーク(不図示)の内周面をバニシング加工する。なお、複数のローラ51が内接する仮想円の直径をツール径δという。なお、ツール径δは、一般的にワークの内径よりも10〜40μm程度大きくなるように設定する。バニシ量を大きくしたいときはツール径δを大きく設定する。
【0027】
マンドレル6は、前方側に配設された棒状の第1マンドレル61と、第1マンドレル61に連結された筒状の第2マンドレル62と、を備えている。マンドレル6は、第1マンドレル61の後部に形成された外周ねじ部61aを第2マンドレル62の前部に形成された内周ねじ部62aに螺合させ、連結ナット63を締めて、第1マンドレル61と第2マンドレル62が一体として回転できるように連結されている。
【0028】
第1マンドレル61の先端部には、ローラ51のテーパ形状に適合したテーパ形状部61bが形成されている。第2マンドレル62には、軸方向中央部にピン部材挿通孔62bが軸方向に直交する方向に貫通して形成され、後端部には付勢手段であるスプリング82が装着されるガイド穴が形成されている。
【0029】
〈ツール径調整機構〉
ツール径調整機構は、マンドレル6に対して軸方向にフレーム5を移動させてツール径δを調整する機構である。ツール径δの調整は、アジャストリング4の止めねじ43を緩めて、アジャストリング4を後方にスライドさせて鉤部41と凹部31aの係合を解除すると、シャンク2に対してハウジング3を回転させて軸方向に移動させることができる。
【0030】
ハウジング3をシャンク2に近づける方向(後方)に移動させると、ハウジング3に支持されたフレーム5が後方2に移動するため、第1マンドレル61のテーパ形状部61bに沿ってツール径δを拡大させることができる。一方、ハウジング3をシャンク2から遠ざける方向(前方)に移動させると、ハウジングナット32に支持されたフレーム5が前方に移動するため、第1マンドレル61のテーパ形状部61bに沿ってツール径δを縮小させることができる。
【0031】
〈ツール径追従機構〉
ツール径追従機構8は、ワーク(不図示)の内径寸法にばらつきがあるような場合や微小なテーパを有するような場合であっても、マンドレル6の回転負荷トルクと軸方向力とをバランスさせて加工押圧力を適切に自動調整して、なめらかな超精密仕上げ面を形成するための機構である。
【0032】
ツール径追従機構8は、シャンク2の先端部に形成された円筒形状部を有する拡径部22に螺旋状に設けられたリード溝24(図2参照)と、このリード溝24に沿って移動自在に配設されたピン部材81と、第2マンドレル62に形成されたピン部材挿通孔62bと、シャンク2に装着され第2マンドレル62を前方に付勢する付勢手段であるスプリング82と、スプリング82のねじれを防止するためのベアリング83と、スプリング82の付勢力を調整する付勢力調整手段である六角穴付きねじ84と、を備えている。
【0033】
ピン部材81は、第2マンドレル62に形成されたピン部材挿通孔62bに貫通して挿通された中空ピン81aと、中空ピン81aの両端部に装着された六角穴付きボルト81bおよび軸受81cと、を備えている。
軸受81cは、外輪がリード溝24に案内されるように装着され(図3(a)参照)、六角穴付きボルト81bと第2マンドレル62の外周面との間に介装されている。
【0034】
続いて、本発明の実施形態に係るローラバニシング工具1におけるツール径追従機構8の動作について、図3を参照しながら説明する。
図3は、ツール径追従機構8の動作を説明するための平面図であり、(a)は加工前の状態、(b)は加工中においてマンドレル6に過大な負荷トルクT1が作用して(a)の状態よりもマンドレル6が軸方向にS1だけ後退した状態、(c)は加工中において(b)よりもさらに過大な負荷トルクT2が作用してマンドレル6が軸方向にS2だけ後退した状態である。
【0035】
本発明の実施形態に係るローラバニシング工具1は、図示しない加工機にシャンク2を装着して回転駆動させると、ツール径追従機構8を介してシャンク2からマンドレル6に駆動トルクが伝達される。ローラ51をワークの内周面(不図示)に押圧した状態でマンドレル6を回転させながらバニシング加工が行われるが、ワークの内径寸法にばらつきがあると加工中においてマンドレル6に過大な負荷トルクT1が作用して、軸方向分力F1が生じる。
【0036】
この軸方向分力F1がスプリング82の付勢力に抗してピン部材81がリード溝24に沿って軸方向に後退しながら回転する(図3(b)参照)。このときに生じる軸方向分力F1がバニシング加工時における過度な押圧力を低減して適正な押圧力に調整する。
図3(c)に示すように、さらに過大な負荷トルクT2が作用してマンドレル6が軸方向にS2だけ後退した状態でも同様である。
【0037】
本発明の実施形態に係るローラバニシング工具1は、ツール径追従機構8を備えたことで、マンドレル6の回転負荷トルクと軸方向力とをバランスさせてバニシング加工時における押圧力を自動調整することができるため、なめらかな超精密仕上げ面を形成ことができる。そして、リード溝24のねじれ角度(リード量)を工具の仕様に応じて適宜設定することでツール径δの追従範囲を好適に設定することができる。
【0038】
本発明の実施形態に係るローラバニシング工具1は、シャンク2の先端部に設けられた螺旋状のリード溝24に沿って移動自在に配設されたピン部材81によってシャンク2とマンドレル6を連結してツール径追従機構8を構成することで、シャンク2の内部にツール径追従機構8を収容することができるため、ハウジング3の外形寸法を小さくして工具を小型化することができる。
【0039】
このため、本発明の実施形態に係るローラバニシング工具1は、取り扱い性がよく操作性を向上させることができるとともに、使用適用範囲を拡大して種々の加工機で好適に使用することができる。また、ハウジング3内に可撓性ローラを収容する必要がないため、ハウジング3の構成を簡素化して部品点数および消耗品を削減するとともに、分解組立て性を向上させることができる。
【0040】
〈分解組立て性〉
本発明の実施形態に係るローラバニシング工具1の分解組立ての仕方について主として図1を参照しながら説明する。
ハウジングナット32を緩めて、スプリング34と一緒にハウジング本体31から外すと、フレーム5をローラ51と一緒に外すことができる。このとき、軸受33も外す。
【0041】
第1マンドレル61は、連結ナット63を緩めてから第1マンドレル61を回すと第2マンドレル62から外すことができる。アジャストリング4は、止めねじ43を緩めると軸方向溝25に沿って軸方向に移動させて外すことができる。アジャストリング4を外すと、ハウジング本体31を回転させることができるため、シャンク2に対してハウジング本体31を回転させてハウジング本体31を外す。
【0042】
ツール径追従機構8の分解は、まずピン部材81を分解してはずす。ピン部材81は、六角穴付きボルト81bを緩めて、軸受81cを外してから、中空ピン81aを第2マンドレル62のピン部材挿通孔62bから引き抜いて外す。
そうすると、シャンク2から第2マンドレル62を引き抜くことができるため、スプリング82とベアリング83を一緒に取り出す。
【0043】
このようにして、本発明の実施形態に係るローラバニシング工具1は、容易に分解することができる。組み付けの仕方は分解の手順の逆であるから説明は省略する。本発明の実施形態に係るローラバニシング工具1は、取り扱い性がよく容易に分解ができるため、メンテナンス性が良好である。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されず、適宜変更して実施することが可能である。
例えば、本実施形態においては、マンドレル6の先端部にローラ51を配設して1段式ローラタイプを構成したが、これに限定されるものではなく、ローラ51の後方にさらにローラ51とはツール径の異なるローラ(不図示)を設けて2段式ローラタイプを構成することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 ローラバニシング工具
2 シャンク
3 ハウジング
4 アジャストリング
5 ローラ支持部材(フレーム)
6 マンドレル
8 ツール径追従機構
24 リード溝
25 軸方向溝
31 ハウジング本体
32 ハウジングナット
33 軸受
34 スプリング
51 ローラ
61 第1マンドレル(マンドレル)
61a 外周ねじ部
61b テーパ形状部
62 第2マンドレル(マンドレル)
62a 内周ねじ部
62b ピン部材挿通孔
81 ピン部材
82 スプリング(付勢手段)
83 ベアリング
F1 軸方向分力
F2 軸方向分力
T1 負荷トルク
T2 負荷トルク
図1
図2
図3