(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記自由端部は、前記係合面が互いに向かい合った閉じ位置と前記係合面が互いに遠ざかる方向に向いた反転位置との間で動くよう互いに可動的に結合されている、請求項1記載の固定システム。
前記固定要素は各々、前記把持要素を前記係合面のうちの一方に対向して動かすと、前記1対の把持要素の各々をそれぞれ対応して受け入れる凹状部分を有する、請求項1記載の固定システム。
前記第1のグリッパ型アクチュエータは、前記植え込み型固定器具に解除可能に結合されると共に第1の形態と前記第1の把持要素を前記1対の固定要素のうちの第1の固定要素に向かって動かす第2の形態との間で作動可能である、請求項1記載の固定システム。
前記第1のグリッパ型アクチュエータは、前記第2の形態と前記第2の把持要素を前記第1の把持要素の前記運動とは無関係に前記1対の固定要素のうちの第2の固定要素に向かって動かす第3の形態との間で作動可能である、請求項4記載の固定システム。
前記グリッパラインは、前記グリッパラインに加わる張力によって作動され、前記グリッパラインは、異なる合力を前記第1の把持要素及び前記第2の把持要素の各々に加えて種々の張力レベルで把持要素の個々の作動を生じさせる、請求項1記載の固定システム。
前記第1のグリッパ型アクチュエータ及び前記第2のグリッパ型アクチュエータは、前記細長いデリバリシャフトが前記植え込み型固定器具から取り外されると、前記植え込み型固定器具の前記遠位端部又は前記細長いデリバリシャフトの前記遠位端部のうちの前記少なくとも一方から解除される、請求項11記載の固定システム。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】心収縮中の心臓の左心室及び左心房を示す図である。
【
図2A】通常の接合の際の小葉の自由縁を示す図である。
【
図2B】閉鎖不全接合の際の自由縁を示す図である。
【
図3A】固定器具による小葉の把持の仕方を示す図である。
【
図3B】固定器具の遠位要素の反転の仕方を示す図である。
【
図4】小葉に対して所望の向きをなした固定器具の位置を示す図である。
【
図5A】本発明の例示の実施形態としての結合機構体を示す図である。
【
図5B】本発明の例示の実施形態としての結合機構体を示す図である。
【
図6A】本発明の例示の実施形態としての結合機構体を示す図である。
【
図6B】本発明の例示の実施形態としての結合機構体を示す図である。
【
図7A】本発明の実施形態としての固定器具の固定要素の動きを示す図である。
【
図7B】本発明の実施形態としての固定器具の固定要素の動きを示す図である。
【
図7C】本発明の実施形態としての固定器具の固定要素の動きを示す図である。
【
図8】本発明の実施形態としての固定器具の固定要素の動きを示す図である。
【
図10A】治療手技を実施するために身体内への器具の導入及び配置中における種々の取り得る位置のうちの1つで
図7の固定器具を示す図である。
【
図10B】治療手技を実施するために身体内への器具の導入及び配置中における種々の取り得る位置のうちの1つで
図7の固定器具を示す図である。
【
図11A】治療手技を実施するために身体内への器具の導入及び配置中における種々の取り得る位置のうちの1つで
図7の固定器具を示す図である。
【
図11B】治療手技を実施するために身体内への器具の導入及び配置中における種々の取り得る位置のうちの1つで
図7の固定器具を示す図である。
【
図12A】治療手技を実施するために身体内への器具の導入及び配置中における種々の取り得る位置のうちの1つで
図7の固定器具を示す図である。
【
図12B】治療手技を実施するために身体内への器具の導入及び配置中における種々の取り得る位置のうちの1つで
図7の固定器具を示す図である。
【
図13A】治療手技を実施するために身体内への器具の導入及び配置中における種々の取り得る位置のうちの1つで
図7の固定器具を示す図である。
【
図13B】治療手技を実施するために身体内への器具の導入及び配置中における種々の取り得る位置のうちの1つで
図7の固定器具を示す図である。
【
図14】治療手技を実施するために身体内への器具の導入及び配置中における種々の取り得る位置のうちの1つで
図7の固定器具を示す図である。
【
図15】治療手技を実施するために身体内への器具の導入及び配置中における種々の取り得る位置のうちの1つで
図7の固定器具を示す図である。
【
図16】治療手技を実施するために身体内への器具の導入及び配置中における種々の取り得る位置のうちの1つで
図7の固定器具を示す図である。
【
図17A】固定器具を種々の位置のうちの1つで示す図である。
【
図17B】固定器具を種々の位置のうちの1つで示す図である。
【
図17C】固定器具を種々の位置のうちの1つで示す図である。
【
図18】近位要素及びロック機構体を含む固定器具の実施形態を示す図である。
【
図19】近位要素及びロック機構体を含む固定器具の実施形態を示す図である。
【
図20】ロック解除位置にあるロック機構体の断面図である。
【
図21】ロック位置にあるロック機構体の断面図である。
【
図22A】覆い及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図22B】覆い及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図23】覆い及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図24】覆い及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図25】覆い及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図26】覆い及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図27】覆い及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図28】グリッパ型プッシャを有する固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図29】独立近位要素作動手段を有する固定器具の実施形態を示す図である。
【
図30】独立近位要素作動手段を有する固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図31】独立近位要素作動手段を有する固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図32】独立近位要素作動手段を有する固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図33】独立近位要素作動手段を有する固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図34】単一アクチュエータによる独立近位要素作動方式の固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図35】単一アクチュエータによる独立近位要素作動方式の固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図36】グリッパ型プッシャを備えた
図9の固定器具を示す図である。
【
図37】グリッパ型プッシャを備えた
図9の固定器具を示す図である。
【
図38】グリッパ型プッシャを備えた
図9の固定器具を示す図である。
【
図39】グリッパ型プッシャを備えた
図9の固定器具を示す図である。
【
図40】グリッパ型プッシャを備えた
図9の固定器具を示す図である。
【
図41】グリッパ型プッシャ及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図42】グリッパ型プッシャ及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図43】グリッパ型プッシャ及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図44】グリッパ型プッシャ及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図45】グリッパ型プッシャ及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図46】グリッパ型プッシャ及び独立作動手段を備えた固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図47】グリッパ型プッシャ及び独立作動手段を有する固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図48】グリッパ型プッシャを有すると共に単一アクチュエータによる独立作動が行われる固定器具の別の実施形態を示す図である。
【
図49A】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する一実施形態を示す図である。
【
図49B】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図49C】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図50A】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図50B】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図50C】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図50D】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図50E】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図51A】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図51B】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図52A】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図52B】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図52C】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図52D】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図52E】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図52F】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図52G】近位要素ラインを固定器具の近位要素に結合する別の実施形態を示す図である。
【
図53】スタッドがアクチュエータロッドに解除可能に取り付けられた実施形態を示す図である。
【
図54A】ばね部材が近位要素アクチュエータを保持したりこれを解除したりするようアクチュエータロッドと組み合わせて利用される実施形態を示す図である。
【
図54B】ばね部材が近位要素アクチュエータを保持したりこれを解除したりするようアクチュエータロッドと組み合わせて利用される実施形態を示す図である。
【
図54C】ばね部材が近位要素アクチュエータを保持したりこれを解除したりするようアクチュエータロッドと組み合わせて利用される実施形態を示す図である。
【
図54D】ばね部材が近位要素アクチュエータを保持したりこれを解除したりするようアクチュエータロッドと組み合わせて利用される実施形態を示す図である。
【
図55A】ばね部材が近位要素アクチュエータを保持したりこれを解除したりするようアクチュエータロッドと組み合わせて利用される実施形態を示す図である。
【
図55B】ばね部材が近位要素アクチュエータを保持したりこれを解除したりするようアクチュエータロッドと組み合わせて利用される実施形態を示す図である。
【
図55C】ばね部材が近位要素アクチュエータを保持したりこれを解除したりするようアクチュエータロッドと組み合わせて利用される実施形態を示す図である。
【
図56A】な別の実施形態では、近位要素アクチュエータがシャフトにヒンジ式に取り付けられたライナを用いることによってシャフトに解除可能に取り付けられている別の実施形態を示す図である。
【
図56B】な別の実施形態では、近位要素アクチュエータがシャフトにヒンジ式に取り付けられたライナを用いることによってシャフトに解除可能に取り付けられている別の実施形態を示す図である。
【
図57】グリッパ型プッシャを固定器具に解除可能に結合する実施形態を示す図である。
【
図58】グリッパ型プッシャを固定器具に解除可能に結合する実施形態を示す図である。
【
図59A】近位要素アクチュエータの構成を示す図である。
【
図59B】近位要素アクチュエータの構成を示す図である。
【
図60A】近位要素アクチュエータの別の形態を示す図である。
【
図60B】近位要素アクチュエータの別の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
I.心臓生理学
収縮器における正常な心臓Hの左心室LVが
図1に示されている。左心室LVは、収縮中であり、血液は、矢印の方向に三尖弁(大動脈弁)を通って外方に流れている。血液の逆流又は僧帽弁MVの「閉鎖不全」は、僧帽弁が「逆止弁」として構成されているので阻止され、逆止弁は、左心室内の圧力が左心房LA内の圧力よりも高いときの逆流を阻止する。僧帽弁MVは、
図1に示されているように閉じるよう均等に出会う自由縁FEを備えた1対の小葉を有する。小葉LFの互いに反対側の端は、弁輪ANと呼ばれる環状領域に沿って周囲の心臓構造体に取り付けられている。小葉LFの自由縁FEは、腱索CT(以下、索という)を介して左心室LVの下側部分に固定され、索CTは、弁小葉LFの各々の下面上に固定された複数の枝分かれ腱を含む。索CTは、乳頭筋PMに取り付けられ、乳頭筋PMは、左心室の下側部分及び心室中隔IVSから上方に延びている。
【0038】
心臓の多くの構造的欠陥により、僧帽弁閉鎖不全が生じる場合がある。閉鎖不全は、弁小葉が適切に閉じず、心室から心房中への漏れを許容する場合に起こる。
図2Aに示されているように、前及び後小葉の自由縁が正常に接合線Cに沿って出会っている。閉鎖不全を引き起こす欠陥の一例が
図2Bに示されている。この場合、心臓の拡大により、僧帽弁輪は、拡大状態にあり、自由縁FEが収縮器中に出会うことが不可能になる。この結果、隙間Gが生じこの隙間により、血液は、心室収縮器中に弁を通って漏れることになる。断裂し又は細長くなった索によっても、弁小葉が逸脱状態になる場合がある。と言うのは、不適切な張力が索を介して小葉に伝えられるからである。他方の小葉が正常なプロフィールを維持している間、2つの弁小葉は、適切に出会うことがなく、左心室から左心房中への漏れが生じることになる。かかる閉鎖不全は、左心室が適正な閉鎖を行うのに十分収縮しない虚血性心疾患を患っている患者にも起こる場合がある。
【0039】
II.一般的概観
本発明の観点によれば、例えば弁小葉のような組織を把持し、近置し、固定して心臓弁閉鎖不全、特に僧帽弁閉鎖不全を治療する方法及び器具が提供される。本発明は又、特に抜去が解剖学的特徴、例えば索CTによって妨げられる場合のある野において所望ならば器具の再位置決め及び抜去を可能にする特徴を提供する。かかる抜去により外科医は、望ましい場合に新たな仕方で弁に再接近することができる。
【0040】
把持は、好ましくは、無傷性であり、多くの利益をもたらす。無傷性という用語は、本発明の器具及び方法を弁小葉に利用することができ、次に小葉構造又は機能のそれほど大きな臨床上の損傷を生じさせることなく抜去することができるということを意味している。小葉及び弁は、本発明を利用する前と実質的に同じ状態で機能し続ける。かくして、小葉の或る程度の小規模な穿刺又は凹みが本発明を用いると生じる場合があるが、これは「無傷性」の定義を依然として満たしている。これにより、本発明の器具を疾患のある弁に利用し、そして所望ならば、弁機能に悪影響を及ぼさないで抜去し又は再位置決めすることができる。加うるに、理解されるように、幾つかの場合において、把持、固定又はこれら両方を実施している間、小葉を穿刺し又は違ったやり方で小葉に永続的な影響を及ぼすことが必要な場合あり又は望ましい場合がある。これら場合の幾つかにおいて、把持及び固定は、単一の器具によって達成されるのが良い。これら結果を達成するのに多くの実施形態が提供されているが、基本的な特徴の一般的概観を本明細書において提供する。かかる特徴は、本発明の範囲を限定するものではなく、本明細書において後で提供される個々の実施形態の説明のための基礎を提供する目的で与えられている。
【0041】
本発明の器具及び方法は、所望の治療の部位の近くに位置決めされて標的組織を把持するために用いられるインターベンションツールの使用を当てにしている。血管内用途では、インターベンションツールは、代表的には、インターベンションカテーテルである。外科用途では、インターベンションツールは、代表的には、インターベンション器械である。好ましい実施形態では、把持した組織の固定は、インプラントとして後に残されるインターベンションツールの一部分による把持状態を維持することによって達成される。本発明は、身体全体を通じた組織近置及び固定のための種々の用途を有するが、本発明は、弁、特に心臓弁、例えば僧帽弁の修復に特に好適である。
図3Aを参照すると、デリバリ器具、例えばシャフト12及び固定器具14を備えたインターベンションツール10が心房側から僧帽弁MVに接近して小葉LFを把持した状態で示されている。僧帽弁への接近は、手術的にか血管内技術の使用によってかのいずれかで且つ心室を通る逆行性方式によるか上述したように心房を通る順行性方式によるかのいずれかによって行うことができる。例示目的で、順行性方式が望ましい。
【0042】
固定器具14は、インターベンションツール10のシャフト12の遠位端部に解除可能に取り付けられる。本明細書において本発明の器具を説明する際、「近位(側)」は、患者の身体の外側でユーザによって操作されるべき器具の端に向かう方向を意味し、「遠位(側)」は、治療部位のところにユーザから遠ざかって位置決めされる器具の作業端に向かう方向を意味するものとする。僧帽弁に関し、近位は、弁小葉の心房側又は上流側側部を意味し、遠位は、弁小葉の心室側又は下流側を意味するものとする。
【0043】
固定器具14は、代表的には、近位要素16(又は把持要素)及び遠位要素18(又は固定要素)を有し、これら近位要素及び遠位要素は、半径方向外方に突き出ていて、これらの間に小葉LFを捕捉し又は保持するよう図示のように小葉LFの互いに反対側の側部に位置決め可能である。近位要素16は、好ましくは、コバルトクロム、ニチノール又はステンレス鋼で構成され、遠位要素18は、好ましくは、コバルトクロム又はステンレス鋼で構成されるが、任意適当な材料を使用することができる。固定器具14は、結合機構体17によってシャフト12に結合可能である。結合機構体17により、固定器具14は、外れて小葉を接合位置で結合するインプラントとして後に残されるということが可能である。
【0044】
幾つかの状況において、近位要素16、遠位要素18又はこれら両方を配備して小葉LFを捕捉した後、固定器具14を再位置決めし又は抜去することが望ましい場合がある。かかる再位置決め又は抜去は、種々の理由で、例えば、ちょっと挙げてみただけでも、良好な弁機能、小葉上への器具14の最適な位置決め、小葉上の良好なパーチェイスを達成しようとして弁に再接近するため、周りの組織、例えば索から器具14をほどいて外すため、器具14を別の設計の器具と交換するため又は固定手技を打ち切るために望ましい場合がある。固定器具14の再位置決め又は抜去を容易にするため、遠位要素18は、解除可能であり且つオプションとして索、小葉又は他の組織をもつれさせることなく又は邪魔することなく或いは損傷させることなく弁からの器具14の取り出しに適した形態に反転可能である。
図3Bは、遠位要素18が矢印40の方向で反転位置に動くことができる反転状態を示している。同様に、近位要素16を所望ならば起こすことができる。反転位置では、器具14は、遠位要素を次に
図3Aに示されているように小葉に対して把持位置に戻すことができる所望の向きに再位置決めされるのが良い。変形例として、固定器具14を
図3Cに示されているように小葉から取り出しても良い(矢印42で示されている)。かかる反転により、小葉に対する外傷が減少すると共に周りの組織との器具の絡み合いが最小限に抑えられる。器具14を弁小葉からいったん取り出すと、近位及び遠位要素を閉じ位置又は身体から抜去又は僧帽弁中への再挿入に適した形態に動かすことができる。
【0045】
図4は、小葉LFに対する所望の向きにある固定器具14の位置を示している。これは、心房側から見た僧帽弁MVの短軸図であり、したがって、近位要素16は、実線で示され、遠位要素18は、破線で示されている。近位及び遠位要素16,18は、接合線Cに実質的に垂直になるよう位置決めされる。器具14をほぼ接合線に沿って閉鎖不全場所まで動かすことができる。小葉LFは、定位置に保持され、その結果、拡張器中、
図4に示されているように、小葉LFは、拡張器血圧勾配に起因して生じる開口部Oによって包囲される要素16,18相互間の定位置に位置したままである。有利には、小葉LFは、これらの近位又は上流側表面が僧帽弁MVを通る血液の流れの方向に平行に垂直な向きで互いに向かい合うよう互いに接合される。上流側の表面は、互いに接触関係をなすよう互いに結合され又は僅かに互いに離れて保持されても良いが、好ましくは、上流側の表面が接合箇所で互いに向かう合う垂直の向きに維持される。これは、標準型外科的蝶ネクタイ修復の二重オリフィス幾何学的形状をシミュレートしている。カラードップラーエコーは、弁の閉鎖不全を軽減させたかどうかを示す。結果的に得られる僧帽弁流れパターンが満足の行くものである場合、小葉をこの向きで互いに固定するのが良い。結果として得られるカラードップラー画像が僧帽弁閉鎖不全に対して不十分な向上結果を示す場合、インターベンションツール10を再位置決めするのが良い。これは、小葉LFが定位置に保持される最適結果が得られるまで繰り返し実施可能である。
【0046】
小葉を所望の配置状態でいったん接合すると、次に、固定器具14をシャフト12から取り外し、そして小葉を接合位置に結合するインプラントとして後に残す。上述したように、固定器具14を結合機構体17によってシャフト12に結合する。
図5A、
図5B、
図6A、
図6Bは、かかる結合機構体の例示の実施形態を示している。
図5Aは、接合線又は合致面24のところでインターロックされた上側シャフト20と取り外し可能な下側シャフト22を示している。合致面24は、インターロック及び後で行われる取り外しを可能にし又は容易にする任意の形状又は曲率を有するのが良い。ぴったりと嵌まる外側シース26が図示のように合致面24を覆うようシャフト20,22に嵌めた状態で位置決めされている。
図5Bは、上側シャフト20からの下側シャフト22の取り外しの仕方を示している。これは、外側シース26を引っ込めて合致面24が露出され、それによりシャフト20,22が分離することができるようにすることによって達成される。
【0047】
同様に、
図6Aは、合致面32のところでインターロックされた管状上側シャフト28と取り外し可能な管状下側シャフト30を示している。この場合も又、合致面32は、インターロック及び後で行われる取り外しを可能にし又は容易にする任意の形状又は曲率を有するのが良い。管状上側シャフト28及び管状下側シャフト30は、軸方向チャネルを備えた外側部材を形成している。ぴったりと嵌まるロッド34又は内側部材が合致面32を図示のように橋渡しするよう管状シャフト28,30中に挿入されている。ロッド34は又、以下に説明する固定器具、例えば
図26に見えるアクチュエータロッド64又は
図28A及び
図28Bに示されているアクチュエータロッド64Aを作動させるために使用することも可能である。
図6Bは、上側シャフト28からの下側シャフト30の取り外しの仕方を示している。これは、ロッド34を合致面32の上方の位置まで引っ込め、それによりシャフト28,30が分離することができるようにすることによって達成される。結合機構体の他の例が米国特許出願第09/894,483号明細書に記載されると共に図示されており、この米国特許出願を参照により引用し、あらゆる目的に関しその記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0048】
同様に、
図6Aは、合致面32のところでインターロックされた管状上側シャフト28と取り外し可能な管状下側シャフト30を示している。この場合も又、合致面32は、インターロック及び後で行われる取り外しを可能にし又は容易にする任意の形状又は曲率を有するのが良い。管状上側シャフト28及び管状下側シャフト30は、軸方向チャネルを備えた外側部材を形成している。ぴったりと嵌まるロッド34又は内側部材が合致面32を図示のように橋渡しするよう管状シャフト28,30中に挿入されている。ロッド34は又、以下に説明する固定器具、例えば
図26に見えるアクチュエータロッド64又は
図28A及び
図28Bに示されているアクチュエータロッド64Aを作動させるために使用することも可能である。
図6Bは、上側シャフト28からの下側シャフト30の取り外しの仕方を示している。これは、ロッド34を合致面32の上方の位置まで引っ込め、それによりシャフト28,30が分離することができるようにすることによって達成される。結合機構体の他の例が米国特許出願第09/894,483号明細書に記載されると共に図示されており、この米国特許出願を参照により引用し、あらゆる目的に関しその記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0049】
III.固定器具
A.導入及び配置
固定器具14は、デリバリ器具の使用により弁又は所望の組織に送られる。デリバリ器具は、用途に応じて剛性であっても良く可撓性であっても良い。血管内用途に関し、デリバリ器具は、後の段落で説明する柔軟性デリバリカテーテルから成る。しかしながら、代表的には、かかるカテーテルは、近位端部及び遠位端部を備えたシャフトを有し、固定器具は、その遠位端部に解除可能に取り付けられる。シャフトは、通常、細長く且つ可撓性であり、血管内導入に適している。変形例として、デリバリ器具は、心臓の壁を通る経胸的外科的導入に使用できる短く且つ可撓性の低いインターベンション器具から成っていても良い。ただし、一般的に、或る程度の可撓性があること及びプロフィールが最小限であることが望ましい。固定器具は、
図3Aに示されているようにデリバリ器具に解除可能に結合できる。固定器具は、種々の形態を取ることができ、固定器具のほんの少しの実施形態について本明細書において説明する。
【0050】
図7A〜
図7C及び図8は、種々の位置にある又は種々の形態の固定器具14の実施形態を示している。
図7Aは、固定器具14を患者の血管系、この実施形態では、僧帽弁を通る送達のための閉じ形態で示している。固定器具14は、植え込みのための固定器具14の取り外しを可能にする結合部材19を有する。この例では、結合部材19は、
図5A及び
図5Bの下側シャフト22及び合致面24を有するものとして示されており、したがって、結合部材19は、上述したのと同様に機能する。固定器具14は、1対の互いに反対側の遠位要素18を更に有し、各遠位要素18は、閉じ形態では対向した遠位要素18の方へ内方に向いた係合面50を有している。遠位要素18は、好ましくは、細長いアーム53を有し、各アームは、結合部材19に回転可能に連結された近位端部52及び自由端部54を有している。アーム53について結合部材19への適当な連結具手段としては、ピン、一体ヒンジ又は他の公知の回転連結機構体が挙げられる。
図7Aの閉じ形態では、自由端部54は、アーム53と係合面53が互いにほぼ平行に且つ軸線21に平行になるよう、好ましくは、互いに向かって僅かに内方に傾けられるよう第1の方向に向いている。好ましい実施形態では、組織がアーム53相互間に存在しない場合、アーム53は、自由端部54が互いに接触するまで又は固定器具14がシャフト12に取り付けられているときにシャフト12に係合するまで閉じられるのが良く、それによりデリバリ装置を通過することができるよう固定器具14のプロフィールを最小限に抑える。
【0051】
図7B及び
図7Cは、固定器具14を係合面50が分離角度56離れて設けられた開き位置で示しており、分離角度56は、代表的には、最大約180°までであり、好ましくは最大90〜180°までであり、アーム53は、軸線21に対してほぼ対称に配置される。アーム53は、種々の作動機構体によって開き位置まで動くことができる。例えば、矢印62で示されているようにプランジャ又はアクチュエータロッドを結合部材19中に前進させてこれが遠位要素18に取り付けられているばね又はばね押し機構体58に係合することができるようにする。力を作動機構体58に及ぼすことによって、遠位要素18を結合部材19に対して回転させる。遠位要素18を作動機構体58のばねによってもたらされる抵抗に抗してアクチュエータロッドによってこの開き位置に保持するのが良く、作動機構体58は、遠位要素18が180°未満離れて位置しているとき、遠位要素18を
図7Aの閉じ位置に向かって付勢する。作動機構体58のばね押し作用は、作動機構体58の外方運動に抵抗し、器具14を閉じ位置に向かって押圧する。
【0052】
この実施形態では、近位要素16は、
図7Cに示された開き位置に向かって付勢されるが、アーム53が閉じられたときには内方に回転的に動くことができるよう外方に付勢されると共に結合部材19に取り付けられた弾性ループ状ワイヤ成形品から成る。ワイヤ成形品は、結合部材19に剛性的に取り付けられるほど可撓性であると共に内方に弾性的に撓むことができても良く或いはこれらワイヤ成形品は、回転結合具、例えばピン又は一体ヒンジによって取り付けられても良い。使用中、小葉LFは、近位要素16と遠位要素18との間に配置される。小葉LFが近位要素16と遠位要素18との間にいったん配置されると、遠位要素18を閉じるのが良く、それにより小葉が係合面50と近位要素18との間で圧縮される。小葉の厚さ、小葉の配置状態、小葉に対する固定器具の位置及び他の要因に応じて、アーム53は、
図7Bの開き位置に維持され、
図7Aの完全閉じ位置に動かされ又は開き位置と閉じ位置との間の種々の位置のうちの任意のものに配置されて小葉LFを接合してこれらを所望の大きさの力で所望位置に保持する。いずれの場合においても、固定器具14は、デリバリカテーテルからの取り外しに続き、インプラントとして定位置に位置したままになる。
【0053】
幾つかの状況では、上述したように、初期配置に続き固定器具14を再び開くことが望ましい場合がある。器具14を再び開くため、アクチュエータロッドを再び前進させ又は結合部材19中に再び挿入して前進させ、それによりこれが
図7Bの矢印62によって先に示したように作動機構体58に圧接するようにするのが良い。この場合も又、かかる前進により、力が上述したような仕方で作動機構体58に加えられ、かくしてアーム53を外方に動かして小葉に加わっている力を除いて係合面50を近位要素16から遠ざける。すると、小葉は、固定器具14に対していつでも動くことができる。次に、固定器具14を所望に応じて再位置決めしてアクチュエータロッドを引っ込めると、遠位要素18を再び閉じて小葉を接合することができる。
【0054】
幾つかの状況下において、固定器具14を弁中に引き戻し又は弁を通る初期挿入に続き患者から完全に取り出すことが更に望ましい場合がある。クリップが
図7A〜
図7Cに示された閉じ位置又は開き位置にある状態でこれを試みようとした場合、アーム53が索、小葉又は他の組織に当たり又はこれらと絡み状態にある恐れが存在し得る。これを回避するため、固定要素14は、好ましくは、アーム53を反転できるようになっており、その結果、自由端部54は、自由端部54が閉じ位置に向いた第1の方向とは逆の第2の方向に向き、各アーム53は、図
8に示されているように軸線21に対して鈍角をなす。アーム53を係合面50が最高360°まで、好ましくは少なくとも最高270°までの分離角度56をなすように回転させるのが良い。これは、上述したように結合部材19を貫通したプッシュロッド又はプランジャにより力を作動機構体58に及ぼすことによって達成できる。この実施形態では、遠位要素18を180°超えていったん回転させて離すと、作動機構体58のばね押し作用は、遠位要素18を反転位置に向かって付勢する。作動機構体58のばね押し作用は、作動機構体58の外方運動に抵抗し、器具14を反転位置に向かって押圧する。
【0055】
アーム53が反転位置にある状態で、係合面50は、固定器具を取り出しているとき、組織を偏向させる無外傷性表面となる。これにより、器具を弁組織及び他の組織への損傷の恐れなく、引っ込めて弁輪を通って戻すことができる。幾つかの場合、弁を通って固定器具14をいったん引き戻すと、器具を身体(血管系を通って又は外科的開口部を通って)抜去できるよう器具を閉じ位置に戻すことが望ましいであろう。
【0056】
図7A〜
図7C及び図8に示された実施形態は、生体適合性材料で構成された別々のコンポーネントから組み立てられる。コンポーネントは、同種又は異種材料で形成でき、かかる材料としては、ステンレス鋼又は他の金属、Elgiloy(登録商標)、ニチノール、チタン、タンタル、金属合金又はポリマーが挙げられるが、これらには限定されない。加うるに、これらコンポーネントのうちの幾つか又は全ては、植え込みに続き周りの組織によって吸収され又は血流中に溶解する生体吸収性材料で作られるのが良い。僧帽弁修復用途では、本発明の固定器具は、植え込み後数ヶ月未満に組織によって完全に包囲され、その後、器具は、修復に対してマイナスの影響を及ぼさないで溶解し又は吸収可能である。
【0057】
図9は、固定器具14の別の実施形態を示している。この場合、固定器具14は、インターベンションツール10を形成するようシャフト12に結合された状態で示されている。固定器具14は、結合部材19及び1対の互いに反対側の遠位要素18を含む。遠位要素18は、細長いアーム53を有し、各アームは、結合部材19に回転可能に連結された近位端部52及び自由端部54を有している。自由端部54は、周りの組織構造への干渉又は妨害及びこれに対する外傷を最小限に抑えるよう丸形の形状を有している。好ましくは、各自由端部54は、2本の軸線回りの曲率を定め、一方の軸線は、アーム53の長手方向軸線に垂直な軸線66である。かくして、係合面50は、組織と接触状態にある領域を覆うと共に弁小葉を把持してこれらを保持するのを助けるカップ状又は凹状の形状を有している。さらに、これにより、アーム53は、器具のプロフィールを最小限に抑えるよう閉じ位置でシャフト12周りに嵌まることができる。好ましくは、アーム53は、これらの長手方向軸線66回りに内方に少なくとも部分的にカップ状であり又は湾曲している。また、好ましくは、各自由端部54は、軸線66又はアーム53の長手方向軸線に垂直な軸線67回りに曲率を定めている。この曲率は、自由端部54の最も遠位側の部分に沿って逆の曲率である。同様に、自由端部54の長手方向縁部は、外方にラッパ状に広がるのが良い。逆曲率とラッパ状広がりの両方は、自由端部と係合した組織に対する外傷を最小限に抑える。
【0058】
僧帽弁修復に適した好ましい実施形態では、係合面50の横方向幅(これは、係合状態の組織の幅を定める)は、少なくとも約2mm、通常3〜10mm、好ましくは4〜6mmである。幾つかの状況では、幅の広い係合状態が望ましく、この場合、係合面50は、幅が広く、例えば約2cmであり又は多数の固定器具が互いに隣接した状態で用いられる。アーム53及び係合面50は、アーム53の長手方向軸線に沿って約4〜10mm、好ましくは約6〜8mmの長さの組織に係合するよう構成されている。アーム53は、把持具合を向上させると共に植え込み後における組織内方成長を促進するために複数個の開口部を更に含む。
【0059】
弁小葉は、遠位要素18と近位要素16との間に把持される。幾つかの実施形態では、近位要素16は、柔軟性であり且つ弾性であり、しかも結合要素19から片持ちされている。近位要素は、好ましくは、遠位要素に向かって弾性的に付勢されている。各近位要素16は、組織が存在していない場合、遠位要素18の凹部内に少なくとも部分的に引っ込められるように形作られると共に位置決めされる。固定器具14が開き位置にあるとき、近位要素16は、各近位要素16がアーム53の近位端部52の近くで係合面50から分離されて
図7に示されているように近位要素の自由端部が係合面50に接触した状態で自由端部54の近くで係合面50の方へ傾斜するよう形作られている。近位要素16のこの形状は、様々な厚さの弁小葉又は他の組織に適合する。
【0060】
近位要素16は、複数個の開口部63及び組織に対する把持具合を向上させるためのスカラップ模様付き側縁部61を有する。近位要素16は、オプションとして、小葉を把持すると共に/或いは保持するのを助けるための摩擦アクセサリ、摩擦特徴部又は把持具合向上要素を有する。好ましい実施形態では、摩擦アクセサリは、係合面50に向かって延びるテーパしたテーパ付きの尖った先端部を有する棘部60から成る。理解できるように、任意適当な摩擦アクセサリ、例えば枝部、巻線、バンド、棘部、溝、チャネル、こぶ状突起、粗面化部、焼結部、高摩擦パッド、覆い、被膜又はこれらの組み合わせを用いることができる。オプションとして、近位要素及び/又は遠位要素内に磁石が存在していても良い。理解できるように、合致面は、磁力による引き付けを生じさせるよう互いに逆の磁荷の材料で作られ又はかかる材料を含む。例えば、近位要素及び遠位要素は各々は、組織が組織の迅速な治癒及び内方成長を促進するよう近位端部と遠位端部との間で一定圧縮下に保持されるよう互いに逆の磁荷の磁性材料を含むのが良い。また、遠位要素に向かう近位要素の付勢に加えて又はこれに代えて、磁力を用いて近位要素16を遠位要素18の方へ引き付けても良い。これは、近位要素16の配備を助けることができる。別の実施例では、遠位要素18は各々、遠位要素18相互間に位置決めされた組織が磁力によってこれら遠位要素相互間に保持されるよう互いに逆の磁荷の磁性材料を含む。近位要素の作動は又、例えば以下に説明する1つ又は2つ以上の近位要素ライン又はアクチュエータを用いて達成できる。
【0061】
近位要素16は、把持具合を向上させると共に植え込み後の組織内方成長を促進するよう以下に説明する布又は他の柔軟性材料で覆われるのが良い。好ましくは、布又は覆いが棘部又は他の摩擦特徴部と組み合わせて用いられる場合、かかる特徴部は、かかる布又は他の覆いを通って突き出て近位要素16が係合している組織に接触する。
【0062】
例示の実施形態では、近位要素16は、開口部63、スカラップ模様付き縁部61及び棘部60を作るスタンピング作業を用いてばね状材料の金属製シートで形成される。変形例として、近位要素16は、ばね状材料で構成されても良く又は生体適合性ポリマーから成形により作られても良い。注目されるべきこととして、本発明で用いることができる幾つかの形式の摩擦アクセサリがこれが係合する組織を永続的に変質させ又はかかる組織に幾分かの外傷を生じさせる場合があるが、好ましい実施形態では、摩擦アクセサリは、無傷性であり、組織を臨床的に大きな意味を持つ仕方では損傷させず又は違ったやり方で悪影響を及ぼすことはない。例えば、棘部60の場合、固定器具14による僧帽弁小葉の係合に続き、固定器具が手技中、後で抜去された場合、棘部60は、小葉組織の著しい永続的な瘢痕化又は他の損傷を残さないことが実証されている。
【0063】
固定器具14は、作動機構体58を更に有する。この実施形態では、作動機構体58は、2つのリンク部材又は脚部68を有し、各脚部68は、リベット止め接合部76のところで遠位要素18のうちの1つに回転可能に結合された第1の端部70及びスタッド74に回転可能に接合された第2の端部72を有する。脚部68は、好ましくは、剛性又は半剛性金属又はポリマー、例えばElgiloy(登録商標)、コバルトクロム又はステンレス鋼で構成されるが、任意他の材料を用いることができる。図示の実施形態では、両方の脚部68は単一のリベット78によってスタッド74にピン止めされているが、理解できるように、各脚部68は、別個のリベット又はピンによってスタッド74に個別的に取り付けられても良い。スタッド74は、アクチュエータロッド64(図示せず)に接合可能であり、このアクチュエータロッドは、シャフト12を貫通して延びていて、スタッド74及びかくして遠位要素18を閉じ位置と開き位置と反転位置との間で回転させる脚部68を動かすよう軸方向に伸縮可能である。同様に、スタッド74を不動化することにより、脚部68が定位置に保持され、かくして遠位要素18が所望の位置に保持される。スタッド74は又、後の段落で更に説明するロック特徴部によって定位置にロック可能である。
【0064】
本明細書において開示する固定器具14の実施形態のうちの任意のものに関し、閉じ位置での遠位要素18及び/又は近位要素18に或る程度の可動性又は柔軟性をもたらしてこれら要素が弁小葉の開閉につれて動き又は偏向することができるようにすることが望ましい場合がある。これにより、衝撃吸収が可能になり、それにより小葉に加わる力が減少すると共に小葉への引き裂き又は他の外傷の恐れが最小限に抑えられる。かかる可動性又は融通性は、遠位要素18を構成する適当な厚さの柔軟性且つ弾性の金属又はポリマーを用いることによって提供できる。また、固定器具のロック機構体(以下において説明する)は、ロックされた場合であっても近位及び遠位要素の幾分かの僅かな動きを可能にするよう柔軟性材料で構成されるのが良い。さらに、遠位要素18は、遠位要素を閉じ位置に(内方に)付勢するが、アームが小葉によって及ぼされた力に応答して僅かに開くことができるようにする機構体によって結合機構体19又は作動機構体58に連結されるのが良い。例えば、単一箇所でピン止めされるのではなく、これらコンポーネントは、アームに対する力に応答したピンの僅かな量の並進を可能にするスロットを介してピン止めされるのが良い。ピン止め状態のコンポーネントをスロットの一端に向かって付勢するためにばねが用いられる。
【0065】
図10A、
図10B、
図11A、
図11B、
図12A、
図12B、
図13A、
図13B及び
図14〜
図16は、
図7の固定器具14の実施形態を治療手技を実施するために体内への器具14の導入及び配置中における種々の考えられる位置で示している。
図10Aは、カテーテル86を通して送り届けられるインターベンションツール10の一実施形態を示している。理解できるように、インターベンションツール10は、カテーテルの形態を取ることができ、同様に、カテーテルは、案内カテーテル又はシースの形態を取ることができる。しかしながら、この実施例では、インターベンションツール10及びカテーテル80という用語を用いることとする。インターベンションツール10は、シャフト12に結合された固定器具14を有し、固定器具14は、閉じ位置で示されている。
図10Bは、
図10Aの固定器具の同様な実施形態を拡大図で示している。閉じ位置では、対向した対をなす遠位要素18は、係合面50が互いに向かい合うよう位置決めされる。各遠位要素18は、細長いアーム53を有し、この細長いアームは、アーム53が一緒になってシャフト18を包囲し、オプションとしてシャフトの互いに反対側で互いに接触するようカップ状又は凹状の形状を有する。これにより、カテーテル80を容易に通過することができ、そして任意の解剖学的構造、例えば僧帽弁を容易に通過することができる固定器具14のための低プロフィールが得られる。加うるに、
図10Bは、作動機構体58を更に示している。この実施形態では、作動機構体58は、各々がベース69に可動的に結合された2つの脚部68を有している。ベース69は、シャフト12を貫通して延びるアクチュエータロッド64に接合され、このアクチュエータロッドは、固定器具14を操作するために用いられる。幾つかの実施形態では、アクチュエータロッド64は、作動機構体58、特にベース69に直接取り付けられる。しかしながら、アクチュエータロッド64は、変形例として、スタッド74に取り付けられても良く、スタッド64は、ベース69に取り付けられる。幾つかの実施形態では、スタッド74は、アクチュエータロッド64がねじ込み作用によってスタッド74に取り付けられるようねじ山が設けられている。しかしながら、ロッド64とスタッド74は、固定器具14をシャフト12から取り外すことができるよう解除可能な任意の機構体によって接合されても良い。アクチュエータロッドの他の観点及び固定器具へのその結合の仕方について以下に開示する。
【0066】
図11A及び
図11Bは、固定器具14を開き位置で示している。開き位置では、遠位要素18は、係合面50が第1の方向に向くよう回転している。アクチュエータロッド64の作用による連結部材19に対するスタッド74の遠位側への前進により、力が遠位要素18に加えられ、遠位要素18は、この方向における運動の自由度に起因して接合部76回りに回転し始める。遠位要素18のかかる回転及び半径方向外方への運動により、接合部80回りの脚部68の回転が生じ、その結果、脚部68は、僅かに外方に差し向けられるようになる。スタッド74を遠位要素18の所望の距離と相関した任意所望の距離のところまで前進させるのが良い。開き位置では、係合面50は、シャフト12に対して鋭角をなして配置され、これら係合面は好ましくは、互いに対して90°〜180°の角度をなす。一実施形態では、開き位置では、アーム53の自由端部54相互間のスパンは、約10〜20mm、通常約12〜18mm、好ましくは約14〜16mmである。
【0067】
近位要素16は、代表的には、アーム53に向かって外方に付勢されている。近位要素16をシャフト12に向かって内方に動かして近位要素ライン90の助けによりシャフト12に当てて保持するのが良く、近位要素ラインは、縫合糸、ワイヤ、ニチノールワイヤ、ロッド、ケーブル、ポリマーライン又は他の適当な構造体の形態をしているのが良い。近位要素ライン90を種々の仕方で通すことによって近位要素ライン90を近位要素16に連結するのが良い。近位要素16が
図11Aに示されているようにループ形状を有する場合、ライン90は、ループを通過して折り返すのが良い。近位要素16が
図11Bに示されているように細長い無空の形状を有する場合、ライン90は、要素16に設けられた開口部63のうちの1つ又は2つ以上を通過するのが良い。さらに、ラインループ48がこれ又
図11Bに示された近位要素16に設けられるのが良く、近位要素ライン90は、このラインループを通過して折り返すのが良い。かかるラインループ48は、近位要素ライン90に生じる摩擦力を減少させる上で又は近位要素16が無空であり又は近位要素ライン90の取り付けのために挿通させることができる他のループ若しくは開口部が設けられていない場合に有用であると言える。近位要素ライン90は、取り外し可能な手段によって近位要素16に取り付けられるのが良く、かかる取り外し可能な手段により、単一のライン90を折り返すことなく近位要素16に取り付けることができると共に単一のライン90を所望時に近位要素16から直接取り外すことができる。かかる取り外し可能な手段の例としては、ちょっと挙げてみただけでも、フック、スネア、クリップ又は破断可能なカップリングが挙げられる。十分な張力を近位要素ライン90に加えることにより、取り外し可能な手段を例えばカップリングの破断によって近位要素16から取り外すことができる。取り外しのための他の機構体も又使用できる。同様に、ロックライン92を同様な取り外し可能な手段によってロック機構体に取り付けたりこれから取り外したりすることができる。
【0068】
開き位置では、固定器具14は、近置されるべき又は治療されるべき組織に係合するのが良い。
図9〜
図11に示された実施形態は、左心房からの順行性方式を用いて僧帽弁の修復を行うようになっている。インターベンションツール10を、僧帽弁を通って左心房から左心室に前進させる。遠位要素18を接合線に垂直であるように差し向け、次に係合面50が弁小葉の心室側表面に接触するよう位置決めし、それにより小葉を把持する。近位要素16は、弁小葉の心房側に位置したままであり、したがって、小葉は、近位要素と遠位要素との間に位置する。この実施形態では、近位要素16は、遠位要素18の方へ差し向けられた摩擦アクセサリ、例えば棘部60を有する。しかしながら、この時点では小葉には近位要素16も棘部60も接触しない。
【0069】
インターベンションツール10を繰り返し操作して固定器具14を再位置決めし、その結果、所望の場所で小葉に適正に接触し又はこれを適正に把持するようにする。再位置決めは、固定器具が開き位置にある状態で達成される。幾つかの場合、閉鎖不全も又、器具14が開き位置にある間にチェックするのが良い。閉鎖不全を満足の行く程度まで減少させていない場合、器具を再位置決めするのが良く、そして閉鎖不全を再びチェックし、ついには所望の結果が達成されるようにする。
【0070】
また、固定器具14を反転させて固定器具14の再位置決め又は抜去を助けるようにすることが望ましい場合がある。
図12A及び
図12Bは、固定器具14を反転位置で示している。結合部材19に対するスタッド74のそれ以上の前進によって、遠位要素18を更に回転させて係合面50が外方に向き、自由端部54が遠位側に向くようにし、各アーム53は、シャフト12に対して鈍角をなす。アーム53相互間の角度は、好ましくは、約270°〜360°である。スタッド74を更に前進させることにより、遠位要素18が接合部76回りに更に回転する。遠位要素18のこの回転及び半径方向外方への運動により、接合部80回りの脚部68の回転が生じ、その結果、脚部68は、全体として互いに平行なこれらの初期位置に向かって戻されるようになる。スタッド74を遠位要素18の所望の反転と相関した任意所望の距離まで前進させるのが良い。好ましくは、完全反転位置では、自由端部54相互間のスパンは、約20mm以下、通常約16mm以下、好ましくは約12〜14mmである。この例では、近位要素16は、張力を近位要素ライン90に及ぼすことによってシャフト12に当てて位置決めされた状態のままである。かくして、要素16,18相互間に再位置決めのための比較的広い空間を作ることができる。加うるに、反転位置により、小葉に対する外傷を最小限に抑えながら弁を通る固定器具14の取り出しが可能である。係合面50は、固定器具を近位側に引っ込めているときに組織を逸らす無外傷性表面となる。さらに注目されるべきこととして、棘部60は、遠位側の方向に(近位要素16の自由端部から遠ざかって)僅かに傾けられ、棘部が固定器具を取り出しているときに組織に引っかかり又はこれを引き裂く恐れが軽減される。
【0071】
固定器具14を弁小葉に当てて所望の場所にいったん位置決めすると、次に、小葉を近位要素16と遠位要素18との間に捕捉するのが良い。
図13A及び
図13Bは、固定器具14をかかる位置で示している。この場合、近位要素16を係合面50に向かって下降させて小葉が近位要素と係合面との間に保持されるようにする。
図13Bでは、近位要素16は、小葉の無外傷性把持を可能にするために使用できる棘部60を有するものとして示されている。変形例として、より大きなより鋭利に尖った棘部又は他の穿刺構造体を用いて小葉を穿刺して小葉を定位置に保持するのを積極的に助けるようにしても良い。この位置は、
図11A及び
図11Bの開き位置とほぼ同じであるが、近位要素ライン90に加わる張力を除いて小葉組織を近位要素ライン相互間で圧縮することによって近位要素16が今やアーム53に向かって下降している。閉鎖不全が十分に軽減されていない場合、任意の時点において、近位要素16を持ち上げると共に遠位要素18を調節し又は反転させて固定器具14を再位置決めするのが良い。
【0072】
小葉を所望の配置状態で近位要素16と遠位要素18との間に捕捉した後、遠位要素18をロックして小葉をこの位置に保持するのが良く又は固定器具14を閉じ位置に戻し又は閉じ位置に向かって戻すのが良い。かかるロックの仕方については後の段落で説明する。
図14は、固定器具14を小葉(図示せず)が捕捉されて接合される閉じ位置で示している。これは、スタッド74を結合部材19に対して近位側に引っ込めることによって達成され、その結果、作動機構体58の脚部68は、上向きの力を遠位要素18に加え、かかる上向きの力により遠位要素18を回転させて係合面50が再び互いに向かい合うようにする。遠位要素18に向かって外方に付勢されている解除状態の近位要素16をこれと並行して遠位要素18によって内方に押圧する。次に、固定器具14をロックして小葉を以下に説明するようにこの閉じ位置に保持するのが良い。
【0073】
図15に示されているように、次に、固定器具14をシャフト12から取り外すのが良い。上述したように、固定器具14は、結合部材19によってシャフト12に解除可能に結合可能である。
図15は、結合構造体を示しており、固定器具14の結合部材19がシャフト12の一部分に取り付けられている。図示のように、近位要素ライン90は、シャフト12からの取り外しに続き、近位要素16に取り付けられたままであり、固定器具14をカテーテル86に連結したままに保つためのテザーとして機能するのが良い。オプションとして、シャフト12と固定器具14との間に結合された別個のテザーをこの目的のために特に用いられるのが良く、他方、近位要素ライン90が取り外される。いずれの場合においても、所望の結果を確認するために小葉又は組織の修復を非侵襲的視覚化技術、例えば心臓超音波検査法によって観察をすることができる。修復状態が望ましくない場合、固定器具14をテザー又は近位要素ライン90の使用により回収して結合部材19をシャフト12に再連結するのが良い。
【0074】
例示の実施形態では、近位要素ライン90は、シャフト12を貫通して延び、近位要素16を通ってループ状になり、シャフト12を通って延びてその近位端部まで延びる細長い柔軟性の細線、ワイヤ、ケーブル、縫合糸又はラインである。取り外しが望まれる場合、各ラインの一端部をシャフト12の近位端部のところで解除し、他端部を引っ張ってラインの自由端部をシャフト12中に、そして近位要素16中に引き込み、それにより固定器具を解除するのが良い。
【0075】
図16は、解除状態の固定器具14を閉じ位置で示している。図示のように、結合部材19は、インターベンションツール10のシャフト12から分離状態のままであり、近位要素16は、組織(図示せず)が近位要素16と遠位要素18との間に位置することができるよう配備されている。
【0076】
図17A〜
図17Cは、固定器具14に取り付けられた覆い100を示しており、固定器具14は、種々の位置にある。
図17Aは、固定器具14が開き位置にある状態で遠位要素18及び作動機構体58を包み込んだ覆い100を示している。かくして、係合面50は、覆い100で覆われており、覆い100は、組織に対する外傷を最小限に抑えるのに役立つと共に組織を把持して保持するのを助けるための追加の摩擦力を提供している。
図17Bは、
図17Aの器具14を反転位置で示している。覆い100は、ルーズに嵌められていると共に/或いは柔軟性若しくは弾性であり、その結果、器具14は、種々の位置まで自由に動くことができ、覆い100は、器具14の輪郭に合致してあらゆる位置においてしっかりと取り付けられたままである。
図17Cは、閉じ位置にある器具14を示している。かくして、固定器具14を閉じ位置においてインプラントとして後に残す場合、器具14の露出面は、実質的に覆い100で覆われる。理解できるように、覆い100は、固定器具14の特定の部分を覆うことができ、他方、他の部分は露出状態のままである。例えば、覆い100は、ちょっと挙げてみただけでも、作動機構体58ではなく遠位要素18に被さるスリーブ、遠位要素18の遠位端部54に被さるキャップ又は係合面50を覆うパッドから成るのが良い。理解できるように、覆い100により、摩擦アクセサリ例えば棘部を露出させることができる。また、覆い100は、固定器具14の近位要素16及び/又は任意他の表面を覆うことができる。いずれの場合においても、覆い100は、多数回の挿入サイクルに耐えると共に心臓内に植え込まれると、心拍周期の寿命に耐えるよう耐久性があるべきである。
【0077】
覆い100は、変形例として、固定器具14の表面に浸漬被覆され、吹き付けられ、塗布され又は違ったやり方で付着させられたポリマー又は他の適当な材料で構成されても良い。オプションとして、ポリマー被膜は、組織を把持するのを助けると共に/或いは組織内方成長を促進させるために細孔又は輪郭を有するのが良い。
【0078】
覆い100はどれでも、オプションとして、ちょっと挙げてみただけでも、薬剤、抗生物質、抗血栓薬又は抗血小板薬、例えばヘパリン、COUMADIN(登録商標)(ワーファリンナトリウム)を含むのが良い。これら薬剤は、例えば、覆い100中に含浸されても良く又は塗布されても良い。すると、これら薬剤は、治療効果が得られるよう把持状態の組織を包囲した組織及び/又は血流に送り出し可能である。
【0079】
C.固定器具ロック機構体
上述したように、固定器具14は、オプションとして、器具14を特定の位置、例えば開き位置、閉じ位置若しくは反転位置又はこれら相互間の任意の位置にロックするロック機構体を有する。理解できるように、ロック機構体は、固定器具をロックしたりロック解除したりすることができるロック解除機構体を含む。
図18〜
図21は、ロック機構体106の実施形態を示している。
図18を参照すると、この実施形態では、ロック機構体106は、結合部材19と作動機構体58のベース69との間に設けられている。ベース69は、スタッド74にしっかりと取り付けられており、スタッド74は、ロック機構体106を貫通して延びている。スタッド74は、アクチュエータロッド64に解除可能に取り付けられ、アクチュエータロッド64は、インターベンションツール10の結合部材19及びシャフト12を貫通して延びている。ベース69も又、作動機構体58の脚部68に連結され、脚部68は、遠位要素18に連結されている。
【0080】
図18は又、近位要素16を示しており、近位要素16は、この実施形態では、ロック機構体を跨ぎ、そしてロック機構体106の下で互いに接合している。近位要素16は、近位要素ライン90によって支持された状態で示されている。近位要素16は、近位要素ライン90の操作により昇降される。加うるに、ロックライン92がロック機構体106の解除ハーネス108に連結された状態で示されている。ロックライン92は、以下に説明するようにロック機構体106をロックしたりロック解除したりするために用いられる。近位要素ライン90及びロックライン92は、任意適当な材料、代表的には、ちょっと挙げてみただけでも、ワイヤ、ニチノールワイヤ、ケーブル、縫合糸又は細線で構成できる。加うるに、近位要素ライン90及び/又はロックライン92は、被膜、例えばパリレンを含むのが良い。パリレンは、形状適合性且つ生体適合性の蒸着されたピンホールのない保護膜である。パリレンは、不活性であり且つ水分、化学薬品及び電荷に対する保護手段となる。
【0081】
図19は、
図18のロック機構体106の正面図である。しかしながら、この場合、近位要素16は、単一の近位要素ライン90によって支持され、この単一の近位要素ラインは、近位要素16の両方を貫通している。この構成では、近位要素の両方は、単一の近位要素ライン90の作用によって同時に昇降される。近位要素16が別々の近位要素ライン90によって個別的に操作されるにせよ単一の近位要素ライン90によって共同して操作されるにせよ、いずれにせよ、近位要素ライン90は、直接、近位要素に設けられた開口部及び/又は近位要素に取り付けられた覆い100の層又は一部分を貫通し又は覆い100の上又は下に位置する縫合糸ループを通って延びるのが良い。
【0082】
図20及び
図21は、ロック機構体106を記載しており、それぞれ、ロック機構体106をロック解除位置及びロック位置で示している。
図20を参照すると、ロック機構体106は、1つ又は2つ以上のくさび止め要素、例えば転動要素を含む。この実施形態では、転動要素は、スタッド74の互いに反対側に設けられた1対のバーベル110から成り、各バーベルは、1対の全体として円筒形のキャップ及びこれらキャップ相互間のシャフトを有する。バーベル110及びスタッド74は、好ましくは、コバルトクロム又はステンレス鋼で構成されるが、任意適当な材料を使用することができる。バーベル110は、解除ハーネス108のフック状端部112によって操作される。上向きの力をロックライン92(
図18に示されている)によってハーネス108に加えると、フック状端部112は、バーベル110を持ち上げ、これを
図20に示されているようにばね114に押し付ける。これにより、バーベル110が側壁又は傾斜面116に沿って引き上げられ、側壁又は傾斜面116は、バーベル110をスタッド74への押し付け状態から解除する。この位置では、スタッド74は、自由に動くことができる。かくして、ロックライン92がハーネス108を昇降させると、ロック機構体106は、スタッド74が作動機構体58及びかくして遠位要素18を任意所望の位置に自由に動かすことができるロック解除位置にある。ロックライン92によるハーネス108の解除により、ロック機構体106は、
図21に示されているロック位置に移される。フック状端部112によってバーベル110に及ぼされている上向きの力を解除することにより、ばね124は、バーベル110を下方に押し、そしてバーベル110を傾斜面116とスタッド74との間にくさび止めする。これによりスタッド74の動きが制限され、それにより、作動機構体58及びかくして遠位要素18が定位置にロックされる。加うるに、スタッド74は、バーベル110を受け入れる1つ又は2つ以上の溝82又は凹みを有するのが良い。これは、バーベル110が規定された位置に落ち着くようにすることによって迅速且つ確実なロックを提供すると共にバーベル110の運動を更に阻止することによってロック特徴部の安定性を増すと共にバーベルがロック位置に達したことをユーザに手応えで分かるようにすることができる。加うるに、溝82を用いると、遠位要素18の相対位置、特に遠位要素18相互間の距離を支持するために使用できる。例えば、各溝82は、遠位要素18相互間の距離の0.5又は1.0mmの減少分に対応するよう位置決めされるのが良い。スタッド74を動かすと、バーベル110は、溝82に接触し、スタッド74を動かしているときに感じ取られる溝82の数を計数することによって、ユーザは、遠位要素18相互間の距離を算定することができ、そして小葉厚さ、幾何学的形状、間隔、血液の流れの動力学及び他の要因に基づいて所望程度の接合をもたらすことができる。かくして、溝82は、ユーザに手応えをもたらすことができる。
【0083】
ロック機構体106により、固定溝14は、把持及び再位置決め中、インターベンションツール10に取り付けられると、ロック解除位置のままでいることができ、次に、インプラントとして後に残されると、ロック位置を維持することができる。しかしながら、理解できるように、ロック機構体106を所望ならば固定器具14の配置全体を通じて繰り返しロックしたりロック解除したりすることができる。最終の配置がいったん定められると、ロックライン92及び近位要素ライン90を取り外し、固定器具を後に残す。
【0084】
本発明の上述の実施形態は、遠位要素18を開閉するためにプッシュ・トュー・オープン(push-to-open)、プル・トュー・クローズ(pull-to-close)機構体を利用しているが、プル・トュー・オープン(pull-to-open)、プッシュ・トュー・クローズ(push-to-close)機構体の使用は、同様に可能である。例えば、近位要素18は、これらの近位端部が結合部材19ではなくスタッド74に連結されても良く、脚部68は、これらの近位端部がスタッド74ではなく結合部材19に結合されも良い。この例では、スタッド74を結合部材19に対して遠位側に押すと、遠位要素18は、閉じ、他方、スタッド74を結合部材19に向かって近位側に引くと、遠位要素18が開かれる。
【0085】
D.近位要素の個別的作動
別の実施形態では、
図9を参照すると、近位要素16の作動は、1つ又は2つ以上の近位要素ライン又はアクチュエータ90を用いることによって達成できる。かかる作動は、種々の仕方で達成できる。例えば、
図22Aに示されているように、近位要素アクチュエータ90A及び90Bをラインループ48A,48B中に通すのが良く、ラインループは、それぞれ、近位要素16A,16Bの半径方向外方の側部及び近位側の側部に設けられている。近位要素アクチュエータ90A,90Bの遠位端部は、閉鎖ループ95A,95Bを有するのが良く、これら閉鎖ループは、
図22Aに示されている互いに結合されたシャフト12と結合部材19を包囲している。上述したように、シャフト12と結合部材19を互いに解除可能に結合することができる。閉鎖ループ95A,95Bがシャフト12及び結合部材19を包囲するようにするために、シャフト12と結合部材19の結合に先立って閉鎖ループ95A,95Bをシャフト12及び/又は結合部材19に嵌める。閉鎖ループ95A,95Bがシャフト12及び結合部材19を包囲すると、閉鎖ループ95A,95Bは、近位要素アクチュエータ90A,90Bの遠位端部をシャフト12及び結合部材19に対して定位置に保持し、近位要素アクチュエータ90A,90Bを引っ込めることができる程度を制限する。近位要素アクチュエータ90A,90Bをラインループ48A,48Bに通すことによってそれぞれ近位要素16A,16Bに機械的に連接する。かくして、
図23に示されているように、近位要素アクチュエータ90A,90Bを方向96に近位側に引っ込めると、これら近位要素アクチュエータは、近位要素16A,16Bをそれぞれ遠位要素18A,18Bから遠ざける。同様に、近位要素アクチュエータ90A,90Bを遠位側に押すことにより、近位要素16A,16Bは、遠位要素18A,18Bに近づく。
【0086】
別の実施形態では、近位要素アクチュエータ90A,90Bが近位要素16A,16Bの近位側に引くと共に近位要素16A,16Bを遠位側に押すことができるようにするため、近位要素アクチュエータ90A,90Bの各々は、薄いワイヤ部分90D及び厚いワイヤ部分90Eを備えるのが良い。薄手ワイヤ部分90Dは、ループ48A,48Bから厚手ワイヤ部分90Eまで延びている。この薄手ワイヤ部分90Dにより、近位要素アクチュエータ90A,90Bを近位要素アクチュエータが近位側に引っ張られたときに、ラインループ48A,48B中に引っ込めることができる。他方、厚手ワイヤ部分90Eは、近位要素アクチュエータ90A,90Bのこれらの部分がループ48A,48Bを通るのを阻止する剛性を有する。と言うのは、剛性の高い区分がループ48A,48Bを通ってシャフト12に向かって延びるのに必要なターンを作るよう容易に曲がることができないからである。かくして、近位要素アクチュエータ90A,90Bを厚手ワイヤ部分90Eがループ48A,48Bに達する箇所まで押すと、近位要素アクチュエータ90A,90Bは、近位要素16A,16Bをそれぞれ遠位要素18,18Bに向かって押すよう機能する。
【0087】
図59A及び
図59Bは、丸形薄手ワイヤ部分90Dの端部を圧延することによって厚手ワイヤ部分90Eが形成される実施形態を示している。具体的に説明すると、ワイヤの丸形部分の圧延の結果として、丸形部分厚さT1を厚さT2に減少させるための圧延の結果として形成された厚手部分T3を有する断面が得られる。この結果、実質的に長方形の断面は、寸法T2,T3を有する。特に、T3は、T1よりも大きく、T2は、T1よりも小さい。近位要素アクチュエータ90A,90Bの端部のこの平坦化の結果として、端部分の曲げ特性が変えられる。即ち、圧縮荷重下において、曲げは、
図59Bの平面ではなく、
図59Aの平面に沿って起こる傾向がある。丸形部分(薄手)は、0.009〜0.012インチ(0.229〜0.305mm)の直径を有するのが良く、厚手部分は、0.013〜0.02インチ(0.330〜0.508mm)の幅を有するのが良い。また、
図60A及び
図60Bに示されているように、近位要素アクチュエータ90A,90Bは、アクチュエータの遠位端部に向かって厚くなっている多数の厚手部分を備えるのが良い。
図60Bに示されているように、TA<TB<TC<TDである。
【0088】
図22Bに示されている別の実施形態では、厚手/薄手ワイヤ組み合わせの使用の代替手段として、近位要素アクチュエータ90A,90Bは、外側管90G内に収納された細いワイヤから成っていても良い。この実施形態では、剛性の高い厚手ワイヤ部分を利用するのではなく、近位要素アクチュエータは、近位要素16A,16Bを遠位側に押すための外側管90Gを有する。外側管90Gは、例えば、編組ポリアミド管から成るのが良い。
【0089】
厚手ワイヤ部分又は外側管を用いることによって、より大きな力で近位要素16A,16Bを遠位要素に向かって遠位側に押し又は位置させることができる。これとは対照的に、このように構成する際、近位要素16A,16Bは、薄手ワイヤ近位要素アクチュエータ90A,90Bのみと組み合わせて遠位側に延びるよう付勢され、近位要素16A,16Bと遠位要素18A,18Bとの間の係合力は、遠位要素が遠位側に、即ち、
図3Bに示されているように例えば120°〜180°動かされるにつれて減少する。しかしながら、厚手ワイヤ部分か外側管のいずれかが近位要素16A,16B内に導入されると、より大きな力で近位要素を遠位側に押すことができる。これにより、小葉の接合中、小葉を捕捉するためのより高い制御及び良好な位置決めが提供される。さらに、小葉相互間に比較的大きな隙間が存在する場合、遠位要素が
図3Bに示されているように180°の整列状態で延びるようにすることにより、システムは、この隙間又は離隔距離にわたって小葉を容易に捕捉することができる。さらに、近位要素16A,16Bをこの範囲(120°〜180°以上)にわたって押してこれらが遠位要素18A,18Bに係合することができるようにすることにより、応答性並びに小葉把持のための改良された幾何学的形状が得られる。
【0090】
近位要素アクチュエータ90A,90Bを動かして近位要素16A,16Bを遠位要素18A,18Bから種々の角度をなすと共に種々の距離にわたって動かすことができるようにするのが良い。そして又、近位要素アクチュエータ90A,90Bを押し又は引く度合いを維持して近位要素16A,16Bの位置を遠位要素18に対して保つようにするのが良い。例えば、
図24に示されているように、近位要素アクチュエータ90A,90Bを遠位側に引いて図示の位置に維持し、それにより近位要素16A,16Bを遠位要素18に対して中間位置に維持する。この中間位置は、近位要素16A,16Bを付勢方向であるか付勢方向である位置と近位要素16A,16Bが
図23に示されているように完全に引っ込められた位置との間にある。
図27に示されているように、近位要素16A,16Bがいったん所望の位置にある状態で、シャフト12と結合部材19を互いに切り離して近位要素アクチュエータ90A及び/又は90Bの近位側への引っ込みにより、近位要素ラインが近位要素16から切り離されるようにする。かくして、固定器具14を定位置のままにしておくことができ、他方、シャフト12、近位要素アクチュエータ90A,90B及び他の部品を手術部位から取り出すことができる。
図22〜
図28に示されているように、固定器具14は、代表的には、以下の
図16A〜
図16Cに記載されているのと実質的に同一の覆い100を有する。
【0091】
近位要素16A,16Bの独立作動を行うことが望ましい場合がある。例えば、
図25に示されているように、近位要素アクチュエータ90Aを近位側に引っ込めて近位要素16Aが回転して遠位要素18Aから遠ざかり、他方、近位要素アクチュエータ90Bを遠位側に押して近位要素16Bが回転して遠位要素18Bに近づくようにする。同様に、
図26に示されているように、近位要素アクチュエータ90Aを放っておき、それにより近位要素16Aは、これを付勢する方向である位置を維持することができ、他方、近位要素アクチュエータ90Bを近位側に引っ込め、近位要素16Bを遠位要素18Bから遠ざける。近位要素16A,16Bの独立作動を行うことにより、小葉を近位要素16A,16B及び遠位要素18A,18Bによって独立して把持することができる。かくして、固定器具14は、小葉を一層容易に且つ一層最適な場所で接合することができる。例えば、2つの小葉を同時に把持するのとは異なり、第1の小葉を所望の位置で把持することができ、次に、固定器具14を再位置決めすることができ、その結果、第2の小葉をより最適な位置で把持することができる。変形例として、小葉を依然として所望ならば同時に把持しても良い。と言うのは、独立して作動可能な近位要素アクチュエータを依然として同時に動かすことができるからである。また、小葉を把持した後、例えば小葉が第1の把持の際に接合不良である場合、小葉を放して小葉を再び把持することができる。上述の実施形態を本明細書において説明するs‐ロック形態かl‐ロック形態かのいずれかに利用することができる。
【0092】
上述の器具とほぼ同じ固定器具の実施形態は、例えば
図28に示されているようにグリッパ型プッシャ81と独立作動可能な近位要素16A,16Bの両方を有するのが良い。グリッパ型プッシャ81と独立作動可能な近位要素16A,16Bの両方を設けることにより、固定器具は、例えば小葉をより正確に且つより強固に把持するよう上述の利点の多くを有することができる。
【0093】
別の実施形態では、近位要素アクチュエータ90A,90Bは各々、
図28に示されているようにシャフト302のノーズ318に入って出る連続ループを構成するのが良い。しかしながら、
図29〜
図33に示されているように、近位要素アクチュエータ90A,90Bは、ロックライン92を不要にすることができるよう解除ハーネス108に結合されるのが良い。
【0094】
図29は、近位要素アクチュエータ90Aが近位要素16Aの端部及び解除ハーネス108を通ってループ状になった形態を示している。他方の近位要素アクチュエータ90Bは、近位要素16Bだけを通ってループ状になっている。かくして、この実施形態では近位要素アクチュエータ90Aを操作することにより、近位要素16Aは、組織に係合し又は離脱するよう近位側に又は遠位側に作動される。組織係合を完了して小葉を適切に接合した後、近位要素アクチュエータ90Aを更に作動させてロック機構体106の解除ハーネス108を解除するのが良い。他方、固定器具14が再位置決めを必要とすることが判定された場合、張力を近位要素アクチュエータ90Aに加えることにより、ロック機構体をロック解除する。次に、近位要素アクチュエータ90Aのそれ以上の作動により、近位要素16Aが小葉から離脱することができ、その結果、再位置決めを実施することができるようにする。
【0095】
別の実施形態では、
図30に示されているように、近位要素アクチュエータ90A,90Bは、作動のための良好なてこ作用をもたらすためにシャフト12を横切るよう構成されるのが良い。この場合も又、この形態では、近位要素アクチュエータ90Aが近位要素16Aの端部及び解除ハーネス108を通ってループ状になった形態を示している。他方の近位要素アクチュエータ90Bは、近位要素16Bだけを通ってループ状になっている。しかしながら、シャフトをこのように横切ることにより、近位要素アクチュエータ90A,90Bがシャフト302のノーズ318を出る箇所とこれら近位要素アクチュエータが対応の近位要素16A,16Bに連結されている箇所との角度関係が変わる。したがって、近位要素16A,16Bに加わる合力としての作動力は、
図29の形態に示されているように近位要素アクチュエータ90A,90Bに加わる張力の大きさが所与の場合、増大する。この構成は又、ロックライン92を不要にすることができる。
図29に示されているように、近位要素アクチュエータ90A,90Bの各々は、シャフト12を跨いでいる。しかしながら、ラインも又、シャフト12の同一側で交差するよう引き回すことも可能である。
【0096】
図31は、近位要素アクチュエータ90A,90Bを引き回す別の形態を示している。この形態では、近位要素アクチュエータ90A及び近位要素アクチュエータ90Bは各々、近位要素16A,16Bの各々にそれぞれ且つ解除ハーネス108に結合されている。
図30に示された実施形態は、遠位要素16Aを小葉との係合位置に動かした後にのみ固定器具14をロックするが、
図31の構成は、オペレータが近位要素16A,16B相互間の小葉係合順序を制御することができるようにする。換言すると、近位要素アクチュエータ90Aをオペレータが遠位要素16Bを作動させるよう選択しただけの場合、固定器具14をロックした後に作動させる必要はない。
【0097】
図32及び
図33は、近位要素アクチュエータ90A,90Bに関する考えられる別の形態を示している。各近位要素アクチュエータは、ノーズ318から出てこれに戻るループを構成している。しかしながら、この場合、近位要素アクチュエータ90A,90Bは各々、近位要素16A,16Bの対応のものの端を通って二重に通され、次に、解除ハーネス108周りにループ状にされている。
図32では、近位要素アクチュエータ90Aは、近位要素16Aに隣接したノーズ318の側でノーズ318を出、近位要素アクチュエータ90Bは、近位要素16Bに隣接したノーズ318の側でノーズ318を出る。変形形態では、近位要素アクチュエータ90Aは、近位要素16Aと反対側のノーズ318の側でノーズ318を出、近位要素アクチュエータ90Bは、近位要素16Bと反対側のノーズ318の側でノーズ318を出る。シャフトをこのように横切ることにより、近位要素アクチュエータ90A,90Bがシャフト302のノーズ318を出る箇所とこれら近位要素アクチュエータが対応の近位要素16A,16Bに連結されている箇所との角度関係が変わる。したがって、近位要素16A,16Bに加わる合力としての作動力は、
図29の形態に示されているように近位要素アクチュエータ90A,90Bに加わる張力の大きさが所与の場合、増大する。
【0098】
図29〜
図33の実施形態の各々に関し、近位要素アクチュエータ90A,90Bの各々は、シャフト302のノーズ318から出てこれに戻る単一のラインで形成されるのが良く、この単一ラインは、単一又は多数のフィラメントで作られるのが良い。しかしながら、
図32及び
図33の実施形態では、近位要素アクチュエータ90A,90Bは、
図24に示されているようにノーズ318から延び、次に結合シャフト12又は結合部材19のところで終端しているに過ぎない。
【0099】
E.遠位要素の個別的作動/単一アクチュエータ
他の実施形態では、順次把持を単一アクチュエータの使用によって達成することができる。
図34は、近位端部及び遠位端部を備えた単一の近位要素アクチュエータ90がシャフト302のノーズ318から近位要素16Aまで延びている形態を示している。この単一近位要素アクチュエータは、近位要素16Aの遠位端部のところに設けられたアイレットを通ってループ状にされ又は同じ場所で縫合糸によって保持されるのが良い。この近位要素アクチュエータ90は、次に、結合シャフト12を横切って他方の近位要素16Bまで延び、ここで、近位要素アクチュエータ90は、近位要素16Aと同じ仕方でこの近位要素16Bの遠位端部に結合されている。この近位要素アクチュエータ90の遠位端部は、結合シャフト12か結合部材19かのいずれかまで延び、ここで、固定されている。
図34では、この近位要素アクチュエータ90の遠位端部は、ループを用いて固定されている。しかしながら、近位要素アクチュエータは、以下に説明する実施形態のうちの任意のものに従って固定器具14に解除可能に固定できる。
【0100】
各近位要素16A,16Bは、この構成の幾何学的形状により、別個独立に作動可能であり、近位要素アクチュエータ90は、結合部材19の分離と並行して解除可能である。
図35に示されているように、近位要素アクチュエータ90の引き回しの仕方に起因して、合力F
1,F
2は、互いに異なる角度をなしている。これら合力及びこれらの方向は、近位要素90に加わる張力及び近位要素アクチュエータ90が対応の近位要素16A又は16Bに接近してこれから遠ざかる方向(角度)で決まる。対応の近位要素を動かす力は、対応の近位要素の長さに垂直な力の成分である。この垂直成分は、F
N1,F
N2で表される。合力と垂直成分とのなす小さな角度(θ
1,θ
2)により、大きな垂直成分が生じる。
図35に示されているように、角度θ
1が角度θ
2よりも小さいので、垂直成分F
N1は、垂直成分F
N2よりも大きいであろう。したがって、近位要素アクチュエータ90の張力の大きさが所与の場合、近位要素16Aは、近位要素16Bよりも大きな移動力を受けるであろう。このことは、近位要素16Aが開いているときは近位要素16Bは閉じられたままであり、近位要素16Aが完全に開かれた後では近位要素16Bが開いていることを意味している。これは、単一の近位要素アクチュエータ90を用いた近位要素16A,16Bの独立作動を可能にする。
【0101】
F.近位要素に係合するグリッパ型プッシャ
幾つかの状況において、弁小葉は、近位要素と遠位要素との間の貧弱な小葉挿入に起因して、固定器具から完全に又は部分的に外れる場合がある。したがって、固定器具内への弁小葉挿入の評価は、標準型画像化技術、例えば心エコー検査法やX線透視法を用いて実施される。しかしながら、デリバリカテーテルに対する近位要素及び遠位要素の角度及び/又は位置に応じて、固定器具内への弁小葉挿入の深さを評価すること又は小葉と固定器具の近位及び遠位要素を区別することが難題となる場合がある。したがって、視覚化は、好ましくは、遠位要素が互いに変位した状態で遠位要素がより開いた形態にある状態で実施される。しかしながら、固定器具の現行の多くの実施形態は、近位要素を約85°の夾角まで開くことができるようにするに過ぎないので、遠位要素は、弁小葉を近位要素と遠位要素との間にしっかりと把持するためには約45°〜好ましくは60°の夾角まで閉じられなければならない。この形態は、オペレータが弁小葉と固定器具を視覚化してこれらを区別するのを助けるが、遠位要素を90°を超え、より好ましくは120°以上の夾角まで一段と開くことが好ましい。かくして、近位要素を改造してこれが一段と開くようにすることが好ましい。
【0102】
図36〜
図40は、
図7A〜
図14の器具とほぼ同じ固定器具の実施形態を示しており、主要な違いは、この実施形態がグリッパ型プッシャを備えているということにある。
図36は、全体として、上述の固定器具14と同一の形態を取っている固定器具14を示している。上述の特徴に加えて、固定器具14は、グリッパ型プッシャ81を更に有する。グリッパ型プッシャ81は、半径方向外方に撓み、その結果、弓形領域83が外方に拡張し、ついには、弓形領域83が近位要素16の上面に係合するようになる。弓形領域83が引き続き半径方向外方に偏向し又は撓むと、弓形領域は、近位要素16を更に押し、その結果、近位要素が遠位要素18の係合面に向かって外方に逸らされると共に回転するようになる。かくして、近位要素16をこれらが通常行うよりも一段と外方に逸らすことができ、したがって、遠位要素がこれらの間に大きな夾角をなした状態で一層開いた位置に配置されると、弁小葉を近位要素と遠位要素との間に捕捉することができる。好ましい実施形態では、遠位要素相互間のなす夾角は、約90°以上、好ましくは約110°以上、より好ましくは約120°以上である。
図36の実施形態では、グリッパ型プッシャ81は、金属、ポリマー又は他のワイヤ状材料で作られた2本のアームを有する。例示の材料としては、コバルトクロム合金、ステンレス鋼、ニチノール等が挙げられる。ポリマーも又、グリッパ型プッシャを作るのに使用できる。グリッパ型プッシャ81を作動させてこのグリッパ型プッシャがグリッパ型プッシャアームの長手方向軸線に全体として平行な軸方向に差し向けられた圧縮力の印加時に外方に弓形に曲がることができる。圧縮中、グリッパ型プッシャは、外方に弓形に曲がり、弓形領域83が形成される。他の実施形態では、グリッパ型プッシャは、外方に弓形に曲がるよう弾性的に付勢されたばねであっても良く、それにより弓形領域83が形成される。しかしながら、近位要素ライン(ここでは図示せず)に張力を加えて近位要素16を持ち上げると、グリッパ型プッシャばねは、潰れて減少プロフィール状態になる。
【0103】
図37は、組織内方成長のための覆いを備えた固定器具14を示しており、グリッパ型プッシャ81は、近位要素16(把持要素とも呼ばれる)が遠位要素18(固定要素とも呼ばれる)と係合関係をなすよう拡張されている。弁小葉(便宜上図示せず)が近位要素と遠位要素との間に挟まれている。
図38は、グリッパ型プッシャ81を潰し形態で示している。弓形領域83が潰れ、それにより近位要素16は、シャフト12に向かって引っ込むことができ、弁小葉(図示せず)を固定器具14から解除することができる。グリッパ型プッシャ83は、近位要素がグリッパ型プッシャ81を邪魔することなく引っ込むことができるよう近位要素16からオフセットしている。
【0104】
図39は、好ましくは2つのばねアーム99を有するグリッパ型プッシャ83を強調して示している。各アーム99は、ワイヤで作られ又は他の素材から機械加工により作られ、この実施形態では、長方形の断面を有し、但し、他の断面も又想定される。各アーム99の遠位部分91は、固定器具に設けられたボス又は他の取り付け機構体に係合することができる1対のフィンガを形成した切欠き領域93を有している。切欠きは、固定器具14をデリバリカテーテルシャフト12から取り外したときにボスから解除可能である。加うるに、各アームは、大きな遠位弓形領域83及び小さな近位弓形領域95を含む2つの弓形領域又は山部を有する。大きな弓形領域83は、近位要素16に係合してこれを押し、それによりこれを遠位要素18に係合させるよう長い距離にわたって外方にラッパ状に広がっている。遠位弓形領域83が弛緩しそして潰れて近位要素16から遠ざかると又は近位要素の引っ込みにより潰されると、小さな近位弓形領域95は、半径方向外方に拡張する。取り付けリング又は結合カラー97がノーズ318(以下において詳細に説明する)に隣接して位置し、かかる取り付けリング又は結合カラーは、シャフト12上に摺動可能に嵌められ、それによりシャフト12へのグリッパアーム99の結合が可能である。
図40は、近位要素16と係合状態にある遠位弓形領域83を示しており、この図は又、各アーム99の遠位部分に設けられた切欠き93と固定器具14に設けられたボス94との係合状態を示している。
【0105】
例えば
図10A〜
図11Bを参照して上述したように、近位要素16の作動は、1つ又は2つ以上の近位要素ライン又はアクチュエータ90を用いることによって達成できる。別の実施形態では、この作動は、上述したように近位要素アクチュエータ90とグリッパ型アクチュエータ81の組み合わせによって達成できる。例えば、
図41に示されているように、近位要素アクチュエータ90A及び90Bをラインループ48A,48B中に通すのが良く、ラインループは、それぞれ、近位要素16A,16Bの半径方向外方の側部及び近位側の側部に設けられている。近位要素アクチュエータ90A,90Bの遠位端部は、閉鎖ループ95A,95Bを有するのが良く、これら閉鎖ループは、
図41に示されている互いに結合されたシャフト12と結合部材19を包囲している。上述したように、シャフト12と結合部材19を互いに解除可能に結合することができる。閉鎖ループ95A,95Bがシャフト12及び結合部材19を包囲するようにするために、シャフト12と結合部材19の結合に先立って閉鎖ループ95A,95Bをシャフト12及び/又は結合部材19に嵌める。閉鎖ループ95A,95Bがシャフト12及び結合部材19を包囲すると、閉鎖ループ95A,95Bは、近位要素アクチュエータ90A,90Bの遠位端部をシャフト12及び結合部材19に対して定位置に保持し、近位要素アクチュエータ90A,90Bを引っ込めることができる程度を制限する。近位要素アクチュエータ90A,90Bをラインループ48A,48Bに通すことによってそれぞれ近位要素16A,16Bに機械的に連接する。かくして、
図42に示されているように、近位要素アクチュエータ90A,90Bを方向96に近位側に引っ込めると、これら近位要素アクチュエータは、近位要素16A,16Bをそれぞれ遠位要素18A,18Bから遠ざける。
【0106】
しかしながら、近位要素16A,16Bの独立作動可能にする近位要素アクチュエータ90A,90Bとの組み合わせにおいて、グリッパ型プッシャ81も又、固定器具に組み込まれるのが良い。かくして、近位要素16A,16Bをこれらが通常偏向されるよりも一層外方に偏向させることができ、したがって、近位要素と遠位要素との夾角が大きい状態で遠位要素がより開いた位置に配置されると、弁小葉を近位要素と遠位要素との間に捕捉することができる。好ましい実施形態では、遠位要素相互間の夾角は、約90°以上、好ましくは約110°以上、より好ましくは約120°以上である。かくして、この実施形態では、固定器具は、近位要素16A,16Bの独立作動を可能にすると共にこれら近位要素16A,16Bの広い運動範囲の実現を可能にすることができる。
【0107】
近位要素アクチュエータ90A,90Bを動かして近位要素16A,16Bを様々な角度で且つ遠位要素18A,18Bから様々な距離置いたところに動かすようにするのが良い。そして、近位要素アクチュエータ90A,90Bを押し又は引く程度を維持すると、近位要素16A,16Bが要素18に対して持つ位置を保つことができる。例えば、
図43に示されているように、近位要素アクチュエータ90A,90Bは、近位側に引っ張られ、そして、近位要素16A,16Bを遠位要素18に対して中間位置に維持するよう図示の位置に維持される。この中間位置は、近位要素16A,16Bを付勢する目標となる位置と近位要素16A,16Bが
図42の場合のように完全に引っ込められた位置との間にある。
図46に示されているように、近位要素16A,16Bがいったん所望の位置に位置すると、シャフト12と結合部材19を結合解除し又は切り離して近位要素アクチュエータ90A及び/又は90Bの近位側への引っ込みにより、近位要素ラインが近位要素16から結合解除され又は切り離されるようにするのが良い。かくして、固定器具14を定位置に残すことができ、他方、シャフト12、近位要素アクチュエータ90A,90B及び他の部品を手術部位から抜去することができる。
図41〜
図47に示されているように、固定器具14は、代表的には、覆い100を有する。
【0108】
近位要素16A,16Bの独立作動を可能にすることが望ましい場合がある。例えば、
図44に示されているように、近位要素アクチュエータ90Aは、近位側に引っ込められ、そして近位要素16Aを回転させてこれを遠位要素18から遠ざけ、他方、近位要素アクチュエータ90Bを遠位側に押し、そして近位要素16Bを回転させてこれを遠位要素18Bに近づける。同様に、
図45に示されているように、近位要素アクチュエータ90Aを単独で残し、それにより近位要素16Aがこれを付勢する目標としての位置を維持することができ、他方、近位要素アクチュエータ90Bを近位側に引っ込め、それにより近位要素16Bを遠位要素18Bから遠ざける。
【0109】
図47に示されている別の実施形態では、近位要素16A,16Bの独立作動は、
図46に示された実施形態と同様な仕方で実施される。しかしながら、
図47に示されているように、近位要素アクチュエータ90A,90Bは、二重ループ形態で形成されている。各近位要素アクチュエータ90A,90Bは、近位要素16A,16Bのうちの対応の近位要素の遠位端部を通って引き回されてシャフト12又は結合機構体19周りにループ状にされた後、シャフト302のノーズ318を出て、これを通って戻る。この形態により、
図46に示された実施形態とほぼ同じ動作上の可撓性が得られるが、結合機構体19をシャフト12から解除する前に近位要素アクチュエータ90A,90Bの取り出しが可能である。
【0110】
図48に示されているような別の実施形態では、単一の近位要素アクチュエータ90は、
図34に示された実施形態とほぼ同じ仕方で順次把持を行うよう構成されている。しかしながら、この実施形態は又、遠位要素18A,18Bの開き方向において延長された運動範囲を提供するようグリッパ型プッシャ81を利用している。各近位要素16A,16Bは、この構成の幾何学的形状により、別個独立に作動可能であり、近位要素アクチュエータ90は、結合部材19の分離と並行して解除可能である。
図35に示されているように、近位要素アクチュエータ90の引き回しの仕方に起因して、合力F
1,F
2は、互いに異なる角度をなしている。これら合力及びこれらの方向は、近位要素90に加わる張力及び近位要素アクチュエータ90が対応の近位要素16A又は16Bに接近してこれから遠ざかる方向(角度)で決まる。この場合も又、対応の近位要素を動かす力は、対応の近位要素の長さに垂直な力の成分である。この垂直成分は、F
N1,F
N2で表される。したがって、近位要素アクチュエータ90の張力の大きさが所与の場合、近位要素16Aは、近位要素16Bよりも大きな移動力を受けるであろう。このことは、近位要素16Aが開いているときは近位要素16Bは閉じられたままであり、近位要素16Aが完全に開かれた後では近位要素16Bが開いていることを意味している。これは、単一の近位要素アクチュエータ90を用いた近位要素16A,16Bの独立作動を可能にする。しかしながら、加うるに、この実施形態では、遠位要素相互間の夾角は、約90°以上であるのが良く、好ましくは約110°以上であり、より好ましくは約120°以上である。かくして、この実施形態では、固定器具は、近位要素の独立作動を可能にすると共にこれら近位要素の広い運動範囲の実現を可能にすることができる。
【0111】
近位要素アクチュエータの結合
上述の実施形態のうちの多くに関し、近位要素アクチュエータ90又は近位要素アクチュエータ90A,90Bは、固定器具14に解除可能に結合可能な端部を有する。上述した実施形態のうちの任意のものに適用可能な近位要素アクチュエータを解除可能に結合する種々の方法及び構造体を示す多数の実施形態について以下において説明する。
【0112】
多くの実施形態において、シャフト12と結合部材19は、L字形ロック機構体により互いに解除可能に結合される。例えば、
図49Aに示されているように、近位要素アクチュエータ90は、扁平区分90Fの遠位側に位置する丸形T字形端部90Tを有するのが良く、シャフト12は、L字形端部12Lを有するのが良い。
図49Bの斜視図に示されているように、近位要素アクチュエータ90は、この近位要素アクチュエータ及びシャフト12が結合部材19のチャネル19C中に配置されると、結合部材19に解除可能に結合される。シャフト12をチャネル19C中に配置しているとき、L字形端部12Lは内方に押し込められ、ついには、L字形端部は、孔19Aに達する。その時点において、L字形端部12Lは、外方に拡張して孔19A内に嵌まり込みそれにより、
図49Cの断面図に示されているようにシャフト12を結合部材19に対して定位置にロックする。丸形T字形遠位端部90Tは、代表的には、シャフト12に先立ってチャネル19C内に配置される。すると、
図49Cに示されているように、丸形T字形遠位端部90Tは、シャフトがチャネル19Cとシャフト12の幅の広い部分との間の空間19CA内に配置されると、かかる空間19CA内に捕捉状態になる。他のL字形ロック又は他のロック機構体が2009年2月26日に出願された共通譲受人の米国特許出願第12/393,452号明細書(発明の名称:Detachment Mechanism for Implantable Fixation Devices)に記載されており、この米国特許出願を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0113】
近位要素アクチュエータ90の丸形T字形端部90Tは又、他の多くの仕方でシャフト12及び結合部材19への近位要素ライン90の解除可能な結合を容易にするために使用できる。例えば、
図50Aに示されているように、シャフト12のL字形端部12Lは、少なくとも1つの近位要素ラインスロット12Sを有するのが良い。
図50C及び
図50Dに示されているように、近位要素アクチュエータ90のT字形端部90Tを近位要素ラインスロット12L内に滑り込ませる。次に、シャフト12を結合部材19内に配置し、それにより近位要素ライン90も定位置にロックする。
図50Eに示されているように、シャフト12を結合部材19から取り出すことにより、近位要素ライン90をL字形端部12Lの近位要素ラインスロット12Sから滑り出させることができ、それにより近位要素アクチュエータ90をシャフト12と結合器具19の両方から結合解除する。
【0114】
図51Aに示されているように、近位要素アクチュエータ90は、扁平なT字形端部90TFを有するのが良い。シャフト12は、シャフト12の遠位部分を包囲した内側遠位覆い1511及び内側遠位覆いを包囲した外側遠位覆い1521を更に有するのが良い。内側遠位覆い1511は、代表的には、シャフト12に対して固定位置にあり、他方、外側遠位覆いは、外側遠位覆い1521の側部チャネル1525中に配置された内側遠位覆い1511のタブ1515によって定められる範囲でシャフト12に対して動くことができる。近位要素アクチュエータ90をシャフト12及び結合ライン19に解除可能に結合するため、T字形端部90TFを内側遠位覆い1511のT字形切欠き1513中に嵌め込み、そして、シャフト12を結合器具19内に配置すると、結合器具19は、外側遠位覆い1521を押してこれを内側遠位覆い1511に嵌めてこれが
図51Bに示されているようにT字形切欠き1513並びにT字形端部90TFを覆うようにする。幾つかの実施形態において、外側遠位覆い1521は、ばね押しされて内側遠位カバー1523に押し付けられるのが良く、その結果、
図51Bに示されているこれらの相対位置を維持する傾向があるようにする。
【0115】
近位要素アクチュエータ90は、例えば
図52A〜
図52Gに示されているようにシャフト12の遠位部分に嵌められた種々の構成の内側及び外側遠位カラーを用いて種々の仕方で固定器具14に解除可能に結合できる。
図52Aは、1対のT字形切欠き1513及びタブ1514を有する内側遠位カラー1511Aを示している。
図52Cは、チャネル1524を有する外側遠位カラー1521Aを示している。チャネル1524は、内側遠位カラー1511Aを例えば
図52C〜
図52Eに示されているように外側遠位カラー1521A中に滑り込ませているときにそのタブ1514を介して内側遠位カラー1511Aを案内する。
図51A及び
図51Bに示された実施形態の場合と同様、近位要素アクチュエータ90をシャフト12及び結合部材19に解除可能に結合するため、T字形端部90TFを内側遠位カラー1511SのT字形切欠き1513内に嵌め込む。シャフト12を結合器具19内に配置すると、結合部材19は、外側遠位カラー1521Sを押してこれを内側遠位カラー1511Sに嵌めて外側遠位カラーが
図52F及び
図52Gに示されているようにT字形切欠き1513並びにT字形端部90TFを覆うようにする。これは、
図52Cに示されたコイルばね1522Aを圧縮する。固定器具14をシャフト12から解除すると、外側遠位覆い1521Aは、コイルばね1522Aの作用に起因して遠位側に動いてT字形切欠き1513Aを露出させ、それにより近位要素アクチュエータ90が解除される。
【0116】
他の実施形態では、近位要素アクチュエータ90を結合部材19及びシャフト12を貫通するアクチュエータロッド64の取り外しによって作動される構造体に解除可能に係合させることができる。
図53に示されているように、スタッド74がアクチュエータロッド64に解除可能に取り付けられており、アクチュエータロッド64は、インターベンションツール10の結合部材19及びシャフト12を貫通している。このように、アクチュエータロッド64は、固定器具に連結可能であり、このアクチュエータロッドは、固定器具を操作し、代表的には遠位要素を開閉するよう作用する。小葉を接合した後、アクチュエータロッド64をスタッド74から近位側に取り出して結合部材19を解除し又は変形例として上述したL字形ロック機構体を解除する。以下の実施形態では、アクチュエータロッド64のこの作用は、近位要素アクチュエータ90を解除するよう利用できる。
【0117】
図54A〜
図54D及び
図55A〜
図55Cに示されているような一実施形態では、ばね部材331は、近位要素アクチュエータ90を保持したりこれを解除したりするようアクチュエータロッド64と組み合わせて利用される。
図54Aに示されているように、ノーズ318から延びるシャフトの一部分には2つの窓333が形成されている。2つのばね部材は、対応の窓に隣接してシャフト12の周囲に設けられており、曲げ部分335がシャフト12内に形成されたアクチュエータロッド通路中に延びている。これら曲げ部分335の近位側は、シャフト12のノーズ318又は外側部分に固定されるのが良い。各曲げ部分335の遠位側は、“C”字形部分に取り付けられ、この“C”字形部分は、“C”字形の各端部のところに形成された切欠き339を有している。一方のばねの1つの“C”字形部分の対応の端部分は、対応の切欠き339が近位要素アクチュエータのいずれか一方の端部のところのボール337の運動に抵抗することができるよう別のばねの端部分に当接するよう構成されている。
図54Cは、“C”字形部分がボール337の遠位側への運動を阻止する切欠きを形成するよう互いに接触関係をなす位置を示している。
【0118】
図55Aに示されているように、アクチュエータロッド64は、幅の狭い部分及び幅の広い部分を備えたテーパ付きプロフィールを有するよう構成されている。アクチュエータロッド64を
図55Bにおいて近位側へ動かすと、アクチュエータロッド64の幅の広い部分は、曲げ部分335に接触して隣り合うばね部材331の対応の“C”字形部分を分離する。これにより、切欠き339が開かれ、その結果、近位アクチュエータ90のボール337が
図55Cに示されているように、解除されるようになる。
【0119】
図56A及び
図56Bに示されているような別の実施形態では、近位要素アクチュエータ90又は近位要素アクチュエータ90A,90Bは、シャフト12にヒンジ式に取り付けられた1つのライナ又は1組のライナ65を用いることによってシャフト12に解除可能に取り付けられるのが良い。この形態では、1対の窓33(単一の近位要素アクチュエータの場合、窓が1つしか必要ではない)がシャフト12に形成されている。ライナが窓33の各々の近位側側部でシャフト12の内部にヒンジ式に取り付けられている。
図56Aに示されているように、アクチュエータロッド64近位側へ引っ込めると、ライナ65は、近位要素アクチュエータ90が自由に動くことができるよう内方に動く。アクチュエータロッド64がこの位置にあるとき、近位要素アクチュエータ90を窓33中に挿入することができ又はこれから取り出すことができる。他方、アクチュエータロッド64を
図56Bに示されているように遠位側に動かすと、ライナ65は、シャフト12の内面に外方に圧接され、それにより近位要素アクチュエータを捕捉し又は挟む。これにより、近位要素アクチュエータが固定され、その結果、近位要素16を別個独立に動かすことができる。近位要素アクチュエータ90は、アクチュエータロッド64が再び
図56Aに示された位置に近位側に動かされるまでシャフト12に固定されている。
【0120】
近位要素アクチュエータ90を解除自在に固定する方法及び構造体を1つの近位要素アクチュエータ又は2つの近位要素アクチュエータを用いた状態で上述したが、単一の又は多数の近位要素アクチュエータ90に使用できるようこれら構造体を利用し又は改良することが可能である。
【0121】
グリッパ型プッシャの解除可能な固定
上述したように、
図39は、好ましくは2本のばねアーム99を有するグリッパ型プッシャ83を強調して示している。各アーム99は、ワイヤで作られ又は他の素材から機械加工により作られ、この実施形態では、長方形の断面を有し、但し、他の断面も又想定される。
図39の実施形態では、各アーム99の遠位部分91は、固定器具に設けられたボス又は他の取り付け機構体に係合することができる1対のフィンガを形成した切欠き領域93を有している。切欠きは、固定器具14をデリバリカテーテルシャフト12から取り外したときにボスから解除可能である。
図57及び
図58は、グリッパ型プッシャ83のアーム99をL字形ロック形態との組み合わせで解除可能に固定する変形実施形態を示している。
【0122】
図57及び
図58は、
図6Aに示された合致面32の変形実施形態を示している。この場合、上側シャフト500は、戻り止め機構体504,508により下側シャフト506に解除可能に結合されている。上側シャフト及び下側シャフトは、この実施形態では、全体として管状の形をしている。ただし、当業者であれば、他の形態の使用が可能であることを理解されよう。戻り止め機構体は、この例示の実施形態では、管状上側シャフト500に一体に形成された1本又は2本以上のばねアーム500及びばねアーム502を受け入れるよう寸法決めされた1つ又は2つ以上の受け口508を含む。管状上側シャフト500には、遠位端部のところにフランジ状係合面504を備えた1本又は2本以上のばねアーム502が一体に形成されている。ばねアーム502は、好ましくは、内方へ、即ち、シャフト500の内部に向かって付勢されている。取り外し可能な管状下側シャフト506は、ばねアーム502の係合面504及びグリッパ型プッシャ83のアーム99の係合面を受け入れてこれらと合致するよう構成された1つ又は2つ以上の受け口、この場合、孔508を備えている。孔508は、下側シャフト506の壁を貫通してずっと延びるのが良く、これら開口部は、ばねアーム502の係合面とアーム99の遠位端部91のところの係合面101の両方とぴったりと嵌まり合うよう寸法決めされている。アーム99を管状下側シャフト506に解除可能に結合するため、アーム99の係合面101を対応の孔508内に嵌め込む。次に、ぴったりと嵌まるロッド34(例えば、アクチュエータロッド64)を管状シャフト500,506中に挿入して内方に付勢されたばねアーム502を外方に偏向させ、その結果、係合面504を押してこれを対応の受け口508及びアーム99に係合させ、それによりグリッパ型プッシャ83及び上側シャフト500を下側シャフト506に結合する。
【0123】
図58は、上側シャフト500からの下側シャフト506の取り外しの仕方を示している。これは、内方に付勢された係合面504が受け口508から外れることができるようにするばねアーム502の上方の位置にロッド34を引っ込め、それによりグリッパ型プッシャ83のアーム99がシャフト500,506に沿って互いに分離することができるようにすることによって達成される。
【0124】
上述の内容は、本発明の好ましい実施形態の完全な説明であるが、本発明の説明から逸脱することなく、種々の変形例、置換例、追加例、改造例及び均等例が可能である。例えば、上述の実施形態のうちの多くのものにおいて、僧帽弁の場合、上流側、即ち心房側からの弁構造体への接近と関連して本発明を説明した。理解されるべきこととして、上述の実施形態はどれも、他の方式にも利用でき、かかる方式としては、弁の心室側又は下流側からの接近並びに心臓の壁を通る手術方式の使用が挙げられる。さらに、本発明を心臓弁に加えて種々の他の組織構造体の治療の際に使用でき、又、本発明は、種々の組織近置用途、取り付け用途、閉鎖用途、把持用途、結紮用途、幾つかの血管内用途、幾つかの内視鏡用途及び幾つかの開放手術用途に利用される。
【0125】
また、上述の発明を理解しやすくする目的で、図示及び例示によって幾分詳細に説明したが、種々の変形例、改造例及び均等例を想到することができ、上述の説明は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものと解されてはならないことは明らかであろう。