(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174125
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】電気機械エネルギー変換のための充電/放電回路および電気機械エネルギー変換システム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20170724BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20170724BHJP
H02M 3/18 20060101ALI20170724BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
H02J1/00 306L
H02J7/00 H
H02M3/18
H02M3/155 H
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-510790(P2015-510790)
(86)(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公表番号】特表2015-524239(P2015-524239A)
(43)【公表日】2015年8月20日
(86)【国際出願番号】EP2013059468
(87)【国際公開番号】WO2013167579
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2016年4月6日
(31)【優先権主張番号】12167573.0
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511131778
【氏名又は名称】シングル ブイ ムーリングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】バウアー, パヴォル
(72)【発明者】
【氏名】トドルセヴィク, トドル
【審査官】
古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−526213(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0218132(US,A1)
【文献】
特開2000−295840(JP,A)
【文献】
特表2009−536709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/00−41/47
H02J 1/00− 1/16
H02J 7/00− 7/12
H02J 7/34− 7/36
H02M 3/00− 3/44
H02N 2/00− 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサを電源から充電させるとともにコンデンサを電源に放電させるための電子デバイスであって、
前記電子デバイスが、前記コンデンサおよび前記電源に接続可能であるとともに、前記コンデンサを充電させるための第1の回路と、前記コンデンサを放電させるための少なくとも1つの第2の回路とを備え、前記コンデンサが、充電ライン中の前記第1の回路に接続されるとともに、放電ライン中の前記第2の回路に接続され、前記充電ラインおよび前記放電ラインの両方が前記電源に接続可能であり、
前記第1の回路が第1のバックコンバータ回路として配置され、前記少なくとも1つの第2の回路が第2のバックコンバータ回路として配置され、
前記第1のバックコンバータ回路が、第1のスイッチと、第1のインダクタと、第1のダイオードとを備え、前記第2のバックコンバータ回路が、第2のスイッチと、第2のインダクタと、第2のダイオードとを備え、
前記電源のプラス端子が、前記第1のバックコンバータ回路の前記第1のスイッチと前記第1のインダクタとを前記第1のインダクタが前記コンデンサのプラス電極の近傍に配置される状態で前記コンデンサのプラス端子に対して直列に接続する前記充電ラインに沿って、前記コンデンサのプラス電極に接続可能であり、
前記電源のプラス端子が、前記第2のバックコンバータ回路の前記第2のスイッチと前記第2のインダクタとを前記第2のインダクタが前記電源のプラス端子の近傍に配置される状態で前記コンデンサのプラス端子に対して直列に接続する前記放電ラインに沿って、前記コンデンサのプラス電極に接続可能であり、
前記電源の電圧が、使用中に得ることができる前記コンデンサの最小電圧と最大電圧との間で定格付けられ、
当該電子デバイスが共通レベル導体を更に備え、前記共通レベル導体には、前記電源のマイナス端子と前記コンデンサのマイナス電極とが接続可能であり、
前記第1および第2のダイオードが共通ダイオードとして具現化され、前記共通ダイオードが前記充電ラインの第1のノードと前記共通レベル導体との間に接続され、前記充電ラインの前記第1のノードが前記第1のスイッチと前記第1のインダクタとの間にある、電子デバイス。
【請求項2】
前記充電ラインの前記第1のノードが、前記第2のスイッチと前記第2のインダクタとの間における前記放電ラインの第2のノードに接続される、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記充電ラインが、前記第1のノードと前記第1のインダクタとの間に第1の制御ダイオードを備え、前記第1の制御ダイオードが前記第1のインダクタに向かう順方向を有し、
前記放電ラインが、前記第2のノードと前記第2のインダクタとの間に第2の制御ダイオードを備え、前記第2の制御ダイオードが前記第2のインダクタに向かう順方向を有する、
請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記第1のバックコンバータ回路の前記第1のダイオードが、前記充電ラインの第1のノードと前記共通レベル導体との間に接続され、前記充電ラインの前記第1のノードが前記第1のスイッチと前記第1のインダクタとの間にあり、前記第1のダイオードが前記充電ラインに向かう順方向を有し、
前記第2のバックコンバータ回路の前記第2のダイオードが、前記放電ラインの第2のノードと前記共通レベル導体との間に接続され、前記放電ラインの前記第2のノードが前記第2のスイッチと前記第2のインダクタとの間にあり、前記第2のダイオードが前記放電ラインに向かう順方向を有する、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記電子デバイスが第1のバックコンバータ回路と複数の第2のバックコンバータ回路とを備え、前記第1のバックコンバータ回路が、前記電源のプラス端子と前記コンデンサのプラス電極との間に接続可能な充電ライン中に配置され、前記複数の第2のバックコンバータ回路のそれぞれが、前記電源のプラス端子と前記コンデンサのプラス電極との間に接続可能なそれぞれの放電ライン中に配置され、
隣り合う前記放電ライン中の前記複数の第2のバックコンバータ回路のそれぞれの対のための放電周期が、一定の位相差にわたってシフトされ、
前記電源の電圧が、使用中に得ることができる前記コンデンサの最小電圧と最大電圧との間で定格付けられる、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記第1のバックコンバータ回路が、第1のスイッチと、第1のインダクタと、第1のダイオードとを備え、前記複数の第2のバックコンバータ回路のそれぞれが、それぞれの第2のスイッチと、それぞれの第2のインダクタと、それぞれの第2のダイオードとを備え、
前記充電ラインが、前記第1のバックコンバータ回路の前記第1のスイッチと前記第1のインダクタとを前記第1のインダクタが前記コンデンサのプラス電極の近傍に配置される状態で前記コンデンサのプラス端子に対して直列に接続し、
各放電ラインが、前記複数の第2のバックコンバータ回路からのそれぞれの第2のバックコンバータ回路のそれぞれの前記第2のスイッチとそれぞれの前記第2のインダクタとをそれぞれの前記第2のインダクタが前記電源のプラス端子の近傍に配置される状態で前記コンデンサのプラス端子に対して直列に接続し、
前記第1のバックコンバータ回路の前記第1のダイオードが、前記充電ラインの第1のノードと共通レベル導体との間に接続され、前記充電ラインの前記第1のノードが前記第1のスイッチと前記第1のインダクタとの間にあり、前記第1のダイオードが前記充電ラインに向かう順方向を有し、
各第2のバックコンバータ回路のそれぞれの第2のダイオードが、それぞれの前記放電ラインの第2のノードと前記共通レベル導体との間に接続され、それぞれの前記放電ラインの前記第2のノードがそれぞれの前記第2のバックコンバータ回路の前記第2のスイッチと前記第2のインダクタとの間にあり、それぞれの前記第2のダイオードが前記放電ラインに向かう順方向を有する、
請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記コンデンサが可変コンデンサである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記共通レベル導体がグランドレベルコネクタである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項9】
可変コンデンサと、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子デバイスと、電源とを備える電気機械エネルギー変換システムであって、
前記電源が前記電子デバイスに接続され、
前記電子デバイスが前記可変コンデンサに接続され、
前記可変コンデンサが第1および第2の電極を備え、これらの電極が、前記第1および第2の電極間に隙間距離を与える中間媒体によって分離され、前記可変コンデンサの前記隙間距離が、外的に印加される機械力に応じて最小距離と最大距離との間で調節でき、
前記電子デバイスのユニットが、前記隙間距離が最小のときの前記可変コンデンサの状態で、前記電源から前記可変コンデンサを充電させるとともに、前記隙間距離が最大のときおよび/または前記可変コンデンサの面積が最大のときの前記可変コンデンサの状態で、前記可変コンデンサを前記電源に放電させるようになっており、
前記可変コンデンサが、前記電源と前記可変コンデンサとの間にある充電ライン中で前記第1の回路に接続されるとともに、前記可変コンデンサと前記電源との間にある放電ライン中で前記少なくとも1つの第2の回路に接続される、
電気機械エネルギー変換システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電気機械エネルギー変換システムを使用する電気機械エネルギー変換のための方法であって、使用中に得ることができる前記可変コンデンサの最小電圧と最大電圧との間で前記電源のDC電圧を選択するステップを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械エネルギー変換のための回路に関する。また、本発明は、そのような回路を備える電気機械エネルギー変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の電気活性高分子(EAP)のような誘電エラストマー(DE)を使用して電気機械エネルギー変換システムエネルギーコンバータからエネルギーを収穫することは、DEを充電させて放電させる特別な方法を求める。EAPに基づくデバイスを使用するそのような電気機械エネルギー変換システムは、例えば、波エネルギーコンバータとして具現化される国際公開第2010/146457号パンフレットに開示される。
【0003】
そのようなEAPに基づくデバイスは、そのキャパシタンスがEAP材料の層に及ぼされる変形の大きさに応じて変化する可変コンデンサと見なされ得る。
【0004】
これまで、幾つかのタイプのコンバータが作られて検査される。通常、これらのコンバータは、ブーストステップアップコンバータ(充電用)およびバックステップダウンコンバータ(放電用)である。電気的損失および変換損失が生じるため、充電中および放電中には、電流形状に対して特別な注意が払われる。
【0005】
EAPに基づくデバイスのそれが収縮される瞬間の可変コンデンサの放電のために、バック(一般的にはステップダウン)コンバータが使用される。主な理由は、電力シンク/電源、例えばバッテリーが、EAPに基づくデバイスの収縮状態の可変コンデンサよりも低い電圧を有するからである。
【0006】
放電機能における降圧変換のための正しいトポロジーを選択する方法は、異なる条件によってもたらされる。低電圧スイッチ、電流の容易な制御、小さいインダクタ、低いスイッチング周波数、小さい損失を伴う降圧変換を有することが望ましく、また、無論、ハードウェア構造および制御に関して可能な限り簡単なトポロジーを維持することが望ましい。
【0007】
エネルギーハーベスティングの観点からは、損失を比較的小さく維持することが重要である。変換損失は、最適な充電方法および放電方法が使用されれば最小であり、また、これは、EAPに基づくデバイスの可変コンデンサの充電中および放電中の電流形状の制御を含む。電気的損失は、多くの電流リップルが存在する場合に生じるが、これを回避することは、コンバータがCCM(連続導通モード)で作動し、その結果、より高いスイッチング周波数が達成されなければならないことから、スイッチング損失が増大されることを意味する。例えば新規なSiC半導体はより少ないスイッチング損失を有し、そのため、それらの半導体は、ステップアップコンバータおよびステップダウンコンバータで用いるのに妥当な選択であるように思われる。
【0008】
また、高い電流振幅は、EAP材料の高い直列抵抗に起因して、より高い電気的損失をもたらすことが予期される。一方、比較的低い電流振幅のみを可能にすることは、EAPに基づくデバイスにおける最大電場に達する前のEAPに基づくデバイスの充電時間の増大により、変換効率に悪影響を及ぼし、それにより、より高い変換損失をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来技術からの不都合を克服する電気機械エネルギー変換システムのための充電/放電回路および電気機械エネルギー変換システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
目的を達成するために、本発明は、請求項1に規定される電子デバイスを提供する。
【0011】
目的は、コンデンサを電源から充電させるとともにコンデンサを電源に放電させるための電子デバイスであって、電子デバイスが、コンデンサおよび電源に接続可能であるとともに、コンデンサを充電させるための第1の回路と、コンデンサを放電させるための少なくとも1つの第2の回路とを備え、コンデンサが、充電ライン中の第1の回路に接続されるとともに、放電ライン中の第2の回路に接続され、充電ラインおよび放電ラインの両方が電源に接続可能であり、第1の回路が第1のバックコンバータ回路として配置され、少なくとも1つの第2の回路が第2のバックコンバータ回路として配置される、電子デバイスにより達成される。
【0012】
一態様によれば、前述した電子デバイスであって、
第1のバックコンバータ回路は、第1のスイッチと、第1のインダクタと、第1のダイオードとを備え、第2のバックコンバータ回路は、第2のスイッチと、第2のインダクタと、第2のダイオードとを備え、
電源のプラス端子は、第1のバックコンバータ回路の第1のスイッチと第1のインダクタとを第1のインダクタがコンデンサのプラス電極の近傍に配置される状態でコンデンサのプラス端子に対して直列に接続する充電ラインに沿って、コンデンサのプラス電極に接続可能であり、
電源のプラス端子は、第2のバックコンバータ回路の第2のスイッチと第2のインダクタとを第2のインダクタが電源のプラス端子の近傍に配置される状態でコンデンサのプラス端子に対して直列に接続する放電ラインに沿って、コンデンサのプラス電極に接続可能であり、
電源の電圧は、使用中に得ることができるコンデンサの最小電圧と最大電圧との間で定格付けられる、
電子デバイスが提供される。
【0013】
一態様によれば、前述した電子デバイスであって、共通レベル導体を更に備え、共通レベル導体には、電源のマイナス端子とコンデンサのマイナス電極とが接続可能である電子デバイスが提供される。
【0014】
一態様によれば、前述した電子デバイスであって、第1および第2のダイオードが共通ダイオードとして具現化され、共通ダイオードが充電ラインの第1のノードと共通レベル導体との間に接続され、充電ラインの第1のノードが第1のスイッチと第1のインダクタとの間にある電子デバイスが提供される。
【0015】
一態様によれば、前述した電子デバイスであって、充電ラインの第1のノードが、第2のスイッチと第2のインダクタとの間における放電ラインの第2のノードに接続される電子デバイスが提供される。
【0016】
一態様によれば、前述した電子デバイスであって、
充電ラインは、第1のノードと第1のインダクタとの間に第1の制御ダイオードを備え、第1の制御ダイオードが第1のインダクタに向かう順方向を有し、
放電ラインは、第2のノードと第2のインダクタとの間に第2の制御ダイオードを備え、第2の制御ダイオードが第2のインダクタに向かう順方向を有する、
電子デバイスが提供される。
【0017】
一態様によれば、前述した電子デバイスであって、
第1のバックコンバータの第1のダイオードは、充電ラインの第1のノードと共通レベル導体との間に接続され、充電ラインの第1のノードが第1のスイッチと第1のインダクタとの間にあり、第1のダイオードが充電ラインに向かう順方向を有し、
第2のバックコンバータの第2のダイオードは、放電ラインの第2のノードと共通レベル導体との間に接続され、放電ラインの第2のノードが第2のスイッチと第2のインダクタとの間にあり、第2のダイオードが放電ラインに向かう順方向を有する、
電子デバイスが提供される。
【0018】
一態様によれば、前述した電子デバイスであって、
電子デバイスが第1のバックコンバータ回路と複数の第2のバックコンバータ回路とを備え、
第1のバックコンバータ回路は、電源のプラス端子とコンデンサのプラス電極との間に接続可能な充電ライン中に配置され、複数の第2のバックコンバータ回路のそれぞれは、電源のプラス端子とコンデンサのプラス電極との間に接続可能なそれぞれの放電ライン中に配置され、
隣り合う放電ライン中の複数の第2のバックコンバータ回路のそれぞれの対のための放電周期は、一定の位相差にわたってシフトされ、
電源の電圧は、使用中に得ることができるコンデンサの最小電圧と最大電圧との間で定格付けられる、
電子デバイスが提供される。
【0019】
一態様によれば、前述した電子デバイスであって、
第1のバックコンバータ回路は、第1のスイッチと、第1のインダクタと、第1のダイオードとを備え、複数の第2のバックコンバータ回路のそれぞれは、それぞれの第2のスイッチと、それぞれの第2のインダクタと、それぞれの第2のダイオードとを備え、
充電ラインは、第1のバックコンバータ回路の第1のスイッチと第1のインダクタとを第1のインダクタがコンデンサのプラス電極の近傍に配置される状態でコンデンサのプラス端子に対して直列に接続し、
各放電ラインは、複数の第2のバックコンバータ回路からのそれぞれの第2のバックコンバータ回路のそれぞれの第2のスイッチとそれぞれの第2のインダクタとをそれぞれの第2のインダクタが電源のプラス端子の近傍に配置される状態でコンデンサのプラス端子に対して直列に接続し、
第1のバックコンバータの第1のダイオードは、充電ラインの第1のノードと共通レベル導体との間に接続され、充電ラインの第1のノードが第1のスイッチと第1のインダクタとの間にあり、第1のダイオードが充電ラインに向かう順方向を有し、
各第2のバックコンバータのそれぞれの第2のダイオードは、それぞれの放電ラインの第2のノードと共通レベル導体との間に接続され、それぞれの放電ラインの第2のノードがそれぞれの第2のバックコンバータ回路の第2のスイッチと第2のインダクタとの間にあり、それぞれの第2のダイオードが放電ラインに向かう順方向を有する、
電子デバイスが提供される。
【0020】
一態様によれば、前述した電子デバイスであって、コンデンサが可変コンデンサである電子デバイスが提供される。
【0021】
一態様によれば、前述した電子デバイスであって、共通レベル導体がグランドレベルコネクタである電子デバイスが提供される。
【0022】
一態様によれば、可変コンデンサと、電子デバイスと、電源とを備える電気機械エネルギー変換システムであって、
電源が電子デバイスに接続され、
電子デバイスが可変コンデンサに接続され、
可変コンデンサが第1および第2の電極を備え、これらの電極は、第1および第2の電極間に隙間距離を与える中間媒体によって分離され、可変コンデンサの隙間距離は、外的に印加される機械力に応じて最小距離と最大距離との間で調節でき、
電子デバイスのユニットは、実質的に、隙間距離が最小のときの可変コンデンサの状態で、電源から可変コンデンサを充電させるとともに、実質的に、隙間距離が最大のときおよび/または可変コンデンサの面積が最大のときの可変コンデンサの状態で、可変コンデンサを電源に放電させるようになっており、
電子デバイスは、可変コンデンサを充電させるための第1の回路と、可変コンデンサを放電させるための少なくとも1つの第2の回路とを備え、可変コンデンサは、電源と可変コンデンサとの間にある充電ライン中で第1の回路に接続されるとともに、可変コンデンサと電源との間にある放電ライン中で少なくとも1つの第2の回路に接続され、
第1の回路が第1のバックコンバータ回路として配置され、少なくとも1つの第2の回路が第2のバックコンバータ回路として配置される、
電気機械エネルギー変換システムが提供される。
【0023】
一態様によれば、前述した電気機械エネルギー変換システムを使用する電気機械エネルギー変換のための方法であって、使用中に得ることができる可変コンデンサの最小電圧と最大電圧との間で電源のDC電圧を選択するステップを備える方法が提供される。
【0024】
以下、本発明の例示的な実施形態が示される図面を参照しながら、本発明を更に詳しく説明する。図面は、専ら例示目的のために意図されており、特許請求の範囲により規定される発明概念を限定しようとするものではない。
【0025】
以下の図中、同じ参照数字は、それぞれの図において、同様のあるいは同一の構成要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来技術の能動EAPエネルギー変換システムを概略的に示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電子デバイスのトポロジーを概略的に示す。
【
図3a】本発明の一実施形態に係る電子デバイスのトポロジーを概略的に示す。
【
図3b】本発明の一実施形態に係る電子デバイスのトポロジーを概略的に示す。
【
図3c】本発明の一実施形態に係る電子デバイスのトポロジーを概略的に示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係る電子デバイスのトポロジーを概略的に示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係る電子デバイスのトポロジーを概略的に示す。
【
図6】本発明の一実施形態に係る電子デバイスのトポロジーを概略的に示す。
【
図7】従来技術の電子デバイスのトポロジーを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、従来技術の能動的なEAPに基づくエネルギー変換システム100を概略的に示す。そのような能動的なEAPに基づくエネルギー変換システム100は、可変コンデンサ10として作用するEAPに基づくデバイスと、ステップダウンコンバータ20と、電力シンク/電源30と、ステップアップコンバータ40とを備える。
【0028】
EAPに基づくデバイスは、一般に、電気活性高分子(EAP)の伸縮性合成材料の層を備える弾性変形体である。EAP材料を電気的に充電させる際に、EAP材料はコンデンサとして作用する。弾性変形体を変形させることにより、EAP材料の層がその寸法を変え、それにより、EAP材料層のキャパシタンスが変化する。したがって、EAP材料の層は、その弾性変形状態に応じて可変コンデンサとして作用し得る。
【0029】
電源は、EAP材料の層の伸張時にEAP材料層がステップアップコンバータによって電気的に充電されるように、ステップアップコンバータ40によって可変コンデンサに接続される。
【0030】
また、可変コンデンサ10はステップダウンコンバータによって電源30に接続され、ステップダウンコンバータは、伸張されたEAP材料の解放中または弛緩中に可変コンデンサ10を放電するようになっている。すなわち、弛緩中に、弾性変形体は、伸張状態と比べて小さい(あるいは更にはゼロ)弾性変形に戻る。
【0031】
電源は、充電動作中に電荷の供給源として作用するとともに、放電中に電荷のシンクとして作用するようになっている。従来技術によれば、ステップアップコンバータは一般にブーストコンバータであり、また、ステップダウンコンバータは一般にバックコンバータである。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態に係る電子デバイス1のトポロジーを概略的に示す。本発明によれば、エネルギーハーベスティングのための比較的簡単な方法が考慮される。
【0033】
EAPに基づく可変コンデンサの電圧U
EAPは、前述したようにEAP材料の歪みに応じて変化する。DC電圧U
BATは、最小取得可能EAP電圧と最大取得可能EAP電圧との間で選択される。可変コンデンサをU
BATからU
EAPまで容易に充電させた後、電圧増大を伴う弛緩後に、流れる電流の制御を伴って、可変コンデンサを再びU
BATまで放電させることにより、充電/放電回路を適合させることによってエネルギーを収穫できることが認識される。
【0034】
本発明によれば、ステップアップコンバータおよびステップダウンコンバータは、2つのバックコンバータL1,S1,D1,R1;L2,S2,D2,R2の配列を備える単一の回路に組み込まれ、この場合、ダイオードD1,D2は、2つのバックコンバータに共通の1つのダイオードDにより具現化される。
【0035】
電源30のプラス端子は、第1のスイッチS1(一般的にはトランジスタ)および第1のインダクタL1を可変コンデンサ10のプラス端子に対して直列に接続する充電ライン31に沿って、可変コンデンサ10のプラス電極に接続される。第1のインダクタL1は、第1のレジスタR1により概略的に示される内部抵抗を有する。
【0036】
また、電源30のプラス端子は、第2のインダクタL2および第2のスイッチS2(一般的にはトランジスタ)を可変コンデンサ10のプラス端子に対して直列に接続する放電ライン32に沿って、可変コンデンサ10のプラス電極に接続される。第2のインダクタL2は、第2のレジスタR2により概略的に示される内部抵抗を有する。
【0037】
充電ライン31は放電ライン32と平行である。
【0038】
また、電源30のマイナス端子は、共通ライン33によって可変コンデンサ10のマイナス電極に接続される。
【0039】
共通ライン33は、共通ライン33と充電ライン31との間に配置される共通ダイオードDにより、共通ダイオードDの順方向が充電ライン31の方を向く状態で、充電ライン31に接続される。共通ダイオードDは、第1のスイッチと第1のインダクタL1(内部レジスタR1を有する)との間の充電ライン上のノード35に接続する。
【0040】
また、充電ライン31および放電ライン32は、充電ライン31のノード35と放電ライン32の第2のノード36との間の接続ライン34によって接続され、この場合、第2のノードは、第2のスイッチS2と第2のインダクタL2(第2の内部レジスタR2を有する)との間にある。
【0041】
したがって、基本的に、
図2に係る電子デバイスを使用することにより、電源は、可変コンデンサ10における電圧U
EAPが電源30の電圧U
BATよりも小さいときに充電ライン31に沿って可変コンデンサ10を充電させることができる。可変コンデンサ10における電圧U
EAPが電源30の電圧U
BATよりも大きい場合、可変コンデンサ10は、放電して電荷を電源へ戻すことができる。
【0042】
図3a−
図3cは、本発明の一実施形態に係る電子デバイス2のトポロジーを概略的に示す。
【0043】
電流の完全制御を達成できるように
図2に示される電子デバイス1の変更がなされる。
図3aに示されるように、
図2に示される実施形態と比べて、2つのダイオードが加えられる。第1の制御ダイオードD1がノード35と第1のインダクタL1との間の充電ライン31に加えられる。第2の制御ダイオードD2が第2のノード36と第2のインダクタL2との間の放電ライン32に加えられる。
【0044】
図3bに示されるように、充電ライン31のバックコンバータS1,L1,R1は、第1の制御ダイオードD1の順方向で流れる電流を用いて可変コンデンサ10を充電させる(放電ラインは曖昧に示される)ために使用される。
【0045】
図3cに示されるように、放電ライン32のバックコンバータS2,L2,R2は、第2の制御ダイオードD2の順方向で流れる電流を用いて放電する(充電ラインは曖昧に示される)ために使用される。
【0046】
第2の制御ダイオードD2は、EAPの充電中に、第1のスイッチS1のみを通じた電流流れを許容すると同時に、第2のインダクタL2を通じた電流流れを許容しない。同じように、第1の制御ダイオードD1は、放電中に、第2のスイッチS2のみを通じた電流流れを許容すると同時に、第1のインダクタL1を通じた電流流れを許容しない。
【0047】
図3aに示される概略的な回路を用いると、理想的なスイッチS1,S2と4kHzのスイッチング周波数とを使用してシミュレーションモデルが構築される。このモデルは、EAPを放電する最中に可変コンデンサ10がバックコンバータの電源側にあり且つより高い損失をもたらす高い電流リップルを受けることを示す。モデルは、10mΩ直列抵抗を有する4mH(スイッチング周波数が低いことから非常に高い)の第1および第2のインダクタと、4000VのU
BAT電源と、そのキャパシタンスが伸張に伴って18mFから58mFに変化している可変コンデンサとしてモデル化されたEAP材料層とを含む。EAPの寸法および定数は、長さL=200m、幅W=50m、透磁率=20、100MV/mの最大電界強度、0.1μmの電極の厚さ、100μmの膜厚、および、1.1429Ωの直列抵抗である。伸張変化周波数は、シミュレーション中に0.5Hzで一定である。EAPの事前伸張比率は1.4であり、また、変形の振幅は0.4である。電流形状が完全ではなく、また、高いリップルに起因して電流形状が望ましい理想的な電流よりも高いピーク値を有することが分かる。最大到達電圧U
EAPは10kVである。これらの設定に関して1サイクル当たり360kJのエネルギー利得が計算される。
【0048】
図3a−
図3cの実施形態に係る電子デバイス2は、伸張中および弛緩中に定電場動作で使用することもできる。
【0049】
定電場動作を使用すると、より高いエネルギー利得がもたらされるが、このタイプの動作は、最大電場に達しなければならないため、より高いU
BAT電圧を必要とする。
【0050】
モデルでは、このタイプの動作のために、U
BAT=6500Vのより高い値が必要とされる。計算されるエネルギー利得は、1サイクル当たり520kJにまで増大する。
【0051】
図4は、本発明の一実施形態に係る電子デバイス3のトポロジーを概略的に示す。
【0052】
この実施形態では、
図2に示される電子デバイス1の実施形態と比べて、2つのダイオードが加えられる。
【0053】
第1の制御ダイオードD1がノード35と第1のインダクタL1との間の充電ライン31に加えられる。第2の制御ダイオードD2が充電ライン31の第1のノード35と放電ライン32の第2のノード36との間の接続ライン34に加えられる。
【0054】
この実施形態では、放電中、第2のスイッチS2が閉じられると、制御ダイオードD1,D2のいずれも電流を導かない。これは、電子デバイスにおける導通損失およびスイッチング損失に影響を及ぼして、これらの損失を低くする。
【0055】
図5は、本発明の一実施形態に係る電子デバイス4のトポロジーを概略的に示す。
【0056】
電子デバイス4は、2つのバックコンバータL1,S1,D11,R1;L2,S2,D22,R2の配列を備える。
【0057】
電源30のプラス端子は、第1のスイッチS1および第1のインダクタL1を可変コンデンサ10のプラス端子に対して直列に接続する充電ライン31に沿って、可変コンデンサ10のプラス電極に接続される。前述したように、第1のインダクタL1は、第1のレジスタR1により概略的に示される内部抵抗を有する。
【0058】
また、電源30のプラス端子は、第2のインダクタL2および第2のスイッチS2を可変コンデンサ10のプラス端子に対して直列に接続する放電ライン32に沿って、可変コンデンサ10のプラス電極に接続される。第2のインダクタL2は、第2のレジスタR2により概略的に示される内部抵抗を有する。
【0059】
充電ライン31は放電ライン32と平行である。
【0060】
また、電源30のマイナス端子は、共通ライン33によって可変コンデンサ10のマイナス電極に接続される。
【0061】
共通ライン33は、共通ライン33と充電ライン31との間に配置されるダイオードD11により、ダイオードD11の順方向が充電ライン31の方を向く状態で、充電ライン31に接続される。ダイオードD11は、第1のスイッチと第1のインダクタL1との間の充電ライン上のノード35に接続する。
【0062】
また、共通ライン33は、共通ライン33と放電ライン32との間に配置されるダイオードD22により、ダイオードD22の順方向が放電ライン32の方を向く状態で、放電ライン32に接続される。ダイオードD22は、第2のスイッチS2と第2のインダクタL2との間の放電ライン上のノード36に接続し、この場合、第2のノードは、第2のスイッチS2と第2のインダクタL2との間にある。
【0063】
図5の実施形態において、D11は、S1が開かれる充電プロセス中にのみ導通し、また、D22は、S2が開かれる放電プロセス中にのみ導通する。導通損失およびスイッチング損失は、
図4に示される実施形態の場合よりも小さい。
【0064】
しかしながら、
図5の実施形態では、スイッチS2が開かれるたびに放電周期中の可変コンデンサ10の電流がゼロまで降下する。当業者に知られるように、これは高い電流リップルをもたらす。その理由は、放電電流の所定の平均値を維持することが必要だからである。より高いリップルは、より高い実効値、したがって、より高い損失を意味する。
【0065】
図6は、本発明の一実施形態に係る電子デバイス5のトポロジーを概略的に示す。
【0066】
この実施形態において、電子デバイス5は、電源30と可変コンデンサ10との間で互いに並列であるとともに電源30と可変コンデンサ10との間で充電ライン31に対して更に並列である複数の放電ライン32−1,32−2,32−3,....によって放電中に可変コンデンサの電流がゼロまで降下するのを防止するようになっている。
【0067】
充電ライン31は、電極30のプラス端子と可変コンデンサ10のプラス電極との間で延び、この場合、充電ライン31は、第1のスイッチS1と第1のインダクタL1とを直列接続状態で備える。第1のインダクタは、可変コンデンサ10のプラス端子の近傍に配置させられる。
【0068】
充電ライン31は、第1のスイッチS1と第1のインダクタL1との間の充電ライン31に接続される第1のダイオードD1により、ダイオードD1の順方向が充電ラインの方を向く状態で、グランドレベル33に接続される。
【0069】
また、各放電ライン32−1,32−2,32−3,....は、電源30のプラス端子と可変コンデンサ10のプラス電極との間で延びる。各放電ライン32−1,32−2,32−3,....は、それぞれの第2のインダクタL2−1,L2−2,L2−3,....と、それぞれの第2のスイッチS2−1,S2−2,S2−3,...とを直列接続状態で備え、この場合、それぞれの第2のインダクタは電源30のプラス端子の近傍にある。
【0070】
各放電ライン32−1,32−2,32−3,....は、それぞれの第2のスイッチS2−1,S2−2,S2−3と第2のインダクタL2−1,L2−2,L2−3,..との間のそれぞれの放電ラインに接続されるそれぞれの第2のダイオードD2−1,D2−2,D2−3により、第2のダイオードの順方向が放電ラインの方を向く状態で、グランドレベル33に接続される。
【0071】
各放電ラインのスイッチング位相は、各放電周期が隣り合う放電ライン間で一定の位相差(例えば、2pi/N、Nは放電区間の数)にわたってシフトされるように選択される。
【0072】
図7は、従来技術の電子デバイス200のトポロジーを概略的に示す。従来技術の電子デバイス200は、ブーストコンバータおよびバックコンバータの配列を組み合わせる。
【0073】
ブーストコンバータ動作のため、スイッチS1およびダイオードD2が使用され(
図18)、並びに、共通のインダクタL、バッテリーUbat、および、EAPコンデンサ10が使用される。このモードで動作する間、最大電場に達するまで、電荷が可変コンデンサ10に加えられる。材料を充電させるこの周期中、定電場方法が使用されるため、平均電流は一定でなければならない。ここで、予期されるように、可変コンデンサ10を通じて流れる電流は高いリップルを有する(スイッチS1が状態を“ON”へ変えるたびに電流がゼロまで降下する)。高い電流リップルに起因して、電流の実効値が高く、それが高い損失をもたらす。
【0074】
バックコンバータ動作に関しては、スイッチS2およびダイオードD1が使用され、並びに、前述したような他の共通の必要な構成要素も使用される。このモードでは、最初に、一定の電場を維持するために可変コンデンサ10が放電される。その期間後に、可変コンデンサ10は、所定量の残留電荷のみが可変コンデンサ10上に残されるまで、一定の電流平均値をもって放電される。放電周期中および充電周期中に、電流は高い電流リップルを有する。スイッチS2が開かれるたびに電流がゼロまで降下する。先と同様に、これが高い損失をもたらす。
【0075】
本発明に係る電子デバイス1,2,3,4,5と従来技術の電子デバイス200との間の主な違いが充電周期中に生じるのが分かる。本発明に係る電子デバイスにおいては、この周期中に充電電流が連続的であり、一方、従来技術のブーストコンバータ−バックコンバータ電子デバイス200においては、充電電流が不連続である。電流リップルは、本発明に係る電子デバイスにおいては非常に低く、損失も同様である。これは、従来技術の電子デバイス200の従来技術のブーストコンバータ−バックコンバータ電子デバイストポロジーに優る利点を与える。
【0076】
従来技術のブースト−バック電子デバイストポロジー200に優る本発明に係る電子デバイスの他の利点は、1つのスイッチにわたる低い定格阻止電圧である。従来技術の電子デバイス200では、両方のスイッチS1,S2が、可変コンデンサ10にわたって現れ得る最大電圧に関して定格付けられなければならない。本発明に係る電子デバイスでは、充電中にその状態を変える第1のスイッチ(S1)は、入力の電圧(すなわち、電源電圧)、または、電源電圧と出力、すなわち、可変コンデンサ電圧との間の差(入力と出力との間の比率による)を阻止しさえすればよい。
【0077】
本発明に係る電子デバイスは、可変コンデンサ10上に残される最適な残留電荷を使用でき、それにより、より高いエネルギー利得をもたらす。従来技術の電子デバイス200において、可変コンデンサ上の残留電荷の量は、可変コンデンサの変形レベルと電源電圧とによって規定され、そのため、可変コンデンサにおける電圧が最小のときでさえ、その電圧は電源電圧よりも高くなければならない(さもなければ、それにより、電源から可変コンデンサへ向かう電流の流れが生じ、したがって、エネルギーハーベスティング方法に支障を来す)。最適な残留電荷が変形(伸張)と電源電圧Ubatとにより規定される電荷よりも少ない場合、それは、同じ瞬間に、同じ変形比率または伸張比率に関して、より低い電圧を可変コンデンサにもたらす。
図7から分かるように、ダイオードD2は、十分な電位差が存在すれば、電源から可変コンデンサに向かう電流のための開経路を与える。このことは、放電後に、残留電荷が最適であり且つ可変コンデンサ電圧が(可変コンデンサのキャパシタンスの上昇に起因して)減少していれば、ハーベスティングサイクルで規定される最適な瞬間の前に可変コンデンサの望ましくない充電が生じ得ることを意味する。好適には、本発明に係る電子デバイスでは、従来技術の電子デバイスの場合のような電流が流れるための自由経路が存在しない。
【0078】
好ましい実施形態に関して本発明を説明してきた。先の詳細な説明を読んで理解すると、自明な変更および代替を他の者が想起し得る。そのような変更および代替が添付の特許請求の範囲内に入る限りにおいて、本発明がそのような変更および代替の全てを含むように解釈されることが意図される。
[発明の項目]
[項目1]
コンデンサを電源から充電させるとともにコンデンサを電源に放電させるための電子デバイスであって、
前記電子デバイスが、前記コンデンサおよび前記電源に接続可能であるとともに、前記コンデンサを充電させるための第1の回路と、前記コンデンサを放電させるための少なくとも1つの第2の回路とを備え、前記コンデンサが、充電ライン中の前記第1の回路に接続されるとともに、放電ライン中の前記第2の回路に接続され、前記充電ラインおよび前記放電ラインの両方が前記電源に接続可能であり、
前記第1の回路が第1のバックコンバータ回路として配置され、前記少なくとも1つの第2の回路が第2のバックコンバータ回路として配置される、電子デバイス。
[項目2]
前記第1のバックコンバータ回路が、第1のスイッチと、第1のインダクタと、第1のダイオードとを備え、前記第2のバックコンバータ回路が、第2のスイッチと、第2のインダクタと、第2のダイオードとを備え、
前記電源のプラス端子が、前記第1のバックコンバータ回路の前記第1のスイッチと前記第1のインダクタとを前記第1のインダクタが前記コンデンサのプラス電極の近傍に配置される状態で前記コンデンサのプラス端子に対して直列に接続する前記充電ラインに沿って、前記コンデンサのプラス電極に接続可能であり、
前記電源のプラス端子が、前記第2のバックコンバータ回路の前記第2のスイッチと前記第2のインダクタとを前記第2のインダクタが前記電源のプラス端子の近傍に配置される状態で前記コンデンサのプラス端子に対して直列に接続する前記放電ラインに沿って、前記コンデンサのプラス電極に接続可能であり、
前記電源の電圧が、使用中に得ることができる前記コンデンサの最小電圧と最大電圧との間で定格付けられる、項目1に記載の電子デバイス。
[項目3]
共通レベル導体を更に備え、前記共通レベル導体には、前記電源のマイナス端子と前記コンデンサのマイナス電極とが接続可能である、項目2に記載の電子デバイス。
[項目4]
前記第1および第2のダイオードが共通ダイオードとして具現化され、前記共通ダイオードが前記充電ラインの第1のノードと前記共通レベル導体との間に接続され、前記充電ラインの前記第1のノードが前記第1のスイッチと前記第1のインダクタとの間にある、項目3に記載の電子デバイス。
[項目5]
前記充電ラインの前記第1のノードが、前記第2のスイッチと前記第2のインダクタとの間における前記放電ラインの第2のノードに接続される、項目4に記載の電子デバイス。
[項目6]
前記充電ラインが、前記第1のノードと前記第1のインダクタとの間に第1の制御ダイオードを備え、前記第1の制御ダイオードが前記第1のインダクタに向かう順方向を有し、
前記放電ラインが、前記第2のノードと前記第2のインダクタとの間に第2の制御ダイオードを備え、前記第2の制御ダイオードが前記第2のインダクタに向かう順方向を有する、
項目1〜5のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目7]
前記第1のバックコンバータの前記第1のダイオードが、前記充電ラインの第1のノードと前記共通レベル導体との間に接続され、前記充電ラインの前記第1のノードが前記第1のスイッチと前記第1のインダクタとの間にあり、前記第1のダイオードが前記充電ラインに向かう順方向を有し、
前記第2のバックコンバータの前記第2のダイオードが、前記放電ラインの第2のノードと前記共通レベル導体との間に接続され、前記放電ラインの前記第2のノードが前記第2のスイッチと前記第2のインダクタとの間にあり、前記第2のダイオードが前記放電ラインに向かう順方向を有する、
項目1〜3のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目8]
前記電子デバイスが第1のバックコンバータ回路と複数の第2のバックコンバータ回路とを備え、前記第1のバックコンバータ回路が、前記電源のプラス端子と前記コンデンサのプラス電極との間に接続可能な充電ライン中に配置され、前記複数の第2のバックコンバータ回路のそれぞれが、前記電源のプラス端子と前記コンデンサのプラス電極との間に接続可能なそれぞれの放電ライン中に配置され、
隣り合う前記放電ライン中の前記複数の第2のバックコンバータ回路のそれぞれの対のための放電周期が、一定の位相差にわたってシフトされ、
前記電源の電圧が、使用中に得ることができる前記コンデンサの最小電圧と最大電圧との間で定格付けられる、項目1に記載の電子デバイス。
[項目9]
前記第1のバックコンバータ回路が、第1のスイッチと、第1のインダクタと、第1のダイオードとを備え、前記複数の第2のバックコンバータ回路のそれぞれが、それぞれの第2のスイッチと、それぞれの第2のインダクタと、それぞれの第2のダイオードとを備え、
前記充電ラインが、前記第1のバックコンバータ回路の前記第1のスイッチと前記第1のインダクタとを前記第1のインダクタが前記コンデンサのプラス電極の近傍に配置される状態で前記コンデンサのプラス端子に対して直列に接続し、
各放電ラインが、前記複数の第2のバックコンバータ回路からのそれぞれの第2のバックコンバータ回路のそれぞれの前記第2のスイッチとそれぞれの前記第2のインダクタとをそれぞれの前記第2のインダクタが前記電源のプラス端子の近傍に配置される状態で前記コンデンサのプラス端子に対して直列に接続し、
前記第1のバックコンバータの前記第1のダイオードが、前記充電ラインの第1のノードと共通レベル導体との間に接続され、前記充電ラインの前記第1のノードが前記第1のスイッチと前記第1のインダクタとの間にあり、前記第1のダイオードが前記充電ラインに向かう順方向を有し、
各第2のバックコンバータのそれぞれの第2のダイオードが、それぞれの前記放電ラインの第2のノードと前記共通レベル導体との間に接続され、それぞれの前記放電ラインの前記第2のノードがそれぞれの前記第2のバックコンバータ回路の前記第2のスイッチと前記第2のインダクタとの間にあり、それぞれの前記第2のダイオードが前記放電ラインに向かう順方向を有する、
項目8に記載の電子デバイス。
[項目10]
前記コンデンサが可変コンデンサである、項目1〜9のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目11]
前記共通レベル導体がグランドレベルコネクタである、項目3〜10のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目12]
可変コンデンサと、電子デバイスと、電源とを備える電気機械エネルギー変換システムであって、
前記電源が前記電子デバイスに接続され、
前記電子デバイスが前記可変コンデンサに接続され、
前記可変コンデンサが第1および第2の電極を備え、これらの電極が、前記第1および第2の電極間に隙間距離を与える中間媒体によって分離され、前記可変コンデンサの前記隙間距離が、外的に印加される機械力に応じて最小距離と最大距離との間で調節でき、
前記電子デバイスのユニットが、実質的に、前記隙間距離が最小のときの前記可変コンデンサの状態で、前記電源から前記可変コンデンサを充電させるとともに、実質的に、前記隙間距離が最大のときおよび/または前記可変コンデンサの面積が最大のときの前記可変コンデンサの状態で、前記可変コンデンサを前記電源に放電させるようになっており、
前記電子デバイスが、前記可変コンデンサを充電させるための第1の回路と、前記可変コンデンサを放電させるための少なくとも1つの第2の回路とを備え、前記可変コンデンサが、前記電源と前記可変コンデンサとの間にある充電ライン中で前記第1の回路に接続されるとともに、前記可変コンデンサと前記電源との間にある放電ライン中で前記少なくとも1つの第2の回路に接続され、前記第1の回路が第1のバックコンバータ回路として配置され、前記少なくとも1つの第2の回路が第2のバックコンバータ回路として配置される、
電気機械エネルギー変換システム。
[項目13]
項目12に記載の電気機械エネルギー変換システムを使用する電気機械エネルギー変換のための方法であって、使用中に得ることができる前記可変コンデンサの最小電圧と最大電圧との間で前記電源のDC電圧を選択するステップを備える方法。