特許第6174136号(P6174136)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6174136遠位に配置されたジョーアセンブリを有する超音波外科用器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174136
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】遠位に配置されたジョーアセンブリを有する超音波外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20170724BHJP
   B25J 1/00 20060101ALI20170724BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   A61B17/32 510
   B25J1/00
   A61B1/018 515
【請求項の数】19
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2015-520271(P2015-520271)
(86)(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公表番号】特表2015-524683(P2015-524683A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】US2013045828
(87)【国際公開番号】WO2014004120
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年5月25日
(31)【優先権主張番号】13/538,711
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バクハリア・オマル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】メサーリー・ジェフリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ステファンチク・デビッド
(72)【発明者】
【氏名】スモリック・スティーブン・ピー
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−073746(JP,A)
【文献】 特表2003−521304(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/081337(WO,A1)
【文献】 特表2008−515562(JP,A)
【文献】 米国特許第06783524(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0046122(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0002380(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 1/018
B25J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸に対してほぼ平行に遠位方向に延びる超音波ブレードを備えるエンドエフェクタと、
前記長手方向軸に沿って前記エンドエフェクタから近位方向に延びるシャフトと、
ジョーアセンブリであって、
手首部材であって、前記手首部材が前記超音波ブレードとほぼ平行となる第1の位置から、前記手首部材が前記超音波ブレードから離れる方向に旋回された第2の位置へと、前記長手方向軸に対してほぼ垂直な手首旋回軸を中心として旋回可能な、手首部材と、
前記手首部材から遠位方向に延びて前記手首部材と旋回可能に連結された第1のジョー部材であって、前記手首旋回軸に対してほぼ垂直なジョー旋回軸を中心として旋回可能な、第1のジョー部材と、
前記手首部材から遠位方向に延びて前記手首部材と旋回可能に連結された第2のジョー部材であって、前記ジョー旋回軸を中心として旋回可能な、第2のジョー部材と、を備える、ジョーアセンブリと、を備え、前記第1及び第2のジョー部材が、前記第1及び第2のジョー部材が互いから離れる方向に旋回している開位置から前記第1及び第2のジョー部材が互いに近づく方向に旋回している閉位置へと、互いに対して前記ジョー旋回軸を中心として更に旋回可能である、外科用器具。
【請求項2】
前記第1のジョー部材から前記シャフトを通って近位方向に延びる第1及び第2の制御ラインであって、前記第1及び第2の制御ラインの差動並進運動によって、前記第1のジョー部材が前記ジョー旋回軸を中心として旋回する、第1及び第2の制御ラインと、
前記第2のジョー部材から前記シャフトを通って近位方向に延びる第3及び第4の制御ラインであって、前記第3及び第4の制御ラインの差動並進運動によって、前記第2のジョー部材が前記ジョー旋回軸を中心として旋回する、第3及び第4の制御ラインと、を更に備える、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記第1のジョー部材が、前記ジョー旋回軸を中心として配置されたプーリを備え、前記第1及び第2の第1のジョー制御ラインが前記プーリの周囲に延びる、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記第1及び第2の制御ラインが、前記プーリの周囲に配置された1本の制御ラインの両端である、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記第1及び第2のジョー部材が、前記ジョー旋回軸を中心として、個別に、及び一緒に旋回可能である、請求項1に記載の器具。
【請求項6】
前記手首部材と連結されて前記シャフトを通って近位方向に延びる第1の手首部材制御ラインを更に備え、前記第1の手首部材制御ラインの近位方向への並進運動が、前記手首部材を前記手首旋回軸を中心として近位方向に旋回させる、請求項1に記載の器具。
【請求項7】
前記超音波ブレードが、伸長した位置から収縮した位置へと前記長手方向軸に対して平行な方向に並進運動可能である、請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記超音波ブレードが、伸長した位置から収縮した位置へと前記長手方向軸に対して平行な方向に並進運動可能であり、
前記手首旋回軸を中心とした前記手首部材の運動範囲が、前記超音波ブレードが前記収縮した位置にある場合に大きくなる、請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記手首部材、前記第1のジョー部材、及び前記第2のジョー部材の少なくとも1つが、前記超音波ブレードの方向に向けられた面を画定し、前記面に連結されたクランプパッド材料を更に備える、請求項1に記載の器具。
【請求項10】
長手方向軸に対してほぼ平行に遠位方向に延びる超音波ブレードを有するエンドエフェクタと、
前記長手方向軸に沿って前記エンドエフェクタから近位方向に延びるシャフトと、
第1及び第2のジョー部材を有するジョーアセンブリと、を備え、前記ジョーアセンブリが、前記第1及び第2のジョー部材が前記超音波ブレードに対してほぼ平行となる第1の位置から第2の位置へと、前記長手方向軸に対してほぼ垂直な第1の軸を中心として旋回可能であり、前記第1及び第2のジョー部材が前記第1の軸に対してほぼ垂直な第2の軸を中心として旋回可能である、外科用器具。
【請求項11】
前記第1及び第2のジョー部材が、前記第1及び第2のジョー部材が互いに対してほぼ平行となる閉位置から開位置へと、前記第2の軸を中心として互いに対して旋回可能である、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項12】
前記ジョーアセンブリが前記第1の軸を中心として旋回可能な手首部材を更に備え、前記第1及び第2のジョー部材が前記第2の軸を中心として前記手首部材に旋回可能に連結されている、請求項10に記載の外科用器具。
【請求項13】
前記第1のジョー部材から前記シャフトを通って近位方向に延びる第1及び第2の制御ラインであって、前記第1及び第2の制御ラインの差動並進運動によって、前記第1のジョー部材が前記第2の軸を中心として旋回する、第1及び第2の制御ラインと、
前記第2のジョー部材から前記シャフトを通って近位方向に延びる第3及び第4の制御ラインであって、前記第3及び第4の制御ラインの差動並進運動によって、前記第2のジョー部材が前記第2の軸を中心として旋回する、第3及び第4の制御ラインと、を更に備える、請求項10に記載の器具。
【請求項14】
前記第1のジョー部材が、前記第2の軸を中心として配置されたプーリを備え、前記第1及び第2の第1のジョー制御ラインが前記プーリの周囲に延びる、請求項13に記載の器具。
【請求項15】
前記第1及び第2のジョー部材が、前記第2の軸を中心として、個別に、及び一緒に旋回可能である、請求項10に記載の器具。
【請求項16】
前記ジョーアセンブリと連結されて前記シャフトを通って近位方向に延びる第1の軸の制御ラインを更に備え、前記第1の軸の制御ラインの近位方向への並進運動が、前記ジョーアセンブリを前記第1の軸を中心として近位方向に旋回させる、請求項10に記載の器具。
【請求項17】
前記超音波ブレードが、伸長した位置から収縮した位置へと前記長手方向軸に対して平行な方向に並進運動可能である、請求項10に記載の器具。
【請求項18】
前記第1の軸を中心とした前記ジョーアセンブリの運動範囲が、前記超音波ブレードが前記収縮した位置にある場合に大きくなる、請求項17に記載の器具。
【請求項19】
前記ジョーアセンブリが前記超音波ブレードの方向に向けられた面を画定し、前記面と連結されたクランプパッド材料を更に備える、請求項10に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、同時に出願された以下の米国特許出願に関連するものであり、これらの出願の全容を参照により本明細書に援用するものである。
米国特許出願第____________号、発明の名称「Haptic Feedback Devices for Surgical Robo」、代理人整理番号END7042USNP/110388、
米国特許出願第____________号、発明の名称「Lockout Mechanism for Use with Robotic Electrosurgical Device」、代理人整理番号END7043USNP/110389、
米国特許出願第____________号、発明の名称「Closed Feedback Control for Electrosurgical Device」、代理人整理番号END7044USNP/110390、
米国特許出願第____________号、発明の名称「Surgical Instruments with Articulating Shafts」、代理人整理番号END6423USNP/110392、
米国特許出願第____________号、発明の名称「Ultrasonic Surgical Instruments with Distally Positioned Transducers」、代理人整理番号END6819USNP/110393、
米国特許出願第____________号、発明の名称「Surgical Instruments with Articulating Shafts」、代理人整理番号END7047USNP/110394、
米国特許出願第____________号、発明の名称「Surgical Instruments with Articulating Shafts」、代理人整理番号END7049USNP/110396、
米国特許出願第____________号、発明の名称「Ultrasonic Surgical Instruments with Control Mechanisms」、代理人整理番号END7050USNP/110397、及び
米国特許出願第____________号、発明の名称「Surgical Instruments With Fluid Management System」、代理人整理番号END7051USNP/110399。
【背景技術】
【0002】
異なる実施形態は、ジョーアセンブリの遠位に配置された超音波器具に関するものである。
【0003】
超音波メスなどの超音波外科用装置はそれらの固有の性能特性のために外科手術における多くの用途において使用されている。特定の装置の構成及び手術パラメータに応じて、超音波外科用装置は組織の切断及び凝固による止血をほぼ同時に行うことが可能であり、望ましくは患者の外傷を最小に抑える。超音波外科用装置は、近位に配置された超音波トランスデューサ、並びに組織を切断及びシールするための超音波ブレードを備えた、遠位に取り付けられたエンドエフェクタを有する超音波トランスデューサと結合された器具を備えている。エンドエフェクタは一般的に、シャフトを介してハンドル及び/又はロボット外科用器具のいずれかと結合されている。ブレードは、シャフトを通って延びる導波管を介してトランスデューサと音響的に結合されている。このような超音波外科用装置は、開放手術における使用、ロボット支援手術を含む腹腔鏡又は内視鏡手術用に構成することができる。
【0004】
超音波エネルギーは、電気外科手術で用いられるよりも低い温度を使用して組織を切断し、凝固させる。超音波ブレードは高周波(例えば、毎秒55,500回)で振動し、組織中のタンパク質を変性させて粘着性の凝塊を形成する。ブレード表面により組織に加えられる圧力によって血管が圧し潰され、凝塊が止血シールを形成する。外科医は、エンドエフェクタにより組織に加えられる力によって切断速度及び凝固、力が加えられる時間、及び選択されるエンドエフェクタの偏位レベルを制御することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
臨床医は、超音波及び/又はRFエネルギーの作用を方向付けるために器具のシャフトの遠位部分を関節運動させることがしばしば望ましい。このような関節運動は困難であり、超音波導波管が、近位に配置されたトランスデューサから遠位に配置された超音波ブレードに延びる実施形態では制限される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
様々な実施形態の特徴が、特許請求の範囲で詳細に示される。ただし、構成及び操作方法の両方に関する様々な実施形態は、それらの利点と共に、以下の説明を以下の添付図面と併せて参照すれば最もよく理解することができる。
図1】外科用器具と超音波発生装置とを含む外科用システムの1つの実施形態を示す。
図2図1に示される外科用器具の1つの実施形態を示す。
図3】超音波エンドエフェクタの1つの実施形態を示す。
図4】超音波エンドエフェクタの別の実施形態を示す。
図5図1に示される外科用器具の1つの実施形態の分解組立図を示す。
図6図1に示される外科用器具の1つの実施形態の切欠図を示す。
図7図1に示される外科用器具の1つの実施形態の異なる内部の構成要素を示す。
図8】外科用器具と超音波発生装置とを含む外科用システムの1つの実施形態の上面図を示す。
図9図1の外科用器具の1つの例示的な実施形態に含まれる回転アセンブリの1つの実施形態を示す。
図10】単一要素エンドエフェクタを有する外科用器具を含む外科用システムの1つの実施形態を示す。
図11】ロボット外科システムの1つの実施形態のブロック図を示す。
図12】ロボットアームカートの1つの実施形態を示す。
図13図12のロボットアームカートのロボットマニピュレータの1つの実施形態を示す。
図14】代替的なセットアップ関節構造を有するロボットアームカートの1つの実施形態を示す。
図15図11〜14のロボットアームカートなど、ロボットアームカートと併せて使用することができるコントローラの1つの実施形態を示す。
図16】ロボットシステムとの使用に適応した超音波外科用器具の1つの実施形態を示す。
図25】ロボットシステムとの使用に適応した電気外科用器具の1つの実施形態を示す。
図17図16に示される外科用器具を受容して制御する手術マニピュレータに連結することができる器具駆動アセンブリの1つの実施形態を示す。
図18図16の外科用器具を含む図26の器具駆動アセンブリ実施形態の別の図を示す。
図19図26の器具駆動アセンブリ実施形態のアダプタ部の更なる図を示す。
図20図26の器具駆動アセンブリ実施形態のアダプタ部の更なる図を示す。
図21図26の器具駆動アセンブリ実施形態のアダプタ部の更なる図を示す。
図22】被駆動要素の運動を外科用器具の運動に変換する構成要素を示す、図16の器具取り付け部の1つの実施形態を示す。
図23】被駆動要素の運動を外科用器具の運動に変換する構成要素を示す、図16の器具取り付け部の1つの実施形態を示す。
図24】被駆動要素の運動を外科用器具の運動に変換する構成要素を示す、図16の器具取り付け部の1つの実施形態を示す。
図25】被駆動要素の回転を、シャフトの軸を中心とする回転運動に変換する代替的な機構例、及び、シャフトの軸に沿う1つ又はそれ以上の部材の往復並進を生成する代替的な機構例を示す、図16の器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図26】被駆動要素の回転を、シャフトの軸を中心とする回転運動に変換する代替的な機構例、及び、シャフトの軸に沿う1つ又はそれ以上の部材の往復並進を生成する代替的な機構例を示す、図16の器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図27】被駆動要素の回転を、シャフトの軸を中心とする回転運動に変換する代替的な機構例、及び、シャフトの軸に沿う1つ又はそれ以上の部材の往復並進を生成する代替的な機構例を示す、図16の器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図28】被駆動要素の回転を、シャフトの軸を中心とする回転運動に変換する別の代替的な機構例を示す、図16の器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図29】被駆動要素の回転を、シャフトの軸を中心とする回転運動に変換する別の代替的な機構例を示す、図16の器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図30】被駆動要素の回転を、シャフトの軸を中心とする回転運動に変換する別の代替的な機構例を示す、図16の器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図31】被駆動要素の回転を、シャフトの軸を中心とする回転運動に変換する別の代替的な機構例を示す、図16の器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図32】被駆動要素の回転を、シャフトの軸を中心とする回転運動に変換する別の代替的な機構例を示す、図16の器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図33】シャフトの軸に沿う部材の差動並進用(例えば、関節運動)の代替的な機構例を示す、器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図34】シャフトの軸に沿う部材の差動並進用(例えば、関節運動)の代替的な機構例を示す、器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図35】シャフトの軸に沿う部材の差動並進用(例えば、関節運動)の代替的な機構例を示す、器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図36A】シャフトの軸に沿う部材の差動並進用(例えば、関節運動)の代替的な機構例を示す、器具取り付け部の代替的な実施形態を示す。
図36B】内部電源及びエネルギー源を備えるツール取り付け部の1つの実施形態を示す。
図36C】内部電源及びエネルギー源を備えるツール取り付け部の1つの実施形態を示す。
図37】遠位に配置されたジョーアセンブリを有する外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図38】遠位に配置されたジョーアセンブリを有する外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図39図37〜38の外科用器具の遠位部分の1つの実施形態の正面図である。
図40】ロボット外科システムとともに使用するための器具取り付け部へ連結された図37〜38の外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図41】ロボット外科システムとともに使用するための器具取り付け部へ連結された図37〜38の外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図42】更なる制御機構を示す、図37〜38の外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図43】更なる制御機構を示す、図37〜38の外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図44】更なる制御機構を示す、図37〜38の外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図45A図37〜38の外科用器具の異なる制御ラインを作動させるための例示的な機構を示した、器具取り付け部の1つの実施形態を示す。
図45B】ルータの1つの実施形態の側面図を示す。
図46】収縮可能な超音波ブレードを有する図37〜38の外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図47】収縮可能な超音波ブレードを有する図37〜38の外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図48】超音波ブレードを伸長及び収縮させるように構成されたロボット外科システムの器具取り付け部と連結された図37〜38の外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図49】外部トランスデューサを有するロボット外科システムの器具取り付け部に連結された図37〜38の外科用器具の遠位部分の代替的な1つの実施形態を示す。
図50図49に示されるような図37〜38の外科用器具の遠位部分の更なる図を示す。
図51】クランプパッドを有するジョーアセンブリの1つの実施形態を示す。
図52】U字状ジョー部材を有するジョーアセンブリを有する外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図53】U字状ジョー部材を有するジョーアセンブリを有する外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図54】U字状ジョー部材を有するジョーアセンブリを有する外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図55】U字状ジョー部材を有するジョーアセンブリを有する外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
図56】U字状ジョー部材を有するジョーアセンブリを有する外科用器具の遠位部分の1つの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書に述べられる異なる実施形態は、遠位に配置された関節運動可能なジョーアセンブリを含む外科用器具に関するものである。ジョーアセンブリは、シャフトの関節運動に代えるか又はこれに加えて用いることができる。例えば、ジョーアセンブリを使用して、組織を把持し、これを超音波ブレード、RF電極、又は組織を治療するための他の構成要素に向かって動かすことができる。
【0008】
1つの例示的な実施形態によれば、外科用器具は、超音波ブレードが遠位方向に延びるエンドエフェクタを含みうる。ジョーアセンブリは、関節運動可能であってもよく、少なくとも2つの軸を中心として旋回することができる。第1の軸、すなわち手首旋回軸は、器具シャフトの長手方向軸に対してほぼ垂直であってもよい。ジョーアセンブリは、ジョーアセンブリが超音波ブレードとほぼ平行となる第1の位置からジョーアセンブリが超音波ブレードとほぼ平行とならない第2の位置へと手首旋回軸を中心として旋回することができる。更に、ジョーアセンブリは、第2の軸、すなわちジョー旋回軸を中心として旋回可能な第1及び第2のジョー部材を有することができる。ジョー旋回軸は、手首旋回軸に対してほぼ垂直であってもよい。特定の実施形態では、ジョーアセンブリが手首旋回軸を中心として旋回する際にジョー旋回軸自体が旋回することができる。第1及び第2のジョー部材は、「開き」、かつ「閉じる」ことができるように、ジョー旋回軸を中心として互いに対して旋回することができる。更に、特定の実施形態では、第1及び第2のジョー部材は、第1及び第2のジョー部材の方向が変化することができるようにジョー旋回軸を中心として一緒に旋回可能であってもよい。
【0009】
異なる実施形態において、ジョーアセンブリは、ジョーアセンブリからロボット外科システムの手動ハンドル及び/又は器具取り付け部にまで近位方向に延びる一連のライン及び/又はケーブルによって制御される。第1及び第2のラインは、手首旋回軸を中心としたジョーアセンブリの旋回運動を制御することができる。第1のラインは、手首旋回軸からオフセットした位置においてジョーアセンブリと連結することができる。第2のラインは、手首旋回軸からオフセットした、前記第1の位置とほぼ反対側の第2の位置においてジョーアセンブリと連結することができる。第1及び第2のラインの差動並進運動により、手首旋回軸を中心としたジョーアセンブリの旋回運動が生じうる。例えば、一方のラインの近位方向への並進運動により、ジョーアセンブリは、シャフトの長手方向軸から離れ、近位方向に並進運動するラインに近づく方向に旋回することができる。特定の実施形態では、ジョーアセンブリは、手首旋回軸を中心として配置されたプーリを有することができる。第1及び第2のラインは、プーリの周囲に巻きつけられた1本のラインの第1及び第2の端部であってもよい。
【0010】
第1及び第2のジョー部材も同様に制御することができる。例えば、特定の実施形態では、各ジョー部材は、ジョーアセンブリからシャフトを通ってロボット外科システムの手動ハンドル及び/又は器具取り付け部にまで近位方向に延びる2本の制御ラインに連結される。各ジョー部材の制御ラインは、ジョー旋回軸を中心として互いからオフセットしてもよく、これにより、一方の制御ラインの近位方向への並進運動が、ジョー旋回軸を中心として第1の方向にジョーを旋回させ、他方の制御ラインの近位方向への並進運動が、ジョー旋回軸を中心として第1の方向と反対の第2の方向にジョーを旋回させる。特定の実施形態では、第1及び第2のジョー部材はジョー旋回軸を中心として配置されたプーリを有し、各ジョー部材の第1及び第2の制御ラインは、それぞれのプーリの周囲に巻きつけられた1本の制御ラインの両端である。特定の実施形態では、ジョー部材は別々に制御可能である。例えば、ジョー部材同士は、ジョー旋回軸を中心として開閉することができ、更にジョー旋回軸を中心として一緒に旋回することができる。
【0011】
超音波及び/又は電気外科的要素を含むエンドエフェクタを有する手動及びロボット外科用器具の例示的な実行形態を示す実施形態を含む、複数の実施形態を以下に詳細に参照する。可能な場合、同様又は類似の参照符合を各図において使用する場合があり、これらの参照符合は同様又は類似の機能を示しうる。各図は、開示される外科用器具及び/又は使用方法の例示的実施形態を、あくまで例示のみを目的として示すものである。当業者であれば、以下の説明より、本明細書に示される構造及び方法の代替的な例示的実施形態を、本明細書に述べられる原理から逸脱することなく用いうる点は、直ちに理解されるところであろう。
【0012】
図1は、超音波外科用器具10の1つの実施形態の右側面図である。図に示される実施形態では、超音波外科用器具10は、内視鏡手術又は従来の開放性外科手術を含む様々な外科手術において使用することができる。1つの例示的な実施形態では、超音波外科用器具10は、ハンドルアセンブリ12、長尺状シャフトアセンブリ14、及び超音波トランスデューサ16を有する。ハンドルアセンブリ12は、トリガアセンブリ24、遠位回転アセンブリ13、及びスイッチアセンブリ28を備える。長尺状シャフトアセンブリ14はエンドエフェクタアセンブリ26を備え、このエンドエフェクタアセンブリ26は、組織を切断するか、又は血管及び/又は組織を相互に把持、切断、及び凝固するための要素と、エンドエフェクタアセンブリ26を作動するための作動要素とから構成されている。ハンドルアセンブリ12は、超音波トランスデューサ16を近位端に受容するように構成されている。超音波トランスデューサ16は、長尺状シャフトアセンブリ14及びエンドエフェクタアセンブリ26の部分に機械的に係合されている。超音波トランスデューサ16は、ケーブル22を介して発生器20に電気的に接続されている。大部分の図は、腹腔鏡外科的処置に関連して使用される複数のエンドエフェクタアセンブリ26を示しているが、より従来的な開放性外科的処置及び他の実施形態において超音波外科用器具10を用いることができ、これを内視鏡手術で使用されるように構成することができる。本明細書における目的では、超音波外科用器具10は内視鏡器具に関して説明されるが、開腹型及び/又は腹腔鏡型の超音波外科用器具10も、本明細書に述べられるものと同じか又は同様の動作要素及び機構を有しうるものと考えられる。
【0013】
異なる実施形態では、発生器20は、モジュール及び/又はブロックなど、複数の機能的要素を有する。異なる種類の外科用装置を駆動するために異なる機能的要素又はモジュールを構成することができる。例えば、超音波発生器モジュール21は、超音波外科用器具10など、超音波装置を駆動することができる。いくつかの例示的な実施形態では、発生器20は、電気外科用装置を駆動するための電気外科/RF発生器モジュール23(又は超音波外科用器具10の電気外科的実施形態)を更に有する。図1に示される例示的な実施形態では、発生器20は、発生器20と統合された制御システム25、及びケーブル27を介して発生器と接続されたフットスイッチ29とを含む。発生器20は、器具10のような外科用器具を作動するトリガ機構を備えてもよい。トリガ機構は、電源スイッチ(図示せず)及びフットスイッチ29を含みうる。発生器20は、フットスイッチ29によって作動されると、エネルギーを提供して外科用器具10の音響アセンブリを駆動し、エンドエフェクタ18を予め定められた偏位レベルにて駆動することができる。発生器20は音響アセンブリの任意の適当な共振周波数にて音響アセンブリを駆動若しくは励起し、かつ/又は治療レベル/治療レベル未満の電磁/RFエネルギーを誘導する。
【0014】
1つの実施形態では、電気外科的/RF発生器モジュール23は、高周波(RF)エネルギーを用いてバイポーラ電気外科手術を行うのに充分な電力を供給することができる電気外科ユニット(ESU)として実施することもできる。1つの実施形態では、ESUは、ジョージア州マリエッタ所在のERBE USA社より市販されるバイポーラERBE ICC 350であってもよい。バイポーラ電気外科手術用途では、上記に述べたように活性電極及び戻り電極を有する外科用器具を使用することができ、その場合、電流が組織を通って活性電極から戻り電極に流れることができるように、活性電極及び戻り電極を、処置を行う組織と接するか、又は隣接して配置することができる。したがって、電気外科的/RFモジュール23発生器は、組織Tを処置するのに充分な電気エネルギーを組織に印加する(例えば、焼灼)ことにより、治療目的に合うように構成することができる。例えば、特定の実施形態では、活性及び/又は戻り電極を、本明細書に述べられるジョーアセンブリ上に配置することができる。
【0015】
1つの実施形態では、電気外科的/RF発生器モジュール23は、組織インピーダンス測定モジュールを実施するために、治療レベル未満のRF信号を供給するように構成されてもよい。1つの実施形態では、電気外科的/RF発生器モジュール23は、以下により詳細に述べられるバイポーラ高周波発生器を有する。1つの実施形態では、電気外科的/RF発生器モジュール12は、組織Tの電気的インピーダンスZを監視し、エンドエフェクタアセンブリ26のクランプ部材上に設けられた戻り電極により、組織Tに基づいて時間及び電力レベルの特性を制御するよう構成することができる。したがって、電気外科的/RF発生器モジュール23は、組織Tのインピーダンス又は他の電気的特性を測定するための治療レベル未満の目的に合わせて構成することができる。組織Tのインピーダンス又は他の電気的特性を測定するための技術及び回路構成については、本願と同一譲受人に譲渡された、発明の名称が「超音波外科用器具用の電気外科的発生器(Electrosugical Generator for Ultrasonic Surgical Instrument)」である米国特許出願公開第2011/0015631号においてより詳細に検討されており、当該出願の開示内容をその全体にわたって本明細書に援用するものである。
【0016】
いずれも参照により本明細書に援用するところの以下の米国特許の1つ以上に開示されるように、好適な超音波発生器モジュール21は、オハイオ州シンシナティ所在のEthicon Endo−Surgery社より販売されるGEN300と同様の要領で機能的に動作するように構成することができる。すなわち、米国特許第6,480,796号(Method for Improving the Start Up of an Ultrasonic System Under Zero Load Conditions)、米国特許第6,537,291号(Method for Detecting Blade Breakage Using Rate and/or Impedance Information)、米国特許第6,662,127号(Method for Detecting Presence of a Blade in an Ultrasonic System)、米国特許第6,977,495号(Detection Circuitry for Surgical Handpiece System)、米国特許第7,077,853号(Method for Calculating Transducer Capacitance to Determine Transducer Temperature)、米国特許第7,179,271号(Method for Driving an Ultrasonic System to Improve Acquisition of Blade Resonance Frequency at Startup)、及び米国特許第7,273,483号(Apparatus and Method for Alerting Generator Function in an Ultrasonic Surgical System)。
【0017】
様々な実施形態では、発生器20は、複数のモードで動作するように構成しうる点は認識されるであろう。1つのモードでは、発生器20は、超音波発生器モジュール21と電気外科的/RF発生器モジュール23とを独立して動作させることができるように構成することができる。
【0018】
例えば、超音波発生器モジュール21を作動させて超音波エネルギーをエンドエフェクタアセンブリ26に印加し、続いて治療レベル又は治療レベル未満のRFエネルギーを電気外科的/RF発生器モジュール23によりエンドエフェクタアセンブリ26に印加することができる。上記に述べたように、治療レベル未満の電気外科的/RFエネルギーを、エンドエフェクタアセンブリ26のクランプ要素間にクランプ締めされた組織に印加することによって組織のインピーダンスを測定して超音波発生器モジュール21の作動を制御するか又は作動を変更することができる。治療レベル未満のエネルギーの印加からの組織インピーダンスのフィードバックを利用して、電気外科的/RF発生器モジュール23を治療レベルで作動させることによって、エンドエフェクタアセンブリ26のクランプ要素間にクランプ締めされた組織(例えば、血管)を封止することもできる。
【0019】
別の実施形態では、超音波発生器モジュール21と電気外科的/RF発生器モジュール23とを同時に作動させることができる。1つの例では、超音波発生器モジュール21を、治療レベル未満のRFエネルギーレベルと同時に始動させることにより、エンドエフェクタアセンブリ26の超音波ブレードがエンドエフェクタアセンブリ26のクランプ要素間にクランプ締めされた組織(又は血管)を切断して凝固させる間に組織のインピーダンスが同時に測定される。このようなフィードバックを利用して、例えば、超音波発生器モジュール21の駆動出力を調整することができる。別の例では、超音波発生器モジュール21を、電気外科的/RF発生器モジュール23と同時に駆動することによって、エンドエフェクタアセンブリ26の超音波ブレード部分を使用して損傷した組織を切断すると同時に電気外科的/RFエネルギーをエンドエフェクタクランプアセンブリ26の電極部に印加して組織(又は血管)を封止することができる。
【0020】
発生器20がトリガ機構によって作動される場合、発生器20によって電気エネルギーが音響アセンブリのトランスデューサ積層体又はアセンブリに連続的に印加される。別の実施形態では、電気エネルギーは、発生器20によって断続的に(例えば、パルス状)印加される。発生器20の制御システム内の位相固定ループによって、音響アセンブリからのフィードバックを監視することができる。位相固定ループは、発生器20によって送られる電気エネルギーの周波数を、音響アセンブリの振動の選択された縦方向モードの共振周波数と一致させるように調節する。更に、制御システム25内の第2のフィードバックループが、音響アセンブリに供給される電流を予め選択された一定レベルに維持することにより、音響アセンブリのエンドエフェクタ18においてほぼ一定の偏位が実現される。更に別の実施形態では、制御システム25内の第3のフィードバックループが、エンドエフェクタアセンブリ26内に配置された電極間のインピーダンスを監視する。図1〜9は手動操作される超音波外科用器具を示したものであるが、超音波外科用器具は、例えば、本明細書に述べられるようなロボット用途、及び手動用途とロボット用途との組み合わせにおいても使用可能である点は認識されるであろう。
【0021】
超音波作動モードでは、音響アセンブリに供給される電気信号によって、エンドエフェクタ18の遠位端を、例えば約20kHz〜250kHzの範囲で縦方向に振動させることができる。異なる実施形態によれば、ブレード22は、約54kHz〜56kHzの範囲、例えば、約55.5kHzで振動することができる。他の実施形態では、ブレード22は、例えば、約31kHz〜約80kHzなどの他の周波数で振動することができる。ブレードにおける振動の偏位は、例えば、発生器20によって音響アセンブリのトランスデューサアセンブリに印加される電気信号の振幅を制御することにより制御することができる。上記に述べたように、発生器20のトリガ機構は、電気エネルギーが音響アセンブリに連続的又は断続的に供給されるように使用者が発生器20を作動することを可能とする。発生器20は、電気外科ユニット又は従来の電気コンセントへの差し込み用の電力線を更に有している。また、バッテリなどの直流(DC)電源によって発生器20に電力供給することも考えられる。発生器20は、Ethicon Endo−Surgery社より販売されるモデル番号GEN04及び/又はモデル番号GEN11などの任意の適当な発生器を含みうる。
【0022】
図2は、ハンドルアセンブリ12、遠位回転アセンブリ13、長尺状シャフトアセンブリ14、及びエンドエフェクタアセンブリ26を示す、超音波外科用器具10の1つの例示的な実施形態の左斜視図である。図に示される実施形態では、長尺状シャフトアセンブリ14は、エンドエフェクタアセンブリ26と機械的に係合する寸法を有する遠位端52と、ハンドルアセンブリ12及び遠位回転アセンブリ13と機械的に係合する近位端50とを有している。長尺状シャフトアセンブリ14の近位端50は、ハンドルアセンブリ12及び遠位回転アセンブリ13内に受容されている。長尺状シャフトアセンブリ14、ハンドルアセンブリ12、及び遠位回転アセンブリ13間の連結に関する更なる詳細は、図5及び7の説明で与えられる。
【0023】
図に示される実施形態では、トリガアセンブリ24は、固定ハンドル34とともに作動するトリガ32を有している。固定ハンドル34及びトリガ32は、使用者と快適に相互作用するように人間工学的に形成され、適合されている。固定ハンドル34は、ハンドルアセンブリ12と一体的に関連付けられている。トリガ32は、超音波外科用器具10の操作に関して以下に詳述されるように、固定ハンドル34に対して旋回するように動かすことができる。トリガ32は、使用者がトリガ32に対して絞る力を加えると、固定ハンドル34に近づく方向33Aに旋回するように動くことができる。バネ要素98(図5)は、使用者がトリガ32に対して絞る力を開放すると、トリガ32を方向33Bに旋回するように動かす。
【0024】
1つの例示的な実施形態では、トリガ32は長尺状トリガフック36を備え、長尺状トリガフック36は、長尺状トリガフック36とトリガ32との間に開口部38を画定する。開口部38は、使用者の1乃至複数の指をそこを通して受容するのに適した大きさとなっている。トリガ32は、トリガ32の基材を覆って成型された弾性部分32aを有してもよい。このようなオーバーモールド弾性部分32aを形成することで、外向きの方向33Bにトリガ32を制御するためのより快適な接触面が与えられる。1つの例示的な実施形態では、オーバーモールド弾性部分32aは、長尺状トリガフック36の一部を覆うように設けることができる。長尺状トリガフック32の近位面は、使用者が指を開口部38の内側及び外側に容易に滑り動かせるように被覆されないままとするか、又は非弾性基質で被覆される。別の実施形態では、トリガの形状は、使用者の1本乃至複数の指をそこを通して受容するのに適した大きさの開口部を画定する、完全に閉じたループを形成する。完全に閉じたループトリガは、トリガ基材を覆って成型される弾性部分を備えてもよい。
【0025】
1つの例示的な実施形態では、固定ハンドル34は、近位接触面40、及びグリップアンカー又はサドル面42を備える。サドル面42は、親指及び人差し指が手の上で合わさる蹼(みずかき)の上に載る。近位接触面40は、リング又は開口を有さない通常のピストルグリップにおいて手のひらを受容するピストルグリップ輪郭を有する。近位接触面40のプロファイル曲線は、手のひらが収まるか又は手のひらを受容するような輪郭とすることができる。安定化尾部44は、ハンドルアセンブリ12のより近位の部分に向かって配置される。安定化尾部44は、ハンドルアセンブリ12を安定させ、ハンドルアセンブリ12をより制御可能にするために、親指と人差し指との間に配置される手の最も上の蹼(みずかき)部分と接触することができる。
【0026】
1つの例示的な実施形態では、スイッチアセンブリ28は、トグルスイッチ30を備えることができる。トグルスイッチ30は、同時起動の可能性を排除するために、ハンドルアセンブリ12の内側に配置される中心旋回軸304を有する単一構成要素として実践されうる。1つの例示的な実施形態では、トグルスイッチ30は、最小電力レベル(例えば、MIN)と最大電力レベル(例えば、MAX)との間の超音波トランスデューサ16の電源設定を設定するための第1の突起ノブ30a及び第2の突起ノブ30bを備える。別の実施形態では、ロッカースイッチは、標準設定と特別設定との間を回転することができる。特別設定では、1つ又はそれ以上の特別プログラムを装置によって実行することができる。トグルスイッチ30は、第1の突起ノブ30a及び第2の突起ノブ30bが作動する際、中心旋回軸を中心に回転する。1つ又はそれ以上の突起ノブ30a、30bは、1つ又はそれ以上のアームに連結され、それは、小アークを通って移動し、電気接触に、第1又は第2の突起ノブ30a、30bの起動により超音波トランスデューサ16を電気的に通電させるか、又は電力を切るように電気回路を開閉させる。トグルスイッチ30は、超音波トランスデューサ20の起動を制御するために発生器16に連結される。トグルスイッチ30は、超音波トランスデューサ16を起動し、超音波トランスデューサ16に対して1つ又はそれ以上の電源設定を設定するための1つ又はそれ以上の電源設定スイッチを備える。トグルスイッチ30を起動するために必要な力は、サドル点42に実質的に向かうため、トグルスイッチ30が起動される際、器具が手の中で回転しようとする傾向が防止される。
【0027】
1つの例示的な実施形態では、第1及び第2の突起ノブ30a、30bは、ハンドルアセンブリ12の遠位端上に配置され、それにより、それらは、ハンドグリップの最小の再配置を伴うか、又は実質的に再配置を伴わずに電力を起動するために使用者によって容易にアクセス可能であり得、トグルスイッチ30を作動させている間に、制御を維持し、注意を手術部位(例えば、腹腔鏡手術におけるモニタ)に集中させることを好適にする。突起ノブ30a、30bは、様々な指の長さによってより容易にアクセス可能となり、扱い難い位置、又は短い指のために起動へアクセスのより高い自由度を可能にするために、ある程度、ハンドルアセンブリ12の側面を包み込むように構成されうる。
【0028】
図に示される実施形態では、第1の突起ノブ30aは、使用者が第1の突起ノブ30aと第2の突起ノブ30bを区別することを可能にするために、示された実施形態では、複数の接触要素30c、例えば、質感がある突起又は「隆起」を備える。ハンドルアセンブリ12には、様々な人間工学的特徴を組み込むことができることが、当業者には理解されよう。そのような人間工学的特徴は、その全容を参照により本明細書に援用するところの米国特許出願公開公報第2009/0105750号、発明の名称「Ergonomic Surgical Instruments」に述べられている。
【0029】
1つの例示的な実施形態では、トグルスイッチ30は、使用者の手によって操作されうる。使用者は、不注意又は意図的でない起動を常に回避しつつ、任意の時点で第1及び第2の突起ノブ30a、30bに容易にアクセスすることができる。トグルスイッチ30は、超音波アセンブリ16及び/又は超音波アセンブリ16への電力を制御するために指で容易に操作されうる。例えば、人差し指を使用して、第1の接触部分30aを起動し、超音波アセンブリ16をオンにして、最大(MAX)電力レベルにすることができる。人差し指を使用して、第2の接触部分30bを起動し、超音波アセンブリ16をオンにして、最小(MIN)電力レベルにすることができる。別の実施形態では、ロッカースイッチが、器具10を標準設定と特別設定との間で回転させうる。特別設定では、1つ又はそれ以上の特別プログラムを、器具10によって実行することができる。トグルスイッチ30は、使用者が第1又は第2の突起ノブ30a、30bを見なくても操作されうる。例えば、第1の突起ノブ30a又は第2の突起ノブ30bは、これらを見ずに第1と第2の突起ノブ30a、30bを触覚的に区別するために、粗い質感又は突起を備えることができる。
【0030】
1つの例示的な実施形態では、遠位回転アセンブリ13は、長手方向軸「T」を中心とするいずれの方向に、制限されることなく回転可能である。遠位回転アセンブリ13は、長尺状シャフトアセンブリ14に機械的に係合される。遠位回転アセンブリ13は、ハンドルアセンブリ12の遠位端上に配置される。遠位回転アセンブリ13は、円筒形のハブ46と、ハブ46を覆うように形成される回転ノブ48とを備える。ハブ46は、長尺状シャフトアセンブリ14を機械的に係合する。回転ノブ48は、縦溝彫りのポリマー形成部を含むことができ、長尺状シャフトアセンブリ14を回転させるために、指(例えば、人差し指)によって係合されうる。ハブ46は、回転ノブ48を形成するために、一次構造を覆うように成型される材料を備えることができる。回転ノブ48は、ハブ46を覆うようにオーバーモールドされうる。ハブ46は、遠位端で露出される端部キャップ部分46aを備える。ハブ46の端部キャップ部分46aは、腹腔鏡手術中にトロカールの表面に接触することができる。ハブ46は、端部キャップ部分46aとトロカールとの間に生じうるいかなる摩擦も軽減するために、ポリカーボネートなどの耐久性硬質プラスチックで形成されうる。回転ノブ48は、より正確な回転グリップを提供するために、隆起リブ48aと、リブ48aの間に配置される凹部分48bで形成される「扇形」又は縦溝を備えることができる。1つの例示的な実施形態では、回転ノブ48は、複数の縦溝(例えば、3つ又はそれ以上の縦溝)を備えることができる。他の実施形態では、任意の好適な数の縦溝が使用されうる。回転ノブ48は、硬質プラスチック材料上にオーバーモールドされるより柔らかいポリマー材料で形成されうる。例えば、回転ノブ48は、例えば、GLS社(GLS Corporation)によって作製されるバーサフレックス(登録商標)(Versaflex(登録商標))TPE合金を含む柔軟な弾性可撓性ポリマー材料で形成されうる。このより柔らかいオーバーモールド材料は、より大きなグリップ及び回転ノブ48の動作のより正確な制御を提供することができる。滅菌に対する妥当な耐性を提供し、生体適合性であり、外科用手袋に対する妥当な摩擦抵抗を提供する任意の材料は、回転ノブ48を形成するために使用されうる。
【0031】
1つの例示的な実施形態では、ハンドルアセンブリ12は、第1の部分12aと、第2の部分12bとからなる2つのハウジング部分又は側板から形成される。遠位端から近位端へハンドルアセンブリ12を見る使用者の視点から、第1の部分12aは、右部分と見なされ、第2の部分12bは、左部分と見なされる。第1及び第2の部分12a、12bのそれぞれは、機械的に整列して互いに係合することによりハンドルアセンブリ12を形成するような寸法を有し、ハンドルアセンブリ12の内部動作要素を格納する複数のインターフェース69(図5)を有している。ハンドルアセンブリ12と一体的に関連する固定ハンドル34は、ハンドルアセンブリ12の第1及び第2の部分12a及び12bを組み立てることで形になる。複数の追加的な境界面(図示せず)は、例えば、エネルギー方向/偏向点の超音波溶接の目的で、ハンドルアセンブリ12の第1及び第2の部分12a及び12bの周囲の様々な点で配置されうる。第1及び第2の部分12a及び12b(並びに以下に説明される他の構成要素)は、当該技術分野において既知の任意の方法で、一体に組み立てられうる。例えば、整合ピン、スナップ様境界面、舌及び溝境界面、係止タブ、接着ポートは、すべて、アセンブリの目的で、単独か、又は組み合わせてかのいずれかで利用されうる。
【0032】
1つの例示的な実施形態では、長尺状シャフトアセンブリ14は、ハンドルアセンブリ12及び遠位回転アセンブリ13を機械的に係合するように適合される近位端50と、エンドエフェクタアセンブリ26を機械的に係合するように適合される遠位端52とを備える。長尺状シャフトアセンブリ14は、外側管状シース56と、外側管状シース56内に配置される往復管状作動部材58とを備える。管状往復管状作動部材58の近位端は、トリガ32の作動及び/又は開放に応答して方向60A又は60Bのいずれかの方向に移動するように、ハンドルアセンブリ12のトリガ32に機械的に係合される。回転可能に移動可能なトリガ32は、長手方向軸「T」に沿って往復運動を生成しうる。そのような運動は、例えば、エンドエフェクタアセンブリ26のジョー又はクランピング機構の作動に使用することができる。一連の連結部は、トリガ32の旋回回転を、作動機構に連結するヨークの軸方向運動に変換し、それは、エンドエフェクタアセンブリ26のクランピング機構のジョーの開閉を制御する。管状往復管状作動部材58の遠位端は、エンドエフェクタアセンブリ26に機械的に係合される。示された実施形態では、管状往復管状作動部材58の遠位端は、トリガ32の作動及び/又は開放に応答してクランプアームアセンブリ64を開閉するために、旋回点70を中心に旋回可能であるクランプアームアセンブリ64に機械的に係合される。例えば、示された実施形態では、クランプアームアセンブリ64は、トリガ32が方向33Aに絞られる際、旋回点70を中心に、開位置から閉位置に方向62Aで移動可能である。クランプアームアセンブリ64は、トリガ32が方向33Bへ開放されるか、又は外向きに接触されるとき、旋回点70を中心に、方向62Bの閉位置から開位置に移動可能である。
【0033】
1つの例示的な実施形態では、エンドエフェクタアセンブリ26は、長尺状シャフトアセンブリ14の遠位端52に取り付けられ、クランプアームアセンブリ64と、ブレード66とを含む。エンドエフェクタアセンブリ26のクランピング機構のジョーは、クランプアームアセンブリ64及びブレード66によって形成される。ブレード66は、超音波作動式であり、超音波トランスデューサ16に音響的に連結される。ハンドルアセンブリ12上のトリガ32は、クランプアームアセンブリ64の動作に影響するように機械的に合わせて連携する駆動アセンブリに最終的に接続される。トリガ32を方向33Aへ絞ることは、クランプアームアセンブリ64を開位置から方向62Aに移動させ、クランプアームアセンブリ64及びブレード66は、互いに対して離間した関係において、クランプしたか、又は閉位置へ配置され、クランプアームアセンブリ64及びブレード66は、その間の組織を握るように連携する。クランプアームアセンブリ64は、ブレード66とクランプアーム64との間の組織に係合するクランプパッド69を備えることができる。トリガ32を方向33Bに開放することは、クランプアームアセンブリ64を、閉じた関係から開位置へ方向62Bに移動させ、クランプアームアセンブリ64及びブレード66は、互いに対して離間した関係に配置される。
【0034】
ハンドルアセンブリ12の近位部分は、超音波アセンブリ16の遠位端を受容するための近位開口部68を備える。超音波アセンブリ16は、近位開口部68に挿入され、長尺状シャフトアセンブリ14に機械的に係合される。
【0035】
1つの例示的な実施形態では、トリガ32の長尺状トリガフック36部分は、より短い全長及び回転運動を有する、より長いトリガレバーを提供する。長尺状トリガフック36のより長いレバーは、使用者が開口38内で複数の指を使用して、長尺状トリガフック36を操作し、トリガ32を方向33Bで旋回させて、エンドエフェクタアセンブリ26のジョーを開くことを可能にする。例えば、使用者は、3本の指を(例えば、中指、薬指、及び小指)開口38に挿入することができる。複数の指は、外科医が、エンドエフェクタアセンブリ26を始動させるために、トリガ32及び長尺状トリガフック326上により高いインプット力を働かせることを可能にする。より短い全長及び回転運動は、トリガ32を方向33Aに閉じるか、若しくは絞るときか、又はトリガ32を方向33Bの外向きの開口運動に開くとき、より快適なグリップをもたらし、指を更に外向きに伸展させる必要が少なくなる。これは、方向33Bへのトリガ32の外向きの開口運動に関連する手の疲労及び緊張を実質的に少なくする。トリガの外向きの開口運動は、バネ要素98(図5)によって、バネの補助を受け、疲労を軽減することを助ける。開くバネの力は、開くことの容易性を支援するために十分であるが、切開を広げる間の組織間緊張の触覚的な反応に悪影響を与えるほど強くない。
【0036】
例えば、外科的処置中、いずれかの人差し指を使用して、長尺状のシャフトアセンブリ14の回転を制御し、エンドエフェクタアセンブリ26のジョーを好適な向きで配置することができる。中指及び/又は他の下の指を使用して、トリガ32を絞り、ジョー内の組織をつかむことができる。ジョーが所望の位置に配置され、ジョーが組織に対してクランプされると、人差し指を使用して、トグルスイッチ30を始動し、超音波トランスデューサ16の電力レベルを調整し、組織を治療することができる。組織が治療されると、次いで、使用者は、中指及び/又は下の指で長尺状トリガフック36を遠位方向に外向きに押すことによってトリガ32を開放し、エンドエフェクタアセンブリ26のジョーを開くことができる。この基本的方法は、使用者がハンドルアセンブリ12のグリップを調整することなく行うことができる。
【0037】
図3〜4は、エンドエフェクタアセンブリ26に対する長尺状シャフトアセンブリ14の接続を示す。前述の通り、示された実施形態では、エンドエフェクタアセンブリ26は、クランピング機構のジョーを形成する、クランプアームアセンブリ64と、ブレード66とを備える。ブレード66は、超音波トランスデューサ16に音響的に連結される超音波作動式のブレードであってもよい。トリガ32は、駆動アセンブリに機械的に接続される。合わせて、トリガ32及び駆動アセンブリは、クランプアームアセンブリ64を開位置に方向62Aで移動させるように機械的に連携し、クランプアームアセンブリ64及びブレード66は、互いに対して離間した関係において、クランプした、又は閉位置へ方向62Bで配置され、クランプアームアセンブリ64及びブレード66は、連携してその間の組織をつかむ。クランプアームアセンブリ64は、ブレード66とクランプアーム64との間の組織に係合するクランプパッド69を備えることができる。管状往復管状作動部材58の遠位端は、エンドエフェクタアセンブリ26に機械的に係合される。示された実施形態では、管状往復管状作動部材58の遠位端は、トリガ32の始動及び/又は開放に応答してクランプアームアセンブリ64を開閉するために、旋回点70を中心に旋回可能であるクランプアームアセンブリ64に機械的に係合される。例えば、示された実施形態では、クランプアームアセンブリ64は、トリガ32が方向33Aに絞られる際、旋回点70を中心に、開位置から閉位置に方向62Bに移動可能である。クランプアームアセンブリ64は、トリガ32が方向33Bに開放されるか、又は外向きに接触されるとき、旋回点70を中心に、閉位置から開位置に方向62Aに移動可能である。
【0038】
先述のように、クランプアームアセンブリ64は、電気外科的/RF発生器モジュール23に電気的に連結された電極を含み得て、治療レベル及び/又は治療レベル未満のエネルギーを受容し、ここで、電気外科的/RFエネルギーは、ブレード66に適用されている超音波エネルギーと同時又は非同時に電極に適用されうる。そのようなエネルギーの起動は、任意の好適な組み合わせで適用し、アルゴリズム又は他の制御ロジックと連携して所望する組織効果を達成することができる。
【0039】
図5は、図2に示される超音波外科用器具10の分解図である。図に示された実施形態では、分解図は、ハンドルアセンブリ12の内部要素、ハンドルアセンブリ12、遠位回転アセンブリ13、スイッチアセンブリ28、及び長尺状のシャフトアセンブリ14を示す。示された実施形態では、第1及び第2の部分12a、12bは、ハンドルアセンブリ12を形成するために嵌合される。第1及び第2の部分12a、12bは、それぞれ、ハンドルアセンブリ12を形成するために互いに機械的に整合し、係合し、超音波外科用器具10の内部動作要素を包囲する大きさである複数の境界面69を備える。回転ノブ48は、円方向54に360度まで回転しうるよう、外側管状シース56に機械的に係合する。外側管状シース56は、往復管状作動部材58を覆うように配置され、複数の連結要素72を介してハンドルアセンブリ12内に機械的に係合され、保持される。連結要素72は、O−リング72aと、管カラーキャップ72bと、遠位ワッシャ72cと、近位ワッシャ72dと、ねじ山管カラー72eとを備えることができる。往復管状作動部材58は、ハンドルアセンブリ12の第1と第2の部分12a、12bとの間に保持される往復ヨーク84内に配置される。ヨーク84は、往復ヨークアセンブリ88の一部である。一連の連結部は、長尺状トリガフック32の旋回回転を、往復ヨーク84の軸方向運動に変換し、それは、超音波外科用器具10の遠位端にあるエンドエフェクタアセンブリ26のクランピング機構のジョーの開閉を制御する。1つの例示的な実施形態では、4リンク設計は、例えば、比較的短い回転長さにおける機械利得を提供する。
【0040】
1つの例示的な実施形態では、超音波伝達導波管78は、往復管状作動部材58の内側に配置される。超音波伝達導波管78の遠位端52は、ブレード66に音響的に連結され(例えば、直接的又は間接的に機械的に連結され)、超音波伝達導波管78の近位端50は、ハンドルアセンブリ12内に受容される。超音波伝達導波管78の近位端50は、以下で詳述されるように、超音波トランスデューサ16の遠位端に音響的に連結するように適合される。超音波伝達導波管78は、保護シース80及びシリコーンリングなどの複数の単離要素82によって、長尺状シャフトアセンブリ14の他の要素から単離される。外側管状シース56、往復管状作動部材58、及び超音波伝達導波管78は、ピン74によって機械的に係合される。スイッチアセンブリ28は、トグルスイッチ30と、第1又は第2の突起ノブ30a、30bの始動により超音波トランスデューサ16を通電させる電気要素86a、bとを備える。
【0041】
1つの例示的な実施形態では、外側管状シース56は、使用者又は患者を、超音波伝達導波管78の超音波振動から単離する。外側管状シース56は、一般的に、ハブ76を含む。外側管状シース56は、ハンドルアセンブリ12の遠位端上に螺入される。超音波伝達導波管78は、外側管状シース56の開口部を通って延在し、単離要素82は、超音波伝達導波管24を外側管状シース56から隔離する。外側管状シース56は、ピン74で導波管78に取り付けられうる。導波管78においてピン74を受容するための穴は、名目上は変位節で生じうる。導波管78は、スタッドによってハンドピースハンドルアセンブリ12内にねじ込む又は留めることができる。ハブ76上の平坦部分は、アセンブリが必要なレベルまで捻られることを可能にすることができる。1つの例示的な実施形態では、外側管状シース56のハブ76部分は、好ましくは、プラスチックから構築され、外側管状シース56の管状細長部分は、ステンレス鋼から作られる。あるいは、超音波伝達導波管78は、それを外側の接触から隔離するために、それを取り囲むポリマー材料を含んでもよい。
【0042】
1つの例示的な実施形態では、超音波伝達導波管78の遠位端は、好ましくは腹で、又はその付近の内部での螺入接続によって、ブレード66の近位端に連結されうる。ブレード66は、溶接継手などの任意の好適な手段によって、超音波伝達導波管78に取り付けられうることが想到される。ブレード66は、超音波伝達導波管78から取り外し可能であってもよいが、単一要素エンドエフェクタ(例えば、ブレード66)及び超音波伝達導波管78は、単一の一体型ピースとして形成されうることも想到される。
【0043】
1つの例示的な実施形態では、トリガ32は連結機構に連結され、方向33A及び33Bのトリガ32の回転運動を、方向60A及び60Bに対応する往復管状作動部材58の直線運動に変換する。トリガ32は、第1のヨークピン92aを受容するように内部に形成された開口部を有する、第1のセットのフランジ98を備える。第1のヨークピン92aはまた、ヨーク84の遠位端に形成された開口部のセットを通るように配置される。トリガ32はまた、リンク92の第1の端部92aを受容するための、第2のセットのフランジ96も備える。トリガピン90は、リンク92及び第2のセットのフランジ96に形成される開口部に受容される。トリガピン90は、リンク92及び第2のセットのフランジ96に形成される開口部において受容され、トリガ32に対するトリガ旋回点を形成するために、ハンドルアセンブリ12の第1及び第2の部分12a、12bに連結するように適合される。リンク92の第2の端部92bは、ヨーク84の近位端に形成されるスロット384に受容され、第2のヨークピン94bによってそこに保持される。トリガ32がトリガピン90によって形成される旋回点190を中心に旋回可能に回転する際、ヨークは、矢印60A、Bによって示される方向で、長手方向軸「T」に沿って水平に並進する。
【0044】
図8は、超音波外科用器具10の1つの例示的な実施形態を示す。示された実施形態では、超音波トランスデューサ16の断面図をハンドルアセンブリ12の部分切り取り図内に示す。超音波外科用器具10の1つの例示的な実施形態は、ハンドピースハウジング99を備える超音波トランスデューサ16に連結される超音波信号発生器20と、超音波作動式の単一又は複数の要素エンドエフェクタアセンブリ26とを備える。先述のように、エンドエフェクタアセンブリ26は、超音波作動式のブレード66と、クランプアーム64とを備える。超音波トランスデューサ16は、「ランジュバンスタック」として既知であるが、一般に変換部分100、第1の共振器部分又はエンドベル102、及び第2の共振器部分又はフォアベル104、及び付属構成要素を含む。これらの構成要素の全体の構造は共振器である。超音波トランスデューサ16は、好ましくは、後に詳述されるように、長さが2分の1システム波長の整数(nλ/2であり、「n」は、任意の正の整数、例えば、n=1、2、3...である)である。音響アセンブリ106は、超音波トランスデューサ16と、ノーズコーン108と、速度変成器118と、表面110とを含む。
【0045】
1つの例示的な実施形態では、エンドベル102の遠位端は変換部分100の近位端に接続され、フォアベル104の近位端は変換部分100の遠位端に接続される。フォアベル104及びエンドベル102は、変換部分100の厚さ、エンドベル102及びフォアベル22を作製するのに使用される材料の密度及び弾性率、並びに超音波トランスデューサ16の共振周波数などの多くの変数により決定される長さを有する。フォアベル104は、速度変成器118又は代替のものが増幅を持たないとき、超音波振動の振幅を増幅するようにその近位端からその遠位端に内側に細くなっていてもよい。好適な振動周波数範囲は、約20Hz〜32kHzであり、より適切な振動周波数範囲は約30〜10kHzであってもよい。好適な動作振動周波数は、例えば、およそ55.5kHzであってもよい。
【0046】
1つの例示的な実施形態では、圧電素子112は、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、又は他の圧電セラミック材料などの任意の好適な材料から作ることができる。正極114、負極116、及び圧電素子112のそれぞれは、中心を通って延びる穴を有する。正極114及び負極116は、ワイヤ120及び122にそれぞれ電気的に連結されている。ワイヤ120及び122は、ケーブル22内に封入され、超音波信号発生器20に電気的に接続可能である。
【0047】
音響アセンブリ106の超音波トランスデューサ16は、超音波信号発生器20からの電気信号を機械的エネルギーに変換し、それによって主として、超音波周波数における超音波トランスデューサ16及びエンドエフェクタアセンブリ26のブレード66部分の長手方向の振動運動の音響定在波が得られる。別の実施形態では、超音波トランスデューサの振動運動は異なる方向に作用してもよい。例えば、振動運動は、長尺状シャフトアセンブリ14の先端のより複雑な運動の局所長手方向の構成要素を含むことができる。好適な発生器は、Ethicon Endo−Surgery社(オハイオ州、シンシナティ)から、モデル番号GEN11として入手可能である。音響アセンブリ106が活性化されると、振動運動の定在波が音響アセンブリ106を通して発生する。超音波外科用器具10は、共鳴で操作するように設計され、それにより、所定の振幅の音響定在波パターンが生み出される。音響アセンブリ106に沿う任意の点における振動運動の振幅は、振動運動が測定される音響アセンブリ106に沿う場所に依存する。振動運動定在波における最小又はゼロ交差は、一般的に節(すなわち、運動が最小である)として称され、定在波における局所的最大絶対値又はピークは、一般的に、腹(例えば、局所的運動は最大である)として称される。腹とその最も近い節との間の距離は、波長の4分の1(λ/4)である。
【0048】
ワイヤ120及び122は、超音波信号発生器20から正極114及び負極116に電気信号を伝達する。圧電素子112は、例えば、音響アセンブリ106において音響定在波を生み出すためのフットスイッチなどのアクチュエータ224に応答して、超音波信号発生器20から供給される電気信号によって通電される。電気信号は、圧電素子112中に、繰り返される小変位形態の乱れを起こし、材料中に大きな交互の圧縮及び伸張力をもたらす。繰り返される小変位は、圧電素子112を連続的方式で電圧勾配の軸に沿って伸縮させ、超音波エネルギーの長手方向の波を生成する。超音波エネルギーは、長尺状シャフトアセンブリ14の伝達構成要素又は超音波伝達導波管部分78を介してエンドエフェクタアセンブリ26のブレード66部分へ音響アセンブリ106を通って伝達される。
【0049】
1つの例示的な実施形態では、音響アセンブリ106がエネルギーをエンドエフェクタアセンブリ26のブレード66部分へ供給するために、音響アセンブリ106のすべての構成要素は、ブレード66に音響的に連結しなければならない。超音波トランスデューサ16の遠位端は、スタッド124などの螺入接続によって、表面110において超音波伝達導波管78の近位端に音響的に連結されてもよい。
【0050】
1つの例示的な実施形態では、音響アセンブリ106の構成要素は、好ましくは音響的に調整され、それにより、任意のアセンブリの長さは、2分の1波長の整数(nλ/2)であり、波長λは、音響アセンブリ106の予め選択されたか、又は作動中の長手方向振動駆動周波数fの波長である。音響アセンブリ106は、音響要素の任意の好適な配列を組み込んでもよいことも想到される。
【0051】
1つの例示的な実施形態では、ブレード66は、2分の1システム波長(nλ/2)の整数倍と実質的に等しい長さを有することができる。ブレード66の遠位端は、遠位端の最大縦方向の偏位を提供するために、腹付近に配置されうる。トランスデューサアセンブリが通電されると、ブレード66の遠位端は、例えば、約10〜500マイクロメートルのピークからピークまでの範囲内で、好ましくは、例えば、55kHzの予め定められた振動周波数において、約30〜64マイクロメートルの範囲内で移動するように構成されうる。
【0052】
1つの例示的な実施形態では、ブレード66は、超音波伝達導波管78に連結されうる。ここに示すように、ブレード66及び超音波伝達導波管78は、超音波エネルギーの伝達のために好適な材料からの単一ユニット構成として形成される。こうした材料の例には、Ti6Al4V(アルミニウム及びバナジウムを含むチタンの合金)、アルミニウム、ステンレス鋼、又は他の好適な材料が挙げられる。或いは、ブレード66は超音波伝達導波管78から分離可能(かつ異なる組成のもの)であって、例えば、スタッド、溶接、接着剤、急速接続、又は他の好適な既知の方法によって連結されてもよい。超音波伝達導波管78の長さは、例えば、2分の1波長の整数(nλ/2)に実質的に等しくてもよい。超音波伝達導波管78は、例えば、上述のチタン合金(即ち、Ti6Al4V)若しくは任意の好適なアルミニウム合金、又は他の合金など、超音波エネルギーを効率的に伝播するのに好適な材料から構築された中実コアシャフトから好ましくは作られてもよい。
【0053】
1つの例示的な実施形態では、超音波伝達導波管78は、スタッド124などの螺入接続によって、超音波伝達導波管78の表面110に連結するために、近位端にある長手方向に突起する取り付け支柱を備える。超音波伝達導波管78は、複数の節に配置された複数の安定用のシリコーンリング又は適合する支持体82(図5)を含むことができる。シリコーンリング82は望ましくない振動を減衰させ、外側保護シース80(図5)から超音波エネルギーを隔離することで、ブレード66の遠位端への長手方向の超音波エネルギーの最大効率の流れを保証する。
【0054】
図9は、近位回転アセンブリ128の1つの例示的な実施形態を示す。示された実施形態では、近位回転アセンブリ128は、円筒形のハブ135を覆うように挿入される近位回転ノブ134を備える。近位回転ノブ134は、円筒形のハブ135の近位端上に形成される、対応するスロット130に受容される複数の放射状突起138を備える。近位回転ノブ134は、超音波トランスデューサ16の遠位端を受容するための開口部142を画定する。放射状突起138は、柔らかいポリマー材料で形成され、超音波トランスデューサ16の遠位端が嵌合されたときに摩擦干渉嵌合を生じさせるために、超音波トランスデューサ16の外径に対して小さい直径を画定する。ポリマー放射状突起138は、超音波トランスデューサ16の外部ハウジングをしっかりと把持する「グリッパ」リブを形成するために、開口部142へ半径方向に突出する。したがって、近位回転ノブ134は、超音波トランスデューサ16をしっかりと把持する。
【0055】
円筒形のハブ135の遠位端は、円周縁132と、円周軸受表面140とを備える。円周縁はハウジング12に形成された溝に係合し、円周軸受表面140はハウジング12に係合する。そのため、円筒形のハブ135は、ハウジング12の2つのハウジング部分(図示せず)内に機械的に保持される。円筒形のハブ135の円周縁132は、第1と第2のハウジング部分12a、12bとの間に配置されるか、又は「嵌められ」、溝内の定位置で自由に回転できる。円周軸受表面140は、適切な回転を補助するために、ハウジングの内側部分に対して位置する。そのため、円筒形のハブ135は、ハウジング内の定位置で自由に回転できる。使用者は、ハウジング12内で円筒形のハブ135を回転させるために、近位回転ノブ134上に形成される縦溝136を指又は親指のいずれかと係合させる。
【0056】
1つの例示的な実施形態では、円筒形のハブ135は、ポリカーボネートなどの耐久性プラスチックで形成されうる。1つの例示的な実施形態では、円筒形のハブ135は、シリコン処理をしたポリカーボネート材料で形成されうる。1つの例示的な実施形態では、近位回転ノブ134は、例えば、GLS社(GLS Corporation)によって作製されるVersaflex(登録商標)TPE合金を含む柔軟な弾性可撓性ポリマー材料で形成されうる。近位回転ノブ134は、例えば、エラストマ材料、Santoprene(登録商標)として周知の熱可塑性ゴム、他の熱可塑性加硫物(TPV)、又はエラストマで形成されうる。ただし、実施形態はこの文脈に限定されない。
【0057】
図10は、単一要素エンドエフェクタ278を有する外科用器具210を含む外科用システム200の1つの例示的な実施形態を示す。システム200は、ここに示されるように、エンドエフェクタ278に連結されたトランスデューサアセンブリ216と、エンドエフェクタ278の近位部分の周りに位置決めされたシース256とを含むことができる。トランスデューサアセンブリ216及びエンドエフェクタ278は、前述のトランスデューサアセンブリ16及びエンドエフェクタ18と同様の要領で動作して、ブレード226’を通じて組織に伝達できる超音波エネルギーを生み出すことができる。
【0058】
外科的な巧緻性を向上させるためだけでなく、外科医が直感的な方式で患者に手術できるようにするために、長年にわたって、様々な低侵襲性ロボット(又は「遠隔手術」)システムが開発されてきた。ロボット外科システムは、本明細書で説明するように、例えば超音波器具を含め、多種多様な外科用器具と共に使用することができる。例示的なロボットシステムには、米国、カリフォルニア州サニーベール所在のIntuitive Surgical社により製造されるものが挙げられる。そのようなシステム及び他の製造業者によるロボットシステムが、それぞれ参照によって本明細書に援用するところの米国特許第5,792,135号、発明の名称「向上した巧緻性および感度で低侵襲性手術を行うための関節を有する外科用器具(Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity)」、米国特許第6,231,565号、発明の名称「手術作業を実施するためのロボットアームDLUS(Robotic Arm DLUs For Performing Surgical Tasks)」、米国特許第6,783,524号、発明の名称「超音波焼灼及び切断器械を備えたロボット手術用具(Robotic Surgical Tool With Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument)」、米国特許第6,364,888号、発明の名称「最小侵襲手術機器におけるマスター及びスレーブのアライメント(Alignment of Master and Slave In a Minimally Invasive Surgical Apparatus)」、米国特許第7,524,320号、「ロボット手術用具のための機械式アクチュエータインターフェイスシステム(Mechanical Actuator Interface System For Robotic Surgical Tools)」、米国特許第7,691,098号、発明の名称「プラットフォーム関節手首(WristedPlatform Link Wrist Mechanism)」、米国特許第7,806,891号、発明の名称「最小侵襲遠隔手術におけるマスター/スレーブ関係の再位置決め及び再配向(Repositioning and Reorientation of Master/Slave Relationship in Minimally Invasive Telesurgery)」、及び米国特許第7,824,401号、発明の名称「手関節型単極電気手術エンドエフェクタ(Surgical Tool With Monopolar Electrosurgical End Effectors)」において開示されている。そのようなシステムの多くはしかしながら、組織を効果的に切断及び締結するのに必要な大きさの力を発生させることが、これまではできなかった。
【0059】
図11〜26は、ロボット外科システムの複数の例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態では、開示されたロボット外科システムは、本明細書に説明する超音波又は電気外科用器具を利用することができる。例示のロボット外科システムは本明細書に説明するそれらの器具のみに限定されず、任意の適合する外科用器具を利用しうることが当業者には明らかとなるであろう。本明細書に説明する様々な実施形態を、説明するロボット外科システムと共に使用することができることと同時に、本開示はそのように限定されず、任意の適合するロボット外科システムと共に使用できることが当業者にはさらに明らかとなるであろう。
【0060】
図11〜16は、いくつかの例示的なロボット外科システム及びその構成要素の構造及び動作を示している。図11は、例示的なロボット外科システム1000のブロック図である。システム1000は、少なくとも1台のコントローラ508と、少なくとも1台のアームカート510とを備えている。アームカート510は、ボックス512にて示される、1つ又はそれ以上のロボットマニピュレータ又はアームに機械的に連結されうる。ロボットアーム512のそれぞれは、患者504に対して様々な手術作業を実施するための1つ又はそれ以上の外科用器具514を備え得る。アーム512及び器具514を含めて、アームカート510の動作は、臨床医502によってコントローラ508から指示されうる。いくつかの実施形態では、第2の臨床医502’により操作される第2のコントローラ508’は、第1の臨床医502’と併せて、アームカート510の操作も指示しうる。例えば、それぞれの臨床医502、502’は、カートの異なるアーム512を制御することができ、場合によっては、アームカート510の完全制御は、臨床医502と502’との間を通されうる。いくつかの実施形態では、追加的アームカート(図示せず)を患者504に利用することができる。これらの追加的アームカートは、1つ又はそれ以上のコントローラ508、508’にて制御されてもよい。単一又は複数のアームカート510及びコントローラ508、508’は通信リンク516を介して互いに通信することができ、この通信リンクは、任意の好適な通信プロトコルによる、任意の好適な種類の有線又は無線の、任意の好適な種類の信号(例えば、電気的、光学、赤外線、等)を運ぶ通信リンクとすることができる。システム1000などのロボット外科システムの例示的な実現形態が、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,524,320号に開示されている。したがって、そのような装置の各詳細については、本明細書において、特許権を請求する装置の各種の実施形態を理解するのに必要となり得る範囲を越えて説明しないことにする。
【0061】
図12は、ロボットアームカート520の1つの例示的な実施形態を示す。ロボットアームカート520は、一般的に作業エンベロープ519内の522として指定されている、複数の外科用器具又は器具を始動するよう構成される。マスターコントローラ及びロボットアームカートの構成を用いた各種のロボット外科システム及び方法が、その開示内容の全体を本明細書に参照により援用するところの、発明の名称が「多部品テレプレゼンスシステム及び方法(Multi-Component Telepresence System and Method)」である、米国特許第6,132,368号に開示されている。様々な形態では、ロボットアームカート520は、示された実施形態では3個の外科用器具522を支持する基部524を含む。様々な形態では、外科用器具522は、一般的にセットアップ関節526と呼ばれる手動による関節運動が可能な一連の連結部及びロボットマニピュレータ528によってそれぞれ支持される。ここで、これらの構造は、ロボット連結部の大部分を覆って延びる保護カバーと共に示されている。これらの保護カバーは必須のものではなく、こうした装置を操作するために使用されるサーボ機構が受ける慣性を最小化し、可動部品の容積を限定することで衝突を防止し、カート520の全体の重量を抑制するため、サイズを限定するか又は実施形態によっては完全に省略することができる。カート520は、手術室間でカート520を輸送するのに適した寸法を一般的に有している。カート520は、通常、標準的な手術室のドアを通り、標準的な病院のエレベータに乗せられるように構成されてもよい。様々な形態では、カート520は好ましくは一定の重量を有し、1人の作業者がカート520を手術台に隣接して位置決めすることができるように車輪(又は他の輸送)システムを有する。
【0062】
図13は、ロボットアームカート520のロボットマニピュレータ528の1つの例示的な実施形態を示す。図13に示す例では、ロボットマニピュレータ528は、外科用器具522の運動を規制する連結部530を含んでもよい。その開示内容の全体を本明細書に参照により援用する、発行米国特許第5,817,084号により詳しく述べられるように、異なる実施形態において、連結部530が、平行四辺形の配置において回転関節によって互いに連結された高剛性の連結部材を含むことにより、外科用器具522は空間内の点532を中心として回転する。この平行四辺形の配置により、回転は、時としてピッチ軸と呼ばれる軸534aを中心とした旋回運動に規制される。平行四辺形の連結部を支持する連結部材がセットアップ関節526(図12)に旋回可能に取り付けられることにより、外科用器具522はヨー軸と呼ばれる場合もある軸534bを中心として更に回転する。ピッチ軸534aとヨー軸534bは、外科用器具522のシャフト538に沿って調心されるリモートセンター536にて交差する。外科用器具522は、長手方向の器具軸「LT−LT」に沿った外科用器具522の摺動運動を含む、マニピュレータ540により支持される更なる駆動自由度を有しうる。外科用器具522が器具軸LT−LTに沿ってマニピュレータ540に対して摺動する際(矢印534c)、リモートセンター536はマニピュレータ540の基部542に対して固定されたままである。したがって、マニピュレータ540全体は概して、リモートセンター536を再配置するように移動される。マニピュレータ540の連結部530は、一連のモータ544により駆動される。これらのモータ544は、制御システムのプロセッサからの指令に応答して連結部530を能動的に移動させる。下記に更に詳細に述べるように、外科用器具522を操作するためにモータ544も用いられる。
【0063】
図14は、代替的なセットアップ関節構造を有するロボットアームカート520’の1つの例示的な実施形態を示す。この例示的な実施形態では、外科用器具522は、2つの組織操作器具との間の代替的なマニピュレータ構造528’により支持される。当業者であれば、特許権を主張する装置の異なる実施形態が、その開示内容の全体を本明細書に参照により援用する、米国特許第5,878,193号に述べられるものを含む、様々な代替的なロボット構造を含みうる点を、認識するであろう。更に、ロボットコンポーネントとロボット外科システムのプロセッサとの間のデータ通信については、本明細書では、主として外科用器具522とコントローラとの間の通信に関連して説明されているが、同様の通信はマニピュレータ、セットアップ関節、内視鏡又は他の画像撮影装置などの回路と、コンポーネントの適合性評価、コンポーネントの種類の識別、コンポーネントの較正(オフセットなど)の通信、コンポーネントのロボット外科システムとの連結の確認などのためのロボット外科システムのプロセッサとの間でも行われうる点は理解されるはずである。
【0064】
図15は、図12〜14に示されるロボットアームカート520、520’などのロボットアームカートとともに使用することができるコントローラ518の1つの例示的な実施形態を示す。コントローラ518は、臨床医がステレオディスプレイ521を介して手術を見ながらつかんで空間内で操作するマスターコントローラ(図15において519として一般的に表される)を一般的に有している。外科医用フィードバックメータ515はディスプレイ521を介して観察することができ、外科医用フィードバックメータ515は、切断器具又は動的クランピング部材に加えられている力の大きさの視覚的指示を外科医に与え得る。マスターコントローラ519は一般に手動入力装置を備え、その手動入力装置は好ましくは、多自由度で移動するものであり、また多くの場合、器具を作動させるための(例えば、握持のこぎりの閉鎖、電極への電位の印加などのための)ハンドル又はトリガを更に有している。
【0065】
図16は、ロボット外科システムとの使用に適応した超音波外科用器具522の1つの例示的な実施形態を示す。例えば、外科用器具522は、上述の外科用マニピュレータ528、528’の1つと連結することができる。図16に見ることができるように、外科用器具522は、いくつかの実施形態において関節ジョイント556を備えうる長尺状シャフトアセンブリ554に連結されうる、超音波ブレード550及びクランプアーム552を備える外科用エンドエフェクタ548を備える。図17は、外科用マニピュレータ528、528’の一方に連結することができ、外科用器具522を受容及び制御する器具駆動アセンブリ546の1つの例示的な実施形態を示している。器具駆動アセンブリ546はまた、コントローラ518に動作可能に連結されることができ、臨床医からの器具522を制御する入力を受容する。例えば、クランプアーム552の作動(例えば、開閉)、ジョー551A、551Bの作動(例えば、開閉)、超音波ブレード550の作動、ナイフ555の延長、及びエネルギー供給表面553A、553Bの作動等は、コントローラ518を通して提供される臨床医からの入力に基づいて、器具駆動アセンブリ546を通して制御されることができる。外科用器具522は、558として大まかに示される器具取り付け部によってマニピュレータと動作可能に連結されている。外科用器具522は、器具取り付け部558をマニピュレータと機械的及び電気的に連結するインターフェース560を更に有している。
【0066】
図18は、超音波外科用器具522を含む図17の器具駆動アセンブリの別の図を示す。器具取り付け部558は、それぞれが被駆動要素564の表面から延びる一対のピン566を含む複数の(図17には4個が示されている)回転可能な本体部分、被駆動ディスク、又は要素564を動作可能に支持する器具取り付けプレート562を有している。一方のピン566は、同じ被駆動要素564上の他方のピン566よりもそれぞれの被駆動要素564の回転軸に近くなっており、被駆動要素564の正の角度アラインメントを確実に行う助けとなる。被駆動要素564及びピン566は、器具取り付けプレート562のアダプタ側567に配置されることができる。
【0067】
インターフェース560はまた、下記に更に述べるように、取り付けプレート562と取り付け可能に係合するように構成されたアダプタ部分568を有している。アダプタ部分568は、器具取り付け部558内の回路基板によってメモリ構造と連結することができる電気的接続ピン570のアレイを含みうる。本明細書では、インターフェース560は、機械的、電気的、及び磁気的連結要素と関連して説明するが、赤外線、誘導連結などを含む様々なテレメトリーモダリティを利用することが可能である点は理解されるはずである。
【0068】
図19〜21は、図17の器具駆動アセンブリ546のアダプタ部568の更なる図を示している。アダプタ部568は一般的に、器具側面572及びホルダ側面574(図19)を含む。様々な実施形態では、複数の回転可能な本体576が、アダプタ568の主面に対して垂直な周囲のアダプタ構造に対して限定された運動範囲を有する浮動プレート578に取り付けられる。浮動プレート578の軸方向運動は、器具取り付け部ハウジング582の側部に沿うレバー580(図16参照)が作動される際に、回転可能な本体576を器具取り付け部558からの取り外し易くする。他の機構/配置を用いて、器具取り付け部558をアダプタ568に着脱可能に連結してもよい。少なくとも1つの形態では、各回転可能な本体576は、各回転可能な本体576の周囲の外周陥凹部内に延びる弾性径方向部材によって浮動プレート578に弾性的に取り付けられる。各回転可能な本体576は、これらの弾性構造が撓むことによってプレート578に対して軸方向に動くことができる。第1の軸方向位置(器具側面572に向かって)に配置された場合、各回転可能な本体576は、角度の制限なく自由に回転することができる。しかしながら、回転可能な本体576が器具側面572の方向に軸方向に動く際、タブ584(回転可能な本体576から径方向に延びる)が浮動プレート上の回り止めと横方向に係合することによって各回転可能な本体576のそれらの軸を中心とした角度回転が制限される。このような限定された回転を利用することで、ピン586が開口部590と整列する(及び開口部内に滑り込む)までロボットシステムの対応する器具ホルダ部分588の駆動ピン586が回転可能な本体576を制限された回転位置にまで押すことで、駆動ピン586と回転可能な本体576とを駆動可能に係合する助けとなりうる。
【0069】
回転可能な本体576の器具側面572上の開口部590とホルダ側面574上の開口部590とは、器具取り付け部558の被駆動要素564(図18、28)を、器具ホルダ588の駆動要素592と正確に整列させるように構成されている。被駆動要素564の内側及び外側ピン566に関して上に述べたように、開口部590は、アラインメントがその目的とする位置から33度とはならないように、それぞれの回転可能な本体576上の回転軸から異なる距離にある。更に、開口部590のそれぞれは、ピン566を外周方向に緊密に受容するようにわずかに径方向に細長くすることができる。これにより、ピン566は開口部590内で径方向に摺動可能となっており、器具522と器具ホルダ588との間の一定の軸方向のミスアラインメントが調整される一方で、駆動要素と被駆動要素との間の角度のミスアライメント及びバックラッシュが最小に抑えられる。図31にもっとも分かりやすく示されるように、器具側面572上の開口部590は、ホルダ側面574上の開口部590(破線で示される)と約90度オフセットしうる。
【0070】
異なる実施形態は、アダプタ568のホルダ側面574上に配置された電気的コネクタピン570のアレイを更に含んでもよく、アダプタ568の器具側面572は、器具取り付け部558からのピンアレイ(図示せず)を受容するためのスロット594(図21)を含んでもよい。外科用器具522、523と器具ホルダ588との間で電気信号を送信する以外に、これらの電気的接続の少なくとも一部をアダプタ568の回路基板によってアダプタ記憶装置596(図20)と接続することができる。
【0071】
取り外し可能なラッチ機構598を利用してアダプタ568を器具ホルダ588に着脱可能に取り付けることができる。本明細書で使用するところの「器具駆動アセンブリ」なる用語は、ロボットシステムとの関連で使用される場合、アダプタ568及び器具ホルダ588の異なる実施形態を少なくとも包含し、図17において546として一般的に示されている。例えば、図17に見られるように、器具ホルダ588は、アダプタ568に設けられた対応するクレバススロット602内に受容されるようなサイズの第1のラッチピン機構600を有しうる。更に、器具ホルダ588は、アダプタ568の対応するラッチクレバス606内に保持されるようなサイズの第2のラッチピン604を更に有しうる。図20を参照されたい。少なくとも1つの形態では、ラッチアセンブリ608はアダプタ568上に運動可能に支持され、ラッチピン600がそれぞれのラッチクレバス606内に保持される第1のラッチ位置と、第2のラッチピン604がラッチクレバス606内に入るか又はそこから外れることができるラッチ解除位置との間で付勢可能である。ラッチアセンブリは、1乃至複数のばね(図示せず)を用いてラッチ位置に付勢される。アダプタ568の器具側面572上のリップが器具取り付けハウジング582の横方向に延びるタブを摺動可能に受容することができる。
【0072】
説明のように、被駆動要素564は、駆動要素592の回転運動が、対応する被駆動要素564の回転運動を生じさせるように、器具ホルダ588の駆動要素592と整列させることができる。駆動要素592及び被駆動要素564の回転は、例えば、コントローラ508を介して臨床医502から受信した命令に応じて、ロボットアーム612を介して電子的に制御することができる。器具取り付け部558は、被駆動要素564の回転を外科用器具522、523の運動に変換することができる。
【0073】
図22〜24は、被駆動要素564の運動を外科用器具522の運動に変換する構成要素を示す器具取り付け部の1つの例示的な実施形態を示す。図22〜24は、その遠位端に外科用エンドエフェクタ610を有する、シャフト538を有する器具取り付け部を示す。エンドエフェクタ610は、患者に手術作業を行う任意の好適な種類のエンドエフェクタとすることができる。例えば、エンドエフェクタは、手術部位にある組織に超音波エネルギーを提供するよう構成することができる。シャフト538は、器具取り付け部558に回転可能に連結することができ、シャフト538のカプラ650にて上部シャフトホルダ646及び下部シャフトホルダ648によって固定される。
【0074】
1つの例示的な実施形態では、器具取り付け部558は、様々な被駆動要素564の回転をシャフト538の回転、シャフト(例えば、関節)の軸に沿う部材の差動並進、及びシャフト538(例えば、555、オーバーチューブ、及び/又は他の構成要素など、組織切除要素の伸長及び格納用)の軸に沿う1つ又はそれ以上の部材の往復並進に変換する機構を備える。1つの例示的な実施形態では、回転可能な本体612(例えば、回転可能なスプール)が被駆動要素564に連結される。回転可能な本体612は、被駆動要素564と一体に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、回転可能な本体612は、被駆動要素564を駆動することで回転可能な本体612の回転が生じるように回転可能な本体612と被駆動要素564が固定式に連結されるのであれば、被駆動要素564とは別に形成されうる。回転可能な本体612のそれぞれは、シャフトの関節運動及び回転、クランプジョーの開閉、並びにナイフの作動をもたらすように、ギアトレーン又はギア機構に連結される。
【0075】
1つの例示的な実施形態では、器具取り付け部558は、シャフト538の軸に沿う2つ又はそれ以上の部材の差動並進を生じさせる機構を備える。図22〜24に示される例では、この運動は関節ジョイント556の操作に使用される。示された実施形態では、例えば、器具取り付け部558はラックピニオンギア機構を備えて、差動並進、したがってシャフト関節機能を提供する。1つの例示的な実施形態では、ラックピニオンギア機構は、対応する被駆動要素564の回転によって第1のピニオンギア614が回転されるように、回転可能な本体612に連結された第1のピニオンギア614を備える。軸受け616が回転可能な本体612に連結され、被駆動要素564と第1のピニオンギア614との間に設けられる。第1のピニオンギア614は、シャフトアセンブリ538の関節区間556の関節運動を左方向620Lに制御するために、第1のラックギア618に噛み合わされて第1のピニオンギア614の回転運動を第1のラックギア618の直線運動に変換する。第1のラックギア618は、第1のラックギア618が遠位方向に直線運動することによってシャフトアセンブリ538の関節区間556が左方向620Lに関節運動されるように、第1の関節バンド622(図22)に取り付けられている。対応する被駆動要素564の回転によって第2のピニオンギア626が回転するように、第2のピニオンギア626は別の回転可能な本体612に連結される。軸受け616が回転可能な本体612に連結され、被駆動要素564と第2のピニオンギア626との間に設けられる。第2のピニオンギア626は、関節区間556の関節運動を右方向620Rに制御するために、第2のラックギア628に噛み合わされて第2のピニオンギア626の回転運動を第2のラックギア628の直線運動に変換する。第2のラックギア628は、第2のラックギア628が遠位方向に直線運動することによってシャフトアセンブリ538の関節区間556を右方向620Rに関節運動させるように、第2の関節バンド624(図23)に取り付けられている。更なる軸受けが回転可能な本体とそれに対応するギアとの間に設けられてもよい。例えば、装着を支持及び安定化し、シャフトとギアの回転摩擦を低減するために、任意の好適な軸受けが設けられてよい。
【0076】
1つの例示的な実施形態では、器具取り付け部558は、被駆動要素564の回転をシャフト538の軸を中心とする回転運動に変換する機構を更に備える。例えば、回転運動はシャフト538自体の回転としてもよい。示された実施形態では、回転可能な本体612に連結された第1の螺旋状ウォームギア630と、シャフトアセンブリ538に連結された第2の螺旋状ウォームギア632とが備えられている。軸受け616(図17)が回転可能な本体612に連結され、被駆動要素564と第1の螺旋状ウォームギア630との間に設けられる。第1の螺旋状ウォームギア630は第2の螺旋状ウォームギア632に噛み合わされており、これらはシャフトアセンブリ538及び/又は、長手方向の回転が望まれる器具522、523の別の構成要素に連結されうる。回転は、第1及び第2の螺旋状ウォームギア630、632の回転方向に基づいて、時計回り方向(CW:clockwise)及び反時計回り方向(CCW:counter-clockwise)に生じさせてもよい。したがって、第1の軸を中心とする第1の螺旋状ウォームギア630の回転が、第1の軸に対して直角をなす第2の軸を中心とする第2の螺旋状ウォームギア632の回転に変換される。図22〜23に示すように、例えば、第2の螺旋状ウォームギア632が時計回りに回転すると、結果として、シャフトアセンブリ538が634CWで示す方向に時計回りに回転することになる。第2の螺旋状ウォームギア632が反時計回りに回転すると、結果として、シャフトアセンブリ538が634CCWで示す方向に反時計回りに回転することになる。更なる軸受けが回転可能な本体とそれに対応するギアとの間に設けられてもよい。例えば、装着を支持及び安定化し、シャフトとギアの回転摩擦を低減するために、任意の好適な軸受けが設けられてよい。
【0077】
1つの例示的な実施形態では、器具取り付け部558は、シャフト538の軸に沿う1つ又はそれ以上の部材の往復並進を生成する機構を備える。そのような並進は、例えば、555などの組織切断要素の駆動、閉鎖用オーバーチューブの駆動、及び/又はエンドエフェクタ610の関節運動、等に使用することができる。示された実施形態では、例えば、ラックピニオンギア機構が往復並進を提供しうる。第1のギア636は回転可能な本体612に連結されており、対応する被駆動要素564が回転することによって第1のギア636が第1の方向に回転されるようになっている。第2のギア638が、器具取り付けプレート562に形成されたポスト640を中心として自在に回転する。第1のギア636は第2のギア638に噛み合わされており、そのため、第2のギア638が、第1のギア636とは反対の方向に回転するようになっている。1つの例示的な実施形態では、第2のギア638は、直線方向に移動するラックギア642に噛み合わされるピニオンギアである。ラックギア642は、ラックギア642の遠位方向及び近位方向に変換することができる変換ブロック644に連結されている。変換ブロック644はシャフトアセンブリ538及び/又はエンドエフェクタ610の任意の好適な構成要素に連結されてもよく、それにより往復の長手方向の運動を提供する。例えば、変換ブロック644は、RF外科用装置523の組織切断要素555に機械的に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、変換ブロック644は、オーバーチューブ又はエンドエフェクタ610若しくはシャフト538の他の構成要素に連結されてもよい。
【0078】
図25〜27は、被駆動要素564の回転をシャフト538の軸を中心とする回転運動に変換する代替的な機構例、及びシャフト538の軸に沿う1つ又はそれ以上の部材の往復並進を生成する代替的な機構例を示す器具取り付け部558の代替的な実施形態を示す。代替的な回転機構をここで参照すると、第1の螺旋状ウォームギア652は、第3の螺旋状ウォームギア656に連結される第2の螺旋状ウォームギア654に連結される。既存のロボットシステム1000との互換性を維持すること及び/又は空間が限定されうる場所を含め、様々な理由により、そのような配列が設けられうる。第1の螺旋状ウォームギア652は回転可能な本体612に連結されている。第3の螺旋状ウォームギア656は、シャフトアセンブリ538に連結された第4の螺旋状ウォームギア658に噛み合わされている。軸受け760が回転可能な本体612に連結され、被駆動要素564と第1の螺旋状ウォームギア738との間に設けられる。別の軸受け760が回転可能な本体612に連結され、被駆動要素564と第3の螺旋状ウォームギア652との間に設けられる。第3の螺旋状ウォームギア652は第4の螺旋状ウォームギア658に噛み合わされており、これは、シャフトアセンブリ538及び/又は長手方向への回転が望まれる器具522の別の構成要素に連結されうる。回転は、螺旋状ウォームギア656、658の回転方向に基づいて時計回り及び反時計回り方向に生じうる。したがって、第1の軸を中心とする第3の螺旋状ウォームギア656の回転が、第1の軸に対して直角をなす第2の軸を中心とする第4の螺旋状ウォームギア658の回転に変換される。図26及び27に示されるように、例えば、第4の螺旋状ウォームギア658はシャフト538に連結され、第4の螺旋状ウォームギア658の時計回りの回転は結果として、634CWで示す方向にシャフトアセンブリ538の時計回りの回転を引き起こす。第4の螺旋状ウォームギア658が反時計回りに回転すると、結果として、シャフトアセンブリ538が634CCWで示す方向に反時計回りに回転することになる。更なる軸受けが回転可能な本体とそれに対応するギアとの間に設けられてもよい。例えば、装着を支持及び安定化し、シャフトとギアの回転摩擦を低減するために、任意の好適な軸受けが設けられてもよい。
【0079】
シャフト538の軸に沿う1つ又はそれ以上の部材の往復並進を生成する代替的な機構例をここで参照すると、器具取り付け部558はラックピニオンギア機構を備え、シャフト538の軸に沿う往復並進を提供する(例えば、RF外科用装置523の組織切断要素555の並進)。1つの例示的な実施形態では、第3のピニオンギア660が回転可能な本体612に連結されており、対応する被駆動要素564が回転することによって第3のピニオンギア660が第1の方向に回転されるようになっている。第3のピニオンギア660は、直線方向に移動するラックギア662に噛み合わされる。ラックギア662は、変換ブロック664に連結される。変換ブロック664は、例えば、RF外科用装置の組織切断要素555及び/又はオーバーチューブ若しくは長手方向に並進されることが望まれる他の構成要素などの装置522、523の構成要素に連結されうる。
【0080】
図28〜32は、被駆動要素564の回転を、シャフト538の軸を中心とする回転運動に変換する別の代替的な機構例を示す器具取り付け部558の代替的な実施形態を示す。図28〜32では、シャフト538は、カプラ676及びブッシュ678を介して取り付け部558の残りの部分と連結されている。回転可能な本体612に連結された第1のギア666と、第1及び第2の開口部672を備える固定ポスト668と、シャフトアセンブリに連結された第1及び第2の回転可能なピン674と、ケーブル670(又はロープ)とを備える。ケーブルは回転可能な本体612に巻き付けられる。ケーブル670の一方の端部は、固定ポスト668の上部開口部672を通って配置され、上部の回転可能なピン674に固定式に連結されている。ケーブル670のもう一方の端部は、固定ポスト668の下部開口部672を通って配置され、下部の回転可能なピン674に固定式に連結されている。既存のロボットシステム1000との互換性を維持すること及び/又は空間が限定されうる場所を含め、様々な理由により、そのような配列が設けられている。したがって、回転可能な本体612が回転することによって、シャフトアセンブリ538を中心とする、回転可能な本体612の回転方向(例えば、シャフト538自体の回転)に基づいて時計回り及び反時計回り方向に回転が引き起こされる。したがって、第1の軸を中心とする回転可能な本体612の回転が、第1の軸に対して直角をなす第2の軸を中心とするシャフトアセンブリ538の回転に変換される。図28〜29に示されるように−、例えば、回転可能な本体612が時計回りに回転すると、結果として、シャフトアセンブリ538が634CWで示す方向に時計回りに回転することになる。回転可能な本体612が反時計回りに回転すると、結果として、シャフトアセンブリ538が634CCWで示す方向に反時計回りに回転することになる。更なる軸受けが回転可能な本体とそれに対応するギアとの間に設けられてもよい。例えば、装着を支持及び安定化し、シャフトとギアの回転摩擦を低減するために、任意の好適な軸受けが設けられてもよい。
【0081】
図33〜46Aは、シャフト538の軸に沿う部材の差動並進用(例えば、関節用)の代替的な機構例を示す器具取り付け部558の代替的な実施形態を示す。例えば、図33〜36Aに示されるように、器具取り付け部558は、ダブルカム機構680を備え、シャフト関節機能を提供する。1つの例示的な実施形態では、ダブルカム機構680は第1及び第2のカム部分680A、680Bを備える。第1及び第2の従動アーム682、684が、対応するピボットスプール686に旋回可能に連結される。ダブルカム機構680に連結された回転可能な本体612が回転するとき、第1のカム部分680Aは第1の従動アーム682に作用し、第2のカム部分680Bは第2の従動アーム684に作用する。カム機構680が回転するとき、従動アーム682、684はピボットスプール686を中心として旋回する。第1の従動アーム682は、差動並進される第1の部材に取り付けられることができる(例えば、第1の関節バンド622)。第2の従動アーム684は、差動並進される第2の部材に取り付けられる(例えば、第2の関節バンド624)。上部カム部分680Aが第1の従動アーム682に作用するとき、第1及び第2の部材は差動並進する。第1及び第2の部材がそれぞれ関節バンド622及び624である例示的な実施形態では、シャフトアセンブリ538は左方向620Lに関節運動する。下部カム部分680Bが第2の従動アーム684に作用するとき、シャフトアセンブリ538は右方向620Rに関節運動する。いくつかの例示的な実施形態では、第1及び第2の従動アーム682、684の関節位置に影響を与えることなくシャフトの回転を可能にするために、2つの別々のブッシュ688、690が、それぞれ第1及び第2の従動アーム682、684の下方に装着される。関節運動のために、これらのブッシュは、ジョー902の回転位置に影響を及ぼすことなく第1及び第2の従動アーム682、684と共に往復する。図36Aは、第1及び第2のカム部分680B、680Bを含めて、ブッシュ688、690及び二重カムアセンブリ680を示しており、第1及び第2の従動アーム682、684はより詳細でかつ明確な図を提示するために取り除かれている。
【0082】
異なる実施形態において、器具取り付け部588は、電子部品を駆動し、所望の超音波及び/又はRF周波数信号を外科用ツールに与えるための内部エネルギー源を更に含むことができる。図36B〜36Cは、内部電源及びエネルギー源を含むツール取り付け部558’の1つの実施形態を示す。例えば、ツール取り付け部558’を利用して取り付けられた外科用器具(例えば、器具522)は、外部の発生器又は他の電源と接続される必要がない。その代わりに本明細書に述べられる発生器20の機能は、取り付け部558上で実行することができる。
【0083】
図36B〜36Cに示されるように、器具取り付け部558’は遠位部702を有することができる。遠位部702は、本明細書で上記に述べたように、例えば、駆動要素612の回転を様々な外科用器具522のエンドエフェクタと連動させる様々な機構を有することができる。遠位部702の近位において、器具取り付け部558’は、内部直流(DC)エネルギー源並びに内部駆動及び制御回路704を備える。図に示される実施形態では、エネルギー源は第1及び第2のバッテリ706、708からなる。他の点では、ツール取り付け部558’は、本明細書で上記に述べたツール取り付け部558の様々な実施形態と同様である。制御回路704は、発生器20に関して上記に述べたものと同様の要領で動作することができる。例えば、制御回路704は、発生器20に関して上記に述べたものと同様の要領で、超音波及び/又は電気外科駆動信号を与えることができる。
【0084】
図37〜38は、遠位に配置されたジョーアセンブリ1003を有する外科用器具の遠位部分1000の1つの実施形態を示している。遠位部分1000は、超音波ブレード1014、及び長手方向軸1002に沿って延びるシャフト1004を更に有している。シャフト1004の遠位部に連結されたU字継手1006が、ジョーアセンブリ1003を旋回可能に受容している。例えば、ジョーアセンブリ1003の手首部材1008を、第1の軸すなわち手首旋回軸1018を中心としてU字継手1018と旋回可能に連結することができる。手首旋回軸1018を中心としたジョーアセンブリ1003の旋回により、ジョーアセンブリ1003は矢印1022によって示される方向に旋回する。手首部材1008は、任意の適当な旋回可能なコネクタ又はコネクタアセンブリを用いてU字継手1006と連結することができる。例えば、特定の実施形態では、手首部材1008は、U字継手1006によって画定される穴1013内に嵌まるピン1011によってU字継手1006と連結することができる。
【0085】
第1及び第2のジョー部材1010、1012が、手首部材1008と旋回可能に連結され、第2の軸すなわちジョー旋回軸1016を中心として旋回するように構成されている。ジョー旋回軸1016を中心としたジョー部材1010、1012の旋回により、各ジョー部材1010、1012は矢印1020によって示される方向に旋回する。ジョー部材1010、1012は、互いに対して相対的に、また絶対的にジョー旋回軸1016を中心として旋回可能である。例えば、ジョー部材1010、1012は、ジョー部材1010、1012が図37に示されるように互いから分離した開位置から、ジョー部材1010、1012が互いに対してほぼ平行となる(場合により互いに接触する)閉位置へと互いに対して旋回することができる。例えば、ジョー部材1010、1012が閉位置にあるか又は閉位置の近くにある場合にジョー部材1010、1012の間に組織をつかむことができる。特定の実施形態では、ジョー部材1010、1012の一方又は両方が、ジョー旋回軸1016を中心として絶対的に旋回する。これにより、ジョーアセンブリ1003の全体的な向きは、軸1016を中心として旋回することが可能である(図37に示される向きで左から右に)。
【0086】
図39は、図37〜38の外科用器具の遠位部分1000の1つの実施形態の正面図である。図39では、制御ラインを通すための異なる制御プーリ1026、1028、1030、1032がU字継手1006の開口部1031、1032とともに示されている。異なる制御ライン及び制御プーリの更なる詳細については下記に説明する。図39には、ジョー部材1010、1012の更なる詳細についても示されている。例えば、図39に示される実施形態では、ジョー部材1010、1012は歯列1024を画定している。特定の実施形態では、歯列1024は、ジョー部材1010、1012が互いに対して閉位置にある場合に噛み合う。しかしながら他の実施形態では、歯列1024は、ジョー部材1010、1012が互いに対して閉位置にある場合に噛み合わない。
【0087】
図40〜41は、本明細書で上記に述べたシステム500のようなロボット外科システムと使用するための器具取り付け部1034と連結された図37〜38の外科用器具の遠位部分1000の1つの実施形態を示している。シャフト1004は、器具取り付け部1034と連結することができる。基部取り付け部1034は、超音波ブレード1014を作動し、ジョーアセンブリ1003を関節運動させ、特定の実施形態では、例えば、本明細書において下記に述べるように、超音波ブレード1014を収縮及び伸長するための様々な機構及びインターフェースを有しうる。
【0088】
図42〜44は、更なる制御機構を示す、図37〜38の外科用器具の遠位部分1000の1つの実施形態を示している。ジョー部材1010、1012のそれぞれは、ジョー旋回軸1016上に中心を置くプーリ1041、1043をそれぞれ有している。プーリ1041、1043の回転により、ジョー部材1010、1012のそれぞれが対応して旋回運動を行うことができる。プーリ1041、1043の回転(及びジョー部材1010、1012の対応する旋回運動)は、制御ライン1038、1040、1048、1050を用いて行うことができる。例えば、制御ライン1040がプーリ1043と連結されるか、かつ/又はその周囲に巻回されることにより、制御ライン1040の近位方向への並進運動によってジョー部材1012が、制御ライン1040の方向にジョー旋回軸1016を中心として旋回することができる(図42〜43に示される斜視図においてページから出る方向)。ジョー部材1012の逆方向への旋回運動(例えば、図42〜43に示される斜視図においてページに入り込む方向)は、やはりプーリ1043と連結かつ/又はその周囲に巻回された制御ライン1048を使用して作動させることができる。制御ライン1048の近位方向への並進運動によって、ジョー部材1012は制御ライン1048の方向に旋回することができる。制御ライン1048がプーリ1043と連結される際、制御ライン1048は、制御ライン1040がプーリ1043と連結される位置とほぼ反対の位置に連結することができる。また、特定の実施形態では、制御ライン1048、1040は、プーリ1043の周囲に巻回された1本のケーブルの両端であってもよい。
【0089】
同様に、制御ライン1038が、プーリ1041と連結されるか、かつ/又はその周囲に巻回されることにより、制御ライン1038の近位方向への並進運動によってジョー部材1010が制御ライン1038の方向にジョー旋回軸1016を中心として旋回することができる(例えば、やはり図42〜43に示される斜視図においてページから出る方向)。制御ライン1050が、プーリ1041と連結されるか、かつ/又はその周囲に巻回されることにより、制御ライン1050の近位方向への並進運動によってジョー部材1010は制御ライン1050の方向にジョー旋回軸を中心として旋回することができる(例えば、図42〜43に示される斜視図においてページに入り込む方向)。制御ライン1038、1050はプーリ1041と別々に連結することができ、又は特定の実施形態では、プーリ1041の周囲に巻回された1本のケーブル又は他のラインの別々の端部であってもよい。ジョーアセンブリ1003が旋回軸1018を中心として旋回する際、プーリ1041、1043に対する制御ライン1038、1040、1048、1050の向きが変化しうる点は認識されるであろう。
【0090】
各制御ラインが張り詰めるか、かつ/又はプーリ1041、1043から外れることを防止するには、シャフト1004までの制御ライン1038、1040、1048、1050の経路を定めるための異なるアイドラローラ1026、1028、1036、1042、1046、1044、1030、1032(図39)を含めることができる。また、特定の実施形態では、各制御ラインは、U字継手1006の穴を介してシャフト1004までの経路を定めることができる。図39は、それぞれケーブル1048、1050によって利用することができる例示的な穴1031、1032を示している。
【0091】
手首部材1008(及びこれによるジョーアセンブリ1003)の旋回運動は、各制御ラインを用いて作動させることもできる。例えば、図42及び44を参照すると、制御ライン1052が、手首旋回軸1018からオフセットした位置にある手首部材1008と連結されている様子を見ることができる。制御ライン1052の近位方向への並進運動により、ジョーアセンブリ1003が超音波ブレード1014から離れる方向に、例えば、図42に示される斜視図において上方に、かつ図44に示される斜視図においてページから出る方向に引かれうる。同様の制御ライン1053を手首部材1008の下部に連結することができ、これにより、制御ライン1053の近位方向への並進運動によって、ジョーアセンブリ1003が超音波ブレード1014に向かって旋回する(例えば図42の斜視図において下方、かつ図44の斜視図においてページに入り込む方向)。特定の実施形態では、制御ライン1052、1053は、手首部材1008を通して巻きつけられ、手首部材1008と連結された1本のケーブル又は制御ラインの両端であってもよい。また、特定の実施形態では、制御ライン1053は省略してもよい。超音波ブレード1014に向かう方向へのジョーアセンブリ1003の旋回運動は、制御部材1052の遠位方向への並進運動によって生じさせることができる。
【0092】
異なる制御ライン1038、1040、1048、1050、1052、1053は、シャフト1004を通って近位方向に延び、そこで本明細書に述べられる器具取り付け部1034のようなロボット外科システムのハンドル又は器具取り付け部において作動させることができる。上記に述べたように、制御ラインのペア(1038/1050、1040/1048、1052、1053)の差動並進運動によって、ジョーアセンブリ1003の異なる構成要素の関節運動を生じさせることができる。各制御ラインの差動並進運動は、例えば、上記に述べたような任意の適当な手動的及び/又は自動的方法で生じさせることができる。
【0093】
図45Aは、図37〜38の外科用器具の異なる制御ラインを作動させるための例示的な機構を示した、器具取り付け部1034の1つの実施形態を示している。異なる制御ライン1038、1040、1048、1050、1052、1053は、シャフト1004を通って近位方向に延び、器具取り付け部1034に入り込んでいる。異なる制御ラインは、ルータ1056により、上記に述べたような回転体に取り付けられた異なるスプール1039、1041、1043へと経路が定められている。図45Bは、ルータ1056の1つの実施形態の側面図を示している。例えば、図45Bに示されるルータ1056は、異なる制御ラインを受容し、経路を定めるための複数の溝1058を有している。例えばルータが経路を定めるように構成された制御ラインの数に基づいて、これよりも多いか又は少ない数の溝をルータ1056に設けることができる。
【0094】
再び図45Aを参照すると、特定の実施形態では、制御ライン1038及び1050はスプール1039へと経路づけることができる。図に示された構成に従って、スプール1039の時計回りの回転により、制御ライン1038の近位方向への並進運動及び制御ライン1050の遠位方向への並進運動が生じる。上記に述べたように、これにより、ジョー部材1010が、図44の斜視図において左に、図42〜43の斜視図においてページの外に、ジョー旋回軸1016を中心として旋回することができる。スプール1039の反時計回りの回転により、制御ライン1038の遠位方向への並進運動及び制御ライン1050の近位方向への並進運動が生じる。上記に述べたように、これにより、ジョー部材1010は、図44の斜視図において右に、図42〜43の斜視図においてページに入り込む方向に、ジョー旋回軸1016を中心として旋回することができる。制御ライン1040及び1048はスプール1039へと経路づけることができる。スプール1041の時計回り及び反時計回りの回転によって、制御ライン1040及び1048を差動的に並進運動させることができ、これによりジョー部材1012は、上記に述べたジョー部材1010と同様、ジョー旋回軸1016を中心として旋回する。制御ライン1052及び1053は、スプール1043と同様に連結されることにより、スプール1043が時計回り及び反時計回りに回転する際の手首旋回軸1016を中心としたジョーアセンブリ1003の旋回運動を制御することができる。
【0095】
異なる実施形態に基づけば、図37〜38の外科用器具には、収縮可能な超音波ブレード1014を設けることができる。例えば、超音波ブレード1014は、シャフト1004及び/又はU字継手1006の内部に部分的又は完全に位置するように近位方向に収縮可能である。これにより、手首旋回軸1018を中心としたジョーアセンブリ1003の運動範囲を大きくすることができる。図46〜47は、収縮可能な超音波ブレード1014を有する図37〜38の外科用器具の遠位部分1000の1つの実施形態を示している。次に図46を参照すると、ブレード1014は、シャフト1004内部に矢印1060によって示される近位方向に収縮している様子が示されている。図に見られるように、これにより、手首旋回軸1018を中心として旋回するジョーアセンブリ1003の運動範囲が大きくなる。例えば、図46に示されるように、ジョーアセンブリ1003は、超音波ブレード1014と接触していたであろう位置へ、更にその位置を超えて旋回することができる。これにより、ジョーアセンブリ1003が組織をつかむことができる範囲が大きくなりうる。使用時には、ジョーアセンブリ1003は、図46に示される位置にまで旋回した状態で組織をつかむことができる。この後、ジョーアセンブリ1003が図47に示される位置に、かつ/又はその位置を超えて戻る方向に旋回することにより、ブレード1014が遠位方向に延びてつかまれた組織に作用することができる。
【0096】
超音波ブレード1014は、シャフト1004を通って、上記に述べたトランスデューサ16などの超音波トランスデューサにまで近位方向に延びうる超音波導波管1058と連結することができる。特定の実施形態では、超音波ブレード1014の並進運動は、ブレード1014、導波管1058、及びトランスデューサアセンブリの並進運動によって生じさせることができる。図48は、超音波ブレード1014を伸長及び収縮させるように構成されたロボット外科システムの器具取り付け部1034と連結された図38〜38の外科用器具の遠位部分1000の1つの実施形態を示している。図に示されるように、導波管1058は、器具取り付け部1034からシャフト1004を通って器具取り付け部にまで近位方向に延び、そこで器具取り付け部1034内に位置する超音波トランスデューサアセンブリ1064と連結される。ラックギア1062が導波管1058に連結され、器具取り付け部1034の回転体612の1つに連結された丸ギアと噛み合うように配置することができる。例えば、図45は、ギア1047と連結されたラックギア1062を示しており、ギア1047は回転体612とともに回転するギア1045と連結されている。回転体612の交互の回転により、それぞれのギア1045、1047が回転し、これによりラックギア1062の遠位方向及び近位方向への並進運動が生じる。ラックギア1062は導波管1058と連結されているため、ラックギア1062の遠位方向及び近位方向の並進運動によって導波管1058、ブレード1014、及びトランスデューサ1064の遠位方向及び近位方向への並進運動も生じうる。
【0097】
図48に示される実施形態では、トランスデューサ1064は器具取り付け部1034の内部に配置されている。可撓性/伸張性ケーブル1066をトランスデューサ1064、及びひいては外部ケーブル1067と連結することができる。トランスデューサが導波管1058及びブレード1014とともに遠位方向及び近位方向に並進運動する際、ケーブル1066は交互に緩んだり張り詰めることにより、外部ケーブル1067との連結が維持される。図49は、外部トランスデューサ1070を有するロボット外科システムの器具取り付け部に連結された図37〜38の外科用器具の遠位部分1000の代替的な1つの実施形態を示している。図に示されるように、トランスデューサは、器具取り付け部1034を超えて延びている。図49には、導波管1058、ブレード1014(図49には示されていない)、及びトランスデューサ1070を近位方向及び遠位方向に並進運動させるように動作する(回転部材612の1つとともに)、導波管1058と連結されたトラックギア1062も示されている。図50は、図49に示されるような図37〜38の外科用器具の遠位部分1000の更なる図を示している。
【0098】
図51は、クランプパッド1072を備えるジョーアセンブリ1003の1つの実施形態を示している。クランプパッド1072は、手首部材1008の少なくとも1つの面及び/又はジョー部材1010、1012の一方と連結された1以上の構成要素を備えてもよい。例えば、図51は、超音波ブレード1014の方向に向けられた手首部材1008の面1074及び超音波ブレード1014の方向に向けられたジョー部材1012の面1076を示している。これらの面の1つ以上をクランプパッド1072と連結することができる。クランプパッド1072は、本明細書に述べられるクランプアームアセンブリ64と同様のものであってもよい。例えば、クランプパッド1072は、ブレード1014の動作に大きく影響することなく、超音波ブレード1014と物理的に接触するように構成することができる。これにより、臨床医は、ジョーアセンブリ1003を使用して、クランプアームアセンブリ64に関して上記に述べたのと同様にしてブレード1014に組織をクランプ締めすることができる。
【0099】
図52〜55は、ジョーアセンブリ1100を有する外科用器具の遠位部分1101の1つの実施形態を示す。遠位部分1101は、シャフト部分1110、U字継手1102及び超音波ブレード1106を更に備えてもよい。本明細書において上記に述べたように、超音波ブレード1106は、図1のトランスデューサ16などのトランスデューサへと近位方向に延びうる超音波導波管(図52には示されていない)と機械的に連動しうる。特定の実施形態では、超音波ブレード1106は、本明細書において上記に述べたように収縮可能であってもよい。
【0100】
ジョーアセンブリ1100は、ジョー部材1102及びこれと対向可能なU字状ジョー部材1104で構成することができる。ジョー部材1102、1104は、U字継手1102と旋回可能に連結することができ、U字継手1102は更にシャフト1110と連結することができる。ジョー部材1102、1104は、ジョー部材1010、1012が軸1016を中心として別々に旋回可能である上記に述べたのと同様の要領で軸1109を中心として別々に旋回可能である。例えば、ジョー部材1102、1104は、ジョー部材1102、1104が互いから離れる方向に旋回している開位置へと軸1109を中心として別々に旋回することができる。ジョー部材1102、1104は、ジョー部材1102、1104が例えば図53及び55に示されるように互いに近いか、かつ/又は接触している閉位置へと軸1109を中心として別々に旋回することもできる。異なる実施形態では、ジョー部材1102、1104は、シャフトの長手方向軸1002に対して異なる角度で開位置又は閉位置のいずれかに位置することができる。例えば、図52は、長手方向軸1002から離れる方向に旋回している、開位置にあるジョー部材1102、1104を示している。図53は、超音波ブレード1106とほぼ平行である、閉位置にあるジョー部材1102、1104を示している。軸1109は、長手方向軸1002とほぼ平行であってもよい。
【0101】
異なる実施形態において、ジョー部材1102、1104を用いて組織を捕捉し、捕捉された組織を超音波ブレード1106の方向に誘導して切断及び/又は凝固を行うことができる。例えば、U字形ジョー部材1104は、1対の叉1104a、1104bで構成されうる。叉1104a、1104bは、それらの間に開口部1105を画定することができる。ジョー部材1102及び超音波ブレード1106をこの開口部と整列させることができる。これにより、ジョー部材1102、1104は、少なくともジョー部材1102が長手方向軸1002から離れる方向に位置する開位置へと旋回させることによって図55に示される組織1114のような組織を捕捉することができる。特定の実施形態では、ジョー部材1102は少なくとも叉1104a、1104bの間の開口部1105内に嵌まりうる。したがって、ジョー部材1102は組織1114の一部を開口部1105に押し込み、そこでジョー部材1102は図55に示されるように超音波ブレード1106と接触して切断及び/又は凝固を行うことができる。
【0102】
ジョー部材1102、1104は、任意の適当な要領で制御することができる。例えば、図56を参照すると、プーリ1116を、軸1109を中心として配置してジョー部材1104と連結することができる。同様のプーリ1118を軸1109を中心として配置し、ジョー部材1106と連結することができる。ケーブル1120、1122を、プーリ1041、1043及びケーブル1038、1040に関して上記に述べたのと同様の要領でそれぞれのプーリ1104、1106の周囲に連結することができる。ケーブル1120の差動運動により、上記に述べたようにジョー部材1104が軸1109を中心として旋回することができる。同様に、ケーブル1120の差動運動により、やはり上記に述べたようにジョー部材1104が軸1109を中心として旋回することができる。ここで図54を参照すると、シャフト1112はキャビティ1115を画定することができる。それぞれのケーブル1120、1122は、ジョーアセンブリ1100からキャビティ1115を通って近位方向に延びることができる。ケーブル1120、1122は任意の適当な要領で制御することができる。例えば、各ケーブルは、図45に示される器具取り付け部と同様の器具取り付け部によって、かつ/又は本明細書において上記に述べたハンドル12のような手持ち式コントローラによって制御することができる。
【0103】
非限定的実施形態
異なる実施形態は、エンドエフェクタ、シャフト及びジョーアセンブリを有する外科用器具に関するものである。エンドエフェクタは、長手方向軸とほぼ平行に遠位方向に延びる超音波ブレードを有する。シャフトは、長手方向軸に沿ってエンドエフェクタから近位方向に延びることができる。ジョーアセンブリは、第1及び第2のジョー部材を有することができる。ジョーアセンブリは、長手方向軸に対してほぼ垂直な第1の軸を中心として、第1及び第2のジョー部材が超音波ブレードとほぼ平行となる第1の位置から第2の位置へと旋回することができる。更に、第1及び第2のジョー部材は、前記第1の軸に対してほぼ垂直な第2の軸を中心として旋回可能であってもよい。
【0104】
特定の実施形態では、ジョーアセンブリは、手首部材、第1のジョー部材、及び第2のジョー部材を含む。手首部材は、長手方向軸に対してほぼ垂直な手首旋回軸を中心として、手首部材が超音波ブレードとほぼ平行となる第1の位置から、手首部材が超音波ブレードから離れる方向に旋回された第2の位置へと旋回可能であってよい。第1のジョー部材は、手首部材から遠位方向に延びてもよく、手首部材と旋回可能に連結することができる。第1のジョー部材は、手首旋回軸に対してほぼ垂直なジョー旋回軸を中心として旋回可能であってもよい。第2のジョー部材は、手首部材から遠位方向に延びてよく、やはり手首部材と旋回可能に連結することができる。第2のジョー部材もまた、ジョー旋回軸を中心として旋回可能であってもよい。第1及び第2のジョー部材は、互いに対してジョー旋回軸を中心として、第1及び第2のジョー部材が互いから離れる方向に旋回された開位置から、第1及び第2のジョー部材が互いに近づく方向に旋回された閉位置へと更に旋回可能であってもよい。
【0105】
本出願人は、それらの全容を参照によってそれぞれ本明細書に援用するところの以下の特許出願も所有するものである。すなわち、
米国特許出願第13/536,271号、出願日:2012年6月28日、発明の名称「Flexible Drive Member」(代理人整理番号:END7131USNP/120135)、
米国特許出願第13/536,288号、出願日:2012年6月28日、発明の名称「Multi−Functional Powered Surgical Device with External Dissection Features」(代理人整理番号:END7132USNP/120136)、
米国特許出願第13/536,295号、出願日:2012年6月28日、発明の名称「Rotary Actuatable Closure Arrangement for Surgical End Effector」(代理人整理番号:END7134USNP/120138)、
米国特許出願第13/536,326号、出願日:2012年6月28日、発明の名称「Surgical End Effectors Having Angled Tissue−Contacting Surfaces」(代理人整理番号:END7135USNP/120139)、
米国特許出願第13/536,303号、出願日:2012年6月28日、発明の名称「Interchangeable End Effector Coupling Arrangement」(代理人整理番号:END7136USNP/120140)、
米国特許出願第13/536,393号、出願日:2012年6月28日、発明の名称「Surgical End Effector Jaw and Electrode Configurations」(代理人整理番号:END7137USNP/120141)、
米国特許出願第13/536,362号、出願日:2012年6月28日、発明の名称「Multi−Axis Articulating and Rotating Surgical Tools」(代理人整理番号:END7138USNP/120142)、及び
米国特許出願第13/536,417号、出願日:2012年6月28日、発明の名称「Electrode Connections for Rotary Driven Surgical Tools」(代理人整理番号:END7149USNP/120153)。
【0106】
「近位」及び「遠位」なる用語は、本明細書の全体を通じて、患者の処置に使用される器具の一端を操作する臨床医を基準として用いられる点は認識されるであろう。「近位」なる用語は、臨床医に最も近い器具の部分を指し、用語「遠位」は、臨床医から最も離れた位置に位置する部分を指す。簡潔にするため、また明確にするために、「垂直」、「水平」、「上」、「下」などの空間に関する用語は、本明細書において、図示した実施形態を基準にして使用されうる点は更に認識されるであろう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用され得、これらの用語は、限定的及び絶対的であることを意図したものではない。
【0107】
外科用器具及びロボット外科システムの様々な実施形態を本明細書に説明する。本明細書に説明する様々な実施形態を、説明した外科用器具及びロボット外科システムと共に使用することができることが当業者によって理解されよう。説明は例のみに提供されており、開示の実施形態は、本明細書に開示する装置のみに限定されず、任意の互換性のある外科用器具又はロボット外科システムと共に使用することができることが当業者に理解されよう。
【0108】
本明細書全体を通して、「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの例示的な実施形態」、又は「実施形態」の参照は、その実施形態との関連において記述されている特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの例示的な実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して複数の場所に出現する「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「1つの例示的な実施形態では」、又は「実施形態では」というフレーズは、必ずしも全てが同一の実施形態を指すものではない。更に、1つの例示的な実施形態と関連させて説明又は記述した特定の機構、構造、又は特徴は、無制限に、1つ又はそれ以上の他の実施形態の機構、構造、又は特徴と、全部又は一部が組み合わされてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態の記載により本明細書の様々な実施形態が説明され、説明的実施形態がかなり詳細に記載されているが、出願人には添付された請求範囲をかかる詳細によっていかなる方法によっても制限する意図はない。当業者には更なる効果及び改変が直ちに明らかとなりうる。例えば、開示される実施形態のそれぞれを、内視鏡手術、腹腔鏡手術、及び開腹手術において、目的とする用途を制限することなく使用することができる。
【0110】
本明細書における図及び説明の少なくともいくらかは、開示を明確に理解するのに関連する要素を示すために簡素化されており、明確にする目的でその他の要素を排除していることを理解すべきである。しかしながら、当業者は、これらの及びその他の要素が望ましい可能性があることを認識するであろう。しかしながら、そのような要素は当該技術分野において周知であり、それらは本開示のよりよい理解を促進しないため、本明細書ではそのような要素についての議論はしない。
【0111】
幾つかの実施形態を説明してきたが、本開示の利点の幾つか又は全てを習得した当業者は、これらの実施形態に対する様々な修正、変更及び適用を想起することができることは明白である。例えば、各種の実施形態によれば、所与の働きを成し遂げるために、単一の構成要素が複数の構成要素で置き換えられてもよく、また複数の構成要素が単一の構成要素で置き換えられてもよい。本願はしたがって、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲及び趣旨を逸脱することなく、そのようなすべての修正、変更、及び改作を網羅することを意図したものである。
【0112】
全体又は部分において、本明細書に参照により組み込まれると称されるいずれの特許公報又は他の開示物も、組み込まれた事物が現行の定義、記載、又は本開示に記載されている他の開示物と矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる。このように及び必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込んだ任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。本明細書に参照により援用するものとされているが、既存の定義、見解、又は本明細書に記載された他の開示内容と矛盾するすべての内容、又はそれらの部分は、援用された内容と既存の開示内容との間にあくまで矛盾が生じない範囲でのみ援用するものとする。
【0113】
〔実施の態様〕
(1) 長手方向軸に対してほぼ平行に遠位方向に延びる超音波ブレードを備えるエンドエフェクタと、
前記長手方向軸に沿って前記エンドエフェクタから近位方向に延びるシャフトと、
ジョーアセンブリであって、
手首部材であって、前記手首部材が前記超音波ブレードとほぼ平行となる第1の位置から、前記手首部材が前記超音波ブレードから離れる方向に旋回された第2の位置へと、前記長手方向軸に対してほぼ垂直な手首旋回軸を中心として旋回可能な、手首部材と、
前記手首部材から遠位方向に延びて前記手首部材と旋回可能に連結された第1のジョー部材であって、前記手首旋回軸に対してほぼ垂直なジョー旋回軸を中心として旋回可能な、第1のジョー部材と、
前記手首部材から遠位方向に延びて前記手首部材と旋回可能に連結された第2のジョー部材であって、前記ジョー旋回軸を中心として旋回可能な、第2のジョー部材と、を備える、ジョーアセンブリと、を備え、前記第1及び第2のジョー部材が、前記第1及び第2のジョー部材が互いから離れる方向に旋回している開位置から前記第1及び第2のジョー部材が互いに近づく方向に旋回している閉位置へと、互いに対して前記ジョー旋回軸を中心として更に旋回可能である、外科用器具。
(2) 前記第1のジョー部材から前記シャフトを通って近位方向に延びる第1及び第2の制御ラインであって、前記第1及び第2の制御ラインの差動並進運動によって、前記第1のジョー部材が前記ジョー旋回軸を中心として旋回する、第1及び第2の制御ラインと、
前記第2のジョー部材から前記シャフトを通って近位方向に延びる第3及び第4の制御ラインであって、前記第3及び第4の制御ラインの差動並進運動によって、前記第2のジョー部材が前記ジョー旋回軸を中心として旋回する、第3及び第4の制御ラインと、を更に備える、実施態様1に記載の器具。
(3) 前記第1のジョー部材が、前記ジョー旋回軸を中心として配置されたプーリを備え、前記第1及び第2の第1のジョー制御ラインが前記プーリの周囲に延びる、実施態様2に記載の器具。
(4) 前記第1及び第2の制御ラインが、前記プーリの周囲に配置された1本の制御ラインの両端である、実施態様3に記載の器具。
(5) 前記第1及び第2のジョー部材が、前記ジョー旋回軸を中心として、個別に、及び一緒に旋回可能である、実施態様1に記載の器具。
【0114】
(6) 前記手首部材と連結されて前記シャフトを通って近位方向に延びる第1の手首部材制御ラインを更に備え、前記第1の手首部材制御ラインの近位方向への並進運動が、前記手首部材を前記手首旋回軸を中心として前記第1の手首部材に向かって近位方向に旋回させる、実施態様1に記載の器具。
(7) 前記超音波ブレードが、伸長した位置から収縮した位置へと前記長手方向軸に対して平行な方向に並進運動可能である、実施態様1に記載の器具。
(8) 前記手首旋回軸を中心とした前記手首部材の運動範囲が、前記超音波ブレードが前記収縮した位置にある場合に大きくなる、実施態様1に記載の器具。
(9) 前記手首部材、前記第1のジョー部材、及び前記第2のジョー部材の少なくとも1つが、前記超音波ブレードの方向に向けられた面を画定し、前記面に連結されたクランプパッド材料を更に備える、実施態様1に記載の器具。
(10) 長手方向軸に対してほぼ平行に遠位方向に延びる超音波ブレードを有するエンドエフェクタと、
前記長手方向軸に沿って前記エンドエフェクタから近位方向に延びるシャフトと、
第1及び第2のジョー部材を有するジョーアセンブリと、を備え、前記ジョーアセンブリが、前記第1及び第2のジョー部材が前記超音波ブレードに対してほぼ平行となる第1の位置から第2の位置へと、前記長手方向軸に対してほぼ垂直な第1の軸を中心として旋回可能であり、前記第1及び第2のジョー部材が前記第1の軸に対してほぼ垂直な第2の軸を中心として旋回可能である、外科用器具。
【0115】
(11) 前記第1及び第2のジョー部材が、前記第1及び第2のジョー部材が互いに対してほぼ平行となる閉位置から開位置へと、前記第2の軸を中心として互いに対して旋回可能である、実施態様10に記載の外科用器具。
(12) 前記ジョーアセンブリが前記第1の軸を中心として旋回可能な手首部材を更に備え、前記第1及び第2のジョー部材が前記第2の軸を中心として前記手首部材に旋回可能に連結されている、実施態様10に記載の外科用器具。
(13) 前記第1のジョー部材から前記シャフトを通って近位方向に延びる第1及び第2の制御ラインであって、前記第1及び第2の制御ラインの差動並進運動によって、前記第1のジョー部材が前記第2の軸を中心として旋回する、第1及び第2の制御ラインと、
前記第2のジョー部材から前記シャフトを通って近位方向に延びる第3及び第4の制御ラインであって、前記第3及び第4の制御ラインの差動並進運動によって、前記第2のジョー部材が前記第2の軸を中心として旋回する、第3及び第4の制御ラインと、を更に備える、実施態様10に記載の器具。
(14) 前記第1のジョー部材が、前記ジョー旋回軸を中心として配置されたプーリを備え、前記第1及び第2の第1のジョー制御ラインが前記プーリの周囲に延びる、実施態様13に記載の器具。
(15) 前記第1のジョー部材が、前記ジョー旋回軸を中心として配置されたプーリを有し、前記第1及び第2の第1のジョー制御ラインが前記プーリの周囲に延びる、実施態様14に記載の器具。
【0116】
(16) 前記第1及び第2のジョー部材が、前記第2の軸を中心として、個別に、及び一緒に旋回可能である、実施態様10に記載の器具。
(17) 前記ジョーアセンブリと連結されて前記シャフトを通って近位方向に延びる第1の軸の制御ラインを更に備え、前記第1の軸の制御ラインの近位方向への並進運動が、前記ジョーアセンブリを前記手首旋回軸を中心として前記第1の手首部材に向かって近位方向に旋回させる、実施態様10に記載の器具。
(18) 前記超音波ブレードが、伸長した位置から収縮した位置へと前記長手方向軸に対して平行な方向に並進運動可能である、実施態様10に記載の器具。
(19) 前記第1の軸を中心とした前記ジョーアセンブリの運動範囲が、前記超音波ブレードが前記収縮した位置にある場合に大きくなる、実施態様10に記載の器具。
(20) 前記ジョーアセンブリが前記超音波ブレードの方向に向けられた面を画定し、前記面と連結されたクランプパッド材料を更に備える、実施態様10に記載の器具。
【0117】
(21) 長手方向軸に対してほぼ平行に遠位方向に延びる超音波ブレードを有するエンドエフェクタと、
前記長手方向軸に沿って前記エンドエフェクタから近位方向に延びるシャフトと、
ジョーアセンブリであって、
前記長手方向軸に対してほぼ垂直な第1の軸を中心として旋回可能な第1のジョー部材と、
前記第1の軸を中心として旋回可能な第2のジョー部材であって、第1及び第2の叉(tines)を画定する、第2のジョー部材と、を備え、前記第1及び第2のジョー部材が、前記第1及び第2のジョー部材が互いから離れる少なくとも1つの開位置から、前記第1及び第2のジョー部材が互いに近づく方向に旋回される少なくとも1つの開位置へと、前記第1の軸を中心として旋回可能であり、前記第1及び第2の叉が、前記第1のジョー部材及び前記超音波ブレードと整列した開口部を画定する、外科用器具。
(22) 前記第1のジョー部材が、前記第1の軸を中心として配置されたプーリを備え、前記器具が、前記プーリの周囲に配置されて前記第1のジョー部材を前記第1の軸を中心として旋回させる第1のケーブルを更に備える、実施態様21に記載の外科用器具。
(23) 前記第2のジョー部材が、前記第1の軸を中心として配置されたプーリを備え、前記器具が、前記プーリの周囲に配置されて前記第2のジョー部材を前記第1の軸を中心として旋回させる第2のケーブルを更に備える、実施態様21に記載の外科用器具。
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