特許第6174144号(P6174144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174144
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】脂質の光学的検出
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/33 20060101AFI20170724BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   G01N21/33
   G01N21/27 Z
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-525411(P2015-525411)
(86)(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公表番号】特表2015-524924(P2015-524924A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】US2012071896
(87)【国際公開番号】WO2014021917
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】61/677,123
(32)【優先日】2012年7月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】308020283
【氏名又は名称】フェンウォール、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】コーク,ウィリアム ヘンリー
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−510362(JP,A)
【文献】 特表2003−502631(JP,A)
【文献】 国際公開第96/017243(WO,A1)
【文献】 特表2001−514744(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0106552(US,A1)
【文献】 特開2007−248276(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0211989(US,A1)
【文献】 特開2008−275627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
G01N 21/11−21/61
G01N 33/48−33/98
A61M 1/00− 1/38
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液から血漿を分離するように構成された血液セパレーターと組み合わせて使用するための光センサーシステムであって;
分離された血漿を青色および/または紫外光が通過するように構成された青色および/または紫外光光源と
離された血漿を通過する前記青色および/または紫外光の少なくとも一部を受光し、そして分離された血漿中の脂質含量を指示する信号を発生する光検出器と;そして
前記光検出器からの信号を受信し、分離された血漿中の脂質含量を少なくとも部分的に前記信号に基づいて決定するように構成されているコントローラとを含んでいる光センサーシステム。
【請求項2】
前記青色および/または紫外光光源は、実質的に約450−510nmの範囲内の波長を有する青色光を発射するように構成されている青色光源を含んでいる請求項1の光センサーシステム。
【請求項3】
前記青色および/または紫外光光源は、実質的に約300−400nmの範囲内の紫外光を発射するように構成された紫外光源を含んでいる請求項1の光センサーシステム。
【請求項4】
分離された血漿を実質的に約550−580nmの範囲内の波長の光が通過するように構成されたさらなる光源と;そして分離された血漿を通過する前記さらなる光源からの光の少なくとも一部を受光し、ヘモグロビン含量を指示する信号を発生するように構成された光検出器をさらに含んでいる請求項1ないし3のいずれかの光センサーシステム。
【請求項5】
前記光源は複数の別々の光源を含み、および/または前記光検出器は複数の別々の光検出器を含んでいる請求項1ないし4のいずれかの光センサーシステム。
【請求項6】
血液から血漿を分離するように構成された流体処理区域を含んでいる血液セパレーター;
流体処理区域から血漿を除去するため流体処理区域と連通している血漿流路;そして
青色および/または紫外光が分離された血漿を通過するように構成された青色および/または紫外光光源と、そして分離された血漿を通過する前記青色および/または紫外光の少なくとも一部を受光し、分離された血漿中の脂質含量を指示する信号を発生するように構成された1以上の光検出器と、そして、1以上の前記光検出器からの信号を受信し、分離された血漿中の脂質含量を少なくとも部分的に前記信号に基づいて決定するように構成されているコントローラとを備える光センサーシステム;
を含む血液処理システム。
【請求項7】
前記青色および/または紫外光光源は、実質的に約450−510nmの範囲内の波長を有する青色光を発射するように構成されている請求項6の血液処理システム。
【請求項8】
前記コントローラは、青色光源から発射された青色光の50%未満が一以上の光検出器によって検出された時上昇した脂質含量を指示する出力を発生するように構成されている請求項7の血液処理システム。
【請求項9】
前記青色および/または紫外光光源は、実質的に約300−400nmの範囲内の波長を有する紫外光を発射するように構成されている請求項6の血液処理システム。
【請求項10】
分離された血漿を実質的に約550−580nmの波長を有する光が通過するように構成されたさらなる光源と、そして分離された血漿を通過する前記さらなる光源からの光の少なくとも一部を受光し、ヘモグロビン含量を指示する信号を発生するように構成された光検出器とをさらに含んでいる請求項6ないし9のいずれかの血液処理システム。
【請求項11】
前記光源は複数の別々の光源を含み、および/または前記光検出器は複数の別々の光検出器を含む請求項6ないし10のいずれかの血液処理システム。
【請求項12】
前記青色および/または紫外光光源は、血漿流路中の血漿を青色および/または紫外光が通過するように構成されている請求項6ないし11のいずれかの血液処理システム。
【請求項13】
前記青色および/または紫外光光源は、血液セパレーター中の血漿を青色および/または紫外光が通過するように構成されている請求項6ないし11のいずれかの血液処理システム。
【請求項14】
血漿流路と連通している血漿貯蔵容器をさらに含み、前記青色および/または紫外光光源は、血漿貯蔵容器内の血漿を青色および/または紫外光が通過するように構成されている請求項6ないし11のいずれかの血液処理システム。
【請求項15】
血液から血漿を分離し;
分離された血漿を青色および/または紫外光を通過させ;
分離された血漿を通過する前記青色および/または紫外光の少なくとも一部を受光し
漿流路中の血漿の脂質含量を指示する、血漿を通過する青色および/または紫外光の量に基づいて信号を発生させ;そして
前記血漿流路中の血漿の脂質含量を少なくとも部分的に前記信号に基づいて決定する
ことを含む血液を血漿と他の血液成分に分離する方法。
【請求項16】
前記青色および/または紫外光は実質的に約450−510nmの範囲内の波長を持っている請求項15の血液分離方法。
【請求項17】
前記信号を発生は、青色光の50%未満が分離された血漿を通過する時上昇した脂質含量を指示する信号を発生させることを含む請求項16の血液分離方法。
【請求項18】
前記青色および/または紫外光は、実質的に約300−400nmの範囲内の波長を有する紫外光を含んでいる請求項15の血液分離方法。
【請求項19】
分離した血漿を実質的に約550−580nmの範囲内の波長の光を通過させ;
分離した血漿を通過した後550−580nm波長の光の少なくとも一部を受光し;そして
前記分離された血漿中のヘモグロビン含量を指示する、血漿を通過する550−580nm波長の光の量に基づいて信号を発生させる;
ことをさらに含んでいる請求項15ないし18のいずれかの血液分離方法。
【請求項20】
前記青色および/または紫外光は、複数の別々の光源によって分離された血漿を通過させられるか、および/または分離された血漿を通過した後複数の別々の光検出器によって受光される請求項15ないし19のいずれかの血液分離方法。
【請求項21】
請求項1ないし14のいずれかのシステムを使用する請求項15ないし20のいずれかの血液分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は血液分離システムおよび方法に関する。もっと詳しくは、本発明は分離した血漿中の脂質を検出するためのシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在種々の血液処理システムが血液源から全血の代りに特定の血液成分の採取を可能としている。典型的には、そのようなシステムにおいて全血が血液源から引かれ、特定の血液成分が分離、除去および採取され、そして残りの血液成分は血液源へ返還される。血液源がヒトドナーの時は、特定の成分のみを除去することは有利である。何故ならばドナーの体が献血前のレベルへ復帰するのに多分より少ない時間しか必要とせず、そして献血を全血が採取される時よりももっと頻繁な間隔で行うことができるからである。これは輸注および/または治療処置に利用される血漿および血小板のような血液成分の全体の供給量を増加する。
【0003】
全血は、イリノイ州レークズーリックのフェンウォールインコーポレイテッドからのAmicusセパレーターもしくは他の遠心分離装置のような遠心機を通して、またはフェンウォールのAUTOPHERESIS−C装置のような回転膜タイプのセパレーターを通って、その構成成分(例えば赤血球、血小板および血漿)に分離される。
【0004】
これらのシステムのあるものにおいて、分離された血漿中にヘモグロビンの存在を検出するため光学装置が備えられる。しかしながら経験は、ヘモグロビンを検出する光学装置の性格と、そして脂質からヘモグロビンを区別する結果を与える困難性のため、血漿中の過剰の脂質の存在は偽のヘモグロビン警告を発生し得ることを示した。血漿中の過剰の脂質の存在は、血液セパレーター中で血漿から除去される血小板を定量化しようとする、または遠心分離の間分離された赤血球と血漿の間の界面の位置をモニターしようとするシステムに困難を発生させる。従って分離された血漿中の脂質の存在をより良く検出する血液処理システムに対する需要が残っている。
【概要】
【0005】
以下に記載しそしてクレームした装置およびシステムに個々にまたは一緒に具体化し得るいくつかの本主題の局面が存在する。これらの局面は単独で、またはここに記載した主題の他の局面と組み合わせて採用することができ、そしてこれらの局面の説明はこれらの局面の別々の使用またはそのような局面の別々のクレームまたは特許請求の範囲に述べたのと異なる組み合わせを排除することを意図しない。
【0006】
一局面において、分離された血漿のための流れのための血漿流路を有する血液分離チャンバーと組み合わせて使用するための光センサーシステムが提供される。光センサーシステムは、青色および/または紫外光が血漿流路中の血漿を通過するように構成された青色および/または紫外光源を含んでいる。光センサーシステムはまた、青色および/または紫外光の少なくとも一部を受光し、そして血漿流路中の血漿中の脂質含量を指示する信号を発生する。
【0007】
他の一局面において、血液処理システムは血液から血漿を分離するように構成された流体処理区域を有する血液セパレーターを含む。システムはまた、流体処理区域から血漿を除去するための該区域と連通する血漿流路を含んでいる。血液処理システムの光センサーシステムは、青色および/または紫外光が血漿流路中の血漿を通過するように構成された青色および/または紫外光源を含んでいる。光センサーシステムはまた、青色および/または紫外光の少なくとも一部を受光し、そして分離された血漿中の脂質含量を指示する信号を発生する。
【0008】
なお他の一局面において、血液を血漿と他の血液成分とに分離するための方法が提供される。該方法は血液から血漿を分離し、そして青色および/または紫外光を分離された血漿を通過させることを含む。青色および/または紫外光の少なくとも一部が分離された血漿を通過した後受光され、そして血漿を通過する青色および/または紫外光の量に基づいて信号を発生する。この信号は分離された血漿中の脂質含量を指示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】回転膜タイプの分離チャンバーを有する使い捨て流体セットと組み合わせた本開示の局面を採用する血液処理システムの正面図である。
図2】作業位置で示した遠心機ボウルおよびスプールを有する本発明の局面を採用する血液処理システムの一部破断一部断面側面図である。
図3】血液分離チャンバーを収容するための直立位置で示したボウルおよびスプールを有する、図2に示したシステムの一部破断一部断面側面図である。
図4】直立位置にあり、そして血液分離チャンバーを支承している図3に示した遠心機アセンブリのスプールの斜視図である。
図5】スプールと連携外にある図4に示した血液分離チャンバーの平面図である。
図6】傾斜路が所望位置にある時のチャンバー内の遠心的に分離された赤血球層、血漿層および界面を示す、血液分離チャンバーと連携した遠心機アセンブリに支承された界面傾斜路の拡大斜視図である。
図7】傾斜路上の赤血球層とそして望まない高い位置にある界面を示す、図6の界面傾斜路の拡大斜視図である。
図8】傾斜路上の赤血球層とそして望まない低い位置にある界面を示す、図6の界面傾斜路の拡大斜視図である。
図9】界面コントローラーの一部を形成することができる、光センサーアセンブリの概略図である。
図10】界面コントローラーの一部を形成することができる、代替光センサーアセンブリの概略図である。
【例証具体例の詳細な説明】
【0010】
ここに開示した具体例は本主題の説明を提供する目的のためであり、そして主題は詳細に示さない種々の形および組み合わせに具体化し得ることが理解される。それ故ここに記載した特定の具体例および特徴は特許請求の範囲に規定した主題の限定として解釈してはならない。
【0011】
図1は、FenwalからAUTOPHERESIS−Cとして現在販売されているタイプの回転膜タイプの血液処理システム10を示す。図1のシステム10は、本開示の装置および方法と共に採用することができる血液処理システムの一つのタイプの単なる例示であり、本開示の適用可能性の限定として理解すべきではない。
【0012】
システム10は、使い捨て流体セット12と協力のための、マイクロプロセッサーまたはコントローラーのコントロール下にある種々のポンプ、検出器、クランプ等を備えている。図1に示すように、システム10の前面にポンプP1−P4が備えられる。これらのポンプはぜん動タイプで良く、そして血液をセット12の種々のエレメントの間で望む方向に流すため使い捨て流体セットの種々のチューブと協力する。
【0013】
一連のクランプC1−C5も使い捨て流体セット12のチューブを収容するために備えられることができる。クランプC1−C5は開位置と閉位置の間を可動であり、そのためそれを連携するチューブを開きまたは閉じるように作動する。
【0014】
システムの前面は、圧力トラスジューサー14、ヘモグロビン検出器16、空気検出器18、液体貯槽20のレベルを決定するためのセンサー、および使い捨て流体セット12の血液分離チャンバー24のためのマウントまたは下方ホルダー22のような多数の部品を含むことができる。システム10の前面はまた、分離チャンバー24のローターを駆動するモーター磁石を取り付けるためのモーターカップまたは回転アクチュエーター26を含むことができる。このように分離チャンバー24はその上端を回転アクチュエーター26内に配置して下方マウント22上に設置され、それによって磁気接続が磁気駆動モーターと設置されたチャンバーのローターとの間に実現される。
【0015】
図示したシステムおよびセット12を使用する血液を構成部分に分割する方法に従えば、セット12はシステム10へ、図1に示したように、そのチューブが種々のポンプ、クランプおよび検出器を通過するように取り付けられる。マイクロプロセッサーの制御のもとにシステム10は、血液を血液源から(例えばドナーまたは患者または容器から)静脈切開針のようなアクセス器具28を介して引くため、ポンプ、クランプ、検出器等を作動する。セット12の抗凝固剤源または容器30からの抗凝固剤を一以上のポンプの作動のもとで血液へ加えることができる。抗凝固剤添加血液は、血液が血漿と細胞性血液成分との分離される流体処理区域を備える回転膜タイプ分離チャンバー26の上部ポート32中へ指向される。適切な分離チャンバーおよびその作動の追加的詳細は、参照としてここに取り入れる米国特許第5,135,667号および第5,194,145号に見られる。
【0016】
分離された細胞成分はポート39を通って分離チャンバー26を出て、そして貯槽20中へ流れることができる。分離された細胞成分は後での使用または処理のため貯蔵されるか、またはアクセス器具28を介して血液源へ返還することができる。
【0017】
分離された血漿は、血漿貯蔵容器38へ入る前にヘモグロビン検出器16を通って流れるように、ポート26およびセット12の関連する血漿流路または血漿ラインを通って分離チャンバー26を出て行くことができる。一具体例において、ヘモグロビン検出器16は光源および光検出器を含むことができ、光検出器は約550−580nmの範囲の波長を持つ緑色光を発光するように構築されている。ヘモグロビンは、光検出器による低いレベルの読み(すなわち血漿流路中、血漿が通過する代わりに血漿によって緑色光のある量が吸収された時)が分離された血漿中の大きなヘモグロビン濃度または含量の指示であることを意味する、そのような光を吸収するであろう。光検出器は血漿中のヘモグロビン濃度または含量を指示する信号を発生させ、そしてレベルが一定量を超えている時、分離された血漿中の上昇したヘモグロビン濃度または含量をオペレーターへ警告する警報または信号を発生するか、および/または溶血を減らすため処理条件を変えるため該当するポンプ速度を変更するシステム10のコントローラーへ信号を送信する。
【0018】
本主題に従えば、ヘモグロビン検出器16を通って流れることに加え、分離された血漿は脂質検出器または光センサーシステム40を通って流れることができる。図示した具体例において、脂質検出器40はヘモグロビン検出器16の下流に配置されているが、他の具体例においてはそれはヘモグロビン検出器16の上流に配置することができ、またはヘモグロビンと脂質の検出器を単一の統合した検出器またはステーションに組み込むことができる。
【0019】
脂質検出器40は一以上の光源42と、そして光源によって発光された光の少なくとも一部を受光するように位置しそして配向された一以上の光検出器44を含んでいる。例えば一具体例において、各光源は、脂質検出器40を通過する使い捨てセットのチューブの反対側の関係する光検出器を含んでいる。他の具体例においては、光検出器は関係する光源に関してある角度に配置することができ、および/または異なる数の別々の光源および光検出器があり、それらを一緒に統合することもできる。
【0020】
各光源42は関連する光検出器44によって少なくとも部分的に受光される光をチューブを通して放つ。光の性格とチューブを通過する流体の組成に応じて、光源によって発射された光の全部が関連する光検出器によって受光されないことがあり得る。例えば光の一部の波長が一部の流体成分を通過しそして検出されることなくそれによって吸収されるであろう。他のファクター(例えばチューブ自体によってチューブを通過する光が散乱または吸収される傾向)を考慮に入れて、光検出器によって受光される光のパーセンテージおよび性格は、流体またはその成分によって吸収された光(またはその一以上の波長)のパーセントの指示である。
【0021】
上で記したように、分離された血漿中の脂質の存在は、一部のヘモグロビン検出器からの偽のヘモグロビン警報、分離された血漿中に存在する血小板定量の困難性、および遠心分離の間分離された赤血球と血漿の間の界面の位置の可能性ある誤算出を含む、多数の理由のため問題になり得る。従って、分離された血漿中の脂質の検出、そして特にヘモグロビンからの脂質の区別は非常に有用である。ヘモグロビンは、約550ないし580nm(酸素含量に応じて)において実質的に光を吸収し、しかし青色光(例えば約470nm、または約450ないし510nmの範囲の波長を持つ)と、紫外光(例えば約380nmまたは約300ないし400nmの範囲の波長を持つ)の透過を実質的に許容する。他方青色および/または紫外光は、チューブを通って流れる分離された血漿中に存在する脂質によって実質的に吸収されるであろう。このため青色および/または紫外光を発光するように構成された光源42を血漿中の脂質の存在または不存在を検出するために使用し得る。
【0022】
図1の具体例において、チューブおよびそれを通って流れる血漿を通って青色光、紫外光または両方の波長を含む光を指向させる、好ましくは1個の光源42が採用される。他の具体例においては、各自チューブおよびそれを通って流れる血漿を通って青色光、紫外光または両方の波長を含む光を指向させる、複数の光源を採用することができる。もし複数の光源が採用されるならば、種々の光源は同じ光、または異なる波長の光を発射することができる。光源の性格は本開示の範囲を逸脱することなく変動し得るが、しかし一具体例において光源は発光ダイオードを含む。
【0023】
青色および/または紫外光はチューブとチューブを通って流れる血漿を通過し、そして関係する光検出器44によって少なくとも一部が受光される。光検出器(一具体例において、これは光ダイオードを含む)は血漿中の脂質の量または濃度の指示である信号を発生する。この信号は、もし必要であれば脂質検出器40またはコントローラーのプロセッサーによってさらに処理されることができる。もし光の比較的大きい量またはパーセントが検出器によって受光されたならば、検出器によって大きいまたは強い信号が発生させられることができる。もし光の比較的小さい量またはパーセントが検出器によって受光されたならば、検出器によって小さいまたは弱い信号が発生させられ得る。信号が小さければ小さいほどまたは弱ければ弱いほど、チューブを通って流れる分離される血漿中により多い脂質が存在し、そしてこのためより多くの青色および/または紫外光が吸収される。もし複数の光検出器が採用されるならば、複数の信号が光検出器によって発生させれるか(例えば各光検出器が一つの信号を発生し)、または種々の光検出器による読みを単一の信号に統合することができる。
【0024】
プロセッサーまたは処理エレメントは、光検出器からさらなる解析のための分離された血漿の脂質含量の指標である信号を受信する。この解析は処理エレメントにより種々の方法において実施することができる。一具体例において、処理エレメントは、光源からの全部のまたはあらかじめ選択された量の光を受光した時光検出器によって発生した信号を代表する期待されるまたは参照信号と比較する。実際の信号と期待される信号の間の差は、分離された血漿の脂質含量または濃度の指示であり、比較的小さい差は脂質の不存在または比較的小さい量を指示し、そして比較的大きい差は血漿中の比較的大きい量の脂質の存在を指示する。他のファクター(例えば光源から光検出器への光の透過に対する血漿およびチューブの影響)を光検出器からの信号を解析するとき処理エレメントによって考慮することができる。
【0025】
信号を解析した後、処理エレメントはチューブ中の血漿の脂質含量または濃度を指示する出力を発生する。この出力をもって、システム10のコントローラーは、レベルが一定の量を超えたときオペレーターへ分離された血漿中の脂質の存在を知らせる警告または信号を発生する。例えば、平均または正常な脂質濃度値は約100mg/dLである。他方それより大きいまたは特定の閾値(例えば一具体例において、約200mg/dL)にある脂質濃度は上昇したまたは高いと考えることができ、そしてもし検出されたならば警報を登録か、または脂血血漿を指示する出力を発生するであろう。一実施例において、約100mg/dLの脂質濃度を有する血漿中へ照射される約490nmの波長を有する青色光の約28−38%が吸収されたか、または関連する光検出器へ他のように到達しなかった。対照的に、約200mg/dLの脂質濃度を有する血漿中へ照射される同じ青色光の約58−62%が吸収されたか、または関連する光検出器へ他のように到達しなかった。このためそのような例に基づいて、システム10のコントローラーまたはプロセッサーは、光源から発射された光の40%以上または50%以上が吸収されるか、または他のように関係する光検出器へ到達しなかった時、警報を発するように構築することができる。脂血血漿はある種の治療用途には不適であるが、しかし他の用途には適していることがあり得る。従って脂質検出器40によって脂血血漿として同定された血漿は標識されるか、隔離されるか、またはそれが適している用途のため目印することができる。
【0026】
一具体例において、脂質検出器40は、ヘモグロビンが検出された時だけ分離された血漿を分析するようにシステムコントローラーによりそれが作動されるように、ヘモグロビン検出器16の作動と組み合わせて採用することができる。もし血漿中に脂質の有意の量の存在が検出されたならば、脂質をヘモグロビンから区別する困難性のためヘモグロビン検出器が偽の警報を発する傾向がある。偽のヘモグロビン警報の回数を減らすため、システム10のコントローラーは、ヘモグロビン警報または信号を発する前に、脂質検出器40およびヘモグロビン検出器16からの信号を待つように構築されることができる。もし血漿流路を通過する血漿が検出器によってヘモグロビンと脂質の両方の高いレベルを持っていると決定されたならば、コントローラーはヘモグロビン警告信号をキャンセルし、そして脂質信号または警報のみを発するように構成されることができる。そのためそのようなシステムは、それにより脂血血漿がヘモグロビン検出器によって溶血血漿と誤って同定される偽の警報を防止することを助ける。他の具体例において、脂質検出器40はヘモグロビン検出器16から独立であることができ、そしてヘモグロビン検出器16により血漿中に溶血が検出されたか否かに関係なく作動することができる。
【0027】
上で述べたように、本開示に従った脂質検出器は図1の回転膜セパレーターシステム10と組み合わせた使用に限定されず、他のタイプの血液処理システムにも採用することができる。例えば図2および図3は、図1のシステム10に関して上に記載した、分離した血漿中の脂質の存在または濃度を検出するための本開示に従った脂質検出器を組み入れることができる遠心血液処理システム110を示している。
【0028】
本主題は追加の有用性を持っている。本開示の他の局面に従えば、システム110は、改良された脂質および界面検出能力のため界面コントローラー112(図9および10)と組み合わせて脂質検出器を採用することができる。図示したシステム110は、ここに参照として取り入れる米国特許第5,868,696号に詳しく記載されている、イリノイ州レークズーリックのフェンウォール、インコーポレイテッドによってAMICUSセパレーターとして現在上市されているシステムと多数の遠心機設計を共通にしている。システム110は種々の流体の処理に使用できるが、しかし特に全血、血液成分、または他の生物学的細胞材料の懸濁液の処理のために良く適している。
【0029】
A.遠心機アセンブリ
システム110は血液成分を遠心分離するために使用される分離チャンバー114を含んでいる。システム110は、血液を種々の成分(例えば血小板濃縮物、血小板リッチ血漿および赤血球)に分離するようにプログラムされることができる。それは血小板採取、治療的血漿交換、赤血球交換、赤血球または血漿採取、または他の血液処理適用のために使用することができる。例証目的のみのため、血小板採取操作および治療的血漿交換操作がここに記載されるであろう。しかしながら、ここに記載され、クレームされた原理は、本開示の範囲を逸脱することなく他の血液分離操作にも採用することができる。
【0030】
図示した遠心機アセンブリ114は、ここに参照として取り入れるBrownらの米国特許第5,316,667号の遠心機アセンブリといくつかの設計局面を共通している。例証の目的のためそして限定ではなく示した図示した遠心機アセンブリは、ボウル116とスプール118とを含む。一具体例において、ボウル116とスプール118は、作業位置(図2)と装荷/脱装荷位置(図3)の間でヨーク120の上で回動する。ボウル116とスプール118へアクセスする他の方法も本開示の範囲を逸脱することなく採用し得る。本主題は成形した遠心機チャンバー、あらかじめ形成した処理チャンバースロットを有する遠心機ボウル、または他の設計のような、スプールおよびボウルを使用しない遠心機に使用することができる。
【0031】
B.血液分離チャンバー
血液分離チャンバー122は種々に構成することができる。図5は代表的な具体例を示している。
【0032】
図5に示したチャンバー122は単一また多段階処理のどちらも許容する。全血の多段階処理に使用する時、第1の段階124は全血を第1および第2の成分に分離する。分離操作の性格に応じて、成分の一方をさらなる処理のため第2の段階126へ移すことができる。
【0033】
図4および図5に最良に示すように、第1段階124に関連して3個のポート128,130および132が存在する。特定の血液処理操作に応じて、ポートは異なる機能を持つことができるが、例示的操作においては、132で同定したポートは、血液源またはドナーから血液(これは抗凝固剤を含有することができる)を第1段階124中へ運搬するために使用することができる。そのような操作の間、他の2個のポート128と130は、第1の段階124を出て行く分離した血液成分のための出口ポートとして役立つことができる。例えば第1の出口ポート130は第1の段階124から低密度血液成分を運搬し、一方第2の出口ポート128は高密度血液成分を第1段階124から運搬することができる。
【0034】
1段階処理を実施する方法において、分離された成分の一方はドナーへ返還され、他方は第1の段階から除去され、貯蔵される。例えば治療的血漿交換操作を実施する時、第1段階124において全血が細胞成分(すなわち高密度赤血球成分)と実質上細胞不含成分(すなわち低密度成分)として分離される。血漿は採取および貯蔵のため第1の出口ポート130を経由して第1の段階124から除去され、一方細胞成分は第2の出口ポート128を経由して第1段階から除去され、そしてドナーまたは患者へ返還される。代って血漿を採取し貯蔵する代りに、分離後捨てられるか、または二次装置により処理されそしてドナーまたは患者へ返還されることができる。
【0035】
もし多段階処理が必要であれば、例えば血小板採取操作において成分の一つ(血小板リッチ血漿)は第1段階124から関連するポート134を経由して第2段階126へ移されるであろう。第2段階126へ移された成分は血漿と血小板濃縮物のようなサブ成分にさらに分画され、サブ成分の一つ(一具体例においては血漿)は出口ポート136を経由して第2段階から除去され、そして他のサブ成分(一具体例においては血小板リッチ血漿)は第2段階126中に残る。図示した具体例において、ポート128,130,132,134および136はチャンバー122の頂部横縁に沿って並んで配置されている。
【0036】
前記した治療的血漿交換操作に使用される時、第1の段階124の同じポート128,130および132が使用されるが、ポート128と132は多段階分離操作において異なる機能を持つことができる。血小板採取のための多段階作業方法において、血液はポート128を経由して第1段階124へ入り、そして赤血球(すなわち高密度血液成分)と血小板リッチ血漿(すなわち低密度血液成分)とに分離される。赤血球はドナーへ返還され(ポート132を経由して)、他方血小板リッチ血漿は第1段階124を出て(第1の出口ポート130を経由して)そして第2段階126へ(入口ポート134を経由して)運ばれる。第2段階126において、血小板リッチ血漿は血小板プア血漿と血小板濃縮として分離される。血小板プア血漿は第2段階126から除去され(出口ポート136を経由して)、そして来たるべき再懸濁および一以上の貯蔵容器への移送のため血小板濃縮物を第2段階126中へ残す。
【0037】
図4に最良に示すように、チューブ臍帯138がポート128,130,132および136へ取り付けられる。臍帯138は、回転する第1および第2段階124および126を相互に、そして遠心機アセンブリ114の回転部品の外部に配置されたポンプおよび他の静止部品とに相互接続する。図2が示すように、非回転(ゼロオメガ)ホルダー140は、臍帯142の上方部分をスプール118およびボウル116上方の非回転位置に固定する。ヨーク120上のホルダー142は、臍帯138の中間部分を第1の速度(1オメガ)において懸吊したスプール118とボウル116のまわりで回転させる。他のホルダー144(図3および4)は、臍帯138の下端を遠心機アセンブリ114へ取り付ける。臍帯138の本来の強度は遠心機アセンブリ114をして1オメガ速度の2倍の速度(2オメガ)で回転させる。この知られた臍帯138の相対回転はそれをねじりの蓄積から守り、この態様で回転シールの必要性を回避する。代替具体例においては、遠心機アセンブリ114を回転するため臍帯138をホルダー142が回転する代りに、臍帯138および/または遠心機アセンブリ114を別に回転するため歯車システムを採用することができる。本主題は回転シールを使用する遠心機にも使用することができ、そしてシールなし遠心機システムに限定されないことに注目すべきである。
【0038】
図5に示すように、第1の内部シール146が低密度出口ポート130と高密度出口ポート128の間に配置されている。第2の内部シール148は高密度出口ポート128と血液入口ポート132の間に配置されている。内部シール146および148は流路150(例示血小板採取操作においては全血のための入口または例示治療的血漿交換操作においては高密度血液成分のための出口)と、そして第1段階124における低密度採取区域152を形成する。第2のシール148は第1段階124中の流体流路(例示的血小板採取操作において高密度血液成分のための出口または例示的治療目的血漿交換操作において血液入口)をも形成する。
【0039】
血小板採取操作において、流体流路150は血液を第1段階124へ導き、そこで光学的に密な層156(図6)へ分離する。この層は大きいおよび/または重い血液粒子が遠心力の影響のもとで高G(外側)壁へ向かって動く時に生成する。光学的に密な層156は赤血球を含むであろう(このためここでは“RBC層”と呼ぶ)が、しかしアセンブリ114が回転する速度に応じ、他の細胞成分(例えば大きい白血球)もRBC層156中に存在し得る。
【0040】
流体通路150により血液を第1段階124中へ流す(血小板採取操作におけるように)代りに、血液は治療目的血漿交換操作においては流体通路154によって第1段階に入るが、しかし血液はなおRBC層158に分離される。血小板採取操作と比較して、遠心機アセンブリ114は治療目的血漿交換操作の間より速い速度で回転し、第1段階124内により強力な遠心場をつくり出す。より強力な遠心場の結果、追加の細胞成分、すなわち白血球および血小板がRBC層156中により多い量で存在するであろう。
【0041】
両方の場合、RBC層156の成分の運動はより密度の小さい血液成分を低G(内側)壁164へ向かって移動させ、第2の光学的により密度の低い層158を形成する。例示的血小板採取操作において、光学的により密でない層158は血小板リッチ血漿(このためここでは“血漿層”と称す)を含んでいる。他の例示的治療目的血漿交換操作においては、光学的により密でない層158は実質的に血小板不含血漿を含んでいる。しかしながら、遠心機アセンブリ114が回転する速度および血液が遠心機アセンブリ内に滞在する時間の長さに応じて、他の成分(例えばより小さい白血球)も血漿層158内に存在し得る。
【0042】
RBC層156と血漿層158の間の過渡域は界面160(図6)と一般に称される。血小板と白血球(これらは血漿よりも大きく、そして通常赤血球よりも小さい密度を持っている)が典型的にこの過渡区域を占領しているが、それはこの技術分野において良く知られているように、遠心速度および滞在時間に応じて変動する。
【0043】
チャンバー122内の界面160の位置は、図7および8が示すように、動的にシフトする。もし界面160が高過ぎるならば(すなわち図7が示すように低G壁164および除去ポート130へ近過ぎるならば)、細胞成分が低密度採取区域152へあふれ、潜在的に低密度成分(典型的には血漿)の品質に悪影響し得る。他方界面160の位置が低過ぎるならば(すなわち図8が示すようにそれが低G壁164から遠過ぎるならば)、システム110の採取効果が損なわれる。
【0044】
図示した具体例において、図6が示すように、傾斜路166がボウル116の高G壁162から角度“A”で低密度採取区域152にわたって延びている。第1の出口ポート130の軸に関して測定した角度“A”は一具体例において、約25°である。図6はスプール118の低G壁164から見た時の傾斜路166の配向を示している。図5は点線でボウル116の高G壁162から見た時の傾斜路166の配向を示している。
【0045】
傾斜路166と第1の出口ポート130の角度関係の詳細は、ここに参照として取り入れるBrownらの米国特許第5,632,893号に見ることができる。
【0046】
傾斜路160は第1の出口ポート130へ向かっての流体の流れを制限する先細の楔を形成している。傾斜路166の頂縁は低G壁164に沿って狭くなった通路168を形成するように延びている。血漿層158は第1の出口ポート130へ到達するためには狭くなった通路168を通って流れなければならない。
【0047】
図6が示すように、傾斜路166は、RBC層156と血漿層158の間の界面を検出のため一層見分け易くし、後でさらに詳しく記載されるように、チャンバー122の高G壁162の光透過区域を見せるため、RBC層156、血漿層158および界面160をディスプレーする。
【0048】
分離チャンバー122およびその作動はここに参照として取り入れる米国特許第5,316,667号に見られる。
【0049】
C.界面コントローラー
一具体例において、界面コントローラー(図9および10)は、遠心機アセンブリ114の外部の異なる位置に配置された、第1の光センサーシステムまたはアセンブリ170と、第2の光センサーシステムまたはアセンブリ172(図9)または172a(図10)を含んでいる。第1および第2の光センサーシステムは界面コントローラー112の一部として組み合わせて使用されているように記載されるが、それらは本開示の範囲を逸脱することなく別々に使用することができる。
【0050】
(1)第1の光センサーシステム
第1の光センサーシステム170は、傾斜路166上のRBC層156と血漿層158の間の界面160の位置を検出するように配向される。もし第1の光センサーシステム170によって検出された界面160が不適切な位置(例えば図7または8の位置に)にあるならば、界面コントローラー112は界面160の位置を修正するように機能する。好適な第1の光センサーシステム170および界面160の位置の決定方法は、ここに参照として取り入れる米国特許第6,312,607号に記載されている。界面160位置を決定するための他のシステムおよび方法も本開示の範囲を逸脱することなく採用することができる。
【0051】
一具体例において、第1の光センサーシステム170は傾斜路166を通って光る光を受光する。この光は第1の光センサーシステム170へ反射し戻され、界面処理モジュール174(図9および10)へ送られる一以上の信号を発生し、該モジュールは狭くなった通路168に関して傾斜路166上の界面160の位置を決定することができる。
【0052】
傾斜路166上の界面160の位置が決定された時、界面処理モジュール174はその情報を界面指令エレメントまたはモジュール176へ出力する。界面指令モジュール176は界面位置出力と所望の界面位置を比較し、エラー信号を発生させるためのコンパラタを含むことができる。このエラー信号は多数の形を取ることができるが、しかし一具体例においては目標赤血球パーセント値(すなわちRBC層156によって占められるべき傾斜路166のパーセント)として表すことができる。
【0053】
この制御値が目標赤血球パーセント値として表される時、正のエラー信号は傾斜路166上のRBC層156が過大であることを指示する(図7が示すように)。界面指令モジュール176は、例えば出口ポート130へ接続されたチューブ178を通ってポンプ178の作用によって除去される血漿の流量を減らすことによって作業パラメータを調節する信号を発生する(図9および10)。界面160は狭くなった通路68から遠くへ信号がゼロである所望の制御位置(図6が示すような)へ向かって動く。
【0054】
負のエラー信号は傾斜路166上のRBC層が過小であることを指示する。界面指令モジュール176は、例えば第1の出口ポート130を通って除去される血漿の流量を増加することによって作業パラメータを調節する信号を発生する。界面160はエラー信号が再びゼロである所望の制御位置へ狭くなった通路168へ向かって動く。
【0055】
(2)第2の光センサーシステム
血漿層158の光透過性を減らす脂質の存在は第1の光センサーシステム170による界面位置の誤計算に導き得る。従って血漿層158中に脂質が存在するか否かを決定するための第2の光センサーシステム172,172aを別に備えることができる。もし存在すれば、第2の光センサーシステム172,172aは界面処理モジュール174および界面指令モジュール176と協力し、以下に詳しく記載するように、第1の光センサーシステム170によって発生した信号から発生する位置計算および応答を調節することができる。
【0056】
図9は、例示的な第2の光センサーシステム172を示し、図10は後で記載することを除いてシステム172と構造および機能が類似である代替第2の光センサーシステム172aを示す。
【0057】
第2の光センサーシステム172,172aは血漿層158が存在する流体回路のどこかの光透過部分をモニターするように配置 することができる。図示した具体例において、第2の光センサーシステム172,172aは、第1段階から出て行く血漿をモニターするように血液分離チャンバー122の第1の出口ポート130へ接続されたチューブ178をモニターするように配置される。他の血液処理システムに組み入れる時、第2の光センサーシステムは他の位置、例えば遠心機アセンブリ(または血液から血漿が分離されるどのような装置でも)の内側か外側に、または遠心機アセンブリ(または血液から血漿が分離されるどのような位置でも)の一部は内側に一部は外側に配置することができる。
【0058】
図9および10に図示した具体例において、第2の光センサーシステム172,172aは一以上の光源182,182a,182bと、そしてこれら光源から発射された光の少なくとも一部を受光するように配置され、配向された一以上の光検出器184,184a,184bを含んでいる。例えば一具体例において、各光源は、チューブ178の反対側の関連する光検出器を含んでいる。他の具体例においては、光検出器は関連する光源に関してある角度に配置することができ、および/または光源と光検出器の異なる数が存在してもよい。
【0059】
各光源182,182a,182bは関連する光検出器184,184a,184bによって少なくとも部分的に受光される光をチューブ178を通って発射する。図1の脂質検出器40の前記説明によれば、各光源は分離された血漿中の脂質の存在を検出するため、青色および/または紫外光を発光するように構成 される。
【0060】
青色および/または紫外光はチューブ178および血漿を通過し、そして関連する光検出器184,184a,184bによって少なくとも一部が受光される。光検出器(一具体例においては発光ダイオードを含む)は第2の光センサーシステム172,172aのプロセッサーまたは処理エレメント186によって受信される信号を発生する。代替具体例においては、光検出器からの信号は、界面処理モジュールのような界面コントローラー112の他の部品へ直接送られる。なお他の具体例においては、処理エレメント186が界面処理モジュール174のような界面コントローラー112の他の部品中に組み入れられる。
【0061】
処理エレメント186は光検出器からの信号を解析し、分離された血漿中の脂質分量を決定する。この解析は処理エレメント186により、図1の具体例に関して上に記載した態様のような種々の態様のいずれかによって実施することができる。信号を解析した後、処理エレメント186はチューブ178中の血漿中の脂質含量または濃度を指示する信号を発生する。図9および10に示した一具体例においては、処理エレメント186からの出力は、傾斜路166上の界面160の位置の位置決めおよび制御に使用するため界面処理モジュール174へ送られる。前述したように、血漿層158の光透過性は、個々のドナーの生理または形態に依存する血漿中の脂質濃度に応じて変動するであろう。脂血症血漿は食塩水または非脂血症血漿から有意に異なる光密度を持っている。その結果脂質の高濃度を有する傾斜路166上の血漿の存在は、界面の物理的寸法と独立して無関係に感知した電圧信号の大きさを減少する。従って第1の光センサーシステム170は、そのような状況において界面160の位置のモニタリングの減少した正確性を持ち得る。
【0062】
図9および10に示すように、第2の光センサーシステム172,172aの処理エレメント186は界面処理エレメントまたはモジュール174と関連し、これは界面指令エレメントまたはモジュール176と関連し得る。図示した界面指令モジュール174は、血液分離チャンバー122から血漿を除去するためのチューブ178と関連するポンプ180の運転を制御する。従って第2の光センサーシステム172,172aの処理エレメント186によって集められそして処理される信号は、界面160の位置の決定および/または界面160を再配置するための(例えばポンプ180の運転速度を変更することにより)修正作用を取る時に考慮または要因とすることができる。界面の位置を決定し、制御するための二つの別のセンサーアセンブリを採用するシステムおよび方法は、ここに参照として取り入れるFoleyらの米国特許出願No.13/021,346に記載されている。本開示のように、前記米国特許出願は第1のセンサーの作動を修正または改善する脂質センサーを使用し、そのためそのシステムおよび方法は、血液分離チャンバー中の分離された血漿と赤血球の間の界面の位置を一層正確に決定するため第2の光センサーシステム172,172aと共に実施することができる。
【0063】
以上の説明は、血液分離装置の出口チューブに関連して脂質検出器が使用される具体例に主として関しているが、本開示に従った脂質検出器は分離される血漿が存在するであろう他の場所において使用できることを理解すべきである。例えば脂質検出器は、上に記載しそして図9および10に示した第1の光センサーシステム170と同様な脂質検出器の配置および配向によって達成することができる、分離装置中へ青色および/または紫外光を発射するために構成し、配向することができる。他の例において、脂質検出器は血漿貯蔵容器38(図1)中へ青色および/または紫外光を発射するように構成し、配向することができる。
【0064】
上に記載した本主題の局面は単独でまたは一以上の他の局面との組み合わせにおいて有益であり得る。以上の説明を制限することなく、ここに開示した主題の一局面に従って分離された血漿のための血漿流路を有する血液セパレーターと組み合わせて使用するための光センサーシステムが提供される。この光センサーシステムは、血漿流路中の血漿中を青色および/または紫外光が通過するように構成され、配向される。システムはまた、血漿を通過する青色および/または紫外光の少なくとも一部を受光し、そして血漿流路中の血漿中の脂質含量を指示する信号を発生するように構成された光検出器を含んでいる。
【0065】
前述の局面にまたはそれと組み合わせて使用することができる他の一局面に従えば、青色光波長は実質的に約450−510nmの範囲にある。
【0066】
前述の局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用することができる他の一局面に従えば、紫外光波長は実質的に約300−400nmの範囲にある。
【0067】
前述の局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用することができる他の一局面に従えば、光源は青色光と紫外光を発光する。
【0068】
前述の局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用することができる他の一局面に従えば、さらなる光源は血漿流路中の血漿を通って実質的に約550−580nmの範囲の波長の光を通過させるように構成され、そして光検出器は血漿を通過するさらなる光の少なくとも一部を受光し、そしてヘモグロビン含量を指示する信号を発生する。
【0069】
前述の局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、光源は複数の別々の光源を含み、および/または光検出器は複数の別々の光検出器を含む。
【0070】
他の一局面に従えば、血液処理システムが提供される。この血液処理システムは、血液から血漿を分離するように構成された流体処理区域を備える血液セパレーターを含む。システムはまた、血漿を流体処理区域から除去するためそれと連通する血漿流路を含んでいる。血液処理システムの光センサーシステムは、血漿流路中の分離された血漿を青色および/または紫外光が通過するように構成された青色および/または紫外光源を含む。光センサーシステムはまた、血漿を通過した青色および/または紫外光の少なくとも一部を受光し、そして分離された血漿中の脂質含量を指示する信号を発生するように構成された光検出器を含む。
【0071】
前述の局面またはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、青色光波長は実質的に約450−510nmの範囲内にある。
【0072】
前述の二つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、紫外光波長は実質的に約300−400nmの範囲内にある。
【0073】
前述の局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、光源は青色光と紫外光とを発光する。
【0074】
前述の四つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、コントローラーは光源によって発射された光の50%未満が一以上の光検出器によって検出される時上昇した脂質含量を指示する出力を発生するように構成される。
【0075】
前述の五つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、さらなる光源は血漿流路中の血漿を実質的に約550−580nmの範囲にある波長の光が通過するように構成される。光検出器は血漿を通過するさらなる光の少なくとも一部を受光し、そしてヘモグロビン含量を指示する信号を発生するように構成される。
【0076】
前述の六つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、光源は複数の別々の光源を含み、および/または光検出器は複数の別々の光検出器を含む。
【0077】
他の一局面に従えば、血液を血漿および他の血液成分に分離する方法が提供される。方法は血液から血漿を分離し、そして青色および/または紫外光を分離された血漿を通過させる。青色および/または紫外光の少なくとも一部が分離された血漿を通過した後受光され、そして血漿を通過する青色および/または紫外光の量に基づいて信号が発生させられる。
【0078】
前述の局面にまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、青色光波長は実質上約450−510nmの範囲内にある。
【0079】
前述の二つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、紫外光波長は実質的に約300−400nmの範囲内にある。
【0080】
前述の三つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、光源は青色光と紫外光を発射する。
【0081】
前述の四つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、コントローラーは光源によって発射された光の50%未満が一以上の光検出器によって検出された時に上昇した脂質含量を指示する出力を発生するように構成される。
【0082】
前述の五つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、さらなる光源は実質的に約550−580nmの範囲の波長の光が血漿流路中の血漿を通過するように構成される。光検出器は血漿を通過するさらなる光の少なくとも一部を受光し、そしてヘモグロビン含量を指示する信号を発生するように構成される。
【0083】
前述の六つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、光源は複数の別々の光源を含み、および/または光検出器は複数の別々の光検出器を含む。
【0084】
他の一局面に従えば、血液を血漿および他の血液成分に分離するための方法が提供される。方法は血液から血漿を分離し、そして分離された血漿を青色および/または紫外光を通過させることを含む。青色および/または紫外光の少なくとも一部が分離された血漿を通過した後に受光され、そして血漿を通過する青色および/または紫外光の量に基づいて信号を発生させる。この信号は分離された血漿中の脂質含量を指示する。
【0085】
前述の一局面にまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、青色光波長は実質的に約450−510nmの範囲内にある。
【0086】
前述の二つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、紫外光波長は実質的に約300−400nmの範囲内にある。
【0087】
前述の三つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、光源は青色光と紫外光を発射する。
【0088】
前述の四つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、コントローラーは光源から発射された光の50%未満が一以上の光検出器によって検出された時に上昇した脂質含量を指示する出力を発生するように構成される。
【0089】
前述の五つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、実質的に約550−580nmの範囲内の波長を持つ光が分離された血漿を通過する。550−580nm波長の光の少なくとも一部が分離された血漿を通過した後に受光される。血漿を通過する550−580nm波長の光の量に基づいて分離された血漿中のヘモグロビン含量を指示する信号が発生される。
【0090】
前述の六つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、光源は複数の別々の光源を含み、および/または光検出器は複数の別々の光検出器を含む。
【0091】
前述の七つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、光は複数の別々の光源によって別々の血漿を通過および/または分離された血漿を通過後複数の別々の光検出器によって受光される。
【0092】
他の一局面に従えば、前述の八つの局面のどの方法も最初の13の局面のどれかのシステムを使用して実施される。
【0093】
他の一局面に従えば、分離された血漿の流れのための血漿流路を含んでいる血液セパレーターと組み合わせて使用するための光センサーシステムが提供される。光センサーシステムは血漿流路中の血漿を第1の光が通過するように構成された第1の光源を含み、第1の光は血漿中のヘモグロビンによって有意に吸収される選択された第1の波長の第1の光である。第2の光源は血漿流路中の血漿を第2の光が通過するように構成され、第2の光はヘモグロビンにより有意に吸収されないが、しかし血漿中の脂質によって有意に吸収される選択された波長の光である。
【0094】
前述の局面にまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、第1の波長は実質的に約550と580nmの間にある。
【0095】
前述の二つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、第2の波長は実質的に約450と510nmの間におよび/または実質的に約300と400nmの間にある。
【0096】
前述の三つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、光センサーシステムは血液セパレーターとの組み合わせに使用される。
【0097】
前述の四つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、少なくとも一つの光源は血漿を通過する第1および/または第2の光の少なくとも一部を受光し、そして血漿を通過する第1および/または第2の光の量の少なくとも一部に基づいて応答する信号を発生するように構成されている。
【0098】
前述の五つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、プロセッサーは、血漿流路中の血漿中の脂質および/またはヘモグロビン含量を指示する出力を発生させるため、少なくとも一つの光検出器と作動的に連携している。
【0099】
前述の局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、プロセッサーは、第2の光源によって発射される第2の光の50%未満が血漿流路中の血漿により吸収される時、上昇した脂質含量を指示する出力を発生するように構成される。
【0100】
前述の七つの局面のいずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、第2の光は実質的に青色および/または紫外光を含む。
【0101】
前述の八つの局面のい

ずれかにまたはそれと組み合わせて使用し得る他の一局面に従えば、第2の光は本質的に約470nmおよび/または約380nmの波長を有する光を含む。
【0102】
上に記載した具体例は本主題の原理のいくつかの適用の例示であることが理解されるであろう。当業者により、個々に開示またはクレームされた特徴の組み合わせを含む多数の修飾がクレームした主題の精神および範囲を逸脱することなくなされることができる。これらの理由のため、この範囲は上の説明に限定されず、特許請求の範囲に述べられているとおりであり、そして特許請求の範囲は個々に開示またはクレームした特徴の組み合わせを含んでいる特徴に向けられることができることが理解される。
図1
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