(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像生成手段は、前記検出器で検出された信号をもとに、前記回転角度測定手段で測定された前記円筒状原版の回転角度に対応づけた前記電子線ビームで走査された前記円筒状原版の所定位置に予め形成しておいたアライメントマーク画像を検出し、当該検出したアライメントマーク画像をもとに当該円筒状原版の座標系と設計データの座標系との変換行列あるいは変換式を作成させた後、前記検出器で検出された信号をもとに、前記回転角度測定手段で測定された前記円筒状原版の回転角度に対応づけた前記電子線ビームで走査された前記円筒状原版上のパターンの画像を生成し、
前記検査手段は、前記補正する手段で補正された、前記回転角度測定手段で測定された前記円筒状原版の回転角度に対応づけた画像をもとに、前記作成させた変換行列あるいは変換式をもとに設計データの座標変換を行って比較して検査する
ことを特徴とする請求項1記載の円筒状原版検査装置。
前記補正する手段は、前記画像生成手段で生成された円筒状原版のパターン画像を取得する時に、当該円筒状原版の偏心量をもとに対物レンズのダイナミックコイルに制御信号を供給して当該偏心量をキャンセルするように補正することを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の円筒状原版検査装置。
前記試料台上に固定された前記円筒状原版の回転角度を測定する前記回転角度測定手段に加えて前記円筒状原版のX,Y方向の移動量を測定する移動量測定手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の円筒状原版検査装置。
前記円筒状原版上のパターンに電子線ビームを、当該円筒状原版の回転に同期して自動フォーカスするフォーカス手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の円筒状原版検査装置。
前記電子光学系は、前記電子線ビームを前記円筒状原版の回転角度に同期して、当該円筒状原版の軸方向あるいは当該軸方向からずれた所定方向に走査し、当該円筒状原版上を電子線ビームで平面走査あるいは帯状に平面走査することを特徴とする請求項1から請
求項5のいずれかに記載の円筒状原版検査装置。
前記検査手段は、取得した画像と、設計データあるいは設計データに円筒状原版作成時の影響を加味したデータとを比較して欠陥を検査することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の円筒状原版検査装置。
前記検査手段は、回転方向あるいはその直角方向に設計データ上で同一の形状あるいは同一パターンの画像をそれぞれ取得して両画像を比較し、欠陥を検査することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の円筒状原版検査装置。
前記検査手段は、前記円筒状原版上に形成されたパターンあるいは所定パターン群の画像のピッチあるいは幅あるいは両者を測定して比較し、欠陥を検査することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の円筒状原版検査装置。
前記検査手段は、前記円筒状原版上のパターンの画像あるいは所定パターンの画像と、設計データあるいは設計データに円筒状原版作成時の影響を加味したデータとを比較し、当該円筒状原版に形成されたパターンの歪みを計測することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の円筒状原版検査装置。
前記検出器は、電子線ビームを前記円筒状原版に照射した部分に対して、異なる立体角の方向に放出された2次電子あるいは反射電子あるいは光を検出する複数の検出器を設け、これら複数の検出器によってそれぞれ検出した信号をもとに3次元情報を生成することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の円筒状原版検査装置。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明の1実施例構造図を示す。
【0024】
図1において、電子銃1は、電子線ビームを発生・縮小するものであって、電子発生源(加熱した熱電子源、先端の尖った冷陰極など)、加速電極などから構成される公知のものである。
【0025】
コンデンサレンズ2は、電子銃1から放出された電子線ビームを収束する公知のものである。図示のコンデンサレンズ2は、模式的に表し、実際は磁界レンズあるいは静電レンズから構成されるものである。
【0026】
アパチャー3は、コンデンサレンズ2で収束された電子線ビームの中心部分を通過させ、それ以外を遮断する円形の絞りであって、ここでは、自動的に複数の穴径をもつものに切り替え可能なものである。図示のアパチャー3は、コンデンサレンズ2の下側に配置したが、これに限らず、当該コンデンサレンズ2の主面(レンズ中心)などに配置してもよい。
【0027】
検出器4は、測定対象12に細く絞った電子線ビームを照射しつつ平面走査したときに放出された2次電子、光、更に、反射された反射電子などを検出する検出器であって、例えば2次電子検出器、反射電子検出器、光検出器などである。この際、検出器4は、複数に分割した各検出部分を持たせ、これら各検出部分でそれぞれ検出された信号をもとに、立体画像(立体情報)などを生成するようにしてもよい。
【0028】
対物レンズ5は、コンデンサレンズ2で収束された電子線ビームを細く絞って測定対象12の上に結像するための公知のものである。尚、対物レンズ5の主面(あるいは主面の近傍)に図示外の対物絞りを配置していわゆる開き角を制限し、微小な電子線ビームのスポットに結像されるように構成している。
【0029】
増幅器51は、検出器4で検出された信号を増幅(前置増幅)するものである。
【0030】
試料台11は、真空の試料室20内に設け、測定対象12を回転可能かつ平面移動可能な状態で固定するためのものであって、当該試料台11の上に、測定対象12、回転装置13、回転角度測定装置14、平面方向移動機構15、Z軸調整機構16、距離測定装置17などを搭載するためのものである。
【0031】
測定対象12は、本発明に係わる円筒状原版であって、円筒状あるいは円柱状の表面にパターンを形成したものである。
【0032】
尚、設計データ(例えば直交座標(x、y))と円筒状原版上に形成されたパターンのデータ(極座標(r、θ)との座標変換は公知の手法(行列式、変換式)で行う。例えば下式で行う。
【0033】
(1)極座標(r、θ)から直交座標(x、y)への変換:
x=rcosθ
y=rsinθ
(2)直交座標(x,y)から極座標(r,θ)への変換:
r=(x
2+Y
2)
1/2
x=/ 0ならばθ=arctan(y/x)
x=0、y=/ 0ならばθ=arctan(x/y)
x=0,y=0 ならばθ=0
アライメントマーク121は、測定対象12の表面に予め作成したマークであって、ホームポジション、所定座標位置などに設けた所定パターン(マーク)であり、当該アライメントマークを検出して測定対象12の座標系と、設計データの座標系と、更に原点などの対応づけを行うためのものである。
【0034】
回転装置13は、測定対象12を着脱可能な状態で固定した状態で、当該測定対象12を一定速度で回転させる装置である。
【0035】
回転角度測定装置14は、回転装置13で測定対象12を回転させたときの回転角度を精密に測定するものであって、いわゆるエンコーダである(特願2011−145886参照)。
【0036】
平面方向移動機構15は、測定対象12を平面方向(X,Y方向)に精密に移動させるものであって、距離測定装置17によって精密に測定しつつ移動させるためものである。
【0037】
Z軸調整機構16は、回転装置13に固定した測定対象12をZ軸方向に調整するものであって、例えばWD(ワーキングディスタンス)を所定範囲内に調整するためのものである。
【0038】
距離測定装置17は、平面方向移動機構15によって平面内で測定対象12を移動させたときの距離(場所)を精密に測定する公知のものであって、例えば公知のレザー干渉計(X方向、Y方向それぞれに設ける)である。
【0039】
試料室20は、
図1に図示の測定対象12などを真空中に配置するための部屋であって、内部は真空に排気されるものである。
【0040】
排気系21は、試料室20の内部を真空に排気するものであって、ここでは、試料室20の内部を真空に排気したり、更に、真空に排気した後、測定対象12の周囲の圧力を所定圧力になるように排気速度を調整(例えば図示外の排気弁の開度を調整)し、当該測定対象12を電子線ビームで照射したときに汚染したり、チャージしたりすることを防止するものである。
【0041】
ガス導入手段22は、試料室20内にガス(例えば乾燥空気、アルゴン、窒素、酸素などのガス)を導入し、測定対象12の周囲を所定ガスで所定圧力に充満し、電子線ビームを測定対象12に照射したときにチャージ、汚染の発生を防止したりなどするためのものである。
【0042】
パソコン31は、プログラムに従い各種制御、処理を行うものであって、ここでは、画像生成手段32、検出手段33、自動フォーカス手段34、測定手段35、制御手段36、設計データDB42、結果データDB43などから構成されるものである。
【0043】
画像生成手段32は、検出器4、増幅器51を経由して取得した信号(測定対象12の表面を細い電子線ビームで平面走査したときに放出された信号(2次電子、反射電子、光の信号)を増幅した信号)をもとに画像(2次電子画像、反射電子画像、光画像)を生成するものである。尚、電子線ビームで測定対象12の表面を平面走査してそのときの信号を、当該平面走査したときの走査信号に同期して走査することで画像を生成する。以下、説明を簡単にするために、2次電子画像について説明する。
【0044】
検査手段33は、画像生成手段32で生成した測定対象12上の画像と、設計データDB42から読み出した設計データとを比較し、検査するものである(例えばパターンの欠陥(過不足)を検査するものである)。
【0045】
自動フォーカス手段34は、測定対象12の回転(更に、電子線ビームの回転軸の方向への走査)に同期して、対物レンズ5(あるいは別途設けた空芯のコイル)に制御信号を供給して電子線ビームが常に測定対象12の表面にフォーカスされるように自動制御するものである。
【0046】
測定手段35は、画像生成手段32で生成された測定対象12上のパターンの寸法(パターンの幅、パターンとパターンとの間の幅、ドットの内部の穴の幅(直径)など)を測定するものである。
【0047】
制御手段36は、後述する各種制御、処理を行うものである。
【0048】
DB41は、各種データを保存するデータベースであって、ここでは、設計データDB42、結果データDB43などから構成されるものである。
【0049】
設計データDB42は、測定対象12上に形成するパターンのCADデータを予め作成して登録したものであって、ここでは、XY座標系で表現されたデータである。
【0050】
結果データDB43は、測定対象12上に形成されたパターンに、細く絞った電子線ビームを照射しつつ平面走査して取得した画像、検査結果、測定結果などを保存するものである。
【0051】
ここで、電子銃1、コンデンサレンズ2、対物レンズ5を経由し、数KeV、数pAからnAオーダーの電子線ビームを測定対象12(円筒状原版)の表面にフォーカスする。円筒状原版は電子線ビームの走査位置と同期しながら所定回転速度で連続あるいは断続的に回転する。ピクセルレートは10MHzから1GHzにおよび、目的に応じたスピードが利用される。走査速度はkHzからMHzのオーダー、円筒状原版の回転速度は線速度で数百ミクロン毎秒からcm毎秒に及ぶ。電子線ビーム照射された円筒状原版の表面は2次電子あるいは反射電子あるいは光を発生する。発生したこれらの電子をMCPやシンチレーター+フォトマルチプライヤー等の検出器で検出し、電気信号に変換する。電気信号に変換された後、高速A/D変換装置によりデジタル信号に変換される。デジタル信号のストリームと電子ビーム走査を行うタイミングを表す同期信号を用いて検査に必要な画像(2次電子画像、反射電子画像など)を再構成する。再構成された複数画像をお互いに比較することなどにより、円筒状原版表面に作られた構造物の異常を検出したり、測長したりすることができる。
【0052】
次に、
図2のフローチャートの順番に従い、
図1の構成の動作を詳細に説明する。
【0053】
図2は、本発明の動作説明フローチャートを示す。
【0054】
図2において、S1は、測定対象をセットする。これは、
図1の測定対象12である円筒状原版をセットする。円筒状原版は、測定のたびに装置に取り付けられ、検査終了後に取り外される。円筒状原版のサイズは例えば直径数センチから数十センチメートル、幅は数センチメートルから数メートルにおよぶ。材質もプラスチック、金属、半導体、ガラスなど各種各様のものがある。円筒状原版の中心部には回転するための回転軸がある。
【0055】
S2は、WDの調整を行う。これは、S1でセットした
図1の測定対象12である円筒状原版の表面が、所定WD(ワーキングディスタンス、対物レンズ5の下面あるいは主面からの距離)となるようにZ軸調整機構16で調整する。これにより、細く絞られた電子線ビームが円筒状原版の表面にフォーカスされる範囲内に当該円筒状原版が調整されたこととなる。
【0056】
S3は、アライメントマークを元にX、Y、θを設定する。これは、S1,S2で設定した円筒状原版に細く絞った電子線ビームを照射しつつ平面走査し、当該円筒状原版の所定位置に予め形成しておいたアライメントマーク(画像)を検出し、当該検出したアライメントマーク(少なくとも3点の既知座標)をもとに当該円筒状原版の座標系の位置合わせ(θ、X,Y)を行う。
【0057】
S4は、変換行列(変換式)を作成する。これは、S3で円筒状原版の座標系(原点を含む)の設定が完了したので、当該円筒状原版の座標系と、設計データの座標系との変換行列(あるいは変換式)を作成する。
【0058】
S5は、ホームポジションで位置合わせを行う。これは、円筒状原版のホームポジションと、設計データの原点(ホームポジション)との位置合わせを行う。
【0059】
以上のS1からS5によって、
図1の測定対象12である円筒状原版を図示のようにセットすると共に円筒状原版上のアライメントマークを元に当該円筒状原版上のパターンの座標系を設定、設計データの座標系とを変換する変換行列(変換式)を作成、および両者のホームポジションを一致させることにより、設計データをもとに円筒状原版の指定された場所に電子線ビームを位置づけて、検査、測長の対象となるパターンの画像を生成(取得)するための準備が完了したこととなる。
【0060】
S6は、モードに合わせた画像を取得する。これは、後述する
図10に示すように、高速検査モードあるいはレビューモードのいずれかに合わせた画像を取得、即ち、高速検査モードの場合にはコンデンサレンズ2のアパチャー3を大きいサイズに切替えて大電流(例えば20nA)の電子線ビームの大きいスポットで円筒状原版を走査して高速検査画像を取得し、一方、レビューモードの場合にはコンデンサレンズ2のアパチャー3を小さいサイズに切替えて小電流(例えば10pA)の電子線ビームの小さいスポットで円筒状原版を走査してレビューモード画像(高精細画像)を取得する。
【0061】
S7は、記録する。これは、S6で取得した画像をメモリ上に記録する。
【0062】
S8は、画像比較あるいは測長する。これは、S7でメモリ上に記録した画像と、設計データなどとを比較したり、S7でメモリ上に記録した画像中のパターンの幅、パターン間の幅などを測長する。
【0063】
S9は、出力する。これは、S8の比較結果あるいは測長結果を
図1の結果データDB43に出力する。
【0064】
以上によって、測定対象12である円筒状原版を
図1の試料台11に固定してWD調整、円筒状原版上のアライメントマークをもとに座標系を設定、設計データとの変換行列(変換式)を作成し、両者のホームポジション位置を合わせ、所望の場所の画像を取得して比較、測定し、その結果を出力することが可能となる。以下順次詳細に説明する。
【0065】
図3は、本発明のアライメント校正フローチャートを示す。
【0066】
図3において、S11は、アライメントに必要な画像を取得する。これは、円筒状原版上に予め形成したアライメントマークの、少なくとも3箇所以上の画像を取得する。
【0067】
S12は、偏心量を算出する。これは、S11で取得した3箇所以上のアライメントマークの画像を元に、円筒状原版の偏心量(Z方向、XY方向)を算出する。
【0068】
以上により、
図1の試料台11に固定した測定対象12である円筒状原版の偏心量(Z方向、XY方向)が算出されたので、(1)当該偏心量をもとに記録した画像を補正する、あるいは(2)これ以降の画像取得時に、Z方向については対物レンズ5の図示外のダイナミックコイルに制御信号を供給して当該偏心量(Z方向)をキャンセルするように補正、およびXY方向については電子線ビームをシフトされる図示外のシフトコイルに制御信号を供給して当該偏心量(XY方向)をキャンセルするように補正する。これらにより、円筒状原版の偏心(Z方向、XY方向)の影響を補正した正しい当該円筒状原版上のパターンの画像を取得することが可能となる。
【0069】
図4は、本発明の動作説明フローチャート(自動フォーカス)を示す。
【0070】
図4において、S21は、自動フォーカスをONにセットする。これは、電子線ビームが円筒状原版上に自動フォーカスする機能をON(動作状態)にセットする。これにより、電子線ビームが円筒状原版上に常に自動的にフォーカスされることとなる。尚、自動フォーカスは、円筒状原版の回転、電子線ビームの走査に同期して、対物レンズ5に付加した図示外のダイナミックコイルに三角形状の走査信号を供給してそのときの円筒状原版上のパターンの画像を微分して最も値の高い走査信号の強度を自動フォーカス値と予め設定(記憶)しておきこれをもとに自動フォーカス制御したり、レーザ干渉計で電子線ビームの照射する位置のZ軸方向の距離を測長して対応する制御信号をダイナミックコイルに供給して自動フォーカスしたりなどする。
【0071】
S22は、WDを測定する。これは、S21で自動フォーカス機能をONにした状態で、円筒状原版の電子線ビームの照射する場所のWD(ワーキングディスタンス、対物レンズ5の磁極の下面から円筒状原版の電子線ビームの照射する場所までの距離)を測定する。
【0072】
S23は、WDが所定範囲からずれたか判別する。YESの場合には、S24で自動フォーカスレンズで補正(必要に応じて自動非点補正も行う)し、S25に進む。NOの場合には、WDが所定範囲内であると判明したので、補正不要と判断し、そのままS25に進む。
【0073】
S25は、倍率補正する。これは、WDが所定範囲外にすれた場合には、WDのずれたことにより倍率が変化するこので、当該変化した倍率だけ補正(例えば電子線ビームの走査コイルに供給する走査信号を調整し、元の画像が得られるように補正)する。または、記録した画像の倍率を補正(WDの変化に伴う補正)してもよい。
【0074】
S26は、輝度補正する。これは、WDが所定範囲外にずれた場合には、WDのずれたことにより輝度が変化するので、当該変化した輝度を補正(例えば元のWDのときの輝度と同じになるように補正)する。
【0075】
以上によって、円筒状原版の回転時のZ軸方向の偏心に伴うWD変化を測定し、所定範囲をずれた場合に自動フォーカス補正を行うと共に、倍率補正、輝度補正を行い、常に正しい倍率、輝度の画像を取得することが可能となる。尚、円筒状原版の回転に伴うZ軸方向の偏心に伴うWD変化についての倍率補正、輝度補正をリアルタイムに補正したが、記録(取得)した画像について倍率補正、輝度補正を行ってもよい。
【0076】
図5は、本発明の動作説明フローチャート(頂点合わせ)を示す。
【0077】
図5において、S31は、円筒をY方向に移動させつつフォーカス点を求める。
【0078】
S32は、フォーカス値が最小の位置を頂点とする。これらS31、S32は、
図1の測定対象12である円筒状原版に、上方から下方に向けて細く絞った電子線ビームで照射した状態で平面走査した画像を、当該円筒状原版をY方向(円筒状原版の回転軸と直角方向)に移動させつつ取得し、フォーカス点をそれぞれ求め、最もフォーカス点の値の小さい位置を頂点と決定する。これにより、円筒状原版の頂点の位置(Y方向位置)が決定されたこととなる。
【0079】
以上によって、
図1の測定対象12である円筒状原版のY方向の頂点の位置(WDが最小となるYの値)を測定して決定することが可能となる。
【0080】
図6は、本発明の動作説明フローチャート(画像比較)を示す。
【0081】
図6において、S41は、設計データで同じパターンの形を見つける。
【0082】
S42は、対応する画像をパターンマッチングする。
【0083】
S43は、差分を出力する。これらS41からS43は、例えば後述する
図7の(a)に示すように、設計データ上で回転方向に同じパターンの部分1、2について、対応する画像1,2を取得し、これら取得した画像1と画像2とをマッチングしてその差分を出力する。
【0084】
S44は、S43で出力した差分がスレッシュホールド以下か判別する。これは、S43で出力した差分がスレッシュホールド以下か判別する。YESの場合には、差分がスレッシュホールド以下と判明したので、S45で正常と判断し、終了する。NOの場合には、差分がスレッシュホールド以上と判明したので、S46で欠陥と判断し、終了する。
【0085】
以上によって、設計データ上で同じパターンの位置1,2・・・を見つけ、当該見つけた同じパターンの位置1,2・・・に対応する円筒状原版上の画像1,2・・・を取得してこれら画像1,2・・・の差分を算出して当該差分が所定閾値以下の場合に正常と判定し、以上の場合に欠陥と判定することにより、設計データ上で同じパターンについて円筒状原版上の画像間(2次元画像間)の差分をもとに正常、欠陥を高速に判定することが可能となる。
【0086】
図7は、本発明の動作説明図を示す。
【0087】
図7の(a)は、回転方向の例を示す。
【0088】
図7の(a−1)は円筒状原版上の回転方向の画像の例を示し、
図7の(a−2)は位置1の拡大した画像1を示し、
図7の(a−3)は位置2の拡大した画像2を示し、
図7の(a−4)は差分の例を示す。
【0089】
ここで、
図7の(a)の円筒状原版上の図示の回転方向に、設計データ上で同じパターンが複数、ここでは、位置1、位置2にあると仮定する。
【0090】
そうすると、設計データ上の位置1、位置2に対応した、円筒状原版上の拡大された画像を取得すると、
図7の(a−2)、(a−3)に示すように画像1、画像2が得られる。
【0091】
そして、得られた画像1、画像2を、
図7の(a−4)に示すように差分を算出する。算出した差分は、本来設計データのパターンが同じであるから零であるはずある。そこで、差分が所定閾値(実験で求める)以下であれば、正常、以上であれば、欠陥と判定することにより、画像1と画像2とをパターンマッチングしてその差分を求めて正常/欠陥を判定でき、高速処理することが可能となると共に、更に、設計データ上のパターンにプロセスシフトなどの影響を加味して実際の円筒状原版上のパターンの形状を算出(予測算出)してパターンマッチングする必要がなく、高速処理が可能となる。
【0092】
図7の(b)は、回転方向に並列の例を示す。
【0093】
図7の(b−1)は円筒状原版上の回転方向に並列の画像の例を示し、
図7の(b−2)は位置1の拡大した画像1を示し、
図7の(b−3)は位置2の拡大した画像2を示し、
図7の(b−4)は差分の例を示す。
【0094】
ここで、
図7の(b)の円筒状原版上の図示の回転方向と並列に、設計データ上で同じパターンが複数、ここでは、位置1、位置2にあると仮定する。
【0095】
そうすると、設計データ上の回転方向に並列の位置1、位置2に対応した、円筒状原版上の拡大された画像を取得すると、
図7の(b−2)、(b−3)に示すように回転方向に並列に画像1、画像2が得られる。
【0096】
そして、得られた画像1、画像2を、
図7の(b−4)に示すように差分を算出する。算出した差分は、本来設計データのパターンが同じであるから零であるはずある。そこで、差分が所定閾値(実験で求める)以下であれば、正常、以上であれば、欠陥と判定することにより、画像1と画像2とをパターンマッチングしてその差分を求めて正常/欠陥を判定でき、高速処理することが可能となると共に、更に、設計データ上のパターンにプロセスシフトなどの影響を加味して実際の円筒状原版上のパターンの形状を算出(予測算出)してパターンマッチングする必要がなく、高速処理が可能となる。
【0097】
図8は、本発明の動作説明フローチャート(立体)を示す。
【0098】
図8において、S51は、複数の検出器からの画像を記録する。これは、
図1の複数の検出器4からの信号(画像)をそれぞれ記録する。
【0099】
S52は、ステレオ法を選択する。
【0100】
S53は、距離の差を元に高さを算出する。
【0101】
S54は、高さを元に立体表示する。これらS52からS54は、S51で複数の検出器4から取得した画像をもとに、ステレオ法が選択されたので、当該複数の検出器4、例えば2個の場合には、2個の検出器4で検出された同じ位置の画像1,2中のパターンの位置の差と、当該2個の検出器4の間の距離をもとに当該画像1,2中のパターンの各位置の高さを算出し、当該算出したパターンの各位置の高さをもとに3次元表示する。
【0102】
また、S55は、輝度の差から角度を算出する。
【0103】
S56は、角度を元に立体表示する。これらS55、S56は、S51で複数の検出器4から取得した画像をもとに、当該複数の検出器4、例えば2個の場合には、2個の検出器4で検出された同じ位置の画像1,2(2次電子画像の場合)中のパターンのエッジ部分の輝度の差から角度を求め、当該2個の検出器4の間の距離と当該求めた角度からパターンのエッジ部分の3次元表示する。
【0104】
以上のようにして算出した3次元表示の画像をもとに、既述した
図6の2次元画像と同様に、設計データ上で同じパターンである円筒状原版上のパターンの画像(3次元画像)を相互に比較して正常/欠陥を判定することにより、より多くの情報(3次元情報)をもとに画像間比較でき、より信頼性の高いパターンマッチングを行うことが可能となる。
【0105】
図9は、本発明の動作説明フローチャート(同一パターンのずれ算出)を示す。
【0106】
図9において、S61は、画像上で包絡矩形を求める。これは、後述する
図10に示すように、円筒状原版から回転方向に連続して形成されている同じパターンあるい同じはパターン群のそれぞれの包絡矩形(パターンあるいはパターン群に外接する矩形)をそれぞれ算出する。
【0107】
S62は、設計データから各包絡矩形のずれを求める。これは、S61で算出した円筒状原版上で回転方向に形成された同じパターンあるいは同じパターン群の画像の包絡矩形について、設計データ上で各包絡矩形のずれ(回転方向、X方向、Y方向)を求める。
【0108】
S63は、円筒の縁からの各包絡矩形のずれを求める。これは、S61で算出した各包絡矩形について、円筒状原版上の縁(別途、レーザ干渉計で位置(距離)を測定した縁)あるいは/および当該縁に近い部分に形成したアライメントマーク(サーボマークなど)からのずれ(回転角、X方向、Y方向)を求める。
【0109】
S64は、歪みを求める。これは、S62で算出した設計データ上の各包絡矩形のずれと、S63で算出した画像上の各包絡矩形のずれとを比較し、円筒状原版上の画像の絶対的なずれを算出したり、円筒状原版の縁のアライメントマークからのずれを算出したりする。
【0110】
以上によって、円筒状原版上から取得した画像について、設計データからの歪み(絶対的な歪み、あるいは円筒状原版上の縁のアライメントマークからの歪み)を算出することが可能となる。
【0111】
図10は、本発明の動作説明図(同一パターンのずれ算出)を示す。
【0112】
図10において、包絡矩形は、円筒状原版上に回転方向に形成された同一パターンあるいは同一パターン群の包絡矩形である。
【0113】
アライメントマークは、円筒状原版上に形成されたアライメントマーク(サーボマーク)である。
【0114】
レーザ干渉計は、円筒状原版の縁までの距離(回転方向と直角方向の距離)を精密に測定するものである。
【0115】
以上の構成のもとで、レーザ干渉計で円筒状原版のアライメントマークが存在する縁までの距離(回転方向と直角方向)を回転角に対応づけて精密に測定すると共に、そのときに縁から各包絡矩形までの距離を当該画像上で測定する。そして、
図9のS61からS64により、包絡矩形(画像)の絶対的なひずみ、あるいは円筒状原版上の縁のアライメントマークからのひずみを算出(測定)することが可能となる。
【0116】
図11は、本発明の動作説明図(レンズ中心と円筒状原版中心軸とのアライメント)を示す。
【0117】
図11の(a)はレンズ中心と、円筒状原版中心軸とがずれている様子を模式的に示す。図示の状態では、レンズ(対物レンズ5)の軸(レンズ中心)が円筒状原版の中心軸(回転軸)の上側にずれている。これでは、対物レンズ5で細く絞った電子線ビームを円筒状原版上に照射ができず、フォーカスぼけや、座標系の相互変換に誤差が生じたりする不都合が発生する。
【0118】
図11の(b)はレンズ中心と、円筒状原版中心軸とが軸合わせされた様子を模式的に示す。図示の状態では、レンズ(対物レンズ5)の軸(レンズ中心)が円筒状原版の中心軸(回転軸)に一致している。これにより、対物レンズ5で細く絞った電子線ビームが円筒状原版上の頂点(
図5参照)の部分に正確に照射でき、かつ座標系の相互変換を誤差無く行い、設計データをもとに細く絞った電子線ビームを円筒状原版上の対応する位置に照射しつつ走査して画像を取得することが可能となる。
【0119】
尚、円筒状原版の軸合わせは、円筒状原版を保持する回転装置を、
図11の(a)の状態から
図11の(b)の状態のように、ここでは、レンズ中心に対して下方に所定量移動させることにより調整を行う。
【0120】
図12は、本発明の動作説明フローチャート(モード切替)を示す。
【0121】
図12において、S71は、高速検査モードに設定する。これは、円筒状原版上のパターンの画像を高速に取得できるように、細く絞った電子線ビームの電流量を増大させたモードに設定する。例えば右側に記載したように、
・絞り(コンデンサレンズ):200μm
・電流:20nA
と設定、即ち、
図1のコンデンサレンズ2の絞り(アパチャー)3を大きなサイズの200μmに自動切替えて大電流(例えば20nA)を供給するように設定する。
【0122】
S72は、円筒を回転させて検査する。これは、S71で高速モードに設定した状態で、
図1で細く絞った電子線ビームを測定対象の円筒状原版を連続回転させた状態で、該円筒状原版上に照射しつつ回転軸と直角方向(あるいは直角方向からわずか進む、遅れる方向)に走査することを繰り返して当該円筒状原版上を平面走査して画像を取得し、当該画像をもとに欠陥を検査あるいはパターンの測長を行う。
【0123】
S73は、レビューモードに設定する。これは、円筒状原版上のパターンの高解像度画像が取得できるように、より細く絞った電子線ビームが得られるように、例えば右側に記載した、
・絞り(コンデンサレンズ):20μm
・電流:10pA
と設定、即ち、
図1のコンデンサレンズ2の絞り(アパチャー)3を小さなサイズの20μmに自動切替えて小さい電子線ビームスポット(例えば10pA)を供給するように設定する。
【0124】
S74は、円筒を停止させ、任意の位置に設定して高解像度画像を取得する。これにより、S72の検査で欠陥の検出されたパターン(パターン群)の高解像画像を自動的に取得して表示したり、自動的に欠陥部分のパターン(パターン群)を精密に測定したり、その寸法を測長したりすることが可能となる。
【0125】
図13は、本発明の説明図(欠陥検出:その1)を示す。
【0126】
図13の(a)は円筒状原版上の欠陥を検出する部分を模式的に示す。
【0127】
図13の(b)は
図13の(a)の部分を拡大した画像を模式的に示す。
【0128】
図13の(b)において、回転方向に並列に存在する3本のパターン(ライン)について、当該ラインの幅L,ラインとラインとの間のスペースSをそれぞれ所定距離毎にそれぞれ測長し、ライン、スペースの平均長さ、バラツキ(標準偏差σ)を算出する。更に、円筒状原版の縁のアライメントマーク(更に、絶対的位置)に対する、各ライン(スペース)の回転方向のうねり(回転方向と直角方向へのうねり)を検出する。このうねりの原因は、
(1)円筒状原版の固有振動、当該固有振動相互によるうなり振動
(2)駆動電源、駆動機構の周波数、N倍の周波数
などの原因を探索することが可能となる。
【0129】
図14は、本発明の説明図(欠陥検出:その2)を示す。
【0130】
図14の(a)は、取得画像を示す。これは、円筒状原版上の回転方向に取得した画像を示す。
【0131】
図14の(b)は、設計データから作成した画像の例を示す。これは、設計データから作成した
図4の(a)に対応する画像の例を示す。
【0132】
図14の(c)は、差分画像を示す。これは、
図14の(b)の設計データの画像と、
図14の(a)の取得画像との差分の画像の例を示す。ここでは、周期的あるいは非周期的にとびとびに図示のように差分画像が得られた例を示す。このとびとびに差分画像が得られことは、円筒状原版上のパターン作成時に、下記の原因などによる欠陥が存在したと考察される。
【0133】
(1)回転むら
(2)うなり
(3)固有振動
(4)電源周波数、その整数倍に同期
(5)回転に同期あるいは非同期
図15は、本発明の説明図(欠陥検出例)を示す。欠陥検出例は、図示のように、ここでは、下記の項目に対応づけて検出、測定する。
【0134】
・欠陥番号:
・R座標:
・θ座標:
・欠陥タイプ:
・周期性:
・パーセントスペック:
・その他:
ここで、欠陥番号はパターン(パターン群)に付与した一意のシーケンシャル番号である。R座標、θ座標は、円筒状原版の軸方向の座標、半径方向の座標(回転角度)である。欠陥タイプは検出された欠陥のタイプ(種別)であって、extensionはラインが部分的にはみ出したタイプであり、instrusionはラインが部分的にへこんだタイプであり、Pin-dotはライン中に穴が開いたタイプであり、2D/3D reviewは平面情報/立体情報(2次元画像/3次元画像)をもとに検出された欠陥のタイプであり、他も同様である。周期性は回転方向などに周期性がある場合の値である。パーセントスペックは回転方向に出現した角度である。
【0135】
以上のように、円筒状原版上のパターン(パターン群)についてその画像を取得して欠陥情報を結果として自動的生成して出力することが可能となる。
【0136】
図16は、本発明の説明図(異なった分解能で検査)を示す。
【0137】
図16において、検査領域は、円筒状原版上の検査するパターン(パターン群)が存在する領域であって、ここでは、高分解能(例えば10nmの細く絞った電子線ビームで走査)の画像を取得する領域である。円筒状原版上の検査領域以外のその他の領域は、低分解能(例えば50nmで細く絞った電子線ビームで走査)の画像を取得する領域である。
【0138】
以上のように、検査領域は高分解能画像を取得し、その他の領域は低分解能画像で高速走査することにより、効率的に円筒状原版上の全領域の画像を取得して検査することが可能となる。
【0139】
図17は、本発明の説明図(評価例)を示す。これは、円筒状原版の欠陥の位置を示す欠陥マップ表示の例であって、横軸は円筒状原版の軸方向(R方向)を表し、上下方向は円筒状原版の回転方向を表す。
【0140】
図17において、欠陥マップ表示は、円筒状原版を展開し、既述した欠陥の位置を示したものである。当該欠陥マップ表示は、特に、回転方向(Y方向)やその直角方向に断続的(周期的、非周期的)に存在する欠陥を認識しやすい。