(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定方向を基準として、測量対象の視準点を視準する光軸方向の角度を計測して測量情報として出力する測量情報出力手段と、前記光軸方向を変更する駆動手段と、前記測量情報出力手段にて得られた測量情報を遠隔地へ送信する測量情報送信手段と、前記光軸方向の視準点を含む画像を撮像して電気信号に変換して画像情報として出力し、遠隔地から送信された制御信号に基づいて撮像倍率を変更する撮像手段と、前記撮像手段にて得られた画像情報を前記遠隔地へ送信する画像情報送信手段とを備え、前記視準点を視準する光軸と前記撮像手段の光軸とが所定の相対関係を維持した測量手段と、
前記撮像倍率に応じた複数の補助線を含み前記複数の補助線の間隔に応じた実空間における距離が読み取り可能な画像を前記画像情報に応じた撮像画像に合成して出力する補助線合成手段と
を備える測量装置。
所定方向を基準として、測量対象の視準点を視準する光軸方向の角度を計測して測量情報として出力する測量情報出力手段と、前記光軸方向を変更する駆動手段と、前記測量情報出力手段にて得られた測量情報を遠隔地へ送信する測量情報送信手段と、前記光軸方向の視準点を含む画像を撮像して電気信号に変換して画像情報として出力し、遠隔地から送信された制御信号に基づいて撮像倍率を変更する撮像手段と、前記撮像手段にて得られた画像情報を前記遠隔地へ送信する画像情報送信手段とを備え、前記視準点を視準する光軸と前記撮像手段の光軸とが所定の相対関係を維持した測量手段によって目標位置を求めるステップと、
前記撮像倍率に応じた複数の補助線を含み前記複数の補助線の間隔に応じた実空間における距離が読み取り可能な画像を前記画像情報に応じた撮像画像に合成して表示するステップと、
前記複数の補助線を含み前記距離が読み取り可能な画像が合成された撮像画像に基づいて対象物を前記目標位置に誘導するステップと
を備える測量方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、撮像倍率を変更しても表示倍率が異なる以外は変更前と同じ補助線が表示されるだけであるから、撮像倍率を変更しても対象物の誘導の精度を向上させることが難しい。
そこで、本発明は、対象物を目標位置に精度よく誘導するための、撮像倍率に応じた情報を取得することのできる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、所定方向を基準として、測量対象の視準点を視準する光軸方向の角度を計測して測量情報として出力する測量情報出力手段と、前記光軸方向を変更する駆動手段と、前記測量情報出力手段にて得られた測量情報を遠隔地へ送信する測量情報送信手段と、前記光軸方向の視準点を含む画像を撮像して電気信号に変換して画像情報として出力し、遠隔地から送信された制御信号に基づいて撮像倍率を変更する撮像手段と、前記撮像手段にて得られた画像情報を前記遠隔地へ送信する画像情報送信手段とを備え、
前記視準点を視準する光軸と前記撮像手段の光軸とが所定の相対関係を維持した測量手段と、前記撮像倍率に応じた
複数の補助線
を含み前記複数の補助線の間隔に応じた実空間における距離が読み取り可能な画像を前記画像情報に応じた撮像画像に合成して出力する補助線合成手段とを備える測量装置を提供する。
上記の構成において、前記補助線合成手段は、
前記撮像倍率に応じて前記
複数の補助線の形乃至方向を変更してもよい。
上記の構成において、前記補助線合成手段は、
前記撮像倍率に応じて前記
複数の補助線の間隔を変更してもよい。
また、本発明は、所定方向を基準として、測量対象の視準点を視準する光軸方向の角度を計測して測量情報として出力する測量情報出力手段と、前記光軸方向を変更する駆動手段と、前記測量情報出力手段にて得られた測量情報を遠隔地へ送信する測量情報送信手段と、前記光軸方向の視準点を含む画像を撮像して電気信号に変換して画像情報として出力し、遠隔地から送信された制御信号に基づいて撮像倍率を変更する撮像手段と、前記撮像手段にて得られた画像情報を前記遠隔地へ送信する画像情報送信手段とを備え、
前記視準点を視準する光軸と前記撮像手段の光軸とが所定の相対関係を維持した測量手段によって目標位置を求めるステップと、前記撮像倍率に応じた
複数の補助線
を含み前記複数の補助線の間隔に応じた実空間における距離が読み取り可能な画像を前記画像情報に応じた撮像画像に合成して表示するステップと、前記
複数の補助線
を含み前記距離が読み取り可能な画像が合成された撮像画像に基づいて対象物を前記目標位置に誘導するステップとを備える測量方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、対象物を目標位置に精度よく誘導するための、撮像倍率に応じた情報を取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態の一例について説明する。
図1は、測量装置10を示す図である。
図2は、測量装置10の機能構成を示す図である。
図3は、コントローラ15を示す図である。
【0009】
測量装置10は、測量装置本体1、付加制御部11、通信部12を備える。測量装置本体1は、駆動部2、測距部3、本体制御部4、望遠鏡5、回転ツマミ6、CCD撮像部8、補助線合成部81、回転ツマミ駆動装置9を備える。この例では、付加制御部11と通信部12が測量装置本体1と分離されているが、付加制御部11と通信部12が測量装置本体1と一体に構成されていてもよい。測量装置本体1は、駆動部2を介して三脚などの架台101に取り付けられる。駆動部2は、垂直軸回り及び水平軸回りの回転駆動機構を備え、測距部3の光軸方向を水平面内及び垂直面内で回転移動させる。駆動部2は、測距部3の光軸方向を示す角度情報を本体制御部4に出力する。
【0010】
測距部3は、例えば、レーザ光や赤外光などを照射して視準点からの反射光を受光し、照射光と反射光との位相差から、測距部3と視準点との距離を計測する。測距部3は、計測された距離を示す距離情報を本体制御部4に出力する。望遠鏡5の光軸は、測距部3の光軸と平行となるように調整されている。
【0011】
回転ツマミ6は、上下回転用のツマミ6aと左右回転用のツマミ6bを含む。上下回転用のツマミ6aは、駆動部2の水平軸回りの回転駆動機構を手動で駆動するためのツマミである。左右回転用のツマミ6bは、駆動部2の垂直軸回りの回転駆動機構を手動で駆動するためのツマミである。測量装置本体1を直接操作する場合には、作業員が望遠鏡5で測量対象を目視しながら回転ツマミ6を操作して視準する。この場合、駆動部2から出力された角度情報と、測距部3から出力された距離情報が、測量装置本体1に設けられた液晶表示パネルなどの表示部(図示省略)に表示される。
【0012】
回転ツマミ駆動装置9は、測量装置本体1を遠隔操作する場合に測量装置本体1に装着される。回転ツマミ駆動装置9は、モータ(図示省略)で正逆方向に回転駆動される駆動ギア9a、9bを備える。ツマミ6a、6bには、それぞれ駆動ギア9a、9bの歯に対応する凹凸が形成されており、回転ツマミ駆動装置9が測量装置本体1に装着されると、駆動ギア9aがツマミ6aと、駆動ギア9bがツマミ6bと、それぞれ噛み合わされる。付加制御部11は、コントローラ15から通信部12を介して入力された制御信号を駆動ギア9a、9bに出力して回転を制御する。
【0013】
駆動部2から出力される角度情報と測距部3から出力される距離情報は、本発明に係る測量情報の一例である。駆動部2は、所定方向を基準として、測量対象の視準点を視準する光軸方向の角度を計測して測量情報として出力する測量情報出力手段の一例である。また、駆動部2は、光軸方向を変更する駆動手段の一例である。
【0014】
CCD撮像部8は、CCD(Charge-Coupled Device)を備えるイメージセンサであり、その光軸は、測距部3及び望遠鏡5の光軸と平行になるように調整されている。CCD撮像部8は、視準点を含む領域を撮像して画像情報を生成する。CCD撮像部8は、ズーム機能を備え、付加制御部11は、コントローラ15から通信部12を介して入力された制御信号をCCD撮像部8に出力してズーム倍率を変更する。CCD撮像部8は、生成した画像信号、撮像時のズーム倍率、シャッター速度などを含む撮像条件情報を付加制御部11に出力する。CCD撮像部8は、測量装置本体1と一体に構成されていてもよく、測量装置本体1に着脱されるように構成されていてもよい。CCD撮像部8は、光軸方向の視準点を含む画像を撮像して電気信号に変換して画像情報として出力し、遠隔地から送信された制御信号に基づいて撮像倍率を変更する撮像手段の一例である。測量装置本体1は、測量情報出力手段の光軸と撮像手段の光軸とが所定の相対関係を維持した測量手段の一例である。
【0015】
補助線合成部81は、ズーム倍率に応じた補助線を示す補助線画像を生成し、CCD撮像部8にて得られた撮像画像に補助線画像を合成する。補助線は、杭Pを目標位置に誘導するときの杭Pの移動距離や移動方向などを決める目安となる。補助線合成部81は、撮像倍率に応じた補助線を画像情報に応じた撮像画像に合成して出力する補助線合成手段の一例である。補助線の具体例については、後述する。
【0016】
付加制御部11は、CCD撮像部8から出力された画像情報と撮像条件情報、本体制御部4から出力された測量情報(距離情報と角度情報を含む)を、通信部12を介してコントローラ15に出力する。また、付加制御部11は、コントローラ15から通信部12を介して入力された制御信号を測量装置本体1の各部へ出力する。具体的には、駆動部2、測距部3.望遠鏡5などを制御するための制御信号が入力された場合には、その制御信号を本体制御部4へ出力し、CCD撮像部8のズーム倍率などの撮像条件を変更するための制御信号が入力された場合には、その制御信号をCCD撮像部8へ出力し、CCD撮像部8の視準方向を指示する制御信号が入力された場合には、その制御信号を回転ツマミ駆動装置9に出力する。
【0017】
通信部12は、本体制御部4及び付加制御部11を介して得られた視準点までの距離情報と角度情報とを含む測量情報と、付加制御部11を介してCCD撮像部8から得られた画像情報と撮像条件情報とを、有線通信又は無線通信によりコントローラ15へ送信する送信機能を備える。また、通信部12は、コントローラ15から送信された制御信号を受信して、付加制御部11へ出力する受信機能を備える。通信部12は、測量情報出力手段にて得られた測量情報を遠隔地へ送信する測量情報送信手段の一例である。また、通信部12は、撮像手段にて得られた画像情報を遠隔地へ送信する画像情報送信手段の一例である。
【0018】
コントローラ15は、通信装置151、コンピュータ152、ディスプレイ153、入力装置154を含む。通信装置151は、通信部12との間で有線通信又は無線通信を行う。コンピュータ152は、例えばノートブック型のパーソナルコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置と、ハードディスク装置や半導体メモリなどの記憶装置を備え、測量装置本体1を遠隔操作するためのソフトウェアがインストールされている。コンピュータ152は、通信部12を介して測量装置本体1から送信された測量情報、画像情報、撮像条件情報などを通信装置151を介して受信して記憶装置に記憶するとともに、これらの情報をディスプレイ153に表示させる。
【0019】
入力装置154は、キーボード、タッチパネル、ジョイスティックなどを含み、作業員は、測量装置本体1の各部を制御するための制御信号を、入力装置154を用いて入力する。入力された制御信号は、通信装置151を介して通信部12に送信される。
【0020】
測量に先立って、調整用のターゲットを使用してCCD撮像部8の光軸の調整を行っておく。調整用のターゲットは、測量軸の垂直方向上部にオフセットした位置にカメラ軸を表示している。まず、測量軸を合わせた状態で、CCD撮像部8の光軸を合わせる。この光軸合わせは、CCD撮像部8に備えられた機械的な光軸調整機構を用いて行う。測量軸を視準するのに通常は自動視準機能を使用する。なお、視準は、目視によって行ってもよい。このように視準軸とCCD撮像部8の光軸とを平行にする光軸合わせを行うが、平行でなく、一定の相対関係でありさえすれば光軸を変化させた場合の角度の情報は相対的に知ることが可能である。
【0021】
図4は、測量装置10を用いた測量の様子を示す図である。ここでは、一例として、第1地点Aに杭Pを打設する場合について説明する。第1地点Aには、打設船が配置されている。この打設船は、指定された角度で杭を打設する機能を備える。第2地点Bと第3地点Cには、それぞれ測量装置10B、10Cが配置されている。測量装置10B、10Cは、いずれも測量装置10と同じ構成を有する。第4地点Dには、コントローラ15が配置されている。第4地点Dは、例えば打設船の船上である。ディスプレイ153には、測量装置10B、10Cから送信された画像情報に基づく画像が表示される。作業員は、表示された画像で杭の位置や姿勢を観察しながら杭の誘導を行う。
【0022】
なお、測量装置10B、10Cの位置情報は、例えば後方交会法などの方法により特定され、打設作業開始時には既知である。測量装置10B、10Cは、第2地点Bと第1地点Aを結ぶ直線と第3地点Cと第1地点Aを結ぶ直線とのなす角θが90度になる位置に配置することが望ましい。
【0023】
図5は、ディスプレイ153に表示された画像を示す図である。ディスプレイ153には、測量装置10Bから送信された画像情報に基づく画像D2(第2地点Bから撮像された杭Pの画像)と、測量装置10Cから送信された画像情報に基づく画像D3(第3地点Cから撮像された杭Pの画像)が表示される。画像D2、D3には、それぞれ測量装置10B、10Cの補助線合成部81により格子状の補助線LAが合成されている。また、それぞれの画像の中央を垂直方向及び水平方向に通るスタジア線Sが表示されている。
【0024】
ズーム倍率は、入力装置154を用いて指定される。ズーム倍率が指定されない場合には、予め設定された初期値が用いられる。作業員が入力装置154を用いてズーム倍率を指定すると、コンピュータ152がそのズーム倍率を示す制御信号を生成し、その制御信号を通信装置151を介して測量装置10B、10Cに送信する。送信された制御信号は、通信部12を介して付加制御部11に入力され、付加制御部11は、その制御信号をCCD撮像部8に出力してズーム倍率を変更する。
【0025】
ズーム倍率毎に最適な補助線の間隔が予め定められており、補助線合成部81は、ズーム倍率に応じた間隔の補助線を撮像画像に合成する。その結果、指定されたズーム倍率で撮像された画像に補助線を合成した画像がディスプレイ153に表示される。また、表示されている画像のズーム倍率の値(倍率:× )と、表示されている補助線の間隔の値(線間隔: cm)が表示される。この例では、ズーム倍率が4倍、補助線の間隔が50cmである。
【0026】
なお、入力装置154を用いて補助線の間隔が指定された場合には、補助線合成部81は、指定された間隔の補助線を合成する。具体的には、作業員が入力装置154を用いて補助線の間隔を指定すると、コンピュータ152がその間隔を示す制御信号を生成し、その制御信号を通信装置151を介して測量装置10B、10Cに送信する。送信された制御信号は、通信部12を介して付加制御部11に入力され、付加制御部11は、その制御信号を補助線合成部81に出力して補助線の間隔を変更する。その結果、指定された間隔の補助線が合成された画像がディスプレイ153に表示される。
【0027】
杭Pの誘導手順は、例えば、以下のとおりである。最初に、杭Pの全体が表示されるような低倍率で画像D2、D3を表示させ、杭Pを目標位置の近辺に誘導する。この段階では、杭Pの位置決めの精度は比較的低い。次に、
図5で例示したようにズーム倍率を上げて杭Pを拡大表示させるとともに補助線LAの間隔を縮小し、目標位置にさらに近付けるように杭Pを誘導する。次に、
図6で例示するようにズーム倍率をさらに高くするとともに補助線LAの間隔をさらに縮小し、目標位置にさらに近付けるように杭Pを誘導する。
【0028】
図6は、ズーム倍率を変更した画像を示す図である。この例は、ズーム倍率を
図5の2倍である8倍に変更した例である。補助線合成部81は、ズーム倍率の変更に応じて、補助線の間隔を
図2の2分の1である25cmに変更する。その結果、杭の見かけの大きさは
図5の2倍になるが、補助線の見かけの間隔は
図5と同じである。このように、段階的にズーム倍率の拡大と補助線の間隔の縮小を繰り返すことにより、杭Pの位置決めの精度が段階的に高められる。よって、本実施形態によれば、対象物を目標位置に精度よく誘導するための、撮像倍率に応じた情報を取得することができる。
【0029】
上記の実施形態を次のように変形してもよい。
<変形例1>
図7は、補助線の変形例を示す図である。この例では、画像D2、D3に同心円状の補助線LBが合成されている。この構成によれば、杭と目標位置との斜距離を容易に推定することができる。
なお、同心円状の補助線に同心円の中心から放射状に延びる線を加えたものや、交差角が直角でない格子状の補助線など、いかなる形態の補助線を表示させてもよい。
【0030】
<変形例2>
補助線合成部81がズーム倍率に応じて補助線の形を変更するようにしてもよい。補助線の形とは、補助線の表示によって表現される形のことである。例えば、ズーム倍率が予め定められた閾値未満である場合には格子状の形となる補助線を表示させ、ズーム倍率がこの閾値以上となった場合には同心円状の形となる補助線を表示させるようにしてもよい。この構成によれば、閾値未満のズーム倍率により、格子状の補助線を利用して杭の水平方向及び垂直方向の大まかな位置決めを行い、続いて、ズーム倍率を閾値以上に上げ、同心円状の補助線を利用して杭の特定の部位(例えば、天端の中央)を同心円の中心に合わせるというように、ズーム倍率に応じて異なる形の補助線を使い分けることにより対象物の誘導の精度を高めることができる。
【0031】
あるいは、補助線合成部81がズーム倍率に応じて補助線の方向を変更するようにしてもよい。例えば、ズーム倍率が予め定められた閾値未満である場合には垂直線と水平線からなる格子状の補助線を表示させ、ズーム倍率がこの閾値以上となった場合には対象物の姿勢に応じて補助線の方向を変更して表示させるようにしてもよい。この構成によれば、閾値未満のズーム倍率により、垂直線と水平線からなる格子状の補助線を利用して対象物の水平方向及び垂直方向の大まかな位置決めを行い、続いて、ズーム倍率を閾値以上に上げ、垂直線又は水平線のいずれかが杭の長手方向に一致するように回転させた補助線を利用して詳細な位置決めを行うというように、ズーム倍率に応じて異なる方向の補助線を使い分けることにより対象物の誘導の精度を高めることができる。
【0032】
あるいは、補助線の形や方向を変更する機能をコントローラ15が備えていてもよい。例えば、形や方向の異なる複数の種類の補助線のデータを補助線合成部81又はコントローラ15に記憶させておき、補助線のデータの一覧表をディスプレイ153に表示させ、入力装置154によりいずれかの補助線を選択する機能をコントローラ15が備えていてもよい。補助線の方向については、基準となる方向に対する補助線の角度の値を指定するようにしてもよい。補助線合成部81は、コントローラ15で指定された内容に従って、補助線の形や方向を変更する。
【0033】
<変形例3>
図8は、補助線の変形例を示す図である。補助線L1は、杭Pの法線(右端)の設計値を示す線であり、測量装置10B、10Cの位置に応じて杭Pの設計値を補正演算することにより求められる(法線とは、杭Pの長手方向の輪郭である)。補助線L2は、出来形管理基準にて定められた許容範囲を示す線であり、杭法線の設計値を中心として±10cmの範囲を許容範囲とした例である。補助線L3、L4は、自主管理値を示す線であり、出来形管理基準にて定められた許容範囲のそれぞれ80%、50%の値を設定した例である。この例の場合、補助線は直線状の形となっている。
【0034】
杭Pの誘導手順は、例えば、以下のとおりである。最初に、杭Pの全体が表示されるような低倍率で画像D2、D3を表示させ、これに加えて、補助線L1を表示させ、杭Pを補助線L1の近辺に誘導する。この段階では、杭Pの位置決めの精度は比較的低い。次に、ズーム倍率を上げて杭Pを拡大表示させるとともに補助線L1に加えて補助線L2を表示させ、2本の補助線L2で挟まれた許容範囲内に杭Pを誘導する。次に、ズーム倍率をさらに高くするとともに補助線L1、L2に加えて補助線L3を表示させ、2本の補助線L3で挟まれた範囲内に杭Pを誘導する。次に、ズーム倍率をさらに高くするとともに補助線L1、L2、L3に加えて補助線L4を表示させ、2本の補助線L4で挟まれた範囲内に杭Pを誘導する。このように、段階的にズーム倍率の拡大と補助線の追加を繰り返すことにより、杭Pの位置決めの精度が段階的に高められる。よって、本実施形態によれば、対象物を目標位置に精度よく誘導するための、撮像倍率に応じた情報を取得することができる。
【0035】
なお、ズーム倍率に応じた補助線L2、L3、L4の追加は、作業員の判断によって行われてもよいが、コントローラ15が判断して行うようにしてもよい。例えば、画面上の2本の補助線L2の間隔が閾値未満となる場合には補助線L2を表示せず、ズーム倍率を上げたことでその間隔が閾値以上となる場合には補助線L2を表示するようにしてもよい。補助線L3、L4についても、同様である。
図8の例では、補助線L1〜4の線種を異ならせた例を示したが、ディスプレイ153がカラー画像を表示する装置である場合には、補助線L1〜4の色を異ならせてもよい。
【0036】
<変形例4>
コントローラ15を設置する第4地点Dは、陸上でもよい。この場合、陸上の作業員がコントローラ15の画面上で杭の位置や姿勢を観察し、打設船上の作業員に杭の移動方向や移動距離に関する指示を無線通信で与えてもよい。また、陸上の作業員がコントローラ15の画面上で杭の位置や姿勢を観察しながら打設船を遠隔操作して杭の移動方向や移動距離を制御してもよい。
【0037】
<変形例5>
実施形態では、1台のコントローラ15で測量装置10B、10Cを操作する例を示したが、測量装置10Bを操作するためのコントローラ15Bと、測量装置10Cを操作するためのコントローラ15Cとを設置してもよい。
【0038】
<変形例6>
実施形態では、打設する杭の誘導に本発明を適用した例を示したが、他の工種に本発明を適用してもよい。例えば、鋼管杭打設工、矢板打設工、ジャケット据付工、ケーソン据付工、鋼板セル設置工、造成工(盛土工、切土工(陸上工事))などに本発明を適用してもよい。
【0039】
<変形例7>
補助線合成部81の機能がハードウェア回路で実装されていてもよいし、その機能の一部又は全部がソフトウェアで実装されていてもよい。
補助線合成部81の機能がコントローラ15に備えられていてもよい。つまり、本発明は、所定方向を基準として、測量対象の視準点を視準する光軸方向の角度を計測して測量情報として出力する測量情報出力手段と、前記光軸方向を変更する駆動手段と、前記測量情報出力手段にて得られた測量情報を遠隔地へ送信する測量情報送信手段と、前記光軸方向の視準点を含む画像を撮像して電気信号に変換して画像情報として出力し、遠隔地から送信された制御信号に基づいて撮像倍率を変更する撮像手段と、前記撮像手段にて得られた画像情報を前記遠隔地へ送信する画像情報送信手段とを備え、
前記視準点を視準する光軸と前記撮像手段の光軸とが所定の相対関係を維持した測量手段と、前記撮像倍率に応じた
複数の補助線
を含み前記複数の補助線の間隔に応じた実空間における距離が読み取り可能な画像を前記画像情報に応じた撮像画像に合成して出力する補助線合成手段とを備える測量システムとしても特定され得る。
【0040】
<変形例8>
また、本発明は、所定方向を基準として、測量対象の視準点を視準する光軸方向の角度を計測して測量情報として出力する測量情報出力手段と、前記光軸方向を変更する駆動手段と、前記測量情報出力手段にて得られた測量情報を遠隔地へ送信する測量情報送信手段と、前記光軸方向の視準点を含む画像を撮像して電気信号に変換して画像情報として出力し、遠隔地から送信された制御信号に基づいて撮像倍率を変更する撮像手段と、前記撮像手段にて得られた画像情報を前記遠隔地へ送信する画像情報送信手段とを備え、
前記視準点を視準する光軸と前記撮像手段の光軸とが所定の相対関係を維持した測量手段によって目標位置を求めるステップと、前記撮像倍率に応じた
複数の補助線
を含み前記複数の補助線の間隔に応じた実空間における距離が読み取り可能な画像を前記画像情報に応じた撮像画像に合成して表示するステップと、前記
複数の補助線
を含み前記距離が読み取り可能な画像が合成された撮像画像に基づいて対象物を前記目標位置に誘導するステップとを備える測量方法としても特定され得る。
【解決手段】測量装置は、所定方向を基準として、測量対象の視準点を視準する光軸方向の角度を計測して測量情報として出力する測量情報出力手段と、光軸方向を変更する駆動手段と、測量情報出力手段にて得られた測量情報を遠隔地へ送信する測量情報送信手段と、光軸方向の視準点を含む画像を撮像して電気信号に変換して画像情報として出力し、遠隔地から送信された制御信号に基づいて撮像倍率を変更する撮像手段と、撮像手段にて得られた画像情報を遠隔地へ送信する画像情報送信手段とを備え、