特許第6174209号(P6174209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174209
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20170724BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   H02J9/06 120
   H02J7/34 F
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-159521(P2016-159521)
(22)【出願日】2016年8月16日
(62)【分割の表示】特願2011-279988(P2011-279988)の分割
【原出願日】2011年12月21日
(65)【公開番号】特開2016-214078(P2016-214078A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清田 一樹
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−58170(JP,A)
【文献】 特開2011−72155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00 − 11/00
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータで変換された直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給するインバータと、
前記インバータのゲートに与えるゲート信号を生成するゲート信号生成回路と、
前記インバータと前記コンバータの接続点に接続された充放電可能な複数のセルからなるリチウムイオン電池と、
前記リチウムイオン電池の電圧を放電する放電回路と、
前記リチウムイオン電池の放電電圧を検出する放電電圧検出回路と、
前記リチウムイオン電池の放電終止レベルを設定する放電終止レベル設定器と、
前記放電電圧検出回路の出力と前記放電終止レベル設定器の放電終止レベルとを比較し、前記放電電圧検出回路の出力が前記放電終止レベル設定器の放電終止レベルを超えたことを報知する報知信号を出力する放電終止電圧比較器と、
前記リチウムイオン電池のセル単体の放電終止電圧の検出回路と、
前記放電終止電圧比較器からの報知信号と、前記放電終止電圧の検出回路の検出信号と、前記インバータのゲートに与えるゲート信号生成回路からのゲート生成信号を入力し、前記放電終止電圧比較器及び前記セル単体の放電終止電圧の検出回路からの出力信号の少なくとも一つが入力されたとき前記ゲート信号生成回路からのゲート信号が消弧されるようにしたインバータ点弧消弧回路と、
を備えた無停電電源装置。
【請求項2】
交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータで変換された直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給するインバータと、
前記インバータのゲートに与えるゲート信号を生成するゲート信号生成回路と、
前記インバータと前記コンバータの接続点に接続された充放電可能な複数のセルからなるリチウムイオン電池と、
前記リチウムイオン電池の電圧を放電する放電回路と、
前記リチウムイオン電池の放電電圧を検出する放電電圧検出回路と、
前記放電電圧検出回路からの出力から前記リチウムイオン電池のセル単体の電池電圧を算出するセル単体電池電圧算出回路と、
前記セル単体の放電終止レベルを設定するセル単体放電終止レベル設定器と、
前記セル単体電池電圧算出回路の出力である電池電圧が前記セル単体放電終止レベル設定器で設定されたセル単体放電終止レベルを下回ったことを報知する報知信号を出力するセル単体放電終止電圧比較器と、
前記セル単体放電終止電圧比較器からの報知信号と、前記ゲート信号生成回路の出力を入力し、前記セル単体放電終止電圧比較器からの報知信号が入力されたとき前記インバータを駆動する前記ゲート信号生成回路からのゲート信号を阻止する放電動作阻止回路と、
を備えた無停電電源装置。
【請求項3】
交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータで変換された直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給するインバータと、
前記インバータと前記コンバータの接続点に接続された充放電可能な複数のセルからなるリチウムイオン電池と、
前記リチウムイオン電池を充電するものであってゲート信号を供給可能な半導体素子を含む充電回路と、
前記充電回路の半導体素子のゲートにゲート信号を与えることで前記充電回路を活かす充電回路用ゲート信号生成回路と、
前記リチウムイオン電池のセル単体の過電圧を検出するセル単体過電圧検出回路と、
前記リチウムイオン電池の充電電圧を検出する充電電圧検出回路と、
前記リチウムイオン電池の過電圧レベルを設定する過電圧レベル設定器と、
前記充電電圧検出回路の充電電圧が前記過電圧レベル設定器で設定された過電圧レベルを超えたことを報知する過電圧比較器と、
前記過電圧比較器の出力と、前記セル単体過電圧検出回路の出力と、前記充電回路用ゲート信号生成回路のゲート信号を入力し、前記過電圧比較器からの報知信号及び前記セル単体過電圧検出回路からの過電圧検出信号の少なくとも一つが入力されたとき前記充電回路に与えられる前記充電回路用ゲート信号生成回路からのゲート信号を阻止する充電回路駆動停止信号発生回路と、
を備えた無停電電源装置。
【請求項4】
交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータで変換された直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給するインバータと、
前記インバータと前記コンバータの接続点に接続された充放電可能な複数のセルからなるリチウムイオン電池と、
前記リチウムイオン電池を充電するものであってゲート信号を供給可能な半導体素子を含む充電回路と、
前記充電回路の半導体素子のゲートにゲート信号を与えることで前記充電回路を活かす充電回路用ゲート信号生成回路と、
前記リチウムイオン電池の充電電圧を検出する充電電圧検出回路と、
前記充電電圧検出回路の出力からセル単体の充電電圧を算出するセル単体充電電圧算出回路と、
前記リチウムイオン電池のセル単体の過電圧レベルを設定するセル単体過電圧レベル設定器と、
前記セル単体充電電圧算出回路の出力が前記セル単体過電圧レベル設定器で設定されたセル単体過電圧レベルを超えたことを報知する過電圧比較器と、
前記充電回路用ゲート信号生成回路からのゲート信号と前記過電圧比較器からの報知信号を入力し、この報知信号が入力されたとき前記充電回路に与えられる前記充電回路用ゲート信号生成回路からのゲート信号を阻止する充電回路動作阻止回路と、
を備えた無停電電源装置。
【請求項5】
前記リチウムイオン電池は、これを構成するセル単体の過電圧及び又は過放電を管理する機能を有するもの、或いはセル単体の過電圧及び又は過放電を管理する機能を有していないもののいずれかである請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記インバータ点弧消弧回路、前記放電動作阻止回路、前記充電回路駆動停止信号発生回路、又は、前記充電回路動作阻止回路は、論理積素子で構成した請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電源例えば交流電力系統から供給された電力を電力変換して負荷機器へ供給すると共に、交流電源に異常が生じた場合、直流電源例えば二次電池により一定時間停電することなく電力を供給し続ける無停電電源装置としては種々ある。この一例として、直流電源の二次電池として鉛蓄電池を使用した無停電電源装置では、鉛蓄電池の電圧は管理放電終止電圧検出回路による終止電圧のみの1点管理で行っていた。
【0003】
このため、管理放電終止電圧検出回路が何等かの理由により異常が発生することがあり、鉛蓄電池が過電圧及び又は過放電となることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002―27684号公報
【特許文献2】特開2011―62038号公報
【特許文献3】特開2006―203978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態は、直流電源の過電圧及び又は過放電を防ぐことができ、これにより信頼性の高い無停電電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の代表例は、交流電源から供給された交流電力を直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータで変換された直流電力を交流電力に変換して負荷へ供給するインバータと、前記インバータのゲートに与えるゲート信号を生成するゲート信号生成回路と、前記インバータと前記コンバータの接続点に接続された充放電可能な複数のセルからなるリチウムイオン電池と、前記リチウムイオン電池の電圧を放電する放電回路と、前記リチウムイオン電池の放電電圧を検出する放電電圧検出回路と、前記リチウムイオン電池の放電終止レベルを設定する放電終止レベル設定器と、前記放電電圧検出回路の出力と前記放電終止レベル設定器の放電終止レベルとを比較し、前記放電電圧検出回路の出力が前記放電終止レベル設定器の放電終止レベルを超えたことを報知する報知信号を出力する放電終止電圧比較器と、前記リチウムイオン電池のセル単体の放電終止電圧の検出回路と、前記放電終止電圧比較器からの報知信号と、前記放電終止電圧の検出回路の検出信号と、前記インバータのゲートに与えるゲート信号生成回路からのゲート生成信号を入力し、前記放電終止電圧比較器及び前記セル単体の放電終止電圧の検出回路からの出力信号の少なくとも一つが入力されたとき前記ゲート信号生成回路からのゲート信号が消弧されるようにしたインバータ点弧消弧回路と、を備えた無停電電源装置である。
【0007】
本実施形態の代表例によれば、充放電可能な複数のセルからなるリチウムイオン電池の過電圧及び又は過放電を防ぐことができ、これにより信頼性の高い無停電電源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1における無停電電源装置を説明するための概略構成図。
図2】実施形態2における無停電電源装置を説明するための概略構成図。
図3】実施形態3における無停電電源装置を説明するための概略構成図。
図4】実施形態4における無停電電源装置を説明するための概略構成図。
図5】実施形態5における無停電電源装置を説明するための概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下実施形態について図面を参照して説明する。始めに図1を参照して実施形態1について説明する。交流電源16例えば交流電力系統から供給された交流電力を直流電力に変換するコンバータ1と、コンバータ1で変換された直流電力を交流電力に変換して負荷30へ供給するインバータ3と、コンバータ1とインバータ3の間に電圧波形を平滑する平滑コンデンサ2と、インバータ3を構成している半導体素子のゲートに与えるゲート信号を生成するゲート信号生成回路(インバータ用ゲート信号生成回路)10と、インバータ3とコンバータ1の接続点に接続された充放電可能な直流電源17例えば複数のリチウムイオン電池セルからなるリチウムイオン電池(以下単に電池と称する)と、直流電源17を充電するための後述する充電回路6と、直流電源17と充電回路6の出力との間に直流電源17を保護するためにヒューズ28、29を備えている。
【0010】
充電回路6は、交流電源16の交流電圧を昇圧するトランス61と、トランス61の二次電圧の力率を改善するための力率改善回路(PFC)62と、力率改善回路62の出力をチョッピングするチョッパ回路63を備えている。
【0011】
充電回路6の力率改善回路62の半導体素子にゲート信号を与えて充電回路6を活かす充電回路用ゲート信号生成回路14と、直流電源17の充電電圧を検出する充電電圧検出回路18と、直流電源17の過電圧レベルを設定する過電圧レベル設定器12と、充電電圧検出回路18の出力と過電圧レベル設定器12の過電圧設定レベルとを比較し、充電電圧検出回路18の出力が過電圧設定レベルを超えたことを報知する報知信号を出力する第1の比較器(過電圧比較器)13と、比較器13からの報知信号と、充電回路用ゲート信号生成器14からのゲート信号に基づき充電回路6の充電動作を阻止する充電動作阻止回路15例えば充電回路用論理積素子を備えている。この充電回路用論理積素子は、2つの入力端子を備え、一方の入力端子である反転端子には比較器13の出力が入力され、他方の入力端子である非反転端子には充電回路用ゲート信号生成器14からのゲート信号が入力されるようになっている。
【0012】
また、直流電源17の電圧を放電するものであって後述する構成の放電回路5と、直流電源17の放電電圧を検出する放電電圧検出回路7と、直流電源17の放電終止レベルを設定する放電終止レベル設定器8と、放電電圧検出回路7の出力と放電終止レベル設定器8の放電終止レベルとを比較し、放電電圧検出回路7の出力が放電終止レベル設定器8の放電終止レベルを超えたことを報知する報知信号を出力する第2の比較器(放電終止レベル設定器)9と、第2の比較器9からの報知信号とインバータ3を構成する半導体素子のゲートにゲート信号を与えるインバータ用ゲート信号生成回路10と、比較器9からの報知信号とゲート信号生成回路10からのゲート信号に基づき放電回路の放電動作を阻止する放電動作阻止回路11例えばインバータ用論理積素子とを備えている。インバータ用論理積素子は、2つの入力端子を備え、一方の入力端子である反転端子には比較器9の出力が入力され、他方の入力端子である非反転端子にはインバータ用ゲート信号生成器10からのゲート信号が入力されるようになっている。
【0013】
放電回路5は、直流電源17の放電電圧を昇圧するトランス51と、トランス51の二次電圧の力率を改善するための力率改善回路52と、力率改善回路52の出力電圧を昇圧するリアクトル53を備えている。
【0014】
次に図1の構成の実施形態の動作について説明する。交流電源16が正常時、コンバータ1により交流電力を直流電力に変換して平滑コンデンサ2で平滑化し、インバータ用ゲート信号生成回路10による制御によりインバータ3を駆動して直流電力から交流電力に変換して負荷30に電力を供給するとともに、充電回路用ゲート信号生成回路14による制御により充電回路6から直流電源17への充電を行う。停電等の交流電源16の異常によりコンバータ1からの電力供給が停止した場合は直流電源17に蓄えられた電力を放電回路5により昇圧して供給することで、負荷30へ電力を供給する。直流電源17は放電電圧検出回路7により電圧検出されており、放電時は放電終止電圧比較器9により放電終止レベル設定器8と電圧値の比較が行われ、直流電源17の電圧が放電終止レベルを下回った時にインバータ用論理積素子11にインバータ駆動を停止する信号を発信することで直流電源17の深放電を防いでいる。
【0015】
また、充電時は過電圧比較器13により過電圧レベル設定器12と電圧値の比較が行われ、直流電源17の電圧が過電圧レベルを上回ったときに充電回路用論理積素子15に充電回路6の駆動を停止する信号を発信することで直流電源17の過電圧を防いでいる。
【0016】
このように構成された図1の直流電源17への充電を行う充電回路6において、充電電圧検出回路18の出力からの充電電圧が、過電圧レベル設定器12で設定された過電圧レベルを超えたときに、過電圧比較器13から信号「1」が出力され、信号「1」が充電回路用論理積素子15で反転され、充電回路用ゲート信号生成回路14からの信号が存在しても充電回路6に対する充電回路用論理積素子15からの信号がブロックされる。この結果、直流電源17の充電が阻止され、直流電源17の過電圧が防がれ、無停電電源装置の信頼性が向上する。
【0017】
また、図1の放電電圧検出回路7で検出された出力が、放電終止レベル設定器8で設定された放電終止レベルを下回った時に、放電終止電圧比較器9から信号「1」が出力されるが、放電動作阻止回路11により反転され、インバータ用ゲート信号生成回路10からの信号が出力されていても、放電動作阻止回路11からの信号が出力されないので、インバータ3を駆動する信号がブロックされる。この結果、直流電源17の過放電を防がれ、無停電電源装置の信頼性が向上する。
【0018】
以上説明したように、実施形態1によれば、直流電源17としてリチウムイオン電池を使用した場合において、電池電圧が放電終止レベルを下回った時にインバータ駆動を停止させる信号を発することで、リチウムイオン電池の過放電を防ぐことができる。また、充電電圧が過電圧レベルを超えた時に充電回路駆動を停止させる信号を発することで、リチウムイオン電池の過電圧を防ぐことができる。
【0019】
次に、実施形態2について図2を参照して説明する。図1と異なる点は、充電電圧検出回路18を設けず、この代わりに直流電源17のセル単体の放電終止電圧を検出するセル単体放電終止電圧検出回路19を設け、また図1の放電動作阻止回路11を設けず、この代わりにインバータを点弧、消弧するインバータ点弧消弧回路20例えばインバータ用3入力論理積素子を設け、このインバータ用3入力論理積素子に、放電終止電圧比較器9からの報知信号と、セル単体放電終止電圧検出回路19の検出信号と、インバータ3のゲートに与えるインバータ用ゲート信号生成回路10からのゲート生成信号に基づき、インバータ3を点弧、消弧するように構成したものである。これ以外の構成は、図1と同一であるので、ここではその説明を省く。
【0020】
具体的には、インバータ点弧消弧回路20は、2つの反転入力端子と、1つの非反転入力端子を備え、2つの反転入力端子には比較器9からの報知信号及びセル単体放電終止電圧検出回路19の検出信号をそれぞれ入力し、非反転入力端子にはインバータ用ゲート信号生成回路10からのゲート生成信号を入力し、インバータ用3入力論理積素子の出力でインバータ3を点弧、消弧するように構成したものである。比較器9からの報知信号及びセル単体放電終止電圧検出回路19の検出信号がともに「0」のときで、ゲート信号生成回路10からのゲート信号が存在するとき、インバータ3が点弧され、これ以外のときはインバータ3が消弧される。
【0021】
以上述べた実施形態2によれば、直流電源17の電圧を検出し、この検出電圧が放電終止レベルを下回るか、直流電源17からのセル単体放電終止電圧検出信号を受け取った時にインバータ3の駆動を停止させる信号を発生することで、直流電源17の全体だけでなく、直流電源17を構成するセル単体の過放電も防ぐことができる。
【0022】
以上説明したように、実施形態2によれば、直流電源17としてリチウムイオン電池を使用した場合、リチウムイオン電池から発信されるセル単体放電終止電圧検出回路19の出力を制御に取り入れることで、リチウムイオン電池の全体電圧だけでなく、セル単体電圧の面からもリチウムイオン電池の過放電を防ぐことができる。
【0023】
次に、実施形態3について図3を参照して説明する。図1と異なる点は、放電電圧検出回路7と放電終止電圧比較器9の間に、放電電圧検出回路7からの検出値により直流電源17を構成するセル単体の電圧を算出するセル単体電池電圧算出回路21を設け、図1の放電終止電圧比較器9の入力側に設けてある放電終止レベル設定器8を設けず、この代わりにセル単体放電終止レベル設定器22を設けたものである。
【0024】
ここで、セル単体電池電圧算出回路21について説明する。セル単体電池電圧算出回路21は次の計算式により求めるものである。
【0025】
セル単体放電電圧算出値 = 電池電圧 / セル数 + 許容差 (式)
ここで、許容差は、直流電源17の特性、具体的には電池特性によって決まった値である。
【0026】
このように図3の実施形態において、次のような作用効果が得られる。直流電源17例えばリチウムイオン電池について、放電電圧検出回路7の出力からセル単体電池電圧算出回路21によりセル単体電池電圧を出力する。セル単体電池電圧の出力と、セル単体放電終止レベル設定器22の値が放電終止電圧比較器9により比較され、電池電圧が放電終止レベルを下回った時に「1」が出力される。この時、放電動作阻止回路11例えばインバータ用論理積素子の値が「0」となり、インバータ3の駆動を停止させる信号が発信される。
【0027】
この結果、実施形態3によれば、電池からのセル単体放電終止電圧検出信号が得られない場合においても、電池の全体電圧からセル単体電池電圧を算出し、電池のセル単体の過放電を防ぐことができる。
【0028】
次に、実施形態4について図4を参照して説明する。図1と異なる点は、図1の放電電圧検出回路7と、放電終止レベル設定器8と、放電終止電圧比較器9と、インバータ用ゲート信号生成回路10と、放電動作阻止回路11であるインバータ用論理積素子を省き、図1の過電圧比較器13の出力と充電回路6の間に、充電回路駆動停止信号発生回路24例えば充電回路用3入力論理積素子を設けたものである。リチウムイオン電池17側にセル単体過電圧検出回路23を新たに設けたものである。充電回路6と過電圧比較器13の入力との間に充電電圧検出回路18を設けたものである。
【0029】
充電回路駆動停止信号発生回路24である充電回路用3入力論理積素子は、2つの反転入力端子と1つの非反転入力端子を備え、2つの反転入力端子には過電圧比較器13の出力及びセル単体過電圧検出回路23の出力が、また非反転入力端子には充電回路用ゲート信号生成回路14の出力がそれぞれ入力され、充電回路駆動停止信号発生回路24である充電回路用3入力論理積素子の出力は充電回路6に有する半導体素子のゲートに与えるように構成したものである。
【0030】
このように構成した図4の実施形態によれば、リチウムイオン電池17について、セル単体過電圧検出回路23によりリチウムイオン電池17のセル単体電圧が過電圧レベルを超えた時に「1」が出力される。セル単体過電圧検出回路23の出力が「1」となった時か、過電圧比較器13の出力が「1」となった時、充電回路駆動停止信号発生回路24の値が「0」となり、充電回路6の駆動を停止させる信号が発信される。
【0031】
この結果、リチウムイオン電池17から発信されるセル単体過電圧検出回路23の出力を制御に取り入れることで、リチウムイオン電池17の全体電圧だけでなく、セル単体電圧の面からもリチウムイオン電池17の過電圧を防ぐことができる。
【0032】
次に、実施形態5について図5を参照して説明する。図1と異なる点は、図1の放電電圧検出回路7と、放電終止レベル設定器8と、放電終止電圧比較器9と、インバータ用ゲート信号生成回路10と、放電動作阻止回路11を省き、図1の充電電圧検出回路18の出力と過電圧比較器13の入力との間に、充電電圧検出回路18からの検出値からリチウムイオン電池17の充電電圧を算出するセル単体電池充電電圧算出回路25を設け、図1の過電圧比較器13の入力側の過電圧レベル設定器12を設けず、この代わりにセル単体過電圧レベル設定器26を設けた点以外は、図1と同一構成である。
【0033】
この場合のセル単体電池充電電圧算出回路25は、次の式により求めるものである。
【0034】
セル単体充電電圧算出値 = 充電電圧 / セル数 − 許容差 (式)
であり、この場合の許容差はリチウムイオン電池17の特性によって決まっているものである。
【0035】
このように構成した図5の実施形態によれば、リチウムイオン電池17について、充電電圧検出回路18の出力からセル単体充電電圧算出回路25によりセル単体充電電圧を出力する。セル単体充電電圧算出回路25の出力と、セル単体過電圧レベル設定器26の値が過電圧比較器13により比較され、充電電圧が過電圧レベルを超えた時に「1」が出力される。この時、充電回路動作阻止回路15の値が「0」となり、充電回路6の駆動を停止させる信号が発信される。
【0036】
この結果、実施形態5によれば、リチウムイオン電池17からのセル単体過電圧検出信号が得られない場合においても、リチウムイオン電池17の全体電圧からセル単体充電電圧を算出し、リチウムイオン電池17のセル単体の過電圧を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0037】
1…コンバータ、2…平滑コンデンサ、3…インバータ、5…放電回路、6…充電回路、7…放電電圧検出回路、8…放電終止レベル設定器、9…放電終止電圧比較器、10…インバータ用ゲート信号生成回路、11…放電動作阻止回路、12…過電圧レベル設定器
、13…過電圧比較器、14…充電回路用ゲート信号生成回路、15…充電動作阻止回路
、16…交流電源、17…直流電源、18…充電電圧検出回路、19…セル単体放電終止電圧検出回路、20…インバータ点弧消弧回路、21…セル単体電池電圧算出回路、22…セル単体放電終止レベル設定器、23…セル単体過電圧検出回路、24…充電回路駆動停止信号発生回路、25…セル単体電池充電電圧算出回路、25…セル単体充電電圧算出回路、26…セル単体過電圧レベル設定器、28、29…ヒューズ、30…負荷、51…トランス、52…力率改善回路、53…リアクトル、61…トランス、62…力率改善回路
、63…チョッパ回路。
図1
図2
図3
図4
図5