(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6174231
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】X線による検査時の被検者用検査支援システム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
A61B6/00 390Z
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-243097(P2016-243097)
(22)【出願日】2016年12月15日
【審査請求日】2016年12月20日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年6月30日 https://www.nict.go.jp/press/2016/06/30−1.html
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515330052
【氏名又は名称】株式会社アイエスゲート
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐基
(72)【発明者】
【氏名】宮田 充
【審査官】
九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−223237(JP,A)
【文献】
特開平07−241285(JP,A)
【文献】
特開2001−037749(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0139136(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽されて隔てられた検査者と被検者との間で、被検者に対して検査者が要請する検査時の体位を指示し、検査に関連する説明内容を案内するX線による検査時の被検者用検査支援システムにおいて、
体位指示及び検査に関連する説明内容の指示情報を選択する指示ボタンが配置されている操作指示画面を有すると共に、選択操作された指示ボタンによる前記指示情報を送信する指示情報送信部を備えて成る検査指示操作端末と、
指示情報送信部から送信された指示情報を受信する指示情報受信部を備えると共に、指示情報の体位指示及び検査に関連する説明内容を表示する指示表示画面を有している検査指示表示端末とから成り、
前記検査指示操作端末は、被検者に対する検査者からの体位姿勢の変更指示、この変更指示による体位図の画像、変更指示を説明するテキスト文言として表示させ、必要に応じ音声として出力させる指示情報を格納している指示情報データベース部と、検査に必要な体位、体位変更を指示し、説明内容その他を案内する個別の指示情報毎の検査指示あるいは説明内容案内のための指示ボタンが表示されている操作指示画面と、指示ボタンの選択操作によって所定の指示情報を検査指示表示端末に送信する指示情報送信部とを備えていて、
操作指示画面は、検査に関連する説明内容を表示した検査内容案内ボタンが配置されている検査説明エリアが区画されて、また検査時における被検者の体位、その変更の体位図を被検者に指示できる個別の体位指示ボタン、被検者の体位の変更方向・変更度合いの大小を体位図の回転によって被検者に指示できる体位回転調整指示ボタンの少なくともいずれか一方が配置されている体位変更指示エリアが区画されて成り、
前記検査指示表示端末は、検査指示操作端末から送信された体位指示及び検査に関連する説明内容の指示情報を受信する指示情報受信部と、受信した指示情報の体位指示及び検査に関連する説明内容を表示する指示表示画面とを備えていて、
指示表示画面は、検査指示操作端末から送信指示された被検者が取るべき体位及び体位・姿勢の変更指示による体位図を表示している体位図表示エリア、検査に関連する説明内容その他が表示される説明内容出力表示エリアが区画されて成る、
ことを特徴とするX線による検査時の被検者用検査支援システム。
【請求項2】
前記体位指示ボタンは、被検者による検査体位・姿勢の指示内容を表示した体位図の画像が表示されていて、仰向け、俯せ、右向き、左向き等の変更される体位に関連する位置に対応して体位変更指示エリアの周辺に沿って順次に配列されている請求項1に記載のX線による検査時の被検者用検査支援システム。
【請求項3】
前記体位回転調整指示ボタンは、表示されている体位図の画像の一部をなぞり移動回転させることで、その移動方向、回転量の大小に対応して体位図も移動回転し、その移動回転した体位図が前記検査指示表示端末における指示表示画面に表示されるようにしてある請求項1に記載のX線による検査時の被検者用検査支援システム。
【請求項4】
検査指示表示端末はヘッドマウントディスプレイによって構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載のX線による検査時の被検者用検査支援システム。
【請求項5】
前記指示情報は、選択された外国語による記述表示として、必要に応じ音声としても検査指示表示端末に表示、出力するようにしてある請求項1乃至4のいずれかに記載のX線による検査時の被検者用検査支援システム。
【請求項6】
前記操作指示画面に、検査開始、終了、中止を被検者に案内するボタンが配置されている検査案内エリアを区画してある請求項1乃至5のいずれかに記載のX線による検査時の被検者用検査支援システム。
【請求項7】
前記操作指示画面は、区画配置されている検査説明エリア、体位変更指示エリア、検査案内エリアを任意に変更配置できるようにしてある請求項1乃至6のいずれかに記載のX線による検査時の被検者用検査支援システム。
【請求項8】
前記検査指示表示端末は、検査指示操作端末から送信された前記指示情報を音声出力させる音声出力部を備えている請求項1乃至7のいずれかに記載のX線による検査時の被検者用検査支援システム。
【請求項9】
前記検査指示操作端末は、被検者が視認し得る視野の映像を前記検査指示表示端末から受信し、表示する被検者視野確認部を備えており、
また、前記検査指示表示端末は、被検者が視認し得る視野を撮像するカメラと、撮像した視野映像を検査指示操作端末に送信する映像送信部と、同じく視野映像を記録、保存する映像保存部とを備えている請求項1乃至8のいずれかに記載のX線による検査時の被検者用検査支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばX線検査時において、被検者に対するX線による照射撮影部位を的確にするため所定の姿勢への体位変更等を被検者に指示案内するとき、この指示された体位姿勢の変更等を被検者が直ちに認識理解できてスムーズに短時間で撮影処理が可能となるようにし、特にその音声による指示が聴取不能な聴覚障害者を対象とするに好適なX
線による検査時の被検者用検査支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検者に対するX線検査部位の撮影に際しては、検査技師等の検査者の被曝防止のために、被検者を撮影するX線検査機器・設備が設けられている検査室と、その操作機器・設備が配されている操作室とをX線遮蔽壁等で遮断するものとしている。そして、検査者は操作室から、被検者が横たわる検査台の姿勢を制御するとともに被検者に対して必要とする体位姿勢等の変更を指示しており、その指示は検査室に設けられている例えばスピーカを経た検査者の音声によっている。
【0003】
ただ、いずれにしても検査室と操作室とは分離独立した構成としてあるために、検査者と被検者との間における検査指示、体位変更等のコミュニケーションは確実に行わなければならない。また検査内容によっては極めて限られた短時間で実施される必要がある場合には、その指示が被検者に確実に理解認識されなければならない。
【0004】
こうした点から、例えば特許文献1に係るX線システムのハンドヘルド式デバイス制御では、検査者が操作するハンドヘルド式インターフェースデバイスからの信号に応答して患者が聴取可能なコマンドが、例えばユーザが吹き込んだ音声入力としてX線撮像を受けていると患者に聞かせることによってできるようにしている。特許文献2に係る音声ガイダンス管理サーバおよび医用画像診断装置では、検査手法と患者言語に対応する音声ガイダンスとを用意しておき、検査手順の情報に記述のタイミングに従って、例えば外国籍の患者に対応して理解できる言語を用いることができるとしている。特許文献3に係る医用診断支援装置では、特に視覚障害、聴覚障害がある受診者に対して診断結果を解説するに際し、解説者用と受診者用それぞれに独立した携帯情報端末を持たせることで、検査結果を患者に伝えるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−245274号公報
【特許文献2】特開2011−022740号公報
【特許文献3】特開2009−285290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来のシステム、支援装置では、検査者からの被検者に対する指示は、音声を使用しているために、例えば聴覚障害者が被検者である場合には利用できず、その指示が外国語に翻訳されるものであっても同様に聴覚障害者には適用できない。また携帯情報端末を利用するとしても、視覚障害者、聴覚障害者に対する診断結果を解説するのであって、X線検査時の検査者から被検者に対する検査指示、体位変更等を指示するものではない。
【0007】
また、例えば胃症状を検査するためのX線透視には、被検者はバリウム及び発泡剤を飲用して胃を充満状態としておき、短時間で撮影処理する必要がある。撮影処理するに際し、胃自体を種々の方向から撮像するために被検者が検査台上で体位を変更したり、検査台自体を水平あるいは立てたり、傾斜させたりすると、被検者自身がそのときの現体位がどのような状態であるのかを一時的に失念してしまったり、検査台自体の状況・姿勢を誤解・混乱し、迷ってしまったりすることがある。そうすると、被検者自身が体位を変更するに際し、戸惑うことで時間が掛かり、また時間が掛かることで飲用した発泡剤による充満状態を維持できずにげっぷによってガスが消失し飲用量を追加する必要が生じることがある。
【0008】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、その目的は、X線検査時の被検者に対する検査者から検査姿勢・体位等の変更指示、案内を検査室外の操作室等から指示するとき、その指示内容を被検者が直ちに理解でき速やかな検査姿勢等の体位変更を可能にさせることで必要な検査を短時間で処理できるようにするのであり、特に音声による指示が的確に理解できない聴覚障害者や外国人等の被検者が検査内容に応じた体位変更等の指示を簡単に認識理解できるようにしたX
線による検査時の被検者用検査支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、遮蔽されて隔てられた検査者と被検者との間で、被検者に対して検査者が要請する検査時の体位を指示し、検査に関連する説明内容を案内するX線等による検査時の被検者用検査支援システムにおいて、体位指示及び検査に関連する説明内容の指示情報を選択する指示ボタン5A,6A,6Bが配置されている操作指示画面3を有すると共に、選択操作された指示ボタン5A,6A,6Bによる前記指示情報を送信する指示情報送信部7を備えて成る検査指示操作端末1と、指示情報送信部7から送信された指示情報を受信する指示情報受信部21を備えると共に、指示情報の体位指示及び検査に関連する説明内容を表示する指示表示画面22を有している検査指示表示端末20とから成ることを特徴とする。
検査指示操作端末1はタブレット型のパーソナルコンピュータによって、検査指示表示端末20はヘッドマウントディスプレイによってそれぞれ構成することができる。
検査指示操作端末1は、
被検者に対する検査者からの体位姿勢の変更指示、この変更指示による体位図の画像、変更指示を説明するテキスト文言として表示させ、必要に応じ音声として出力させる指示情報を格納している指示情報データベース部2と、検査に必要な体位、体位変更を指示し、説明内容その他を案内する個別の指示情報毎の検査指示あるいは説明内容案内のための指示ボタン5A,6A,6Bが表示されている操作指示画面3と、指示ボタン5A,6A,6Bの選択操作によって所定の指示情報を検査指示表示端末20に送信する指示情報送信部7とを備えて構成することができる。
検査指示操作端末1は、被検者が視認し得る視野の映像を検査指示表示端末20から受信し、表示する被検者視野確認部8を備えて構成することができる。
操作指示画面3は、検査に関連する説明内容を表示した検査内容案内ボタン5Aが配置されている検査説明エリア5が区画されて、また検査時における被検者の体位、その変更
の体位図を被検者に指示できる個別の体位指示ボタン6A、被検者の体位の変更方向・変更度合いの大小を体位図の回転によって被検者に指示できる体位回転調整指示ボタン6Bの少なくともいずれ一方が配置されている体位変更指示エリア6が区画されて構成することができる。
体位指示ボタン6Aは、被検者による検査体位・姿勢の指示内容を表示した体位図の画像が表示されていて、仰向け、俯せ、右向き、左向き等の変更される体位に関連する位置に対応して体位変更指示エリア6の周辺に沿って順次に配列されていることで構成することができる。
体位回転調整指示ボタン6Bは、表示されている体位図の画像の一部をなぞり移動回転させることで、その移動方向、回転量の大小に対応して体位図も移動回転し、その移動回転した体位図が検査指示表示端末20における指示表示画面22に表示されるようにして構成することができる。
前記指示情報は、選択された外国語による記述表示として、必要に応じ音声としても検査指示表示端末20に表示、出力するようにして構成することができる。
検査指示操作端末1の操作指示画面3に、検査開始、終了、中止を被検者に案内するボタン13A,13B,13Cが配置されている検査案内エリア13を区画して構成することができる。
操作指示画面3は、区画配置されている検査説明エリア5、体位変更指示エリア6、検査案内エリア13を任意に変更配置できるようにして構成することができる。
検査指示表示端末20は、検査指示操作端末1から送信された体位指示及び検査に関連する説明内容の指示情報を受信する指示情報受信部21と、受信した指示情報の体位指示及び検査に関連する説明内容を表示する指示表示画面22とを備えて構成することができる。
検査指示表示端末20の指示表示画面22は、検査指示操作端末1から送信指示された被検者が取るべき体位及び体位・姿勢の変更指示による体位図を表示している体位図表示エリア24、検査に関連する説明内容その他が表示される説明内容出力表示エリア25が区画されて構成することができる。
検査指示表示端末20は、被検者が視認し得る視野を撮像するカメラ28と、撮像した視野映像を検査指示操作端末1に送信する映像送信部27と、同じく視野映像を記録、保存する映像保存部29とを備えて構成することができる。
検査指示表示端末20は、検査指示操作端末1から送信された前記指示情報を音声として出力させる音声出力部26を備えて構成することができる。
【0010】
以上のように構成された本発明に係るX
線による検査時の被検者用検査支援システムにあって、検査室A内で被検者が検査指示表示端末20を装着して検査台Cに乗っているとき、操作室B内の検査者が被検者に対して検査に必要な体位を取らせたり、その検査に関連する説明を案内したりするとき、検査者によって検査指示操作端末1が操作されることで、その指示操作に応じた体位図等による体位指示、説明案内を被検者が検査指示表示端末20によって視認でき、例えば聴覚障害者、外国人であっても検査者によって要請される体位を認識把握させる。
検査指示操作端末1において、操作指示画面3の検査説明エリア5の検査内容案内ボタン5Aは、検査に関連する説明内容を検査指示表示端末20の指示表示画面22に表示出力させ、必要に応じその内容を音声出力部26によって音声出力させ、また所定の外国語でも表示出力可能にさせる。
体位指示ボタン6Aは、体位に関連する向きの位置で選択されて操作されることで、検査者によって要請される体位の向き等を体位図として指示表示画面22に表示出力させ、体位回転調整指示ボタン6Bは、この体位回転調整指示ボタン6Bに対するなぞり移動、更にはその微調整移動によって指示表示画面22に表示される体位図を回転させ、その回転量は体位の微調整回転・移動に対応して表示させる。体位図の表示及び体位の変更、その説明は、検査時に取らなければならない体位、その向き、変更等を被検者に直接に視認させ、理解させる。
被検者視野確認部8は、検査指示表示端末20の指示表示画面22に表示された表示内容を含む被検者が視認し得る視野が映像として表示させ、被検者が視認することで認識していると考えられる体位図、表示案内はもとより、被検者が視認していると考えられる周囲状況を映像として検査者に確認させ、生じ得る表示上の齟齬を未然に防止させ、検査室Aの状況等を把握させる。
検査案内エリア13の各ボタン13A,13B,13Cは、検査の開始、終了、中止等を検査指示表示端末の20の指示表示画面22において被検者に案内通知させる。
操作指示画面3における検査説明エリア5、体位変更指示エリア6、検査案内エリア13の配置変更は、検査者においての操作指示画面3上での各エリア5,6,13それぞれのボタン操作に際する検査者独自による使用勝手を向上させる。
ヘッドマウントディスプレイ型の検査指示表示端末20は、被検者の頭部に装着させてその指示表示画面22を被検者の眼前、視界内で常時視認させ、被検者が乗っている検査台Cの傾き、回転その他の姿勢変化があっても周囲状況との相対的な変動に惑わされずに、検査者が要請する体位、その変更、これらに伴う説明内容を十分に理解させる。
検査指示表示端末20において、指示表示画面22の体位図表示エリア24では被検者が取らなければならない体位の姿勢を体位図として表示させ、説明内容出力表示エリア25では検査に関連する説明内容を記述としてあるいは必要があれば音声出力部26によって音声として出力させ、また選択によって所定の外国語によっても表示出力させる。
カメラ28は、被検者が視認し得る視野内はもとより、その視野内にある指示表示画面22の表示内容自体をも撮像し、映像送信部27がその視野映像を映像送信部27によって検査指示操作端末1に送信させ、その被検者視野確認部8にて視野映像を確認させ、映像保存部29は後日の検証等を可能にさせる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は以上説明したように構成されているため、X線検査時の被検者に対する検査者からの検査姿勢・体位等の変更を検査室A外の操作室B等から指示するとき、被検者が取るべき体位の体位図、検査に関連する説明記述が表示されることで被検者が視認でき、更には必要に応じて音声としても出力可能にしている。そのため、被検者が例えば音声による指示が的確に理解できない聴覚障害者でも検査時に要請される体位、その変更等を簡単に理解可能となる。更には、所定の外国語による表示、その音声出力によって外国人等でも検査姿勢等の体位変更の指示等を理解でき、また健常者であれば一層容易に理解可能にさせることができる。このように検査者が要請する体位、その変更、検査内容説明を被検者が簡単に速やかに理解できるようになることで、必要な検査に伴う撮影処理を短時間で遂行でき、例えばバリウム及び発泡剤使用による胃検査においても再度飲用させることなく、被検者に不快感を与えずに行うことを可能とする。
【0012】
すなわちこれは本発明において、X線等による検査時に、被検者に対して検査者が要請する体位指示、検査に関連する説明内容を案内するとき、体位指示及び検査に関連する説明内容の指示情報を選択する指示ボタン5A,6A,6Bが配置されている操作指示画面3を有し、指示ボタン5A,6A,6Bによる前記指示情報を送信する指示情報送信部7を備えた検査指示操作端末1と、送信された前記指示情報を受信して、指示情報の内容を表示する指示表示画面22を有する検査指示表示端末20とから成るからである。これによって、検査者が被検者に要請する検査体位、その説明等を被検者に視認させることで的確に指示できる。
【0013】
また、検査指示操作端末1はタブレット型のパーソナルコンピュータとすることで、検査者においてはその操作指示画面3に配置されている指示ボタン5A,6A,6Bに対して選択した例えばタッチ操作によって、被検者に対しての体位変更の指示、検査に関連する説明等を検査指示表示端末20の指示表示画面22に送信して表示させることができる。そのため、例えば聴覚障害者、外国人であってもその表示内容を視認することで、その表示に従った体位、体位変更等の指示を容易に理解でき、検査を迅速に遂行することができる。
【0014】
検査指示表示端末20はヘッドマウントディスプレイとすることで、被検者自身の頭部に装着した状態としてその視野範囲内で指示表示画面22を視認させることができ、被検者が乗っている検査台Cが傾いたり、回転したりしてどのような姿勢状態となっても被検者は指示表示画面22を常時見ていることができる。これによって、被検者は表示、出力されている体位、説明内容に従って検査者が要請する体位変更等を混乱なくスムーズに行うことができる。
【0015】
検査指示操作端末1は、指示情報データベース部2、操作指示画面3、指示情報送信部7を備えることで、この検査指示操作端末1の操作によって、被検者に対する体位指示、検査に関連する説明その他を送信でき、検査指示表示端末20に表示、出力させることによって的確に指示できる。また、被検者視野確認部8によって、被検者が視認し得る視野映像を、場合によっては指示表示画面22の表示内容を含めて検査者において確認でき、被検者による把握可能な周囲状況の変化に対しても検査者による被検者に対する的確な指示を可能にさせる。
【0016】
検査指示操作端末1における検査説明エリア5の検査内容案内ボタン5Aは、その選択操作によって検査に関連する各種の説明を検査指示表示端末20に表示、出力させることができる。また、体位変更指示エリア6の体位指示ボタン6A、体位回転調整指示ボタン6Bは、その選択操作によって必要とする体位を検査指示表示端末20に体位図として表示させ、被検者はその表示された体位図によって必要とされる体位姿勢を直感的に理解でき、体位変更を円滑に行うことができる。
【0017】
特に、体位指示ボタン6Aは、被検者が取るべき体位を表示した体位図の画像が表示されていて、仰向け、俯せ、右向き、左向き等の変更される体位に関連する位置に対応して体位変更指示エリア6の周辺に沿って配列されていることで、検査者が指示する体位姿勢の位置に対応して配置されているいずれかの体位指示ボタン6Aを選択操作すれば良く、検査者のイメージに基づく体位、その変更等を迅速に指示できる。
【0018】
また、体位回転調整指示ボタン6Bは、体位図をなぞり移動回転させることで、その移動方向、移動回転量の大小に対応して体位図も移動回転し、その移動回転した体位図が検査指示表示端末20の指示表示画面22に表示されるようにしているので、例えば体位指示ボタン6Aによる指示では不十分な場合、例えば被検者に僅かで動いてもらいたい場合等にその動きの方向
を、動きの大小の指示と共に的確に指示することができる。
【0019】
操作指示画面3は、検査説明エリア5、体位変更指示エリア6、検査案内エリア13等の区画配置の位置を任意に変更配置できるようにしてあることで、検査者が操作するに際し、例えば右利き、左利きのいずれであってもその使い勝手によって自由に選定変更でき、検査者による実際の操作性を向上させることができる。
【0020】
検査指示表示端末20は、指示情報受信部21、指示表示画面22を備えることで、被検者は検査者から要請される検査時の体位、その変更、検査内容の説明等を視認でき、検査者の要請に十分に対応できる。また、カメラ28、映像送信部27、映像保存部29を備えることで、被検者が視認し得る視野、この視野内に含まれ得る指示表示画面22の表示内容等を視野映像として検査指示操作端末1への送信、その保存等によって被検者が認識、理解した検査指示の確認を容易にし、その検証等にも役立てることができる。
【0021】
検査指示表示端末20における指示表示画面22では、被検者が取るべき体位に相当する体位図が表示されるので、被検者はそれによって具体的な体位、また説明表示によって検査内容等を理解でき、更には必要に応じて音声出力部26によって音声による説明等によって理解できるのである。
【0022】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付した。本発明は、これらの記載、図面中の符号等によって示された構造・形状等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示す概要図である。
【
図3】同じく検査指示操作端末における操作指示画面の一例図である。
【
図4】同じく検査指示表示端末における指示表示画面の一例図である。
【
図5】同じく検査指示操作端末における検査説明エリアの検査内容案内ボタンを操作したときの画面例であり、その(a)は操作された検査内容案内ボタンの一例、(b)は操作された検査内容案内ボタンによって指示表示画面に表示された動作例、指示内容の表示例である。
【
図6】同じく検査指示操作端末における体位変更指示エリアの体位変更指示ボタンを操作したときの画面例であり、その(a)は操作された体位変更指示ボタンの一例、(b)は操作された体位変更指示ボタンによって指示表示画面に表示された体位図例、指示内容の表示例である。
【
図7】同じく検査指示表示端末における体位変更指示エリアの体位回転調整指示ボタンを操作したときの画面例であり、その(a)は検査指示表示端末の体位変更指示エリアにおける体位を右側に僅かに回転させる微調整のときの操作例、(b)は体位の微調整変更が指示されたときの指示表示画面に表示された体位図例、指示内容の表示例、(c)は操作終了後における指示表示画面に表示された体位図例、指示内容の表示例である。
【
図8】同じく検査指示操作端末における検査案内エリアの指示ボタンを操作したときの画面例であり、その(a)は例えば開始ボタンの操作例、(b)は操作された開始ボタンによって指示表示画面に表示された動作例、指示内容の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を実施するための一形態を説明すると、図において示される符号1はX線検査時等における被検者に対する各種検査を指示するよう、検査技師等の検査者が操作する例えばタブレット型(タッチパネルを搭載し、その操作のほとんどをタッチパネルで行う、薄い板状の情報機器)のパーソナルコンピュータである検査指示操作端末である。この検査指示操作端末1は、所定のX線検査機器が設置されている検査室AからのX線被爆が遮断されるようにして検査室Aとは別個に、例えば隣接させて構成されている操作室B内に配装されている。図示のように、この検査指示操作端末1は、被検者が例えば頭部に装着するヘッドマウントディスプレイの如き検査指示表示端末20の指示表示画面22に検査者による検査指示内容に対応した具体的な指示、体位等を表示させれば良く、図示のようにタブレット型に限るものではない。
【0025】
検査指示操作端末1と検査指示表示端末20とは、例えばインターネット回線によるWi−Fi通信によって相互間で各種の指示情報、データを送受信できるようにしてあり、場合によっては無線方式によらずに有線によっても可能である。
【0026】
検査指示操作端末1は、被検者に対する指示内容、被検者
に対する検査者からの体位姿勢の変更指示
に対応した体位姿勢の画像、
その変更指示内容を説明したテキスト文言として表示させ、必要に応じ音声として表示、出力させる指示情報を格納している指示情報データベース部2と、検査に必要な指示内容、体位、体位変更その他を指示する個別の指示情報毎の検査指示あるいは体位変更指示のための指示ボタン5A,6A,6Bが表示されている操作指示画面3と、指示ボタン5A,6A,6Bの押圧操作によって所定の指示情報を検査指示表示端末20に送信する指示情報送信部7と、また、被検者が視認し得る視野の映像を検査指示表示端末20から受信し、表示する被検者視野確認部8とを備えて成る。
【0027】
また、この検査指示操作端末1は、タブレット型のコンピュータ端末とすることで、そのディスプレイ画面を操作指示画面3とし、表示処理部4によって指示情報データベース部2における各種の指示情報に対応している指示ボタン5A,6Aを一覧的にあるいは場合によってはスクロールさせて表示させる。そして、その表示されている指示ボタン5A,6A,6B部位に対する一定の押圧力を付与するタッチ操作によって、選択した指示情報を指示情報送信部7によって送信できるようになっている。
【0028】
指示情報データベース部2は、被検者に対する指示内容、あるいは被検者に指示する体位姿勢、その体位変更その他の検査指示内容毎に、検査指示内容を例えば簡明に表示した前記指示ボタン5A,6A,6Bそれぞれに関連付けて検査指示内容に対応した画像・映像・イラストレーション、検査指示内容に対応したテキスト文言、その合成音声等が格納されている。更には日本語を理解しない外国人にも対応可能となるよう、その検査指示内容を所定の外国語に翻訳したテキスト文言、その外国語の合成音声等も指示ボタン5A,6A,6Bに関連付けて格納されていて、指示内容に応じた選択、出力によって検査指示表示端末20に表示、出力される。
【0029】
なお、被検者に対する指示が外国語の場合、所定の外国語に翻訳して指示内容を送信できるように、操作指示画面3には外国語選択ボタン9が配置されている。この外国語選択ボタン9のタッチ操作によって、例えば外国語メニューがプルダウン形式によって表示され、所定の外国語を選択することで、検査指示表示端末20の指示表示画面22、音声出力部26ではその外国語が表示、出力されるようになっている。
【0030】
タブレット型コンピュータとした検査指示操作端末1は、例えば
図3に示される操作指示画面3において、指示ボタン5A,6A,6Bは、検査指示内容に対応して、被検者に対する一般的な検査内容による各検査指示をグループとして纏めてある検査説明エリア5、体位及びその変更等を指示する体位変更指示をグループとして纏めてある体位変更指示エリア6が分割区画されている。更には、被検者視野確認部8によった確認情報を表示する後述する確認エリア11、検査案内エリア13も分割区画されている。
【0031】
検査説明エリア5は、例えば操作指示画面3における下部に区画表示されることで配置されており、体位を大きく変更する「右回り1回転」等の体位変更に関する指示群、「手すり内側」等の手すりに対する握持・手すりからの解放(離し)の手すり関係の安全性に関する指示群、「台起きる」等の被検者が横たわる検査台の動作の安全性に関する指示群、「息吸う」等の呼吸に関する指示群、「楽に」等の検査時の緊張緩和に関する指示群、「一口飲む」等のバリウム、発泡剤等の服用に関する指示群、その他の検査指示を簡明に表示した検査内容案内ボタン5Aとして関連する検査指示群毎に纏められて配列されている。もとより、被検者に対する検査指示内容が的確に指示できれば良いから、その表示内容、配列、着色形態、纏まり群等は任意に選定可能である。
【0032】
この検査説明エリア5におけるいずれかの検査内容案内ボタン5Aのタッチ操作によって、例えば
図5に示すように、「息吸う」のボタンを選択する(
図5(a)参照)ことで、検査指示表示端末20における指示表示画面22では、「息を吸ってください」の検査説明の記述が表示され、また必要に応じてこれに対応した音声が出力されるようにしてある。
【0033】
体位変更指示エリア6は、検査時における被検者の体位、その変更、変更度合いその他を被検者に体位図として具体的に指示できるように、体位指示ボタン6A、体位回転調整指示ボタン6Bが配列されている。この体位変更指示エリア6は、検査指示操作端末1の操作指示画面3における上部の例えば右側に分割区画されることで配置されており、必要があれば左側に分割区画して表示されるようになっている。
【0034】
この体位変更指示エリア6における体位指示ボタン6Aは、検査による例えば撮影方向に沿って指示される体位等に対応して、被検者が取らなければならない体位・姿勢の指示内容を簡潔表示した体位図の画像をアイコン形式によって、体位の方向に合わせて複数で配置したものとしてある。すなわち、この体位指示ボタン6Aは、被検者が取るべき体位が例えば仰向け、俯せ、右向き、左向き等の変更される体位そのものであることから、変更後の体位を示す説明記述あるいはその音声等によらずに、具体的な体位自体を体位図となるイメージとして表示し、その体位図が表示された体位指示ボタン6Aをタッチ押圧することで、その体位図自体による体位指示が検査指示表示端末20に送信表示されるようにしている
【0035】
この体位指示ボタン6Aは、体位の具体的姿勢の形態をそのままイメージした体位図として表示してあり、例えば上部中央に仰向け体位の、下部中央に俯せ体位の、右部中央に右向き体位の、左部中央に左向き体位のそれぞれをイメージさせる体位図(例えば人体を頭部側から見た模式図)をアイコン形式によって表示して体位変更指示エリア6の周辺に配置してある。また、これらの中間部位には、これらの体位への変更途中あるいはその中間の体位をイメージさせる中間の体位図に対応した体位指示ボタン6Aも配置してある。このように体位変更指示エリア6の周辺に、変更される体位が順次に表示されている体位図それぞれの部位に相当する体位指示ボタン6Aをタッチすることで、そのイメージの体位図が検査指示表示端末20に送信表示され、必要に応じてこれと同時にその体位姿勢を説明した記述、これに対応した合成音声が出力される。
【0036】
また、体位指示ボタン6Aが周辺に配置された体位変更指示エリア6の中央部位には、前記体位回転調整指示ボタン6Bが配置されており、例えば体位の変更・変換が僅かな微調整である場合の指示に好適となる体位変更をフリーなイメージで出力指示できるようにしている。この体位回転調整指示ボタン6Bにおける右肩部あるいは左肩部それぞれをタッチしながらいずれかの方向になぞるように旋回移動することで、この旋回移動と共に体位回転調整指示ボタン6Bに表示されている体位図も同時に回転し、その微調整される回転量の大小と共にこれに対応して回転した体位図もそのままで検査指示表示端末20に送信表示される。こうすることで、被検者にとっては、体位の変更・変換が具体的イメージとしてその途中の姿勢を含め、特に検査者が体位変換の検査指示をする際の体位の微調整変換の指示を容易に理解でき、これに従い僅かに動かす場合にも十分に認識把握できるものとなる。
【0037】
この体位回転調整指示ボタン6Bに対するなぞりのタッチ操作では、
図7に示すように、例えばそのタッチ操作に対応して(
図7(a)参照)、検査指示表示端末では例えば現在の体位姿勢位置から、検査者によって指示される動いてほしい方向が矢印で、またその移動量の大きさが矢印の大きさでそれぞれ表示され、例えば被検者が理解できるように例えば「もう少し右」というようなメッセージが表示され、必要に応じてその合成音声が出力されるようにしてある(
図7(b)参照)。そして、体位の微調整指示が終了して検査者が体位回転調整指示ボタン6Bから指を離すと矢印が消え、検査指示表示端末20には回転後の体位位置がそのままの状態で表示され、それと同時にその体位を維持することが被検者に理解できるように例えば「そのままでいてください」というようなメッセージが表示され、必要に応じてその合成音声が出力されるようにしている(
図7(c)参照)。なお、この体位回転調整指示ボタン6Bによる動きの指示には、これに対応した記述、合成音声等が前記指示情報データベース部2に予め用意されている。
【0038】
また、体位回転調整指示ボタン6Bの回転移動操作によって指示される体位の向きは、これに対応する向きを示している体位指示ボタン6Aと連動しており、例えば体位回転調整指示ボタン6Bが右向き体位を示す向きに回転させると、右向き体位を示す位置の体位指示ボタン6Aが例えば強調されたり、着色されたりする。逆に体位指示ボタン6Aのいずれかをタッチ操作すると、その体位に相当する向きに体位回転調整指示ボタン6Bの表示も回転移動されるようになっている。
【0039】
また、検査指示操作端末1の操作指示画面3には、
図3に示されるように、確認エリア11が分割区画して表示配置されており、図例にあっては操作指示画面3における上部の左側上部部位、すなわち左上部隅部位置に配置されている。この確認エリア11は、被検者が視認し得る視野の映像を検査指示表示端末20から受信し、これが表示されるものであり、被検者がその視野内で視認している周囲状況、及びその視野内にある検査指示表示端末20における指示表示画面22に表示されている体位の指示内容の画面が表示される用にしてある。その確認は、後述するように、検査指示表示端末20に装備されているカメラ28によって撮像された周囲状況であり、これには視野内にある指示表示画面22そのものも含まれ、検査指示表示端末20から送信された視野の映像を、検査指示操作端末1に備えられている映像受信部10が受信し、前記被検者視野確認部8による処理後に確認エリア11に表示される。図示例においては、検査指示表示端末20における指示表示画面22を撮像した映像である検査姿勢の体位図(24)、指示内容の記述表示あるいは音声出力されている説明内容出力表示(25)によっている(
図3参照)。
【0040】
この確認エリア11によって表示された被検者が視認し得る視野の映像は、例えば端末本体のハードディスク、SDカード、USBメモリーその他の所定の電子記録媒体(図示せず)に格納させるよう映像保存部12、あるいは前記指示情報データベース部2によって記録され、後日の検証その他に利用できるようにしている。
【0041】
同じく、検査指示操作端末1の操作指示画面3には、
図3に示されるように、検査案内エリア13が分割区画して表示配置されている。図例にあっては、操作指示画面3における上部の左側下部の部位、すなわち前記確認エリア11の下方位置に配置されている。この検査案内エリア13には、図例のように被検者に検査開始を案内する「開始」が表示されている開始ボタン13A、同じく検査終了を案内する「終了」が表示されている終了ボタン13B、検査中止を案内する「中止」が表示されている中止ボタン13Cそれぞれが上中下段態様として区画配置されている。
【0042】
また、図例にあっての検査指示操作端末1の操作指示画面3には、「位置変更」が操作される位置変更ボタン15が例えば検査案内エリア13の下方に配置構成されている。この位置変更ボタン15は、例えば前記体位変更指示エリア6、外国語選択ボタン9、確認エリア11、検査案内エリア13それぞれの操作指示画面3上での配列位置を変更する(図示を省略)のであり、例えば体位変更指示エリア6と、確認エリア11、検査案内エリア13、更にはこの位置変更ボタン15との左右の配置を逆転させることができるようにしてある。これによって、検査者におけるいわゆる右利き、左利きによる操作態様の選択を可能にしている。
【0043】
なお、検査指示操作端末1の操作指示画面3における検査説明エリア5、体位変更指示エリア6、外国語選択ボタン9、確認エリア11、検査案内エリア13、位置変更ボタン15等の配置形態は、図示例に限定されず、使い勝手等を考慮して任意に変更できるのは勿論である。
【0044】
また、この検査指示操作端末1には、音声出力確認部16が設けられており、検査指示表示端末20に送信する指示情報が音声出力を伴う場合、例えば被検者に対しての体位変更の指示、検査に関連する各種説明の案内等が検査指示表示端末20において音声出力されるとき、検査指示表示端末20における音声出力と同一内容の音声が出力されるようにしてある。こうすることで、検査者においても被検者が聞いている音声等を同時に聴取でき、特に外国語が音声出力されている場合にその確認等を容易にしている。なお、この音声出力確認部16による音声出力は、聴覚障害者を検査する場合等で検査指示表示端末20において音声出力が必要とされない場合には、後述する音声出力部26と共にその使用が一時的にでも停止されるように選択できるようにしてある。
【0045】
一方、検査指示表示端末20は、被検者によって視認可能にして被検者自身に装着されるかあるいは検査台Cに設けられていて、検査指示操作端末1から送信される体位指示及び検査に関連する説明内容の指示情報を受信する指示情報受信部21と、この受信した指示情報の体位指示及び検査に関連する説明内容が表示される指示表示画面22とを備えて成る。また、指示表示画面22に表示された指示内容を音声出力させる音声出力部26、指示表示画面22に表示された画像・映像を含むことが可能な被検者が視認し得る視野の映像を撮像して検査指示操作端末1に送信する映像送信部27、同じくその視野の映像を記録する映像保存部29を備える。
【0046】
この検査指示表示端末20は、図例にあっては検査台C上に横たわる被検者自身の頭部に装着される、カメラ28を備えたヘッドマウントディスプレイとすることが予定されており、こうすることで、検査台Cの傾斜、起立、回転その他によっても被検者はその視野内に指示表示画面22をとらえることができ、常時、指示体位による姿勢を把握理解できる。なお、ヘッドマウントディスプレイにおいては、その指示表示画面22は透過型スクリーンによるものとしても良く、被検者は指示情報が表示される指示表示画面22と共に周囲状況をその指示表示画面22を通して直接に視認することができるようにしておくことも可能である。
【0047】
また、図示を省略したが、検査台Cにおける被検者の頭部近傍に支持アーム等を介して設けることで、被検者の視界内で指示表示画面22が常時視認できるようにしておいても良い。
【0048】
指示表示画面22は、検査指示操作端末1から送信され、受信した指示情報を表示処理部23によって表示処理した後、検査時の指示体位が出力表示される体位図表示エリア24と、その表示内容が簡易にでも説明される説明記述、検査内容に関連した説明記述、検査案内の記述等が表示される説明内容出力表示エリア25とが分割区画されている。
【0049】
体位図表示エリア24では、検査者が操作する検査指示操作端末1の体位変更指示エリア6における選択された体位に対応する体位指示ボタン6A、体位回転調整指示ボタン6Bの操作によって送信された体位図が表示される。
【0050】
説明内容出力表示エリア25では、同じく検査指示操作端末1の検査説明エリア5、検査案内エリア13における選択された検査指示内容等に対応する検査内容案内ボタン5A、開始ボタン13A等の操作によって送信された指示体位内容の説明、その変更指示内容、検査に関連した各種情報、検査内容案内等のテキスト文言が表示される。また、これ等に対応する合成音声が音声出力部26から出力されていることも、例えばスピーカーマークが表示されることで認識把握できるようにしている。
【0051】
音声出力部26は、イヤホンであったり、ヘッドマウントディスプレイにおける側部(頭部の耳部分近傍に位置される)に設けたスピーカであったり等、特に限定されるものではなく、一般的なヘッドマウントディスプレイに装備されている音声出力機構が利用される。なお、この音声出力部26による音声出力は、検査室Aに予め装置されている場合のスピーカとの関連性はないのであり、操作室Bからの検査者の独自な指示、案内等を妨げるものではない。
【0052】
また、説明内容出力表示エリア25における記述は、被検者に対応して所定の外国語が検査指示操作端末1で選択されている場合には、音声出力部26による音声と共にその外国語による表示、音声出力となるようにしてある。
【0053】
映像送信部27は、検査指示表示端末20に設けてある所定のカメラ28によって常時撮像している被検者が視認し得る視野の映像として検査指示操作端末1の被検者視野確認部8に送信させる。こうすることで、検査指示操作端末1から検査指示表示端末20に送信された被検者が見ていると思われる周囲状況更には指示表示画面22の表示映像等を検査者によって確認でき、例えば視野内容の予期しない変化に伴う被検者による不意の動きの有無や、検査者、被検者相互間の検査・体位指示内容についての確認、更には誤りの発見、操作ミス等を未然に防止可能にする。
【0054】
映像保存部29は、カメラ28によって撮像された被検者による視野の映像等を記録、保存するのであり、例えばSDカード、USBメモリー等の電子記録媒体が利用される。記録、保存しておくことで、例えば後日の検証等に備えることができ、また検査指示操作端末1において受信保存された映像保存部12の記録等との対照も可能にする。なお、この映像保存部29における保存映像は、検査指示表示端末20に備えられる映像保存データベース部30にも保存されるようにすることもできる。
【0055】
なお、以上のように構成される検査指示操作端末1、検査指示表示端末20においては、本発明に係る処理、表示等を行わせるプログラムを一般的なタブレット型のパーソナルコンピュータ、あるいはヘッドマウントディスプレイそれぞれにインストールすることで使用可能にすることができる。あるいは、予めこれらの処理機能を組み込み構成した専用機としておき、スイッチオンによって直ちに起動できるようにすることもできる。
【0056】
次にこれの使用の一例を説明すると、
図1に示すように、被検者が検査室Aに入室するに際し、例えば検査指示表示端末20であるヘッドマウントディスプレイを被検者の頭部に装着し、被検者が指示表示画面22を視認できるようにしておき、検査台Cに横たわり、検査者からの指示を待つ。検査者は操作室Bにおいて、検査指示操作端末1であるタブレット型のコンピュータを操作することで、検査に必要な所定の体位その他を検査指示表示端末20の指示表示画面22に表示させれば良い。被検者が聴覚障害者である場合、指示表示画面22に表示される体位図、説明記述その他を視認することで、検査者からの指示を認識把握することができ、所定のX線検査機器等による必要な検査の撮像、記録に応じることができる。
【0057】
なお、指示表示画面22に表示される指示情報は、その指示内容を音声出力部26によって音声出力させることもでき、被検者が健常者である場合、指示表示画面22に表示される体位図、指示内容に合わせての体位変更その他を一層容易にすることができる。
【0058】
また、検査者による被検者に対する検査の指示内容は、例えば検査案内エリア13における開始ボタン13A等による開始、終了等を伝え、検査説明エリア5における検査内容案内ボタン5Aによって検査内容を、また体位変換指示エリアにおける体位指示ボタン6A、体位回転調整指示ボタン6Bによって必要とする体位を指示する。これらの指示は、指示表示画面22に具体的に表示され、必要に応じて音声出力部26によって音声出力され、被検者はその指示に従った体位の変更その他によって必要とされる各種検査に対応できる。その表示、音声出力は必要に応じて所定の外国語によって行われる。
【0059】
指示表示画面22に表示された指示内容をも含めることを可能にして、被検者が視認し得る視野がカメラ28によって撮像され、撮像された視野映像は映像送信部27によって検査指示操作端末1の確認エリア11に表示出力されて、被検者が視認していると把握される周囲状況や、指示されている体位、指示内容を検査者によっても確認でき、また検査指示表示端末20の映像保存部29、検査指示操作端末1の映像保存部12それぞれに記録保存される。
【符号の説明】
【0060】
A…検査室 B…操作室
C…検査台
1…検査指示操作端末 2…指示情報データベース部
3…操作指示画面 4…表示処理部
5…検査説明エリア 5A…検査内容案内ボタン
6…体位変更指示エリア 6A…体位指示ボタン
6B…体位回転調整指示ボタン 7…指示情報送信部
8…被検者視野確認部 9…外国語選択ボタン
10…映像受信部 11…確認エリア
12…映像保存部 13…検査案内エリア
13A…開始ボタン 13B…終了ボタン
13C…中止ボタン 15…位置変更ボタン
16…音声出力確認部
20…検査指示表示端末 21…指示情報受信部
22…指示表示画面 23…表示処理部
24…体位図表示エリア 25…説明内容出力表示エリア
26…音声出力部 27…映像送信部
28…カメラ 29…映像保存部
30…映像保存データベース部
【要約】
【課題】X線検査時の被検者に対して要請する検査姿勢・体位等の変更を、聴覚障害者や外国人等の被検者であっても、簡単に理解できるように指示、案内する。
【解決手段】X線等による検査時に、被検者に対して検査者が要請する検査時の体位を指示し、検査に関連する説明内容を案内するタブレット型の検査指示操作端末1と、ヘッドマウントディスプレイ型の検査指示表示端末20とから成る。検査指示操作端末1は、体位指示及び検査に関連する説明内容の指示情報を選択する指示ボタンを配置してある操作指示画面3を有し、選択操作した指示ボタンによる指示情報を送信する指示情報送信部7を備える。検査指示表示端末20は、送信された指示情報を受信する指示情報受信部21を備え、指示情報の体位指示及び検査に関連する説明内容を表示する指示表示画面22を有して成る。
【選択図】
図2