特許第6174244号(P6174244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174244
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/14 20060101AFI20170724BHJP
   C02F 1/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   E03F5/14
   C02F1/00 J
   C02F1/00 S
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-512827(P2016-512827)
(86)(22)【出願日】2014年5月7日
(65)【公表番号】特表2016-524057(P2016-524057A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】KR2014003985
(87)【国際公開番号】WO2014182029
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2015年11月9日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0050511
(32)【優先日】2013年5月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515309298
【氏名又は名称】ハン,ビョン スク
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ビョン スク
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第202324152(CN,U)
【文献】 特開平09−228429(JP,A)
【文献】 特開2001−193137(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−0684923(KR,B1)
【文献】 中国実用新案第201850630(CN,U)
【文献】 米国特許第2150359(US,A)
【文献】 米国特許第2062390(US,A)
【文献】 米国特許第3575004(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/00−5/02
E03F 5/06、5/10
E03F 5/14−5/16
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水、雨水、土砂のいずれか一つ又は二つ以上が混合してなる被収容物を収容するための収容空間を有する収容部と、
前記収容部の一側壁下部に形成され、前記被収容物の量を基準として選択的に開閉される遮集口と、
前記収容部の他側壁下部に形成され、角形で且つ横方向に長い長方形の断面を有し、長方形の断面の長辺が前記収容部の底面と面一になるように設けられた前記被収容物を河川に排出するための排出口と、
前記排出口に連通して具備され、配管の断面積形状が角形で且つ横方向に長い長方形であり、上側に少なくとも1回が凸に折り曲げられる第1流出管と、を含み、
前記収容部内部に流入した前記被収容物の水位が設定された基準水位より高い場合、前記被収容物は、サイフォンの原理により前記第1流出管から河川に排出し、前記遮集口が遮蔽して下水処理場への排出が停止することを特徴とする雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室。
【請求項2】
前記第1流出管は、
前記排出口を河川に連結させ、
前記排出口の入口側から前記被収容物が排出される方向にいくほど高くなり、再び低くなるように配置され、サイフォンの原理により、前記収容部内部に流入した被収容物を排出するか否かを決めることを特徴とする請求項1に記載の雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室。
【請求項3】
前記遮集口と下水処理場を連結させる第2流出管を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室。
【請求項4】
前記収容部内部に流入した前記被収容物による浮力により、前記遮集口を選択的に開閉する開閉手段を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室。
【請求項5】
前記収容部内部に流入した前記被収容物の水位が設定された基準水位より低い場合、前記被収容物は、前記第1流出管に排出されず、開放された前記遮集口を通じて排出されることを特徴とする請求項1に記載の雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室。
【請求項6】
前記開閉手段は、
前記遮集口を覆って選択的に開閉可能に具備される覆板と、
浮力により前記被収容物に浮かぶように設けられ、上下方向に移動可能に具備されるフローターとして、前記フローターの上下方向運動に連動して前記覆板が上下方向に運動するように前記覆板と連結して具備されるフローターと、
を含み、
前記フローターが浮力により前記収容部内の上側に上昇すれば、前記覆板は、前記遮集口を遮蔽するように作動し、
前記フローターが前記収容部内の下側に移動すれば、前記覆板は、前記遮集口を開放するように作動することを特徴とする請求項4に記載の雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室。
【請求項7】
前記開閉手段は、
前記収容部内のいずれかの位置に固定されている係止部と、
前記係止部に相対運動可能に係って具備され、前記覆板と前記フローターとを糸状に連結する連結部と、
を更に含むことを特徴とする請求項に記載の雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室。
【請求項8】
前記フローターは、前記覆板より更に重い材質で具備されることを特徴とする請求項に記載の雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示(Disclosure)は、雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室に関し、サイフォンの原理と浮力を利用して、降雨時に下水処理場への雨水と土砂の流入を防止することで、下水処理費用を画期的に節減することができる、下水と雨水の区分排出を制御する雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室に関する。
【背景技術】
【0002】
ここでは、本開示に関する背景技術が提供され、これらが必ずしも公知技術を意味するものではない。
一般に、下水処理システムには、流入する下水及び雨水を同一の下水管に排出する合流式下水処理システムと、下水管と雨水管とを分離し別個の下水管を利用して排出する分類式下水処理システムと、がある。
【0003】
これと関連した技術として、特許文献1には、雨水吐き室に具備された下水流入調節装置が提示されている。
大都市の下水道は、大部分が合流式下水処理システムからなっているが、前記合流式下水処理システムでは、下水及び雨水が一つの下水管を利用して流れ、雨水吐き室は、遮集管路の連結部品に位置する。
【0004】
一方、環境部が制定した下水道施設基準によると、雨天時に汚水として取り扱うのは、計画された一日最大汚水量の3倍までであり、3倍以上に希釈された汚水は、河川及び湖などに放流可能であると規定されている。
従って、遮集管路を通じる雨水の下水処理場の流入量は、一日最大汚水量の3倍までと計画して流入されている状況であり、降雨時に一日最大汚水量の3倍以上に希釈された汚水を雨水吐き室で遮断しても、施設基準を違背するものではない。
【0005】
一方、下水処理場では、降雨時に下水処理容量を超えて流入する容量に対して、沈殿後に放流する方式で対処しているが、降雨時に雨水吐き室から遮集管路に流入する雨水を遮断すれば、下水処理場における放流は不要となる。
また、降雨時には、速い流速により下水処理場に多くの土砂が流入しているが、雨水吐き室で下水処理場への土砂の流入を防止することができる装置があれば、下水処理場の運営に非常に役に立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第0774588号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、雨水吐き室の貯蔵部に排出口と遮集口などの二個以上の管路を設置し、サイフォンの原理を利用して、排出口を通じた排出は、雨水吐き室内の水位が一定高さ以上である時のみに作動させる、雨水と土砂の区分排出が可能な雨水吐き室の提供を一目的とする。
【0008】
本開示は、遮集口の入口に浮力により作動する装置を連結することで、雨水吐き室の貯蔵部内の水位が高くなれば、遮集口の入口を閉じて、下水処理の不要な低濃度の下水と雨水が下水処理場に流出することを防止して、下水処理費用を節減することができる雨水と土砂の区分排出が可能な雨水吐き室の提供を一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここでは、本開示の全体的な要約が提供され、これが本開示の範囲を制限すると理解されてはならない。
本開示の一態様によると、収容空間を有する収容部と、前記収容部の一側に形成される遮集口として、前記収容部に収容される被収容物の量を基準として選択的に開閉される遮集口と、前記収容部の他側に形成される排出口と、前記排出口に連通して具備される第1流出管として、上側に少なくとも1回が凸に折り曲げられる第1流出管と、を含む雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室が提供される。
【0010】
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室において、前記第1流出管は、前記排出口を河川に連結させ、前記排出口の入口側から前記被収容物が排出される方向にいくほど高くなり、再び低くなるように配置され、サイフォンの原理により、前記収容部内部に流入した被収容物を排出するか否かを決めることで提供される。
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室において、前記遮集口と下水処理場を連結させる第2流出管を更に含む。
【0011】
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室において、前記収容部内部に流入した前記被収容物による浮力により、前記遮集口を選択的に開閉する開閉手段を更に含む。
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室において、前記収容部内部に流入した前記被収容物の水位が設定された基準水位より低い場合、前記被収容物は、前記第1流出管に排出されず、開放された前記遮集口を通じて排出されることで提供される。
【0012】
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室において、前記収容部内部に流入した前記被収容物の水位が設定された基準水位より高い場合、前記被収容物は、サイフォンの原理により前記第1流出管のみに排出され、前記遮集口は、遮蔽されることで提供される。
【0013】
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室において、前記開閉手段は、前記遮集口を覆って選択的に開閉可能に具備される覆板と、浮力により前記被収容物に浮かぶように設けられ、上下方向に移動可能に具備されるフローターとして、前記フローターの上下方向運動に連動して前記覆板が上下方向に運動するように前記覆板と連結して具備されるフローターと、を含み、前記フローターが浮力により前記収容部内の上側に上昇すれば、前記覆板は、前記遮集口を遮蔽するように作動し、前記フローターが前記収容部内の下側に移動すれば、前記覆板は、前記遮集口を開放するように作動することで提供される。
【0014】
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室において、前記開閉手段は、前記収容部内のいずれかの位置に固定されている係止部と、前記係止部に相対運動可能に係って具備され、前記覆板と前記フローターとを糸状に連結する連結部と、を更に含む。
【0015】
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室において、前記フローターは、前記覆板より更に重い材質で具備されることで提供される。
これにより、降雨時でない通常、遮集管路の入口、即ち、遮集口が開放された状態で維持される。
【0016】
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室において、前記被収容物は、下水、雨水及び土砂のいずれか一つ又は二つ以上が混合してなることで提供される。
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室において、前記被収容物は、汚染度が設定された汚染濃度より高い下水又は雨水であることで提供される。
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室において、前記被収容物は、汚染度が設定された汚染濃度より低い下水又は雨水であることで提供される。
【発明の効果】
【0017】
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室によると、収容部内の被収容物の量が多い場合(つまり、大量降雨時)、下水処理場に連結する遮集口が遮蔽されて、汚染濃度が相対的に低い被収容物(例えば、下水、雨水)が下水処理場に流入することが防止され、下水処理費用を節減させる利点を有する。
【0018】
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室によると、収容部内の被収容物の量が少ない場合(つまり、降雨のない時)、下水処理場に連結される遮集口が開放されて汚染濃度が相対的に高い被収容物(例えば、下水、雨水、土砂)を下水処理場に流入させ、サイフォンの原理により、排出口を通じて河川に排出されることを防止するので、汚染物質の排出による環境汚染を防止することができる。
【0019】
本開示の一態様に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室によると、サイフォンの原理を利用した第1流出管と、浮力を利用した開閉手段とにより、被収容物の量によって排出口又は遮集口の正確な開閉制御が可能であるので、汚染物質が不用意に河川に放流するか、非汚染物質が下水処理場に流入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一実施形態に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室を示す図面である。
図2図1から開閉手段を分離して示す図面である。
図3】本開示の一実施形態に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室を概略的に示す図面である。
図4図3の動作例を示す図面である。
図5】本開示の他の実施形態に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室を概略的に示す図面である。
図6図5の動作例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示を添付の図面を参考として詳しく説明する。
但し、以下で開示する技術的思想の明瞭な理解のために、制限された実施形態を例として説明したが、これに限定されることはなく、特許請求の範囲に開示された技術的思想から当該技術分野の通常の知識を持った者が容易に導出することができる実施形態も本明細書に開示された実施形態として理解すべきである。
【0022】
また、本明細書及び特許請求の範囲で使用された用語は、本発明者が説明の便宜のために選択した概念であり、その意味を把握するにあたって辞典的意味に限定されず、本開示の技術的思想に符合するように適切に解釈すべきである。
【0023】
図1は、本開示の一実施形態に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室を示す図面であり、図2は、図1から開閉手段を分離して示す図面である。
図1乃至図2に示すように、本開示の好ましい実施形態に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室は、収容部100、第1流出管200、第2流出管300、及び開閉手段400を含む。
【0024】
収容部100は、内部に被収容物である下水、雨水、及び土砂の何れか一つ又は二つ以上の混合した液体が収容される収容空間が形成されたもので、その形状は制限されないが、製造の便宜及び原価を考慮すると、上面が開放された直方体で具備されることが好ましい。
【0025】
収容部100は、外部から流入する被収容物の流量が多い場合に、外部に溢れ出すことを緩和するために、溢れ出す被収容物を1次的に貯蔵して、収容部100の内部に流入する被収容物の流量を減少させる緩衝貯蔵部120が収容部100の周りに具備されることが好ましい。
【0026】
また、緩衝収容部120に貯蔵された被収容物が再びで収容部100に供給され得るように、緩衝収容部120の外側壁121の高さより収容部100と共有する内側壁123の高さを低くすることが好ましい。
【0027】
図1では、内側壁123の上端に波状を形成して、一部は緩衝収容部120の外側壁121の高さと同一にし、一部は緩衝収容部120の外側壁121の高さより低く形成した。
一方、外部から収容部100に流れてくる被収容物の含まれた異物をろ過するろ過網140が更に具備されることが好ましい。また、ろ過網140によりろ過された異物が重力によって緩衝収容部120に流入するように、ろ過網140を傾斜して具備することも好ましい。
【0028】
収容部100は、側壁又は底面に貫通した孔で形成される排出口110及び遮集口150を有する。
排出口110及び遮集口150は、図1に示すように、収容部100の一側壁に並んで具備され、円形及び角形などその形状が制限されない。
【0029】
遮集口150は、収容部100の一側壁下部に円形で形成され、排出口110は、収容部100の前側壁下部に角形で且つ横方向に長い長方形の断面を有するように形成される。横方向に長い長方形の断面を有する排出口110は、収容部100の底に積もった土砂の排出を円滑にする利点を有する。
【0030】
また、排出口110と遮集口150とは、収容部100の底面に形成されてもよいことはもちろんである。
収容部100の排出口110には第1流出管200が連結されるが、第1流出管200は、河川などと連通して収容部100内に流入した低濃度の雨水を河川などに排出する管である。
【0031】
このような第1流出管200は、排出口110の入口側から後方にいくほど高くなり、再び低くなるように配置されている。つまり、第1流出管200は、排出口100の入口側からある程度の高さまで高くなり、再び排出口100の入口側と同一の高さに低くなり、略逆「U」字状である。第1流出管200の高さは、第1流出管200の下端部が遮集口150の上端高さになる程度が好ましい。
【0032】
このように、第1流出管200が排出口110の入口側から後方にいくほど高くなり、再び低くなるように配置されており、別途の開閉手段なしにもサイフォンの原理により、収容部100内の水位変動によって収容部100内の下水を排出するか否かが決められる。
【0033】
即ち、通常、収容部100内の水位が低い場合は、収容部100内の液面に作用する大気圧が低くなり、収容部100内の下水は、第1流出管200を通じて排出されず、雨天時に雨水が流入して収容部100内の水位が高くなった場合は、収容部100内の液面に作用する高い大気圧により、収容部100内に流入した低濃度の雨水及び土砂などが第1流出管200を通じて排出される。
【0034】
従って、別途の開閉手段なしでも、通常は流入する下水が排出口110を通じて排出されず、雨天時に下水と混合した低濃度の雨水と土砂などが収容部100内に流入して、収容部100内の水位が高くなる場合のみに、低濃度の雨水と土砂が排出口110を通じて第1流出管200に流出されることができる。
【0035】
収容部100の遮集口150には、第2流出管300が連結されるが、第2流出管300は、高濃度の下水、雨水を下水処理場に輸送するための遮集管路と連通して、収容部100内の下水を遮集管路に遮集するための輸送管である。
開閉手段400は、収容部100内で受ける浮力により遮集口150を開閉する手段であり、以下の実施形態で具体的に示される。
【0036】
<開閉手段の第1の実施形態>
図3は、本開示の一実施形態に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室を概略的に示す図面であり、図4は、図3の動作例を示す図面である。
図3及び図4に示すように、開閉手段400は、覆板410と、フローター430と、係止部450と、連結部455と、を含み、これらが結合されるフレーム460を有する。
【0037】
覆板410は、遮集口150を覆うように設けられ、本実施形態において、覆板410は円板状であるが、遮集口150全体を全て覆われる形状であれば充分であるので、四角板や多様な形態の板であってもよい。また、本実施形態で遮集口150は、収容部100の前側壁に形成されているので、覆板410は、前側壁に沿って上下に移動可能である。
【0038】
フローター430は、浮力により水に浮かばれるように設けられ、上下に移動可能に設けられている。本実施形態において、フローター430は、覆板410が配置された前側壁と向かい合う後側壁に配置され、上下に移動可能である。
また、フローター430は、下記で説明する連結部455で覆板410と連結されている。
【0039】
係止部450は、収容部100内のある位置に固定されており、下記で説明する連結部455が係るように設ければよい。
本実施形態において、係止部450は、収容部100の最上側に固定されており、フローター430の上側と覆板410の上側にそれぞれ一つずつ配置されている。
【0040】
係止部450は、滑車又はプーリー(pulley)で具備される。
連結部455は、覆板410とフローター450を索状に連結し、係止部450に係って自由に移動可能である。即ち、一端が覆板410に連結された連結部455は、覆板410の上側に配置された係止部450に係って方向が転換され、再びフローター450の上側に配置された係止部450に係って方向が転換されて、他端がフローター450に連結されている。
【0041】
フローター430がフローター430自体の重さによって収容部100内の下側に位置すれば、フローター430と連結部455によって連結された覆板410は、収容部100の上側に位置して遮集口150を開放する。
【0042】
これと反対に、フローター430が浮力により浮かんで収容部100内の上側に位置すれば、フローター430と連結部455によって連結された覆板410は、収容部100の下側に位置して遮集口150を閉鎖する。
【0043】
このような作動が円滑になされるために、フローター430の重さは、覆板410より更に重く形成されることが好ましい。
【0044】
<開閉手段の第2の実施形態>
図5は、本開示の他の実施形態に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室を概略的に示す図面であり、図6は、図5の動作例を示す図面である。
図5及び図6に示すように、本実施形態において、開閉手段400は、覆板410と、フローター430と、係止部450と、連結部455とを含む。
【0045】
覆板410は、遮集口150を覆うように設けられ、本実施形態において、覆板410は円板状であるが、遮集口150全体を全て覆う形状であれば充分であるので、四角板や多様な形態の板であってもよい。
また、本実施形態で遮集口150は、収容部100の底面に形成されているので、覆板410は、収容部100の底面から上下に移動可能である。
【0046】
フローター430は、浮力により水に浮くように設けられ、上下に移動可能に設けられている。本実施形態において、フローター430は、覆板410の前方及び後方にそれぞれ配置されている。即ち、フローター430は、収容部100の前側壁と後側壁にそれぞれ配置されて、上下に移動可能である。
【0047】
また、フローター430は、下記で説明する連結部455により覆板410と連結されている。
係止部450は、収容部100内のある位置に固定されており、下記で説明する連結部455が係るように設ければよい。
【0048】
本実施形態において、係止部450は、収容部100の最上側に固定されており、フローター430の上側にそれぞれ一つずつ配置され、覆板410の上側に二つが配置されている。即ち、本実施形態においては、全4つの係止部450が設けられている。
【0049】
連結部455は、覆板410とフローター450を糸状に連結し、係止部450に係って自由に移動可能である。即ち、一端が覆板410に連結された連結部455は、覆板410の上側に配置された係止部450に係って方向が転換され、再びフローター450の上側に配置された係止部450に係って方向が転換されて、他端がフローター450に連結されている。
【0050】
上記のように構成された開閉手段400の動作は、フローター430がフローター430自体の重さによって収容部100内の下側に位置すれば、フローター430と連結部455によって連結された覆板410は、収容部100の上側に位置して遮集口150を開放する。
【0051】
これと反対に、フローター430が浮力により浮かんで収容部100内の上側に位置すれば、フローター430と連結部455によって連結された覆板410は、収容部100の下側に位置して遮集口150を閉鎖する。
【0052】
このような作動が円滑になされるために、フローター430の重さは、覆板410より更に重く形成されることが好ましい。
以下、上記のように構成された本発明の好ましい実施形態に係る雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室の制御方法を説明すると、以下の通りである。
【0053】
先ず、図3及び図5のように、通常、収容部100内に流入する下水量が一定量以下であるか、雨が止んで流入水量が流出水量より少なくなれば、水位が下降する。このように雨水吐き室100内の水位が基準水位より低い場合は、収容部100内に流入する下水は第1流出管200に排出が行われない。即ち、図3及び図5のように、収容部100内の水位が低ければ、液面に作用する大気圧が低くなり、収容部100内の下水は第1流出管200を通じて排出されない。
【0054】
また、図3及び図5のように、フローター430が重さによって下降するので、蓋板410は遮集口150を開放し、これにより遮集口150が開放されて、収容部100内に流入した高濃度の下水と雨水は、第2流出管300に排出されて遮集管路に遮集される。
【0055】
次に、図4及び図6のように、雨天時に収容部100内に流入する雨水量が一定量以上で、流入水量が流出水量より多くなれば、雨水吐き室内の水位が上昇し、一定高さ以上に水位が上昇すれば、収容部100内に流入する雨水及び土砂などは、サイフォンの原理によって第1流出管200に排出される。即ち、図4及び図6のように、雨天時に低濃度の下水、雨水、土砂などが流入して収容部100内の水位が高くなれば、液面に作用する高い大気圧により、収容部100内の雨水及び土砂は、第1流出管200を通じて排出されて河川に流入する。
【0056】
また、フローター430が浮力により上昇するので、覆板410は、遮集口150を閉鎖して、収容部100内の下水及び土砂は、第2流出管300に排出されなくなる。
これにより、本開示による雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室は、貯蔵部内に遮集管路の他の一つ以上の別途の管路が連結される排出口を設置し、収容部内の水位が基準水位より低い場合、収容部内に流入する高濃度の下水、雨水は、遮集口と第2流出管を通じて下水処理場に排出され、収容部内の水位が基準水位より高い場合、収容部内に流入する低濃度の下水、雨水、土砂は、サイフォンの原理によって排出口、第1流出管を通じて河川に排出されるという効果がある。
【0057】
また、本開示による雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室は、収容部内の被収容物の量が多い場合(つまり、大量の降雨時)、下水処理場に連結される遮集口が遮蔽されて、汚染濃度が相対的に低い被収容物(例えば、下水、雨水)が下水処里場に流入することが防止され、下水処理費用を節減することができるという利点を有する。
【0058】
また、本開示による雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室は、収容部内の被収容物の量が少ない場合(つまり、降雨のない時)、下水処理場に連結される遮集口が遮閉されて汚染濃度が相対的に高い被収容物(例えば、下水、雨水、土砂)を下水処里場に流入させ、サイフォンの原理により、排出口を通じて河川に排出することを防止するので、汚染物質の排出による環境汚染を防止することができる。
【0059】
更に、本開示による雨水と土砂の排出が可能な雨水吐き室は、サイフォンの原理を利用した第1流出管と、浮力を利用した開閉手段により、被収容物の量によって排出口又は遮集口の正確な開閉制御が可能であるので、汚染物質が不意に河川に放流するか、非汚染物質が下水処理場に流入することを防止することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6