特許第6174274号(P6174274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174274
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】クレーンシステム及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/00 20060101AFI20170731BHJP
   B66C 15/04 20060101ALI20170731BHJP
   B66C 19/00 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   B66C15/00 E
   B66C15/04 A
   B66C19/00 B
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-562171(P2016-562171)
(86)(22)【出願日】2014年12月5日
(86)【国際出願番号】JP2014082263
(87)【国際公開番号】WO2016088253
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2017年6月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】門前 唯明
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅人
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 伸郎
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−211008(JP,A)
【文献】 特開2013−035637(JP,A)
【文献】 特開2014−144836(JP,A)
【文献】 特開2006−232496(JP,A)
【文献】 特開2014−223990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 15/00
B66C 15/04
B66C 19/00
B66C 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に設けられた領域であって複数のコンテナを蔵置可能な列領域を少なくとも1列有する蔵置ブロックの前記列領域の延長方向に走行する走行機構を有する走行部と、
前記走行部に支持されたクレーン本体と、
前記クレーン本体において前記蔵置ブロックの幅方向に走行可能に支持されたトロリと、
前記トロリに上下昇降可能に吊り下げられるとともにコンテナを把持可能なスプレッダと、
前記蔵置ブロックの幅方向一方の端に前記列領域の延長方向に沿って設けられて前記クレーン本体に給電を行うバスバーと、
前記バスバーに対向して前記スプレッダに取り付けられ、前記バスバー及び、前記バスバーから前記蔵置ブロックの幅方向に離間距離が一定となるように設けられたマークのうちの何れか一方を検出する検出部と、
を備えるクレーンシステム。
【請求項2】
垂直真下方向と検出部のレーザ光または超音波の放射方向とが成す角度とバスバー頂部までの距離とに基づいて、前記スプレッダから前記バスバーまでの前記蔵置ブロックの幅方向の距離を算出する距離算出部、
を備える請求項1に記載のクレーンシステム。
【請求項3】
前記検出部は、カメラであり、
前記検出部と前記マークとの相対距離に対応する前記マークのパターンデータと、前記検出部が撮影した画像データとを比較し、前記画像データにおいて一致したデータを前記マークとして検出し、前記マークの中心が示す画素に基づく画像内の前記マークの中心の位置に基づいて、前記スプレッダから前記バスバーまでの前記蔵置ブロックの幅方向の距離を算出する距離算出部、
を備える請求項1に記載のクレーンシステム。
【請求項4】
前記マークは、光を反射させる反射材を含み、
前記検出部は、発光した当該マークを検出する、
請求項3に記載のクレーンシステム。
【請求項5】
前記クレーンは、
前記バスバーまたは前記マークを照明する、照明部を備える、
請求項3または請求項4に記載のクレーンシステム。
【請求項6】
前記照明部は、赤外光を照射し、
前記検出部は、赤外光を検出可能である、
請求項5に記載のクレーンシステム。
【請求項7】
前記マークは、
前記列領域に配置される前記コンテナのピッチに応じて設けられている、
請求項1から請求項6の何れか一項に記載のクレーンシステム。
【請求項8】
地上に設けられた領域であって複数のコンテナを蔵置可能な列領域を少なくとも1列有する蔵置ブロックの前記列領域の延長方向に走行する走行機構を有する走行部と、
前記走行部に支持されたクレーン本体と、
前記クレーン本体において前記蔵置ブロックの幅方向に走行可能に支持されたトロリと、
前記トロリに上下昇降可能に吊り下げられるとともにコンテナを把持可能なスプレッダと、
前記蔵置ブロックの幅方向一方の端に前記列領域の延長方向に沿って設けられて前記クレーン本体に給電を行うバスバーと、
前記バスバーに対向して前記スプレッダに取り付けられた検出部と、
を備えたクレーンシステムにおける処理方法であって、
前記検出部は、前記バスバー及び、前記バスバーから前記蔵置ブロックの幅方向に離間距離が一定となるように設けられたマークのうちの何れか一方を検出する
ことを特徴とする処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンシステム及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地上に設けられた領域を示す蔵置ブロック内にコンテナを配置するクレーンがある。クレーンは、コンテナを把持して蔵置ブロック内にコンテナを配置するスプレッダと呼ばれる機構を有する。クレーンがコンテナを蔵置ブロックに配置する際に、コンテナ同士やコンテナとコンテナを把持するスプレッダとの衝突に注意する必要がある。
特許文献1には、関連する技術として、スプレッダとコンテナとの衝突を防止する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特許第4115774号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クレーンと接触してクレーンに給電を行う導電性の接触部を有するバスバーを介して給電された電力を動力源とするクレーンがある。このようなクレーンの場合、スプレッダとコンテナとの衝突以外に、スプレッダとバスバー、またはスプレッダとコンテナとの衝突を防止する必要がある。
本発明は、クレーンがコンテナを蔵置ブロックに配置する際に、コンテナやスプレッダがバスバーに衝突するのを防止することができるクレーンシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、クレーンシステムは、地上に設けられた領域であって複数のコンテナを蔵置可能な列領域を少なくとも1列有する蔵置ブロックの前記列領域の延長方向に走行する走行機構を有する走行部と、前記走行部に支持されたクレーン本体と、前記クレーン本体において前記蔵置ブロックの幅方向に走行可能に支持されたトロリと、前記トロリに上下昇降可能に吊り下げられるとともにコンテナを把持可能なスプレッダと、前記蔵置ブロックの幅方向一方の端に前記列領域の延長方向に沿って設けられて前記クレーン本体に給電を行うバスバーと、前記バスバーに対向して前記スプレッダに取り付けられ、前記バスバー及び、前記バスバーから前記蔵置ブロックの幅方向に離間距離が一定となるように設けられたマークのうちの何れか一方を検出する検出部と、を備える。
【0006】
本発明の第2の態様によれば、上述のクレーンシステムは、垂直真下方向と検出部のレーザ光または超音波の放射方向とが成す角度とバスバー頂部までの距離とに基づいて、前記スプレッダから前記バスバーまでの前記蔵置ブロックの幅方向の距離を算出する距離算出部、を備える。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、上述のクレーンシステムにおいて、前記検出部は、カメラであり、前記検出部と前記マークとの相対距離に対応する前記マークのパターンデータと、前記検出部が撮影した画像データとを比較し、前記画像データにおいて一致したデータを前記マークとして検出し、前記マークの中心が示す画素に基づく画像内の前記マークの中心の位置に基づいて、前記スプレッダから前記バスバーまでの前記蔵置ブロックの幅方向の距離を算出する距離算出部、を備える。
【0008】
本発明の第4の態様によれば、上述のクレーンシステムにおいて、前記マークは、光を反射させる反射材を含み、前記検出部は、発光した当該マークを検出する。
【0009】
本発明の第5の態様によれば、上述のクレーンシステムにおいて、前記クレーンは、前記バスバーまたは前記マークを照明する、照明部を備える。
【0010】
本発明の第6の態様によれば、上述のクレーンシステムにおいて、前記照明部は、赤外光を照射し、前記検出部は、赤外光を検出可能である。
【0011】
本発明の第7の態様によれば、上述のクレーンシステムにおいて、前記マークは、前記列領域に配置される前記コンテナのピッチに応じて設けられている。
【0012】
本発明の第8の態様によれば、地上に設けられた領域であって複数のコンテナを蔵置可能な列領域を少なくとも1列有する蔵置ブロックの前記列領域の延長方向に走行する走行機構を有する走行部と、前記走行部に支持されたクレーン本体と、前記クレーン本体において前記蔵置ブロックの幅方向に走行可能に支持されたトロリと、前記トロリに上下昇降可能に吊り下げられるとともにコンテナを把持可能なスプレッダと、前記蔵置ブロックの幅方向一方の端に前記列領域の延長方向に沿って設けられて前記クレーン本体に給電を行うバスバーと、前記バスバーに対向して前記スプレッダに取り付けられた検出部と、を備えたクレーンシステムにおける処理方法であって、前記検出部は、前記バスバー及び、前記バスバーから前記蔵置ブロックの幅方向に離間距離が一定となるように設けられたマークのうちの何れか一方を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述のクレーンシステムによれば、クレーンがコンテナを蔵置ブロックに配置する際に、コンテナやスプレッダがバスバーに衝突するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態によるRTGクレーンを備えるクレーンシステムの一例を示す上面斜視図。
図2】本発明の第一の実施形態によるクレーンシステムが備えるバスバーの一例を示す上面斜視図。
図3】本発明の第一の実施形態によるRTGクレーンが備える衝突防止制御装置の構成の一例を示す図。
図4】検出部を備えるスプレッダの一例を示す上面斜視図。
図5】検出部を備えるスプレッダの一例を示す上面斜視図。
図6】揺れセンサを備えるトロリに吊り下げられたスプレッダの一例を示す上面斜視図。
図7】距離算出部がスプレッダからバスバーまでの蔵置ブロックの幅方向の距離を算出する処理を説明する図。
図8】本発明の第一の実施形態によるRTGクレーンが備える衝突防止制御装置の処理フローの一例を示す図。
図9】バスバーの頂部にマークが設けられた検出部の一例を示す上面図。
図10】距離算出部がスプレッダからバスバーまでの蔵置ブロックの幅方向の距離を算出する処理を説明する図。
図11】本発明の第二の実施形態によるRTGクレーンが備える衝突防止制御装置の処理フローの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
<第一の実施形態>
本発明の第一の実施形態によるRTGクレーンを含むクレーンシステムについて説明する。
まず、本発明の第一の実施形態によるクレーンの一例であるRTG(Rubber Tired Gantry)クレーンの構成について説明する。
図1に示す本発明の第一の実施形態によるクレーンシステム1は、蔵置ブロック101と、RTGクレーン100と、バスバー191と、を備える。
蔵置ブロック101は、複数のコンテナCをRTGクレーン100の走行方向に沿って蔵置可能な列を少なくとも1列有する。図1の場合、蔵置ブロック101は、列101a〜列101gの7つの列により蔵置ブロック101が構成されている。
RTGクレーン100は、蔵置ブロック101における列の延長方向に走行可能である。RTGクレーン100は、コンテナを地上に設けられた領域を示す蔵置ブロック101内に配置する。
バスバー191は、蔵置ブロック101の幅方向一方の端に、列の延長方向に沿って設けられている。バスバー191は、後述するように、RTGクレーン100と接触してRTGクレーン100に給電を行う導電性の一対の接触部193、194と、一対の接触部193、194を支持する支持部197とで構成されている。
【0016】
図1において、RTGクレーン100は、走行部131と、走行部132と、クレーン本体110と、トロリ151と、スプレッダ152と、スプレッダ152に備えられた検出部と、を備える。
図1に示すように、走行部131と走行部132とは、RTGクレーン100の進行方向に交差する方向に離間した位置に設けられている。なお、図1では、トロリ151の操作方向を基準に、トロリ151からバスバー191がある方向を前(図1において「F」)、それと反対方向を後(図1において「B」)とする。また、図1では、トロリ151の操作方向を基準に、トロリ151からバスバー191がある方向を向いたときの左方向を左(図1において「L」)、トロリ151からバスバー191がある方向を向いたときの右方向を右(図1において「R」)とする。
走行部131と走行部132は、列の延長方向に走行可能である。
クレーン本体110は、走行部131と走行部132に支持される。
トロリ151は、クレーン本体110に、幅方向に走行可能に支持される。
スプレッダ152は、トロリ151に上下昇降可能に吊り下げられるとともに、コンテナCを把持可能な機構である。
検出部は、スプレッダ152の幅方向一方であってバスバー191に対向する側に取り付けられ、検出部からバスバー191までの距離を検出する。
【0017】
RTGクレーン100は、クレーン本体110と、吊下機構150とを備える。クレーン本体110は、梁部111と、一対の脚部121、122と、走行部131と、走行部132と、電力受電部141と、位置情報取得装置160と、エンコーダ164と、エンコーダ170とを備える。走行部131はタイヤ133を備える。また、走行部132はタイヤ134を備える。吊下機構150は、トロリ151と、スプレッダ152と、吊下ロープ153と、巻上機154とを備える。さらに、RTGクレーン100は、トロリ151に設けられた運転席180を備える。
また、図1には、前後左右の向きが示されている。この向きは、運転席180からの向きである。
【0018】
RTGクレーン100は、移動体の例に該当し、タイヤ133および134が回転することにより進行する。なお、RTGクレーン100の進行を、走行と称する。
但し、本実施形態において、移動体はRTGクレーンに限らず、進行方向が変化する際に移動体の形状が変化する様々な移動体とすることができる。
【0019】
クレーン本体110において、一対の脚部121、122の各々が、おおよそ鉛直に配置され、一対の脚部121、122の上端間に梁部111が設けられて門型のフレームを形成している。また、脚部121の下部には走行部131が設けられている。また、脚部122の下部には走行部132が設けられている。走行部131のタイヤ133および走行部132のタイヤ134が回転することで、RTGクレーン100が、図1に対して定義して左右方向に走行する。RTGクレーン100が走行する際、タイヤ133とタイヤ134との回転速度差により、RTGクレーン100の走行方向が、図1に対して定義した前後方向にずれる。
【0020】
なお、線L11は、RTGクレーン100が直進する場合の目標走行方向(目標進行方向)の例を示す基準線である。この基準線は、明示されている必要はない。RTGクレーン100の衝突防止制御装置は、一対の走行部131、132が基準線に沿って走行するように制御する。例えば、衝突防止制御装置は、基準線に沿って配置された磁石の磁力を検出し、一対の走行部131、走行部132のそれぞれが検出した磁力に沿って走行するように制御する。
【0021】
なお、一対の走行部131、132は、タイヤを備えるものに限らない。例えば、一対の走行部131、132のそれぞれが、タイヤに代えて、キャタピラを備えていてもよい。
【0022】
また、脚部121には電力受電部141が設置されている。電力受電部141は、バスバーを介して供給された電力をRTGクレーン100の各部に供給する。
但し、RTGクレーン100は、発電機や蓄電池を備えていてもよい。または、RTGクレーン100が、エンジンを備えていてもよいし、エンジンと蓄電池とを含むハイブリッドの動力源を備えていてもよい。
また、移動体制御装置の設置場所は、例えば、移動体制御装置が運転席180に設けられていてもよいし、RTGクレーン100から離れた外部に設けられてRTGクレーン100と通信を行うようにしてもよい。
【0023】
位置情報取得装置160は、RTGクレーン100の複数の位置それぞれの位置情報を取得する。具体的には、位置情報取得装置160は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機を含んで構成され、クレーン本体110に設けられたアンテナで衛星からの電波を受信して、各アンテナの位置を検出する。
但し、位置情報取得装置160は、GNSS受信機を含むものに限らない。例えば、RTGクレーン100の外部にRTGクレーン100を監視して位置を検出するシステムを設置しておき、位置情報取得装置160が、当該システムと無線通信を行って、クレーン本体110の左前、右後それぞれの位置情報を取得するようにしてもよい。
また、位置情報取得装置160が位置情報を取得する位置は、図1に示す位置に限らず、前後方向、左右方向のいずれともずれている2箇所以上の位置であればよい。例えば、位置情報取得装置160が位置情報を取得する位置が、梁部111の端よりも内側に設定されていてもよい。
【0024】
エンコーダ164は、巻き上げ量や巻き下げ量をスプレッダ152の高さに換算する。
エンコーダ170は、走行部131、走行部132それぞれに設けられ、走行部131、走行部132それぞれの走行速度を測定する。具体的には、エンコーダ170は、タイヤ133の回転速度を測定して走行部131の走行速度に換算する。また、エンコーダ170は、タイヤ134の回転速度を測定して走行部132の走行速度に換算する。
エンコーダ170が取得する走行部131、走行部132それぞれの走行速度は、走行部131、走行部132それぞれの進行度合いを示す情報の例に該当する。
【0025】
但し、エンコーダ170が測定し出力するデータは、走行部131、走行部132それぞれの走行速度に限らず、走行部131、走行部132それぞれの走行距離(進行距離)を取得可能なデータであればよい。例えば、エンコーダ170が、タイヤ133、134それぞれの回転速度を出力するようにしてもよい。または、エンコーダ170が、走行部131、走行部132それぞれの走行速度を積分して走行部131、走行部132それぞれの走行距離を算出し、得られた走行距離を出力するようにしてもよい。
【0026】
吊下機構150は、コンテナCを吊下げて把持する。吊下機構150がコンテナCを吊下げた状態でRTGクレーン100が走行することで、RTGクレーン100はコンテナCを運搬する。
トロリ151は、梁部111に、当該梁部111に沿って移動可能に設けられている。スプレッダ152は、コンテナCを把持する。吊下ロープ153は、トロリ151からスプレッダ152を吊下げる。巻上機154は、トロリ151に設けられ、吊下ロープ153の巻上および巻出を行う。巻上機154が吊下ロープ153を巻き上げることで、スプレッダ152が上昇する。また、巻上機154が吊下ロープ153を巻き出すことで、スプレッダ152が下降する。
【0027】
運転席180には、運転員によるRTGクレーン100の運転操作および吊下機構150の操作を受け付ける操作盤と、各種情報を表示する表示装置とが設置されている。
ここで、RTGクレーン100の走行レーンの水はけを良くするために、走行レーンが図1の前後方向に傾斜している場合など、タイヤ133と134とを同じ回転速度で回転させても重力の影響によりRTGクレーン100が直進しない場合がある。そこで、RTGクレーン100は、衝突防止制御装置にてRTGクレーン100自らの自動直進制御を行うなど、運転員による運転を補助するために、タイヤ133および134の回転速度の補正を行う。
または、RTGクレーン100が運転席180を備えず無人で運用され、RTGクレーン100が自動走行するようにしてもよい。
RTGクレーン100がコンテナCをバスバー付近の蔵置ブロック101に配置する際に、コンテナCがバスバーに衝突する可能性がある。
本発明のクレーンシステム1は、RTGクレーン100がコンテナCを蔵置ブロック101に配置する際に、コンテナCやスプレッダ152がバスバーに衝突するのを防止するものである。
【0028】
次に、本発明の第一の実施形態によるバスバー191の構成について説明する。
図2に示すバスバー191は、支持部197と、一対の接触部193、194と、を備える。バスバー191が備える一対の接触部193、194は、支持部197の垂直面に付設され、RTGクレーン100が備える電力受電部141に接触することで、RTGクレーン100に電力を供給する。
【0029】
次に、本発明の第一の実施形態によるRTGクレーン100が備える衝突防止制御装置200の構成について説明する。
図3に示す本発明の第一の実施形態によるRTGクレーン100が備える衝突防止制御装置200は、走行制御部201と、トロリ制御部202と、スプレッダ制御部203と、距離算出部204と、距離判定部205と、報知部206と、記憶部207と、を備える。
【0030】
第一の実施形態による衝突防止制御装置200が備える走行制御部201は、蔵置ブロック101の列の延長方向に走行可能な走行部131と走行部132とを制御し、基準線に示される基準位置からずれて走行しないように制御する。また、走行制御部201は、RTGクレーン100自らの自動直進制御を行うなど、運転員による運転を補助するために、タイヤ133および134の回転速度に対する補正を行う。なお、走行制御部201は、RTGクレーン100が運転席180を備えず無人で運用され、RTGクレーン100が自動走行するように制御するものであってもよい。
【0031】
トロリ制御部202は、蔵置ブロック101の幅方向に走行可能に支持されたトロリ151を制御し、トロリ151の当該横方向の位置を制御する。トロリ151が移動するとスプレッダ152も移動し、スプレッダ152とバスバー191との相対距離が変化する。トロリ制御部202は、距離判定部205がスプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離が所定の距離よりも短いと判定した場合、スプレッダ152をバスバー191から所定の距離離れるようにトロリ151を制御する。トロリ制御部202は、距離判定部205からスプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離が所定の距離よりも短いと判定した判定結果を入力すると、距離判定部205からスプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離が所定の距離よりも長くなるようにトロリ151の位置を制御する。
スプレッダ制御部203は、巻上機154を制御し、トロリ151に上下昇降可能に吊り下げられるとともに、コンテナCを支持可能なスプレッダ152の上下方向の位置を制御する。スプレッダ制御部203は、スプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離が所定の距離よりも短いと判定した判定結果を距離判定部205から入力すると、巻き下げを強制的に停止する。
距離算出部204は、垂直真下方向と検出部190のレーザ光または超音波の放射方向とが成す角度(スキャン角度)と、検出部190が検出したバスバー191の頂部までの距離とに基づいて、スプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離を算出する。
距離判定部205は、距離算出部204が算出したスプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離が所定の距離よりも短いか否かを判定する。距離判定部205は、距離算出部204が算出したスプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離が所定の距離よりも短いと判定した場合、判定結果をトロリ制御部202、スプレッダ制御部203及び報知部206に出力する。
報知部206は、距離判定部205は、距離算出部204が算出したスプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離が所定の距離よりも短いと判定した場合、運転手に警報を報知する。
記憶部207は、衝突防止制御装置200が行う種々の処理に必要な情報を記憶する。
【0032】
次に、スプレッダ152における検出部190の設置位置について説明する。
図4に示す検出部190(190a、190b)のそれぞれは、スプレッダ152における蔵置ブロック101の列方向の両端であってバスバー191に対向する側に設置されている。
検出部190(190a、190b)のそれぞれがスプレッダ152の両端に設置されている場合、距離算出部204は、スプレッダ152の両端のそれぞれからバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離を算出し、距離の短い方がスプレッダ152からバスバー191までの最短距離となる。
また、図5に示す検出部190は、スプレッダ152における蔵置ブロック101の列方向の中央に設置されている。検出部190がスプレッダ152の中央に設置されている場合、図6に示すように一対の揺れセンサ155がトロリ151に備えられる。距離算出部204は、スプレッダ152の中央からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離を算出する。また、一対の揺れセンサ155は、スプレッダ152からトロリ151に対して上方にレーザ光を照射し照射位置のずれに基づいて水平方向のねじれを検出する。距離算出部204は、スプレッダ152の中央からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離と、一対の揺れセンサ155が検出したスキューとに基づいて、スプレッダ152の両端のそれぞれからバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離を算出し、スプレッダ152からバスバー191までの最短距離を算出する。
なお、図4図5には、後述する照明部210の例も図示されている。
【0033】
次に、第一の実施形態による距離算出部204が行うスプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離の算出について説明する。
図7には、図1に対して定義した左方向から右方向を見た時の第一の実施形態によるクレーンシステム1と、検出部190とバスバー191の周辺の様子とが示されている。図7に示す検出部190は、例えば、二次元レーザセンサや二次元超音波センサであり、スプレッダ152の幅方向一方であってバスバー191に対向する側に取り付けられ、蔵置ブロック101の幅方向にスキャンする。そして、検出部190は、検出部190からバスバー191の頂部までの距離dと、垂直真下方向と検出部190のレーザ光または超音波の放射方向とが成す角度θとを特定する。距離算出部204は、検出部190からバスバー191の頂部までの距離dと角度θとを取得する。距離算出部204は、バスバー191の頂部までの距離dと角度θとに基づいて、検出部190からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離xをd×sinθの式を用いて算出する。
図4で示したように、検出部190(190a、190b)のそれぞれがスプレッダ152の両端に設置されている場合、距離算出部204は、検出部190aと検出部190bのそれぞれに対して算出した距離xのうち短い方をスプレッダ152からバスバー191までの最短距離として算出する。
また、図6で示したように、検出部190がスプレッダ152の中央に設置されている場合、距離算出部204は、算出した距離xから、蔵置ブロック101の列方向のスプレッダ152の半分の長さlとスプレッダ152の蔵置ブロック101の列方向に対するねじれ角αとから算出したl×sinαを減じて、x−l×sinαと算出する。
【0034】
次に、本発明の第一の実施形態によるRTGクレーン100が備える衝突防止制御装置200が行うコンテナCやスプレッダ152がバスバー191に衝突するのを防止する処理ついて説明する。
図8に示す本発明の第一の実施形態による衝突防止制御装置200が備える走行制御部201は、蔵置ブロック101の列の延長方向に走行可能な走行部131と走行部132とを制御し、基準線に沿って走行するように制御する。例えば、走行制御部201は、基準線に沿って配置された磁石の磁力を検出し、走行部131および走行部132が検出した磁力に沿って走行するように制御する。また、走行制御部201は、RTGクレーン100自らの自動直進制御を行うなど、運転員による運転を補助するために、タイヤ133および134の回転速度に対する補正を行う。そして、走行制御部201は、所定位置に置かれる前のコンテナCが置かれている蔵置ブロック101内の列方向の所定の位置までRTGクレーン100を移動させる(ステップS1)。なお、走行制御部201は、RTGクレーン100が運転席180を備えず無人で運用され、RTGクレーン100が自動走行するように制御するものであってもよい。
【0035】
トロリ制御部202は、トロリ151における蔵置ブロック101の横方向の位置を制御し、コンテナCが置かれている位置までトロリ151を移動させる(ステップS2)。そして、スプレッダ制御部203は、スプレッダ152を巻き下げてコンテナCを把持する(ステップS3)。スプレッダ制御部203は、スプレッダ152を巻き上げる(ステップS4)。トロリ制御部202は、トロリ151における蔵置ブロック101の横方向の位置を制御し、バスバー191に隣接する蔵置ブロック101の列101aにトロリ151を近づける(ステップS5)。この間、スプレッダ152に設置された検出部190は、バスバー191の頂部までの距離dと、バスバー191の頂部までの距離dを検出した時の垂直真下方向に対する角度θとを特定する(ステップS6)。距離算出部204は、検出部190から検出部190が検出したバスバー191の頂部までの距離dと角度θとを取得する。距離算出部204は、バスバー191の頂部までの距離dと角度θとに基づいて、検出部190からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離xをd×sinθの式を用いて算出する(ステップS7)。そして、距離算出部204は、検出部190からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離xに基づいて、スプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離を算出する(ステップS8)。例えば、図4で示したように、検出部190(190a、190b)のそれぞれがスプレッダ152の両端に設置されている場合、距離算出部204は、検出部190aと検出部190bのそれぞれに対して算出した距離xのうち短い方をスプレッダ152からバスバー191までの最短距離として算出する。また、例えば、図6で示したように、検出部190がスプレッダ152の中央に設置されている場合、距離算出部204は、算出した距離xから、蔵置ブロック101の列方向のスプレッダ152の半分の長さlとスプレッダ152の蔵置ブロック101の列方向に対するねじれ角αとから算出したl×sinαを減じて、x−l×sinαと算出する。
【0036】
距離算出部204は、算出したスプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離を距離判定部205に出力する。
距離判定部205は、スプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離を距離算出部204から入力すると、入力した距離が所定の距離よりも短いか否かを判定する(ステップS9)。距離判定部205は、距離算出部204から入力した距離が所定の距離よりも短いと判定した場合(ステップS9、YES)、判定結果をトロリ制御部202、スプレッダ制御部203及び報知部206に出力する(ステップS10)。
スプレッダ制御部203は、距離判定部205からスプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離が所定の距離よりも短いと判定した判定結果を入力すると、巻き下げを強制的に停止する(ステップS11)。
報知部206は、距離判定部205は、距離算出部204が算出したスプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離が所定の距離よりも短いと判定した場合、運転手に警報を報知する(ステップS12)。
トロリ制御部202は、トロリ151における蔵置ブロック101の横方向の位置を制御し、スプレッダ152からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離が所定の距離よりも長くなるようにトロリ151を後ろ方向に移動させる制御を行う(ステップS13)。トロリ制御部202は、ステップS8の処理に戻す。
また、距離判定部205が距離算出部204から入力した距離が所定の距離よりも長いと判定した場合(ステップS9、NO)、スプレッダ制御部203は、現在吊られているコンテナCを巻き下げる。そして、スプレッダ制御部203は、コンテナCが地面に着床したか否かを判定する(ステップS14)。
スプレッダ制御部203は、コンテナCが地面に着床していないと判定した場合(ステップS14、NO)、ステップS8の処理に戻す。
また、スプレッダ制御部203は、コンテナCが地面に着床したと判定した場合(ステップS14、YES)、処理を終了する。
【0037】
以上、本発明の第一の実施形態によるクレーンシステム1においてRTGクレーン100が備える衝突防止制御装置200の処理について説明した。上述のクレーンシステム1は、複数のコンテナCを蔵置可能な列を少なくとも1列有する蔵置ブロック101と、蔵置ブロック101における列の延長方向に走行可能なRTGクレーン100と、蔵置ブロック101の幅方向一方の端に、列の延長方向に沿って設けられて、RTGクレーン100に給電を行うバスバー191と、を備える。RTGクレーン100は、列の延長方向に走行可能な走行部131、132と、走行部131、132に支持されたクレーン本体110と、クレーン本体110に、幅方向に走行可能に支持されたトロリ151と、トロリ151に上下昇降可能に吊り下げられるとともに、コンテナCを把持可能なスプレッダ152と、スプレッダ152の幅方向一方側に取り付けられ、バスバー191を検出する検出部190と、を備える。
このようにすれば、クレーンシステム1は、RTGクレーン100がコンテナCを蔵置ブロック101に配置する際に、コンテナCやスプレッダ152がバスバーに衝突するのを防止することができる。
なお、第一の実施形態による検出部190は、カメラであってもよい。例えば、検出部190は、パターンマッチング法を用いて、画像の中からバスバー191を検出する。検出部190は、バスバー191の実際の形状と実際のサイズが予めわかっており、検出したバスバー191の画像が示す画素数と、バスバー191の実際のサイズとに基づいて、検出部190からバスバー191までの距離を検出するものであってもよい。
【0038】
<第二の実施形態>
次に、本発明の第二の実施形態によるクレーンシステム1について説明する。
本発明の第二の実施形態によるクレーンシステム1と第一の実施形態によるクレーンシステム1との違いは、第一の実施形態によるクレーンシステム1が備える検出部190がレーザセンサや超音波センサであるのに対して、本発明の第二の実施形態によるクレーンシステム1が備える検出部190がカメラであることである。
【0039】
図9に示すようにバスバー191の頂部にマークMを設け、検出部190が画像処理によって、バスバー191までの距離を検出する。より具体的には、検出部190は、例えば、カメラであり、図10に示すように、スプレッダ152の幅方向一方側に取り付けられ、蔵置ブロック101の幅方向にスキャンする。そして、検出部190は、例えば、パターンマッチング法で,バスバー191の頂部のマークMを検出する。画像上,マークMの位置が右側に移動すれば吊コンテナ位置が近づいたことになる。定量的には、エンコーダ164でスプレッダ152の高さが分かり、バスバー191の高さを差し引いて、高さ方向の相対距離が分かる。マークMの大きさは予めわかっているため、検出部190は、この高さ方向の相対距離におけるカメラの視野角の範囲内でマークMを検出し、検出したマークMの中心がコンテナ前端位置Pから何画素分ずれているかを特定する。1画素当たりの対応する距離が分かっているため、距離算出部204は、マークMが示す画素数から、コンテナ前端位置Pからバスバー191までの距離を算出することができる。距離算出部204は、コンテナ前端位置Pと検出部190との相対位置がわかっており、検出部190からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離xを算出することができる。
検出部190は、スプレッダ152の幅方向一方であってバスバー191に対向する側に取り付けられ、バスバー191と幅方向に所定の距離離れて付設されたマークを検出する。
【0040】
なお、検出部190aは、図9で示したバスバー191の頂部のマークMに代わり、バスバー191と幅方向に所定の距離離れて付設された地上マークを検出するものであってもよい。
【0041】
図11に示す本発明の第二の実施形態によるRTGクレーン100が備える衝突防止制御装置200の処理フローは、第一の実施形態による衝突防止制御装置200の処理フローのステップS6とステップS7がステップS15からステップS17に置き換わったフローである。
衝突防止制御装置200の処理フローにおいて第一の実施形態による衝突防止制御装置200の処理フローのステップS1からステップS5と同様の処理を行う。その後、スプレッダ152に設置された検出部190は、バスバー191の頂部のマークMを検出する(ステップS15)。例えば、検出部190は、スプレッダ152とバスバー191の相対距離に対応するマークMのパターンデータと撮影した画像データとを比較するパターンマッチング法を用いて、スプレッダ152とバスバー191の相対距離にあるマークMを検出する。また、検出部190は、コンテナ前端を検出部190に設置位置に基づく所定の位置として検出する。そして、検出部190は、検出したマークMの中心がコンテナ前端位置Pから何画素分ずれているかを特定する(ステップS16)。検出部190は、特定した画素数のずれを距離算出部204に出力する。
距離算出部204は、巻き上げ量が示す巻高さに対応する1画素当たりに相当する距離がわかっているため、現在の巻高さから画素を距離に換算する(ステップS17)。距離算出部204は、検出部190から入力した画素数のずれに1画素当たりに相当する距離を乗算してコンテナ前端位置Pからバスバー191までの距離を算出し、画素を検出部190からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離xを算出する(ステップS8)。
【0042】
以上、本発明の第二の実施形態によるクレーンシステム1について説明した。上述のクレーンシステム1において、検出部190はカメラである。検出部190はスプレッダ152とバスバー191の相対距離とカメラの視野角に応じたマークMを検出する。
検出部190は、検出したマークMの中心がコンテナ前端位置から何画素分ずれているかを特定する。距離算出部204は、1画素当たりに相当する距離がわかっているため、画素数のずれに1画素当たりに相当する距離を乗算して検出部190からバスバー191までの蔵置ブロック101の幅方向の距離xを算出する。
このようにすれば、クレーンシステム1は、RTGクレーン100がコンテナCを蔵置ブロック101に配置する際に、コンテナCやスプレッダ152がバスバーに衝突するのを防止することができる。
【0043】
<第三の実施形態>
次に、本発明の第三の実施形態によるクレーンシステム1について説明する。
本発明の第三の実施形態によるクレーンシステム1と第二の実施形態によるクレーンシステム1との違いは、第三の実施形態によるクレーンシステム1は、検出部190の隣に照明部210を備え、マークMを発光させる、例えば、微粒子ガラス塗布材とすることである。そして、検出部190は、発光したマークMを検出する。なお、バスバー191を発光させて、検出部190は、バスバー191を検出するものであってもよい。
こうすることで、夜間でもマークMやバスバー191を検出することができる。
【0044】
<第四の実施形態>
次に、本発明の第四の実施形態によるクレーンシステム1について説明する。
本発明の第四の実施形態によるクレーンシステム1と第三の実施形態によるクレーンシステム1との違いは、第四の実施形態によるクレーンシステム1は、照明部210が赤外照明であり、検出部190の前面に赤外光透過フィルタを備えることである。照明部210がマークMやバスバー191に赤外光を照射する。そして、検出部190は、赤外光を検出することによりマークMやバスバー191を検出する。
こうすることで、夏至の時などに太陽光の直接反射により画像が明るくなり過ぎた(画像全体が白っぽくなった)場合であっても、マークMを検出することができる。
【0045】
なお、本発明の実施形態について説明したが、上述のマークMの色は、白や黒に限定するものではない。例えば、マークMの色は、単色であってもよいし、マークMの中央と周囲とが異なる色であってもよい。また、マークMの形状は四角形に限定するものではない。また、マークMの代わりにラインを用いて距離を検出するものであってもよい。例えば、バスバー191の列方向に延びるラインのエッジを検出して距離を検出するものであってもよい。適切に距離を検出できるマークMやラインであれば、どのようなものであってもよい。
また、上述のマークMは、蔵置ブロックの列方向に配置されるコンテナのピッチに応じて設けられるものであってよい。
【0046】
なお、本発明の実施形態について説明したが、上述の衝突防止制御装置200は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0047】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
上述のクレーンシステムによれば、クレーンがコンテナを蔵置ブロックに配置する際に、コンテナやスプレッダがバスバーに衝突するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 クレーンシステム
100 RTGクレーン
101 蔵置ブロック
110 クレーン本体
111 梁部
121、122 脚部
131、132 走行部
133、134 タイヤ
141 電力受電部
150 吊下機構
151 トロリ
152 スプレッダ
153 吊下ロープ
154 巻上機
155 揺れセンサ
160 位置情報取得装置
164、170 エンコーダ
180 運転席
190 検出部
191 バスバー
193、194 接触部
197 支持部
200 衝突防止制御装置
201 走行制御部
202 トロリ制御部
203 スプレッダ制御部
204 距離算出部
205 距離判定部
206 報知部
207 記憶部
210 照明部
C コンテナ
L11 線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11