(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存のデジタル・ストレージ・オシロスコープは、1つの入力信号に関して複数のメモリ領域(通常、偶数個)を共用できるが、異なる被試験入力信号を取込み又は測定する選択された(又はアクティブな)チャンネルに対し、軽重を付けてメモリ領域を割り当てることはできないし、また、選択されていない(又は非アクティブな)チャンネルに取込みメモリ中のメモリ領域を割り当てないようにすることもできない。言い換えると、異なる入力信号を取込み又は測定する選択された(又はアクティブな)チャンネルに対して、取込みメモリ中の複数のメモリ領域をダイナミックに割り当てることができない。
【0006】
加えて、複数の入力チャンネルで低周波数(低速)及び高周波数(高速)な信号の両方を取込み又は測定する場合、既存のデジタル・ストレージ・オシロスコープでは、そのサンプリング・レートを最も高い周波数(最高速)の信号に合わせて設定される。従って、既存のデジタル・ストレージ・オシロスコープでは、低速な信号を取り込む入力チャンネルに割り当てられた取込みメモリのリソース(資源)は、不必要に大きくなることがある一方で、より高速な信号を取り込む他の入力チャンネルに割り当てられた取込みメモリのリソースは、それらチャンネルが受ける信号を再構築するのに充分ではないことがある。
【0007】
こうしたことから、1つ以上のチャンネルが選択されていない(非アクティブな)場合において、複数の異なる入力信号を取込み又は測定する複数入力チャンネル間で、取込みメモリのリソースを柔軟にシェア(共用)できるよう、デジタル・ストレージ・オシロスコープの信号取込み表示アーキテクチャを改善したいという要求がある。
【0008】
また、複数の入力チャンネルが異なる周波数(異なる速度)の被試験信号を取込み又は測定する場合に、複数の入力チャンネル間で効率よく取込みメモリのリソースを割り当てることができるよう、デジタル・ストレージ・オシロスコープの信号取込み表示アーキテクチャを改善したいという要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
既存のデジタル・ストレージ・オシロスコープの欠点を克服するため、本発明は、改善された取込みシステムを提供する。
【0010】
本発明の第1観点は、オシロスコープ用の取込みシステムであって、
a.異なる入力信号を取込み又は測定する複数のチャンネルと、
b.複数の上記チャンネルから被試験信号を夫々受けて、デジタル・サンプルにデジタル化する複数のA/Dコンバータ(2.1、2.2、・・・、2.n)と、
c.複数の上記A/Dコンバータに結合され、複数の上記A/Dコンバータからの上記デジタル・サンプルを記憶する取込みメモリ(10)と、
d.複数の上記チャンネルの選択された少なくとも1つについて、上記取込みメモリ内に1つ以上のメモリ長(又はレコード長)を割り当てるメモリ割当プロセッサ(4)とを具えている。
【0011】
本発明の第2観点は、第1観点の取込みシステムであって、このとき、上記メモリ割当プロセッサは、異なる上記入力信号を取込み又は測定するn個のチャンネルの選択の変化に応じて、1つ以上のメモリ長を割り当てることを特徴としている。
【0012】
本発明の第3観点は、第1又は第2観点の取込みシステムであって、このとき、上記メモリ割当プロセッサは、上記オシロスコープからのユーザの設定に基づいて、上記取込みメモリ内に1つ以上のメモリ長を割り当てることを特徴としている。
【0013】
本発明の第4観点は、第3観点の取込みシステムであって、このとき、上記メモリ割当プロセッサは、選択された1つ以上の上記チャンネルについて、1つ以上のメモリ長を取込みメモリに割り当てる一方、選択されていない上記チャンネルについてはメモリ領域を割り当てないことを特徴としている。
【0014】
本発明の第5観点は、第1又は第2観点の取込みシステムであって、このとき、上記メモリ割当プロセッサは、所定期間内において、指定されたサンプリング・レート又は指定されたメモリ長に基いて、選択された上記チャンネルにメモリ長を割り当てることを特徴としている。
【0015】
本発明の第6観点は、第1又は第2観点の取込みシステムであって、このとき、上記メモリ割当プロセッサは、選択された上記チャンネルが、より高速な信号を受けるほど、より高いサンプリング・レートを指定されるほど、又は、より長いメモリ長を指定されるほど、より長いメモリ長を選択された上記チャンネルに割り当てることを特徴としている。
【0016】
本発明の第7観点は、第1又は第2観点の取込みシステムであって、このとき、複数の上記A/Dコンバータの特定の1つは、ユーザ設定で指定されるか又はサンプリング・レート・コントローラで検出されたサンプリング・レートを用いて受けた信号をデジタル化すると共に、上記メモリ割当プロセッサが、メモリ割当パラメータを記憶する記憶場所を有していることを特徴としている。
【0017】
本発明の第8観点は、第7観点の取込みシステムであって、このとき、上記オシロスコープの上記ユーザ設定は、前面パネル又は通信インタフェースから受けたもので、選択されたチャンネル番号、メモリ長又はサンプリング・レートを有するメモリ割当パラメータを含んでいる。
【0018】
本発明の第9観点は、第2観点の取込みシステムであって、
複数の上記チャンネルのサンプリング・レートを制御するサンプリング・レート・コントローラを更に具えている。
【0019】
本発明の第10観点は、第9観点の取込みシステムであって、
上記取込みメモリ中に記憶された選択された上記チャンネルに関する上記デジタル・サンプルを処理及び表示するための表示プロセッサを更に具えている。
【0020】
第1観点の取込みシステムに対応して、本願はメモリ・リソースを割り当てる方法を開示し、この方法は、
a.異なる入力信号を取込み又は測定する複数のチャンネルから1つ以上のチャンネルを選択するステップと、
b.複数の上記チャンネルの選択に応じて、1つ以上のメモリ長で取込みメモリ(10)を区分けすることによって、上記取込みメモリ(10)中のメモリ・リソースを選択された上記チャンネルに割り当てるステップとを具えている。
【0021】
本発明の第2観点は、複数のチャンネルを有するオシロスコープ用の取込みシステムであって、
a.複数の上記チャンネルから被試験信号を夫々受けて、デジタル・サンプルにデジタル化する複数のA/Dコンバータ(2.1、2.2、・・・、2.n)と、
b.複数の上記チャンネルからの信号の速度(又は周波数)に基いて、複数の上記A/Dコンバータについてサンプリング・レートを制御するサンプリング・レート・コントローラ(7)と、
c.複数の上記A/Dコンバータからの上記デジタル・サンプルを記憶する取込みメモリ (10)とを具えている。
【0022】
第2観点の取込みシステムに対応して、本願はメモリ・リソースを割り当てる方法を開示し、この方法は、
a.複数のチャンネルについてサンプル・レート又はサンプリング・レートを指定するステップと、
b.指定されたサンプル・レート又はサンプリング・レートを用いて入力信号をデジタル化したサンプル・データに変換するステップと、
c.指定された上記サンプリング・レートに応じて、取込みメモリ(10)を複数のメモリ長に区分けすることによって、上記取込みメモリ(10)中のメモリ・リソースを複数の上記チャンネルに割り当てるステップとを具えている。
【0023】
第2観点の取込みシステムに対応して、本発明はメモリ・リソースを割り当てる別の方法を提供し、この方法は、
a.複数のチャンネルから取り込まれた信号について周波数を検出するステップと、
b.検出された上記周波数に応じて、複数の上記チャンネルについてサンプリング・レートを指定するステップと、
c.指定されたサンプリング・レートを用いて入力信号をデジタル化したサンプル・データに変換するステップと、
d.指定された上記サンプリング・レートに応じて、取込みメモリ(10)を複数のメモリ長に区分けすることによって、上記取込みメモリ(10)中のメモリ・リソースを複数の上記チャンネルに割り当てるステップとを具えている。
【0024】
本発明の第11観点は、
異なる入力信号を取込み又は測定する複数のチャンネルと、
複数の上記チャンネルから被試験信号を夫々受けて、デジタル・サンプルにデジタル化する複数のA/Dコンバータと、
複数の上記A/Dコンバータに結合され、複数の上記A/Dコンバータからの上記デジタル・サンプルを記憶する取込みメモリと
を具えたオシロスコープのための取込みシステムで用いる方法であって、
複数のチャンネルから取り込んだ入力信号について速度を検出するステップと、
検出された上記速度に応じて複数の上記チャンネルについてサンプリング・レートを指定するステップと、
指定された上記サンプリング・レートを用いて上記入力信号をデジタル化したサンプル・データに変換するステップと、
指定された上記サンプリング・レートに応じて上記取込みメモリを複数のメモリ長に区分けすることによって上記取込みメモリ中のメモリ・リソースを割り当てるステップとを具え、
上記メモリ・リソースを割り当てるステップにおいて、選択された上記チャンネルについて、指定された上記サンプリング・レートが高いほど、より長いメモリ長を割り当てることを特徴としている。
【0025】
上述の改善された取込みシステムにおける構造及びメモリ・リソース割当方法におけるステップを提供することにより、本発明は、上述した既存のデジタル・ストレージ・オシロスコープの欠点を解決するものである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態の例を説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態の例による複数チャンネルを有するデジタル・ストレージ・オシロスコープ100のブロック図である。
図1に示すように、デジタル・ストレージ・オシロスコープ100は、n個のチャンネル(CH
1、CH
2、...CH
n)、n個のアナログ・デジタル(A/D)コンバータ2(2.1、2.2、・・・、2.n)、サンプリング・データ・プロセッサ3(ASIC:特定用途IC)、システム・プロセッサ12、取込みメモリ10、表示バッファ16及び表示デバイス14を含んでいる。n個のチャンネルの夫々(CH
i)は、対応するA/Dコンバータ2.iに結合され、プローブ及びケーブル等(図示せず)を介して被試験アナログ信号を受け、受けたアナログ信号を所定間隔でデジタル・サンプル(又はサンプル・データ)のストリームへとデジタル化する。デジタル・サンプルの夫々は、ある数値に対応している。n個のA/Dコンバータ2(2.1、2.2、・・・、2.n)からのデジタル・サンプルは、サンプリング・データ・プロセッサ3に加えられ、最終的に表示デバイス14上で被試験信号を表示するように処理及び再構築される。デジタル・ストレージ・オシロスコープ100の全体の動作を制御するため、システム・プロセッサ12がサンプリング・データ・プロセッサ3に結合され、これが更に取込みメモリ10、表示バッファ16及び表示デバイス14へと結合される。
【0029】
ユーザが外部からメモリの割当てやデータ表示パラメータをデジタル・ストレージ・オシロスコープ100に入力できるようにするため、前面パネル13及び通信インタフェース14(USB、UART、LAN又はGPIBポートなど)がシステム・プロセッサ12に結合される。通信インタフェース14によって、ユーザは、外部の制御装置からデジタル・ストレージ・オシロスコープ100を遠隔制御したり、自動試験システムを構築したりすることができる。ユーザは、前面パネル13上のノブやボタン(
図7に示す)を操作したり、通信インタフェース14を通してパソコン(図示せず)のような制御装置を用いて制御することにより、表示パラメータ(選択されたチャンネルの番号、指定されたサンプリング・レート及び指定されたメモリ長を含む)を外部から入力できる。前面パネル13や通信インタフェース14から要求/命令(コマンド)を受けると、システム・プロセッサ12は、これらをサンプリング・データ・プロセッサ3で認識可能な信号に変換し、サンプリング・データ・プロセッサ3へと送る。
【0030】
図1に示すように、サンプリング・データ・プロセッサ3は、n個のA/Dコンバータ2(2.1、2.2、・・・、2.n)からのサンプル・データを処理し、処理されたサンプル・データを取込みメモリ10に記憶させるメモリ割当プロセッサ4を含んでいる。サンプリング・データ・プロセッサ3は、また、メモリ割当プロセッサ4に結合された表示プロセッサ5を含み、これは、取込みメモリ10に記憶されたサンプル・データを表示可能な形式へと更に処理し、後続のサンプル・データが受けられるように取込みメモリ10を空けるために表示形式に処理されたサンプル・データを表示バッファ16に記憶させ、表示デバイス14上で波形の形式でサンプル・データを表示する。
【0031】
更に詳細には、メモリ割当プロセッサ4には、データ取込みコントローラ6、サンプリング・レート・コントローラ7、メモリ割当パラメータ・レジスタ8及びメモリ割当コントローラ9が含まれる。データ取込みコントローラ6は、サンプリング・レート・コントローラ7、メモリ割当パラメータ・レジスタ8及びメモリ割当コントローラ9に結合され、メモリ割当プロセッサ4全体の動作を制御する。データ取込みコントローラ6の制御の下、サンプリング・レート・コントローラ7、メモリ割当パラメータ・レジスタ8及びメモリ割当コントローラ9は、互いにコミュニケーションできる。
【0032】
前面パネル13/通信インタフェース14からの入力又はn個のチャンネル(CH
1、CH
2、・・・、CH
n)から受けた信号に応じて、メモリ割当プロセッサ4内において、サンプリング・レート・コントローラ7が、n個のA/Dコンバータ2(2.1、2.2、・・・、2.n)の中の選択されたものについて、サンプリング・レートを設定及び制御できる。メモリ割当パラメータ・レジスタ8は、データ取込みコントローラ6又はシステム・プロセッサ12から受けたメモリ割当パラメータ(選択されたチャンネルの番号、指定されたサンプリング・レート及び指定されたメモリ長を含む)を受けて記憶できる。メモリ割当コントローラ9は、メモリ割当パラメータ・レジスタ8中のメモリ割当パラメータに応じてn個のチャンネル(CH
1、CH
2、・・・、CH
n)中の選択されたチャンネルについて、メモリ長(又はレコード長)を割当て、取込みメモリ10中の割り当てられたメモリ領域にサンプル・データを記憶させることができる。
【0033】
表示プロセッサ5は、表示コントローラ11、表示パラメータ・レジスタ15及び波形プロセッサ24を含んでいる。表示パラメータ・レジスタ15は、表示コントローラ11及び波形プロセッサ24に結合される。表示プロセッサ5内において、表示パラメータ・レジスタ15は、選択されたチャンネル番号、メモリ長その他のパラメータ(垂直のオフセット及びスケール、水平のオフセット及びスケールなど)を含む表示パラメータを記憶する。表示コントローラ11及び波形プロセッサ24は、両方とも表示バッファ16に結合される。波形プロセッサ24は、メモリ割当プロセッサ4からサンプル・データを受けて、それらを表示パラメータ・レジスタ15中の表示パラメータに従って表示に適した望ましい波形形式へと処理し、波形形式のサンプル・データを表示バッファ16に記憶させる。表示コントローラ11は、波形形式サンプル・データを表示バッファ16から読み出し、表示パラメータ・レジスタ15中の表示パラメータに従って、それらを表示デバイス14上で波形形式で表示させる。
【0034】
図2Aは、本発明の実施形態の一例による
図1のメモリ割当プロセッサ4の詳細なブロック図である。
図2Aに示すように、メモリ割当プロセッサ4は、メモリR/W(リード/ライト)回路18、n個のDEMUX(デマルチプレクサ・ユニット)19(19.1、19.2、・・・、19.n) 及びn個の間引き(デシメータ)論理回路20(20.1、20.2、・・・、20.n)を更に含んでいる。
【0035】
n個のDEMUX19.i(i=1、2、・・・、n)の夫々は、n個の間引き論理回路20.i(i=1、2、・・・、n) の対応する1つに結合され、n個のチャンネルCH.i(i=1、2、・・・、n)の対応する1つのチャンネルについて、n個のチャンネルに対するトリガ信号Tに応じて、取込みメモリ10へのサンプル・データの流れを制御する。トリガ信号Tがない場合、DEMUX19.i(i=1、2、・・・、n)は、サンプル・データを連続して取込みメモリ10に書き込む。トリガ信号Tを受けると、ポスト・トリガ・データ(トリガ信号発生時点から後のサンプル・データ)として要求されている量を記憶するのに必要な長さだけ、DEMUX19.i(i=1、2、・・・、n)は、サンプル・データを連続的に取込みメモリ10に書き込む。書き込みが終わった時点からは、取込みメモリ10がデータを表示プロセッサ5に全て渡し終わったことを示す信号を受けるまで、DEMUX19.i(i=1、2、・・・、n)は、サンプル・データを取込みメモリ10に書き込むのを停止する。
【0036】
n個の間引き論理回路20.i(i=1、2、・・・、n)の夫々は、2つの入力端子と1つの出力端子を有し、2つの入力端子の1つは、n個のA/Dコンバータ2.i(i=1、2、・・・、n)の対応する1つの出力端子に結合され、2つの入力端子のもう一方は、サンプリング・レート・コントローラ7の出力端子に結合される。n個の間引き論理回路20.i(i=1、2、・・・、n)夫々の出力端子は、n個のDEMUX19.i(i=1、2、・・・、n)の対応する1つのDEMUXの入力端子に結合される。メモリ割当パラメータに基いてサンプル・データを取込みメモリ10に記憶するため、メモリR/W(リード/ライト)回路18がメモリ割当コントローラ9、取込みメモリ10及びn個のDEMUX19.i(i=1、2、・・・、n)の出力端子に結合される。
【0037】
サンプリング・レート・コントローラ7は、メモリ割当パラメータ・レジスタ8中の情報に応じて、n個の間引き論理回路20(20.1、20.2、・・・、20.n)のサンプリング・レートを制御できる。n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)についてサンプリング・レートを自動的に設定するために、n個のチャンネルで取込み又は測定される被試験信号の周波数(又は速度)を検出できるように、サンプリング・レート・コントローラ7がn個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)に結合される。
【0038】
図2Aに示すようにメモリ割当プロセッサ4では、n個のA/Dコンバータ2(2.1、2.2、・・・、2.n)が、n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)に関するサンプル・データを生成するのに、全て最高サンプリング・レート(又はサンプリング速度)で動作する。n個のA/Dコンバータ2(2.1、2.2、・・・、2.n)の異なるA/Dコンバータで異なるサンプリング・レートとするため、n個の間引き論理回路20.i(i=1、2、・・・、n)の夫々は、サンプリング・レート・コントローラ7の制御に従って、n個のA/Dコンバータ2(2.1、2.2、・・・、2.n)の対応するA/Dコンバータからのデジタル・サンプルを選択的に破棄する。一般的に言えば、n個のA/Dコンバータ2.i(i=1、2、・・・、n)の中の1つのA/Dコンバータを最高サンプリング・レートの1/kで動作させるには、対応する間引き論理回路20.i(i=1、2、・・・、n)が、対応するA/Dコンバータ2.i(i=1、2、・・・、n)から所定期間中に届く連続するk個のデジタル・サンプルの中から、1つのデジタル・サンプルのみを通過させ、残りのk−1個のデジタル・サンプルを破棄する。1つの例をあげると、あるA/Dコンバータ2.i(i=1、2、・・・、n)を最高サンプリング・レートの1/6(k=6)で動作させるには、サンプリング・レート・コントローラ7が、メモリ割当パラメータ・レジスタ8中の情報に基づいて、対応する間引き論理回路20.i(i=1、2、・・・、n)に制御信号を送り、間引き論理回路20.iが対応するA/Dコンバータ2.i(i=1、2、・・・、n)から所定期間中に届く連続する6個のデジタル・サンプルの中から、1つのデジタル・サンプルのみを通過させ、残りの5個のデジタル・サンプルを破棄する。
【0039】
当業者であれば、n個の間引き論理回路20(20.1、20.2、・・・、20.n)は、夫々と対応するn個のDEMUX(デマルチプレクサ・ユニット)19(19.1、19.2、・・・、19.n)に組み入れても良いことが理解できるであろう。こうした組み込みは、本発明の範囲に含まれると考えられる。
【0040】
n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)の一部又は全部を選択し、選択されたチャンネルについて、対応するメモリ長やサンプリング・レートを指定するために、ユーザは、前面パネル13上のノブやボタン(
図7参照)を操作したり、通信インタフェース14を介してパソコンのような外部の制御装置を操作することで、オシロスコープ100を制御できる。システム・プロセッサ12は、選択要求や指定要求をメモリ割当パラメータ(選択されたチャンネル番号、メモリ長やサンプリング・レートを含む)へ変換し、それらをデータ取込みコントローラ6へ送る。メモリ割当パラメータを受けると、データ取込みコントローラ6は、それらをメモリ割当パラメータ・レジスタ8に記憶させる。
【0041】
別のやり方としては、サンプリング・レートに関するパラメータを、ユーザが設定する代わりに、サンプリング・レート・コントローラ7が自動的に設定するようにもできる。これは、具体的には、サンプリング・レート・コントローラ7が、所定期間中におけるn個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)からの被試験信号の周波数(速度)を検出できるからである。n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)からの被試験信号の周波数(速度)が判明した後、サンプリング・レート・コントローラ7は、チャンネルCH.i(i=1、2、・・・、n)に適したサンプリング・レートを計算し、そのチャンネルに関するサンプリング・レートをメモリ割当パラメータ・レジスタ8に記憶させる。
【0042】
図2Aに示すデジタル・ストレージ・オシロスコープ100の動作においては、必要なメモリ割当パラメータが全てメモリ割当パラメータ・レジスタ8に記憶された後、n個のA/Dコンバータ2(2.1、2.2、・・・、2.n)が、デジタル化したサンプル・データを最高サンプリング・レートでn個の間引き論理回路20(20.1、20.2、・・・、20.n)に夫々供給する。メモリ割当パラメータ・レジスタ8中の情報に基づくサンプリング・レート・コントローラ7の制御に従って、n個の間引き論理回路20(20.1、20.2、・・・、20.n)は、所定期間において、望ましい数のサンプル・データを選択的に選び、対応するn個のDEMUX19(19.1、19.2、・・・、19.n)に供給する一方、残りのサンプル・データは破棄する。選択されていないどのチャンネルについても、そのn個の間引き論理回路20(20.1、20.2、・・・、20.n)の中の対応する間引き論理回路は、受けるサンプル・データの全てを破棄する。続いて、n個のDEMUX19(19.1、19.2、・・・、19.n)は、選ばれたサンプル・データをメモリR/W回路18に送る。メモリ割当パラメータ・レジスタ8中の情報に基づくメモリ割当コントローラ9の制御に従って、メモリR/W回路18は、n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)中の選択されたチャンネルについてのサンプル・データを記憶する。しかし、メモリR/W回路18は、選択されていないチャンネルについてのサンプル・データは記憶しない。
【0043】
図2Bは、本発明の実施形態の別の例による
図1のメモリ割当プロセッサ4’の詳細なブロック図である。
【0044】
図2Bに示すように、メモリ割当プロセッサ4’は、
図2Aに示すメモリ割当プロセッサ4に類似した構造を有するが、
図2Aに示すn個の間引き論理回路20(20.1、20.2、・・・、20.n)が省略される一方、サンプリング・レート・コントローラ7の制御線25がn個のA/Dコンバータ2(2.1、2.2、・・・、2.n)に結合されることで、サンプリング・レート・コントローラ7が、メモリ割当パラメータ・レジスタ8中のサンプリング・レート・パラメータに従って、n個のA/Dコンバータ2(2.1、2.2、・・・、2.n)夫々におけるサンプリング・パルスの発生を直接制御できるようになっている。
【0045】
図2Cは、
図2Bに示すA/Dコンバータ2.i(i=1、2、・・・、n)夫々中の可変サンプリング・パルス発生部40.i(i=1、2、・・・、n)のブロック図である。
図2Cに示すように、サンプリング・パルス発生部40は、一定周波数の基準パルスのストリームを生成する発振回路(又は水晶発振回路)42を含み、その基準パルスのストリームは可変パルス発生部43に加えられる。可変パルス発生部43は、制御コード・レジスタ44を含み、これは、サンプリング・レート・コントローラ7の制御線25からのサンプリング・レート制御コード(つまり、サンプリング・レート パラメータ)をバッファ/記憶する。可変パルス発生部43は、基準パルスの波形を整形し、制御コード・レジスタ44中の制御コードに従ったレートで、サンプリング・パルスを生成する。制御コード・レジスタ44は、サンプリング・レート・コントローラ7からサンプリング・レート制御コードを受ける。サンプリング・パルス発生部40.i(i=1、2、・・・、n)は、出力端子46を通して対応するA/Dコンバータ2.i(i=1、2、・・・、n)にサンプリング・パルスを供給する。
【0046】
図3〜6は、取込みメモリ10中の異なるメモリ割当スキームの本発明の実施形態の例を夫々示す図である。
図3〜6において、メモリ割当スキームの説明を簡単にするため、デジタル・ストレージ・オシロスコープ100は、4チャンネル(n=4)を有するとして説明する。
図3〜6において、破線は、取込みメモリ10中のメモリ割当の境界(つまり、メモリ割当の境界のアドレス)を示す。
【0047】
図3は、全4チャンネル(CH.1、CH.2、CH.3及びCH.4)が選択された場合の例であり、選択された4チャンネルから受ける/取り込まれる4つの信号に対応して、取込みメモリ10が均等に4つのメモリ領域(つまり、4つのメモリ長)に分割/区分されることが示されている。
【0048】
図4は、4チャンネル中の3チャンネル(CH.1、CH.2及びCH.4)が選択された場合の例であり、選択された3チャンネルから受ける/取り込まれる3つの信号に対応して、取込みメモリ10が均等に3つのメモリ領域(つまり、3つのメモリ長)に分割/区分されることが示されている。
図4に示すように、チャンネルCH.3は選択されていない(又は、非アクティブ)なので、データ取込みコントローラ6は、チャンネルCH.3にはメモリ領域を割り当てない。
【0049】
図5は、4チャンネル中の3チャンネル(CH.2、CH.3及びCH.4)が選択された場合の例であり、選択された3チャンネルから受ける/取り込まれる3つの信号について、これら3つの信号の周波数(速度)に比例して、取込みメモリ10が3つのメモリ領域(つまり、3つのメモリ長)に分割/区分されることが示されている。
図5に示すメモリ割当スキームでは、チャンネルCH.3からの信号の周波数(又は速度)は、チャンネルCH.2からの信号のものと比較して2倍高い(又は速い)とし、チャンネルCH.4からの信号の周波数(又は速度)は、チャンネルCH.2からの信号のものと比較して3倍高い(又は速い)としている。従って、チャンネルCH.3に割り当てられるメモリ領域(又はメモリ長)は、チャンネルCH.2に割り当てられるものと比較して2倍大きく、チャンネルCH.4に割り当てられるメモリ領域(又はメモリ長)は、チャンネルCH.2に割り当てられるものと比較して3倍大きくなっている。
図5に示すように、チャンネルCH.1は選択されていない(又は、非アクティブ)なので、データ取込みコントローラ6は、チャンネルCH.1にはメモリ領域を割り当てない。
【0050】
図6は、4チャンネル中の2チャンネル(CH.2及びCH.3)が選択された場合の例であり、選択された2チャンネルから受ける/取り込まれる2つの信号について、これら2つの信号の周波数(速度)に比例して、取込みメモリ10が2つのメモリ領域(つまり、2つのメモリ長)に分割/区分されることが示されている。
図6に示すメモリ割当スキームでは、チャンネルCH.3からの信号の周波数(又は速度)は、チャンネルCH.2からの信号のものと比較して5倍高い(又は速い)としている。従って、チャンネルCH.3に割り当てられるメモリ領域(又はメモリ長)は、チャンネルCH.2に割り当てられるものと比較して5倍大きくなっている。
図6に示すように、チャンネルCH.1及びCH.4は選択されていない(又は、非アクティブ)なので、データ取込みコントローラ6は、チャンネルCH.1及びCH.4にはメモリ領域を割り当てない。
【0051】
図3〜6に示すように、本発明の実施形態では、異なる入力信号を取込み又は測定するn個のチャンネルの任意の選択変更に応じて、取込みメモリのリソースを柔軟に割り当てできる。本発明では、n個のチャンネル中の1チャンネルのみが選択された場合、データ取込みコントローラ6は、選択された1チャンネルに取込みメモリ10中の全メモリ領域を割り当てる。
【0052】
図7は、本発明での実施に適した操作手段を有するマルチ・チャンネル・デジタル・ストレージ・オシロスコープ100の前面パネル700を示している。
図7の前面パネル700の説明を簡単にするため、デジタル・ストレージ・オシロスコープ100は、4チャンネル(n=4)を有するとしている。
【0053】
具体的には、前面パネル700上のオシロスコープの操作手段(ボタンやノブ等のコントロール手段又はコントローラ)は、機能グループ710、720、730、740及び750毎に配置される。機能グループ740及び750は、上位機能グループ760内に一緒に配置される。前面パネル700には、カーソル(CURSORS)及び自動設定(AUTOSET)のような標準的なコントロール・ボタンと、その他のコントロール・ノブが含まれるが、詳しい説明は省略する。機能グループ710には、メニュー選択、チャンネル選択、表示信号波形のスケール(拡大縮小)及び位置(POSITION)を調整するための操作手段が含まれる。機能グループ720には、遅延(DELAY)、解像度(RES.)、レコード長(RECORD LENGTH)及びサンプリング・レートのような取込む信号の時間軸(タイムベース又はインターバル(サンプル間隔))の観点からの操作手段が含まれる。機能グループ730は、表示を制御するためのもので、水平位置(HOR POS)、垂直位置(VERT POS)、水平スケール(HOR SCALE)及び垂直スケール(VERT SCALE)を調整するのための操作手段が含まれる。
【0054】
機能グループ760には、機能グループ740及び750が含まれ、また、オシロスコープがどのように被試験信号の波形サンプルを取り込むかを制御するための操作手段も更にいくつか含まれている。具体的には、オシロスコープの表示画面上に取込みメニュー(Acquire menu)を表示するためのボタンがある。「MODE」と記載された第2のボタンは、「REGULAR MODE(通常モード)」、「DUAL MODE(デュアル・モード)」及び「FastAcq MODE(高速取込みモード)」の中からモードを選択するために設けられる。これらモード凡例の隣りに配置されたインディケータが輝くことで、どのモードが選択されているかが示される。光っているインディケータは、
図7では、網状の陰影パターンで示されている。操作者が、被試験信号を取り込んだ後に、付随的な(2次的な)トリガ・イベントを調査(ポスト取込みサーチ)したいがために、長いデータ・レコードを取り込みたい場合には、DUAL MODE(デュアル・モード)を選択する。このモードでは、第1データ取込みレコード長が最大に設定され、ポスト取込みレコード長(フレーム・サイズ)は、機能グループ720のレコード長コントローラで設定される。機能グループ740は、ポスト取込みイベント・サーチ(Post Acquisition Event Search)を制御するもので、トリガ・イベント基準のリストを含むメニューを表示するためのMENU(メニュー)ボタンを含んでいる。長い長さのデータ・レコードの再生(replay)は、ビデオ・カセット・レコーダ(VCR)のコントローラと形や機能が似ているプッシュ・ボタン・コントローラによって制御される。機能グループ740では、ポスト取込みイベント・サーチがアクティブであるとインディケータが光り、長い長さのデータ・レコードが順方向に再生される。また、機能グループ740は、スクロール(SCROLL)ノブを含み、これによって、再生停止状態にある長いレコード長について、あるイベントから次のイベントまでマニュアルでスクロールさせることができる。機能グループ750には、標準的なトリガ処理に関するコントローラとインディケータがある。
【0055】
前面パネル700上のノブやボタンの操作に応じて、アクティベーション回路(図示せず)が要求/命令(コマンド)を生成し、これらはシステム・プロセッサ12に供給される。要求/命令を受けると、システム・プロセッサ12は、これをサンプリング・データ・プロセッサ3で認識可能な信号に変換する。
【0056】
図8は、前面パネル13、通信インタフェース14又はサンプリング・レート・コントローラ7から受けたメモリ割当パラメータ・レジスタ8中の情報に基いて、選択されたチャンネル番号、サンプリング・レートを含むメモリ割当パラメータを設定し、メモリ領域(つまり、メモリ長及びレコード長)を割当て、サンプル・データを取込みメモリ10中の割り当てられたメモリ領域に記憶するための代表的なフローチャートを示す。
【0057】
ステップ801では、システム・プロセッサ12は、メモリ割当パラメータ・レジスタ8も含めて、マルチ・チャンネル・デジタル・ストレージ・オシロスコープ100を初期状態に設定する。
【0058】
ステップ802では、ユーザが、デジタル・ストレージ・オシロスコープ100にメモリ割当パラメータを入力できる。ユーザは、グループ710中の4つのチャンネル・ボタンCH1、CH2、CH3及びCH4を選択的に押すことで、チャンネルを選択できる。ユーザは、グループ720中のレコード長(Recode Length)ノブを操作し、選択したチャンネルに関するメモリ長(又はレコード長)を指定する。そして、ユーザは、グループ720中のサンプル・レート(Sample Rate)ノブを操作し、選択したチャンネルに関するサンプリング・レートを指定する。これらに代えて、ユーザは、標準的なコマンドを用いて、これらパラメータを通信インタフェース14を介してデジタル・ストレージ・オシロスコープ100に送るようにしても良い。こうした標準的なコマンドの情報をユーザが得るには、デジタル・ストレージ・オシロスコープ100のプログラマ・マニュアルを参照すれば良い。ボタンやノブの操作や通信インタフェース14を介した操作によってアクティブになった信号を受けると、システム・プロセッサ12は、これら信号をメモリ割当パラメータに変換して、データ取込みコントローラ6へと送り、続いて、メモリ割当パラメータをメモリ割当パラメータ・レジスタ8に記憶させる。
【0059】
ステップ804では、データ取込みコントローラ6は、メモリ割当パラメータ・レジスタ8を確認して、ユーザが全てのメモリ割当パラメータを設定したか判断する。ステップ804では、2つの可能性がある。
【0060】
ステップ804において、もしユーザが全てのメモリ割当パラメータ(選択されたチャンネル番号、メモリ長及びサンプリング・レートを含む)を設定していたら、動作はステップ812へと直接進む。
【0061】
ステップ804において、もしユーザがメモリ割当パラメータの全ては設定していなかった場合は、動作はステップ806へと進み、ここで、データ取込みコントローラ6がメモリ割当パラメータ・レジスタ8を確認し、ユーザが複数のメモリ割当パラメータの一部のみを設定したか、又は、有効なメモリ割当パラメータを全く設定していないかを判断する。ステップ806においても、2つの可能性がある。
【0062】
ステップ806において、もしユーザがグループ710中のチャンネル・ボタンを全く操作していないか、又は、通信インタフェース14を介した操作もしていなければ、動作はステップ808へと進み、ここにおいて、デジタル・ストレージ・オシロスコープ100は、n個のチャンネルの全てについて同じサンプリング・レートで、同じメモリ長(又はレコード長)を取込みメモリ10中に割り当てるというノーマル・モードで動作する。
【0063】
ステップ806において、もしユーザがグループ710中のチャンネル・ボタンの一部又は全部を操作しているか、又は、通信インタフェース14を介して操作しているものの、サンプリング・レート又はメモリ長(又はレコード長)が何ら指定されていない場合には、動作はステップ810へと進み、ここにおいて、サンプリング・レート・コントローラ7は、選択されたチャンネルから受けた信号の周波数(又は速度)を検出し、その検出した周波数をデータ取込みコントローラ6に送る。検出された信号の周波数に基づき、データ取込みコントローラ6は、選択されたチャンネルに関する適切なサンプリング・レート及びメモリ長を計算/決定し、決定したサンプリング・レート及びメモリ長をメモリ割当パラメータ・レジスタ8に記憶させる。ある特定の周波数(又は速度)を有する信号について適切なサンプリング・レートを決定することは、当業者には周知のことであるので、適切なサンプリング・レートの計算/決定処理に関する具体的な記述は省略する。続いて、動作は、ステップ812へと進む。
【0064】
ステップ812では、データ取込みコントローラ6が、メモリ割当パラメータ・レジスタ8中の情報に従って、選択されたチャンネルについて、取込みメモリ10を複数のメモリ領域(又はメモリ長)に区分けする。また、データ取込みコントローラ6は、取込みメモリ10のメモリ・サイズ(メモリ容量)、メモリ・シェア(メモリの分け前)M.i(
図9のステップ910参照)に基いて、取込みメモリ10中のメモリ境界(又は、メモリ境界アドレス)を計算(
図3〜6参照)し、これらメモリ境界をメモリ割当パラメータ・レジスタ8に記憶させる。従って、メモリ割当コントローラ9は、メモリ割当パラメータ・レジスタ8中のメモリ割当境界(又はメモリ割当境界アドレス)に従って、サンプル・データを取込みメモリ10に書き込み、また、サンプル・データを取込みメモリ10から読み出すことができる。
【0065】
ステップ814では、
図2Aに示すサンプリング・レート・コントローラ7が、メモリ割当パラメータ・レジスタ8中の情報に基いて、n個のDEMUX19(19.1、19.2、・・・、19.n)の中の選択されたものに対して制御信号を供給し、これによって、n個のDEMUX19(19.1、19.2、・・・、19.n)の中の選択されたDEMUXは、n個のA/Dコンバータ2(2.1、2.2、・・・、2.n)の中の対応するA/Dコンバータから所定期間中に指定されたサンプリング・レートに従って届くサンプル・データを取捨選択する。これに代えて、
図2Bに示すサンプリング・レート・コントローラ7が、メモリ割当パラメータ・レジスタ8中の情報に基いて、n個のA/Dコンバータ2.i(i=1、2、・・・、n)の中の選択されたA/Dコンバータにある可変サンプリング・パルス発生部40に制御信号を供給するので、対応する可変サンプリング・パルス発生部40は、所定期間中に指定されたサンプリング・レートに従ってサンプリング・パルスを生成する。
【0066】
ステップ816では、n個のDEMUX19(19.1、19.2、・・・、19.n)の中の選択されたDEMUXは、
図2Aに示すように、選ばれたサンプル・データをメモリR/W回路18へと通過させる。これに代えて、n個のDEMUX19(19.1、19.2、・・・、19.n)の中の選択されたDEMUXは、
図2Bに示すように、n個のA/Dコンバータ2.i(i=1、2、・・・、n)中の対応するA/Dコンバータからの全サンプル・データをメモリR/W回路18へと通過させる。
【0067】
ステップ818では、メモリR/W回路18が、メモリ割当パラメータ・レジスタ8中の情報に従って、選択されたチャンネルについて、
図2Aに示すようにして選ばれたサンプル・データ(又は、
図2Bに示すサンプル・データ)を指定されたメモリ領域に書き込む。しかし、メモリR/W回路18は、選択されていない(アクティブでない)チャンネルに関するサンプル・データは、全く書き込まない。
【0068】
ステップ820では、データ取込みコントローラ6が、メモリ割当パラメータ・レジスタ8中のパラメータを、表示プロセッサ5中の表示コントローラ11に送り、表示コントローラ11は、続いて、パラメータを表示パラメータ・レジスタ15に記憶させる。データ取込みコントローラ6の制御の下で、メモリR/W回路18は、取込みメモリ10中のサンプル・データを波形プロセッサ24に送り、続いて、波形プロセッサ24は、選択されたチャンネル番号、メモリ長(又はレコード長)やサンプリング・レートを含む表示パラメータ・レジスタ15中の情報に従って、サンプル・データを処理し、処理済みサンプル・データを表示バッファ16に記憶させる。
【0069】
取込みメモリ10中の全サンプル・データを送り出した後であれば、サンプリング・データ・プロセッサ3は、選択されたチャンネルからのサンプル・データの次のグループをいつでも取り込みでき、また、後続のサンプル・データを取込みメモリ10に記憶させることができる。
【0070】
ステップ822では、表示コントローラ11が、サンプル・データを表示デバイス14上に波形形式で表示させる。
【0071】
もしn個のチャンネル中の1個だけが選択された場合では、データ取込みコントローラ6は、取込みメモリ10中の全メモリ・リソースを、その選択された1チャンネルに割り当てる。
【0072】
図9は、n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)の中の選択されたチャンネルについて受けた信号の周波数(又は速度)又は指定されたサンプリング・レートに基いて、取込みメモリ10内のメモリ領域を割当てる本発明の実施形態例によるアルゴリズムの代表的なフローチャートを示す。説明を簡単にするため、n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)全てが選択され、また、サンプリング・レートに関するパラメータは、既にメモリ割当パラメータ・レジスタ8中に記憶されているものとする。しかし、この原理は、n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)の一部のみが選択されている状況においても適用可能である。
【0073】
ステップ902において、データ取込みコントローラ6は、メモリ割当パラメータ・レジスタ8中のn個のチャンネルに関するサンプリング・レートについてのパラメータ(S.1、S.2、・・・、S.n)を確認する。
【0074】
ステップ904では、データ取込みコントローラ6が、S.min=Minimum(S.1、S.2、・・・、S.n)で示される式に従って、n個のサンプリング・レートS.1、S.2、・・・、S.n中の最小値S.mを選択する。ステップ906では、データ取込みコントローラ6が、n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHnについて、メモリの基底アドレスB.i(i=1、2、・・・、n)を次式のように計算する。Integerは、得られた数値の整数部分のみを出力する関数である。
B.i=Integer [S.i/S.min] (i=1、2、・・・、n)
【0075】
ステップ908では、データ取込みコントローラ6が、次式のようにメモリの全部の基底アドレスB.i(i=1、2、・・・、n)を一緒に加算することによって、n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)についてのメモリの基底(base:ベース)アドレスの合計Tを計算する。
T=B.1+B.2+・・・+B.n
【0076】
ステップ910では、データ取込みコントローラ6が、n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)夫々についてのn個のメモリ・シェアM.i(i=1、2、・・・、n)を次式のように計算する
M.i=B.i/T (i=1、2、・・・、n)
【0077】
ステップ912では、データ取込みコントローラ6が、n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)についてのメモリ・シェアM.i(i=1、2、・・・、n)を、これらのメモリ・シェアに従って昇順(小さい順)に並び替え、最大のメモリ・シェアM.maxと、これに対応するチャンネルCH.maxを得る。
【0078】
ステップ914では、データ取込みコントローラ6が、次式で示されるように、n個のチャンネル(CH1、CH2、・・・、CHn)についてのn個のメモリ長(又はレコード長)L.i(i=1、2、・・・、n)に取込みメモリ10を区分けし、チャンネルCH.maxを除くn−1個のチャンネルについて、メモリ・リソースを割り当てる。
L.i=メモリ・サイズ×M.i(i=1、2、・・・、n)
【0079】
ステップ916では、n−1個のチャンネルについてメモリ長(又はレコード長)を割り当てた後、データ取込みコントローラ6が、残りのメモリ長(又は残りのレコード長)をチャンネルCH.maxに割り当てる。CH.maxに最後にメモリ長(又はレコード長を割り当てることによって、取込みメモリ10中のメモリ・リソースを過不足なく割り当てることが可能になることに注意されたい。
【0080】
本発明の取込みアーキテクチャは、入力チャンネルの選択、メモリ領域(又はメモリ長)やサンプリング・レートの指定に基いて、ダイナミック且つ軽重をつけて取込みメモリのリソースを割当てできるものであることが理解できよう。特に、本発明による信号取込みアーキテクチャは、選択されたチャンネルの夫々が異なる被試験信号をを取込み/測定する場合であっても、選択されたチャンネルに対して、効率的かつ柔軟に取込みメモリのリソースを割り当てる。このように、本発明による信号取込みアーキテクチャは、異なる入力信号を取込み又は測定するn個のチャンネルの選択をどのように変更したときでも、柔軟に取込みメモリのリソースを割り当てる。ただし、対照的に、複数チャンネル間で取込みメモリを共用するインタリーブ技術を用いることには柔軟性がない。例えば、ユーザが3つの入力信号を測定したい場合に、選択されたアクティブな3チャンネル間で第4チャンネルに割当てられたメモリを均等にしたり、軽重を付けたりして共用することはできない。
【0081】
加えて、本発明による信号取込みアーキテクチャは、被試験入力信号の周波数(又は速度)に基いて、取込みメモリのリソースを効率よく割り当てることができる。
【0082】
本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、多様な変形が可能なことは明らかであろう。