特許第6174325号(P6174325)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174325
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20170724BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20170724BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170724BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20170724BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   A61K8/41
   A61K8/81
   A61K8/34
   A61K8/86
   A61Q19/00
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-4218(P2013-4218)
(22)【出願日】2013年1月15日
(65)【公開番号】特開2013-166746(P2013-166746A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2015年12月11日
(31)【優先権主張番号】特願2012-10450(P2012-10450)
(32)【優先日】2012年1月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】長澤 真木
(72)【発明者】
【氏名】堀住 輝男
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−126809(JP,A)
【文献】 特開2001−139453(JP,A)
【文献】 特表2004−517914(JP,A)
【文献】 特開2001−206814(JP,A)
【文献】 特表2010−540457(JP,A)
【文献】 特開2001−081012(JP,A)
【文献】 特開2011−153079(JP,A)
【文献】 特開2003−104877(JP,A)
【文献】 特開2007−169419(JP,A)
【文献】 特開2011−126844(JP,A)
【文献】 特開2010−100564(JP,A)
【文献】 International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association,2004年,Tenth Edition, Volume 1,p. 32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/KOSMET/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)並びに(E)
(A)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.01質量%以上5質量%以下、
(B)アクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、メタクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニルポリマー及び酢酸ビニル・アクリル酸アルキル共重合体から選ばれる1種又は2種以上の水不溶性高分子 0.005質量%以上5質量%以下、
(C)炭素数3〜8の多価アルコール及びその重合体から選ばれる1種又は2種以上 0.1質量%以上20質量%以下、
(D)水
(E)分子量が400〜100000のポリエチレングリコール 0.1質量%以上7質量%以下
を含有する、化粧水又は乳液である化粧料組成物。
【請求項2】
成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))が、0.02以上50以下である請求項1記載の化粧料組成物。
【請求項3】
成分(B)の水不溶性高分子が、アクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、メタクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載の化粧料組成物。
【請求項4】
成分(B)の水不溶性高分子が、アクリル酸アルキル共重合体である請求項1〜3のいずれか1項記載の化粧料組成物。
【請求項5】
成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))が、0.5以上200以下である請求項1〜5のいずれか1項記載の化粧料組成物。
【請求項6】
さらに、(F)グリチルリチン酸ジカリウムを含有する請求項1〜のいずれか1項記載の化粧料組成物。
【請求項7】
さらに、(G)揮発性シリコーン油を含有する請求項1〜のいずれか1項記載の化粧料組成物。
【請求項8】
さらに、(H)炭化水素油及び(I)エステル油から選ばれる1種又は2種以上の油剤を含有する請求項1〜のいずれか1項記載の化粧料組成物。
【請求項9】
さらに、(J)非イオン界面活性剤を含有する請求項1〜のいずれか1項記載の化粧料組成物。
【請求項10】
顔の肌用の化粧水又は乳液である請求項1〜のいずれか1項記載の化粧料組成物。
【請求項11】
成分(B)が、水に分散させた、平均粒子径25〜500nmのエマルションの形態である請求項1〜10のいずれか1項記載の化粧料組成物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項記載の化粧料組成物を顔に塗布する、皮脂による顔のテカリや、落屑を抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に塗布して使用される化粧料には、塗布時ののびを容易にするために水溶性高分子等の増粘剤が配合されたものや、保湿成分としてグリセリン等の多価アルコール類やワセリン等の油剤が配合されたものがある。このような成分を含有する従来の化粧料は、塗布後、皮脂が分泌されるにつれ、皮脂によるテカリが肌に生じ、好ましくない外見になってしまうという問題があった。
【0003】
このような皮脂によるテカリを抑制するために、種々の検討がなされており、例えば、特許文献1には、疎水性吸油粉体、アルキル変性カルボキシビニルポリマー及び塩基性物質を含有するジェル状化粧料が記載されている。また、特許文献2には、二塩基酸のエステルと、シリカやアクリル樹脂等の球状粉体を含有し、二塩基酸が皮脂と相溶し、皮脂の表面張力を低下させることで皮脂ムラをなくし、球状粉体の光拡散効果によって皮脂のテカリを目立たないものとする皮膚外用剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−249543号公報
【特許文献2】特開2006−63032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される化粧料では、皮脂によるテカリは抑制されるものの、肌の落屑が改善されず、かえって目立ってしまうという課題がある。また、特許文献2に記載の皮膚外用剤のように、視覚的に皮脂のテカリを目立たなくしても、落屑を改善することは困難であり、また、テカリ抑制効果の持続性にも課題がある。
ここで、落屑のある肌とは、肌が白く粉をふいたようになっており、角質がめくれあがった外観、角質が毛羽立った外観をいい、皮脂によるテカリとは、肌の表面を皮脂が覆い、肌がべたべたした状態で、油っぽい外観をいい、いずれも一般的には好ましい外観ではない。
【0006】
本発明は、皮脂によるテカリの発生を長期間抑制し、しかも肌の落屑を改善し、清潔感のある好ましい肌の外観を実現できる化粧料組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと、特定の水不溶性高分子、水、及び多価アルコールを含有する化粧料組成物が、肌に塗布することによって、皮脂によるテカリの発生を長期間抑制し、しかも肌の落屑を改善し、清潔感のある好ましい肌の外観を実現できることを見出した。
【0008】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)並びに(D):
(A)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.01質量%以上5質量%以下、
(B)アクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、メタクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニルポリマー及び酢酸ビニル・アクリル酸アルキル共重合体から選ばれる1種又は2種以上の水不溶性高分子 0.005質量%以上5質量%以下、
(C)炭素数3〜8の多価アルコール及びその重合体から選ばれる1種又は2種以上 0.1質量%以上20質量%以下、
(D)水
を含有する化粧料組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧料組成物は、肌に塗布すると、皮脂によるテカリの発生を長時間抑制し、しかも肌の落屑を改善し、清潔感のある好ましい肌の外観を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いる成分(A)のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールである。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは、緩衝剤として広く知られている。
本発明においては、成分(A)を後述する成分(B)と併用することによって、化粧料組成物を塗布した肌の皮脂によるテカリを抑制しつつ、肌の落屑を防止することができる。
【0011】
本発明の化粧料組成物における成分(A)の含有量は、塗布直後のべたつきを抑制しつつ、皮脂によるテカリを抑制し、肌の落屑を防止する点から、全組成中に0.01質量%以上であり、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、5質量%以下であり、2.5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.01質量%以上5質量%以下であり、0.05質量%以上2.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい。
【0012】
成分(B)の水不溶性高分子は、マスカラや整髪料に配合される皮膜形成高分子として知られているものである(例えば、特開2008−63283号公報)。本発明においては、成分(A)との併用によって、皮脂によるテカリを抑制し、肌の落屑を防止し、しかも前記のテカリを抑制する効果と肌の落屑を防止する効果を持続することができる。
【0013】
成分(B)の水不溶性高分子は、アクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、メタクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニルポリマー及び酢酸ビニル・アクリル酸アルキル共重合体から選ばれる1種又は2種以上であって、メタクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、アクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体及びアクリル酸アルキル・スチレン共重合体から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、アクリル酸アルキル共重合体から選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
【0014】
アクリル酸アルキル・スチレン共重合体としては、(スチレン/アクリル酸アルキル)共重合体アンモニウムが好ましく、市販品としては、ヨドゾールGH41F(アクゾノーベル社製)を用いることができる。
酢酸ビニル・アクリル酸アルキル共重合体は、市販品としては、ビニゾール2140L(大同化成工業社製)を用いることができる。
メタクリル酸アルキル共重合体としては、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体が好ましく、市販品としては、ダイトゾール5000AD(大東化成工業社製)を用いることができる。
アクリル酸アルキル共重合体としては、アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体が好ましく、アクリレート/エチルヘキシルアクリレート共重合体がより好ましく、市販品としては、ダイトゾール5000SJ(大東化成工業社製)を用いることができる。アクリル酸アルキル共重合体の市販品としては、さらに、ヨドゾールGH34F(アクゾノーベル社製)、ヨドゾールGH800F(アクゾノーベル社製)が挙げられる。
【0015】
成分(B)の水不溶性高分子は、水に分散させたエマルション(ラテックス)の形態で、化粧料組成物に配合することが、化粧料組成物中への分散性、落屑防止及び使用感の点から好ましい。エマルション全量中の水不溶性高分子の含有量は、固形分として(樹脂分として)20〜60質量%が好ましく、25〜55質量%がより好ましく、エマルション中の成分(B)の平均粒子径が25〜500nmであることが好ましく、より好ましくは50〜300nmである。
前記平均粒子径は、水に分散させた状態、湿潤状態における平均粒子径である。平均粒子径の測定は、25℃において、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所社製)を用い、レーザー回折/散乱法により粒度分布測定法で行われる。成分(B)の水不溶性高分子は、水に粒状で分散しており、例えば成分(B)の濃度が40〜50質量%のエマルションは、不透明又は半透明となる。
【0016】
本発明の化粧料組成物における成分(B)の含有量は、皮脂によるテカリを抑制しつつ肌の落屑を防止する点から、固形分として(樹脂分として)、全組成中に0.005質量%以上5質量%以下であって、さらに肌の落屑を防止する効果を向上しつつ、塗布直後のべたつきを抑制する点から、0.02質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、2.5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、固形分として(樹脂分として)、全組成中に0.02質量%以上2.5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上1質量%以下がより好ましい。
【0017】
本発明の化粧料組成物において、成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))は、皮脂によるテカリを抑制し、肌の落屑を防止する点から、0.02以上50以下が好ましく、さらに皮脂によるテカリを抑制する効果を向上し、塗布直後のべたつきを抑制する点から、0.05以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましい。また、成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))は、0.05以上20以下がより好ましく、0.05以上10以下がさらに好ましく、0.1以上10以下がよりさらに好ましい。
【0018】
本発明の化粧料組成物は、皮脂によるテカリを抑制し肌の落屑を防止する効果を向上するため、(C)炭素数3〜8の多価アルコール及びこれらの重合体から選ばれる1種又は2種以上を含有する。
成分(C)としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ソルビトール及びこれらの重合体から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0019】
本発明の化粧料組成物における成分(C)の含有量は、全組成中に0.1質量%以上であり、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、20質量%以下であり、15質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に0.1質量%以上20質量%以下であり、1質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上8質量%以下がより好ましい。
【0020】
本発明の化粧料組成物において、成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))は、皮脂によるテカリを抑制しつつ、肌の落屑を防止する効果を向上する点から、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、200以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下がさらに好ましい。また、成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))は、0.5以上200以下が好ましく、1以上100以下がより好ましく、3以上50以下が更に好ましい。
【0021】
本発明の化粧料組成物は、(D)水を含有する。(D)水は、本発明の化粧料組成物の媒体であり、みずみずしい使用感を得る点、塗布直後のべたつきを低減する点から、化粧料組成物中の含有量は、全組成中に50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、更に94質量%以下がより好ましい。また、成分(D)の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、60質量%以上98質量%以下がより好ましく、60質量%94質量%以下が更に好ましい。
【0022】
本発明の化粧料組成物は、皮脂によるテカリを抑制する効果や肌の落屑を防止する効果を持続させるため、さらに、(E)ポリエチレングリコールを含有することができる。成分(E)は、分子量400〜100000のポリエチレングリコールが好ましく、25℃で固体の分子量1500〜20000のポリエチレングリコールがより好ましい。
本発明の化粧料組成物における成分(E)の含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。また、成分(E)の含有量は、全組成中に0.1質量%以上7質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0023】
本発明の化粧料組成物は、皮脂によるテカリを抑制し肌の落屑を防止する効果をさらに向上するため、さらに、(F)グリチルリチン酸ジカリウムを含有することができる。
本発明の化粧料組成物における成分(F)の含有量は、全組成中に0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。また、成分(F)の含有量は、全組成中に0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。
【0024】
本発明の化粧料組成物において、成分(A)と成分(F)の質量比((A)/(F))は、皮脂によるテカリを抑制しつつ、肌の落屑を防止する効果を向上する点から、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、5000以下が好ましく、200以下がより好ましく、10以下が更に好ましいく、5以下がより更に好ましい。また、成分(A)と成分(F)の質量比((A)/(F))は、0.01以上5000以下が好ましく、0.05以上200以下がより好ましく、0.1以上10以下が更に好ましく、0.1以上5以下がより更に好ましい。
【0025】
本発明の化粧料組成物は、皮脂によるテカリを抑制し肌の落屑を防止する効果をさらに向上するため、さらに、(G)揮発性シリコーン油を含有することができる。
ここで、揮発性シリコーンとは、以下の方法により測定される、25℃、6時間での蒸発量が20%以上のものをいう。
(測定方法)
1.直径120mmのガラス製シャーレの中に、直径90mmの濾紙を入れ、サンプルを1gのせる。
2.25℃、65%RHの室内にて保つ。
3.6時間後のサンプルの残留物を測定する。
【0026】
このような揮発性シリコーンとしては、例えば、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−[(トリメチルシリル)オキシ]−トリシロキサン等が挙げられる。
また、これらの揮発性シリコーンとしては、KF−96A−1cs(信越化学社製、オクタメチルトリシロキサン)、KF−96A−1.5cs(信越化学社製、デカメチルテトラシロキサン)、KF−96A−2cs(信越化学社製、ドデカメチルペンタシロキサン)、KF−995(信越化学社製、デカメチルシクロペンタシロキサン)、TMF−1.5(信越化学社製、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−[(トリメチルシリル)オキシ]−トリシロキサン)、SH200C Fluid 1cs(東レ・ダウコーニング社製、オクタメチルトリシロキサン)、SH200C Fluid 1.5cs(東レ・ダウコーニング社製、デカメチルテトラシロキサン)、SH200C Fluid 2cs(東レ・ダウコーニング社製、ドデカメチルペンタシロキサン)、SH245 Fluid(東レ・ダウコーニング社製、デカメチルシクロペンタシロキサン)、TSF405(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、デカメチルシクロペンタシロキサン)等の市販品を使用することができる。
【0027】
本発明の化粧料組成物における成分(G)の含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。また、成分(G)の含有量は、全組成中に0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、2質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
【0028】
本発明の化粧料組成物は、皮脂によるテカリを抑制し肌の落屑を防止する効果をさらに向上するため、(H)炭化水素油及び(I)エステル油から選ばれる1種又は2種以上の油剤を含有することができる。皮脂によるテカリは、油っぽさによるものであるが、成分(A)、(B)、(C)及び(D)と、(H)炭化水素油及び(I)エステル油から選ばれる1種又は2種以上の油剤とを併用することによって、全く意外にも皮脂によるテカリを抑制する効果が向上し、肌の落屑も防止することができる。
【0029】
成分(H)の炭化水素油は、25℃で液状の炭化水素油が好ましく、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、スクワレンから選ばれる1種又は2種以上の炭化水素油が好ましい。
【0030】
成分(I)のエステル油は、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、及び(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルから選ばれる1種又は2種以上のエステル油が好ましい。成分(I)のエステル油は、25℃で液状のエステル油が好ましく、具体的には、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、エルカ酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、使用感の点から、ミリスチン酸イソプロピル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールから選ばれる1種又は2種がさらに好ましい。
なお、(I)エステル油は、上記エステル油を含むオリーブ油、ヤシ油、ヒマシ油、ひまわり油、小麦胚芽油、アマニ油、ホホバ油、ヤシ油等の植物油を含有することもできる。
【0031】
本発明の化粧料組成物における成分(H)及び成分(I)の含有量は、全組成中に合計で0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上3質量%以下がより好ましい。
【0032】
本発明の化粧料組成物は、皮脂によるテカリを抑制し肌の落屑を防止する効果をさらに向上するため、(J)非イオン界面活性剤を含有することができる。
成分(J)は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド及びアルキルグルコシドから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましい。
【0033】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、ポリオキシエチレン付加のものが好ましく、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、及びポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−6、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−10、オレイン酸ポリグリセリル−2から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、及びテトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
成分(J)は、さらに皮脂によるテカリを抑制し肌の落屑を防止する効果を向上する点から、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル及びジイソステアリン酸ジグリセリルから選ばれる1種又は2種が好ましい。
【0034】
本発明の化粧料組成物における成分(J)の含有量は、皮脂によるテカリの抑制と肌の落屑の防止する効果を向上する点、使用感の点から、全組成中に0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上3質量%以下がより好ましい。
【0035】
本発明の化粧料組成物は、成分(A)、(B)、(C)及び(D)を含有することにより、皮脂によるテカリを防止し、(H)炭化水素油及び(I)エステル油から選ばれる油剤を併用しても皮脂によるテカリを抑制し、しかも、皮脂によるテカリを抑制する効果と肌の落屑を防止する効果を長時間にわたって持続することができる。
さらに、本発明の化粧料組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、成分(G)、(H)及び(I)以外の他の油剤を含有することができる。他の油剤としては、コレステロール、ジヒドロコレステロール、フィトステロール等のコレステロール;セタノール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ジメチコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン油などが挙げられる。
成分(G)、(H)及び(I)以外の他の油剤の含有量の合計は、全組成中に0.01質量%以上15質量%以下が好ましく、0.05質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がさらに好ましい。
【0036】
本発明の化粧料組成物は、安定性の点から、さらに、水溶性高分子を含有することが好ましい。水溶性高分子は、天然高分子、半合成高分子、合成高分子のいずれでも使用することができる。
天然高分子の例としては、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸等が挙げられる。半合成多糖系高分子としては、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カチオン化セルロース等の変性多糖類が挙げられる。合成高分子としてはカルボマー(架橋ポリアクリル酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体等のアクリル系ポリマー;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カチオン化ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらのうち、カルボマー、アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムから選ばれる1種以上が好ましい。
【0037】
カルボマーの市販品としては、カーボポール910、カーボポール934、カーボポール940、カーボポール941、カーボポール980、カーボポール981(以上Lubrizol Advanced Materials,Inc.製)等が、アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体の市販品としては、カーボポール1382、カーボポールETD2020、PEMULEN TR−1、PEMULEN TR−2(以上、Lubrizol Advanced Materials,Inc.製)等が、ヒドロキシプロピルセルロースの市販品としては、HPC−M、HPC−H(日本曹達製)等が、カルボキシメチルセルロースナトリウムの市販品としては、CMCダイセル(ダイセル化学工業製)等が挙げられる。
水溶性高分子の化粧料組成物における含有量は、組成物の安定性の点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、塗布直後のべたつき感低減の点から、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。
【0038】
本発明の化粧料組成物には、上記成分以外に、本発明の効果を害さない範囲で、エタノール、成分(C)、(E)、(H)及び(I)以外の保湿成分、pH調整剤、紫外線吸収剤、制汗剤、香料等、必要に応じて通常化粧料に配合される成分を配合してもよい。
【0039】
成分(C)、(E)、(H)及び(I)以外の保湿成分としては、乳酸、アミノ酸類、N−アミジノ−L−プロリン、セラミドなどが挙げられる。
【0040】
pH調整剤としては、通常化粧料に用いられる酸成分、塩基成分が挙げられる。
かかる酸成分の具体例としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸等のヒドロキシ酸類、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸類、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等のジカルボン酸類、塩酸、リン酸等の無機酸類等が挙げられる。
【0041】
pH調整剤としての塩基成分の具体例としては、アルカリ金属炭酸塩、水酸化アルカリ金属等、アンモニア等の無機塩基類、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール等のアルカノールアミン類等が挙げられる。
本発明の化粧料組成物は、pH4〜8であるのが好ましく、pH5〜7がより好ましい。なお、pHは、25℃において、希釈せずに測定されるものである。
【0042】
本発明の化粧料組成物は、化粧水又は乳液の形態であるのが好ましく、通常の方法に従って製造することができる。
本発明の化粧料組成物は、手にとって顔に直接塗布することができ、又は織物や不織布等のシート基材に含ませて塗布することができる。本発明の化粧料組成物は、皮脂によるテカリや肌の落屑を防止する効果を奏する点から、顔の肌に用いるのに好適である。顔の肌用の化粧水又は乳液がより好ましい。
また、本発明の化粧料組成物は、洗顔後の顔の肌に用いることが好ましい。
本発明の化粧料組成物は、肌に塗布することにより、皮脂による顔のテカリや、落屑を抑制することができる。更には、ニキビ防止効果にも有効である。
【0043】
本発明の化粧料組成物は、化粧水又は乳液の組成物とし、シート基材に含浸させてシート状化粧料として用いることもできる。シート基材としては、天然繊維の不織布及び織布、合成繊維の不織布及び織布、両者を混合した不織布及び織布のいずれをも使用することができる。シート基材は、レーヨン、アセテート、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、コットン、キュプラ及びこれらを混綿したものの不織布又は織布、さらに湿式又は乾式で製造されたパルプシート、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)で強化したパルプシートから選ばれるものが好ましい。この中でも使用感及び有効成分の肌への移行性に優れる点で、パルプ、レーヨン、リヨセル、コットン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、キュプラから選ばれる成分を1種または2種以上含むシート基材が好ましい。
【0044】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。また、本発明の化粧料組成物は、皮脂によるテカリ抑制剤として使用できる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の組成物、製造方法、用途を開示する。
【0045】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)並びに(D):
(A)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.01質量%以上5質量%以下、
(B)アクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、メタクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニルポリマー及び酢酸ビニル・アクリル酸アルキル共重合体から選ばれる1種又は2種以上の水不溶性高分子 0.005質量%以上5質量%以下、
(C)炭素数3〜8の多価アルコール及びその重合体から選ばれる1種又は2種以上 0.1質量%以上20質量%以下、
(D)水
を含有する化粧料組成物。
【0046】
<2>成分(A)と成分(B)の質量比((A)/(B))は、好ましくは0.02以上50以下であって、0.05以上20以下がより好ましく、0.05以上10以下がさらに好ましく、0.1以上10以下がよりさらに好ましい前記<1>記載の化粧料組成物。
<3>成分(B)の水不溶性高分子は、好ましくは、アクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、メタクリル酸アルキルのホモポリマー又は共重合体、アクリル酸アルキル・スチレン共重合体から選ばれる1種又は2種以上である前記<1>又は<2>記載の化粧料組成物。
<4>成分(B)の水不溶性高分子は、好ましくは、アクリル酸アルキル共重合体である前記<1>〜<3>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<5>成分(B)の水不溶性高分子は、好ましくは、(スチレン/アクリル酸アルキル)共重合体アンモニウム、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体及びアクリレート/エチルヘキシルアクリレート共重合体から選ばれる1種又は2種以上である前記<1>〜<4>のいずれか1記載の化粧料組成物。
【0047】
<6>成分(A)の含有量は、好ましくは0.05質量%以上2.5質量%以下であって、0.1質量%以上1質量%以下がより好ましい前記<1>〜<5>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<7>成分(B)の含有量は、好ましくは、固形分として0.02質量%以上2.5質量%以下であって、0.05質量%以上1質量%以下がより好ましい前記<1>〜<6>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<8>成分(C)は、好ましくは、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ソルビトール及びこれらの重合体から選ばれる1種又は2種以上である前記<1>〜<7>のいずれか1記載の化粧料組成物。
【0048】
<9>成分(C)と成分(B)の質量比((C)/(B))は、好ましくは0.5以上200以下であって、1以上100以下がより好ましく、3以上50以下が更に好ましい前記<1>〜<8>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<10>成分(C)の含有量は、好ましくは1質量%以上15質量%以下であって、3質量%以上8質量%以下がより好ましい前記<1>〜<9>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<11>成分(D)の含有量は、好ましくは50質量%以上99質量%以下であって、60質量%以上98質量%以下がより好ましく、60質量%以上94質量%以下が更に好ましい前記<1>〜<10>のいずれか1記載の化粧料組成物。
【0049】
<12>さらに、(E)分子量が400〜100000のポリエチレングリコールを含有し、好ましくは分子量が1500〜20000のポリエチレングリコールを含有する前記<1>〜<11>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<13>成分(E)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上7質量%以下であって、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい前記<12>記載の化粧料組成物。
【0050】
<14>さらに、(F)グリチルリチン酸ジカリウムを含有する前記<1>〜<13>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<15>成分(F)の含有量は、好ましくは0.001質量%以上1質量%以下であって、0.01質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい前記<14>記載の化粧料組成物。
<16>さらに、(G)揮発性シリコーン油を含有する前記<1>〜<15>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<17>成分(G)の含有量は、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であって、1質量%以上15質量%以下がより好ましく、2質量%以上10質量%以下が更に好ましい前記<16>記載の化粧料組成物。
【0051】
<18>(H)炭化水素油及び(I)エステル油から選ばれる1種又は2種以上の油剤を含有する前記<1>〜<17>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<19>成分(H)及び(I)の合計含有量は、好ましくは、合計で0.01質量%以上5質量%以下であって、0.05質量%以上3質量%以下がより好ましい前記<18>記載の化粧料組成物。
<20>さらに、(J)非イオン界面活性剤を含有する前記<1>〜<19>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<21>成分(J)の含有量が、好ましくは0.001質量%以上5質量%以下であって、0.01質量%以上3質量%以下がより好ましい前記<20>記載の化粧料組成物。
<22>成分(A)と成分(F)の質量比((A)/(F))は、好ましくは0.01以上5000以下であって、0.05以上200以下がより好ましく、0.1以上10以下が更に好ましく、0.1以上5以下がより更に好ましい前記<14>〜<21>のいずれか1記載の化粧料組成物。
【0052】
<23>顔の肌用の化粧水又は乳液である前記<1>〜<22>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<24>成分(B)として、平均粒子径25〜500nmのエマルションを配合することにより得られる前記<1>〜<23>のいずれか1記載の化粧料組成物。
<25>皮脂によるテカリ抑制剤製造のための前記<1>〜<24>のいずれか1記載の化粧料組成物の使用。
<26>前記<1>〜<24>のいずれか1記載の化粧料組成物の顔の肌の皮脂によるテカリ抑制のための使用。
<27>前記<1>〜<24>のいずれか1記載の化粧料組成物を顔に塗布する、皮脂による顔のテカリや落屑を抑制する方法。
【実施例】
【0053】
実施例1〜30、比較例1〜4
表1〜表4に示す組成の化粧料組成物を製造し、塗布してから3時間後及び6時間後のテカリのなさ、塗布直後の落屑のなさ、塗布6時間後の落屑のなさ及び塗布直後のべたつきのなさを評価した。結果を表1〜表4に併せて示す。
なお、実施例4は参考例であって、本発明に含まれるものではない。
【0054】
(製造方法)
成分(B)、(G)、(H)及び(I)以外の成分を成分(D)に均一に混合した後、成分(H)、(I)、(G)及び(B)を順次添加して混合し、化粧料組成物を得た。
すなわち、本発明の化粧料組成物の製造方法は、成分(B)、(G)、(H)及び(I)以外の成分を成分(D)に混合する工程の後に、成分(B)、(G)、(H)及び(I)を添加して混合する工程を備える。
【0055】
(評価方法)
素顔の(化粧をしていない)専門のパネラー3人が、水と「メンズビオレ ディープオイルクリア洗顔料」(花王社製)を使って洗顔後、タオルドライした後に、各化粧料組成物を約1.0mL手にとり、顔全体の肌に手で塗布し、塗布してから3時間後及び6時間後のテカリのなさ、塗布直後の落屑のなさ、及び塗布6時間後の落屑のなさを目視により、塗布直後のべたつきのなさを手及び顔の肌の感触により、以下の基準に従って評価した。各項目について、専門パネラー3人の評価結果の合計値を計算し、その合計値を表1及び表2に示す。なお、専門パネラー3人は、評価前において、顔の肌に落屑があることを視認できる者であって、各自が皮脂分泌の課題があると認識のある者である。
【0056】
(1)塗布してから3時間後及び6時間後のテカリのなさ:
5:全くテカっていない。
4:あまりテカっていない。
3:部分的にはややテカっている。
2:テカっている。
1:とてもテカっている。
【0057】
(2)塗布直後の落屑のなさ:
5:落屑が改善され、落屑が認められない。
4:落屑がやや改善され、落屑がほとんど認められない。
3:化粧料組成物の塗布前とかわらない。
2:落屑がややめだつ。
1:落屑がとても目立つ。
【0058】
(3)塗布6時間後の落屑のなさ:
5:落屑が認められない。
4:落屑がほとんど認められない。
3:化粧料組成物の塗布前とかわらない。
2:落屑がややめだつ。
1:落屑がとても目立つ。
【0059】
(4)塗布直後のべたつきのなさ:
5:べたつかない。
4:あまりべたつかない。
3:どちらともいえない。
2:ややべたつく。
1:べたつく。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
なお、表中の記載は、それぞれ以下を示す。
*1)アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体エマルション:ダイトゾール5000SJ(大東化成工業社製)、平均粒子径120nm
*2)ポリオキシエチレンイソセチルエーテル(20E.O.):エマルゲン1620G(花王社製)
*3)ジイソステアリン酸ジグリセリル:コスモール42V(日清オイリオグループ社製)
*4)多孔質ビニル系ポリマー:特開昭63-316715号公報、合成例2に記載の疎水性吸油粉体
*5)ポリエチレングリコール:PEG−1540(三洋化成社製)、平均分子量:1540
*6)ドデカメチルペンタシロキサン:KF−96A−2cs(信越化学社製)
*7)デカメチルシクロペンタシロキサン:SH245 Fluid(東レ・ダウコーニング社製)
*8)ミリスチン酸イソプロピル:エキセパールIPM(花王社製)
【0065】
実施例1〜30の化粧料組成物はいずれも、皮脂によるテカリが抑制されるとともに、落屑の改善効果も認められ、テカリがないため、清潔感のある好ましい肌の外観が得られた。
これに対し、本発明の成分(B)を含有しない比較例1、成分(A)と成分(B)を含有しない比較例3は、皮脂によるテカリの抑制効果、落屑の改善効果は、塗布直後も効果が低く、6時間後には皮脂によるテカリと肌の落屑の両方が認められた。また、本発明の成分(A)を含有しない比較例2は、皮脂によるテカリを抑制する効果は得られず、塗布直後の落屑の改善効果は認められたものの、塗布から6時間後には落屑が認められ、落屑防止効果も持続性に欠けるものであった。さらに、本発明の成分(A)及び(B)を含有せず、疎水性吸油粉体を含有する比較例4は、皮脂によるテカリの抑制効果には優れるものの、落屑が目立つことが認められた。
【0066】
実施例31及び32
表1〜表4の組成物と同様にして、表5に示す組成の化粧料組成物を製造し、塗布直後の落屑のなさと塗布直後のべたつきのなさを評価した。結果を表5に示す。表5に示す組成についても、皮脂によるテカリが抑制される。
【0067】
【表5】
【0068】
なお、表中の記載は、それぞれ以下を示す。
*1)アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体エマルション:ダイトゾール5000SJ(大東化成工業社製)、平均粒子径120nm
*2)ポリオキシエチレンイソセチルエーテル(20E.O.):エマルゲン1620G(花王社製)
*5)ポリエチレングリコール:PEG−1540(三洋化成社製)、平均分子量1540
*8)ミリスチン酸イソプロピル:エキセパールIPM(花王社製)
*9)アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション:ヨドゾールGH41F(アクゾノーベル社製)、平均粒子径110nm
【0069】
処方例
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 0.1(質量%)
アクリル酸・アクリル酸アルキル・共重合体エマルション(*1) 0.25
ポリオキシエチレンイソセチルエーテル(*2) 0.1
ジイソステアリン酸ジグリセリル(*3) 0.1
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 3.5
ポリエチレングリコール(PEG−1540)(*5) 2.0
コハク酸 0.01
ジプロピレングリコール 1.0
ジメチルポリシロキサン 1.0
グリシンベタイン 0.7
水酸化ナトリウム(48%) 0.1
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(*10) 0.2
香料 0.02
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.01
フェノキシエタノール 0.2
流動パラフィン 0.5
精製水 バランス
合計 100.0
【0070】
*1)アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体エマルション:ダイトゾール5000SJ(大東化成工業社製)、平均粒子径120nm
*2)ポリオキシエチレンイソセチルエーテル(20E.O.):エマルゲン1620G(花王社製)
*3)ジイソステアリン酸ジグリセリル:コスモール42V(日清オイリオグループ社製)
*5)ポリエチレングリコール:PEG−1540(三洋化成社製)、平均分子量:1540
*10)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:PEMULEN TR−1(Lubrizol Advanced Materials,Inc.製)